Blue Archive -Document GUYS feat.LXXX-   作:LN58

25 / 50
EP13 平和を守る力の光と闇を見つめて -後編-

 

――――――ホットライン通話(生徒会長/副会長限定)

 

北条先生「こんばんは、小鳥遊さん。どういったご要件ですか?」

 

小鳥遊 ホシノ「その、もうサーベラス様から報告がいっていると思うんだけど、アビドス砂漠の砂が――――――」

 

北条先生「その件ですか。すでに報告書が届いています。原理は不明ですが、アビドス砂漠に眠る秘密を探ろうとしている者に対して罰を与える性質を持っているみたいですね」

 

北条先生「――――――まるで()()()()()()()だ」

 

北条先生「だから、アビドス遠征を実施した途端にこれまで怪獣災害がなかった【アビドス】に怪獣が現れるようになったと考えると、【アビドス生徒会】小鳥遊さんには申し訳ないことをしたと思っています。キヴォトス中の生徒を総動員しての人海戦術をとった僕への()()()()()()()が宇宙大怪獣:アストロモンスの群れともなると本当に申し訳ないです」

 

北条先生「あまりにも非科学的で公表できる内容ではありませんので、謝罪は非公式の場で行わせていただきますが、実質的な賠償金となる経済援助を約束します」

 

小鳥遊 ホシノ「ううん! たしかにアビドス遠征がきっかけで【アビドス】で怪獣災害が起こってあんなことになったのはそうなのかもしれないけれど、私だって半信半疑だよ!」

 

小鳥遊 ホシノ「でも、先生が【カイザーコーポレーション】に奪われた土地の一部を取り戻してきてくれたおかげで、私たち【アビドス高等学校】は再出発を果たすことができたんだよ!?」

 

小鳥遊 ホシノ「それに先生が顧問をしている【シャーレ】や【キヴォトス防衛軍】のみんなには本当に助けられてきたから、先生には感謝の言葉しかないよ! こんなことで先生のことを恨んでなんかない!」

 

 

小鳥遊 ホシノ「だから、先生……、あの、私、聞いて欲しいことがあるんだ……」

 

 

北条先生「はい、何でしょうか? この通話内容は録音はしていますが、盗聴の恐れはありません。遠慮なく聴かせてください」

 

小鳥遊 ホシノ「あ、あのね、先生。私たちってさ、アビドス砂漠の砂をずっと浴びてきたからなのかもしれないんだけど……」

 

北条先生「ええ、報告書には『この地は何かを隠そうとしている者の力となり、そこから何かを探し出そうとしている者の敵となる性質を持っている』とあり、ウソかホントか、それで【アビドス対策委員会】がこれまで【カイザーコーポレーション】にアビドス自治区の土地の所有権のほとんどを奪われていたことにまったく気付けなかったみたいですね」

 

北条先生「まあ、同じように【カイザーコーポレーション】もそうまでして自分たちがアビドス砂漠で探し出しているものを未だに見つけられず、怪獣無法地帯と化した場所から離れられなくなっているみたいですが」

 

北条先生「まさしく、敵でも味方でもない自然の摂理を相手にしているみたいですよ」

 

小鳥遊 ホシノ「うん。そうなんだ。そう思うと、これまでずっと一緒にやってきた【アビドス対策委員会】のみんなも知らなかったことがいっぱいあって……」

 

小鳥遊 ホシノ「もちろん、みんな、悪気があって隠していたわけじゃないんだよ? でも、アビドス砂漠の砂の性質を聞いて思い当たることがいっぱいあって……!」

 

北条先生「………………」

 

小鳥遊 ホシノ「たとえば、セリカちゃんは『柴関ラーメン』でバイトをしていたことをみんなに内緒にしていたんだ。これ自体はみんなのために自分にできることを考えたセリカちゃんらしい秘密で微笑ましかったんだけどさ……」

 

小鳥遊 ホシノ「アヤネちゃんもね、普段は真面目で優等生なんだけど、プライベートでは意外とズボラで休日は布団にくるまって惰眠を貪っているんだよね。それだったらおじさんと一緒にお昼寝したっていいのに。寝起きも悪いみたいだし、セリカちゃんにいつも起こしに来てもらっているみたいなんだ」

 

北条先生「そうなんですか」フフッ

 

小鳥遊 ホシノ「あ、今のはここだけの内緒話だからね、先生」

 

北条先生「はい、みんなには内緒です」

 

小鳥遊 ホシノ「うん」

 

小鳥遊 ホシノ「でさ、まだこれぐらいは誰にだって内緒にしたいことだから、秘密って言うには大袈裟かもしれないんだけどね――――――」

 

小鳥遊 ホシノ「ノノミちゃんってさ、実は【アビドス】発祥の大企業【セイント・ネフティス】の経営者一族の出身なんだよね。だから、ゴールドカードでいつも買い出ししてくれていたんだよね」

 

小鳥遊 ホシノ「まあ、それは知っているよね。先生がアビドス遠征に来るまでに向こうの重役がノノミちゃんを連れ戻そうとしてきたし、それを黙らせたのが先生だから」

 

北条先生「ええ。向こうのお偉いさんが涙混じりに懇願してきましたよ。【アビドス】が抱えている借金問題は【セイント・ネフティス】が今度こそ解決してみせると。“シャーレの先生”が出てきたら永遠に名誉挽回の機会が訪れなくなると」

 

北条先生「あれは、コネのある【ハイランダー鉄道学園】に進学すれば次期生徒会長も約束されていた御令嬢に愛想を尽かされた親の焦りなんでしょうねぇ」

 

小鳥遊 ホシノ「本当だよ。ノノミちゃん、私がずっと一人で【アビドス】を守るために戦い続けていた噂を聞いて入学を決心してくれたぐらいだから、本当は実家が運営している【セイント・ネフティス】のことを誇りに思っていたからこそ、【アビドス】を裏切って繁盛し続けている現状に後ろめたさを感じていたってわけなんだろうねぇ……」

 

北条先生「だとすると、もしかしたら十六夜さんとは別の形でお会いしていたかもしれませんよ。【ハイランダー鉄道学園】のことをさんざん扱き使ってますからね、僕は」

 

小鳥遊 ホシノ「うへ~、それはちょっと見てみたいかも」アハハ・・・

 

小鳥遊 ホシノ「そっか。そういう未来があったのかもしれないんだねぇ」

 

小鳥遊 ホシノ「そうしたら、ノノミちゃんはもっと早くに先生に会えて【キヴォトス防衛軍】で活躍していたんだろうねぇ……」

 

小鳥遊 ホシノ「だから、本当にノノミちゃんは良い子だよ。私なんかには本当にもったいないぐらいの自慢の後輩だよ」

 

北条先生「けれども、砂漠化を解決できずに【アビドス高等学校】を見捨てて命脈を保ったおかげで【セイント・ネフティス】が借金を肩代わりできると主張してきましたが、それは債権が【セイント・ネフティス】に渡るだけであって【カイザーコーポレーション】に支配されるのと何がちがうんでしょうね?」

 

小鳥遊 ホシノ「うん、先生の言う通り、全然ちがわない。最初にノノミちゃんが借金返済のためにそれをやろうとしたけど、それをしたら今後【アビドス】は一生【ネフティス】の支配下に置かれてしまうことが確定するだけだから」

 

北条先生「しかも、借金問題をどうにかしたところで借金の原因である砂漠化を解決する手段はないときた。これはもう、歴史が繰り返されて 再び【セイント・ネフティス】に裏切られて【アビドス高等学校】が売りに出されるのは目に見えてましたよ」

 

北条先生「だから、最終的に【カイザーコーポレーション】が再び債権を握ることになるシナリオとは別のものを提示できるかを【セイント・ネフティス】のお偉いさんに訊いたわけですよ」

 

小鳥遊 ホシノ「うん。無理だね。無理だったね、実際」

 

 

――――――先生が砂漠の砂をコンクリートにする解決策を提示しちゃったからには。

 

 

小鳥遊 ホシノ「あれ、本当にびっくりしたよ! 公開授業の生配信で先生が私たち【アビドス対策委員会】に向けてのサプライズプレゼントだってお披露目したものがアビドス砂漠の砂でできたコンクリート(私たちがずっと探し続けていた答え)だったんだもん!」

 

小鳥遊 ホシノ「それでノノミちゃん、美化活動と称した砂集めを 人一倍 頑張っていたし、すっかり先生の大ファンになってサオリちゃんやアツコちゃんに先生の写真を譲ってもらおうと必死になってたもんね」

 

小鳥遊 ホシノ「あと、実家からの連絡に対して『あかんべー』なんてしてたっけ」

 

北条先生「おやおや、ちょうど【セイント・ネフティス】からパーティーの招待状が届いていますが、これは行くのが怖いですねぇ。――――――いえ、冗談です」

 

 

小鳥遊 ホシノ「だから、本当にありがとう、先生。先生のおかげで私たちは救われたよ。本当にありがとう……」

 

 

小鳥遊 ホシノ「ユメ先輩がいなくなってからも あきらめないで頑張ってきて 本当に良かった……」

 

北条先生「そうですか。それは良かったです」

 

小鳥遊 ホシノ「で、でね。最後にシロコちゃんなんだけど……」

 

 

――――――シロコちゃん、自分の名前以外は何も覚えてなくて、私が【アビドス】に引き取った子なんだよね。

 

 

北条先生「……なるほど」

 

小鳥遊 ホシノ「つまり、法的には私が記憶喪失の子を無理やり【アビドス】の生徒にしたってわけだからさ、私って実は先生が思っているような良い子じゃなくて、とんでもない悪なんだよね……」

 

北条先生「そうでしょうか? 【アビドス生徒会】の決定で実施された人道的支援じゃないんですか、それは?」

 

小鳥遊 ホシノ「え」

 

北条先生「別に気に病む必要はないですよ。記憶が戻って元の場所に帰りたいなら笑顔で送り出せばいいのであって、それまでは本人の意志を尊重して居場所を提供してあげればいいんですよ」

 

北条先生「それで何か不都合なことがあるんですか? 捜索願が出されているかを確認したのですか?」

 

小鳥遊 ホシノ「ううん! ちゃんと探してみたよ、シロコちゃんの身元! でも、見つからなかった!」

 

北条先生「なら、僕としては小鳥遊さんが砂狼さんを保護して衣食住を与え続けたことは立派な行いだと称賛しますよ」

 

小鳥遊 ホシノ「…………え」

 

小鳥遊 ホシノ「……え、あの、何かの聞き間違いじゃないよね?」

 

北条先生「もう一度 言いますよ。小鳥遊さん、あなたは人道的支援として立派な行いをしました。公的な場で表彰する内容ではありませんが、感謝状ぐらいは送られて然るべき功績だと僕は思いますよ」

 

小鳥遊 ホシノ「せ、先生ぇ……」

 

 

北条先生「でも、本題はそこじゃないのでしょう?」

 

 

小鳥遊 ホシノ「あ、うん。ごめんね、先生。話が脱線して……」

 

北条先生「いえいえ」

 

小鳥遊 ホシノ「……ああ、そっか。本職が小学校の先生なんだもん。わかって当然か」

 

小鳥遊 ホシノ「うへ~、それで、先生だったら、もうわかっていると思うけど――――――、」

 

小鳥遊 ホシノ「アビドス砂漠の砂が忘却の性質を持っているとすると、シロコちゃんが記憶喪失になっているのは『誰かにとって思い出されると不都合な真実が隠されているからなんじゃないか?』って思ったんだ」

 

小鳥遊 ホシノ「――――――そういう可能性ってあるのかな、先生? だって、服もボロボロだったし、一人であんなところに放置されて何日も無事でいられるなんてありえないことだし!」

 

北条先生「……忘却の砂による影響を受けたと言えるものがやんわりとしかないので断言はできませんが、未調査領域100%のアビドス砂漠のハザードマップを完成させようとアビドス遠征を始めた途端に怪獣無法地帯になったことを踏まえると、」

 

北条先生「忘却の砂に晒され続けて記憶喪失になる可能性は僕としては十分にあるように思いますね。怪獣の存在そのものが人知を超越した“何か”ですから、その“何か”を出現させるだけの魔力をあの砂漠は持っているようです」

 

小鳥遊 ホシノ「そうだよね! だから――――――」

 

 

北条先生「だから、【アビドス生徒会】生徒会長:梔子 ユメさんとの思い出の品を探し出して欲しいのですか、僕に?」

 

 

小鳥遊 ホシノ「――――――ッ!」

 

小鳥遊 ホシノ「う、うへー! さ、さっすがは“シャーレの先生”だね! 全部お見通しってわけなんだね~!」

 

北条先生「………………」

 

小鳥遊 ホシノ「……あ、あれれ? 先生、何か言ってよ?」

 

北条先生「――――――それ以上は何も聞かない方がいいですね」

 

小鳥遊 ホシノ「え」

 

北条先生「忘却の砂漠の性質を考えると、()()()()()()()()()()()()なんです。探そうとした時点で隠したい者に味方するのが忘却の砂漠のようですから」

 

北条先生「ですので、何か気になるものを砂漠で見つけたら拾っておきますので、期待はしないでくださいね」

 

小鳥遊 ホシノ「あ、はい…………」

 

 

 

――――――アビドス砂漠の砂を詰めた砂時計が時を刻む。

 

 

 

小鳥遊 ホシノ「うへ~、さすがは“シャーレの先生”だよね。私がみんなに隠していることがユメ先輩のことだってバレてた……」アハハ・・・

 

小鳥遊 ホシノ「まあ、普通に考えたらユメ先輩はとっくの昔に卒業しているはずだから、私が未だに【アビドス生徒会】副会長なのに先生が何も思わないわけないか……」

 

小鳥遊 ホシノ「でも、まいったね、これは。今までずっと探し続けていたのに見つからなかった理由がこんなことだったなんて……」

 

小鳥遊 ホシノ「ホント、ユメ先輩、先輩はどうしてあんなことに――――――」

 

小鳥遊 ホシノ「ねえ、ずっと探しても見つからなかったってことは、ユメ先輩も隠しておきたい秘密があったってことだよね?」

 

小鳥遊 ホシノ「うへ~、本当にどこにあるのかな、ユメ先輩の手帳…………」

 

 

――――――怖い。怖い。怖い。

 

――――――本当は見たくない。見つかって欲しくない。

 

――――――けど、確かめたい。そこに何が書かれているのかを。

 

 

――――――ユメ先輩が本当は何を思っていたのかを私は知りたい。

 

 

―――

――――――

―――――――――

――――――――――――

 

 

――――――ホシノ!

 

 

――――――ホシノ!

 

 

――――――ホシノ!

 

 

神代キヴォトス人「ホシノ!」

 

小鳥遊 ホシノ「ハッ」

 

神代キヴォトス人「目覚めたか。着いたぞ」

 

小鳥遊 ホシノ「え?」

 

宮藤 セルマ「……何だ、ここ? 外はいったいどうなっているんだ?」

 

鬼怒川 カスミ「……う~ん。謎の発光現象に遭遇して目の前が何も見えなくなって、それからどうなった?」

 

 

スタスタスタ・・・

 

 

小鳥遊 ホシノ「うへ~~~~~~~~~~!? 何、ここ!? こんな場所が【アビドス】に存在していたの!?」

 

宮藤 セルマ「こ、ここは本当に地下なのか!? 見るからに地下宮殿みたいな場所に居るぞ!? しかも、高層ビルと同じぐらいの天井だぞ!? 何もかもがデカすぎる!?」

 

鬼怒川 カスミ「ふむ。地上から地下へとドリルで掘り進んでいたはずなのに、天井を突き破って落ちてきたわけでもなさそうだな……」

 

神代キヴォトス人「やはり、この建築様式からして我々の同胞たる光の勢力が築き上げたもので間違いないな」

 

神代キヴォトス人「だが、砂漠化の原因となっている場所ではないな、さすがに」

 

神代キヴォトス人「よし、この遺跡の中枢を目指すぞ。そこにある端末からアビドス砂漠に散らばっている遺跡の位置情報を手に入れることができれば、成果は上々と言える」

 

神代キヴォトス人「――――――状況はわかったな?」

 

神代キヴォトス人「セルマ、ミレニアム製の大型空間スキャナーをGUTSディグの上に設置しろ」

 

宮藤 セルマ「……わかった。こんなところで立往生なんてしていられないからな」

 

神代キヴォトス人「素直に『手伝ってくれ』と頼まんか、阿呆め。一人で大型空間スキャナーを置けるわけがないだろう」

 

宮藤 セルマ「うっ」

 

神代キヴォトス人「ほら、手伝ってやれ、カスミ、ホシノ」

 

小鳥遊 ホシノ「う、うん」

 

鬼怒川 カスミ「やれやれ、私の専門は温泉開発なんだが、人使いが荒い……」

 

 

私たちは【キヴォトス防衛軍】が開発した最新鋭の地中探査機:GUTSディグでサーベラス様がここだと示した地点から砂漠の中を真下に掘り進んでいった時、正体不明の発光現象に遭遇していた。

 

そして、気づくと何もかもが巨大な地下宮殿に居て、そこはウルトラマンや怪獣が立っても天井に頭がつくことがないほどの高さとウルトラマンと怪獣が取っ組み合いをしても余裕の広さを持っていた。

 

ここが 私が今まで聞いたこともない 3000万年以上 昔のキヴォトスに築かれていた超古代文明の遺跡の1つなのだと、その研究における権威みたいな超絶美人の犬の獣人:サーベラス様が断言していた。

 

けれども、砂漠化の原因となるものはここにはないらしく、ならばせめて他の遺跡の位置情報だけでも持ち帰ろうと遺跡の中枢を目指して大型空間スキャナーでマッピングしながらGUTSディグを走らせることになった。

 

アビドス砂漠に存在していた巨大な地下宮殿はあまりにも大きいので私たち人間のサイズだと床面がだだっ広くて閑散とし過ぎていて、いつ頃 方向転換したのかを忘れるぐらい、GUTSディグがひたすら真っすぐに走り続けていて、乗っている私たちの距離感を狂わせるほどだった。

 

もちろん、だだっ広いだけで 3000万年以上 昔からあるらしい遺跡に今こうして存在しているのは私たちだけ。GUTSディグの走行音と振動だけがあって、それもすぐに巨大な空間の闇に吸い込まれて虚しく消えていく。

 

なので、サーベラス様以外の誰もがおそらく数時間以上の単調な運転に飽き飽きすることになり、ほとんど直進するだけなので途中で代わる代わる交代することになって、生まれて初めて【キヴォトス防衛軍】のライドメカのハンドルを握ることになった。ちょっとだけワクワクした。

 

すると、ずっと瞑想を続けて運転を代わってくれないどころか、何かと説教をしてくるために私たち3人からもういないものとして扱われていたサーベラス様が苦虫を噛み潰したような表情を浮かべて唸ったのだ。

 

 

神代キヴォトス人「――――――ハズレだ」

 

宮藤 セルマ「は」

 

神代キヴォトス人「今、調べ終わった。ここにあるのは我々の同胞の遺産ではない。光と闇の最終戦争を生き延びた人類の子孫を守護していた外来の神を迎えて祀っていたようだ」

 

小鳥遊 ホシノ「うへ~、『調べ終わった』って言ったけど、まだ 全然 サーベラス様が目指すように言った中枢に辿り着いていないんだけど?」

 

神代キヴォトス人「は? 我がいつ『辿り着け』と言った? 我は『中枢を目指せ』と言ったのだぞ?」

 

小鳥遊 ホシノ「はあ?」

 

宮藤 セルマ「何を言っているんだ、こいつは? 3000万年前の超古代文明だとかに現を抜かして呆けたか?」

 

鬼怒川 カスミ「もしや、私たちが『中枢を目指している』ことが重要だったと言うのかい、その物言いだと?」

 

神代キヴォトス人「わかっているではないか、カスミよ」

 

神代キヴォトス人「そう。この空間自体が秘密保管庫なのだから、それを管理している光ネットワークにアクセスして保管品の記録や目的となる他の遺跡の位置情報をずっと探し続けていたのだぞ」

 

神代キヴォトス人「それをお前たちは我一人にやらせて楽をしようとしていたから、そのためにお前たちにも手伝ってもらったぞ」

 

宮藤 セルマ「――――――『楽をしていたから手伝わせていた』だと!?」

 

神代キヴォトス人「……何を呆けた顔をしている?」

 

神代キヴォトス人「お前たち、あれが欲しいと思ったら頭の中にそれを思い浮かべるだろう? その思念を強めることで光ネットワークの検索速度を割増していたのだから、それぐらいはできるだろう?」

 

鬼怒川 カスミ「やはり、ずっと瞑想し続けていたのは、光ネットワークという非現実世界に存在する電脳世界にダイブしていたってことだったか……」

 

小鳥遊 ホシノ「いや、まあ、瞑想って何なのかを考えてみると、そういうものなんだって納得だけど……」

 

宮藤 セルマ「いや、納得がいかない。物凄く……」

 

鬼怒川 カスミ「で? 結局、無駄骨だったということかい?」

 

神代キヴォトス人「いや、せっかくだから、お前たちキヴォトス人の先祖かも知れない者たちが祀った神とやらを拝みに行くぞ」

 

鬼怒川 カスミ「また何時間も延々と走らせるつもりじゃないだろうね? いいかげん こっちは飽き飽きしているんだが?」

 

神代キヴォトス人「いや、アクセスし終わったから一瞬だ」

 

神代キヴォトス人「ほら――――――」

 

小鳥遊 ホシノ「うっ!」

 

宮藤 セルマ「こ、この光は――――――!?」

 

鬼怒川 カスミ「掘り始めた時に遭遇した――――――」

 

 

神代キヴォトス人「ほれ、目を開けて外を見てみろ」

 

 

小鳥遊 ホシノ「こ、ここは――――――?」

 

宮藤 セルマ「見ろ! さっきまでと全然ちがう場所にいるぞ!?」

 

鬼怒川 カスミ「おお! あそこに見えるのがさっき話にあった“神”というやつか!?」

 

神代キヴォトス人「どうやら惑星守護神として光と闇の最終戦争を生き延びた人類を怪獣災害から守り続けていたそうだ」

 

 

――――――その名も惑星守護神:ギガデロス!

 

 

宮藤 セルマ「…………『惑星守護神:ギガデロス』だと?」ギリッ

 

鬼怒川 カスミ「おお! 見るからに強そうではないか! これが【ゲヘナ】の光のピラミッドと同じく石像化している怪獣なら、サーベラスくん、何とかならないかね?」

 

神代キヴォトス人「確認してみよう」

 

小鳥遊 ホシノ「え、それってどういう――――――」

 

神代キヴォトス人「ああ、使えそうなら、この怪獣を我の新しい身体として貰い受けようと思ってな」

 

宮藤 セルマ「なんだと!?」

 

小鳥遊 ホシノ「え、あの怪獣の石像を使えるようにするってこと?」

 

神代キヴォトス人「まあ、我もこの時代に覚醒(めざ)めてから初めてのことだから、上手くいくかはわからぬが、我ら光の勢力がこの惑星を去った後に“惑星守護神”と称えられるだけの偉業を成し遂げたのだ。また人々の役に立つために復活できるのなら本望であろう」

 

神代キヴォトス人「――――――よし、我らが光の勢力の領域に悠久の刻を眠り続けていただけによく馴染んでいるぞ」

 

宮藤 セルマ「――――――!」ドクン!

 

 

宮藤 セルマ「や、止めろおおおおおおおおおお!」ジャキ! ――――――大型拳銃を引き抜く!

 

 

鬼怒川 カスミ「おおっと」

 

小鳥遊 ホシノ「また、お前――――――!」バッ ――――――素早く取り押さえる!

 

宮藤 セルマ「ぐあっ!」ドサッ

 

小鳥遊 ホシノ「本当にいいかげんにしてよね!」ググググ!

 

宮藤 セルマ「た、頼む、サーベラス様! 怪獣を! 怪獣を争いの道具にしないでくれ! 怪獣にだって意思があるはずだ!」

 

鬼怒川 カスミ「ハーッハッハッハ! こいつは驚いたね! まさか、【キヴォトス防衛軍】に本気で怪獣保護を訴えてくるとは! こいつは傑作だ!」

 

小鳥遊 ホシノ「このぉ! この期に及んで ふざけるなッ!」

 

 

神代キヴォトス人「なら、その左隣に300万年周期のダークマターの影響で誕生した幻聖魔獣:ラフレシオンがいるが、どうする?」

 

 

鬼怒川 カスミ「おお!? 祀られた“惑星守護神”の両隣にあるのが巨大な装飾だと思ったら、これは怪獣を容れた培養カプセルだったのか!?」

 

宮藤 セルマ「――――――ら、『ラフレシオン』?」

 

小鳥遊 ホシノ「サーベラス様!?」

 

神代キヴォトス人「このラフレシオンという怪獣、人類がダークマターの影響で母なる惑星をも滅ぼす存在になった時に備えて植物以外の全ての地上生物を抹殺する能力を持たせた怪獣とあるぞ」

 

神代キヴォトス人「――――――『植物以外の全ての地上の生物の抹殺』とは、実にトリニティ系環境保護団体【マウンテンコリー】の理想とする『弱きを助け、強きをくじく』を体現した怪獣ではないか」

 

宮藤 セルマ「それは本当か!? そうだろう! やはり、【マウンテンコリー】の理想は間違っていなかった!」

 

小鳥遊 ホシノ「お前、本当に馬鹿なの!? 『植物以外の全ての地上の生物の抹殺』なんだから、ラフレシオンが復活したら、お前もみんなも、動物も虫も鳥も魚もみんな死ぬんだよ!?」

 

神代キヴォトス人「……3000万年前の超古代文明にもいた暇人共はいつの世にも現れるのだな」ヤレヤレ

 

鬼怒川 カスミ「じゃあ、右隣はどうなっている?」

 

神代キヴォトス人「右隣に入っているのは――――――、異生獣:ラフレイアとある」

 

鬼怒川 カスミ「――――――『ラフレイア』? さっきの『ラフレシオン』と名前が似ているのは偶然か?」

 

神代キヴォトス人「どうやら、300万年前にダークマターの影響で誕生したラフレシオンはこのラフレイアを基にして『植物以外の全ての地上の生物の抹殺』をできるように能力を調整したものらしい」

 

神代キヴォトス人「こちらのラフレイアに関しては決して蘇らせてはならない宇宙怪獣とある。惑星守護神:ギガデロスをもってしても殺し切ることができず、花粉袋から撒き散らす花粉は付着すると一瞬で生物を炭化させる性質を持つ――――――」

 

神代キヴォトス人「そのため、異生獣:ラフレイアは人類を絶滅寸前まで追いやった宇宙から現れた悪魔であり、その脅威から人類を救ったのが同じく宇宙から現れた惑星守護神:ギガデロスである――――――」

 

神代キヴォトス人「ふむ、これを見るに異生獣:ラフレイアを300万年前のダークマターの影響を受けた文明で人類がコピーした怪獣がラフレシオンということになるのかもな」

 

神代キヴォトス人「ほう、ビースト振動波というパラメーターで異生獣:ラフレイアの復活を今も監視しているようだな。その監視のためにギガデロスがこの地に残されていたわけか」

 

宮藤 セルマ「うおおおおおおおおお! 今すぐにラフレイアを解放しろおおおお! 300万年前から怪獣たちを封印し続けているのは間違っている!」ジタバタ!

 

小鳥遊 ホシノ「…………お前、もう黙れよ」バン!

 

宮藤 セルマ「うっ」

 

小鳥遊 ホシノ「今のは威嚇射撃だから。次からは中てる」

 

鬼怒川 カスミ「おお、怖い怖い」

 

小鳥遊 ホシノ「サーベラス様! 用事が済んだのなら、もうこの場を去ろう! こいつのような馬鹿が興味本位で人類を滅亡寸前まで追いやった怪獣を復活させることがないように!」

 

神代キヴォトス人「……そうだな」

 

神代キヴォトス人「では、我が見聞した内容だが――――――」

 

鬼怒川 カスミ「?」

 

神代キヴォトス人「――――――」ピトッ ――――――指先をおでこに当てる!

 

鬼怒川 カスミ「うおっ!?」

 

神代キヴォトス人「――――――理解したか? それを第三者に説明できるか?」

 

鬼怒川 カスミ「な、何やら頭の中を記録や映像が駆け巡ったのは理解できたが、何が何やら……」

 

神代キヴォトス人「次」ピトッ ――――――指先をおでこに当てる!

 

小鳥遊 ホシノ「うわっ!?」

 

宮藤 セルマ「うはっ!?」

 

神代キヴォトス人「――――――見えたか? 聞こえたか? 覚えたか? それが我が見ている光ネットワークの内容だぞ?」

 

小鳥遊 ホシノ「う、うへ~……」

 

宮藤 セルマ「く、くそっ!」

 

神代キヴォトス人「脳の処理が追いついていないか」

 

神代キヴォトス人「しかたがない。これから我が話す内容を議事録に取れ。質問も自由にしてよい。その内容を先生に報告せよ」

 

 

そうして、私たちはサーベラス様が遺跡の空間に張り巡らされた目には見えない光ネットワークから可能な限り引き抜いた情報を記録することになり、たまにサーベラス様の指を通じて鮮明な紹介映像から300万年前のダークマターの影響を受けたアンバランス期の文明の詳細を知ることになった。

 

300万年前のこの辺りは相変わらずアビドス砂漠のままだったようだけど、アビドス砂漠の隣の緑地:アビドス居住区となる場所は豊かな自然と恵まれた天候で当時の文明の中心地として栄えていたみたい。現代のようなビル群が立っていなくても青々とした木々に囲まれて砂漠と共存できていた。

 

そして、当時のアビドスの人々は砂漠に聖なるものを祀ってダークマターの影響で現れるようになった怪獣たちから自分たちを守ってもらえるように祈りを捧げてきていたみたい。

 

そうした祈りに応えて300万年前のアンバランス期の人類を守り抜いてきた代表格が惑星守護神:ギガデロスであり、他にも様々な守護神や怪獣が宇宙から飛来しては地上で激しく争いを繰り広げていたようだった。

 

その度に、人々はまさしく天災としか言いようがない怪獣たちがもたらす巨大な破壊に怯えると同時に守護神たちがもたらした戦利品で文明が発展していくことになり、300万年前の文明の中心地はまさしくアビドスであったのだ。

 

一方、その栄華が衰退していく原因は皮肉にもアビドスの発展の恩恵で他の地域もまた順調に発展していったことによって守護神と怪獣の激戦区であるアビドスから避難民が続出したことにあった。やはり、守護神たちに守られているとは言え、怪獣災害のない安定した生活を望みたいと思うのが人間の性なのだろう。

 

結局、300万年前のアンバランス期の文明は私たちの住む惑星がダークマター漂う未知のアンバランスゾーンに突入したことで急成長を遂げ、その終焉もまた惑星がアンバランスゾーンを抜けたことによってもたらされた。

 

怪獣頻出期が収束したことによって怪獣災害の記憶がすっかり忘れ去られる頃には、文明の中心地はアビドスから他の地域へと移り変わっており、その覇権を巡って人類同士の争いが激化するようになったのだ。

 

そこにはかつて人類を怪獣の脅威から救ってきた守護神たちが戦争の道具として互いに傷つけ合って倒れていく光景が映し出されており、思わず拳を握りしめ、目から涙が出るのを止められなかった。

 

そうした人類の愚かさに絶望した末期のアビドスの民は地下宮殿に眠り続けている惑星守護神:ギガデロスを使って地上の覇者に名乗り出ることなく、ギガデロスが鹵獲して厳重な封印を施した異生獣:ラフレイアを基に地上をリセットする目的で幻聖魔獣:ラフレシオンを生み出したというのがこの秘密保管庫の成り立ちだった――――――。

 

そして、300万年前の文明は幻聖魔獣:ラフレシオンではない別の最終兵器の影響によって滅亡することになり、すでに文明の中心から外されていたアビドスの民はアビドス砂漠に点在する地下宮殿に籠もって最終戦争から生き延びることに成功し、次の文明を築き上げることになったというのだ。

 

そのため、次の文明の始まりとして幻聖魔獣:ラフレシオンによる地上の浄化が行われたのは間違いなく、再びラフレシオンが目覚めることがないよう、永遠の平和を願うメッセージと共に記録はそこで終わっていた……。

 

 

小鳥遊 ホシノ「うへ~、やっと戻ってこれたよ~」

 

鬼怒川 カスミ「帰りは一瞬だったな。掘り進んでいた場所まで戻されて、そこから自動操縦で地上に戻るだけだった」

 

宮藤 セルマ「………………」

 

神代キヴォトス人「戻ってきたぞ」

 

秤 アツコ「おかえりなさい」

 

錠前 サオリ「随分と時間がかかったようだな。GUTSディグ2号機が先に戻ってから、結構な時間が経っているぞ」

 

奥空 アヤネ「本当に心配しましたよ。GUTSディグが掘り始めてしばらくして宇宙から怪獣が現れて大変でしたし」

 

小鳥遊 ホシノ「うへ~、そうだったんだ。私たちも謎の発光現象の後、超巨大な地下宮殿の中を延々とGUTSディグを直進させるだけの退屈な時間で死にそうだったよ」

 

ロボット職員「みなさん、外で話しているのもなんですし、冷房の効いた輸送車の中で情報交換といたしましょう」

 

 

 

小鳥遊 ホシノ「――――――というのが、この地点にあった遺跡の成り立ちだよ~」

 

鬼怒川 カスミ「しっかりと読んでくれたまえよ。言葉で説明されなかった映像の部分は言語化が大変だったのだからな」

 

錠前 サオリ「なるほど、あそこは3000万年前の超古代文明の遺跡を利用した300万年前のアンバランス期の遺跡だったというわけか」

 

戦場カメラマン「そこにはまだ3体の怪獣:ギガデロス、ラフレシオン、ラフレイアが眠り続けているんだな?」

 

神代キヴォトス人「そうだ。いつまで遺跡の管理機能が正常に動作し続けているかはわからないが、経年劣化による誤作動が起こるのは時間の問題だと我は考える」

 

奥空 アヤネ「となると、遺跡の封印が経年劣化で誤作動を起こして一斉に怪獣たちが目覚める前に、大変危険ですが、封印された怪獣を順番に倒していくべきですよね?」

 

小鳥遊 ホシノ「まあ、そこにいる環境保護団体とか言って人類文明のリセットを平然と言い出すような輩の妨害がないとも限らないけどね」ジロッ

 

宮藤 セルマ「………………」ムスッ ――――――【温泉開発部】の部員たちに拘束されている。

 

鬼怒川 カスミ「それで、そっちの収穫はどういったものになるんだい?」

 

秤 アツコ「これ」

 

ロボット職員「………………」

 

 

――――――GUTSディグ2号機が光を抜けた先で持ち帰ったものは()()()()()()()()()()であった。

 

 

鬼怒川 カスミ「何だい、これは? 見た限り 古代の祭具か 何かかい?」

 

神代キヴォトス人「おお、スパークレンスではないか。300万年前の文明で模造されたものだろうか」

 

小鳥遊 ホシノ「どういうものなの、それって?」

 

神代キヴォトス人「簡単に言うならば音叉だな。肉体を光の波動へと変換する調律器(チューナー)となるもので、我のような光の星雲から来た者には不要だが、素質のある現地人が巨人像と一体化するのを助けるものとなる」

 

神代キヴォトス人「あるいは、光ネットワークとのチャンネルを繋ぐ同調器(チューナー)にもなる。おそらく、300万年前の人類はこのスパークレンスを通じて宇宙から飛来した守護神や怪獣と交信し、3000万年前の超古代文明の遺跡の機能にアクセスしていたのだろう」

 

ロボット職員「……なるほど」

 

戦場カメラマン「………………」

 

神代キヴォトス人「これは非常に重要な発見だ。スパークレンスが共鳴する位置に3000万年前の超古代文明の遺跡があるし、スパークレンスを通じて怪獣や遺跡と交信することも可能だ」

 

神代キヴォトス人「次からは遺跡の探索がだいぶ楽になるはずだぞ。お手柄だぞ」

 

秤 アツコ「やったね、サッちゃん!」

 

錠前 サオリ「ああ。いきなり古代の祭祀場のような場所に飛ばされて、何が何だかわからないまま、それを持ち帰るだけになったが、それで正解だったみたいだな」

 

 

神代キヴォトス人「よし、直ちにこのスパークレンスを量産してアビドス砂漠にある遺跡の探索を効率化するぞ」

 

 

秤 アツコ「え」

 

戦場カメラマン「なに!?」

 

ロボット職員「そんなことができるのですか!?」

 

神代キヴォトス人「我を誰だと思っている! 我も光の眷属としてスパークレンスぐらい持っているぞ!」

 

神代キヴォトス人「だが、何事にも用途というものがあってだな、“地獄の釜の番人”たる我が持つスパークレンスは光のピラミッドと同時期・同地域の超古代文明の遺跡全般のマスターキーになるが、アビドス砂漠にある遺跡とは規格が合わないでいたのだ」

 

神代キヴォトス人「そこに現地の遺跡の鍵となるスパークレンスが手に入ったとなったら、アビドス砂漠にある同時期・同地域の超古代文明の遺跡に入りやすくなったというわけだ」

 

神代キヴォトス人「よし、このスパークレンスを基に我が保有しているスパークレンスを改造だ。それまで遺跡の探索は中断だ。いいな」

 

宮藤 セルマ「――――――!」

 

 

こうしてアビドス砂漠に眠る超古代文明の遺跡の探索は確かな情報と十分な収穫物を持ち帰れたということで最初の1回で大当たりとなり、獲得した青銅のスパークレンスの解析と量産をしてから次回の探索を行うというふうに予定が組まれたのだった。

 

正直に言って、3000万年前の超古代文明だとか、300万年前のアンバランス期の文明の話なんて、今までずっと砂に塗れた学園の借金返済に追われていた私からすると想像もつかない話で、はっきり言ってどうでもいいような話ではあったのだけれど、

 

3000万年前の超古代文明の遺跡の機能が経年劣化によって故障し始めたことから、アビドス砂漠の遺跡に封印されていた文明を滅ぼすレベルの怪獣たちが次々と復活する危険性が話題に上がると、さすがに無視できない問題となって頭を抱えることになった。

 

そう、アビドス砂漠が太古の昔から怪獣が眠り続けている魔境であることが今回のことで確定しまったのだから、私の中で今すぐにでも逃げ出したい思いが湧き上がるのを必死に抑えるので大変だった。

 

知りたくなかった。ようやく“シャーレの先生”のおかげで【カイザーコーポレーション】との因縁を断ち切って再出発を果たしたばかりなのに、何も知らないでいることができたら、ずっと幸せな気分のままでいられたはずなのに……。

 

 

――――――いや、もしかしてユメ先輩はアビドス砂漠に何かがあるのを知っていた? だから、希望を捨てずにいることができていたの?

 

 

錠前 サオリ「もう少しで新アビドス自治区につくぞ。GUTSディグや後方の車両も遅れずについてきているな」

 

奥空 アヤネ「一時はどうなるかと思いましたけど、これで砂漠化の原因調査が一歩進みましたね」

 

小鳥遊 ホシノ「うん。そうだね、アヤネちゃん……」

 

 

秤 アツコ「――――――何か空から来る!? とてつもなく悍ましいものが!?」ゾクッ

 

 

ロボット職員「なに!?」

 

戦場カメラマン「――――――この気配は!」ドクン!

 

神代キヴォトス人「……この感じ、異生獣:ラフレイアと同じビースト振動波か?」

 

宮藤 セルマ「怪獣が来るのか!?」

 

小鳥遊 ホシノ「お前、絶対におとなしくしていろよ?」ジロッ

 

 

フワァ・・・

 

 

宮藤 セルマ「……おい、何か傾いてないか?」

 

小鳥遊 ホシノ「その前に 一瞬 ガクッてなった?」

 

戦場カメラマン「!」

 

錠前 サオリ「な、何だ、この感覚!? タイヤが前に進んでいない!? 目の前に見える廃墟の街並みが――――――、いや、これは車体が浮き上がっているのか!?」

 

奥空 アヤネ「きゃあああああああああ!」

 

ロボット職員「みんな、急いで外に出るんだ!」

 

ロボット職員「ハッチを開放して脱出だ、サオリ!」

 

錠前 サオリ「くっ! わかった!」

 

角楯 カリン「ガリバーさん! 空に怪獣! 怪獣が空から虹色の光線みたいなのを浴びせてきた!」ガチャ! 

 

神代キヴォトス人「――――――無重力光線か!」

 

神代キヴォトス人「アツコ! “光”をスパークレンスに充填して我に授けよ!」

 

秤 アツコ「うん!」

 

錠前 サオリ「急げよ! 脱出だ!」ガシッ

 

宮藤 セルマ「ああ……」

 

 

もうすぐで【アビドス】に帰還できると思った矢先、突如として【キヴォトス防衛軍】の兵員輸送車がガクッとなってふわっと浮き上がったかと思うと、急な角度をつけて中にいる私たちが立っていられなくなるほどになり、ガリバーさんの号令で後部ハッチを開けて脱出することになった。

 

屋根の上で周囲の警戒をしていた【メイド部】のカリンちゃんの報告と【アリウススクワッド】のアツコちゃんの予知で間違いなく怪獣の襲撃だと悟ると、運転をしていたサオリちゃんが急いで後部ハッチを開けてくれた。

 

私がアヤネちゃんを、サオリちゃんが【マウンテンコリー】宮藤 セルマを、ガリバーさんがアツコちゃんとカリンちゃんとサーベラス様を抱えて傾く車内から勢いよく飛び出すと、アビドス砂漠の小高い砂丘が私たちを受け止めてくれた。

 

兵員輸送車の後方にいたGUTSディグ1号と2号、その他の機材班:鬼怒川 カスミちゃん率いる【温泉開発部】の部員たちと開発者の【エンジニア部】猫塚 ヒビキちゃんたちは距離を開けて回避運動を取っていたみたい。

 

なので、ここからだと大粒の点にしか見えない空中で浮かんでいる怪獣がたしかに居て、無重力光線で浮かび上がらせた兵員輸送車から私たちが脱出したのを確認すると、無情にも誰もいなくなった兵員輸送車を砂漠の上に自由落下させた。

 

勢いよくアビドス砂漠に埋まる兵員輸送車を見て、アビドス居住区の固い地面でなかったことにホッとしながらも、私は大きな見落としがあったことに気づいた。

 

 

――――――いや、待って! 姫矢さんは!? 姫矢さんはどこ!?

 

 

小鳥遊 ホシノ「姫矢さん!? 姫矢さんは!? ねえ、姫矢さん!?」

 

奥空 アヤネ「ええ!?」

 

錠前 サオリ「何をしている! 今は逃げるんだ!」

 

小鳥遊 ホシノ「待って! だって、姫矢さんが――――――!」

 

神代キヴォトス人「あの者のことなら心配することはない!」

 

 

シェア!

 

 

小鳥遊 ホシノ「あれは――――――!」

 

奥空 アヤネ「ウルトラマンです! ウルトラマンネクサス! さっきも全身が金属の怪獣と戦ってくれたばかりです!」

 

ロボット職員「さあ、みんな、避難してくれ! ここは僕が引き受ける! 今は何とかしてバギーの空いた隙間でもGUTSディグの席に2人乗りしてでも【アビドス】に逃げ込んでくれ!」

 

小鳥遊 ホシノ「でも、ガリバーさんはどうするつもりなの?」

 

ロボット職員「安心してください。新兵器:GUTSガルーダを出撃させます。僕はここでGUTSガルーダを遠隔操縦してウルトラマンを援護します」

 

ロボット職員「さあ、急いで!」

 

小鳥遊 ホシノ「で、でも――――――!」

 

神代キヴォトス人「安心せよ、ホシノ。こうなったら我も戦おう」スッ ――――――青銅のスパークレンス!

 

小鳥遊 ホシノ「サーベラス様!?」

 

錠前 サオリ「本当に大丈夫なのか!?」

 

秤 アツコ「私も残る!」

 

角楯 カリン「なら、私だけでも――――――!」

 

ロボット職員「ダメだ! 今はバギーの空きがない! 非戦闘員が避難しきれない!」

 

神代キヴォトス人「グズグズするな! 今のお前たちは完全な足手まといだ! 戦うなら戦闘バギー部隊を引き連れて戻ってこい!」

 

鬼怒川 カスミ「そうだぞ! さっさと避難するぞ! あそこから私たちを狙い撃ちにしてきた怪獣だ! ここに残っていたら、ウルトラマンの戦いの足枷になる! それが【キヴォトス防衛軍】の怪獣退治の鉄則だろう!」

 

小鳥遊 ホシノ「うう……」

 

 

ロボット職員「さあ!」

 

神代キヴォトス人「とっとと行かんか!」

 

 

錠前 サオリ「わかった! ここは任せたぞ!」

 

秤 アツコ「コーイチ! サーベラス様!」

 

奥空 アヤネ「ホシノ先輩、行きますよ!」

 

小鳥遊 ホシノ「姫矢さん……!」

 

鬼怒川 カスミ「では、武運を祈るよ!」

 

猫塚 ヒビキ「待っててね、ガリバーさん!」

 

角楯 カリン「すぐに戻って来るから!」

 

 

ブゥブウウウウウウウウウウウウウウウウン!

 

 

ロボット職員「さて」

 

神代キヴォトス人「準備はいいか、お主?」

 

神代キヴォトス人「互いに初めて――――――、いや、久々というべきか?」

 

ロボット職員「ええ。どうやら僕の意識をコクピットに繋げることができるみたいで、遠隔操縦している僕とコクピットに乗り移っている僕の2つの視点で操作できるようにしてあるみたいです」

 

神代キヴォトス人「なら、我も本体である最凶獣:ヘルベロスの像を破壊されてから初めての変身であるから、多少は動きが鈍っているところは見逃して欲しい」

 

神代キヴォトス人「同時に神代から続く超古代文明において“光”になるということは()()()()()()だということをよく見て学んで欲しいぞ、コーイチよ」

 

神代キヴォトス人「では、行くぞ!」スッ ――――――青銅のスパークレンスを天に掲げる!

 

ロボット職員「待っててください! 今、助けに行きます、姫矢さん!」

 

 

――――――復活せよ、惑星守護神:ギガデロス!

 

 

――――――GUTSガルーダ、発進!

 

 

こうしてアビドス砂漠の遺跡の初調査の帰り、数時間前に金属生命体:アルギュロスが秘密を探ろうとしている者を抹殺するべく宇宙から飛来したのをウルトラマンネクサスが撃破して日付が変わらないうちに、今度はなんと異生獣:メガフラシが空中から調査部隊の帰りを奇襲してきたのである。

 

そう、今日 探索してきたばかりの地下宮殿に封印されていた300万年前のアンバランス期の文明で猛威をふるった異生獣:ラフレイアの同族である異生獣:メガフラシが突如としてアビドス砂漠の上空に現れたのである。

 

異生獣という言葉は初耳であっても、知的生命体の恐怖の感情を餌とするスペースビーストのことは噂程度には光の星雲の出身である神代キヴォトス人:サーベラスも知っており、まさか噂に聞いていた怪物と戦うことになろうとは思いもしなかった――――――。

 

一方で、ビースト振動波によって空から奇襲を仕掛けてきた怪獣がスペースビーストであると直感で理解した適能者(デュナミスト):姫矢 ジュンの動きは早かった。地球だけではなくキヴォトスにも現れるようになったスペースビーストの脅威に対して真っ先に潰しにかかったのである。

 

オウムガイやアメフラシ等の軟体動物を融合させたような外見をした そういうものが苦手な人には醜悪でしかない スペースビースト:メガフラシはよく見ると巻き貝を背負っていた。空中では上下逆さまで浮いていることになり、地上ではヤドカリのような外見だと想像すればわかりやすい。

 

地球では遭遇したことがない未知のスペースビーストに対してウルトラマンネクサスは得意の空中戦を仕掛けることになり、虹色の波動の無重力光線で相手の動きを封じたところで貝殻の先端の放電器官からの電撃で相手を弱らせて獲物を捕食する狙いなのを看破し、あんな見た目でウルトラマンと同等の飛行能力を見せつけるものの、直線的な攻撃しかしてこないとわかれば敵ではなかった。

 

牽制で放った光弾(パーティクル・フェザー)が虹色の波動の無重力光線で無効化されたものの、それならばと腕から伸ばす光の帯(セービングビュート)で絡め取ると、一気に急降下してメガフラシの巨体を空中から砂漠に叩きつけたのだった。

 

勢いよく砂漠に埋まったメガフラシは全身を高速回転させて巻き貝をドリルのようにして砂漠に潜航しようとしたが、着地したウルトラマンが腕から伸ばす光の帯(セービングビュート)が絡まったままなのを確認して、ハンマー投げのように回転しだすとメガフラシの巨体が遠心力によって宙を舞ったのである。

 

そうして もう一度、メガフラシを砂漠に勢いよく叩きつけると、今度はヤドカリのように特徴的な巻き貝が上になるように砂漠に埋め込まれたため、メガフラシは視界が砂漠に埋まって反応が鈍ることになった。

 

そこから畳み掛けるのが空間トンネルを通じて妨害電波が飛び交うアビドス砂漠に初出撃となるGUTSガルーダであり、上下に可動できる2門のハイパワーメーサービームキャノンの広い射角と空中停止機能によって安定した命中率を誇る浮遊砲台として運用可能であった。

 

怪獣が電撃を放つ放電器官を確認してハイパワーメーサービームキャノンが撃ち貫き、常に想定が地底怪獣:クレッセントである【キヴォトス防衛軍】が開発した対怪獣兵器はメガフラシに大ダメージを与えることに成功した。

 

そして、そのままウルトラマンがスペースビーストを完全に葬り去るために赤と銀の巨人:ウルトラマンネクサス ジュネッスに変身して、対スペースビースト完全殲滅の必殺光線:オーバーレイ・シュトロームを放とうとした瞬間であった――――――。

 

 

――――――突如として、謎の砂嵐がウルトラマンネクサスを襲った! いや、あれは砂ではない! 花粉だ!

 

 

イヤッ!?

 

 

ロボット職員「――――――ウルトラマンが苦しんでいる!? どういうことだ!? あれはただの砂嵐じゃないのか!? どこから出てきた!?」

 

――――――

神代キヴォトス人(インナースペース)「聞こえるか、コーイチ!」

――――――

 

ロボット職員「サーベラス様! 遅いですよ! 早く加勢してくださいよ、伝説の惑星守護神で!」

 

――――――

神代キヴォトス人(インナースペース)「――――――遺跡に眠っていた異生獣:ラフレイアが復活していた!」

――――――

 

ロボット職員「え、なんですって?」

 

――――――

神代キヴォトス人(インナースペース)「おそらく、同じビースト振動波を持つ怪獣がアビドス砂漠に出現したことで共鳴したのが原因だと思われるが、封印を破るほどの力を蓄えていたとは――――――」

 

神代キヴォトス人(インナースペース)「すまぬ。地上へと取り逃してしまった。やつの花粉攻撃は機械の身体のギガデロスには通用しなかったが、有機生命体を即死させるだけの猛威がある!」

 

神代キヴォトス人(インナースペース)「ラフレイアの花粉を【アビドス】へと飛ばすな! 外出禁止令を出せ! 絶対に花粉を浴びせてはならん!」

――――――

 

ロボット職員「なんてこった! わかりました! 今すぐに外出禁止令を出します!」

 

ロボット職員「こちらもすぐに異生獣:ラフレイアの攻撃に向かいます!」

 

ロボット職員「聞こえたか、ウルトラマン! 今は耐えてください、ウルトラマンネクサス!」

 

ロボット職員「行け、GUTSガルーダ! こういう時のための特別仕様だろう!?」

 

 

オオ・・・!

 

 

突如としてウルトラマンを襲った砂嵐の正体は異生獣:ラフレイアが放つ花粉であり、この花粉は付着すると瞬時に気化して超高熱を発し、付着した物を瞬く間に炭化させてしまうのだ。まさしく有機生命体の天敵であり、ウルトラマンにとっても極めて有害なものとなりえた。

 

しかも、粉塵爆発を容易く引き起こすほどの密度と可燃性であり、ラフレイアの花弁から勢いよく放出されると、花粉自体の質量が水素と同等ということでありえないほど軽いために拡散しやすく、こうして離れた場所から一気にラフレイアの花粉が広まると大惨事になるのは避けられない。

 

いや、それだけじゃない。それだけの爆発性を持ったラフレイアの花粉袋を迂闊に爆散させると、それだけの拡散力を持つ花粉が世界中に飛び散ることになるため、被害は【アビドス】だけに留まらず、キヴォトス全土を恐怖に陥れる炭化現象が突如として各地で相次いで発生することになるだろう。

 

幸い、惑星守護神:ギガデロスはロボット怪獣であったため、復活した直後に遺跡の封印を破って地下宮殿で暴れていた異生獣:ラフレイアと交戦状態となっても有機生命体抹殺用の花粉攻撃を無効化して一方的に格闘戦を仕掛けて圧倒できていたのだが、異生獣の圧倒的な回復能力の前に決め手を欠いていた状態だった。

 

そう、300万年前のアンバランス期の文明を守り抜いた惑星守護神:ギガデロスをもってしても異生獣:ラフレイアを封印せざるを得なかったのはそういった事情があったためであり、迂闊に撃破したら有機生命体を抹殺する花粉が世界中に飛び散り、そもそもギガデロスの火力ではラフレイアを殺しきれないという問題があったのだ。

 

そのため、異生獣:ラフレイアの花粉が飛散しない状況に追い込んでウルトラマンに撃破してもらう他なく、それを追って地上へと姿を現した惑星守護神:ギガデロスだったが、花粉塗れであることを気にしながらもラフレイアの花粉が飛散するのを身体を張って止めるしかないのだ。

 

一方、この時ほど機械の身体であったことに感謝したことがないロボット職員:マウンテンガリバーは肩アーマーのワイヤーアンカーを駆使して先ほどまで発掘調査を行っていた地点に現れた異生獣:ラフレイアを視認すると、自分自身がパイロットになった感覚でGUTSガルーダを遠隔操縦して対地攻撃をすでに加えていた。

 

それに後れて惑星守護神:ギガデロスが地上に現れ、何とかして異生獣:ラフレイアを拘束して時間稼ぎをしていると、後方から異生獣:メガフラシをあらためてオーバーレイ・シュトロームで撃破したウルトラマンネクサスが駆けつけてきたのだった。

 

しかし、『前回』“ティガ”として戦ってきた記憶が“光”となって抜け落ちていたとしても大技を放った直後の疲労の具合が直感的にわかり、ロボット職員:マウンテンガリバーはあまりにもキツイ連戦に疲弊しているウルトラマンのことを思い、それでも何とかしてくれることを祈る他なかった。

 

 

シェア!

 

フオオオオ・・・!

 

ヘェッ!

 

 

そして、ウルトラマンの拳からフェーズシフトウェーブが天へと放たれ、戦闘用不連続時空間:メタフィールドが展開されたのだった!

 

 

気づくと、周りは砂漠ではなく、それとはまったくちがった赤土色の発光する物質が露出している地面とオーロラのような光が満ちた空に覆われた奇怪な異空間にいたことにロボット職員:マウンテンガリバーが気付いた。

 

否、この時のロボット職員:マウンテンガリバーは2つの視点を持っており、本体であるロボットの身体はウルトラマンが天へと放った光の帳に交戦区域にいたもの全てが包み隠されて消滅していたことを目撃していたのだった。

 

一方で、新兵器:GUTSガルーダのコクピットの視点に移していた意識はウルトラマンが展開した光の帳に包まれたかと思うと、謎の異空間でウルトラマンとギガデロスが意気揚々とラフレイアに攻撃を加えていたのを目撃するのだった。

 

片方は現実世界で、もう片方は異空間に意識があるという摩訶不思議な状態で困惑していたロボット職員:マウンテンガリバーだったが、異空間でラフレイア相手に2対1で戦いを優勢に進めていることがわかると、花粉を無尽蔵に生成して粉塵爆発の危険性が高い花粉袋に刺激を与えないように静観することに徹したのだった。

 

一方で、神代キヴォトス人:サーベラスが“光”となって一体化した惑星守護神:ギガデロスは有機的な形状による運動性と右腕から伸びた剣と左手と一体化した4本指の光線銃によって優れた白兵戦能力を有しており、

 

なるほど、ラフレイアを倒せるほどの大技はないものの、ウルトラマンに匹敵する汎用性とウルトラマンにはない装甲の高さは目を見張るものがあり、ラフレイアを根負けさせて封印することもできたほどの継戦能力の高さも 地味ではあるが 非常に大きな武器となりえた。

 

実際、金属生命体:アルギュロスと交戦した後、帰りに奇襲してきたスペースビースト:メガフラシをオーバーレイ・シュトロームで葬り去った後のメタフィールドでの戦闘ともなると、ウルトラマンは疲労を隠すことができないほどに動きがふらついていたのだ。

 

そのため、このままでは埒が明かないと 一旦 仕切り直したウルトラマンとギガデロスであったが、互いの顔をじっと見つめて頷き合うと、GUTSガルーダに対して念波を飛ばしてきたのだ。

 

 

――――――花粉袋を狙い撃て、コーイチ! お前がこのスペースビーストを倒すんだ!

 

 

その言葉に従って、ウルトラマンが牽制射撃を行ってギガデロスがラフレイアを斬りつけて隙を作ると、GUTSガルーダと意識が一体となっていたロボット職員:マウンテンガリバーは間髪を入れず心の中で銃爪を引いた。GUTSガルーダの全長に匹敵する砲門から繰り出される威力は折り紙付きである。

 

空中静止した状態でGUTSガルーダの2門のハイパワーメーサービームキャノンが過たずラフレイアの花粉袋を撃ち抜いた。本当は花粉が飛散する危険性を考えるべきだったろうに、ここが異空間であるという事実からそんな細かいことなんて完全に忘れていた。

 

結果、無尽蔵に花粉が生成されるとは言っても供給が追いつかなかった異生獣:ラフレイアは爆発の危険性が極めて高い花粉袋が引火して内部で粉塵爆発したことにより、木端微塵に吹き飛ぶことになったのだ。

 

そのため、メタフィールドの外で思わずガッツポーズを決めたロボット職員:マウンテンガリバーの本体がウルトラマンネクサス、ギガデロス、GUTSガルーダが勢揃いして現実世界に帰還した光景を見て、更に砂漠の中心で年甲斐もなく飛び跳ねるのは無理ないことだった。

 

そして、戦闘バギー部隊が急いで駆けつけてきた頃には、砂漠の真ん中で戦いで疲弊した戦場カメラマン:姫矢 ジュンを寝かせてロボット職員:マウンテンガリバーがイオナイザー空気洗浄機の涼風を浴びせながら、神代キヴォトス人:サーベラスが一体となった惑星守護神:ギガデロスがその巨体で日陰を作って迎えを待つ状態となっていたのだった――――――。

 

 

小鳥遊 ホシノ「姫矢さんの馬鹿ああああああああ!」

 

戦場カメラマン「ホシノ……」

 

小鳥遊 ホシノ「もう馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿……!」

 

小鳥遊 ホシノ「本当に心配したんだからね!」

 

戦場カメラマン「すまなかった、ホシノ……」

 

神代キヴォトス人「そう責めないでやってくれ、ホシノ。今は安静にしてやることだ」

 

神代キヴォトス人「よし、運べ。もうこの場にいる必要はない。全員撤収」

 

角楯 カリン「怪獣の脅威はこれで去ったの、ガリバーさん?」

 

ロボット職員「少なくとも、そうみたいです」

 

ロボット職員「しかし、また新たな怪獣の脅威が現れたので、早急に対策をしなければなりません」

 

神代キヴォトス人「ひとまずは、惑星守護神:ギガデロスを【アビドス】まで運ぶぞ。それで異生獣が放つビースト振動波を感知できるレーダーを作成してもらいたい」

 

猫塚 ヒビキ「本当にあのロボット怪獣を操縦していたのがサーベラス様なの?」

 

神代キヴォトス人「その通りだ。そのためにもこのスパークレンスを解析して量産しなければならん」

 

神代キヴォトス人「アツコよ、一旦【アビス】に戻ってスパークレンスの在庫を持ってくるぞ。正直に言って、ギガデロス専用のスパークレンスを作っておかないと、久々とは言え、こいつはかなりキたぞ……」

 

秤 アツコ「うん。わかった」

 

錠前 サオリ「となると、せっかくのギガデロスもその間は動かせる人間がいないわけだから、怪獣が現れたら大変なことになるな……」

 

神代キヴォトス人「案ずるな、サオリよ」

 

神代キヴォトス人「実は、すでに四次元都市:フォーサイトには空間トンネルのターミナルが建造されていてだな、光のピラミッドまで直通の路線が引かれているのだ」

 

錠前 サオリ「なに」

 

神代キヴォトス人「当然であろう。これから怪獣無法地帯を攻略する足掛かりとなる重要拠点【アビドス】に確固たる補給線を引いておかねば、同地に築かれた【キヴォトス防衛軍】の防衛基地が機能せんではないか」

 

神代キヴォトス人「ともかく、まずは帰還するぞ」

 

神代キヴォトス人「皆の者、よくぞ駆けつけてくれた。あとで褒美をやろう」

 

ロボット職員「帰り着くまでが作戦です。引き続き周囲を警戒しながら帰還を果たしましょう」

 

 

こうして“シャーレの研究員”神代キヴォトス人:サーベラスによる最初の遺跡の調査は終わり、さり気なく世界が滅亡するかもしれないほどの脅威であった異生獣:ラフレイアが復活するなどの最大級の厄災はあったものの、犠牲者ゼロで無事に帰還を果たすことに成功するのであった。

 

しかし、こうして危険を冒した分だけ得られたものは大きく、300万年前のアンバランス期の文明のことや、その遺産である惑星守護神:ギガデロス、古代の祭具として受け継がれてきた遺跡の鍵:青銅のスパークレンスなどが手に入り、同時に新兵器:GUTSガルーダが初出撃で異生獣:ラフレイアを撃破としたという大戦果を上げることにもなった。

 

そして、四次元移動列車の利便性を上げるために制作された個人用高速輸送システム(ポッドカー)ULTra(Urban Light Transit)が開通となり、怪獣無法地帯の最前線である【アビドス】にも設置され、いずれは【シャーレ・オフィス】の地下にも設置する予定である。

 

なので、四次元都市:フォーサイトを経由して【キヴォトス防衛軍】の重要拠点の1つ:光のピラミッドまで行ってすぐに帰ってくることができるようになり、超古代文明では共通の変身アイテム:スパークレンスの在庫を持ってきて、早速だが青銅のスパークレンスの解析と量産が開始されることになったのだった。

 

また、惑星守護神:ギガデロスのデータログから300万年前のアンバランス期の怪獣災害の記録を分析し、ビースト振動波を検知するレーダーの開発にも着手されることになった。

 

一方で、これまで謎のままにしていたウルトラマンネクサスの正体についても意を決してロボット職員:マウンテンガリバーが聞き出すことになった――――――。

 

 

戦場カメラマン「――――――」ジー ――――――防衛チーム【スーパーGUTS】と【CREW GUYS JAPAN】の情報を閲覧中。

 

ロボット職員「どうですか? 僕と先生はそれぞれちがった歴史を辿った地球からキヴォトスに来ているわけなんですが、姫矢さんもそうなんですか?」

 

戦場カメラマン「ああ、その通りだ。むしろ、俺が戦っていたスペースビーストは人間の恐怖の感情を餌として無限に成長する怪物だったことで、その脅威に対処するために俺の世界の防衛チームはTLT-J戦略特殊任務班【ナイトレイダー(夜襲部隊)】と目撃者の記憶を抹消して怪獣災害を隠蔽する【MP(メモリーポリス)】で構成された秘密組織となっていた」

 

ロボット職員「え? それって、ウルトラマンの活躍さえもなかったことにしているんですか?」

 

戦場カメラマン「ああ、スペースビーストはビースト振動波を用いた交信によって独自のネットワークを築き、それによって驚異的な速度で進化するだけじゃなく、市民がスペースビーストへの『恐怖心』を抱くことで大量発生する危険性がある。だからだ」

 

神代キヴォトス人「なるほど、生命体の恐怖心を餌とする特性上、異生獣:ラフレイアに関する記述に関してはギガデロス以上の厳重な情報プロテクトがかけられていたのはそれが原因というわけか……」

 

神代キヴォトス人「生命体が放つ恐怖の感情を餌とする“異生獣”スペースビーストの噂は聞いたことがある」

 

神代キヴォトス人「そうか。これは迂闊であった。これは我が招いた人災だ。あの場にいた誰かが異生獣:ラフレイアに対して恐怖を覚えたことで我は異生獣に新鮮な餌を与えてしまっていたというわけか……」

 

神代キヴォトス人「そして、悠久の刻を経て新鮮な餌を得て活力を取り戻したラフレイアが新たな異生獣をキヴォトスに呼び込んだというのが今回のスペースビースト出現の真相であろう……」

 

ロボット職員「本当に“怪獣(KAIJU)”という存在は何でもありですね。ノイズラーのように音を主食とする怪獣がいれば、恐怖の感情を餌にするスペースビーストなんてのがいるだなんて……」

 

戦場カメラマン「まったくだ。人類はおろか それ以外の生物との相互理解も共存も不可能な“絶対的な敵対者”“知的生命体の天敵”という手に負えない存在がスペースビーストだ」

 

戦場カメラマン「間違っても動物愛護団体が保護を叫ぶような可愛らしい存在などではない。【ナイトレイダー】が市民の安全以上にビースト殲滅を優先するのもわかる」

 

ロボット職員「しかし、大丈夫なんですか? 今日の連戦は 相当 堪えたはずですよね?」

 

神代キヴォトス人「しかも、あの異空間は()()()()()()()()()()であろう? こうして巨人として体を張って戦っているだけでも消耗を強いられるのに、自分自身とも言える空間まで展開するとなれば、お主の肉体にかかる負担は尋常ではないはずだ、そうではないのか?」

 

ロボット職員「え」

 

戦場カメラマン「……全てお見通しというわけか」

 

戦場カメラマン「そうだ。スペースビーストをウルトラマンのホームグラウンドとなるメタフィールドに引き込むことで逃走を許さず、ウルトラマンそのものと言える異空間では光線技の性能も上がるとなると、心情としては絶対に使いたくもなるだろう?」

 

ロボット職員「ええ。アビドス砂漠に取り残された本体とメタフィールドに取り込まれたGUTSガルーダのコクピットの2つの視点から戦いを観測することになりましたけど、ウルトラマンのホームグラウンドで戦えるのであれば周囲の安全も確保できるし、良いこと尽くめに思えます」

 

神代キヴォトス人「だが、平常時にはなかったカラータイマー(コアゲージ)が出ていたな。あれがメタフィールドの維持時間を示しているとするなら、その時間制限(タイムリミット)を過ぎると適能者(デュナミスト)であるお主は無情にも死亡してしまうのだろうな」

 

ロボット職員「!!!?」

 

神代キヴォトス人「文字通りウルトラマンが身を削って生み出した空間ということだ、あのメタフィールドは」

 

ロボット職員「ひ、姫矢さん!?」

 

戦場カメラマン「そう怖い顔をするな。ウルトラマンである以上、命を賭けた戦いになるのはいつものことだ」

 

ロボット職員「で、でも……!」

 

 

戦場カメラマン「――――――似ているな、そういうところが、孤門(あいつ)に」

 

 

ロボット職員「え」

 

戦場カメラマン「先生を交えて3人でクロスタッチの練習をした時があったな、コーイチ?」

 

ロボット職員「ええ」

 

戦場カメラマン「あの時、先生とコーイチが体験してきた過去が垣間見えたような気がした」

 

戦場カメラマン「そして、コーイチがどれだけ敗北感と孤独感に苛まれて今日まで生きてきたのか――――――、使命のために絶対に死んではならないという重みは俺にとっては初めて目にする重みだった」

 

戦場カメラマン「コーイチ、お前は強い。お前は闇に負けない強い心を持っている。機械の身体になっても戦い抜く強い意志がある」

 

ロボット職員「で、でも、僕の代わりに闇怪獣を倒すために“光”をウルトラマン80に渡した時に戦いの記憶が全て失われて、16年間の重みが全て消えて楽天的になったって言われているんだけど……?」

 

戦場カメラマン「それは肩の力を抜いただけだ。だからこそ、新たな脅威に対して先入観をなくして冷静に対処することができるようになっているように俺は思う」

 

神代キヴォトス人「まあ、そうであろうな。ウルトラマンになれないくせに 先輩風を吹かせて ああだこうだ 口出しすることがないだけでも、特捜チーム【スーパーGUTS】の新人隊員を卒業して立派な戦士へと成長していることが見て取れるぞ」

 

神代キヴォトス人「大手柄であったな、コーイチよ。今回のラフレイア討伐は」

 

戦場カメラマン「ああ。あの場に居てくれて本当に助かったぞ、コーイチ」

 

ロボット職員「い、いやぁ、あれはGUTSガルーダの性能が良かっただけだし、迂闊に攻撃しちゃいけないらしいから上空で待機していただけであって……」

 

戦場カメラマン「これからも頼りにさせてもらうからな、コーイチ」

 

神代キヴォトス人「アビドス砂漠で運用できる唯一の対怪獣兵器の操縦士としての今後の活躍に期待しているぞ、コーイチよ」

 

神代キヴォトス人「ポッドカーで直通になったとは言え、いつまでも【アビス】を留守にしているわけにはいかんからな、我としては」

 

ロボット職員「は、はい!」

 

 

神代キヴォトス人「というわけで、ここにあるのは我が在庫として持ってきたスパークレンスだが、お主が休養をとっている間、しばらくお主の持つエボルトラスターに触らせてはくれんか?」

 

 

戦場カメラマン「……いいだろう」スッ

 

戦場カメラマン「この状態でもビーストの居場所を特定することができるから、すぐに返してくれ。それと、キヴォトスに来て初めて知ったことだが、他にも特徴的な波動を放つ怪獣の出現にも対応しているらしい」

 

戦場カメラマン「あと、まだ見せたことはないと思うが、エボルトラスターとは別に渡されたものがこのブラストショットだ」

 

ロボット職員「え、変身アイテム以外にもウルトラマンから渡されたものがあったんですか!?」

 

神代キヴォトス人「ほう、これは非常に興味深いな。宇宙の神秘が与えた護身用の武器とはな――――――」

 

 

こうしてアビドス砂漠に現れた謎の銀色の巨人:ウルトラマンネクサスの解明も同時に進められることになり、この時の交流によって得られた知見によって後にとんでもない超兵器が完成することになるのはそう遠くない未来の話であった。

 

そして、怪獣無法地帯となったアビドス砂漠を攻略する足掛かりとなる【アビドス高等学校】が治める新アビドス自治区の発展も進んでいくことになり、【アビドス対策委員会】を取り巻く環境も目まぐるしく変わっていくことになる。

 

しかし、それ以上にもっと大切な出会いが北条先生の二度目の【アビドス】訪問を兼ねる【トリニティ総合学園】のアビドス遠征への参加を前に訪れることになった。

 

それは僕にとってはかけがえない『前回』の仲間との再会であり、後に【トリニティ総合学園】で救世主にまでなった“宇宙の帝王”の登場(リング・イン)であった――――――。

 

 




-Document GUYS feat.LXXX No.13-

ノーチラスタイプビースト:メガフラシ 登場作品『ウルトラマンネクサス』第33話『忘却-A.D.2004-』第34話『封鎖-A.D.2009-』第35話『反乱-リボルト-』登場
分類にある通りのオウムガイ(ノーチラス)や名前の元ネタとなるアメフラシ等の軟体動物を融合させたような その手のものが苦手な人が嫌悪感を覚える外見をしている。
宙に浮いている時は逆三角形のシルエットになる上下逆さまの状態になっており、その状態で特にこれといった制御器官がないように見えるのにウルトラマンに匹敵する飛行能力を発揮している。
地上では背中の巻き貝や放電器官が上になる三角形のシルエットとなり、一言で言うなら巻き貝を背負ったヤドカリのような姿をとる。

最大の武器は虹色の波動:無重力光線で、スペースビーストなので これで人間を吸い上げて捕食する。
また、周囲に虹色のオーロラのような特殊位相空間を発生させる能力を持ち、この空間の中では一定以上の質量を持つエネルギー兵器はすべて無効化されてしまう。
よって、ナイトレイダーやウルトラマンネクサスのビーム攻撃は全く効果がないどころか、ジュネッスブルーのメタフィールドすら展開することができなくなる。
その他、貝殻の先端から発する電撃や、体を高速回転させての体当たりなどを武器とする。逃走時はこの高速回転で地中へ潜ることも可能。
そして、この見た目でウルトラマンに匹敵する飛行能力を有しており、遠距離からは無重力光線、近づいてきたら電撃攻撃、急降下攻撃として巻き貝のドリルアタックなど、地上戦よりも空中戦を得意とするスペースビーストである。


来訪者達のポテンシャルバリアの力が弱まってきたため、アンノウンハンドによって初めて市街地に送り込まれたビースト。その目的はネクサスの抹殺。
青葉ニュータウンの上空に出現し、住民を虹色の無重力光線で吸い上げて捕食しようとするが、ネクサスによって阻止。
初戦はすぐに撤退、2戦目では肉体の限界に近づいていたネクサスに優勢となるが、ナイトレイダーの援護で逆転し、地中に逃走。
3戦目はガルベロスと組んでネクサスを追い詰めようとしたが、2戦目のダメージで特殊位相空間を発生させることができなかった。
これにより、ダメージを防ぐようになったネクサスとナイトレイダーにはまったく歯が立たず、最後はハイパーストライクチェスターのハイパーストライクバニッシャーによって消滅した。
しかし、その死体はガルベロスと共にアンノウンハンドに取り込まれ、イズマエルのパーツになった。


ブルームタイプビースト:ラフレイア 登場作品『ウルトラマンネクサス』第9話『警告-ワーニング-』第10話『突入-ストライク・フォーメーション-』登場
黄色い巨大な花が特徴的な植物型のスペースビースト。弱点となるが同時に厄災が詰まっている花粉袋を目立つように背負ったフォルムとなる。
日中は地底に身を潜めているが、夜になると地上に出て活動する夜行性のビーストで、ダークファウストの指示に従って行動している。

武器は花弁から放出する猛毒の黄色い花粉で、この花粉は付着すると瞬時に気化して超高熱を発し、付着した物を瞬く間に炭化させてしまう。しかも可燃性な上、花粉自体の質量が水素と同等と非常に軽く拡散しやすい。
背部の花粉袋が弱点なのだが、この部位が誘爆すると花粉が広範囲へ撒き散らされて大惨事を引き起こす為、下手に攻撃できないという厄介な特性を持っている。
このため、ナイトレイダーはウルトラマンネクサスが出現してラフレイアをメタフィールドに閉じ込めるまで待ち、ストライクチェスターでメタフィールドに突入した上で殲滅する作戦を強いられる。
しかし、この時点でナイトレイダーはネクサスを敵視していた為、ネクサスが彼らに都合よく動いてくれるかは未知数な状況でもあった。


Episode.09にて、ネクサスと交戦中のダークファウストを援護するように出現。
ナイトレイダーはまだ上記の性質を把握していなかったのでクロムチェスターαが攻撃を仕掛けたが、ネクサスが阻止した事で誘爆は免れた。
ネクサスは花粉の拡散を抑えるためメタフィールドを展開するも、ファウストはそれをダークフィールドに変換する。
ラフレイアはフィールド内でファウストと共にネクサスを挟み撃ちにするが、ファウストがネクサスのパーティクルフェザーを受けて足に大ダメージを負ったため撤退。ラフレイアも同時にフィールド内から姿を消した。

続くEpisode.10では山中に出現し、ネクサスはナイトレイダーの作戦通りにメタフィールドを展開するが、やはりファウストが現れダークフィールドに変換されてしまう。
今回は2対1の優位を生かしてネクサスを集中攻撃し、ファウストが後ろから羽交い絞めにした隙にネクサスへ花粉を浴びせて苦しめる。
しかし、ストライクチェスターに搭乗した孤門がネクサスにアイコンタクトした後、弱点である花粉袋へとストライクバニッシャーを照射。
ネクサスが肘打ちでファウストから逃れた直後、貯蔵されていた花粉が粉塵爆発を起こしたラフレイアは、そのまま大爆発を起こして死滅した。その際の爆風に巻き込まれたファウストも大ダメージを受けたため、その場より離脱した。

その後、他のビーストと同様イズマエルの一部となり、イズマエルの右腕に花弁が移植されており、そこから同じく花粉をまき散らし、これでジュネッスブルーを苦しめてダウンするまで追い詰めるきっかけとなったため、その攻撃性能はスペースビーストの中でも指折りのものとなる。






――――――ついにキヴォトスにも出現するようになった“異生獣”スペースビースト!

300万年前のダークマター漂う未知のアンバランスゾーンに惑星が突入した時代の文明に多大な被害をもたらしたブルームタイプビースト:ラフレイアを惑星守護神:ギガデロスが遺跡に封印して平和をもたらしたことが語られており、
ラフレイアを封印まで追い込んだギガデロスが凄いのか、ギガデロスをもってしても消滅させることができなかったスペースビーストがヤバいのかは読者の判断に任せるが、
スペースビースト特有の驚異的な生命力と知的生命体の恐怖を餌とする習性によって、迂闊にも異生獣:ラフレイアの脅威をペラペラと語ってしまったことで恐怖心を抱いた小鳥遊 ホシノの感情を吸い取って悠久の刻を経て復活を遂げてしまった。
同時に発せられたビースト振動波によって別の異生獣:メガフラシが襲来することにもなり、闇怪獣とはちがった方向性で不死身に近い異生獣の脅威に晒されることとなる。

しかし、復活した惑星守護神:ギガデロスと新戦力:GUTSガルーダの援護もあって、同じ日に金属生命体:アルギュロスとも戦って連戦となっていたウルトラマンネクサスは辛くも撃破に成功するのであった。

というより、どちらもスペースビーストの中では比較的弱くて生温い方に分類されており、ラフレイアもメガフラシも防衛チーム【ナイトレイダー】によって撃破されているので、万全の状態で1対1の戦いとなればウルトラマンネクサスが苦戦するような相手でもなかったのだ。

また、今回の場合はスペースビースト殺しのウルトラマンネクサスの能力を更にメタる能力をもったメガフラシの光線技封じの虹色のオーロラが発動する前に、姫矢が戦ったことのない未知のスペースビーストということでそういった厄介な能力を持っていることも知らないまま、ウルトラマンネクサスの猛攻で何度も砂漠に叩きつけられて本領発揮する前に撃破されているため、復活したばかりで本調子でないラフレイアよりも不甲斐ない結果となっている。
メガフラシの方もネクサスの抹殺を目的としたスペースビーストなだけに適切な運用がされていれば相当な脅威になっていたのだが、今回はラフレイアが偶発的に復活したのに釣られて現れただけに過ぎないので、先生の指揮を受けていない生徒のごとく適切なタイミングで能力を発揮することもなく散っていった。

一方で、復活したばかりのラフレイアは本調子でないどころか、弱点がはっきりし過ぎているスペースビーストであり、災厄を撒き散らす花粉袋の処理方法さえ実施できれば、防衛チームの攻撃で花粉袋を粉塵爆発させて自滅させることができるため、倒すこと自体は極めて簡単な部類のスペースビーストであった。
それでも、スペースビーストの驚異的な生命力と対処に困る花粉袋の処理の問題を解決できないと間違いなく 有機生命体で満たされた この世界が滅亡することになるため、
メガフラシがウルトラマンネクサスの能力をメタった強敵だったなら、ラフレイアは世界を人質にとる特性で対処が困難な強敵だったと言える。
それでも、そういう一芸特化のスペースビーストであったため、まともに戦ったらウルトラマンネクサスがまず負けることはないだろう程度の戦闘能力しか持っていないことが災いして、
せっかく現代に復活することになったラフレイアだったが、有機生命体を死滅させる花粉がまったく効かないロボット怪獣:ギガデロス相手に白兵戦でボコボコにされ続ける生き地獄を再び味わうことになった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。