個性が地球国家元首って意味わからないんですが   作:国家元首支持派

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一話

七ノ瀬レンには個性がなかった。

通常個性が発現するはずの3歳に個性が発現しなかった彼は親に捨てられ、孤児院にいた。

しかし、中学二年の夏のこと

 

「──地球国家元首U-オルガマリー、貴方の呼び声に答えてあげたわ。せいぜい感謝なさい?」

「……は?」

 

突如あたりを覆った光の内側から出てきたのは、なびく白い髪とマントと巨大な角を持ち、地球国家元首という聞いたこともない称号を自称する存在。

それは、凄まじいほどの遅咲きで発現した紛れもない七ノ瀬レンの個性だった。

それからは波乱の日々だった。

まず人格を持つ個性自体が存在こそするもののかなり少ない上に、とんでもない遅咲きで発現したのだ。

しかも、個性である彼女ははっきり言えば国一つを落として有り余るほどの力を持っていたのだ。

様々な場所で検査を受け、彼女の能力もある程度解明されたのち、国の安全保障の為に彼女とその当時の総理大臣とで話し合いが行われるほどの一大事になり、結果として一般人の個性使用禁止の法律を特例的に緩和し、彼女の顕現と能力の行使を許可する代わりにそれを破壊的な目的や国家の機能停止につながるような使い方をしないという契約が行われた。

 

「はぁ、私一人にここまで混乱するなんて、この星はどうなっているの?」

「仕方ないでしょ、条件なしでブラックホールを作ったり重力を操ったりなんて、どっちか一つでも大災害レベルだよ」

「災害って……、私はそんな無闇に振り撒く気はないわよ?」

「それを確認するための時間だったんだよ。人間は君みたいに他人の思考とか読めないから」

「不便なのね」

「全くだよ」

 

突然現れた七ノ瀬の〝個性〟。

その傲慢に見える態度に警戒していた七ノ瀬だが、共に暮らすうちにそんな誤解は晴れて行った。

U-オルガマリーは彼を秘書と位置付けて対等に扱い、彼はU- オルガマリーをマリーと呼ぶまでにその仲を深めた。

一方U-オルガマリーは、先述の契約の関係で監視ができるようにとあてがわれた郊外のアパートの近辺で支持者を増やしていた。

たとえば、近くにある個人経営のパン屋などに立ち寄ると

 

「あぁ大統領さん、また来てくださったんだねえ」

「良いものには正当な評価をするのが大統領だからな」

「ふふふ、未来の大統領のお気に入りなんて、嬉しいわ」

「そうだろうそうだろう!この地球の国家元首になる私だからな!ぜひ清き一票を!」

 

パン屋のおばちゃん相手にドヤ顔で胸を張るU-オルガマリー。

初めは地元の人たちも(なんだコイツ……)という顔だったが、迷子を気まぐれと言いつつ助けたり、気に入った店には足繁く通ったりと言った地道な努力もあり、今はすっかり地元の人気者である。

七ノ瀬は(もうこの場所の大統領でいいんじゃないかな……?)

と思っているが、口に出すことはなかった。

さて、そんなある日のこと、雄英高校のプロヒーローの一人が彼らの元にやって来た。

 

雄英高校のプロヒーローが来る理由はただ一つ、雄英高校に入学しないかという勧誘だ。

七ノ瀬は少し考えようとしたが、やってきたプロヒーローの

 

「雄英なら、その力が地球国家元首にふさわしいと示すチャンスもある」

 

という言葉が、U-オルガマリーのやる気スイッチを壊れるほどに押し込んだらしく、雄英に入りたいU-オルガマリーと雄英高校のプロヒーロー、イレイザーヘッドの間でトントン拍子に話は進み、入学試験も蹂躙としか言えない成績でクリアした。

雄英の登校初日にはその傲岸不遜な態度から少し奇異の目を向けられてはいたものの、戦闘訓練などを通して七ノ瀬もU-オルガマリーも共にクラスに溶け込んでいた。

そんなある日の朝

 

「起きなさいレン!」

 

レンの耳には、そんなオルガマリーの弾んだ声とは別にとてつもない風切音が聞こえていた。

 

「……今、どういう状態?」

「雄英高校まで時速1200キロで向かってるわ。少し嫌な彩が見えたから」

 

──────────

 

USJにて、オールマイトを取り囲む三体の脳無。

一体一体がオールマイト並みのパワーを持つその集団に、万事休すと思われたその時、轟音と共にUSJの天井が砕け散る。

 

「跪くがいい人間共!地球国家元首、U-オルガマリーである!」

 

大音声がUSJに響くと同時に、脳無の一体が彼女を目掛けて飛び上がる。

しかし、脳無は凄まじい速度で地面へと叩きつけられ粉々になった。

ふわりと地面に着地したU-オルガマリーはオールマイトを一瞥すると

 

「……最強個体を名乗る割には、ずいぶん弱々しいわね。私の秘書と一緒に下がっていなさい」

 

そう言って自らの腕に半ば無理矢理抱き抱えていたレンを地面に置いて前に出る。

 

「──改めて言ってやる。無駄な抵抗はやめて、私の前に跪け」

「……すると思うか?」

「思わん」

 

オルガマリーの指先から雷が迸る。

もう少しで死柄木へと届きそうだったそれは、脳無によって遮られた。

しかし、その一撃は彼女の本領の1割も発揮していない手加減をした一撃。

ここに、地球国家元首の蹂躙が始まった。

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