「あ……」
「どうかしたか、オリヴィエ?」
夕食を食べ終わってオリヴィエは明日の朝食のメニューを考えようとしたのだろう。冷蔵庫を開けた所で何かに気づいたような声をあげた。
「いえ、実は……卵がないのに、気づいていなかったので……」
「ああ、そうか。卵がなかったのか……」
「うぅぅ……明日の朝食やお弁当には卵がないのですか……」
実はオリヴィエ。卵が大好物なのである。と言ってもゆで卵などが好きというわけではなく、玉子焼きが好きという理由である。
一日の始まりは玉子焼きから始めなければその日のオリヴィエは不完全燃焼のような状態になるのである。
「わかった。今は24時間営業のコンビニなどにでも卵はあるだろう。買ってくるよ」
「ほ、本当なのですかっ!?」
オリヴィエは先ほどまでの落ち込みようから一転。もの凄く元気になる。
「ああ、本当だ。幸い風呂にもまだ入ってはいないしな」
カノンはそう言って自身の財布を持って出かける準備をする。
夜は何かと冷える為に、カノンは自身のコートを羽織る。
「いってらっしゃい、カノン。頼みますよっ」
「わかっているよ、それじゃいってくる」
そう言ってカノンは家を出る。
「いらっしゃいませー」
コンビニに到着し、卵を見つけてレジへと持っていく。
「ありがとうございます」
卵のケースについているバーコードを読み取り金額が表示される。
「149円になります」
カノンはそれを聞いて200円を取り出す。
「200円からお願いします」
「200円お預かりします。51円のお釣りになります」
お釣りの51円をもらい、コンビニを出る。
「ふぅ、これでとりあえずは明日は大丈夫だな……明日は家に帰る前にスーパーで卵を買わねばな」
カノンは袋を持って家へと帰ろうとする。
すると……カノンは昔、感じ取った事のある懐かしい気配を感じる。
「これは……魔法?」
しかし、カノンはそんなのはありえない、と言う。
カノンがそう思うのはこの世界には魔法の概念がないのを知っているからである。
あると言っても黒魔術などの眉唾ものばかりである。
しかし、昨夜魔力を感じた。
それもこの世界の近くを魔法に関わりのある何かが通っただけだろうと考えていた。
しかし、今、カノンははっきりと魔力を感じ取った。
「……ムーン、起きているか?」
『うぅん……?珍しいじゃないかカノン。お前が私を起こすなんて……何年ぶりだろうな』
カノンの腰についているチェーン……その先についている指輪がそう答える。
これはカノンのデバイスである、『ムーン・プロミネンス』。カノンが初めて作り出したデバイスである。
それゆえにデバイスとして生きている時間は多く、人間らしさが出ているデバイスとなっている。
「気づいているか?」
『ああ?……魔力だな、それも……結構大きい……』
「ああ、神宮寺並だな……いや、それよりは少し少ないか……」
カノンは神宮寺白夜が魔力を持っていたのを知っていた。
それはなぜか。簡単な事で……神宮寺、魔力を抑えるような事は一切せずに常に駄々漏れにしていたのである。
『それで?カノンはどうするんだ?私としては行っても別に構わないと思うが?』
「……お前まで、俺に関われって言うのか?」
『別にそうは言ってない。私はあくまで、カノンの決めた事を尊重するぜ?』
「……様子を見に行くだけ……ただ、それだけだ」
そう言ってカノンは走り出す。
立夏SIDE
ああ、もぅ……!あのバカは全然役に立たないわね……っ!
しかも、今は私、絶賛動けないし。
そう、今私がいるのは原作第一話にあたる場所。なのはが初めて魔法少女になる所だ。
目の前にはジュエルシードの思念体がいるんだけど……
「キュエエエエェェェェェェ!!!」
もの凄く、実体を持っているのよね。原作でなら形が定まってなかった筈なんだけど……!
形としては鳥に近い。頭の部分は赤いトサカのようになっており、嘴も鋭い。背中には折りたたまれているけど翼のような物も見える。
この思念体のせいで私は壁に体を叩きつけられた。
そしてその後
「はっはっはぁ!オリ主である俺様の出番のようだな!」
って大見得切って現れたのが神宮寺だった。
「神宮寺君っ!?」
私と一緒に来ていたなのはもいきなり現れた神宮寺に驚いている。
「喰らえ、
神宮寺がそう叫ぶと神宮寺の後ろの空間が歪んでいき、その歪みから剣や槍などが次々と出てくる。
「な、何なんだあれはっ!?」
フェレット……いや、ユーノだったわね。も驚いているし。
でも、ジュエルシードの思念体はそれらを全て飛んで躱し、神宮寺に口から出した光弾を次々と当てていく。
「ば、バカなっ!?こ、この俺様があぁあぁぁぁぁぁぁ!!!!???」
そんな事を叫びながら吹っ飛んでいく神宮寺。
ああ、もう……思い出しただけでも腹が立ってきた……!
「立夏ちゃん!」
なのはは私を守ろうとしているのか私の目の前に立つ。
「ば、バカ……そんな事してないで……早く詠唱を……」
「そんな事してたら、立夏ちゃんが!」
ああ、なのはは本当に友達思いね……。
そんな事を思いながら私の脳裏には走馬灯のように今までの事が思い浮かんできた。
私の名前は桜羽立夏。転生者よ。あ、今こいつ何言ってんだ?って思った奴いるでしょ。
でも、これが本当なのよね。
誤って歩道に出てきた子供を庇って自分が車に轢かれた。
そのせいで私は死んだんだけど……私の前に神様と名乗る奴が現れて何でも、この死は誤算だったらしくて、お詫びに転生させてくれる事になった。
ちなみにその時に特典をもらった。
私の特典はこんな感じね。
1.私以外の転生者の情報
2.主人公である高町なのはと幼なじみになれるようにする
3.魔力変換資質“光”
あ、ちなみに光というのは私のオリジナルの変換資質なんだ。効果としては……まあ、光を作り出して目くらましになったり、後は光の力で生命力を活性化させたりと結構使える能力となっている。
でも……デバイスがないとロクに使えないのが現状。
つまりは……宝の持ち腐れという奴だ。
私には……何も出来ない。
そして……なぜだろう、私の脳裏には私の机の隣に座っている男子の事が思い浮かんだ。
最初見た時は何だか堅物そうだなって感じだったんだけど話してみれば結構話しやすかった。
何でなのかはわからなかったけど……でも彼……カノンの事が思い浮かんだ。
「カノン……会いたかったな……」
私がそう呟くと……奇跡が、起きた。
「はっ!はぁっ!」
何かが地面に叩きつけられる音が聞こえた。
「か、カノン君……?」
なのはのそんな言葉に思わず瞑っていた目を開く。
なのはの前には……青い服を羽織った、カノンが右手を突き出した形で立っていた。
SIDE OUT