魔法少女リリカルなのは 全てを幸せにする為に   作:レゾナ

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第五話

魔力反応を辿って目的地に到着したカノン。

 

そこでは戦闘とは呼べない戦いが繰り広げられていた。

 

「神宮寺の奴は……戦いをなんと思っているのだろうか……」

 

カノンからしたら自身の力を驕ってロクに訓練をしていないというのがわかった。

 

その証拠に神宮寺はあの技─レアスキルだろう─を使用している際に、動かずに仁王立ちしていた。

 

動けないというのがあの技のデメリットなのかもしれないがそれでも動こうと一瞬だけ発動してその場から動くという事も出来る筈なのである。

 

しかしそれをせずに無様にやられた。

 

ここが戦場だったとしたら神宮寺は真っ先に戦死している所だろう。

 

しかし、問題は高町と桜羽だった。

 

高町が持っている赤い宝石は恐らくはデバイスだろう。しかし高町はそれを使おうとはせずに桜羽を庇うように立っている。

 

ここでの最良はデバイスを起動させてあの物体を沈黙させる事だというのに。

 

カノンはそこまで考えた所で考え方が昔に戻ってしまっている事に気づき、慌てて考えるのを止める。

 

『カノン、行かねぇのか?』

 

「……………………」

 

『カノンがしたい事を私は支持するぜ?それであの子達がやられてもいいんならな』

 

「…………私は…………」

 

気づけば、カノンはチェーンに通していたムーン・プロミネンスを右手の薬指に通していた。

 

『おっ?』

 

「ムーン、頼むぞ」

 

『了解だ、マスター。フォームは?』

 

「決まっているだろう、ルナでしかいかない」

 

『それもそうだな。ルナフォームで起動する』

 

そうしてカノンを光が包み込んでいき、その光が弾ける前にカノンは駆け出す。

 

目の前の敵が高町に襲いかかろうとするのを左手で上に軽くいなした所で剥き出しになった腹に右手を開いた状態で深く突き刺す。

 

「はっ!はぁっ!!」

 

キュオオオオオオオオッ!!!

 

敵は悲鳴を挙げながら飛んできた方向とは逆の方向に吹っ飛ばされていく。そのときに光が弾ける。そこに立っていたカノンの服装は先ほどと変わっていた。

 

青いジャケットを羽織っておりズボンは短パン、腰には小太刀─鞘の長さが短い事から─が備えられている。

 

「か、カノン君……?」

 

高町がカノンを認識してその名前を呟く。

 

「か、カノンっ!?な、何でここにっ!?」

 

桜羽もカノンはいる事がわかったのか何でここにいるのかと問うてくる。

 

「別に……友人が襲われているんだ。それを見て助けただけだ」

 

カノンはいつもの構え─右手と左手を開いて左手の指先を相手に右手は頭の上で固定する構え─を取る。敵がいつ来てもいいようにだ。

 

「あ、あの……」

 

と、近くに倒れていたイタチがカノンに言葉を発する。

 

「い、イタチが話した……?」

 

カノンは目の前の不可思議な光景に目を丸くする。

 

「思念体は普通に攻撃しただけじゃ倒せません。早く封印を!」

 

イタチはそう言う……が

 

「済まないな。私は封印術式は苦手なんだ」

 

カノンはきっぱりとそう言う。

 

そう、カノンは封印術式が大の苦手。そもそもカノンは封印などではなく仲間を癒し、仲間を守る為に戦ってきたのであって封印などは他の者にやらせてきたからである。

 

しかしその代償と言えるのか、治癒魔法などは格段に上手くなっているが。

 

「でしたら、レイジングハートを。これには封印魔法がインプットされています」

 

イタチはそう言って高町が持っている宝石を頭で指す。

 

「済まないな。このデバイス以外を使う気はまったくないんだ」

 

カノンは何だかんだで自身が作ったデバイス、ムーン・プロミネンスを気に入っている。

 

今までずっとオリヴィエとムーン……二人と一機ではなくもはや三人と言える程の濃密な旅をしてきたのだ。愛着も湧くだろう。

 

「その代わりといっては何だが……高町、お前なら使いこなせるだろう」

 

「ええっ!?で、でも私」

 

「そうよ、だったら私が……くっ…」

 

桜羽が自分がやると言って立ち上がろうとするが痛みで顔を曇らせる。

 

「桜羽、お前じゃ無理だ。おとなしくしていろ。後で診てやるから」

 

キュエエエエエェェェェェェェェ!!!!!

 

しかし思念体はそんな彼らに口から光弾を出して攻撃してくる。

 

「高町、急げ! ふっ!はっ!ふぅっ!」

 

カノンは次々と繰り出される光弾を両手両足を使っていなしていく。

 

「「「す、すごい……」」」

 

その姿を見た二人と一匹は驚いて同じ言葉を同時に呟く。

 

光弾を後ろにいる二人と一匹に当たらないように一度も止まらずに動き続けているのだ。

 

誰でも驚く事だろう。動きつづければ誰だってつらい。それを先ほどからずっと動き続けているのだ。

 

キュアアアァァァァァァ…………キュア?

 

と、そこで光弾が来なくなった。どうやらガス欠らしい。

 

「少しは落ち着けっ」

 

『フルムーン・エキストラクト』

 

カノンはそう言って光を両手に集めて、それを全て思念体にぶつける。

 

しかし、それらが思念体を傷つけるような事にはならなかった。

 

それよりも、思念体が落ち着いていくのが見てとれた。

 

その時、カノンの後ろで桜色の柱が発生した。

 

「成功だ!」

 

イタチのそんな声が聞こえた事から、起動は成功したのだろう。

 

カノンが後ろを振り向くと……光が収まり、聖祥大付属小学校の制服をモチーフにしたのだろうバリアジャケットを着た高町の姿があった。

 

「ふえぇっ!?ど、どうなっちゃったの!?」

 

「落ち着くんだ、高町」

 

自身の姿が変わった事に驚きを隠せないのか慌てる高町。それを見かねたカノンが高町を落ち着かせようとする。

 

「落ち着いて……自身の心に従え。そうすれば呪文が浮かぶ筈だ」

 

カノンは封印魔法を使用する魔導士達を何人か知っている。その彼らも心の中に現れた呪文を唱えて封印を行っていた。

 

時代は変わってもそこは変わっていない。

 

「う、うん……わかった」

 

高町は心を落ち着かせて目を瞑る。

 

そして次の瞬間、目を見開き杖を掲げる。

 

「リリカル・マジカル」

 

「封印すべきは、忌まわしき器、ジュエルシード」

 

「ジュエルシード、封印!」

 

『Sealing mode. Set Up.』

 

高町の声でレイジングハートがシーリングモードに変化する。

 

光の帯が思念体を囲むように回る。

 

キュァ……?

 

思念体は落ち着いた結果か、こんな状態になっても暴れたりはしない。

 

『Stand by, Ready.』

 

「ジュエルシード シリアルⅩⅩⅠ!封印!!」

 

『Sealing』

 

光の帯が思念体を包み込んでいき……光が消えるとそこには思念体の姿はなく、青い宝石……ジュエルシードが落ちているだけだった。

 

「これがジュエルシードです。レイジングハートで触れてください」

 

高町はレイジングハートを翳すとジュエルシードはレイジングハートに吸い込まれていく。

 

すると、高町のバリアジャケットが解除され、レイジングハートも待機状態に戻る。

 

カノンもそれを見て自身のデバイスを解除する。

 

「あれ?終わったの……?」

 

まだ、実感が沸かないのか呆ける高町。

 

「はい……貴方のおかげで……あり……が、とう……」

 

イタチはそこまで言って力尽きたのか倒れる。どうやら気絶したようだ。

 

「あ、あのカノン君っ!私、聞きたい事が「待て、高町」ふえ?」

 

高町がカノンに聞きたい事があると言おうとするとカノンは高町の口を塞ぐ。

 

小さくだが……パトカーのサイレン音が聞こえてくる。

 

どうやらこの騒動の音を聞いた近隣の住人が警察を呼んだのだろう。

 

「もしかして……ここにいたら結構ヤバいんじゃ……」

 

「そうだろうな……まあ、それはないにしても、補導の対象である事に変わりはない」

 

桜羽とカノンは冷静に状況を分析する。

 

「桜羽、走れるか?」

 

「ちょ、ちょっと無理そう……ぐっ……」

 

先ほどのダメージがまだ残っているのか痛みに苦悶の声をあげる桜羽。

 

「……仕方ない、診ると言ったしな」

 

そう言ってカノンは桜羽の膝下と背中に腕を回し抱き上げる……要は、お姫様抱っこである。

 

「ちょっ!?なななな、何するの!?」

 

「お前の怪我を診てやるって言ったんだ。責任は持つさ。高町も来い」

 

「いいなぁ……」

 

カノンに抱きかかえられている桜羽を見て羨ましそうにそう呟く高町。

 

「高町、逃げるぞ。警察に捕まってもいいなら強要はせんがな」

 

「ふえっ!?ま、待ってカノン君っ!」

 

カノンに追いつくようにイタチをその手に抱えてカノンの後ろについていく高町。

 

そして少しの惨状を後に残しながら、カノン達は誰も来ない場所を探して走った。




あっはっは……何で私って次回のネタじゃなくて最後らへんのネタしか思い浮かばないんだろう……途中を見事にすっ飛ばして……。何でだろうな……。
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