ひゅ~ん…………。
そんな効果音が聞こえてきそうな飛び方をしていく神宮寺。
「あいつ……あんな弱いのにもうちょっと鍛えようとか考えなかったのだろうか……」
吹っ飛ばされていく神宮寺を見ながら呆れるカノン。
今、カノン達がいるのは公園の中。
そこの海が見える広々とした場所でジュエルシードが発動した為、カノン達はその場に到着した。
しかし、その場には既に神宮寺が来て戦っていたのだが……以前と同様、仁王立ちのまま全く動かなかったため、吹っ飛ばされていった。
「仕方ないんじゃない?あいつ、自分は最強とか思ってるみたいだし」
そんな事を言いながらも警戒を怠らない立夏。
その姿を見ながら、カノンは思わず過去に一緒に戦った女性の事を思い出す。
────やはり、似ている。彼女と戦闘スタイルも一緒……変換資質も一緒……偶然なのか?
グオオオオォォォォォォォォォ!!!!
と、そこまで考えた所でジュエルシードが発動したせいで現れた思念体……巨大な木の化け物が咆哮を上げる。
その周辺は少しだけだが歪曲しているようにも見えた。
「みんな、聞いてくれ」
カノンはその場に集まったなのは、フェイト、アリシア、立夏、ユーノ、アルフに集合をかける。
「あいつ、恐らくだが自身の周辺にバリアを張っている」
「確かに、そうみたいだよね」
「うん、何か変な感じがする」
フェイトとアリシアは何となくだがバリアの事に感づいていたようだ。
「えぇ?私、まだわかんないよぅ……」
「大丈夫よなのは。あたしもうっすらとしかわかんないから」
「私はわかんないんだよぅ……」
なのはは自身だけわかんない事が悔しいようだ。
「それでだ。フェイトとアリシア、なのはは私と立夏があいつの操る枝を引き付けている間に砲撃であいつのバリアをこじ開けろ」
「だ、大丈夫なの?」
フェイトは陽動を引き受けるカノンと立夏が心配なのか二人に声をかける。
「ああ、私は大丈夫だ」
「私も大丈夫だよ。それにいざとなったら私は戦線離脱するし」
今回、立夏は自身の実力を確かめる上での実戦参加となっている。
カノンにも「そろそろ実戦をやってみるか」と言われていたので立夏としては今回の敵は好都合だった。
「それでは、ばらけろ。ユーノとアルフは三人のサポートをしろ」
「で、でもそしたらカノン達が……」
「大丈夫だ」
カノン達が危険だ、とユーノが言おうとするのをカノンは遮る。
「私がいる限り、立夏には傷一つつけんよ」
「カノン……わかった、信じてるよ」
そう言ってユーノはなのはの元へと走る。
「立夏、いくぞ」
「わかった」
そう言ってカノンと立夏は同時に走り出す。
自身に近づいてくる敵の存在を察知したのか思念体は枝を伸ばしてカノンと立夏を串刺しにしようとする。
「ふっ」
カノンはルナフォームで動体視力を強化している為、難なく回避する。
「ほっ、危ない危ない……」
立夏は少しだけ、掠りそうになったものの回避する。
「スターシューター!」
立夏がそう言うと立夏の回りに光の魔力弾が生成されていく。
「いって!」
そう叫んだ立夏の声に応えるように魔力弾は前方へと向かっていき、枝を次々と撃ち抜いていく。
「ナイス援護だ、立夏」
「えへへ、ミッドチルダ式も練習してたんだ。まあ、今の所
「それでもいい傾向だ」
そう談笑しながらもカノンと立夏は枝を避けながら前進していく。
自身の攻撃が当たらない事に苛立ちでも感じたのか全ての枝をカノンと立夏に向けてくる。
「ふっ!はっ!」
「はっ!たぁっ!」
カノンと立夏は向かってくる枝を腕で、もしくは足で受け流す。
しかしその猛攻は止まらずに、しだいに立夏の息が切れていく。
「はぁ、はぁ……」
「立夏、大丈夫か?」
「だ、大丈夫よ……この程度で、私は負けない!」
立夏はそう宣言すると、先ほどまでの疲れが嘘ののように動きが戻っていく。
「フラッシュ・インパクト!」
立夏は自身の魔法であるフラッシュ・インパクトを枝にぶつける。
その効果である光での目眩ましにより、思念体の動きが一瞬止まる。
「今だ、みんな!」
「「「うんっ!!」」」
そう言ってなのは、フェイト、アリシアは同時に飛び立つ。
しかし、目眩ましをされても尚、思念体は枝を縦横無尽に伸ばしつづける。
「チェーン・バインド!」
そんな枝をユーノはバインドで搦め捕っていく。
「させないよ!」
アルフもフェイトとアリシアに迫る枝を叩き落としていく。
「ありがとう、ユーノ君!」
「アルフ、ありがとう!」
「ありがとうね、二人共!いくよ、なのはちゃん、フェイト!」
「「うん!!」」
アリシアの号令でなのはとフェイトはそれぞれ散っていく。
三方からの同時攻撃をする、それがなのは達の立てた作戦だ。
「ディバイーン……」
「「サンダー……」」
「バスター((スマッシャー))ッ!!」」
三方向から砲撃魔法が思念体に向かって放たれる。
思念体のバリアに砲撃が直撃する。
グオオオォォォォォォォ!!!
しかし、あと一歩足りていない。
「っ、ダメ!届かない!」
「後、少し……なのに……!」
みんなが諦めようとする中
「みんな、諦めるのはまだ早いぞ」
カノンだけは諦めていなかった。
「なのは達はそのまま、砲撃魔法を維持。立夏、少しだけ休んでおけ。後は私に全部任せろ」
「で、でも……」
「任せておけ。ムーン、コロナフォームだ」
『了解だぜマスター!』
カノンはルナフォームからコロナフォームへと変化させる。
「いくぞ!」
『コロナブラスター!』
ムーンがそう叫ぶと、カノンの周りに魔力の光が収束していく。
「しゅ、収束魔法!?」
ユーノが驚いてその言葉を発しているが……ユーノの予想通り。これはカノンの収束魔法。
カノンは両手は目一杯まで広げる。
そして両手をそのままの状態で右手を顔の部分まで、左手を腰の部分まで移動させ、時計回りに移動させる。
すると、光の粒子が円を描くように展開されていく。
カノンは右手に左手を添えるように引くと、光の粒子が全てカノンの右手に収束されていく。
「コロナ、ブラスター!!」
そう叫び、右手を突き出すと……収束された魔力が砲撃として思念体のバリアに接触する。
バッキャァン!!!
コロナブラスターが直撃すると、さっきまで拮抗していたバリアがいとも簡単に破壊される。
「今だ、封印だ!」
「う、うん!フェイトちゃん、アリシアちゃん!」
「うん!」
「一緒に!」
「「「ジュエルシード……封印!!」」」
そして思念体はその姿を収束させていき……その場に残ったのはジュエルシードだけだった。
封印の成功したらしい。
「ふぅ……お疲れ様、ムーン」
『ああ、お疲れ様なんだぜマスター』
ムーンを労いながら魔力を霧散させていくカノン。
そしてそんな姿を見ながら立夏はあの時の夢の事を思い出していた。
────やっぱり似てる……あの時の男の人に……。
そして、封印が完了したのを確認しどちらのデバイスに収納するかをなのはとフェイトが話し合おうとした瞬間
「ちょっと待ってもらおうか」
新たなる魔導士……黒の魔導士が、姿を現した。
今回はここまで。