魔法少女リリカルなのは 全てを幸せにする為に   作:レゾナ

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第六話

カノン達は人気のない公園に足を運んだ。

 

夜も遅いし、ここまでは来ないだろうと思った為だ。

 

カノンは抱き上げていた立夏をベンチに下ろす。

 

「すまない、痛む所を教えてくれ」

 

「痛む所って……えっと、右足と背中……」

 

「そうか……だったら最初は背中からだな。背中をこっちに向けてくれ」

 

「わ、わかったわ……」

 

そう言ってベンチの背もたれに真正面になるように座る立夏。

 

「失礼する」

 

「……っ」

 

カノンは最初にそう断ってから服をたくし上げる。

 

立夏の背中には赤みがかかっており腫れているのがわかった。

 

「少しじっとしていろ……ヒーリングフェアリー」

 

『ヒーリングフェアリー』

 

カノンがそう言うとカノンの手から光の蝶が現れて立夏の背中で止まる。

 

「あ、何だか暖かい……」

 

『ヒーリングフェアリー』……この魔法は痛みと腫れなどを引かせる魔法で、傷を直す効果などはない。しかし立夏は怪我をして血を流しているわけではないのでカノンはこの魔法を選択した。

 

数秒程経つと光の蝶は一斉に消え去る。

 

立夏の背中には先ほどまでの赤みがかった腫れはなく綺麗な肌に戻っていた。

 

「さ、今度は足だ」

 

「あ、うん……」

 

立夏は今度はベンチに座り右足をカノンに差し出す。

 

カノンは右足を持つと患部を触り始める。

 

「カノン君、何だか手慣れてるね?」

 

後ろで様子を見ていたなのはがカノンに聞いてくる。

 

「ああ、私は元々戦いが嫌いでね。人を傷つけるこの手で人を治すなんて……皮肉もいい所なんだがね」

 

そしてカノンはヒーリングフェアリーを発動して立夏の足を治した。

 

「よし、これで大丈夫だろう。歩けるか?」

 

「えっと……」

 

立夏は立ち上がって歩いてみたいジャンプしたりして治ったかどうか確かめてみる。

 

「うん、大丈夫。ありがとう」

 

「ああ、礼には及ばん。それではな。もう夜も遅い」

 

そう言ってコンビニの袋を持つカノン。

 

現場近くに置いていた為に何とか割れるのだけは免れた卵。

 

─ふぅ……これで明日は何とかヴィヴィも大丈夫だろう……。

 

カノンはそう思いながら帰ろうとすると

 

「ちょ、ちょっと待って!」

 

立夏に呼び止められる。

 

「何だ?」

 

「な、何かお礼を……」

 

どうやら立夏は助けてくれた事を治療してくれた事に関してお礼がしたいらしい。

 

「いいさ、お礼がしてもらいたくて助けた訳ではない。それに私は戦ったわけではなくてただ相手の攻撃をさばいてジュエルシードを落ち着かせただけだ」

 

カノンはそう言っているがそれがどれだけ難しい事かはこの場にいる誰もわからないだろう。

 

ジュエルシードには本来意思は存在しない。そんな意思のない存在をカノンは落ち着かせたのだ。それがどれだけ難しい事か。

 

「で、でも……!」

 

「話は明日にでも聞くから……先ほども言ったがもう夜も遅いし帰ろう?」

 

「う……わ、わかったわ……」

 

立夏はお礼が出来ないのが悔しいのかちょっと俯き気味だ。

 

「それじゃあな、また明日」

 

「うん、また明日なの!」

 

「明日ね……」

 

二人は家が隣同士という事もあって同じ帰路につく。

 

カノンも二人が見えなくなるまでずっと見守りつづけ、見えなくなると家に帰った。

 

 

 

翌日……ヴィヴィアは玉子焼きを食べて上機嫌になりながら学校へと通う。カノンも上機嫌という所だけは違うが同様だ。

 

今日は少し早く出たからかカノン達はなのは達とは出会わずに学校に着いた。

 

下駄箱でカノンはヴィヴィアと別れて教室に着き、教科書等を机の中に入れる。

 

「カノン、おはよう」

 

と、立夏がやってきてカノンにおはようと挨拶する。

 

「ああ、おはよう……大丈夫だったか?」

 

「え、何が?」

 

「親などには見つからなかったか?見つかったら色々と……」

 

「心配してくれるんだね……大丈夫、お母さんとお父さんは夜中には二人共寝てるし滅多に起きないから」

 

滅多に起きないという事は何日か起きて調べたという事なのだろうか。

 

カノンはそう思ってしまった。

 

「そうか」

 

「おお、俺の嫁よ!おはよう!」

 

と、神宮寺がカノン達の席にやってきた。

 

「だから、私はあんたなんかの嫁にはならないわよ!」

 

「はっはっは、立夏はツンデレだな~でも、そろそろデレないと他の嫁に先を取られるぞ?」

 

この神宮寺、どうやら相当な自意識過剰らしい。

 

「一生デレないから安心して」

 

「それはそうと……モブ!お前、何立夏と会話しているっ、立夏が嫌がっているだろう」

 

「何の事だか……それに嫌がっているのならこうやって普通に話しかける事すらしないと思うが?」

 

「ふん、立夏は優しいから話しかけているだけだ。それに優しいから嫌とは言えないんだよ。わかれ、モブが」

 

「はぁ……」

 

ここがカノンが神宮寺を好きになれない所……神宮寺は自分が嫌われているのにも関わらずにそれを自己解釈して自分に好意を持っていると思っているのだ。

 

自意識過剰もすごい所まできたものである。

 

「おはよう~」

 

「おお、来たか俺の嫁達よ!」

 

「だから、私たちはあんたなんかの嫁じゃないって何度言えばわかんのよ!」

 

そして神宮寺は登校してきたアリサ達に言い寄っていく。

 

「いつも通りの光景だな」

 

「そうね……ねぇ、カノン?本当に……お礼、いいの?」

 

「ああ、いいよ。それと……立夏、お前には戦う手段はないのか?」

 

「え?」

 

カノンは立夏にそう聞く。

 

「た、戦う手段……デバイスも持ってないけど……」

 

「これから、私がお前らを支援する事はほとんどないだろう」

 

「えっ?で、でも何で昨日は……」

 

「私は……本当は、戦いが嫌いなんだ……戦いが嫌で嫌で……だから、あんな相手を傷つけない戦いをする……」

 

「あっ……」

 

─そうか、だからあんな危険な戦い方……でも、何でそんにも戦いが嫌いなの……?

 

立夏はそう考える。

 

昨日カノンの戦い方はまさにその戦いが嫌いという一つの結論から来たのだろう。

 

しかし、それには相当な過去がある筈だ。

 

─でも、カノンは転生者じゃない。それは確実……。

 

立夏の転生特典の中に他の転生者の情報という物がある。

 

その中にあったのは神宮寺の情報だけだった。他にも転生者の情報はあったがどれも既に死亡となっていた。つまりはカノンは転生者ではない純粋なこの世界の登場人物という事だ。

 

だが……小学三年生でそんな壮絶な過去を送っているのだろうか?

 

立夏はそう考えていた。

 

「ま、欲しかったら言ってくれ。なるべく希望通りのデバイスを作成してやる」

 

「え、カノンが作るの!?」

 

「ああ、私のデバイスも私が一から作り上げたデバイスだしな。材料さえあれば作ってやる」

 

「わ、わかった……じゃあ、お昼休みにでも……」

 

「ああ、それじゃ……授業の準備を進めよう」

 

そしてカノンは教科書を取り出して予習を始めた。

 

─カノン……貴方は一体何者なの……?

 

立夏はそう思うしかなかった。

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