魔法少女リリカルなのは 全てを幸せにする為に   作:レゾナ

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第三話

一日を滞りなく過ごしたカノン。

 

今は放課後。後は家に帰るだけである。

 

いや、訂正が必要だろう。家に帰る前に夕食の買出しをしてからという言葉が入る。

 

夕食の買出しは基本カノンがする事になっている。

 

それと対価という感じでヴィヴィアが食事を作る。

 

今日もいつもと同じように買出しに出かけるカノン。

 

ヴィヴィアもいつもと同じように家に帰宅する。

 

そして、カノンは近所にあるスーパーへと学生カバンを背負ったまま、入り買い物かごを手にする。

 

「今日は確か……」

 

と、今日の新聞に挟んであった折込チラシを脳内で思い出しながら特売の商品を探す。

 

「お、あったあった。豚肉と玉ねぎ……さて、ヴィヴィアは今日はどんな料理を作るのかな?」

 

カノンは内心ワクワクしながら買い物かごへと商品を入れていく。

 

と、その時

 

「お、あったあった。今日はカレーやな」

 

同じように豚肉と手にした少女がそう言った。

 

─カレーか……なるほど、ヴィヴィアにそう提案するのもいいかもしれないな。

 

そう考え、アイディアを出してくれた少女を見る。

 

…………見て、カノンは驚愕した。

 

その少女は車椅子に乗っていたのである。

 

車椅子に乗りながらも彼女は負けずに買い物に出かけている。

 

それを知ってカノンはなんと、強い娘なのだろうと思った。

 

「さて、それじゃ会計にいこかな」

 

そう言って少女はレジへと車椅子を進ませていく。

 

─君を見ているみたいだよ、オリヴィエ……。

 

彼は知っていた。体が欠損して生まれ、それでもなお、義手を用いて生き抜いてきた女性の事を。

 

そんな彼女と同じような強さを少女に見出したのだ。

 

─だったら……この娘にも……いい、運命がありますように……。

 

カノンは車椅子に少しずつ近づいてから小さく呟いた。

 

「ヒーリングレクト……」

 

カノンがそう呟くとカノンの手から小さな光の粒子が少しだけ少女の体に吸い込まれていった。

 

ヒーリングレクト……カノンの持つ回復魔法の中でも癒しという一点だけで言うなら最高峰の魔法とも思われる魔法である。この魔法の特徴は相手の体を蝕む痛みを和らげる事。

 

「あれ?なんか、足が楽になったような……ま、気のせいか」

 

少女は光の粒子に気づかずにそのままレジへと向かう。

 

─どうか、安らぎを……。

 

カノンはそう願って、自身もレジへと足を進めた。

 

 

 

「へぇ……その少女も頑張っているのですね」

 

「ああ、まったく……昔のヴィヴィを見ているようだったよ」

 

「まあ、私も昔は苦労しましたからね」

 

夕食の席。カノンは買い物の時に出くわした少女の事をヴィヴィアに話す。

 

「いいじゃないか。それもあって今のヴィヴィがあるんだから」

 

「ならば、その少女にも何かしらの運命があるのでしょうか?」

 

ヴィヴィアは自身に振りかかった苦労がその少女も経験している事から親近感を覚えたのだろう。

 

「どうだろうな。まあ、この先あの子は苦労するかもしれないが……それでも、力強く生きていくだろう」

 

カノンはそう言い切ってスプーンでカレーを口に運ぶ。

 

「それにしても済まないな。リクエストしてしまって」

 

「いいですよ。私としてもカレーはいいと思っていましたし……カノン、気づいていますか?」

 

「何が?」

 

「しらばっくれないでください。気づいている筈です。この町に何か……魔力を帯びた何かが数個降り注いだ事を」

 

「ああ、知っているよ」

 

カノンは自身には関係ないといった感じでカレーを食べ進める。

 

「どうにかしようと……思わないのですか?」

 

「どうにかして、どうする?ヴィヴィは再び、私に戦いを望むと言うのか?」

 

「いえ、そういう意味では……」

 

カノンはスプーンを置いて一拍置いてから語る。

 

「オリヴィエ、私はな……もう、疲れたんだよ、戦うのに……元々私は戦いが嫌いだったし……それに、戦いに慣れていく私が……どうしようもなく、怖かったのだよ……」

 

カノンは自身の手を見ながらそう言う。

 

「カノン……」

 

オリヴィエは知っていた。目の前の男の子が戦いを好まない性格だという事を。そしてそれでも戦わなければいけない自身に深い絶望を抱いていた事を。

 

「だが、それでもどうしようもなくなった時は……私は再び、剣を握り拳を振るうのだろうな……」

 

カノンは手を握り締めてそう言った。

 

「カノン……すいません……貴方を責めるような言い方をしてしまって……」

 

「別にいいさ。気にしていない……さ、食べよう。折角のヴィヴィの料理が冷めてしまうからな」

 

カノンはそう言ってスプーンを再び手に取り、カレーを食べ始める。

 

「そうですね……」

 

ヴィヴィアも食事を再開する。

 

しかし、この時カノンは気づかなかった。

 

自身がまた……剣を取り、拳を握る事がすぐ近くに迫っている事を……。

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