Blue Archive -Document GUYS feat.LXXX-   作:LN58

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EP09 未来を築く希望の光を繋ぐもの

 

突如としてゲヘナ自治区/ヒノム火山周辺地域に出現した光のピラミッドと復活した超古代怪獣は3000万年前の超古代文明を滅ぼした光と闇の果てしない戦いの再来を予兆するものであった。

 

その生き証人である彼方の星雲から地上に降りた神代キヴォトス人:サーベラスを【連邦捜査部 S.C.H.A.L.E(シャーレ)】の一員に迎え、最終戦争に備えて更なる戦力強化を急ぐ一方で、急激な軍備増強に防衛費が膨らんでしまっている問題で頭を悩ませることになってしまった。

 

すると、神代キヴォトス人:サーベラスがヒノム火山の地下深くにある人跡未踏の神聖なる空間【アビス】と直結している光のピラミッドから大量のレアメタルと金銀財宝を惜しげもなく気前よく提供してくれたのである。超古代文明では地下資源の栽培も当たり前だったのだ。

 

それ故に自身を“地獄の釜の門番”と称する神代キヴォトス人:サーベラスはローマ神話の冥王:プルートー(富める者)を思わせるものがあり、いろんな意味でキヴォトスで決して無視してはならない存在に一挙に躍り出ることになったのである。

 

それは北条 アキラが怪獣退治の専門家としてキヴォトス史上最大の軍事力【キヴォトス防衛軍】の指揮権を持つキヴォトスの頂点であるのに対し、神代キヴォトス人:サーベラスはキヴォトスの経済を単独でひっくり返せるほどの資源メジャーになりうる存在として。

 

実際、提供された莫大な地下資源があれば、北条 アキラが要求する水準の防衛体制の構築が強力に後押しされるのは言うまでもなく、技術革新のための研究費や無尽蔵に膨らむ防衛費の問題も解消されてしまうので、実に都合が良すぎる話であった。

 

当然ながら、キヴォトスの行政を担う【連邦生徒会】にしても、【キヴォトス三大学園(BIG3)】にしても、突如として現れた光のピラミッドの億万長者の存在を巡って水面下の抗争が繰り広げられることになり、

 

ゲヘナ自治区/ヒノム火山周辺地域の出身なのだから【ゲヘナ学園】に帰属すべき存在だと主張する【万魔殿】羽沼 マコトに対し、【セミナー】調月 リオと【ティーパーティー】百合園 セイアはこれ以上の【ゲヘナ学園】の勢力拡大を認めないとして【連邦生徒会】の直轄地にすべきと激論を繰り広げた。

 

現状では神代キヴォトス人:サーベラスはあらゆる意味でキヴォトスの常識を根底から覆す存在として公にはしていないのだが、よりにもよって獣人族にとっては神々しいと感じられる美貌を持った犬の獣人であるため、人の口に戸を立てられず、ゲヘナの温泉街から発信される噂の獣人の話を阻むことはできていなかった。

 

ただ、キヴォトスの経済を一人でひっくり返せるほどの地下資源の管理人ともなると、間違いなくキヴォトス一の億万長者であるため、ウルトラマンと同様に金銭で買収できるはずもないため、どうにかして自分たちの側に引き込もうと【キヴォトス三大学園(BIG3)】がそれぞれ三者三様で交渉をするのだが、結果は火を見るより明らかであった。

 

そのため、一旦は【連邦捜査部 S.C.H.A.L.E(シャーレ)】の預かりとなり、戸籍も発行されることになった。それは大変有り難くもあり、最大級の厄ネタでもあるという扱いだった――――――。

 

 

神代キヴォトス人「ふん、いずれも俗物だらけだったな。どいつもこいつも“光”になる素養がまったくない。いや、“闇”になる素養すらないのだから、居ても居なくても変わらん空気のような連中よな」

 

神代キヴォトス人「まあ、【ゲヘナ】の使命に忠実な分だけ、怪獣頻出期においても臆さず貪欲に勢力拡大に努めている羽沼 マコトだけはマシな部類ではあったな」

 

神代キヴォトス人「次点は【ミレニアム】の調月 リオだが、あれも【ミレニアム】の使命に忠実だが、自分の後に続く者のことは考えていない。個人の才覚としては申し分ないが、組織の長としては独り善がりが過ぎて一代で覇業が途絶えてしまう典型だな」

 

神代キヴォトス人「で、落第点なのは【トリニティ】の百合園 セイアだ。何から何まで全部ダメ。個人の才覚もそうだし、組織の長としてもダメ。【トリニティ】の使命もまったく理解していないから、あんなのが代表に選ばれている時点で【トリニティ】が滅ぶのも時間の問題だな」

 

神代キヴォトス人「やはり、落ち着くものだな、“光”というものは。たとえ一人であっても、側にいられるだけで、これほどまでに嬉しいものはない」

 

神代キヴォトス人「――――――“ユザレの末裔”である秤 アツコが生きていてくれたのは天の配剤だ」

 

神代キヴォトス人「そして、お主のこともな」

 

 

ロボット職員「なぜ先生は“光”ではないのですか!? 何がちがうのです!?

 

 

神代キヴォトス人「同じことを何度も言わせるでない」

 

神代キヴォトス人「我も最初に先生に触れた時、あの者が現代のウルトラマンの正体なのかと思ったが、実際に“光”を辿ったら、お主こそが“光”であったのだぞ。それこそ“ユザレの末裔”秤 アツコの同族かと思うほどに」

 

神代キヴォトス人「その機械の身体に有機生命体の意志が宿っているのも、お主が“光”であったからであろう?」

 

神代キヴォトス人「そして、秤 アツコの義姉君から“光”を受け取っておろう。だからだ」

 

ロボット職員「………………」

 

神代キヴォトス人「ならば、何を恥じる必要がある? お主も“光”であったのなら、我らが同胞の遺跡に眠っている巨人像と一体となって再び戦えばよろしい」

 

 

――――――だからこそ、わからぬのだ。地球にも現れたという、あの光の巨人:ウルトラマン80の正体が。

 

 

神代キヴォトス人「あれはいったい何なのだ? たまたまウルトラマンの姿をしている我の知らない宇宙人なのか? M78星雲の光の国からやってきたという話だが、我が知るウルトラマンとは随分とちがうではないか」

 

神代キヴォトス人「そして、地球人:北条 アキラにしてもそうだ」

 

神代キヴォトス人「おかしい。あれはウルトラマンとなるに相応しい眩い輝きを放っているように見えたが、その中心になるのは光を照り返すだけの銀鏡の玉しかない――――――」

 

神代キヴォトス人「これがいかに人としておかしいことか理解できるか?」

 

ロボット職員「………………」

 

神代キヴォトス人「光を放つのは人である()の輝きなのだ。それが人の輝きだ。それなのに、先生にあるのは光を照り返す銀鏡の玉――――――」

 

神代キヴォトス人「では、その銀鏡の玉が照り返している眩い光はどこから放たれているのだ?」

 

 

神代キヴォトス人「我の裁定だと、先生は“光”でもなければ“闇”でもない。敢えて言うなら“影”でもなく“鏡”だ。こんなのは初めてだ」

 

 

神代キヴォトス人「だからこそ、興味が尽きないわけでもあるな。これはこれで新たな知見が得られる」

 

神代キヴォトス人「今のところ、光の勢力に分類されるのが我しかいないのは心許なかったが、お主と秤 アツコが居るのであれば、この苦境も乗り越えていくことができよう」

 

神代キヴォトス人「よいか。現実的には失踪した“連邦生徒会長”が招いたとされる地球人:北条 アキラが怪獣頻出期を迎えたキヴォトスの救世主と崇められているが、実際はそうではないことを自覚せよ」

 

ロボット職員「……言うな!」

 

神代キヴォトス人「聞け! お主こそが“光”の中心なのだ!」

 

 

――――――いや、『その事実と もう一度 向き合え』と言うべきなのが、お主の本心か?

 

 

光のピラミッドの最奥の玉座に腰掛ける神代キヴォトス人:サーベラスの周りは全て金銀財宝で彩られて眩い光沢を放っており、これすらもまだまだ序の口ということで、キヴォトスではまだ知られていない超古代文明で利用されていた地下資源がいつでも好きなだけ取り出せる状態となっていた。

 

神代から続く超古代文明が滅んだと推定される3000万年前、それ以前からも稼働し続けていた地下資源の栽培場はその主である“地獄の釜の門番”神代キヴォトス人:サーベラスですらも驚くほどの蓄えとなっており、過剰となった地下資源を放出しないと栽培場の機能がパンクする寸前であった。

 

そのため、3000万年ぶりに光と闇の最終戦争が繰り返されようとしているこの御時世において、そのために蓄えていた地下資源を無尽蔵に提供することに躊躇いはなかった。

 

しかし、これは来年の予算どころの話ではない。3000万年分の地下資源の獲得ともなったら、従来の経済に与える影響と混乱は計り知れないものがあり、各方面の予算確保に頭を悩ませている【連邦生徒会】財務室長:扇喜 アオイでさえも立ったまま気絶するほどであった。

 

だからと言って、湯水のように使いたい放題というわけにもいかない。大量生産・大量消費・大量廃棄が与える社会への影響をしっかりと考えないといけないのだから。最終的に3000万年分の地下資源の行き着く先がちゃんとあるのか;3000万年分の地下資源を受け容れられるだけのゴミ処理場が地上にあるのかという話である。

 

なので、必要な地下資源を精査して必要な分だけ提供してもらうのが一番ではあるのだが、1000万年周期で光と闇の最終戦争が繰り返される想定が外れて、その3倍もの在庫を抱えることになった光のピラミッドとしてはどんどん使ってもらいたいということで需要と供給の折り合いがつかないでいた。

 

しかも、現地視察のために光のピラミッドに入ろうとしても、資格なき者は光の迷宮を抜けることができず、各学園の首脳陣が誰一人として奥に進めなかった体たらくぶりを見て、神代キヴォトス人:サーベラスとしてはこうして光の勢力との交渉の席にすら辿り着けない者たちが指導層であるキヴォトスの現在を嘆く他なかった。

 

そのため、光のピラミッドの奥に進むことができる生徒を搔き集めようとまず各学園の指導層は考えるわけなのだが、事の重大さを考えると不用意に光のピラミッドの秘密に触れさせるべきではないと、光の奥に進むことができた数少ない一人でかつ信頼が厚いロボット職員:マウンテンガリバーが交渉の席へと送り出されたのであった。

 

そうして光のピラミッドに貯蔵されている地下資源と超古代文明での用途を確認していくことになったのだが、無限に広がるかに思われる地下世界【アビス】を神代キヴォトス人:サーベラスに案内されていたロボット職員:マウンテンガリバーは不満が抑えられない様子だったのだ。

 

 

――――――どうして!? 光を失った自分なんかじゃなく、誰もが認める地球人:北条 アキラの方が光のピラミッドの奥に進めなかった!? こんなことは絶対に有り得ない!

 

 

錠前 サオリ「……いったいどういうことなんだ、これは!? 先生が光のピラミッドの奥に進めないだなんて?!」

 

北条先生「――――――途中まではついていけたんだけどねぇ」

 

北条先生「まあ、僕が教育現場で実践しようとした“ウルトラマンの心”と、光のピラミッドを築いた者たちが考える“超古代の光”は別物なんだろうね」

 

北条先生「それこそ、地球を救ってくれたM78星雲の光の国から来たウルトラマンと、オリオン座の星雲から来たという光の巨人はまったくの別物――――――」

 

錠前 サオリ「先生が“光”でないなら、なぜ私なんかに奥に進む資格がある!?」

 

北条先生「いいかい? 光とは善の象徴のように聖書でも使われているけど、超古代文明を築き上げた光というのは比喩に過ぎないんだ。自然現象の光とは完全に同一ではないんだ」

 

北条先生「だから、無条件に信じる必要はないんだ。実際、光の勢力によって栄えた超古代文明も滅ぶべくして滅んだのだから」

 

北条先生「その教訓を胸により良い社会を築くことができれば、それでいいんだ。悔しがる必要はどこにもない」

 

北条先生「いいかい? 僕は言ったよね? ――――――『正義→勇気→愛』の順番ではないのだと」

 

北条先生「頭ごなしに正しいとされることばかりを押し付けて、目の前にいる人の苦しみをわかってあげようとしないのは不快なことだから」

 

北条先生「正しさは時と場合によって肯定されるものであって、いついかなる時でもどの立場でも通用する正義なんてものは存在しないんだ」

 

 

錠前 サオリ「――――――だから、最初に“(合い)”なのですね、先生?」

 

 

北条先生「そう。まずは自分が合わせるところから人との繋がりは始まるんだ」

 

北条先生「戦争なんてものは固い信念を持った者同士が起こすんだ。妥協を許さない正義と信念こそ、この世でもっとも戦いを好むものだ。いつだって地球は身勝手な理屈を並び立てて襲来する侵略宇宙人の魔の手に晒されてきたんだ」

 

北条先生「なんなら、『信念のために人を殺すのは、金銭のために人を殺すより下等なこと』だと言えるけどね」

 

錠前 サオリ「え!?」

 

北条先生「どうしてかと言えば、『金銭は万人に共通の価値を有するが、信念の価値は当人にしか通用しないから』だよ」

 

北条先生「まあ、これで騙されちゃいけないのは『人殺しが悪いことに変わりない』ことなんだけどね」

 

北条先生「厳密に言うと、『圧倒的多数が支持する低俗な価値観に理解を示さず、一般大衆のことを顧みない高尚な価値観に浸る独り善がりな人間はいつだって孤独に苛まれる』とも言い換えられる」

 

北条先生「だから、僕のことを偉大だと思ってくれるのはありがたいけれど、完全無欠の人間だなんては思わないでね。これでもウルトラマンの心を日々実践しなくちゃならないぐらいにウルトラマンになりきれていない未熟な身なもので」

 

北条先生「つまり、人は誰しも死ぬまで向上心を抱いて勉学や芸能に励むのが真実の姿なんだ。完成を目指して一所懸命に生きる姿が何よりも麗しいんだ」

 

錠前 サオリ「はい、先生」

 

――――――

調月 リオ「先生! ゴルザと思われる反応を光のピラミッド周辺の地下空洞で捉えました!」

――――――

 

北条先生「――――――来たか!」

 

北条先生「各員、ゴルザが光のピラミッドに再接近! 最寄りの部隊から現場に急行! 【キヴォトス防衛軍】出動!」カチッ

 

北条先生「今度は逃さないぞ! 3000万年前の超古代怪獣が何だ! 地球には1億5000万年の眠りから目覚めた古代怪獣:ゴモラがいたんだぞ!」

 

 

 

 

 

北条先生「とりあえず、地元の【ゲヘナ学園】の部隊は配置に着いたぞ」

 

飛鳥馬 トキ「呼ばれて飛び出て駆けつけました。褒めてください、先生」

 

錠前 サオリ「おお、機龍丸もしっかりと正面装甲を修復したみたいだな」

 

飛鳥馬 トキ「はい。前回の反省から早急に修理と強化を実現するべく、今回は【ミレニアム】も技術協力しています」

 

――――――

棗 イロハ「ガラモンに続いてゴルザもしてきた超音波攻撃の対策もしておきましたから、今度は大丈夫ですよ、先生」

――――――

 

ロボット職員「ゴルザが接近中なんですか!?」

 

錠前 サオリ「おお、コーイチ。ああ、すでに部隊は展開済みで後は迎え撃つだけだぞ」

 

神代キヴォトス人「……仲間を見捨てて逃げ出したような腰抜けがノコノコと戻って来るものなのか?」

 

北条先生「え?」

 

神代キヴォトス人「やつらは馬鹿だが間抜けじゃない。仲間を見捨てて逃げ出したのは生存本能と言えるが、一方で冷静に戦力差を分析した結果でもあるはずだろう」

 

ロボット職員「つまり、パワーアップして戻ってきた?」

 

神代キヴォトス人「それぐらいのことは用心しておいた方がいいぞ。いくら我が友の力を宿したとしても、足元を掬われることがないようにな」

 

――――――

調月 リオ「――――――ゴルザ、地上に姿を現しました!」

――――――

 

北条先生「よし、出現地点との距離を割り出して迎撃準備を――――――」

 

錠前 サオリ「いや、待て! 何だ、あの姿は!?」

 

ロボット職員「あれはゴルザ――――――、いや、メルバが融合されているのか!?」

 

飛鳥馬 トキ「ゴルザとメルバが合体して“ゴルバー”と言ったところでしょうか?」

 

錠前 サオリ「と、飛んだぁ!? 空を飛んだぞ!? 飛んでいったぞ、先生!?」

 

神代キヴォトス人「……完全に裏を掻かれたな、先生」

 

北条先生「――――――マッハで空を飛ぶ地底怪獣を迎撃する方法がまだない!」

 

北条先生「各員、出現したゴルザはメルバと合体して飛行能力を得た“ゴルバー”にパワーアップした模様!」カチッ

 

北条先生「マッハで空を飛ぶ地底怪獣に撃ち落とす術がない以上、予想される進路からみんな避難してくれ!」

 

――――――

調月 リオ「先生、光のピラミッド上空にゴルバーが来ます!」

――――――

 

北条先生「ちぃ!」

 

神代キヴォトス人「――――――舐められたものだなッ!」

 

神代キヴォトス人「先生、ゴルザの超音波光線はマッハで飛行しながら撃てると思うか?」

 

北条先生「……いや、額にエネルギーを集中して放つから、飛行しながらだと照準が必ずぶれる。まともに命中させることは難しいはずだ」

 

神代キヴォトス人「なら、超音波光線を命中させるつもりなら、絶対に動きが停まる!」

 

神代キヴォトス人「光のピラミッドの防御を破るには光線を浴びせ続けなければならないのだからな!」

 

神代キヴォトス人「よし、機龍丸! あ、機龍丸に乗っている赤髪の小娘の名前は何だったか――――――?」

 

ロボット職員「――――――棗 イロハさんです」

 

神代キヴォトス人「ああ、そうだ、棗 イロハ! 我が友の力を宿して対空迎撃をしろ! 我が友の雷に打たれたトラウマを思い出させてやれば追い払えるはずだ!」

 

北条先生「では、【メテオール規約】に基づき、【キヴォトス防衛軍】軍事顧問の北条 アキラがメテオールの使用を許可します!」

 

――――――

棗 イロハ「正直に言って気が乗りませんが、対空迎撃できるのがこれしかないなら、今度は躊躇はしません!」

 

棗 イロハ「メテオール発動! 超無敵鉄鋼機龍丸(ハイパーモード)に移行します!」

――――――

――――――

調月 リオ「照準の同期を開始! 予測範囲を表示しておくわ!」

――――――

――――――

棗 イロハ「助かりますよ! さすがはミレニアム製ッ! 使いやすくて涙が出てきますよ!」

――――――

 

飛鳥馬 トキ「ゴルバーです、先生! ゴルバーが光のピラミッド上空に居ます!」

 

ロボット職員「足を止めている! 地上への攻撃が始まるんだ!」

 

神代キヴォトス人「空を飛べるようになったと思った途端にこれだ! この馬鹿者めが! 間抜けではなくとも、だからお前は馬鹿なのだ!」

 

錠前 サオリ「よし! 多少の攻撃は防御しきれる!」

 

北条先生「今だ! 撃ってください、棗さん!」

 

――――――

棗 イロハ「任せてください! 照準よし! デスドラゴ・サンダー、発射してください!」

――――――

 

 

そして、再び破壊暴竜:デスドラゴの力と一体となって超無敵鉄鋼機龍丸(ハイパーモード)となった機龍丸の口から電撃光線が光のピラミッドを上空から攻撃する超古代闇怪獣:ゴルバー目掛けて稲光を放って撃ち貫いた。

 

以前に現れたゴルザと同一の個体という推定は当たりであり、合体怪獣:ゴルバーに進化しても刻まれたトラウマは振り切れず、メルバと合体して空を飛べるようになって 直ぐ様 逃走を図ったのである。

 

もちろん、マッハで空を飛べる地底怪獣であるために撃ち落とすのが困難であるため、現状の【キヴォトス防衛軍】の戦力ではゴルバーを追撃できないのが難点であるが、対空迎撃できるようになったのは大きな進歩であった。

 

しかし、喜びも束の間、追い払った超古代闇怪獣:ゴルバーはしばらく離れて対空迎撃の痛みが引くと進路を変更して、今度はサンクトゥムタワーを目指して飛んでいったのである。

 

そう、根本的な解決にはなっていないのである。追い払っただけの凶暴怪獣は何度でも牙を剥いてくるのである。

 

しかも、破壊暴竜の力と一体になるのは機龍丸に莫大な戦闘力の向上の大幅な反動がかかるからこそ、【メテオール規約】に基づいて制限をかけているわけであり、短期間に連続した怪獣の襲来には対応しきれない欠陥があったのである。

 

そのため、メテオールの冷却時間(クールタイム)が終わらないうちにサンクトゥムタワー防衛の参加したところで対空迎撃ができないのだから、怪獣の矛先を変えただけで怪獣災害の収束には向かわないのだ。

 

よって、【キヴォトス防衛軍】軍事顧問である“GUYSの先生”北条 アキラは対空迎撃できる戦力が獲得できた事実をもってして、奥の手とも言える秘密兵器の解禁を言い渡したのである。

 

 

北条先生「対空迎撃で追い払ったところで矛先を変えるだけになるなら、徹底的に空中で追い回して地上に引きずり下ろしたところを討ち取るしかない」

 

飛鳥馬 トキ「しかし、先生も仰ったようにマッハで空を飛ぶ地底怪獣を叩き落とせる戦力がないじゃないですか」

 

北条先生「いや、もう完成してはいるんだ、本当は」

 

錠前 サオリ「な、なに!?」

 

ロボット職員「それは本当ですか!? ついにアレが!?」

 

神代キヴォトス人「なら、最初から出撃させるべきだったな、先生よ?」

 

北条先生「まあ、そうなんだけれど、【キヴォトス三代学園(BIG3)】の力の均衡(パワーバランス)のことを考えると、ますます【トリニティ総合学園】がかわいそうなことになってね。ギリギリまで投入のタイミングに待ったをかけていたわけで……」

 

神代キヴォトス人「気にするでない。超古代からの使命を忘れ去った落伍者にかける情けはない。その惨めさを甘んじて受け止めて己の進歩向上に繋げられんようなら、所詮はそこまでの話だ」

 

北条先生「では、調月 リオさん」

 

飛鳥馬 トキ「…………!」

 

――――――

調月 リオ「はい、先生」

――――――

 

北条先生「事態は一刻を争います。【ミレニアムサイエンススクール】生徒会長:調月 リオさん、学園が保有する対怪獣兵器の実戦投入をお願いします」

 

北条先生「そして、機龍丸を空間トンネルで追撃できるようにお願いします」

 

――――――

調月 リオ「わかりました、先生」

 

調月 リオ「発進を急いで、ヒマリ」

 

調月 リオ「そして、待たせたわね、コーイチ」

――――――

 

ロボット職員「…………ああ、リオ」

 

錠前 サオリ「…………?」

 

――――――

明星 ヒマリ「待ちかねましたよ、先生。そして、コーイチさん」

 

明星 ヒマリ「そう、【ミレニアム】の清楚な高嶺の花であり、みなさんの憧れである“全知”の学位を持つ眉目秀麗な乙女から仕事を手伝ってもらえるなんて、先生はとびっきりの幸運の持ち主ですね」

 

明星 ヒマリ「そして、この“天才清楚系病弱美少女ハッカー”明星 ヒマリにこれから救われるキヴォトスの皆さんも!」

――――――

 

ロボット職員「…………待ってたよ、ヒマリ」

 

ロボット職員「さあ、見せてくれ! 飛び立ってくれ!」

 

ロボット職員「これが僕の16年間の集大成だ!」

 

 

――――――GUTSファルコン、発進!

 

 

多目的無人可変ドローダー:GUTSファルコンが【キヴォトス防衛軍】が次のステージに上ったのと同じくしてミレニアム自治区から大空へと飛び立つ。

 

元々は有人機として開発が進められていた戦闘機だったのだが、次世代機開発の一環として遠隔操縦機能を取り入れて試験運用したところ、そのまま遠隔操縦する無人機として運用した方が強いという結論が得られたため、開発を受け持っていた“天才清楚系病弱美少女ハッカー”明星 ヒマリの専用機として入念な調整が施されていた。

 

要するに、GUTSファルコンは実機での計器確認をするための操縦席を残したままの戦闘機ドローンの試作一号機であり、この試作機の運用実績によって より実戦的な新型が開発される予定となっていた。

 

遠隔操縦のためには通信能力と情報処理能力を徹底強化した専用席でコントローラーおよびVRゴーグルを用いるのだが、“天才清楚系病弱美少女ハッカー”明星 ヒマリの処理能力を120%引き出すために専用の操縦ブースが開発されていた。

 

この専用の操縦ブースは交戦距離に入るまでは自動操縦となり、病弱で長時間の作戦行動に絶えられない明星 ヒマリを全力で支援するための機能が多数実装されており、その中にはバキュームトイレも搭載されていたのだった。

 

そうして万全を期して発進した秘密兵器:GUTSファルコンは残念ながらマッハ5でしか飛べないのだが、度重なる超音速飛行怪獣の出現を受けて開発された増設ブースターによってマッハ7に到達しており、今回の超古代闇怪獣:ゴルバーのマッハ6を追い越すことに成功していた。

 

そのため、サンクトゥムタワー上空にゴルバーが到達する前にGUTSファルコンは会敵。無人機の特長を活かして有人機では無茶な垂直方向のマニューバからガンポッドアームによる機銃掃射で真上から奇襲を仕掛けた。

 

有翼怪獣の特徴である翼は同時に背中や翼の付け根が弱点になっているものだ。初弾は全て命中。超音速飛行中だと言うのに正確に有翼怪獣の弱点部位を射抜く驚異の命中精度と機銃の追従性を示していた。

 

しかも、初出撃のガンポッドアームに装填されていた実弾は仮想敵である有翼怪獣の羽根を切り裂くために隕石怪獣の装甲材:チルソナイトを組み込んだ徹甲弾であり、その威力は超音速飛行中も相まって超古代怪獣の頑丈な皮膚を容易く貫くものであったのだ。

 

チルソナイト徹甲弾の圧倒的な火力によって翼の付け根を撃ち抜かれたゴルバーは飛翔能力を喪失して地上へと落下。首都:D.U.郊外に墜落することになったのである。

 

しかし、これで航空機の出番は終わりかと言うと、そんなことはなかったのである。

 

 

――――――GUTSファルコン、可変高機動形態(ハイパーモード)

 

 

GUTSファルコンが四肢を展開し、地上でのホバリングおよび低空飛行で特殊状況下における多用途な対応が可能な可変高機動形態(ハイパーモード)が姿を現した。

 

このGUTSファルコン、戦闘機形態からロボット形態への変形機構をミレニアム生らしい悪ノリで盛り盛りで搭載した結果、単純な戦闘機ドローンとして完成することが遠くなり、あまりの超兵器ぶりによって表に出すことができなくなってしまった曰く付きの超高性能機体であったのだ。

 

というより、バム星人が造り出した四次元ロボ獣:メカギラスを【ミレニアムサイエンススクール】の技術者連中があまり欲しがらなかった理由がまさにこれであり、メカギラスなど無くても【ミレニアムサイエンススクール】では対怪獣兵器:GUTSファルコンの完成を待つ状態だったのだ。

 

もちろん、戦闘機ドローンである以上は怪獣との肉弾戦は圧倒的に不得手ではあるものの、戦闘機形態とロボット形態を使い分けることができる圧倒的な機動性と汎用性の高さで怪獣を翻弄することができてしまえるのだ。

 

そして、最初の怪獣:クレッセントを基準にした兵器開発が進められてきた中で、メカギラスの正面装甲を容易く切り裂ける隕石怪獣:ガラモンの装甲材であるチルソナイトを組み込んだ徹甲弾を装填したガンポッドアームの火力は並大抵の怪獣を正面から蜂の巣にする殺傷力を実現したのである。

 

このガンポッドアームも超高性能な代物であり、超音速飛行中でも固定銃座では不可能な射角を確保することができるため、有人機では不可能なマニューバも相まって変幻自在な銃撃多重奏を地上・空中を問わずに響かせるのだ。

 

もちろん、これほどまでの超高性能機を隠し持っていたことがバレれば、【万魔殿】羽沼 マコトが欲しがるに決まっているが、実際の遠隔操縦には途方もない空間認識能力が必要であることから、まともに操縦できるのが“天才清楚系病弱美少女ハッカー”明星 ヒマリしかいない金食い虫の欠陥機と言われたら引き下がる他ない。攻撃力もガンポッドアームに装填した実弾次第である。

 

しかし、それだけに可変戦闘機に求められている攻撃力と機動力が高水準に確保されているGUTSファルコンのハイスペックぶりは対怪獣兵器の最高傑作であり、機龍丸と比べて歴然としている軽快な動きは誰が見ても羨ましいものがある。

 

結果、空間トンネルを通って瞬時に駆けつけた機龍丸と変形して地上でホバリング移動するGUTSファルコンに挟まれた超古代闇怪獣:ゴルバーは再び地面に潜って逃げ出そうとした――――――。

 

 

――――――

棗 イロハ「――――――逃げようたってそうはいきませんよ!」

 

棗 イロハ「これが機龍丸(メカギラス)の空いた両手に搭載された必殺兵器:(KAIJU)クラッシャー! 発射!」

 

棗 イロハ「チルソナイト製の手銛から逃げられるだなんて思わないでよね!」

――――――

 

錠前 サオリ「よし! 逃げる怪獣の背中に手銛が刺さって動きを止めたぞ!」

 

ロボット職員「とは言え、パワーではゴルバーが上! 動きを止めるので精一杯だ!」

 

北条先生「じゃあ、調月さんが開発した新兵器の威力をご覧になりましょうか!」

 

――――――

調月 リオ「ええ!」

 

調月 リオ「人間が運べるサイズで大都市の3日分の電力を賄える超高密度バッテリー:メガアースを2つ搭載した機龍丸なら――――――!」

――――――

 

飛鳥馬 トキ「さすがはリオ会長です!」

 

神代キヴォトス人「よし! 今だ、とどめを刺してしまえ、棗 イロハ!」

 

――――――

棗 イロハ「言われなくても!」

 

棗 イロハ「炸裂しろ! メガアース・ボルト!」

――――――

 

 

バチバチバチバチ・・・ポン!

 

 

――――――ついにキヴォトスは対怪獣兵器によって念願の怪獣撃破の瞬間を迎えた。

 

 

マッハで空を飛ぶ地底怪獣という通常兵器では対処不可能な超古代闇怪獣:ゴルバーを対空迎撃して、空中戦で叩き落として、最終的に電撃兵器で破裂させることに成功したのである。

 

もちろん、隕石怪獣:ガラモンから回収できたチルソナイトあっての勝利ではあったものの、それでもウルトラマン抜きで怪獣を撃破できたのは紛れもない大戦果であり、ウルトラマンの変身者である北条 アキラも思わず仮設指揮所で隣にいた飛鳥馬 トキの手を取って踊り回るほどであった。

 

同じように、手応えを感じていたのがロボット職員:マウンテンガリバーとその弟子である調月 リオと明星 ヒマリであり、結果として【ミレニアムサイエンススクール】で開発を推し進めていたものが未来を切り開く鍵となっていたのである。

 

それが調月 リオが開発したメガアースと、明星 ヒマリが開発したGUTSファルコンであり、それらを学園単独で秘密裏に開発できていた辺り、やはり怪獣退治のためには高度な科学力が不可欠であった。

 

しかし、周りが勝利に沸き立つ中、神代から続く超古代文明の生き証人である神代キヴォトス人:サーベラスは冷静であった。まだ全てが終わったわけではないと目で語る――――――。

 

 

神代キヴォトス人「……まずはウルトラマン抜きでの怪獣退治の成功、おめでとう」

 

神代キヴォトス人「だが、以前に地底怪獣なら倒しきれる爆弾を使ったゴルザが無傷で光のピラミッドに接近できたことを忘れてはいないか?」

 

北条先生「……なに!?」

 

ロボット職員「え、何を言っているのですか? その口振りだと、普通の攻撃ではゴルザを倒すことができないみたいな――――――」

 

――――――

調月 リオ「先生! やはり、ゴルザの時と同じで、未だにマイナスエネルギーレーダーにゴルバーの反応が残り続けています!」

――――――

 

北条先生「な、なんだと!?」

 

神代キヴォトス人「――――――光と闇は互いに打ち消し合う」

 

神代キヴォトス人「だからこそ、闇を打ち払うには光の巨人の力が必要なのだ」

 

神代キヴォトス人「光の眷属はその露払いをするのが役目であって、闇を打ち倒すのは光の巨人の務め――――――」

 

 

神代キヴォトス人「さて、地球にも現れたというウルトラマン80にそれが可能なのかを見せてもらおうか」

 

 

ロボット職員「う、嘘だ!? それが本当だとしたら、ウルトラマン80じゃ、あの怪獣を――――――!?」

 

北条先生「くっ」ガタッ

 

飛鳥馬 トキ「先生! ダメです! 嫌です!」ガシッ

 

北条先生「手を放してくれないかな、飛鳥馬さん?」ググッ

 

飛鳥馬 トキ「そう言って同じ手には何度も乗りませんよ」

 

――――――

調月 リオ「トキ!」

――――――

 

飛鳥馬 トキ「結局は誰も先生の頑張りに報いることができないのなら、先生が頑張る意味なんてないじゃないですか」

 

飛鳥馬 トキ「先生を呼びつけた張本人である“連邦生徒会長”はこうして怪獣が現れることを予測しておきながら、自分だけは雲隠れして、その責任を全部押し付けているんです、先生に」

 

飛鳥馬 トキ「私は嫌です。後で“連邦生徒会長”がひょっこり戻ってきて先生のクビを切って返り咲く未来なんか、私は認めません」

 

 

飛鳥馬 トキ「――――――全部、“連邦生徒会長”の掌の上なんです!」

 

 

ロボット職員「…………トキ」

 

錠前 サオリ「…………そんなことを考えていたのか」

 

飛鳥馬 トキ「……もう行ってください、先生」パッ

 

飛鳥馬 トキ「……先生はそんな未来が待っていたとしても平気なんですか?」

 

北条先生「僕はそれでもウルトラマンの心を語るしか能がないんだ。全部が全部、受け容れられるだなんて、そんな傲慢なことは思っていないよ」

 

 

――――――僕は矢的先生(ウルトラマン80)が教えてくれた“一所懸命”に忠実なだけだから。

 

 

飛鳥馬 トキ「………………」

 

錠前 サオリ「………………」

 

ロボット職員「…………先生」

 

――――――

調月 リオ「…………トキ」

――――――

 

神代キヴォトス人「小娘が心の底からメイドであるように、先生もまた心の底からウルトラマンであったな」

 

飛鳥馬 トキ「え」ポン

 

神代キヴォトス人「小娘の憂いというのは、怪獣が現れるのを予見して怪獣退治の専門家を呼び寄せた“連邦生徒会長”とやらの業績と能力を判断した上でのその先見への疑念というわけだな」

 

神代キヴォトス人「もしも“連邦生徒会長”の思惑通りに事が進んでいると肯定すれば、こうして雲隠れしているのも計画的犯行ということになる」

 

神代キヴォトス人「そうでないとすれば、誰もが認めていた“超人”ですら匙を投げて逃げ出したという悲観的な予測しか残されない――――――」

 

神代キヴォトス人「小娘も小娘なりに先生のことを呼び寄せた“連邦生徒会長”の思惑を考えて、それでも楽観的な予測に立った時に“連邦生徒会長”の思惑に悪意を感じざるを得なかったわけだ」

 

ロボット職員「そ、そんな! “彼女”に限ってそんなわけが――――――!」

 

神代キヴォトス人「――――――何か知っているのか、その“彼女”について?」

 

ロボット職員「うっ」

 

神代キヴォトス人「……こうして怪獣を倒せるようになった以上はいつでも“連邦生徒会長”が自身の地位を取り戻して【キヴォトス防衛軍】を指揮することが可能となった」

 

神代キヴォトス人「その疑念を晴らさない限り、こうやって“連邦生徒会長”が帰ってきた時の先生の処遇を巡って水面下でキヴォトスの団結に亀裂が入っていくことになるな」

 

 

――――――つまり、失踪した“連邦生徒会長”は今や不要な存在となったわけだ。

 

 

神代キヴォトス人「それでも、先生は怪獣退治の専門家で在り続けることだろう」

 

神代キヴォトス人「だからこそ、真に求められているのは“連邦生徒会長”という一人の存在からの脱却なのだ」

 

神代キヴォトス人「怪獣頻出期に突入してしまったキヴォトスの新時代を乗り切るためにも」

 

――――――

調月 リオ「そうね。トキが抱いていた懸念ももっともなことね」

 

調月 リオ「むしろ、最初からいないものとして考えていたから、そういった懸念があることに気付けなかったわ、トキ……」

 

調月 リオ「うん。“連邦生徒会長”が戻ってきた時の【キヴォトス防衛軍】や【キヴォトス防衛学園】の指揮系統の混乱を避けるためにも、手順を踏んで指揮系統の移譲がなされるように“連邦生徒会長”の権限の凍結を【連邦生徒会】に掛け合っておくわ」

――――――

 

神代キヴォトス人「ああ。それがいい。ここまで変革を遂げたキヴォトスの現状を把握することも、信頼を回復することも一朝一夕にできることでもあるまい」

 

神代キヴォトス人「今は“GUYSの先生”の強大な権限と軍事力の源泉となる“連邦生徒会長”が混乱の元にならないようにすることだ」

 

ロボット職員「…………トキ」ギュッ

 

飛鳥馬 トキ「あ」

 

ロボット職員「ごめんね。僕はただただ怪獣頻出期に突入してしまったキヴォトスを救う真の英雄を呼び寄せて、その英雄譚を影で支えるだけでいいと思っていた……

 

ロボット職員「でも、実際にはこれだけの不安を守るべき生徒たちに与えていたことに気づかないだなんて、本当に僕は頭が回らない馬鹿だな。16年もの年月や機械の身体があっても……

 

――――――

調月 リオ「――――――“教父(せんせい)”」

――――――

 

錠前 サオリ「え」

 

飛鳥馬 トキ「もしや、あなたも“先生”なのですか?」

 

ロボット職員「

 

 

――――――その言葉の息遣いは()()()()()()()()()()に感情が溢れ出た呟きのようにこの場にいる全員に聞こえた。

 

 

ロボット職員「……ちがう! 僕なんかが“先生”であるわけがない! 僕なんかがキヴォトスを救えるはずなんてないんだ!

 

神代キヴォトス人「まあ、落ち着け。お主の話をややこしくする才能は今この場では不要だ」

 

神代キヴォトス人「今この場で必要なのは――――――?」

 

 

秤 アツコ「遠くの星から愛と勇気を教えに来たウルトラマン80が怪獣を倒してくれること。そのことを願うこと。応援すること」

 

 

錠前 サオリ「……姫」

 

秤 アツコ「私に力があるのなら、力の使い方を教えて欲しい」

 

神代キヴォトス人「よかろう。この場に“ユザレの末裔”が居合わせて、我もまた蘇ることができたのは運命なのだ」

 

 

――――――そして、その運命の輪の中心にいる“光”とはお主のことなのだぞ?

 

 

 

バッ        

 

        バッ

 

エイティ!

 

 

 

――――――

明星 ヒマリ「……イロハさん! メガアース・ボルトはあと何回使えますか!?」

――――――

――――――

棗 イロハ「あと1回だけ!」

 

棗 イロハ「そっちはいつまでガンポッドアームが撃ち続けられる!?」

――――――

――――――

明星 ヒマリ「こちらも予備の弾倉が1つだけになりました……」

――――――

――――――

棗 イロハ「まさか、倒しても倒せない怪獣だなんて……」

 

棗 イロハ「でも、ここで何とかしないと、ここまで戦ってきた意味がない……!」

――――――

――――――

明星 ヒマリ「あ、イロハさん!」

――――――

――――――

棗 イロハ「し、しまった!? ここで突進――――――!?」

――――――

 

 

タアッ!

 

 

――――――

棗 イロハ「……あ、ウルトラマン!」ホッ

――――――

――――――

明星 ヒマリ「もう遅いですよ! やっぱり、最後の最後に何とかしてくれるのが“私たちのウルトラマン”ということですね!」

――――――

 

 

超古代闇怪獣:ゴルバーは光で打ち消さない限り復活をし続けるため、2体の対怪獣兵器が何度もチルソナイト徹甲弾とメガアース・ボルトを打ち込んでゴルバーを3度は撃破しても、その度に復活を遂げるため、攻撃が限界を迎えることとなった。

 

ゴルバーにとってはどちらもチルソナイト製の武器で致命傷を与えてくるので厄介なのだが、機動力で撹乱してくるGUTSファルコンよりも手銛を打ち込んで拘束してくる機龍丸を先に倒した方が楽になるため、GUTSファルコンが弾倉を再装填した一瞬の隙に超低空飛行からの突進を機龍丸に繰り出してきたのである。

 

そう、一見すると二足歩行怪獣なので地上では動きが鈍重なのだが、マッハ6で飛翔するメルバの飛行能力を兼ね備えているため、いきなり頭突きの体勢で飛び込まれると 疲弊していたことも相まって 反応が致命的に遅れてしまったのだ。

 

しかし、超低空飛行からの体当たりを真上から押し潰したのが我らのヒーロー:ウルトラマン80であり、弱点である背中にウルトラレイランスを貫いたことでゴルバーは致命傷を負ってしまうのだった。

 

それでも、見る見るうちに周辺から闇が集まって傷を修復すると、背中を押さえつけていたウルトラマン80を跳ね除けて起き上がり、目の前に迫っていた機龍丸へと襲いかかろうとする。

 

すかさずウルトラマンがゴルバーの尻尾を掴み上げると、そのまま尻尾からの背負投(ウルトラスウィング)でゴルバーを機龍丸から引き離したのだった。

 

やはり、ウルトラマン80は強い。それはこれまでの戦いぶりを見てきた人たちも、こうして対怪獣兵器を操縦している人たちも満場一致の見解であった。

 

そして、今――――――!

 

 

秤 アツコ「うぅ……」

 

錠前 サオリ「……アツコ」

 

飛鳥馬 トキ「…………先生」

 

神代キヴォトス人「――――――いいぞ! 来たぞ、お主! 懐かしい“光”を感じないか!」

 

秤 アツコ「……こ、コーイチ!」ググ・・・ ――――――右手から右手へと渡された光の粒が形を作っていく!

 

ロボット職員「こ、これは――――――」ゴクッ ――――――その中で形となって握られたものこそが!

 

ロボット職員「光よ!」バッ

 

 

――――――天に突き上げたスパークレンスが“光”となって彼方へと飛び去っていくのだった!

 

 

秤 アツコ「あの光は!」

 

神代キヴォトス人「うん、よくやってくれた。これで“光”がウルトラマン80にも宿る――――――」

 

ロボット職員「あ、れ……」

 

ロボット職員「」ガクン・・・

 

秤 アツコ「こ、コーイチ!?」

 

錠前 サオリ「ど、どうしたんだ! コーイチ! コーイチ!?」

 

飛鳥馬 トキ「……ロボット族が強制停止に追い込まれた!?」

 

神代キヴォトス人「何が起きたと言うのだ!? 現代のロボット族というのは意識不明になるものなのか!? ロボットなら、どうやったら再起動するのだ!?」

 

神代キヴォトス人「おい、お主、しっかりしろ! 見届ける義務があるのだぞ!?」

 

秤 アツコ「ねえ! 起きてよ! 目を開けてよ!」

 

秤 アツコ「コーイチ! ねえ、コーイチ! コーイチ!」

 

ロボット職員「」

 

 

 

 

 

――――――

棗 イロハ「え、何? あの光――――――?」

――――――

――――――

明星 ヒマリ「見てください! ウルトラマンのカラータイマーに入っていきましたよ!」

――――――

――――――

棗 イロハ「これからいったい何が起こるの?」

――――――

 

 

 

守月 スズミ?(アストラル体)「ウルトラマンの力が宿ったブレスレットを使いなさい」

 

 

 

Come on!

 

Tiga-let!

 

Connect on!

 

 

 

守月 スズミに擬態した謎の宇宙人から貰い受けたタイガスパークに自分の中に飛び込んできた“光”がブレスレットとなって2つの力が合わさる時、

 

そこから放たれるは、両腕を前に突き出して交差させ、左足を引きながら大きく斜めに広げて光の弧を描いた後*1、後ろに下げた左足を大きく一歩踏み出す 新たなる必殺光線!

 

光と闇は互いに打ち消し合うが故に、より強大なる光の力で闇を照らして悪を討つ波動と成す!

 

 

 

その名も サクシウム ゼペリオン光線!

 

 

 

ウルトラマン80のサクシウム光線に北条 アキラの知らないウルトラマンのゼペリオン光線を威力と性質を上乗せした 単独にして合体光線である 新たなる必殺光線はゴルザとメルバの合体怪獣の胴体を大きく撃ち貫き、マイナスエネルギーレーダーから超古代闇怪獣:ゴルバーの反応を完全に消失させたのだった。

 

実は、3000万年前の超古代文明を滅ぼした闇の眷属たる闇怪獣に対抗するためには対となる光の勢力が宿す“光”が必要不可欠であったが、地球人:北条 アキラは闇怪獣:メルバを自力で復活させることを封じる程度の“ウルトラマンの心”を元々持っていたため、

 

結果として、中途半端に撃破されたメルバの残滓を逃走していたゴルザが吸収して合体怪獣:ゴルバーが誕生してしまった一方で、“超古代の光”と“ウルトラマンの心”が合わさった超絶威力の合体光線が放たれることにもなったのである。

 

キヴォトス人なら唯一無二の赤と銀の巨人:ウルトラマン80のサクシウム光線を浴びて怪獣が爆散する光景はすでに見慣れたものとなっているだろうが、

 

今度のサクシウム ゼペリオン光線の場合は、光線を浴びて怪獣が爆散する以前に光線を受けた箇所が完全に消し飛んでおり、それだけで光線の威力が段違いに上がっていることが視覚的にもはっきりと表れていた。

 

そのため、神代から続く超古代文明の生き証人である神代キヴォトス人:サーベラスですら、地球人:北条 アキラの本質を見誤っていたことになり、その正体は自分たちと同じ“光”そのものへの進化の過程にある存在なのだと ようやく気づくことになったのだった。

 

 

――――――その道標となったものが地球人:北条 アキラが信じ続けてきた“ウルトラマンの心”なのである。

 

 

 

 

 

北条先生「……怪獣:ゴルバーの撃破を確認。マイナスエネルギーレーダーからも反応が消失したことで作戦完了とみなします」

 

飛鳥馬 トキ「おかえりなさい、先生」

 

錠前 サオリ「先生!」

 

秤 アツコ「先生! コーイチが、コーイチが……!」

 

神代キヴォトス人「すまぬ、先生。これは我の罪だ。我が彼の者の“光”をウルトラマン80に分け与えるようにしたことが招いてしまったのだ……」

 

北条先生「え?」

 

 

ロボット職員「――――――『先生』?」ピクッ

 

ロボット職員「ああ、あなたも“先生”なんですか? 奇遇ですね!」

 

ロボット職員「僕も“連邦生徒会長”に喚ばれてキヴォトスに来ていたみたいなんですよ」

 

 

北条先生「……え?」

 

北条先生「あ、あなたは、マウンテンガリバーさん、ですよね?」

 

ロボット職員「え、『マウンテンガリバー』と言いましたか、今!?」

 

ロボット職員「もしかして、あなたも地球人なんですか? あ、いや、火星とか月の可能性もあるか!」

 

 

ロボット職員「――――――あれ? その胸についているのは【GUYS(ガイズ)】? 【GUTS(ガッツ)】じゃなくて【CREW GUYS(クルー・ガイズ)】?」

 

 

秤 アツコ「え」

 

錠前 サオリ「な、なあ? さっきから何を言っているんだ、コーイチは?」

 

ロボット職員「……え、どうしたんだい、アツコもサオリも?」

 

飛鳥馬 トキ「もしかして、本当にあなたは“先生”だったんですか?」

 

ロボット職員「おいおい、トキ? 僕のことを疑っているのかい? 何か質の悪いイタズラかな?」

 

 

――――――ちゃんとよく見て。僕は正真正銘の“シャーレの先生”だよ。

 

 

こうして未来を築く希望の光は次代へと受け継がれてしまったのであった。

 

それと引き換えに多くのものを、かけがえのないものを同時に失って。

 

そして、これからも失われた(未来)を求めて、失っていく運命を彼の者は背負い続けていた。

 

 

*1
半身の姿勢をとりながら、サクシウム光線を放つ前の右腕を横に、左腕を斜め上に伸ばす姿勢をとっている。




-Document GUYS feat.LXXX No.09-

超古代闇怪獣:ゴルバー 登場作品『ウルトラマントリガー』第1話『光を繋ぐもの』登場
その姿は名前の通り『ウルトラマンティガ』で最初の怪獣:ゴルザとメルバを掛け合わせたかのようなものになっている。
ゴルザをベースにしつつも頭部の角がメルバの頭部と同じ形になり、両肩からその翼が生えており、腹部はメルバと同じ模様になっている。
頭部のメルバの眼にも視覚があるらしく、ゴルザの頭の目と合わせて4つ目の持ち主。

メルバの目から放つメルバニックキャノンや、額がメルバになった都合上で口から放つようになった黄色い超音波光線が戦力。
また、有翼怪獣として翼を展開して高速で飛行が可能でかつ、地底怪獣として地中を潜ることが可能であり、両者の特性を併せ持つ汎用性の高さを持つ。
知能も高いようで、火星の遺跡を襲撃した時に防衛隔壁が展開された際は、壁が存在しない地中に潜って内側に侵入するという機転を見せている。


出典では、自分を封印したウルトラマントリガーへの復讐を目論むカルミラの手で火星に召喚される。
トリガーの石像が眠る遺跡を破壊しようと進撃を始め、シズマ財団の防壁を地中に潜ることで掻い潜り、
更には迎撃システムもメルバニックキャノンで容易に破壊して進攻を続けるが、ミツクニのGUTSスパークレンスから放たれたゴモラ超振動波を喰らって怯むと、一度地中に潜って撤退した。

程なくして復活すると、カルミラの命令で活動を再開。
防衛機能を失い、人員も傷を負っているのを良いことに遺跡を破壊しようと迫るが、その遺跡の中でケンゴと融合して復活したトリガーと対峙。
自身のパワーと飛行能力を活かして素早い相手にもほぼ互角の戦いを展開する中、そこへカルミラも参戦。
2対1の数の暴力でトリガーを苦しめるが、ピンチに陥ったケンゴの脳裏にサークルアームズのビジョンが走り、それが実体を取り戻したことで形勢が逆転。
大技のゼペリオンソードフィニッシュを喰らって体力を大きく消耗し、戦闘不能状態に陥る。
それでも、窮地に立ったカルミラのフィンガースナップで強制的に立ち上がらされると、ゼペリオン光線を受け止める盾にされ、そのまま直撃を受けて爆散した。






本作では前日に撃破されたメルバの力を敵前逃亡したゴルザが吸収したことで爆誕し、地中から空中へとサンクトゥムタワーを目指してマッハ6で移動する驚異の移動力を発揮した。
しかし、隕石怪獣:ガラモンから得られたチルソナイトで強化された機龍丸と初出撃のGUTSファルコンの猛攻に圧倒されることになり、人類初のウルトラマン抜きで撃破された怪獣として記録されることになる。
一方で、闇怪獣としての特性によって、対となる“光”によって倒さないと復活し続けるため、結果としてはウルトラマンの力を借りないと倒しきれなかったという意味では紛れもない強敵であった。
それでも、ウルトラマンが駆けつけるまでに3度は撃破されているため、ベースとなるゴルザが仲間を見捨てて逃げ出した臆病者であったことも相まって、その頃にはすっかり戦意喪失で死物狂いで逃げ果せようと足掻くだけで、せっかく合体怪獣になってパワーアップした強みを活かし切ることができずに終わってしまった。
最後はタイガスパークで発動したサクシウム ゼペリオン光線で胴体部を撃ち貫かれた末に跡形もなく消滅している。

実は、闇を打ち払う光であれば完全に倒せるため、光の眷属:デスドラゴと一体化した超無敵鉄鋼機龍丸(ハイパーモード)でなら、この闇怪獣にとどめを刺すことができていた。
しかし、闇を打ち倒すのは光の巨人が主役であるという考えから“光”の受け渡しがされたのだが、それによってもたらされた結果と功罪は決して小さなものに留まらず、大きな波紋を呼ぶことになってしまったのである。
果たして、彼の者が隠していた想いが明らかになるのと、変えようとしていた未来の記憶が失われたことは釣り合いがとれているのだろうか――――――。

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