Blue Archive -Document GUYS feat.LXXX- 作:LN58
――――――ああ、もう間もなくだ。ずっと待っていた。
僕はその日を待ち続けていた。今の僕にとってはこの日が来るのを一番の楽しみにしていたぐらいだった。
『前回』僕にとっては最初の大事件であった【アビドス対策委員会】の支援要請から明るみになった【カイザーコーポレーション】の陰謀を『今回』“シャーレの先生”であり“GUYSの先生”である北条先生の手腕によって考えられる限りで一番最善の方法で丸く収めることに成功し、
次の【ゲーム開発部】の依頼から始まる“名もなき神々の王女”と“天童 アリス”をめぐる キヴォトスの未来を懸けた一大決戦が行われるまで かなりの時間の余裕が生まれていた。
残念ながら、どれだけ【アビドス】の問題をスピードクリアしたところで、【廃墟】に眠れる未来の勇者と厄災の問題における最適解を出すためには こればかりは時期を待つ他なかった。
その間、今は怪獣無法地帯と化したアビドス砂漠の攻略に取り掛からなければならないという現実的な理由で未だに【アビドス】に居続けており、『前回』とは様変わりしていく 砂一つない綺麗な街並みへと新生した【アビドス】を見守ることを楽しみにしていた。
正直に言って、元々の依頼は支援要請でしかないので【カイザーコーポレーション】の魔の手から救い出した以上は【連邦捜査部
怪獣退治を請け負う【キヴォトス防衛軍】としては怪獣無法地帯と化したアビドス砂漠を放置するわけにもいかず、その攻略の足掛かりとして【アビドス高等学校】の独立自治を支援して万全の防衛体制の構築をしなくてはならない状況にあったため、
今回のアビドス遠征は辛うじて【アビドス高等学校】が消滅していなかったおかげで円滑に【キヴォトス防衛軍】の進駐が認められたものの、実態としては存在していただけマシな程度でしかない【アビドス対策委員会】のケツ持ちをやらされることになっていた。
そのため、明らかに資金と資材の投下が著しい【アビドス】に対して不満の声が高まっており、怪獣災害の発生で【アビドス】から逃れてきた不良生徒や傭兵バイトによってキヴォトス各地での犯罪発生件数が上昇したことも合わさり、『依怙贔屓が過ぎるのではないか』という論調が出てくるのもしかたがないことだった。
もちろん、キヴォトスの頂点に立つ存在として崇められている北条先生の説明は 小学校の先生が本職かつ動画配信者としても一流なだけに 誰にでもわかるように簡潔かつ明瞭なものとなっており、
怪獣無法地帯と化したアビドス砂漠を攻略しないことには、キヴォトス全土が【アビドス】上空の電離層から現れ続ける変形闇怪獣:ガゾートに襲われる危険性があることを様々な角度で検証し、何度も訴えて印象付けているので、みんな 頭では【アビドス】の支援の必要性は理解しているのだ。
それでも、かつてキヴォトス最大の学園としての繁栄と栄華を極めていたのが【アビドス高等学校】の歴史なのだ。
北条先生が現れて一定の秩序と平和を取り戻すまで銃犯罪が日常茶飯事のキヴォトスにおいて『繁栄と栄華を極めていた』というのは、それだけ他の学園にとって脅威となり得たわけであり、
砂漠化が始まって数十年でかつての勢いは完全に失われ、もう一度 キヴォトス最大の学園だった時の栄光を取り戻せるかどうかなんて言うまでもなく、ましてや在学生がたった5人の廃校寸前の弱小勢力までに落ちぶれているのだ――――――。
それでも、キヴォトスの歴史に燦然と輝く【アビドス】の栄光はキヴォトス中が経験した現実のことであったため、万が一にも【アビドス】の復活が果たされた場合、自分たちに与える影響のことを どれだけ頭の中で可能性を否定しても 心理的には拭い去れないのがキヴォトスの生徒たちの本音であった。
事実、【アビドス】という過酷な環境で鎬を削り合った不良生徒や傭兵バイトの実力はキヴォトスの平均を上回っており、それによってキヴォトス全体の犯罪発生件数が上昇することになったので、数十年に渡る砂漠化と共に風化したはずの【アビドス】の脅威を再び現実のものと捉えることになるのは自然なことでもあった。
何よりも、そんな実力派揃いの不良生徒や傭兵バイトが屯している中で最後まで抵抗し続けて【アビドス高等学校】を存続させ続けた少数精鋭の【アビドス対策委員会】の実力の高さもこれを機に内外に知れ渡るようになり、特に【アビドス対策委員会】委員長:小鳥遊 ホシノの名も巷で有名となるのも時間の問題であった。
――――――そう、今や小鳥遊 ホシノは“アビドスの英雄”として各学園の最高戦力が注目する存在になっていたのである。
神代キヴォトス人「ああ、臭い臭い。お前たちからは相変わらず死臭がして嫌になるな」
黒見 セリカ「何よ! それはもうわかったから、顔を合わせる度に面と向かって言わないでくれる!?」
神代キヴォトス人「だから、臭い消しと開運を兼ねたアロマキャンドルを用意してやっているだろう。かなり貴重な代物なのだからな、毎回 真剣に己の死の運命と向き合って欲しいものだ」
十六夜 ノノミ「はい。いつもいつもありがとうございます、サーベラス様。今日のアロマキャンドルも良い匂いですね」
砂狼 シロコ「ん、たしかに昨日までの嫌な気分が一瞬で落ち着く感じがする」
奥空 アヤネ「それでは みなさん 揃いましたので、【アビドス対策委員会】の定例会議を始めます」
神代キヴォトス人「お前たち、最近の【アビドス】に対する世間の動向については調べたか?」
神代キヴォトス人「我が思うに、お前たちの死の運命はすでにここから始まっているように思うぞ」
奥空 アヤネ「はい。ホシノ先輩のことですよね」
黒見 セリカ「そうね。ホシノ先輩が卒業した後が怖いわね……」
砂狼 シロコ「ん、一部の情報サイトではホシノ先輩の強さが広まっていて“アビドスの英雄”って言われている……」
十六夜 ノノミ「裏を返すと、ホシノ先輩が卒業した後の【アビドス】が狙い目とも……」
神代キヴォトス人「そうだ。これまで5本の指で数えられる程度しか生徒がいなかった【アビドス対策委員会】だけで【アビドス高等学校】を守り抜けたのは、一番は小鳥遊 ホシノの強さと献身あってのものだ」
神代キヴォトス人「今回、怪獣災害の発生と新アビドス自治区の成立によって大規模な住民の移動が発生した結果、小鳥遊 ホシノが長年に渡って自治区の夜回りをしていたことが多くの人たちの目に留まることになり、それが【アビドス対策委員会】への評価と信頼に繋がったというわけなのだ」
神代キヴォトス人「事実、今や【ゲヘナ学園】の天下と言われるほどに名声を得ている【万魔殿】議長:羽沼 マコトや最高戦力の【風紀委員会】委員長:空崎 ヒナといった大物がわざわざ顔を見に来たのもそのためなのだ」
奥空 アヤネ「はい。この次に来る【トリニティ総合学園】の方々も、そのはずですよね」
砂狼 シロコ「でも、それは言い換えると私たちは誰からも注目を受けていないことになる……」
神代キヴォトス人「いや、一定の評価は受けてはいるぞ、お前たちは。なんだかんだで【アビドス対策委員会】の一員として過酷な環境の中でもやり抜いてきているのだからな」
神代キヴォトス人「それでも、お前たち4人が集まったところで、小鳥遊 ホシノ一人の実力や功績には並ばないというのが世間の評価だ」
十六夜 ノノミ「だから、ホシノ先輩が抜けた穴のことを今から考えて対策しておかないと、せっかくホシノ先輩が守り通した【アビドス】がまた喰い物にされるわけですね……」
黒見 セリカ「それって、来年になって新入生が増えたとしても安心できないってことよね……」
黒見 セリカ「ああもう! どうしたらいいってのよ!? 私たちしか上級生がいないところに、新入生を装ったスパイが大量に送り込まれて占拠されたら、どうしようもないじゃない!?」
神代キヴォトス人「そう、正攻法ではもう勝てないぞ」
神代キヴォトス人「そもそも、小鳥遊 ホシノを除いてお前たちの方が特殊な事情で廃校まで秒読みになった【アビドス】に望んで入学した物好きなのだからな。【アビドス対策委員会】自体が
奥空 アヤネ「相変わらず手厳しいですね、サーベラス様の評は」アハハ・・・
十六夜 ノノミ「でも、みんな、ホシノ先輩が一人でがんばっている噂や評判を聞いて入学を決めたようなものだから、そろそろホシノ先輩を中心にした私たちの学園生活のその先を見据えないとダメですよね」
神代キヴォトス人「そうだ。お前たちが怪獣災害を機に世間から注目を集めるようになったように、お前たちもまた広い世界へと目を向けるようにもなったことだろう」
神代キヴォトス人「そして、たった一人であっても【アビドス】を守り続けた小鳥遊 ホシノの勇姿に惹かれて、お前たちはここに集まったことを 今一度 思い出すがいい」
神代キヴォトス人「結局は理屈や計算ではないのだよ、
――――――そして、我らが信奉する“光”というのは。
戦場カメラマン「それで、俺にアイデアを訊きに来たわけか」
砂狼 シロコ「ん、ホシノ先輩のことをよく知っている姫矢さんなら、今年で卒業することになるホシノ先輩の気持ちがわかるんじゃないかって」
戦場カメラマン「いや、俺が知っているのは【アビドス生徒会】副会長になった新入生のことだけだ。今のホシノのことは俺にもわからない」
戦場カメラマン「怪獣災害によって環境が激変しているわけだからな。今までの人生や【アビドス】の歴史の中でも起こることがなかった天変地異を受けての感情の変化を読み切れると思うのは傲慢なことだと俺は思うぞ」
砂狼 シロコ「でも、このままだとホシノ先輩が卒業した後の【アビドス】がどうなるのかまで考えて、ホシノ先輩が安心して卒業することができなくなる……」
戦場カメラマン「……それはたしかに由々しき問題だな」
戦場カメラマン「そうだな、戦場カメラマンの俺から言えることは――――――、外交の基本は安全保障条約を結んで抑止力を得ることだ。それで領土面積が小さいように見える小国であっても世論や連合を味方につけることで大国と渡り合うことができるようになる」
戦場カメラマン「たとえば、これから【トリニティ総合学園】のトップたちと会談して支援の約束を取り付けるだろう。他にも【ゲヘナ学園】とも すでにそうしているな」
戦場カメラマン「その時の縁を大事にして、損得勘定抜きで助けに来てもらえるような友好関係を築いておくのが一つの生存戦略になるぞ」
砂狼 シロコ「ん、なるほど、参考になる」
戦場カメラマン「そう。人から人へと繋がっていく絆から絶望的な状況を打開する案が見つかるというものだ」
戦場カメラマン「だから、人が集まる場所には才能が生まれるわけで、できるだけ多くの人たちと意見を交わして見識や人脈を広げていくと、将来 何かあった時に助けとなってくれるかもしれない」
戦場カメラマン「具体的に考えるとなると、お前たちは一度【アビドス高等学校】がキヴォトス最大の学園として【旧キヴォトス
砂狼 シロコ「…………?」
戦場カメラマン「つまり、キヴォトスにはいろいろな政体の学園が存在していて、その中にはそれぞれ独自のルールを定めている部活や委員会が連合を組むことで1つの学院として成立している【百鬼夜行連合学院】なんてのがある」
砂狼 シロコ「――――――【百鬼夜行】か。聞いたことはある」
戦場カメラマン「先程の生存戦略で言うなら、たった5人しかいない【アビドス高等学校】を学園の垣根を越えた生徒たちの同盟の一部にすることで集団防衛を実現させるというのが理想だろうな。どこかの学園の傘下になったところで旨味はないことは知れ渡っているから、ここは外交力で生存戦略を認めさせるしかない」
砂狼 シロコ「なるほど!」
七神 リン「結局、砂漠化が解決したところで【アビドス高等学校】に自治区を治めるだけの能力がなければ生徒不足も相まって廃校は免れませんが、先生としてはいつまで【アビドス】の支援を続けるつもりなのですか?」
北条先生「結論から言えば、【キヴォトス防衛軍】による委任統治を【アビドス生徒会】が決議するまでです。言い換えれば、自治権の放棄を宣言するまで」
北条先生「要は、現在の【アビドス対策委員会】の全員が卒業するまでは面倒を見るつもりです。まともな政治体制ではないにしても、その主権は尊重されるべきものですから」
北条先生「そして、僕はあくまでも怪獣退治の専門家であって、万全の防衛体制の構築のために【アビドス】の独立自治の支援をしているだけで、何の必要性もない場所だったら、ここまでのことは絶対にしません。やるだけ予算の無駄なのはわかってますから」
北条先生「それでも、『アビドス砂漠に眠る災厄を取り除く』という人類共通の使命のためには、今は【アビドス】を怪獣無法地帯の攻略の足掛かりとして何としても維持しないと、キヴォトスの明日のことは語れません」
七神 リン「……あくまでも現在の【アビドス対策委員会】が在籍している3年間だけの慈善事業というわけですか」
北条先生「こればかりはサーベラス様のおかげで砂漠化を解決できたとしても、あらためてアビドス自治区に住みたいと思う人たちがいるかどうかを予測できないので、確実に言えることとしては こうとしか言えないです」
北条先生「もちろん、アビドス居住区のライフラインは今でも復旧は可能です。あくまでも砂に覆われただけで砂が直接的にライフラインを破壊したわけではないので、砂漠化を解決して美化活動をやり続けて何十年もすれば、キヴォトス最大の学園を築き上げた元の豊かな土壌が再び日の目を見ることでしょう」
北条先生「ただ、そこまでのことができる余力がある勢力が実際にいるのかが問題となりますね」
七神 リン「そうですね。もしも砂漠化が解決したとなれば、その頃には【アビドス高等学校】が消滅しているだろう 豊かな土壌の再利用を目論んで進出しようとする学園や企業が殺到すると思いますが、肝腎の美化活動を積極的に行うかどうかまでは読み切れませんね」
北条先生「要するに、今の【アビドス高等学校】への需要は【キヴォトス防衛軍】への供給によって成り立っているので、怪獣無法地帯だと言われるうちが華なんですよ。特需というやつですよ。長続きするわけがない」
北条先生「だから、僕は最終的かつ不可逆的な解決に向けた最低限のゴールとして【アビドス対策委員会】が円満に店を畳むことができる選択肢を1つだけ提示すると同時に、僕には思いつかなかった未来を自分自身で掴み取れるように積極的に機会を与えることに決めたんです」
北条先生「そのために、僕は支援の約束を取り付ける以上に【ゲヘナ学園】や【トリニティ総合学園】の面々と引き合わせる機会を作ったんです」
北条先生「結局、政治というのは人が人に向けてやることですから、人と人の繋がりが人々の明日を作り上げていくことになるんです」
ロボット職員「うっ、くぅう……」ガクッ
秤 アツコ「コーイチ!」
神代キヴォトス人「そこまでだ。今日はこれぐらいにせよ」
ロボット職員「……わ、わかりました」ゼエゼエ ――――――青銅のスパークレンスを台に置く。
神代キヴォトス人「そもそも、お主はGUTSガルーダを遠隔操縦できる唯一の存在なのだから、我としてはもうGUTSガルーダ専任でもかまわんぞ。あれは火力も十分だし、それもウルトラマンになるのと同じぐらい特別な能力ではないか」
神代キヴォトス人「事情が変わったのだ。お主は無理に“光”になる必要はない。お主は十分に人を導くことができるのだから、どっしりと構えてキヴォトスの子らを正しく育て上げよ」
ロボット職員「で、でも、姫矢さんはスペースビーストが現れたら絶対に命を燃やしてメタフィールドを使うことになるんです! 僕だって“
神代キヴォトス人「よさんか!
神代キヴォトス人「あれは宇宙の神秘に相当する上位存在の“光”なのだ。我が光の勢力においても伝説の存在が姿を現したということは、最小限の効率で最大限の成果を発揮するのが英知の采配の常であれば、上位存在が必要だと判断したからこそ、
神代キヴォトス人「当然、
神代キヴォトス人「つまり、それは我々のことだ。我々が
神代キヴォトス人「ならば、過酷な試練を背負わされた彼の者を真に想うなら、彼の者に救われていることを喜び褒め称えよ。それが一番の心の支えとなるであろう。賛美せよ」
ロボット職員「………………」
錠前 サオリ「サーベラス様、誰も惑星守護神:ギガデロスを動かすことができなかったぞ」ガチャ
神代キヴォトス人「ああ、そうか。ご苦労であった、サオリ」
錠前 サオリ「ギガデロスを【アビドス】の保有する対怪獣兵器にすることで地位向上を目指してみたが、動かせないことにはどうしようもならないな……」
神代キヴォトス人「そうだろうな。ロボット怪獣の電子頭脳と“光”となって一体化するのは機械的に一定の波長に
神代キヴォトス人「機械と一体化する時に融通が利かないのが“光”の弱点となる。逆に“闇”の場合は機械を支配するのは簡単だ。“闇”の特性で現実の現象を歪めて電子回路を変な風に繋ぐことができるからな」
神代キヴォトス人「まあ、無理だったのならしかたがない。他にも使えそうなのが眠っていたら、その都度 試すとしよう」
神代キヴォトス人「で、コーイチよ。【ミレニアムサイエンススクール】の“ビッグシスター”に製作を依頼したものの開発の進捗はどうか――――――」
砂狼 シロコ「ん、サーベラス様のようにギガデロスを動かすことができなかった……」
奥空 アヤネ「さすがにドローンの操作と同じようにはいきませんでしたね……」
黒見 セリカ「せっかく対怪獣兵器をこの手で動かす機会をもらえたのに、うんともすんとも反応がなかったのは何だか悔しい……!」
十六夜 ノノミ「一応、自動操縦モードがあるみたいですけど、300万年前のアンバランス期の文明とは様変わりした現代のキヴォトスのことを学習させないと無差別殺戮に繋がるという警告も受けてますから、自動操縦モードで怪獣を倒してもらうなんて甘いことは無理ですからねぇ……」
十六夜 ノノミ「次も何かしら見つけることができたら優先して機会を提供してもらう約束はいただいてますから、今回のギガデロスはみんな相性が悪かったということでサーベラス様の手に委ねましょう」
黒見 セリカ「ま、まあ、“惑星守護神”なんて大層な二つ名だし、【アビドス】のためだけに使うのはもったいないと思うし、サーベラス様の手で有効活用してもらった方が良いに決まっているわ」
奥空 アヤネ「そうですね。そういう意味では次の遺跡の調査が楽しみです」
砂狼 シロコ「でも、それまでは私たちにできることは何もないから、しっかりと今後のことを考えないとホシノ先輩が安心して卒業していけなくなるから……」
砂狼 シロコ「だから、考えた。サーベラス様が言うように、私たち【アビドス対策委員会】はそもそもホシノ先輩に惹かれて集まった
黒見 セリカ「……そんな風にサーベラス様に言われたのは心外だけれど、たしかに私たちは自分から【アビドス高等学校】の借金問題をどうにかしようとしていた
砂狼 シロコ「そう、私たちは普通じゃない。普通じゃない生徒たちの集まりが【アビドス対策委員会】であり――――――、ねえ、私たちは普通になりたいと思っているの?」
奥空 アヤネ「…………シロコ先輩」
砂狼 シロコ「サーベラス様ははっきりと『正攻法でどうにかなる次元じゃない』と言った」
砂狼 シロコ「実際、“シャーレの先生”が何とかしてくれただけで、借金返済だけで精一杯だった私たちは自分たちの問題の解決ができなかった」
――――――なら、私たちが目指すべき【アビドス】は
あれ以来、何かに突き動かされるように【アビドス対策委員会】砂狼 シロコは自分でいくら考えてもわからないから身近で信頼できる大人たちにこれからのことをどうすればいいのかを訊いて回っていた。
というのも、事の発端は『このままだと【アビドス対策委員会】の全員が遠からずして死ぬ』という“シャーレの研究員”神代キヴォトス人:サーベラスに下された出会い頭の死の宣告であり、全員が面食らったのだが、
実際に【キヴォトス防衛軍】の進駐によって情報封鎖を突破して自分たちが取り巻く環境について情報収集できるようになると、【アビドス】で必死に借金返済のことだけを考えていればいい気楽な日々から卒業しなければならないことを嫌でも理解させられたのだ。
ようやく【カイザーコーポレーション】との因縁を“シャーレの先生”が断ち切ってスリム化した新アビドス自治区を得て再出発したところで【アビドス高等学校】はあっという間に別の勢力の餌食にされるだろうことが言われていて本当に腹が立った。
そして、ある意味において【カイザーコーポレーション】という巨悪によって【アビドス】が実効支配されていたことによって、それ以外の外敵が入り込むのを防がれていた事実に打ち震えることになり、【キヴォトス防衛軍】も同じ穴の狢だと批判されていたことに怒りが込み上げてくる。
なので、砂狼 シロコは静かな怒りを胸に一人で【シャーレ・オフィス】を訪れることにしたのだ。疑っているわけではない。けれども、今までよりも強く信じたくなったからこそ、確かめずにはいられなくなったのだ。
そこで快く出迎えてくれた“シャーレの先生”であり“GUYSの先生”である地球人:北条 アキラが、相変わらず絶品のケーキセットでもてなしてくれた後、死の宣告もあって まさしく死活問題となった【アビドス高等学校】の今後のことについて砂狼 シロコに助言を与えてくれたのは次のようなことであった。
北条先生「きみたちは現状から未来像を積み上げていく
北条先生「もちろん、過去のデータや実績などに基づいて現状で実現可能と考えられることを積み上げることは堅実な手法ではある」
北条先生「けれども、それは完成図が完成していない状態だとまったく意味がないんだ。目指すべき目標が定まっていないのに何かを毎日がんばっているのを堅実とは言わないはずさ」
北条先生「だから、リーダーシップにおいては まずリーダーが目標を設定して みんなを引っ張っていく展望を内外に見せつけないといけないんだ」
北条先生「つまり、まずはやりたいことやこうなったらいいと思うことをみんなで出し合って明確化しないと、
北条先生「というより、
北条先生「それが未来像から逆算して実現するための過程を敷き詰めていく
――――――ほら、こんなふうに逆立ちをすることができるのが
北条先生「きみたち【アビドス対策委員会】の場合はこの思考の飛躍が貧困だ。その日暮らしのような目先のことしか見えていない。当たり前のようなことをして なんとなくでしか生きていない」
北条先生「でも、【アビドス生徒会】として生徒会活動をするのなら、そんな無計画で無責任で場当たり的な対応で自治区の生徒や住民たちに迷惑をかけちゃいけなくなるんだよ」
北条先生「きみたちはこれから他の学園と同じように生徒会活動をして自分たちの自治区を繁栄させる使命と責任を背負うことになるんだ。そこで住む人たちはどんなふうに暮らしているのかを想像してみて。そして、どうしたらそんなふうになるのかを考えてみて」
北条先生「それがわかったら、支援要請として【連邦捜査部
北条先生「今できることは少ないかもしれない。けれども、自分たちが目指そうとする未来像に向けて努力していけば新たな道が開かれるかもしれない。それが
北条先生「そして、きみたちは無限の可能性を掴みかけている」
北条先生「今はゴールドラッシュ特需で新アビドス自治区に人口が集中して再開発が進んでいるからね」
北条先生「そのために大量の資金と資材が投下されているわけだから、多少の無茶も大目に見てもらえる活況が【アビドス】を席巻しているんだ」
北条先生「変わろうとするのなら、今が絶好の好機ということだ。それに合わせて業者も投資も動くことになるから、自分たちが目指したい未来像に近づける またとない機会が来ているんだよ」
――――――だから、決めることが未来に繋がるんだ。何も決められない者に未来は創れない。
砂狼 シロコ「サーベラス様」
神代キヴォトス人「なんだ、シロコか。何用か」
砂狼 シロコ「ホシノ先輩から聞いた。アビドス砂漠の砂は超古代文明が生み出した秘密を隠すための忘却の砂なんだって」
神代キヴォトス人「ホシノはお前の記憶喪失の原因はそれなんじゃないかと――――――、それで話したのだな」
砂狼 シロコ「ねえ、それでできたコンクリートはまだ持っているよね?」
神代キヴォトス人「ああ、まだ忘却の性質を取り除いていない初期ロットが我が蔵に積んであるが。一応、お前たちが一所懸命に砂集めしてくれたものは 順次 コンクリートにして我が蔵に納められる予定だ」
砂狼 シロコ「それが欲しい。全部」
神代キヴォトス人「……なに?」
砂狼 シロコ「そして、私を強くして欲しい」
神代キヴォトス人「…………!」
神代キヴォトス人「……ふーん」
砂狼 シロコ「……お願い」
神代キヴォトス人「――――――目標は?」
砂狼 シロコ「!」
砂狼 シロコ「次に先生が【アビドス】に来る時に一緒にやってくる【トリニティ】の強いやつを倒せるぐらいに」
神代キヴォトス人「…………そうか。シロコよ、貴方とは波長が合うのかもしれんな」クンクン
神代キヴォトス人「今、わかった。最初からちがったのだな、貴方は。こうして1対1になってわかった」
砂狼 シロコ「え」
神代キヴォトス人「我は“地獄の釜の番人”である。死と生は不即不離。故に、我は埋葬の花と祝福の花の香を嗅ぎ分けられると驕っていたが、貴方は埋葬の花の香を移す者であったか」
神代キヴォトス人「いいだろう。貴方の願いに応えよう」
神代キヴォトス人「だが、我の施しは同時に埋葬の花の香をも強くする」
神代キヴォトス人「忘れるなかれ。死と生は不即不離。力を求めれば死と生は更に近づかん」
砂狼 シロコ「うん、それでかまわない」
――――――私は“英雄”でなくたっていい。ただ“英雄”が遺したものを守り通す“番犬”になる。
神代キヴォトス人「これを受け取れ」
砂狼 シロコ「ん、これは――――――?」
砂狼 シロコ「綺麗……」キラ・・・ ――――――それは不思議な輝きを放つ宝石のようであった。
砂狼 シロコ「ん、でも、これって何の宝石……?」
神代キヴォトス人「見えないか? 鏡に映るかのごとく、己自身が。己の名が。己の記憶が」
砂狼 シロコ「あれ、なんだろう、身体に力が漲るのがわかる」
砂狼 シロコ「いや、これが本来の“私”――――――? え、これってどういう――――――?」
砂狼 シロコ「あ、消えちゃった……」スゥウウウ・・・ ――――――手にした宝石が光の粒となって掻き消える。
神代キヴォトス人「――――――“神名のカケラ”という」
神代キヴォトス人「言うなれば、遺伝子に刻まれた太古の記憶を呼び覚ますものだ。思った通り、貴方は我と共通する因子を多く持っているようだ。故に埋葬の花の香から常に死臭が強い」
神代キヴォトス人「たとえ記憶喪失になっていたとしても、本質が変わることはない。それが生まれた時から人生の8割が決まっている“宿命”というものであり、残りの2割で人生を変えていけるのが“運命”というもの」
神代キヴォトス人「そして、神名のカケラは“宿命”と“運命”の間に揺れる人生の中で果たさなければならない“天命”へと立ち返らせる働きを持つ。それが果たして人の世において幸せであるかどうかまでは我にも裁定できぬことだ」
神代キヴォトス人「故に、人生が開かれる力を得た者よ、忘れるなかれ。死と生は不即不離。力を求めれば死と生は更に近づかん」
神代キヴォトス人「だが、それはそれとして、力に恐れず 惑わず 見誤らず、死という絶対の終わりを見つめて生を充足させていくのだぞ」
砂狼 シロコ「あ、それって先生が言っていた
砂狼 シロコ「うん、わかった。何か掴めたような気がする。ありがとう、サーベラス様」
そうして【アビドス対策委員会】砂狼 シロコが【アビドス高等学校】の新しい未来を創り出すために誰よりも力強く選んだことであり、敬愛すべき小鳥遊 ホシノの後を継ぐことを決心した覚悟であり、いろんな人たちと言葉を交わした末に辿り着いた結論が出来上がった。
故に、神代キヴォトス人:サーベラスは確信していた。【アビドス高等学校】を真に救うのは自身と同じく埋葬の花の香を移す者である彼女なのだと。
絶対の終わりである死を司る存在であるからこそ、絶対の終わりを見つめることで新たな道を見つけ出せるのだ。目指すべきものが山のようにはっきり見えており、そこに辿り着けるのなら極論どんな道を通ったっていいのだから迷うことはない。そういうことなのだ。
そういう意味では、情報封鎖された 勉学もまともにできない環境で かと言って大人顔負けの知恵なんてないし、
そう、本人は至って大真面目にやっているので なお始末が悪い思考の持ち主なのだが、発案時点で詳細で実現味のある銀行強盗のプランを提示するなど、自分の名前以外 何も憶えていなかったために【アビドス高等学校】で保護されることになった浮浪児にも関わらず、目的に先鋭化させた自由な発想もできる地頭の良さは恐ろしいものがあったのだ。
そのため、今回の【キヴォトス防衛軍】のアビドス遠征で幸か不幸か、昨今のキヴォトスでも類を見ない大規模テロを企てていた【アリウススクワッド】錠前 サオリや、キヴォトス中に悪名を轟かせる裏稼業のプロである【温泉開発部】鬼怒川 カスミたちと交流を持ってしまったことにより、【アビドス対策委員会】砂狼 シロコの中でとてつもない化学反応が起きようとしていたのだ。
いやいや、これでも【キヴォトス防衛軍】で首輪を繋いで調教してきたので随分とおとなしくなってはいるのだが、良識はあっても常識がない【アリウススクワッド】錠前 サオリと常識はあっても良識がない【温泉開発部】鬼怒川 カスミが【アビドス】に常駐していたものだから、キヴォトス中を震撼させるテロリストの思考やノウハウを吸収していく【アビドス対策委員会】砂狼 シロコの頭の中で止まらないスピードで犯罪的なアイデアが次々と閃くことになったのだ。
そうして閃いた犯罪的なアイデアの数々を親身になって相談に乗ってくれた錠前 サオリと鬼怒川 カスミに話してしまうため、常識がない錠前 サオリは頼られたことで嬉しくなって つい自分の感覚で作戦立案の手助けをしてしまい、良識がない鬼怒川 カスミは面白がって そこから焚き付けるように入知恵をするのだから――――――、さあ大変だ!
結果、信頼できる大人たちから受けた助言を踏まえて、もはや戦友と呼べる他校の生徒たちに相談を重ねたことにより、正攻法では未来がないとまで言われた死の宣告を覆すべく導き出した答えにいずれ誰もが驚愕することになるのだった。それはそう遠くない日のこと――――――。
戦場カメラマン「――――――!」ガバッ
秤 アツコ「あ!」
錠前 サオリ「どうした、姫!?」
秤 アツコ「……この嫌な感じ!」
錠前 サオリ「――――――ビースト振動波だと!? 早速!?」ビーーーーーーー! ――――――ビースト振動波レーダーで警報が鳴り響く!
秤 アツコ「ま、待って、姫矢さん! まだ寝てないとダメだから!」
錠前 サオリ「くそっ! ラフレイアが復活してスペースビーストが連鎖的に現れることになるとは!」
――――――現れたのは3体のスペースビースト!
戦場カメラマン「………………!」
ロボット職員「待って! 待ってください、姫矢さん!」
戦場カメラマン「コーイチか」
ロボット職員「あれ全部がスペースビーストなんですか!?」
戦場カメラマン「ああ、そうだ。1体はガルベロスだが、残りの2体は見たことがない」
戦場カメラマン「だが、最初のスペースビースト:ザ・ワンの因子を色濃く受け継いでいる上級ビーストが群れをなしている……」
ロボット職員「1体1体を完全に倒すためにはオーバーレイ・シュトロームが必要なのに、それが一度に3体も!? メタフィールドに閉じ込め続けるだなんて無理だよ!?」
ロボット職員「この前のラフレイアのように何かわかりやすい弱点はないのか!?」
ロボット職員「――――――これは【アビドス】を放棄すべきか」
戦場カメラマン「ああ、今すぐに四次元都市:フォーサイトに住民を避難させるべきだ。急げ。まだスペースビーストは
ロボット職員「くっ!」
ロボット職員「避難命令を発令! 住民は直ちに避難プログラムに従い、四次元移動列車に乗って四次元都市に避難してください!」カチッ
――――――
――――――
戦場カメラマン「……ギガデロス!」
ロボット職員「はい、聞こえています!」
――――――
――――――
ロボット職員「姫矢さん」
戦場カメラマン「……ああ」スッ
こうして300万年前のアンバランス期の文明の奮闘によって封印されていた1体のスペースビーストが再び新鮮な恐怖の感情を口にしたことによって復活したのを皮切りに、次々と新たなスペースビーストがアビドス砂漠に現れる地獄が幕を開いたのであった。
前回 交戦することになったスペースビーストは 特殊能力に特化していたために直接戦闘ではウルトラマンに圧倒される程度で かつ防衛チームの対怪獣兵器で倒すことができるぐらいの比較的弱い部類ではあったが、
今度のスペースビースト3体は地球で誕生したスペースビーストの始祖たるビースト・ザ・ワンの細胞から生まれた眷属:上級スペースビーストであるらしく、それが徒党を組んで攻め込んでくるとなると付け入る隙などどこにもない強烈な醜悪さと威圧感を行進させていた。
そのため、最初に倒したビーストとしてやりやすい相手であるのは間違いないが、
一方で、
しかし、真っ先に先陣を切ったのは神代キヴォトス人:サーベラスが“光”となって一体化した惑星守護神:ギガデロスであり、この中では防御力が一番低そうなガルベロスを狙うよりも、あえてリザリアスとグアンテラに同時に襲いかかって撹乱するように立ち回ったのである。
惑星守護神:ギガデロスの武器はロボット怪獣とは思えない有機的な形状による運動性と右腕から伸びた剣と左手と一体化した4本指の光線銃による優れた白兵戦能力と300万年前にスペースビーストを封印して現代に復活することができた継戦能力の高さであり、
付かず離れずの距離を維持して左手の4本指の光線銃を乱射して、隙を見せたらビースト細胞に侵食されることがないのが保証済みの機械の身体で勇猛果敢に切り込んでいくことで、スペースビースト3体を単独で翻弄することができていた。
そして、所詮は獣である。それも知的生命体の恐怖の感情を引き出す手段としてそれぞれが捕食に特化した異形であることがスペースビーストの最大の特徴であると同時に、際立った個性が乱立して協調がとれない集団になっている原因にもなっていた。
そう、上級スペースビーストが徒党を組んで襲ってきた絶望的な状況なのだが、戦術レベルで見ると ただそこに怪獣が3体集まっているだけで 1つのチームにまとまっていないため、足並みが揃わずに簡単に攻撃が誘導されて
際立った個性であるからこそ集団戦では全力を発揮しきれなくなるという致命的すぎる戦術的ミスが見受けられ、これだったら通常では下策とされる戦力の逐次投入に見せかけた消耗戦を狙った方が、時間制限が一番の弱点と言えるウルトラマンを楽に倒せる方法ですらあった。
もっとも、今は優勢に見えていても ほぼ無尽蔵に復活することができるスペースビーストの不死身っぷりの前では、さすがの神代キヴォトス人:サーベラスも対抗できるだけの無尽蔵の生命力があるわけではない。極限まで行ってしまえば、先に音を上げることになるのはどちらなのかは最初から明白である。
あくまでもギガデロスの立ち回りの強さを活かして徒党を組んで攻め込んできたスペースビーストの足止めと均等なダメージ配分をこなし、唯一無二のスペースビースト殺しのウルトラマンネクサスにまとめて始末してもらえるように支援に徹しているだけに過ぎない。
――――――やはり、光と闇の戦いの主役は我らがヒーロー:ウルトラマンなのだ。
たしかに単純な能力勝負や真正面からの殴り合いではウルトラマンはスペースビーストに勝てるところはないし、この場においては攻撃力・防御力・機動力においても味方である防衛チームの戦力にすら劣っている面がある。
それでも、ウルトラマンは理不尽な能力を持った怪獣を相手に次々と奇跡の勝利を積み重ねていくことができるのは、人間の似姿であるからこその一芸特化の傾向にある怪獣にはできないような汎用性・柔軟性・将来性といった可能性の一言に集約される
そのため、【アビドス高等学校】が位置する新アビドス自治区を背にした旧アビドス居住区でのウルトラマン・ライドメカ・ロボット怪獣の防衛チームとスペースビースト軍団の3対3の何でもありの乱戦ともなれば、
かつて300万年前の人類をスペースビーストの恐怖から救った惑星守護神:ギガデロスは スペースビースト退治の主役にはなれなくとも 対スペースビーストにおいては 侵食されることなく もっとも安定した戦力となっていた。ウルトラマンとちがって4本指の光線銃を撃ちまくれるのが強く、機動力で撹乱してくるので 相手からすれば 鬱陶しいこと この上ない。
また、これまでキヴォトスで確認されてきた有翼怪獣たちと比べると最高速度は劣るものの、対怪獣兵器としての戦闘能力を重視したGUTSガルーダも上下可動する2門のハイパワーメーサービームキャノンと侵略宇宙人のUFOを解析して実装できた空中静止機能で抜群の命中率を誇る浮遊砲台になるため、対応力に乏しいスペースビースト軍団にとってはこれまた鬱陶しい――――――。
そのため、重装甲を誇る
そして、戦いは対スペースビースト殲滅用戦闘用亜空間:メタフィールドへ――――――。
グアンテラが地中へと逃走した隙に残されたスペースビースト2体をメタフィールドに隔離することに成功したことで、状況は3対2となって数的優位に立つことに成功した。
GUTSガルーダをおまけ扱いするかどうかで見方は変わるが、全員が“光”で結ばれている防衛チームの
肉体の限界から解き放たれた遠隔操縦のGUTSガルーダが意のままに動く変態軌道によって一瞬で高度を下げて真正面から2門のハイパワーメーサービームキャノンをぶっ放してきた時の怪獣の狼狽ぶりは痛快と言えるものがある。
結果、俊敏なガルベロスがそれなりの反撃をしてくるものの、リザリアスの方はハエのように小賢しい動きをしてくるGUTSガルーダとスペースビースト相手に軽快に切り込んでくるギガデロスに完全に翻弄され、戦い慣れたガルベロスの方をウルトラマンが圧倒することになったのだ。
そして、阿吽の呼吸でウルトラマンがガルベロスをリザリアスの方へと
勝敗は決した。理想的な展開でスペースビーストを完全抹殺する ウルトラマンネクサス ジュネッス 最大最強の必殺技:オーバーレイ・シュトロームが炸裂し、上級スペースビースト:リザリアスが特有の青い粒子にまで分子分解され、その粒子が空気中で消滅する――――――。
そのまま隣に寝転んだままのガルベロスにもオーバーレイ・シュトロームを浴びせた、その瞬間だった――――――!
――――――本当に楽しませてくれるなぁ。これが今回の
闇の巨人「使える手駒は減ったが、今回は小手調べ。十分なデータは採れた」シュゥウ・・・ ――――――オーバーレイ・シュトロームをバリアーで防ぐ!
闇の巨人「お初にお目にかかる。小生の名はダーククリプター。いわゆる闇の巨人――――――」
闇の巨人「ぐわあああああああああ!?」ズシャアアアア! ――――――後ろから斬りつけられる!
闇の巨人「ぐわあああああああああ!?」ドッゴーン!
闇の巨人「ぐわあああああああああ!?」ドッサアアアアアアアアアアアアアアアアアア!
闇の巨人「も、戻れ! ガルベロス……!」スッ ――――――ガルベロスは闇となって消える!
闇の巨人「ふ、ふざけるなああああああああああああ!」ヨロッ・・・
闇の巨人「これは小生自身が神の一柱となって“死と苦しみ"の真理を解き明かす新世界を創造するキャンペーンであろう!」
闇の巨人「しかも、まだチュートリアルだと言うのに! この容赦の無さ!
闇の巨人「な、何がおかしい!?」ビクッ
闇の巨人「ま、待て!? 落ち着け! 本気か!?」ゾクッ
闇の巨人「あ、いや、小生はまだチュートリアルということで触りの部分しかやってないから、本格的にこのキャンペーンを攻略しようかどうかは……」
闇の巨人「わかった! わかった! もう終わりにする! だから、これ以上は、これ以上は小生のことは放って置いて――――――!」
闇の巨人「ヒィッ!?」
闇の巨人「はああああ!? それが正義の味方を自称する光の巨人の側が言うことか!?」
闇の巨人「ひ、ひぃいいいいいいいいいいいい! こんなのは聞いてないぞおおおおおおおおお!」
闇の巨人「うわあああああああああああああああああ!」ダダッ ――――――メタフィールドの中で背を向けて逃走!
――――――情け無用のクロスレイ・シュトローム!
こうして 何がしたかったんだか何もわからないまま 新手の闇の巨人:ダーククリプターは撃退され、ガルベロスは回収されてしまったものの、あの様子ではしばらくは表に出てくることはないだろう。実に小物臭が漂う相手だったが、闇の巨人にも本当にいろいろなやつがいるものだ。
結果として闇の巨人:ダーククリプターが遺跡に封印されていた異生獣:ラフレイアのビースト振動波を発信源にしてアビドス砂漠にスペースビーストを送り込んでキヴォトスを侵略しようとゲーム感覚で乗り込んできたのが運の尽きであり、その場に居たのが尽く闇の巨人に対して猛烈な
宇宙の神秘に相当する“光”に選ばれてウルトラマンネクサスに変身する姫矢 ジュンは地球での過酷なスペースビーストとの戦いの中でまさしく悪魔としか言いようがないほどに極悪非道の闇の巨人と死闘を繰り広げてきたことだし、
神代キヴォトス人:サーベラスはまさしく3000万年前の超古代文明を滅ぼした光と闇の最終戦争を知る者であり、それ以前の神代から闇の勢力と戦い続けてきた生粋の光の眷属であるため、闇の巨人は不倶戴天の敵であると同時に誉れをもたらす狩りの対象でもあったのだ。
そして、ネオフロンティアスペース出身の地球人であったロボット職員:マウンテンガリバーに至っては、直接的に闇の巨人に相対したことはなくとも、“
そのため、ウルトラマンネクサスの力が強化されるメタフィールド下で悠長に自分語りをしてきた闇の巨人の言葉には聞く耳を持たず、スペースビーストの餌となる恐怖の感情を生み出すどころか、闇の巨人に対する怒りや闘争心が湧き上がったため、新手の闇の巨人:ダーククリプターの立ち回りはあまりにも下手を打ちすぎたというわけであった――――――。
戦場カメラマン「うっ」ガクッ
神代キヴォトス人「よくやってくれた。ガルベロスには逃げられたが、あのような小心者が率いているのであれば、しばらくはスペースビーストの動きも抑えられたであろうよ」
戦場カメラマン「そうだといいが……」
戦場カメラマン「待て。見間違いじゃなければ、旧アビドス居住区に巨大な剣のようなものが刺さっているように見えるのだが……」
神代キヴォトス人「本当だな。メタフィールドで戦っている間に何が……」
神代キヴォトス人「どういう意味だ、コーイチよ」
神代キヴォトス人「あ」
戦場カメラマン「たしか、作戦ではスペースビーストの1体を遺跡の封印に閉じ込めるんだったな……」
神代キヴォトス人「……そうだったな。それで、あれは何だ?」
カ イ ザ ー ! カ イ ザ ー ! カ イ ザ ー ! カ イ ザ ー ! カ イ ザ ー ! カ イ ザ ー !
神代キヴォトス人「おおっと、何だ、この【アビドス】から聞こえてくるコールは?」
戦場カメラマン「――――――『カイザー』? 【カイザーコーポレーション】のことじゃないよな?」
戦場カメラマン「――――――『“宇宙の帝王”』?」
神代キヴォトス人「ほう? 随分と詳しいみたいだな、コーイチよ? それに久々に朋友に会ったかのように心が弾んでいるな?」
――――――宇宙最強の格闘チャンピオン! グレゴール星人:グレゴリオ! 人呼んで“
ロボット職員「来てくれたんだね、帝王グレイ! やっぱり最高だー!」
ロボット職員「カ イ ザ ー ! カ イ ザ ー ! カ イ ザ ー !」
――――――待たせたな! そうだ! 宇宙に帝王は一人、このオレだ!
カ イ ザ ー ! カ イ ザ ー ! カ イ ザ ー ! カ イ ザ ー ! カ イ ザ ー ! カ イ ザ ー !
-Document GUYS feat.LXXX No.14-
レプタイルタイプビースト:リザリアス 登場作品『ウルトラマンネクサス』第30話『監視者 -ウォッチャー-』登場
ビースト・ザ・ワンの要素を受け継ぐ上級スペースビーストであり、スペースビーストとしては珍しく怪獣の王道である
スペースビーストらしく相変わらず見た目はグロテスクだが、怪獣の王道らしく性格は極めて凶暴で口から火炎熱線を吐く。
しかし、スペースビーストが知的生命体の恐怖の感情を餌とするための手段として捕食に特化した悪質極まるオンリーワンな進化をしてきたことを考えると、極めて没個性と言わざるを得ない。
ガルベロスやノスフェルと同じく、ビースト・ザ・ワンの因子を色濃く受け継いでいる上級ビーストなのだが、前者は再登場が多く、後者は外道ぶりで強い印象を残しているため、リザリアスはイマイチその陰に隠れがちである。そのせいか上記2体と違って商品化にも恵まれていない。
事実、Episode.30冒頭に登場し、ウルトラマンネクサスと戦ったが、シュトロームソードで斬り捨てられて あえなく敗退し、後に出てくる強化形態:リザリアスグローラーの前座に過ぎないのだが、
そもそも、登場エピソードも千樹 憐と吉良沢 優の関係が主軸となっており、戦闘シーンが短く、スペースビーストをスペースビースト足らしめる民間人が被害を受けるシーンなども無いので、やっぱり影が薄い。
フィンディッシュタイプビースト:ガルベロス 登場作品『ウルトラマンネクサス』第6話『遺跡 -レリック-』第17話『闇 -ダークネス-』第18話『黙示録 -アポカリプス-』登場
名前の通り、地獄の番犬:ケルベロスがモデルだが、胸にシロイルカに似た目の無い頭部があり、両肩に犬に似た隻眼の頭部があるという 一般的なケルベロスのイメージからは掛け離れた まさに異形の怪物に仕上がっており、犬にビースト・ザ・ワンの核部分の細胞が取り付いた上級ビーストに分類される。
実際には名前の由来は北欧神話の地獄の番犬:ガルムとギリシャ神話の地獄の番犬:ケルベロスを掛け合わせたものであり、
広義の
スペースビーストらしく何度倒されても復活できる極めて高い生命力と、目から発する催眠波動で幻影を見せる能力を持ち、犬を模した2つの頭部からは180度回転することができる火炎弾を発射する。
また、殺害した人間をビーストヒューマンとして操る能力も持つため、単体でもウルトラマンに対抗できるほどに強力だが、スペースビーストらしく脆弱な人類を翻弄するイヤラシイ能力も兼ね備えた、地球のスペースビーストの始祖たるビースト・ザ・ワンの眷属にふさわしい上級ビーストと言える。
初登場はEpisode.6であり、Episode.1で登場した怪獣はペドレオンなのだが、時系列としては前日譚のビースト・ザ・ワンを除けば姫矢がウルトラマンに変身して初めて戦ったビーストにあたるため、ペドレオンを差し置いて所謂『初戦怪獣』枠の扱いをされている。
後に物語前半の黒幕であるウルティノイド:ダークメフィストが操る別の個体が登場。
殺害した人間をビーストヒューマン化してナイトレイダー隊員を襲わせ、催眠波動で孤門を惑わせてネクサスに誤射させるなど、悪魔のような能力をこれでもかと発揮した。
実戦においては犬の頭部でネクサスの肩に噛み付いて傷を負わせており、この傷が後に姫矢を苦しめる結果となった。
しかし、ダークメフィストが展開したダークフィールドやバリアによる援護で優位に立つも、状況が一転して形勢逆転、孤門と和倉のディバイトランチャーを受けて怯んだ隙にオーバーレイ・シュトロームで倒された。
クラスティシアンタイプビースト:グアンテラ 登場作品『ウルトラマンネクサス』第25話『予兆 -プロフェシー-』第26話『憐 -ザ・サード-』第27話『祈り -プレーヤー-』第28話『再会 -リユニオン-』登場
見た目通りの
三代目
サソリに似た外見で強固な外骨格を持ち、鋭い鋏や長い尾、両手を合わせて発射する青白い光球、尾の先端から放つ火球、腹部から発射される6門の誘導弾など攻撃手段が多彩で、地底から人間を襲うことも可能。
また、防御力に特化したビーストであり、とにかく生き残ってデータを取るという作戦に適しており、ミサイルを回避するぐらいの敏捷性、尻尾を安易に切断されないように収納する機敏さも併せ持ち、攻撃力・防御力・機動力が意外にもバランスよくまとまっている強敵である。
それ以上に印象深いのは、物語前半の黒幕:ダークメフィストがウルトラマンネクサス ジュネッスと相討ちになって消滅し、スペースビーストを使役する存在がいなくなったことで真の黒幕であるアンノウンハンド自らが目まぐるしく介入して かなり丁寧にグアンテラを使役している点である。
そのため、前述のグアンテラの戦闘能力の高さも ダークメフィストのように姿を見せることなく アンノウンハンドがコントロールに集中していたおかげである可能性があり、コントロールされていなければ精彩を欠く動きにしかならなかったと思われる。
変身者が交代して新章が開幕して早々に4話かけて倒すことになった 三代目
初戦ではメタフィールド内でネクサスと戦うが、この時は新たに出現したジュネッスブルーの力を試すために本気を出しておらず、とどめを刺されそうになったところで介入してきたアンノウンハンドに回収される。
2戦目ではアンノウンハンドが展開したダークフィールドGの中で対決し、一度はクロスレイ・シュトロームで致命傷を負うも爆発しなかったため、アンノウンハンドの介入でその場で回復して復活。
腹部に隠していた6つの気門を展開し、そこから追尾性能を持った火球を連続発射して追いつめるものの、続けて放った一斉砲撃は驚異の俊敏性と空中機動をジュネッスブルーが発揮したことによってかわされてしまい、直後に一瞬の隙を突かれてアローレイ・シュトロームを受けて一瞬で分子分解されて爆散した。
ウルティノイド:ダーククリプター
姫矢も知らない新手の闇の巨人であり、スペースビーストと深い関係を持つウルティノイドと呼ばれるカテゴリーに属する闇の巨人の一人。
少なくとも神代キヴォトス人:サーベラスが知る3000万年前の光と闇の最終戦争に参戦した闇の巨人とは異なる存在であり、そこで言及されている闇の巨人とは元々が神代に降臨した光の巨人の抜け殻である巨人像の力を闇の心で利用した結果の
一方で、闇の巨人:ウルティノイドの共通能力としてスペースビーストを使役する能力やウルトラマンネクサスが発生させるメタフィールドを逆利用するダークフィールドなどがあるため、ウルトラマンネクサスと深い因縁があることがわかる。
戦闘能力は基本的にウルトラマンネクサスと互角であり、その上でスペースビースト殺しのウルトラマンネクサスを更にメタった能力の数々によって状況をいくらでも有利にすることができる。
そのため、ウルトラマンの力を上昇させるメタフィールドを逆にスペースビーストの力を増幅させるダークフィールドに置き換えた上で数的優位を常にとれるので、普通に考えると負ける要素がないと言える。
しかしながら、現実にはスペースビーストの餌でしかない人類の必死の抵抗と援護によって状況がひっくり返されることが多々あり、ウルトラマン抹殺を目論んでいながら餌である人類にも要らんちょっかいを出し続けて藪蛇をつつくことになっているため、
劇中ではウルティノイドたちは暗躍して悪逆の限りを尽くしてきたが、結果としてはウルトラマン抹殺のために必要なことと不必要なことの仕分けが徹底しきれていない慢心が己の破滅を招くこととなった。
また、原形の"crypt"はギリシャ語で『秘密』を意味するため、転じて『暗号』を意味するが、英語の"crypt"は他に『地下聖堂』を意味するものとなる。
これは歴史的に西洋の聖堂の床下には石造りの部屋あるいは貯蔵室が作られ、礼拝堂や納骨所として利用され、聖人や高位の聖職者など高貴な人物の棺や遺物などが納められてきたからである。
日本語では『地下聖堂』だが、原義としては正しく『隠し場所』として使われてきた場所が一般名詞化したものである。
そのため、
おそらく闇の巨人になりたてと思われる新手の闇の巨人:ダーククリプターによって一気に3体のスペースビーストが送り込まれてきたため、当初は絶望的な状況とも言えたのだが、
スペースビースト自体が人間を恐怖に陥れるために捕食を手段にしてオンリーワンの個性を際立てた怪獣カテゴリーであるため、互いの強烈な個性が邪魔し合って力を合わせることができないため、基本的にチームプレイには向いていないという戦術的な欠点を抱えていた。
その特性を理解せずに与えられたおもちゃを並べるように数を頼みにして
結果として、投入した戦力のうち、ガルベロスとグアンテラは回収できたものの、
しかし、それ以上に闇の巨人に対して強烈な
そう、いくらスペースビーストやそれを従える闇の巨人が強大であろうと、その力を十分に発揮させることができる精神性が備わっていなければ意味がないのだ。戦いに精通していない素人なら尚更である。
――――――まさしく、『一頭の羊に率いられた百頭の狼の群れは、一頭の狼に率いられた羊の群れに敗れる』というリーダーシップとチームワークの差で戦況が覆された好例となった。