Blue Archive -Document GUYS feat.LXXX-   作:LN58

29 / 50
EP15 繁殖する侵略者を撃て -Ⅰ.移動遊園地(funfair):リトルプラネットの奇跡-

 

 

バララララ・・・

 

 

北条先生「やあ、みんな!」

 

ロボット職員「お待ちしておりました、先生」

 

錠前 サオリ「待っていたぞ、先生」

 

秤 アツコ「みんな、先生がなかなか来ないから待ちくたびれていたよ」

 

北条先生「うん。戻ってきましたよ、【アビドス】のみんな」

 

小鳥遊 ホシノ「やあやあ、また来たね~。おじさん、感激だよ~」

 

十六夜 ノノミ「先生!」

 

黒見 セリカ「先生!」

 

小鳥遊 ホシノ「おおっと」

 

砂狼 シロコ「先生は人気者だね」

 

奥空 アヤネ「はい。私も先生のことを信頼しています」

 

奥空 アヤネ「シロコ先輩もですよね」

 

砂狼 シロコ「うん。先生が【アビドス】に来てすぐに帰った時と比べると、【アビドス】は見違えるぐらいに人でいっぱいになったから」

 

砂狼 シロコ「あ、他にもたくさんの輸送機が飛んで来たよ」

 

奥空 アヤネ「はい。事前の通達にあった通りです。今回は【トリニティ総合学園】と支援の約束を取り付けることになっています」

 

砂狼 シロコ「――――――ついにこの時が来た」

 

 

戦場カメラマン「――――――」パシャパシャ

 

 

バララララ・・・

 

 

聖園 ミカ「――――――『聖園 ミカ、ついに登場~☆』って感じかな?」

 

聖園 ミカ「あ、私と先生の仲だし、アイスブレイクとかはいらないよね?」

 

聖園 ミカ「これからよろしくね、先生」

 

阿慈谷 ヒフミ「み、ミカ様! 挨拶するのはこちらの【アビドス対策委員会】のみなさんですから!」

 

阿慈谷 ヒフミ「あ、みなさん、お久しぶりです。阿慈谷 ヒフミです」

 

阿慈谷 ヒフミ「こちらの方は今回のアビドス遠征に参加することになりました【ティーパーティー】副々ホスト:聖園 ミカ様になります」

 

小鳥遊 ホシノ「うんうん。知っているよ~。まあまあ、私たちとヒフミちゃんの仲なんだし、堅いことはなしでいこうね~」

 

小鳥遊 ホシノ「あ、私が【アビドス生徒会】副会長:小鳥遊 ホシノだよ~」

 

聖園 ミカ「あ、そう。じゃあ、さっさと支援の約束をして部屋で休ませてよね。ずっとヘリコプターの中で窮屈だったし」

 

阿慈谷 ヒフミ「……み、ミカ様!」

 

聖園 ミカ「私、セイアちゃんの名代で来ているだけだしさ、難しいことは事前に 全部 済ませてあるんでしょう?」

 

小鳥遊 ホシノ「あ、いいよいいよ。おじさんも早くお昼寝したいから、さっさと署名なんて終わらせようよ~」

 

聖園 ミカ「へえ。意外と話がわかる方だね、あなたって」

 

小鳥遊 ホシノ「あ、そうだ。折角だから、おじさんと一緒にお昼寝でもしない? いいところがあるんだ」

 

聖園 ミカ「ううん。遠慮しとくね」

 

聖園 ミカ「じゃあ、部屋に案内して。それで さっさと やること やっちゃおう」

 

小鳥遊 ホシノ「うんうん。ここでずっと立ち話をしていてもしかたないもんね」

 

小鳥遊 ホシノ「じゃあ、みんな。遠いところから遥々来てくれた【トリニティ総合学園】のみんなを案内してね」

 

十六夜 ノノミ「わかりました」

 

奥空 アヤネ「こ、こちらになります!」

 

黒見 セリカ「ええ? あれが【トリニティ】の代表なの? あれだったら、まだ【ゲヘナ】の生徒会長の方が愛想が良かったんじゃないの?」

 

砂狼 シロコ「でも、今やキヴォトス一の危険地帯:怪獣無法地帯と隣り合わせの【アビドス】に送り込まれるだけのことはある」

 

砂狼 シロコ「――――――強いよ、あの人。とんでもなく」

 

黒見 セリカ「ええ……?」

 

ロボット職員「――――――ミカ」

 

聖園 ミカ「あ、あれって“教父(せんせい)”だ! おーい!」

 

聖園 ミカ「あ、あとで迎えに来てね、ヒフミちゃん」タッタッタッタ・・・!

 

阿慈谷 ヒフミ「み、ミカ様!」

 

 

聖園 ミカ「おーい、“教父(せんせい)”!」

 

ロボット職員「元気にしていましたか、ミカさん」

 

聖園 ミカ「もう! そんな他人行儀にしないでよ、“教父(せんせい)”!」

 

聖園 ミカ「ねえ、【トリニティ】に帰ってきてくれないの? “教父(せんせい)”がいなくなってから、ずっと退屈していたんだよ、私?」

 

ロボット職員「なら、逆に【連邦捜査部 S.C.H.A.L.E(シャーレ)】の当番に来てくださいよ。いつでも歓迎ですよ、ミカさんなら」

 

聖園 ミカ「そうしたいのはやまやまなんだけどねぇ……」

 

聖園 ミカ「なんか最近の【トリニティ】はメチャクチャでさ、学園で一番偉いホストが居る【ティーパーティー】の言うことをみんな聞いてくれなくなったし、その【ティーパーティー】でも内部で分裂していて、セイアちゃんやナギちゃんはいつも大変そうだった」

 

聖園 ミカ「だからさ、今回のアビドス遠征への参加なんて【ゲヘナ】のやつらがやっていたからって、遅れを取っちゃダメだってことで、副々ホストってことの私がこんなところに送り込まれることになっちゃった……」

 

聖園 ミカ「ホント、馬鹿だよね。別にこんなことで【ゲヘナ】と張り合う必要はどこにもないのに、周りの声がうるさくて ホント 嫌になっちゃう」

 

聖園 ミカ「おかげで、セイアちゃんが病弱を理由に代行をナギちゃんに任せることにしたのに、ナギちゃん、最近 全然 笑わなくなった……」

 

ロボット職員「…………そうですか」

 

聖園 ミカ「そんな辛気臭いところにずっと居たら、私まで息が詰まりそうになるよね」

 

聖園 ミカ「だから、私の気晴らしに付き合ってくれるよね、“教父(せんせい)”?」

 

ロボット職員「ええ、滞在中は大いに羽根を伸ばしてください。今回は【キヴォトス防衛軍】が開発した新技術の民間利用を名目にした慰安旅行も兼ねているのですから」

 

 

聖園 ミカ「じゃあ、デートしよう、“教父(せんせい)”」

 

 

ロボット職員「え」

 

聖園 ミカ「私ね、ちゃーんと いい子でいた ご褒美が欲しいな」

 

ロボット職員「……だから、『デート』?」

 

聖園 ミカ「うん! だって、ズルいじゃん、【ゲヘナ】のやつら! キヴォトス中の憧れの的の北条先生をずっと独占して、パーティーで踊ったり歌ったりキスをしてもらったりしているらしいじゃん!」

 

聖園 ミカ「だったら、こっちは“教父(せんせい)”とのツーショットをいっぱい撮って見せつけてやるもん!」

 

ロボット職員「……それはミッション系のお嬢様学校に在籍する淑女としてはどうなのでしょうか?」

 

聖園 ミカ「いいのかな、“教父(せんせい)”? そんなことを言って?」

 

ロボット職員「え」

 

聖園 ミカ「私だって恋愛小説やレディコミを読んで熱烈な恋に憧れている一人の女の子なんだよ?」

 

聖園 ミカ「今回の慰安旅行ってさ、四次元都市:フォーサイトで開発されたアミューズメントパークを移動させて遊び尽くすって話だったじゃん」

 

ロボット職員「ええ。かつてはキヴォトス最大の学園と豊饒の大地を誇った【アビドス】ですが、今となっては見る影もない荒廃した場所となっており、『怪獣無法地帯を攻略するための防衛拠点に常駐するみなさんがリフレッシュできるように』という先生の心配りから、その先行体験と試験運用を【トリニティ】のみなさんにしてもらいたいのです」

 

ロボット職員「これに成功すれば、キヴォトス中のあらゆる場所で巨大な移動遊園地(funfair)の運営が可能となり、地元住民たちとの交流や経済の活性化に繋がって【キヴォトス防衛軍】の派兵を強力に後押しするものになります」

 

聖園 ミカ「そういう話はいいから!」

 

聖園 ミカ「大事なのは【トリニティ】の女の子を呼びつけてウォーターパークで水着姿になることを強要してきたことだから」

 

ロボット職員「え、いや、別にウォーターパークの利用は任意ですけど。強制ではないですよ」

 

聖園 ミカ「そういう場所を用意しておいて女の子を誘わないなんてウソじゃん! どう見ても誘うように言ってきているじゃん! このために可愛い水着を用意してきたんだよ!?」

 

ロボット職員「まあ、お望みとあれば 監視員として みなさんの安全を見守りますけど、それではダメなのですか? 私、ロボットですので泳げないですよ?」

 

聖園 ミカ「別に泳げなくてもいいよ。重要なのは見せつけてやることなんだから」

 

聖園 ミカ「そのために【正義実現委員会】のみんなには気合を入れて水着を用意させてきたんだから」

 

ロボット職員「え? それはどうして――――――?」

 

聖園 ミカ「ねえ、“教父(せんせい)”はあの見た目で実は恋愛小説や恋愛映画をこよなく愛している【正義実現委員会】の委員長が永遠に憧れに手が届かないまま一人寂しく卒業していくのを可哀想だと思わないの!?」

 

聖園 ミカ「――――――一緒にたくさんの映画を見てきた仲間だよね!?」

 

ロボット職員「そ、それは…………」

 

聖園 ミカ「とにかく、“教父(せんせい)”も【トリニティ】の一員だったんだから、私たちのことをまだ教え子として想ってくれているのなら、“シャーレの先生”も誘って思い出作りに協力して」

 

 

ロボット職員「…………変わりましたね、ミカさん」

 

 

聖園 ミカ「へ」

 

ロボット職員「いつも通りに自分の感情の赴くままに周りを振り回していますけど、少なくとも誰かのためを思っての行動が増えているのではありませんか?」

 

聖園 ミカ「……まあね。怪獣なんてものがキヴォトスに現れたのに、今まで通りの明日が続くわけないじゃん。だから」

 

ロボット職員「なら、まずはお勤めをしっかりと果たしてきてください。全てはそれからです」

 

ロボット職員「ただ、少しだけ立派になったミカさんへのご褒美ですよ、これは」

 

聖園 ミカ「うん!」ナデナデ

 

 

知る人ぞ知る“シャーレの職員”ロボット職員:マウンテンガリバーの前歴は【トリニティ総合学園】に10年以上勤めた職員であり、学園を支配する派閥とは距離を置いて 誰とでも別け隔てなく話し合う 公正中立を貫いた“教父(ファザー)”として高名な人物で在り続け、かえって歴代の派閥の重鎮たちとも親密な関係を築いてきていた。

 

聖園 ミカもまたその一人であり、【ティーパーティー】を構成する三大派閥【パテル分派】の代表を務めており、短絡的な行動をしがちで周囲の人間からは政治には向かないと言われているが、曲がりなりにも派閥のリーダーになれる程度には高い政治力と教養を携えているのもまた事実であった。

 

しかし、【トリニティ総合学園】を導いてきた歴代の派閥の代表たちがそうだったように、複雑怪奇でかつ陰湿で主の教えに忠実であるとは 到底 思えない派閥の内外の人間関係に辟易しており、胸の奥に秘めたものを思いっきり吐き出せる相手として“教父(ファザー)”ロボット職員:マウンテンガリバーの硬い胸板に聖園 ミカはそっと手を当てて目を閉じた。

 

 

――――――そう、言うなれば、それは懺悔であり、罪の告白であった。

 

 

懺悔室が【シスターフッド】の管轄であるからこそ、他所の派閥に弱みを見せられないということで【トリニティ総合学園】でありながら懺悔室を利用できない派閥の重鎮たちが求めた安息の場所こそが“教父(ファザー)”ロボット職員:マウンテンガリバーの聳え立つ壁のような硬い胸板であったのだ。

 

というのも、元々がネオフロンティア時代の地球人だったロボット職員:マウンテンガリバーが()()()()のために【トリニティ総合学園】の新人職員として配属になった時、最初はちょっとした好奇心や興味から新人職員に相談を持ちかけたのかもしれない――――――。

 

キヴォトス人のロボット族にはない異質さや違和感;滲み出る地球人らしさに惹かれることになった 後の【ティーパーティー】のホストとなる 優れた信仰心と才能を誇った新入生から相談という名の懺悔を受けてしまったのが全ての始まりであった。

 

常日頃から敵に隙を見せないように 足繁く通える距離にありながら決して懺悔室を利用することがない 学園内の派閥抗争に明け暮れる【トリニティ総合学園】の生徒たちの荒れた心に歩み寄れる上手い弁がまったく思いつかなかった時に“教父(ファザー)”ロボット職員:マウンテンガリバーがふと思い出したのが、

 

それこそ地球最大の宗教絡みの紛争地帯であったエルサレムの“嘆きの壁”のことであり、壁なんかに向かって祈りを捧げる人々のことを学生時代に教科書や資料集で見た時には鼻で笑っていたのだが、今となってはこうしてミッション系お嬢様学校の生徒からの相談への苦し紛れの回答に利用されることになり、

 

壁の代わりにロボットの硬い胸板に生徒が手をついて身を委ねながら懺悔することで、自身が心の内に抱えているものの重みが物理的に受け止められたという錯覚によって、主の教えとは言葉ではなく体験によって会得するべきものだと相談相手が覚ってしまったのである。

 

その結果、【ティーパーティー】のホストに昇り詰めることになった最初の教え子によって、それが 重き荷を背負った 立場ある生徒たちの心を軽やかにするエセ心理療法となって、派閥に属する生徒たちの間で秘密裏に受け継がれる秘儀になってしまったことに気づくのには数年の歳月が必要となっていた。

 

そう、“教父(ファザー)”ロボット職員:マウンテンガリバーとは【トリニティ総合学園】においては“嘆きの壁”であり、当初は硬い胸板に手をついて身を委ねがら懺悔する対象であったのだ。

 

 

――――――しかし、“嘆きの壁”とは言い得て妙である。

 

 

教父(ファザー)”ロボット職員:マウンテンガリバーの正体は『前回』“シャーレの先生”として“連邦生徒会長”にキヴォトスの未来を託されて奮闘していた“光を継ぐ者(ウルトラマンティガ)”であり、

 

それが闇の勢力との戦いに敗れて 機械の身体に意識を移して 16年前の過去に希望を託されて 一人タイムスリップして、対怪獣兵器の開発研究を【ミレニアムサイエンススクール】で始動させることに成功させてから【トリニティ総合学園】の求職に来たわけであった。

 

それだけに、“光を継ぐ者(ウルトラマンティガ)”でありながら“連邦生徒会長”から託されたキヴォトスの平和を守り切る使命が果たせなかった無力感に苛まれ、

 

そんな自分が一人だけ機械の身体に意識を押し込められて過去の世界へと送り出されてのうのうと生き続けていることを罪の十字架として罪悪感を抱き続け、

 

それでも、託されてきた想いを投げ捨てることなく、16年前の過去から破滅の未来を必ず変える使命のために、またみんなと出会うために、時間しか解決してくれない孤独感を背負い続けているのだ。

 

そして、曲がりなりにも【アリウス分校】を支配下に置いて裏で暗躍していた【ゲマトリア】ベアトリーチェの野望を阻止し、エデン条約締結を巡る騒乱を収束させた“シャーレの先生”でもあったのだ――――――。

 

 

――――――心ある人間なら“嘆きの壁”に見立てた硬い胸板にそっと手をついた時に伝わるはずだ。自分の悩みや苦労なんて比べ物にならないほどの悲しみを背負った人間の声なき声が。心の叫びが。魂の鼓動が。

 

 

北条先生は公開授業で“愛”とは何かについて講義していた。それは一言で言えば“(合い)”なのだと。自分を相手に合わせることなのだと。逆に相手を求めることが“(乞い)”なのだと。

 

故に、学園内の派閥抗争のために他人を見る目が嫌でも養われる陰湿な環境の中、他のロボット職員とは根本的に何かがちがうことを感じ取って多少の好奇心や興味を覚えた派閥の生徒が相談という名の懺悔を聞いてもらう相手に“教父(ファザー)”ロボット職員:マウンテンガリバーを選ぶようになったとなれば、

 

ある時から“嘆きの壁”と化した硬い胸板に手をつくだけじゃなく、思いっきり身体を預けてくる生徒が現れるようになり、それを力強く受け止めてしまった時から、懺悔室を利用できない派閥の代表たちが代わる代わるに入室してくる新人職員の相談室は世代を経るごとにランクが上がっていくことになったのである。

 

もちろん、それは懺悔室が利用できなくて新人職員の相談室を懺悔室として利用してきた生徒たちに固有の秘密ではあったものの、明らかにキヴォトス人とは異なる感性や知識から繰り出される 今までにない教義や価値観に歴代の派閥の代表たちが影響を受けて、自分たちの派閥の教義や方針に表立って異を唱えることはないものの、思想の自由として心の自由を保証されることになった恩恵は凄まじいものがあった。

 

言うまでもないが、ビデオ学習が主流となっているキヴォトスで学園で働いているのは職員であって教員ではないし、それは神学校にしても同じことで大人の宗教者が教壇に立つことがないのだ。それが社会の縮図とされる学園生活が社会そのものとなった学園都市:キヴォトスの実態なのだ。

 

そのため、人生経験の浅い生徒たちが懺悔室を運用しているようなキヴォトスにおいては宗教教育ですら聖書の教えをビデオ学習する有り様だったからこそ、ここまで自分の体験や言葉で生徒たちのために親身になってくれる職員というのは新鮮味があったわけであり、

 

思春期の多感な時期に年頃の男性とのふれあいが皆無のキヴォトスの学園生活においては、人生経験豊富で包容力のある生の感情のやりとりから種族の垣根を越えた異性に向けた特別な感情が芽生えてくるのは不思議なことではなかった。

 

むしろ、生徒たちの銃犯罪を抑えられないどころか 子供を喰い物にする犯罪者がゴロゴロいて ろくな大人がいないとされるキヴォトスにおいて、その辺のロボット族なんて軽く一捻りして生徒たちの悪行も捻じ伏せられる強さとそれ以上に子供たちへの愛情深さを示したのが“教父(ファザー)”ロボット職員:マウンテンガリバーの唯一性なのだ。

 

その内面に理想の男性像を見出した一部の生徒たちが疑似恋愛の対象として“嘆きの壁”を利用するようになるのは時間の問題だったわけであり、同じヒトではないからこそ一線を超えることがない職員と生徒との間の健全な関係が巷で連綿と受け継がれていくになったのだ。

 

 

――――――それで十分だったのだ。この硬い胸板を“嘆きの壁”に見立てたように、“異性”の逞しい胸板に見立てていたとしても、そこにはたしかに“光”から溢れ出た温もりがあったのだ。

 

 

そう、派閥の代表に選ばれるような一定の神秘を有する生徒たちにはわかるのだ。それが何なのかはわからなくても、“教父(ファザー)”ロボット職員:マウンテンガリバーから伝わってくる“光”が。

 

だから、歴代の派閥の代表たちは密かに“教父(ファザー)”ロボット職員:マウンテンガリバーを厚遇してきたわけであり、実際に会って話をして硬い胸板に手を当てた後は身も心も軽やかになっていることを何度も実体験してきているのだ。

 

実際、搭載されている機能であるイオナイザー空気洗浄機で“教父(ファザー)”の部屋の空気が綺麗なのもあるだろう。伝統と言えば聞こえはいいが、カビ臭かったり 埃が舞っていたりする 歴史ある物件の密室で懺悔するよりも、綺麗で開放的で快適な環境で相談した方が頭が冴えるのではないだろうか。

 

それ故に、伝統と歴史を重んじるミッション系のお嬢様学校ながら派閥の代表たちが意外にも開明的なのは紛れもなく中身がネオフロンティア時代の“光”を継いだ人間である“教父(ファザー)”ロボット職員:マウンテンガリバーの影響であり、【トリニティ総合学園】が現在の現代的な校風に切り替わった一因を担ってきたのであった。

 

 

そう、実はちがったのだ。機械の身体に意識を移して16年前の過去に送り込まれて【トリニティ総合学園】の職員として長年働いていながら、『前回』と同様にエデン条約を巡る騒乱が再現されようとしているのは『2周目に入ったコーイチ先生が何もしていなかったから』なのではなかったのだ。

 

 

逆なのだ。『2周目に入ったコーイチ先生が頑張ったから』、我々がよく知る【トリニティ総合学園】へと生まれ変わることができたのだ。

 

16年前の過去の【トリニティ総合学園】は今よりもっと宗教色が強くて排他的で頑迷で偏屈な場所で、怨敵である【ゲヘナ学園】との全面戦争どころか千年王国の成就のために覇道を望む者が大半だったと言えば、いかに今と昔で状況がちがうかが理解できることだろう。

 

それはそれとして、よくよく思い返してみて欲しい。元の肉体を失った“シャーレの先生”コーイチ先生が送り込まれたのは『16年前の過去の時代のキヴォトス』という未知の世界なのだ。

 

その頃にスマートフォンはあっただろうか――――――。誰でもインターネットを利用できる環境が整備されていただろうか――――――。SNSは今ほど発達していただろうか――――――。スーパーコンピュータの性能にはどれだけの差が生まれているだろうか――――――。

 

つまり、生まれた時や物心がついた時点ですでにインターネットやパソコンが身近にあったデジタルネイティブ世代が成長する前のアナログの時代だったわけであり、そこでの作業風景や情報のやり取りが 現在の水準から見て どれだけ非効率的であったかは論ずるまでもないだろう。

 

そもそもがキヴォトスよりも遥かに技術水準が高いネオフロンティア時代の人間からすれば、デジタルネイティブ世代が社会の中心になった時勢であれば まだネオフロンティア時代の水準から見ても最低限の環境が整っていたので何とかやれていたが、それ以前の時代にもなるとあまりにも原始的な世界に思えたことだろう。

 

そこからデジタルネイティブ世代の土壌となる情報社会の発展を 16年間 見守り続けてきたわけであり、オンライン会議なんてものが一般化する前は直接出向いて根回ししておかないといけないし、無駄に形式や手書きにこだわる書類仕事で煮え湯を飲まされてきたのだ。

 

それが伝統と歴史しか誇れるものがない【トリニティ総合学園】なら尚更である。その実務上のイライラが業務効率や技術水準を引き上げる原動力になっていることは言うまでもない。

 

実は、そうした時代間の技術格差で対怪獣兵器の開発研究が一向に進まない可能性に気づいて情報社会の成長を促進させるべく、【セミナー】生塩 ノアが現代では廃れてしまった過渡期の技術記録や特許情報を掻き集めておいたことが【ミレニアムサイエンススクール】で荒唐無稽に思える対怪獣兵器の開発研究が秘密裏に進められる要因となっていたのだ。

 

なので、16年前の過去の時代からすると時代の最先端を行く超ハイテク機器を【ミレニアムサイエンススクール】に特注して次々と導入して業務効率を上げつつ、

 

グーテンベルクの活版印刷技術によって聖書の普及が進んだことを引き合いにして、派閥の中心に成り得る生徒たちにデジタルトランスフォーメーションの必要性を訴えてきたわけである。

 

この過去改変によって新人職員:マウンテンガリバーの相談室の存在が【新キヴォトス三大学園(BIG3)】から学園都市:キヴォトス全体のデジタル化を推し進める原動力になっていたことは当人は知る由もないが、

 

16年前の過去に持ち込まれたデジタルネイティブ世代の未来技術によって【ミレニアムサイエンススクール】は空前絶後の技術発展を遂げ、【トリニティ総合学園】では“教父(ファザー)”ロボット職員:マウンテンガリバーの相談室で技術革新の有用性が認められ、ライバル校である【ゲヘナ学園】も諜報部が技術奪取に乗り出していたのだ。

 

そのため、その功績の偉大さと多大な恩義から【トリニティ総合学園】では“教父(ファザー)”ロボット職員:マウンテンガリバーの存在を隠蔽して安全を確保することになり、かつて“教父(ファザー)”との相談によって答えを得た生徒たちが成長して次々と時の権力者の仲間入りを果たして世代を経るごとに“教父(ファザー)”の待遇が良くなっていった代わりに、徐々に行動の自由も制限されるようになったのだ。

 

おかげで、現在では“教父(ファザー)”の存在を知るトリニティ生はほとんどおらず、【ティーパーティー】をはじめとした学園組織のトップやそれに近しい選ばれた生徒ぐらいしか接触が許されず、会えたとしても その功績の偉大さを正確に知らされないまま 会って話をするだけの存在になってしまっていた。

 

それでも、そっと手で触れる“嘆きの壁”を通じて目に見えない“何か”を確実に受け取ることができるため、実質的に“教父(ファザー)”ロボット職員:マウンテンガリバーの最後の教え子の世代;現在の高等部3年生たちだけがその存在に触れることができ、様々なことを相談することができた記憶と体験を持っていた。

 

その中には【ティーパーティー】副々ホスト:聖園 ミカのみならず、【正義実現委員会】委員長:剣先 ツルギや【図書委員会】委員長:古関 ウイなどがいた。いずれ“シャーレの先生”とめぐりあって事件解決の大きな力になってくれる3年生たちのことであり、『前回』のことを含めると()()()()()()()()()()()()()()()である。

 

 

――――――なんという運命の皮肉か、『前回』の最初の教え子たちが『今回』の最後の教え子たちの世代になるとは。

 

 

思えば、そういった背景から【トリニティ】に繋ぎ止めるために“嘆きの壁”に対して過度なスキンシップを行う生徒が現れるようになったようにも思える。社会情勢の変化が人々に与える影響は計り知れないものであり、生徒たちの純粋な好意の裏には多少の政治的判断や打算が混じっていたわけである。

 

もちろん、行動の制限が課されているために【ミレニアムサイエンススクール】との繋がりも表向きは絶たれてしまっていたのだが、そこは16年前の過去の時代にデジタルトランスフォーメーションをもたらした未来技術の発信源である。

 

大恩ある“教父(ファザー)”を守るためだと口では言いながら個人的な欲求を優先して実質的に監禁生活を強いてこようが、この通り【セミナー】との秘密通信はどこからでも繋がるため、目の前で監視していようが脳内で音もなく通信するのを止めようがないのだ。監禁されているのに学園が置かれている状況や社会情勢に詳しいことに“教父(ファザー)”を監禁した張本人が死ぬほど驚くことになるわけだ。

 

その種明かしをしたことにより、【ティーパーティー】は【セミナー】との繋がりを密かに持たざるを得なくなり、このことが新興の学園という扱いで軽んじられる立場の【ミレニアムサイエンススクール】が【キヴォトス三大学園(BIG3)】の一角に認められる要因にもなった。

 

そして、近年では並び立つ者がいないと言われるほどの傑物である()()()()()()()()が“連邦生徒会長”に就任したのを合図に、【トリニティ総合学園】から離れて いずれ創設されることになる超法規的機関【連邦捜査部 S.C.H.A.L.E(シャーレ)】へ合流するタイミングを窺うことになった――――――。

 

 

――――――ここまで言えばわかるだろう。【トリニティ総合学園】に巣食っている病魔の正体が何なのかを。

 

 

今回のアビドス遠征に【トリニティ総合学園】が【アビドス高等学校】への支援のためにやってきたのは【ゲヘナ学園】への対抗心があったのも確かだが、【ゲヘナ学園】には【“雷帝”の遺産】を回収する目的があったが、そういった目的がない【トリニティ総合学園】には【アビドス高等学校】への支援はほとんど旨味がないので張り合う必要がなかったのも確かだった。

 

第一、その程度の支援で【アビドス高等学校】が 今現在 抱えているキヴォトス全体の問題である 怪獣無法地帯の対処がどうにかなるはずがないのだから。無いよりマシではあるが、それでは見返りが十分ではないということで不満が噴出するだろうから、北条先生の方が逆に気を遣うことになっていた。

 

なのに、それが執り行われたのも 長年に渡って学園に対してこうであるべきだと主張をし続ける 顔も姿もわからない“派閥”というものであり、それは常に無責任な立場から全体を主導して決して過去の誤りを認めることなく、増長をし続ける 定まった姿をしていない 何者かの集合体であった。

 

 

だからこそ、無責任な立場にある人間には決して報酬が行き渡らないように今回のアビドス遠征に参加したご褒美を北条先生が約束していたわけであり、怪獣無法地帯の最前線に勤務している遊びたい盛りの思春期の女の子たちへの慰安を名目にして【キヴォトス防衛軍】で四次元移動可能な移動遊園地(funfair)の造営を裏で進めていたわけである。

 

 

そもそも、【ゲヘナ学園】やキヴォトス中の生徒たちの手を借りて人海戦術で一挙にハザードマップの作成を推し進めようとして宇宙大怪獣:アストロモンスが大量発生している危険性から即刻中止に追い込まれているのが現状であるため、当初の予定通りに【トリニティ総合学園】の応援が大挙してやって来てもあんまりやることがないのだ。

 

あれ以来、ハザードマップの作成は安全第一で【ミレニアムサイエンススクール】が製作した無人偵察機を活用して少しずつだが着実に進められているわけであり、旧アビドス自治区から逃れてきた地域住民からの情報で怪獣と思しき怪奇現象の報告が挙げられてきているため、近頃はその情報分析と対応策の協議に終始している。

 

なので、相変わらず伝統と格式にこだわる【トリニティ総合学園】は今も昔も時流に乗ることが下手であり、必要な時に十分な応援を用意することができず、あまり必要ではない時に意気揚々に応援を寄越してきても、現地としては微妙な表情しか浮かべられなかった。

 

 

――――――故に、遠路遥々やってきた【トリニティ総合学園】御一行様にとって、これは【キヴォトス防衛軍】の新開発した設備の技術検証という名目の慰安旅行となったわけなのだ。

 

 

宇宙格闘士の帝王「ほう、オレとサーベラスのエキシビションマッチの時に利用された特設アリーナだけじゃなく、これほどまでのアミューズメントパークも造営していたとは、さすがはキヴォトスの頂点に立つ存在だ。パンとサーカスをよく心得ている」

 

北条先生「これからのキヴォトスは怪獣災害を念頭に置いて規律と団結を常に維持する必要がありますが、それだけに国防費の上昇によって財政を圧迫することになり、キヴォトス人の性質から言って そんな状態が長続きするわけがありません」

 

北条先生「ですので、不平不満が噴出することがないように常に期待感を持たせて末端の民にも配慮している姿勢を見せ続けなければならないのです」

 

北条先生「そして、それはベーシック・インカム(最低限所得保障)として当たり前のものにしてはいけません。それが当たり前のものになってしまうと、それ以上のものを人々が求めだし、欲望には際限がなく、不平不満と社会福祉のバランスが破綻して秩序が崩壊してしまいます」

 

北条先生「よって、あくまでも怪獣災害対策は各学園が責任を持ち、一人一人が自覚して取り組み、そのご褒美として為政者はこのような催しを行うわけなのです。人気取りのためにやっているわけじゃないんです」

 

北条先生「本当のところはサーベラス様がこの時のために溜め込んでくれた3000万年分の地下資源のおかげで資金と資材はいくらでも供給可能と言いたいところですが、それらを考えなしに放出するとキヴォトスの経済が大混乱に陥るので、【キヴォトス防衛軍】の予算は常にギリギリであるように思わせないといけないわけです」

 

神代キヴォトス人「そうであったな。我としては貯蔵庫が破裂しそうだから、すぐにでもありったけを使って欲しいのだが、かえって今を生きるキヴォトスの子らの不幸になるのなら、もうしばらく辛抱するのもやぶさかではないぞ」

 

神代キヴォトス人「なにより、まだ思春期でありながら大人の真似事をさせられている成長過程の学生でしかないのだ。学生の本分である学業に勤しむことができない歪な社会構造を変えることができない以上、我々としてはキヴォトスの子らを“小さな大人”という一人の主権者として尊重して、ライフ・ワーク・バランスの充実を図るべく社会福祉に力を入れる他ないのだ」

 

宇宙格闘士の帝王「まったくもって不可解で異常な惑星だ。部活動という名目で大人の真似事をさせられているとはな。キヴォトスの学園を卒業した生徒というのは大人になってキヴォトスに帰ってくることがないというのか……」

 

宇宙格闘士の帝王「そして、この惑星の支配種族たるキヴォトスの生徒の学習環境を整えるべく用意されたという奉仕種族たる獣人族やロボット族が社会システムの存続のために己の利益を追求する過程で、本来の使命である公僕の役割を忘れてしまっているというのか……」

 

北条先生「そう。おそらく創造主が夢見た新世界の理念は潰え、理想の社会システムは不完全なアルゴリズムから崩壊の一途を辿り、人類の恒久平和はまたしても夢幻のように掻き消されてしまった……」

 

北条先生「ですので、今の僕がキヴォトスで望んでいるのはたかだか数十年の平和で豊かな時代への橋渡しなんです」

 

北条先生「それに、僕としては これ以上 キヴォトスの子供たちを“小さな大人”として完成させたくはない」

 

北条先生「児童労働は反対です。それこそが即戦力採用ばかりを求めて新人教育を疎かにして人手不足であると叫び続ける社会の矛盾を解決する即物的な解答だなんてことは認めたくはないんです」

 

北条先生「国家が分裂して個人になるのではなく、主体的な個人が寄り集まった社会の一形態が国家である以上、社会の要請によって子供たちが最初から社会の歯車として生産設計される事態だけは避けなければなりません」

 

北条先生「要は、デジタルトランスフォーメーションやオートメーション化はこれからどんどん進んで人工知能による管理や運営が進んだ時、それに勝る業務効率を社会に提供できるものこそが人類の想像力なんです」

 

 

――――――ほら、こんなふうに逆立ちをすることができるのが人間(ひと)であることの素晴らしさなんです。普通に生きていて逆立ちする必要なんてないけれども、こういう人工知能がやらないことに開拓することの意義が生まれてくるんです。

 

 

【キヴォトス防衛軍】が怪獣退治の最前線で戦う兵士たちの慰安を行いながら地域住民との交流や経済の活性化の切り札として造営に踏み切らせた移動遊園地(funfair):リトルプラネットは四次元都市:フォーサイトで開発設計が行われ、そのモチーフには歴代の地球防衛軍の本部施設が参考にされていた。

 

そう、【キヴォトス防衛軍】の莫大な予算で造営される移動遊園地(funfair)が単に遊具だけを集めたものに留まるわけがなかった。怪獣災害を念頭に置いて常に実用的で機能性に優れたものであることが求められていたため、その造形が怪獣災害の対策本部の機構を手本とするのは自然な発想であった。

 

そして、【キヴォトス防衛軍】の首脳会議に参加した【連邦生徒会】【キヴォトス三大学園】の首脳陣に四次元移動で現地展開することを前提にして提示されたアイデアの検討をさせたところ、意外にも採用されたのは北条先生の出身であるM78ワールドのものではなく、コーイチ先生の出身であるネオフロンティアスペースの特捜チーム【スーパーGUTS】の地球時代の本拠地:グランドームであったのだ。

 

巨大なキノコを思わせる大型タワー施設を中心に地下に広がる様々な施設や高純度エネルギー備蓄基地、無人防衛システムによる4つの防衛線によって構成される広大な基地施設であり、

 

キノコの傘部分にある最高司令部をはじめ、参謀本部や作戦指令室、各種マシン発進ゲート、地下に中央制御室、格納庫、大規模な災害に備えた巨大シェルターなど各種施設が備わっており、

 

タワー施設周辺に広がる地上、地下の各施設には開発・整備工場、各種ラボ、隊員や職員のプライベートルーム、 メディカルセンター、レクリエーション施設、会議室、旧GUTS時代からある日本各地と繋がったシークレットロードが完備されているのが【スーパーGUTS】の本拠地:グランドームである。

 

移動遊園地(funfair)と言えども基本的には怪獣退治の最前線に展開されるものである以上、来場する民間人の安全を確保することを念頭に置いて、グランドームのように中心の大型タワー施設をランドマークタワーに位置づけて指揮所と避難所にすることが仕様で決まり、これで平時においても大人数を収容できる避難施設として金食い虫にならずに済んだ。

 

それから、その周辺を囲むように娯楽施設を順次配置していくモジュール構造が採用され、不採算で不必要になったセクションをすぐに廃止にできるようにしたことで経済性と整備性を確保し、これはこれで新たな事業が興せそうな予感があった。

 

そんなわけで移動遊園地(funfair):リトルプラネットは中心となる臨時の避難所と管理運営を担う【ランドマークタワー】と周辺に展開される【Ⅰ.ショッピングモール(商業施設)】【Ⅱ.アミューズメントパーク(娯楽施設)】【Ⅲ.ワールド・エクスポ(展示施設)】【Ⅳ.アーセナル(軍事施設)】で構成されることが決定。

 

キヴォトス中の知られざる名産品の紹介や商談の場となることを期して、キヴォトス中に出店を呼び掛けることになり、前回のエキシビションマッチで使われた四次元移動アリーナのお披露目もあって、移動遊園地(funfair):リトルプラネットと言う名の異次元の総合テーマパークで新たな事業の可能性を見出した目敏い者たちが続々と押しかけることになったのである――――――。

 

 

小鳥遊 ホシノ「よかった! よく来てくれたね~、ヒヨリちゃ~ん!」

 

槌永 ヒヨリ「何だかんだで、来てしまいました。これからも辛いですよね? 苦しいんですよね? ですが、それが人生のようですし、仕方ないですね」エヘヘ・・・ ←アビドス高等学校の制服

 

勘解由小路 ユカリ「ホシノ先輩、こちらの方は?」

 

小鳥遊 ホシノ「紹介するね、ユカリちゃん!」

 

小鳥遊 ホシノ「えっとね、【アビドス生徒会】生徒会長:梔子 ユメ先輩のそっくりさんの――――――」

 

黒舘 ハルナ「私たち【美食研究会】の一員:槌永 ヒヨリさんですわ!」

 

戒野 ミサキ「はあ? ふざけたことを言っているんじゃないよ! ヒヨリは私たち【アリウススクワッド】の仲間なんだから!」

 

勘解由小路 ユカリ「身共は勘解由小路 ユカリと申します! 誇り高き【百花繚乱】の一員として、誠心誠意 努めて参りましょう!」

 

槌永 ヒヨリ「は、はい……」

 

小鳥遊 ホシノ「さあさあ、ユカリちゃんもヒヨリちゃんも仲良くしようね~!」

 

 

十六夜 ノノミ「あ、やっぱり、ここにいましたね! ホシノ先輩!」ドン!

 

 

小鳥遊 ホシノ「ああ!? の、ノノミちゃん!?」ビクッ

 

十六夜 ノノミ「そうやってユカリちゃんに言い寄って、またヒヨリちゃんにも粉をかけて……!」

 

十六夜 ノノミ「やっぱり、ホシノ先輩のことなんて、私、知らなーい!」ダダッ

 

小鳥遊 ホシノ「ああ、待って! ちがうんだよ、ノノミちゃん! 待って~!」タッタッタッタ!

 

勘解由小路 ユカリ「ああ、ホシノ先輩!? ノノミ先輩!?」

 

戒野 ミサキ「ヒヨリ。相変わらずだったね、【アビドス】の副会長は」

 

槌永 ヒヨリ「ええ、まあ……」

 

戒野 ミサキ「で? 私がアビドス遠征に参加した時から随分と様変わりしたようだけど、ヒヨリは、まあ【美食研究会】と一緒にいるってことは、移動遊園地(funfair):リトルプラネットでグルメツアーが目的なんでしょう?」

 

黒舘 ハルナ「そうなのですよ! 【アビドス】でのグルメツアーは堪能しましたから、今度は【アビドス】の地に集まったキヴォトス中の珍味を味わい尽くそうと思いまして! 本当に北条先生は【美食研究会】にとって神様ですわ!」

 

戒野 ミサキ「で、あんたは何? どこの人? どうして【アビドス】にいるわけ?」

 

勘解由小路 ユカリ「はい。身共(みども)は【百鬼夜行連合学院】【百花繚乱紛争調停委員会】所属:勘解由小路(かでのこうじ) ユカリと申します!」

 

戒野 ミサキ「は、何て……?」

 

黒舘 ハルナ「ああ、なるほど。こちらのユカリさんは【百鬼夜行】の治安維持組織【百花繚乱】のエリートさんなんですのよ」

 

戒野 ミサキ「ああ、そういう……」

 

戒野 ミサキ「え、でも、どうしてそれが【アビドス】に――――――?」

 

勘解由小路 ユカリ「話すと長くなるのですが――――――」

 

戒野 ミサキ「いや、いいよ。長くなるんなら」

 

勘解由小路 ユカリ「えええ!?」

 

戒野 ミサキ「私も今回の移動遊園地(funfair):リトルプラネットに集まった医療品を見て回ることになったから、とりあえずよろしく」

 

戒野 ミサキ「私は戒野 ミサキ。一応、高等部2年生。ヒヨリと同じ【アリウススクワッド】の一員だけど、今は【ゲヘナ】の【救急医学部】のところにいるから」

 

勘解由小路 ユカリ「あ、はい! よろしくお願いします、ミサキ先輩!」

 

戒野 ミサキ「……えらく元気がいいんだね、ユカリって」

 

槌永 ヒヨリ「……【アリウス】にはいなかったタイプですねぇ」

 

黒舘 ハルナ「では、みなさん! 昼頃に【アミューズメントパーク】で開催される北条先生のライブショーを一緒にご覧になりましょうね!」

 

勘解由小路 ユカリ「はい!」

 

戒野 ミサキ「ああ、そうだった。ライブショーがあるんだった。それに間に合うようにしておかないと」

 

戒野 ミサキ「けどさ、気をつけなよ。今日は開園初日というわけで警備体制は厳重で、【正義実現委員会】だって来ているし、【公安局】局長:尾刃 カンナも来ているんだから。おとなしくしていてよね、怪我人が出たら私の仕事になるし」

 

 

こうしてお披露目となった移動遊園地(funfair):リトルプラネットは初日はクラス分けされた入場整理券によって人数制限がなされており、そこで怪獣退治の最前線となっている【アビドス高等学校】やそこに駐屯する【キヴォトス防衛軍】の生徒たちを慰労する目的で造営が進められていたことをオープニングセレモニーで【キヴォトス防衛軍】軍事顧問:北条 アキラが説明し、今日まで戦い抜いてきた勇敢な生徒たちへ記念品が授与されることになったのである。

 

同時に【アビドス高等学校】への正式な支援を【トリニティ総合学園】が約束した調印式も執り行われ、その署名には【アビドス生徒会】副会長:小鳥遊 ホシノと【ティーパーティー】副々ホスト:聖園 ミカが行い、顔合わせした時はあっけらかんな態度をとっていた2人であったが、衆人環視では厳粛な姿勢で調印式に臨んだのであった。

 

これにより、前回の【ゲヘナ学園】の支援も合わせて、なおかつ【ミレニアムサイエンススクール】の発明品が【キヴォトス防衛軍】の主力となっていることを踏まえれば、かつてキヴォトス最大の学園として君臨して恐れられながらも原因不明の砂漠化によって廃校寸前まで追い込まれた【アビドス高等学校】がこうして【新キヴォトス三大学園(BIG3)】から支援を受けていることが明確となり、迂闊に手を出すことができなくなったのだった。

 

一方、アビドス遠征の本来の目的であるハザードマップ完成のための未調査領域の調査に関しては無人偵察機を使って地道に進められていることが説明され、その中で【アビドス】全域で謎の通信障害が発生しているせいでそうせざるを得ないことを新アビドス自治区の土地の所有者が【アビドス高等学校】、それ以外の旧アビドス自治区の所有権を【カイザーコーポレーション】が持っていることを世間に対して公表するという嫌味も忘れない。

 

 

そうして動画配信サイトで生放送もされているオープニングセレモニーが盛大な拍手と共に締めくくられると、バニーガール:飛鳥馬 トキを護衛にして“GUYSの先生”北条 アキラが移動遊園地(funfair):リトルプラネットのパークツアーを開始したのであった。

 

 

最初はオープニングセレモニーが開催されていたリトルプラネットの中心地【ランドマークタワー】であり、ここが臨時の指揮所と避難所になることを明確にし、何かあった時は【ランドマークタワー】に集合するように呼びかけた。

 

移動遊園地(funfair):リトルプラネットの来場客はまずは【ランドマークタワー】で入場手続きを行い、【キヴォトス防衛軍】が作戦行動する際に全員に配っている腕時計型端末で生体認証をして精算や入退場を管理しているのだ。

 

これにより、【Ⅰ.ショッピングモール(商業施設)】【Ⅱ.アミューズメントパーク(娯楽施設)】【Ⅲ.ワールド・エクスポ(展示施設)】【Ⅳ.アーセナル(軍事施設)】という雰囲気がまったくちがう場所への行き来が楽になり、

 

今回は【Ⅱ.アミューズメントパーク(娯楽施設)】内にウォーターパーク(大型プール)があるため、水着でうろついても問題がないように最大限の配慮がされており、ウォーターパークの利用客には上着や小物が十分に入れられるシューズケースが渡され、ウォーターパーク各所にあるラックに入れてロックを掛けることで盗難の恐れなく遊び尽くすことが可能となっていた。

 

これは日本の入浴施設で利用されている脱衣籠をヒントにして利用されており、他のセクションに向かう時はこのシューズケースを持ち歩けばいいのだ。タオルもまたウォーターパークの各所にあるので、タオルを持ち歩く必要がない点も利便性が高い。

 

そして、【ランドマークタワー】にはロッカールームという名の高級ホテルのスイートルームが用意されており、これがまず人々の度肝を抜いた。ダブルベッドや大型テレビ、トイレにシャワールームもあり、冷蔵庫やキッチンまで完備されているのだ。

 

もちろん、スイートルームの奥に10人程度のロッカールームが用意されており、そもそもが避難所として設計されているので あくまでも公共施設ではあるのだが、疲れた時の休憩室として高級ホテルの一室でのんびりする楽しみが提供されていたのである。

 

なぜロッカールームがスイートルームになっているのかと言えば、生体認証で入退室が記録されているので防犯面で管理しやすく、団体客への提供もしやすいからなのだとか。団体客での利用になると冷蔵庫にあるミニバーが無料になるサービス付きであり、みんなで集まってパーティーで盛り上がること間違いなし。

 

また、シェアハウス方式にすることで個人客の料金も割安になるだけじゃなく、不特定多数の人間が一度に利用するのではなく、同じ部屋にいる10人のうち誰が居るのかを明確にすることで犯行の防止と犯人の特定を容易にすることが期待されていた。

 

そして、品質を維持するためにきっちりと掃除を行わせることになるため、不審物の発見にも役に立っているわけなのだ。当然、移動遊園地(funfair):リトルプラネットの利用期間を過ぎてスイートルームに居座ろうとする輩の摘発も生体認証と合わせて行われている。そのルームサービスの担当は【SRT特殊学園】の生徒たちである。

 

こうして【ランドマークタワー】のスイートルームが臨時の避難所として平時はロッカールーム 兼 休憩所として利用でき、団体客での利用が大変お得になっていることを宣伝することで、将来的に臨時の避難所として利用した時の心理的負担が軽減されるように布石を打ったのであった。

 

次に、順番に【Ⅰ.ショッピングモール(商業施設)】の案内となり、ここでは総合商業施設としてキヴォトス中から珍品や名品が集められ、一部の地域や学園でしか流通していないようなものを気軽に手に取ることができていた。そのため、商談コーナーも大々的に設けられており、様々な交流が生まれることが期待されていた。

 

次に向かったのがメインステージとなる【Ⅱ.アミューズメントパーク(娯楽施設)】であり、季節ごとの需要に応じてメインアトラクションが切り替わるモジュール構造で製作されており、今回は南国リゾート風のウォーターパークがメインアトラクションになり、周りを固めるのがパーティーゲームの定番となるカラオケ、ボウリング、ゲームセンター、ビリヤード、ダーツなどであった。他にも 大人のゲームである お高いボードゲームのための遊び部屋も用意されていた。

 

それから【Ⅲ.ワールド・エクスポ(展示施設)】では、一般販売がされない製品の見本市や価値あるものの展覧会が開かれており、これによって他の地域や学園のことについて自分たちの周りのことしか知らないのが大半の生徒たちが新たな知見や刺激が得られることが期待された。

 

最後に【Ⅳ.アーセナル(軍事施設)】は、キヴォトス人の嗜みであるスポーツ・シューティングの場として設けられ、最新の銃火器やベストセラー、往年の名銃などの試し撃ちができ、場合によっては戦車の試乗や砲撃も実践でき、そこで適性検査や射撃コンテストをしてもよし、怪獣退治シミュレーターで怪獣災害に対する経験値稼ぎや意見交換が活発に行われることを【キヴォトス防衛軍】軍事顧問:北条 アキラは切に願うのであった。

 

こうして一通りのパークツアーを終えて、【ランドマークタワー】の元のオープニングセレモニーの会場に戻り、質疑応答を終えると晴れてテープカットとなり、移動遊園地(funfair):リトルプラネットは開園となったのである。

 

次の生放送は昼頃の【Ⅱ.アミューズメントパーク(娯楽施設)】ウォーターパークのライブショーである。

 

 

ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!

 

 

北条先生「盛り上がっているかい!」 ――――――サーフィン用のラッシュガードにうっすらと浮かぶ逞しい胸板!

 

観客「イエエエエエエエエエエイ!」

 

北条先生「楽しんでいるかい!」

 

観客「イエエエエエエエエイ!」

 

北条先生「さあ、楽しい楽しいライブショーの開幕だ!」

 

 

そこは見渡す限り水着で着飾った生徒たちで埋め尽くされており、【Ⅱ.アミューズメントパーク(娯楽施設)】ウォーターパークは大盛況であった。

 

キヴォトス人の身体能力には敵わないために見せ筋(使えない筋肉)と自虐していた“シャーレの先生”であり“GUYSの先生”でもある地球人:北条 アキラであったが、自身がウルトラマンとなって怪獣退治をするに当たって万全の状態を保つために徹底的な健康管理によって引き締まった鋼のような肉体は黒いラッシュガードの上からもうっすらと浮かび上がっており、男子生徒が存在しないキヴォトスの年頃の女の子には少々刺激が強いものであった。

 

そこに現れたのは絶世の美貌を持つと評判の犬の獣人:サーベラスであり、これだけで頭がクラッとなったケモミミの生徒がいるぐらい、“シャーレの研究員”神代キヴォトス人:サーベラスの存在感は強烈であった。

 

早速、北条先生が大道芸の定番であるクラブ・ジャグリングを披露していると、徐ろにサーベラスが口から火を噴く火吹き芸をして観客を驚かすと火を着けた松明を北条先生に投げ渡し、それを助手として現れたバニーガール:飛鳥馬 トキにクラブを渡しながら松明を受け取った北条先生によるファイヤーダンスが始まる。

 

それに合わせて黒いラッシュガードに腰布一枚の姿が投影されるというお色気シーンが挿入され、ラッシュガードの下に隠されていた成人男性の引き締まった肉体から汗と共に発散されるフェロモンに観客は熱狂の渦に包まれた。

 

なお、裏方は【アリウススクワッド】錠前 サオリであり、白いキャップに加えてヘッドホンも着用して水場でのイベントで違和感がない涼し気な格好で音響スタッフを担当し、それ以外は本職である【ワイルドハント芸術学院】が取り仕切っている模様。

 

ファイヤーダンスが終わりを見せると、助手であるバニーガール:飛鳥馬 トキが相変わらずの無表情で大きな輪っかを持ってくると、松明を掴んだ北条先生が輪っか目掛けて松明を投げ込み、それによって輪っかに火が着く。

 

その向こう側で投げ返された松明を受け取ったサーベラスもまた太古の神秘を思わせるファイヤーダンスを繰り出し、その最中に天高く松明を放り投げると、犬の雄叫びを上げて瞬時に四足歩行となって火の輪潜りをして、潜り抜けた先で天高く放り投げた松明を天を仰いで口で咥えたのである。

 

これには会場から拍手が鳴り響き、動画配信サイトにおいても拍手がたくさん送られ、VIPルームで鑑賞していた水着姿の【アビドス対策委員会】の面々や異国情緒を感じさせる夏着姿の【トリニティ総合学園】の面々も大興奮であった。

 

そこから登場となったのは、巷では負けず劣らずの有名人である“シャーレの職員”ロボット職員:マウンテンガリバーであり、その両肩にバニーガール衣装の【C&C】一之瀬 アスナと角楯 カリンを乗せての登場だ。

 

その巨体から展開される肩アーマーのワイヤーアンカーを足場にしてバニーガールの2人が驚くべき身体能力と体幹で空中でジャグリングを開始することになり、ワイヤーアンカーを足場にする2人の下から北条先生と飛鳥馬 トキがクラブを上げていく変則的な4人ジャグリングが展開される。

 

やがて、クラブを北条先生と飛鳥馬 トキが回収して4人ジャグリングが終わったと思いきや、ワイヤーアンカーの足場から角楯 カリンが飛び降りて、それをロボット職員:マウンテンガリバーが両手でしっかりと受け止めて天高く放り投げると、それに続いて一之瀬 アスナも飛び降りて時間差をつけて天高く放り投げられるのであった。

 

垂直投射の頂点へと向かいつつある一之瀬 アスナとそこから下りつつある角楯 カリンが空中で交差した時、手にしたバトンが渡され、それが空中で繰り返されるというバトンリレージャグリングは他では決して見ることができないものであり、最後は元の不安定の足場であるワイヤーアンカーに一之瀬 アスナと角楯 カリンに跳び移ってフィニッシュである。再び拍手が鳴り響く。

 

そこに玉乗りで殴り込んできたのが“シャーレの研究員”神代キヴォトス人:サーベラスと“シャーレの指導員”になってまだ日が浅いグレゴール星人:グレゴリオであり、デカブツである“シャーレの職員”ロボット職員:マウンテンガリバーの周りをくるくる廻りながら、いざデカブツがワイヤーアンカーで一瞬で退場すると、大玉に乗りながら勢いよく両雄が再びぶつかるのであった。

 

先日のエキシビションマッチの時と同じように、単に大玉でぶつかった後に立ち相撲のようにその場で殴り合いになるのかと思いきや、大玉の上で思い切り身を屈めて足払いをして、それを跳躍で回避すると同時に踵落としをお見舞いする。

 

それを両腕で受け止めると大玉が大きく凹むものの、その反発力をバネにして空中で攻防戦が繰り広げられ、両雄が乗ってきた大玉が入れ替わり、相手に背を向けて距離を離すと大玉の上で跳躍して向き直る。

 

そこから両雄に舞台袖から騎乗槍(ランス)が渡され、まさかの玉乗りで馬上槍試合(ジョスト)になり、勢いをつけて手にした騎乗槍(ランス)で突き合い、すれ違いざまの攻防になるかと思いきや、身を屈めて相手の騎乗槍(ランス)の一撃を回避すると、一瞬で向き直って背後から追い討ちを掛けたのである。

 

当然、先日のエキシビションマッチで互いのやり口がわかっているので背後からの追撃は読んでおり、逆に相手を押し退けるようにバク転して飛びかかってきたのである。

 

そう、これで王手。真上からの騎乗槍(ランス)を避けようにも大玉の上であり、真正面から迎撃したとしても そのまま相手が自分目掛けて飛びかかってきているのだ。回避はもう間に合わない。

 

ならば、自身も跳躍して向かい撃つまでであり、どこまでが台本通りの演出なのかわからないまま、再び空中で激しくぶつかり合ったところ、徐ろに舞台袖から新たなバニーガール:室笠 アカネが現れ、笑顔でT字型のハンドルの発破器を押し込んだのであった。

 

結果、舞台奥の壁が爆破され、そこから巨大な怪獣を模したアニマトロニクスが現れ、口から火を噴いて巨大な爪でサーベラスとグレゴリオに襲いかかったのだ。

 

なんとか怪獣の攻撃を凌いだ両雄は争っている場合ではないと一致団結し、息の合ったコンビネーションで立ち向かっていくが、敵の力は強大であった。

 

迫力満点のまさかの舞台装置と展開に観客が固唾を呑んで見守る中、そこから怒涛の展開が続いたのである――――――。

 

 

バッ        

 

        バッ

 

エイティ!

 

 

シュワ!

 

 

そこに駆けつけたのはまさかのウルトラマン80であり、人間大のサイズで現れたのには多くの人たちが驚きの声を上げるのを止められなかったが、【Ⅱ.アミューズメントパーク(娯楽施設)】内のウォーターパークの中を飛んでやってきたのである。

 

これには舞台袖から見ていたバニーガール姿の【C&C】のエージェントたちや、脚本や演出をあらかじめ教えられて万が一の事態に対応できるように観客席で観劇していた【公安局】局長:尾刃 カンナも驚きを禁じ得なかった。こんなのは脚本にもなかった演出(サプライズ)である。

 

運営側の大半ですら把握していなかった衝撃の展開に『あれが本物であるかどうか』もそうだが、『どこから現れて』『どうやって空を飛んで光線技まで撃っているのか』という謎によって観客たちの理解を超えることになり、

 

そこに地球人を凌駕した身体能力を持つキヴォトス人ですら扱うことができないレールガン<スーパーノヴァ>を持って“シャーレの職員”ロボット職員:マウンテンガリバーが再登場し、清楚さと気品を感じさせる白のワンピースの水着を着た秤 アツコも現れる。

 

 

ロボット職員「みんな! この怪獣は手強い! みんなの応援が必要だ!」

 

秤 アツコ「でも、私たちはあなたたちのように人を超えた力なんて持ってない! 人を超えた力を持つ怪獣に立ち向かえるわけないよ!」

 

宇宙格闘士の帝王「ならば、戦えないお前たちに代わってオレたちが明日への道を切り拓く!」

 

神代キヴォトス人「戦いは一人ではできない。戦士たちが帰って来る場所を守ることも、戦いの準備を手伝うことも、無事を祈ることもまた戦いなのだ」

 

秤 アツコ「でも! でも! やっぱり、怖いよ! 怪獣と戦う力を持たない普通の人でしかない私たちに立ち向かう勇気なんて出ないよ!」

 

ロボット職員「大丈夫だよ。本当は私だって怖いよ。次の瞬間には死んじゃうかもしれないし、九死に一生を得ても死ぬほど痛いかもしれない。それはみんなと何も変わらない」

 

宇宙格闘士の帝王「だが、自分が傷つけられる以上に、オレが誇りとしているもの、大切にしているものを傷つけられることの方をオレは恐れる」

 

神代キヴォトス人「だから、人は恐怖に立ち向かうことができる。恐怖を知らないのは蛮勇に過ぎず、恐怖を知って我が物とすることこそ真の勇気なのだ。失って初めて大切なものに気づくのではなく、失うことが怖い大切なものが何であるかがわかっているから勇気は生まれるのだ」

 

秤 アツコ「うん、わかったよ! 私も勇気を出してみせる!」

 

秤 アツコ「みんな! 私も勇気を出して応援するから、みんなで『がんばれー!』って叫んでね!」

 

秤 アツコ「せーの!」

 

 

――――――がんばれー!

 

――――――がんばれー!

 

――――――がんばれー!

 

 

秤 アツコ「あ、来たッ!」 ――――――秤 アツコの手に光が集まる!

 

秤 アツコ「受け取って! これがみんなの応援で受け取った光だよ!」

 

ロボット職員「キタキタキタキタァ!」

 

宇宙格闘士の帝王「ふん、悪くないものだな、心の光というものは」パキポキ ――――――大技を出す前に軽く体を鳴らす。

 

神代キヴォトス人「では、力を合わせるぞ、ウルトラマンよ」スチャ ――――――舞台袖から渡されたサークルアームズを手に取る。

 

ウルトラマン80「――――――」コクッ

 

秤 アツコ「みんな! みんなで思いを重ねて怪獣を倒すよ! だから、もう1回!」

 

 

――――――がんばれー!

 

 

ロボット職員「レールガン最大出力!」ジャキ!

 

宇宙格闘士の帝王「ダークガルネイトボンバー!」

 

神代キヴォトス人「ランバルトアローストライク!」

 

ウルトラマン80「――――――!」 ――――――サクシウム光線!

 

ロボット職員「光よ!」

 

 

チュドーーーーーーーーーーーーーーーーン!

 

 

舞台を意識して観客席に向けて各々がセリフを読み上げた後、一人一人が必殺技のポーズをとって振り向きざまに4人の戦士たちの必殺技が炸裂し、壁一面の巨大な怪獣を模したバストアップのアニマトロニクスは完全に消し飛び、派手に吹き飛んだセットの向こうには透き通るような世界観の青空が広がった――――――。

 

まさかの怪獣退治を再現したライブショーは迫力満点という言葉だけでは言い表せないほどの舞台となり、どこからどこまでが現実と非現実かの境目が曖昧になり、観客の誰もが目を奪われる極上のものとなり、人々は自然とウルトラマンたちを応援していた。

 

必殺技を放って全てが終わった後、徐ろに振り返った4人の戦士が集まると、4人で『左』『右』『みんなで手を重ねて』『オー!』の多人数用のサークルクロスタッチが綺麗に決まり、割れんばかりの拍手と歓声が響き渡った。

 

そして、カラータイマーが赤く点滅して その音色を響かせた ウルトラマン80のことを戦士たちが口々に労いの言葉を掛けると、秤 アツコがこれまでずっとキヴォトスを守ってきてくれたことへの感謝の思いを込めた花束を贈呈し、それを受け取ったウルトラマン80は花束を光へと変換してメディカルパワーを放った。

 

観客席に向けて生命活動を活性化させるメディカルパワーが注がれ、VIPルームの窓越しにも光は透過し、ついでに舞台袖にいたキャストや裏方のスタッフにもしっかりと行き渡るように舞台の上を練り歩き、

 

身体の調子が良くなったことに信じられないような奇跡をみんなが体感して再び大きな驚きの声と歓声が湧き上がるのを見届けて、ウルトラマン80は破壊された舞台背景から透き通るような世界観の青空へと飛び立ったのである。

 

 

――――――ありがとう、ウルトラマン80!

 

 

こうして何事もなかったかのように北条先生がひょっこり姿を現し、昼の部のライブショーは何度目かになる盛大な拍手と歓声と共に幕を閉じたのであった。まさに魔法のような舞台であり、驚きと感動の連続であった。

 

この舞台にはこれからの怪獣退治の主力となる特捜チーム【GUTS-SAFETY(ガッツ・セイフティ)】への応援の仕方をキヴォトス中に刷り込むのと同時に、“シャーレの研究員”神代キヴォトス人:サーベラスと“シャーレの指導員”グレゴール星人:グレゴリオが人類の味方であることを印象づける目的があり、

 

更には、無関係の観客の応援によって秤 アツコの許に光を集める予行演習や、人間大に変身したウルトラマン80の能力がどの程度のものかを確かめる狙いもあったのだ。

 

もちろん、今回の舞台の脚本と演出は地球の文化を宇宙の誇りとする地球人:北条 アキラによるものであり、ウルトラマン80に変身して舞台に現れるところ以外は全て脚本通りの演出であったのだ。

 

そのウルトラマン80の登場も関係者には黒いラッシュガードへの投影という風に説明していたので、本物としか思えないものが現れる演出には極一部の出演者を除いて本当に驚愕だったのだ――――――。

 

 

ワイワイ、ガヤガヤ、ワーワー!

 

 

聖園 ミカ「ほらほら、見て見て、“教父(せんせい)”! 何これ、何これ! 変なの、変なの!」

 

ロボット職員「危ないですよ、ミカさん」 ――――――パトロールという名のデート中。

 

角楯 カリン「いえ、周囲に異常はないですよ、ガリバーさん」 ――――――ロボット職員:マウンテンガリバーの肩アーマーに腰掛けて周囲を警戒。

 

ロボット職員「まあ、それはそうなんですけど……」

 

聖園 ミカ「あーあ、楽しい。セイアちゃんの代理のナギちゃんの代理を引き受けて正解だった。あ、これとこれ、お土産にしちゃおうかな」

 

ロボット職員「…………ミカ」

 

聖園 ミカ「どうしたの、“教父(せんせい)”? そんなに見つめちゃって? もしかして私に見惚れちゃった? 気合入れてきたもんね、今日は! 肩に乗っているウサギさんが嫉妬して私に銃を向けちゃうかもね?」アハハ!

 

 

ロボット職員「……()()()()()()()()()()()()()()()、ミカさん」

 

 

角楯 カリン「え」

 

聖園 ミカ「そこは『もっと楽しいことをしようよ』じゃなくて?」

 

ロボット職員「あ、いや、なんでもないです……」

 

聖園 ミカ「変なの」

 

聖園 ミカ「でも、ありがとう、“教父(せんせい)”。やっぱり、“教父(せんせい)”は優しいね。ずっと変わらない……」

 

 

ロボット職員「ミカさんも優しいよ? 優しいから誰かに何かをしてあげたくなるんだよね? そこに理由なんてないんだよね?」

 

 

聖園 ミカ「……そういうことを言われると嫌いになっちゃうよ、私?」

 

ロボット職員「でも、正しいことだと思ったんでしょう、そうすることが? だから、突き進むことができた」

 

ロボット職員「ミカさんは馬鹿じゃないよ。一番まともだから、本当に正しいことに気づいただけだよ」

 

聖園 ミカ「……本気で言っているの? 私が? ナギちゃんやセイアちゃんよりもまとも? そんなわけないじゃんね?」

 

 

聖園 ミカ「あれ? おかしいな? どうしてこんなにも涙が落ちて……?」ポタポタ・・・

 

 

聖園 ミカ「あ、ダメ! ダメだってば! どうして!?」ポタポタ・・・

 

角楯 カリン「………………」

 

ロボット職員「そうですか、ミカさん」

 

ロボット職員「カリンさん」

 

角楯 カリン「はい」

 

ロボット職員「たしか、夏用のレジャーグッズのコーナーはあっちだったかな? そこに私でも使える超頑丈な新素材のハンモックはあったよね?」

 

角楯 カリン「見つけました」

 

ロボット職員「じゃあ、行こうか、ミカさん」パシッ

 

聖園 ミカ「え?」グスン・・・

 

ロボット職員「昔、語り聞かせたよね、ミカさん」

 

 

――――――(lux)の福音書 16:19-31 エルアザル(神はわが助け)のたとえ話。

 

 

そう言って、昔のように“教父(せんせい)”は私に優しい声音で聖書の言葉を聞かせてくれたの。

 

ううん、ちがう。ちがうんだって。ちがうの。私は世間一般の普通の女の子のようにキヴォトスの頂点に君臨している“シャーレの先生”北条先生の半身とも言われている“シャーレの職員”に今はなっている“教父(せんせい)”とデートをしているところをキヴォトス中に見せつけてやりたかったの。

 

そうしたら、みんなが私のことを羨ましがってスカッとなって私の中のモヤモヤが晴れると思って――――――。

 

だから、常夏の楽園をイメージしたウォーターパークに合わせて みんなが気合いが入った水着や思い思いの夏着で着飾っている前で、とびっきり可愛い格好になって“教父(せんせい)”の腕に抱き着いたり、“教父(せんせい)”の肩に乗ったりして見せびらかしてみたの。

 

まあ、名目上は“教父(せんせい)”はお仕事中(パトロール中)ってことだから、私を乗せているのとは反対の肩に真っ黒なウサギさん(角楯 カリン)も一緒についてきちゃったけど、そこまで騒ぎ立てるわけでもないし、頭や肩に乗せるぬいぐるみだと思って そこは我慢した。

 

でも、“教父(せんせい)”の硬い胸板“嘆きの壁”に久々に手をついたのもあって、“教父(せんせい)”には私やナギちゃん、セイアちゃんが抱えている問題の本質が見透かされているようで、まっすぐに素直に“教父(せんせい)”の方を向くことができない――――――。

 

 

――――――だって、“教父(せんせい)”に嫌われたくないから。もっと“教父(せんせい)”と一緒にいたかったから。もう“教父(せんせい)”と離れ離れになるのは嫌だったから。

 

 

昔から幼馴染のナギちゃんと比較されてきて、高等部に進学して【ティーパーティー】に入ったらセイアちゃんとも比較されて、他にも【トリニティ】に無数に存在する派閥の人たちと比較され続けてきたのに、“教父(せんせい)”だけは私のことを褒めてくれた。私のことを見てくれていた。私のことを愛してくれた。

 

私がこうして【ティーパーティー】の副々ホストっていう 中途半端なようでいて それなりの地位(序列3位の要職)に就けたのも、本当はナギちゃんやセイアちゃんのように上手くやれる自信もやる気もまったくなかったけれど、

 

それでも、私が引き受けたのは“教父(せんせい)”が褒めてくれた私、見てくれていた私、愛してくれた私を裏切りたくなかったから。

 

幼馴染である【フィリウス分派】代表のナギちゃんを籠絡するためのトラップ要員でも、互いに相性が悪いことを自覚している【サンクトゥス分派】代表のセイアちゃんのことを牽制するために刺客として【パテル分派】に担ぎ上げられただけの“お飾りのお姫様”のつもりなんてさらさらない。

 

私のことを【パテル分派】が“お飾りのお姫様”扱いするのなら、私は周りが思う通りに“教父(せんせい)”が褒めてくれた私、見てくれていた私、愛してくれた私として振る舞うだけ。

 

それが 幼馴染の大好きなナギちゃんや いつもいつも意味がわからないことばっかり言ってくる大嫌いなセイアちゃんと3人で歩んできた【ティーパーティー】ともちがう、“教父(せんせい)”との大事な繋がりだったから。

 

 

――――――でも、現実は物語のように“お姫様”に優しくなんてなかった。そんなことはナギちゃんやセイアちゃんにずっと比べられてきていたから最初からわかっていたはずなのに。

 

 

それでも、【トリニティ】で学制改革を断行した歴代の派閥の代表たちの間で秘密裏に受け継がれていた“嘆きの壁”に手をついて悟りを得る秘儀で、私が初めて“教父(せんせい)”に触れた時、“教父(せんせい)”が優しく私の頬に触れて、髪に触れて、額に触れた時に見えた“光”が私のことを温かく包んでくれたから――――――。

 

そう、私はその時から“お飾りのお姫様”なんかじゃなくて“聖園 ミカ”だった――――――。

 

だから、今日は“教父(せんせい)”が【トリニティ総合学園】から去って一つの時代が終わりを告げ、たちまちのうちに人々が地位や権力、名誉と富に執着して、憐れみの心 即ち 貧しい人や弱い人を労り 励まし 愛する心を失って弱肉強食の人面獣心の魑魅魍魎が跋扈する伏魔殿(パンデモニウム)となった場所を懸命に生きてきた“聖園 ミカ”がご褒美をもらう日――――――。

 

 

――――――私はエルアザル(神はわが助け)だから。マモン(金持ち)じゃない。

 

 

でも、実際に口を衝いて出るのは本心とは正反対の言葉ばかり。本当はそんなことを言いたいんじゃないの。本当はそんなことがしたいんじゃないの。本当はそんな私でいたくないのに、そういうふうに振る舞わないとまるで私は“お飾りのお姫様(聖園 ミカ)”じゃないみたいに――――――。

 

ちがう! こんなの“私”じゃない! だって、“教父(せんせい)”が褒めてくれた私、見てくれていた私、愛してくれた私はこんな、こんなはず、こんなわけ――――――。

 

あれ、“私”って何だっけ? “私”って誰だっけ? “私”ってどうやって“教父(せんせい)”に褒めてもらえたんだっけ? 見てくれてもらえたっけ? 愛してもらえたっけ? 

 

え? ねえ、誰か教えて? 誰か答えて? 誰か何か言ってよ? ねえってば!

 

 

助けて。助けて。助けて。助けて。助けて。助けて。助けて。助けて。助けて。助けて。助けて。助けて。助けて。助けて。助けて。助けて。助けて。助けて。助けて。助けて。助けて。助けて。助けて。助けて。助けて。助けて。助けて。助けて。助けて。助けて。助けて。助けて。助けて。助けて。助けて。助けて。助けて。助けて。助けて。助けて。助けて。助けて。助けて。助けて。助けて。助けて。助けて。助けて。助けて。助けて――――――。

 

 

すると、“教父(せんせい)”が聞こえた。“教父(せんせい)”が触れた。“教父(せんせい)”が感じられた。

 

気がつくと、“教父(せんせい)”に抱き寄せられてハンモックに一緒に腰掛けていた。“教父(せんせい)”は身体がとても大きいから、その分だけハンモックが沈んで“教父(せんせい)”と私がこれ以上なく密着していた。

 

そして、いつも聖書の教えを読み聞かせてくれていた優しい声音ですっかり気分は昔に戻ったみたいで、久々に心が穏やかになれた。

 

やっぱり、私はこうなりたかったんだ。ずっとこうしていたかったんだ。この時が待ち遠しくて私はどんなに苦しくても悲しくても悔しくても腹立たしくても虚しさでいっぱいになっても“聖園 ミカ”で在り続けたんだ。

 

 

――――――(lux)の福音書 16:19-31 エルアザル(神はわが助け)のたとえ話。

 

 

それは十数年前に“教父(せんせい)”が【トリニティ総合学園】にやってきたことに端を発する学制改革運動――――――、

 

それを主導してきた歴代の【ティーパーティー】のホストたちをはじめとする派閥を超えて団結した“教父(せんせい)”の直弟子たちに“嘆きの壁”から常に問い続けていた御教(みおしえ)――――――。

 

それを語り継ぐことが使命だったはずなのに、“教父(せんせい)”が【トリニティ総合学園】から忽然と姿を消して、あっという間に下火になってしまった聖なる印――――――。

 

 


 

金持ち(マモン)たちは 紫の衣や柔らかい麻布を身にまとい 贅沢に遊んで暮らしていた。

 

そして、金持ち(マモン)の家の前にはできものだらけの乞食:エルアザル(神はわが助け)が、その家から捨てられる残り物を食べて空腹を満たそうと座っていた。

 

犬がやって来てエルアザル(神はわが助け)のできものを舐めていたが、金持ち(マモン)たちはエルアザル(神はわが助け)をついに思いやることはなかった。

 

やがて、エルアザル(神はわが助け)はそのまま野垂れ死ぬが、御使いたちによって教父(ファザー)のいる世界に連れて行かれて癒される。

 

そして、金持ち(マモン)たちも亡くなるが、金持ち(マモン)たちは例外なく地獄へ落ちて燃え尽きることのない炎の中で苦しみ、預言者たちの言葉に耳を傾けなかった生前の生活を悔やむ。

 

そして、せめて自分の兄弟たちが同じ目に遭わないようにエルアザル(神はわが助け)をそこへ遣わせるようにと教父(ファザー)に願う。

 

しかし、教父(ファザー)は『すでに預言者たちの御教が地上に満ちている』と語り、その上で憐れんだ眼差しを向けて『そのようなことをしても悔い改めることはしないだろう』と厳しい言葉で金持ち(マモン)たちを戒めたのであった――――――。

 


 

 

聖園 ミカ「せんせい……」スヤァ・・・ ――――――肩を寄せて瞳が閉じられた。

 

ロボット職員「良かった。ようやく安らぎを感じることができたみたいだ」

 

ロボット職員「僕のせいだよね、ミカ。僕が悪いんだ。僕が傷つけてしまった……」

 

角楯 カリン「ガリバーさん?」

 

ロボット職員「あ、ごめんね、カリンさん。こんなことに付き合わせちゃって」

 

角楯 カリン「いえ。私はただガリバーさんの護衛としてパトロールの任務に同行しているだけです」

 

角楯 カリン「ただ、やっぱり、ガリバーさんは十数年も【トリニティ】の職員だったんですよね……」

 

角楯 カリン「そのことを再認識させられて、少し……」

 

ロボット職員「無駄に年月ばかりが過ぎて僕は何も変えられなかったよ」

 

角楯 カリン「――――――【トリニティ総合学園】の学制改革運動を成功に導いた“教父(ファザー)”であったとしても?」

 

 

ロボット職員「僕が何もしなければ【トリニティ総合学園】は今の状況にはならなかったんだ……

 

 

角楯 カリン「……え?」

 

角楯 カリン「……えと、たしかにそうかもしれないですけど、IT革命でキヴォトス中の学園に情報化の波が押し寄せて、それで私たちの【ミレニアムサイエンススクール】が台頭して、それに続いて貪欲にIT技術を取り入れた【ゲヘナ学園】が更に勢いづいていた時勢に対して――――――、」

 

角楯 カリン「『歴史は繰り返す』と言うように、()()()()()()()()()() 歴史や伝統にこだわって【トリニティ総合学園】の改革が遅々として進まなかった状況を変えたのは“教父(ファザー)”であったガリバーさんですよね?」

 

ロボット職員「――――――()()()()だなんて傲慢な戯言だ。僕なんかがいなくても誰かがそれを成し遂げていたと思いますよ

 

 

――――――ああ、そうだ。僕なんかに未来を変えられるはずがなかったんだ。どうして思い上がっていたんだろう。忘れていたんだろう。僕は未来を救えなかった罪人だったと言うのに。

 

 

戦場カメラマン「そこにいたのか、記念に1枚撮っていいか」パシャ

 

角楯 カリン「……姫矢さん」

 

ロボット職員「あ、いや、言いながら、もう撮っているじゃないですか……」

 

 

戦場カメラマン「その子がコーイチにとっての過去の象徴ということか」

 

 

ロボット職員「……ええ。変えてあげることができなかった未来なんです」

 

戦場カメラマン「……なら、俺にとってキヴォトスの過去の象徴はホシノということになるな」

 

ロボット職員「戦ったんですよ、必死に。16年前から。変えようとしたのに変わらなかった。僕がいなくなった途端に全ては元通り……」

 

ロボット職員「僕は何のために歴代の【ティーパーティー】のホストたちや派閥を超えて繋がり合ったみんなと一緒に【トリニティ総合学園】の学制改革運動を――――――!」

 

ロボット職員「結局、何も変わってない! 僕がいなくなった途端にあっという間に崩れ行くだけの見せ掛けの平和しかもたらすことができなかったんだ!」

 

 

ロボット職員「ふざけるなよ、“雷帝”! ふざけるなよ、エデン条約! ふざけるなよ、ベアトリーチェ!」

 

 

角楯 カリン「……ガリバーさん」

 

戦場カメラマン「………………」

 

ロボット職員「……この子の笑顔が曇ることがわかりきっていたのだから、ミカだけでも強引に連れていけばよかったのかな?」

 

戦場カメラマン「お前がそう思うぐらいなんだ。その子は純粋過ぎたんだな」

 

戦場カメラマン「だから、守りたくなったんだろう?」

 

ロボット職員「……言いたくない。僕はみんなを守らなくちゃいけないから。“光”は独り占めされるものじゃない」

 

角楯 カリン「……あ」

 

 

戦場カメラマン「――――――俺も同じだった」

 

 

ロボット職員「……姫矢さんも?」

 

戦場カメラマン「俺も一人では変えることができなかった、何も」

 

戦場カメラマン「一人孤独に死んでいくことが、せめてもの罪滅ぼしに違いないと思って、戦い続けるしかなかった」

 

戦場カメラマン「けれども、そんな俺に寄り添い、一緒に戦い、過酷な戦いの中で絶望の淵から何度も立ち上がってくれた かけがえのない戦友(とも)の存在が俺を変えてくれたんだ」

 

 

――――――俺はこの“光”を得た。この“光”の意味が何なのか、お前(戦友)を助けた時、俺は感じたんだ。

 

 

戦場カメラマン:姫矢 ジュンは振り返る。若さと情熱に燃えて人間社会の闇を暴いてきたが、逆に人間社会の闇に呑まれて人間不信に陥っていくことになってしまった。

 

やがて、自らを追い立てるように紛争地帯を渡り歩くことになり、死の瞬間ばかりを撮り続けながら自身はどんな死地からでも生き延び続けることで積み重なっていく罪の十字架が重くのしかかっていく。

 

しかし、ある意味においては一度は死んだ人間でありながら、姫矢 ジュンは“光”に導かれて再び人の世を彷徨い続けることになった。

 

そして、闇の巨人:ダークメフィストとの最後の決戦の後、五体満足で再びキヴォトスの地へと誘われたことの意味をずっと考えながら、元の肉体を失って機械の身体に“光”を宿して生き永らえていたロボットの青年とめぐりあうことになった。

 

かつては怪獣と戦える力があったのに今は失われていることに慟哭する青年の姿を見て、アビドス砂漠で出会った少女が現地では2年の時を経ても銃を手放せない現実を目にして、適能者(デュナミスト):姫矢 ジュンはキヴォトスの地で再びウルトラマンとして戦う決意を固めて立ち上がったのである。

 

だから、かつて“ウルトラマンティガ”だったコーイチ先生の成れの果てである“シャーレの職員”ロボット職員:マウンテンガリバーの傷ついた心に寄り添わなければならないという使命感が湧き上がり、アビドス遠征で常駐することになった【アビドス高等学校】のかつてない発展のために一緒に力を尽くすことになった。

 

一方、破滅の未来を回避するために16年前からキヴォトスの在り方を根本から過去改変してやろうとして何も変えることができないままXデーを迎えてしまった絶望感、無力感、罪悪感にずっと囚われていたコーイチ先生の苦しみを今日まで忘れさせてくれていたのが“シャーレの先生”であり“GUYSの先生”である地球人:北条 アキラの偉大さであった。

 

もう言うまでもない。本職が小学校の先生であるから子供たちの心理をよく理解しているのに加え、ウルトラマンが種族単位で存在して半世紀に渡って様々な怪獣や侵略者と戦い続けてきた歴史を持つ地球の出身であったことから、失踪した“連邦生徒会長”が遺した強大な人事権を有する超法規的機関【連邦捜査部 S.C.H.A.L.E(シャーレ)】を善用してキヴォトスを善なる方向へと導いていた。

 

社会の闇を暴いてきた結果、逆に人間不信に陥っていた青二才の俺としては2年前のキヴォトスの惨状を知っていたからこそ、政治不信が蔓延して【連邦生徒会】の統制が失われたキヴォトスに突如として出現した超法規的機関【連邦捜査部 S.C.H.A.L.E(シャーレ)】に対してジャーナリストとして取材の機会を持つに至ったが、

 

初めて対面することになった“ウルトラマンの心”を教育現場で実践してきた地球人:北条 アキラは見た瞬間に今まで会ってきた人間たちとは根本的に異なる“光”の側の存在であることを直感で理解することになり、取材するに当たって動画配信サイトのアーカイブを可能な限り視聴していたことでより理解が加速することになった。

 

 

――――――北条先生(この人)姫矢 ジュン()と同じだ。俺と同じように秩序が崩壊したキヴォトスで“ウルトラマンの心”という理想の下に正義と野心に燃えていた昔の俺と同じなんだ。

 

 

俺と北条先生とでちがうところは、怪獣頻出期が収まった後の平和な時代において人間の負の感情から生まれるマイナスエネルギーによって怪獣が誕生する事態を抑止するために、防衛チームの隊員になることよりも小学校の先生になる道を敢えて選んだ見識の高さにあった。

 

俺と同じように人間社会の闇を直視しながらも、半世紀に渡るウルトラマンと人類の絆を信じて前に進み続けたことで、俺のように人間不信に陥らずに人間の中に同時に存在し続けている光と闇を受け入れられるようになっていた点が大きなちがいだった。

 

そう、俺は人間社会を支配している大人の世界で闇を見て絶望して人の死の瞬間ばかり撮る戦場カメラマンに成り下がっていたが、北条先生の場合は人間社会を構成することになる()()()()()()()である小学校の生徒や取り巻く環境の中に潜む闇に直面していたというのも大きい。

 

俗悪に染まりきって汚れているのは大人たちだけじゃない。善悪の価値基準や判断能力が確実に劣る子供たちもまた時としては大人と同等以上に陰湿かつ残酷にイジメや犯罪に手を染めている場合があるのはアニメや漫画でも取り上げられている事実である。

 

子供だから無垢な存在であるという決めつけが往々にして罷り通っている社会の現実において、小学校の先生だったからこそ、未来を担う子供たちの健やかな成長のために先生として本質的な指導を果たさなければならない立場にあったのが、北条先生の苦しみであり 葛藤であり 開き直りであり 悟りであった。

 

その重要な人生の発見を得るためにウルトラマンと共に怪獣と戦ってきた先人たちの教えや歴史の集大成である【アーカイブドキュメント(怪獣図鑑)】を学ぶことができたのが人生で一番の宝物であったと語り、

 

実際に【アーカイブドキュメント(怪獣図鑑)】の知識を活用して【キヴォトス防衛軍】の怪獣退治を成功に導き続けているのだから、コーイチがそう感じたようにこれ以上なく現状のキヴォトスを救うことができる適任者であると確信できた。

 

 

そう、俺自身もTLT-J戦略特殊任務班【ナイトレイダー】の助けがなければ最後まで戦い抜くことができずに強大な闇の力の前に屈していたわけなのだから、誰も代わりになれる者もなく 一人孤独に怪獣と戦い続けることになる“ウルトラマン”の側からすると、本当にありがたい限りであった。

 

 

一から怪獣災害に対処できる防衛体制の構築とキヴォトス史上最大の軍事力【キヴォトス防衛軍】の結成を成し遂げただけでも掛け値なしに称賛に値するが、キヴォトス中から絶大な支持を受けて 失踪した“連邦生徒会長”の実質的な後継者として 君臨できている事実もまた俺にとっては眩しいものに感じられた。

 

本人はあくまでも“連邦生徒会長”に喚ばれた怪獣退治の専門家であることに終始し、支配者になることを拒絶して、学園都市:キヴォトスの在り方と主権には干渉しない立場を徹底していた。それは支配者という上の存在ではなく、良き隣人として共に肩を並べられる対等の立場であることを願ったものであった。

 

そこにはM78星雲の光の国からやってきた光の巨人とは半世紀に渡る付き合いがある地球人らしい含蓄深い視点であり、ある日 普通の人間から巨人に変身する能力を得てしまった者しかウルトラマンがいない世界ではそこまでの結論に至ることができなかったものだと考えると、北条先生のウルトラマンとしての在り方は非常に洗練されていた。

 

 

けれども、その陰にはやはり16年前の過去から破滅の未来を変える使命を背負って奮闘し続けたロボット職員:マウンテンガリバーの頑張りがあったのも事実であった――――――。

 

 

たとえ、ウルトラマンに変身することができなくなったとしても、ウルトラマンだった時の経験が存分に活かされて、北条先生が目指す理想の社会作りの一番の支えになってきていることは“シャーレの先生”がわざわざ自分の半身と太鼓判を押した“シャーレの職員”としての実績と知名度の高さから見ても明らかだった。

 

だから、決して無駄なんかじゃなかったんだ。俺もずっと人生に迷い続けて、やっとめぐりあうことができたのだから。

 

そのことを伝えるのが 怪獣退治の英雄的行為の功を誇るよりも自分だけが生き続けている罪(サバイバーズ・ギルト)に苦しめられ続けている 同じ“光”を宿す同胞とキヴォトスで出会うことになった理由なのだろう――――――。

 

 

――――――暗闇の彼方に救いの光が必ず存在していることを伝えるために俺は再びキヴォトスに来たのだと。

 

 

ロボット職員「……姫矢さん」

 

戦場カメラマン「わかるだろう。人は答えを求めて歩き続けている。いつか答えに辿り着くことを願って」

 

戦場カメラマン「そして、俺たちは辿り着くことができたんだ、()()に今」

 

ロボット職員「それは…………」

 

 

角楯 カリン「姫矢さんの言う通りですよ、ガリバーさん」

 

 

ロボット職員「カリンさん……」

 

角楯 カリン「悲しみや絶望はこれまでの日々や歴史の中で数え切れないぐらいあって」

 

角楯 カリン「でも、同じように喜びや希望もこれまでの日々や歴史の中で数え切れないぐらいあったはず」

 

角楯 カリン「……ガリバーさんがどれだけその人のことを思っているかは伝わりました。正直に言って嫉妬してしまいます」

 

角楯 カリン「けれども、愛してくれた人に()()()()()()()()()()()()()()()()()として記憶されるだなんて、そんなのは絶対に嫌。誰だって。私だって」

 

 

角楯 カリン「だから、顔を上げて。過去は変えることができなくても、これからの未来は変えていけるから」

 

 

戦場カメラマン「ああ。俺も出来る限りのことはしよう」

 

戦場カメラマン「北条先生が見せてくれたんだ。これから変わっていく【アビドス】の未来を」

 

戦場カメラマン「コーイチが経験したように、語り継ぐことを辞めた瞬間に希望は絶望へと変わっていく」

 

戦場カメラマン「だからこそ、何度でも語り継いでいこう。それで何度でも立ち上がろう」

 

角楯 カリン「泣いたっていい。最後にまた笑えれば――――――」

 

 

宇宙格闘士の帝王「そうだ。ただ それだけのことをしてみせれば、お前は英雄になれる」

 

 

ロボット職員「……グレゴリオ様? どうして?」

 

宇宙格闘士の帝王「コーイチ、見縊るなよ。このオレが認めたのだぞ。お前の拳に込められた熱い思いの裏にある深い哀しみを見抜けないはずがないだろう」

 

宇宙格闘士の帝王「なるほどな。そこの眠れるお転婆姫も相当に黒いものを背負っているな」

 

ロボット職員「でも、苦しんでいるのはミカだけじゃない。あそこにいる みんな そうなんだ」

 

宇宙格闘士の帝王「なら、話は簡単だ」

 

角楯 カリン「ど、どうするつもりなんです、グレゴリオ様?」

 

 

宇宙格闘士の帝王「知れたこと! 破壊し尽くせ! 燃やし尽くせ! そして、何度でも建て直せ! 更地になった後に新たな堂宇は建てられるものだ! 奇跡など己が手で何度だって起こせばいい!」

 

 

戦場カメラマン「だからと言って、今ある校舎を更地にするのは辞めておけ」

 

宇宙格闘士の帝王「当たり前だ! 未来のオレへの挑戦者へと素養を実らせていく運命を持つ女子供を虐げるなど大宇宙の摂理に悖る愚劣な行為だ!」

 

角楯 カリン「ああ、そういう考え方だったんだ、グレゴリオ様の言う『女子供』って……」

 

宇宙格闘士の帝王「無秩序に思える弱肉強食の大宇宙にも摂理と言うものがあるのだ! 狩人たる者、獲物が減り過ぎないように『繁殖期の動物、子連れや子を孕んでいる牝は狙わない』といった自然の循環に自ら加わることで その力を振るえていることを知れ!」

 

戦場カメラマン「なるほどな、それは納得がいく説明だな」

 

宇宙格闘士の帝王「だからこそ、立つのだ、コーイチ! 貴様が歩んできた道で掴み取った“魂の輝き”を曇らすことは一時あっても完全に闇で包むことは不可能なのだ!」

 

ロボット職員「……カイザー」

 

宇宙格闘士の帝王「立て。悲しみに暮れて前が見えないのなら、遮二無二 身体を動かせ。そうすれば自然と人は前を向くようになっている。なにより、実践あってこそのありがたい教えというものだろう」

 

 

宇宙格闘士の帝王「さあ、このオレと付き合え、コーイチ」スッ

 

ロボット職員「カイザー……!」パァ!

 

 

角楯 カリン「えっ」

 

戦場カメラマン「おいおい……」

 

戦場カメラマン「む」

 

 

聖園 ミカ「だ、ダメええええええええええええええ!」ドォオオオオン! ――――――起き上がりの渾身のストレート!

 

宇宙格闘士の帝王「ほう! いい拳だ! だが、踏み込みが甘い!」バシィイイッ! ――――――難なく受け止める!

 

 

角楯 カリン「あ」

 

戦場カメラマン「……寝た子を起こすように言っていたか」

 

ロボット職員「……み、ミカぁ!?」

 

 

聖園 ミカ「だ、ダメだから、“教父(せんせい)”! “教父(せんせい)”は今、私とデートしているんだから! 他の女に目移り…するどころか、異星人なんかに熱い視線を向けないでよ! 私から“教父(せんせい)”を奪らないでよぉおおおお!」

 

 

宇宙格闘士の帝王「だがな、退屈していたようだぞ、コーイチは?」

 

宇宙格闘士の帝王「お前も一人の女であるのなら、コーイチを喜ばせることをしてみせたらどうだ?」

 

宇宙格闘士の帝王「少なくとも、オレは一人の男としてコーイチをこうして奮い立たせることができたぞ?」

 

聖園 ミカ「ふ、ふざけないでよ! 私だって、私にだって、“教父(せんせい)”を喜ばせることなんて簡単にできるもん!」

 

宇宙格闘士の帝王「どうだかな? コーイチの身体がロボットじゃなければ、お前の身体で慰めてやれんことはないだろうが、それもできないのにどうやってロボットの身体を喜ばせることができる?」

 

聖園 ミカ「………………っ!」

 

宇宙格闘士の帝王「どうだ、己の無力さを痛感したか! 周りから愛されるだけのお前では誰かを喜ばすことも、誰かを愛することも満足に出来やしない!」フン!

 

ロボット職員「ミカさん!? グレゴリオ様!?」アワワワ・・・

 

角楯 カリン「さすがに言い過ぎですよ……」

 

戦場カメラマン「………………」

 

 

宇宙格闘士の帝王「来るがいい、【ティーパーティー】副々ホスト:聖園 ミカ! 異星人であるオレの手によって【トリニティ総合学園】の誇りに傷をつけられたくなければな!」

 

 

聖園 ミカ「はあ? それってどういう意味――――――?」

 

宇宙格闘士の帝王「貴様たち【トリニティ総合学園】は揃いも揃って 賢しらを見せつけて飾ることしか能がない 口先だけのとんだ役立たずの臆病者揃いだということだ!」

 

宇宙格闘士の帝王「他の学園の代表は自ら武器を手にして怪獣と戦っているというのに、【トリニティ】の代表は優雅に紅茶を飲んで菓子を摘んでいるだけとはな!」

 

宇宙格闘士の帝王「それだから、怠惰と虚飾で堕落した貴様たちは【ゲヘナ学園】に併呑される運命にあるのだ!」

 

聖園 ミカ「ちょっと聞き捨てならないんだけど、今の!」

 

聖園 ミカ「いくら“教父(せんせい)”の同僚だか何だか知らないけれど、余所者がキヴォトスのことについて偉そうに語らないでよ!」

 

宇宙格闘士の帝王「ならば、どうする? 己の誇りと尊厳を取り戻すために戦う勇気も力もない無能揃いに何ができる?」

 

聖園 ミカ「私だって! 私だって! 私だって――――――!」グッ!

 

宇宙格闘士の帝王「そうだ! 怒って真の力を見せてみろ!」

 

ロボット職員「や、やめてください、グレゴリオ様! どうしてそんなにもミカのことを責めるんですか!?」

 

 

聖園 ミカ「でも! でも! でも――――――!」ピタッ

 

 

ロボット職員「え」

 

宇宙格闘士の帝王「どうした? 何を躊躇している? オレが怖いのか?」

 

戦場カメラマン「………………」

 

 

聖園 ミカ「ち、ちがう! ちがうの! ちがうんです! わ、私は、私は、い、嫌ぁ……!」ボタボタ・・・

 

 

ロボット職員「み、ミカ!?」ギュッ

 

聖園 ミカ「せ、せんせーーーーーーーい!」グスン!

 

角楯 カリン「もしかして、ミカ様は……」

 

角楯 カリン「ガリバーさん、ミカ様はきっと【ティーパーティー】の副々ホストや【パテル分派】の代表としての立場から本当の自分を押し殺してきていたのではありませんか?」

 

角楯 カリン「どうなのですか? ガリバーさんは【ミレニアム】と【トリニティ】を股に掛ける“教父(ファザー)”だったんですよね? 【トリニティ】の学制改革運動を主導しながら、【ミレニアム】との架け橋にもなって、キヴォトス全体のIT革命の原動力だったんですよね?」

 

ロボット職員「……か、カリンさん?」

 

角楯 カリン「なら、ミカ様はどうだったんですか? リオ会長のように学園の長として上手くやっていけるように思えましたか?」 ←元【セミナー】保安部所属

 

ロボット職員「そ、それは…………」

 

戦場カメラマン「どうなんだ、コーイチ? 俺には聖園 ミカが【ティーパーティー】のトップ3に入れたのは本人の素質や能力が認められてのものとは 到底 思えないのだが?」

 

戦場カメラマン「もし“雷帝”が同年代だった時に【ティーパーティー】のトップ3から真っ先に外されるように思うが、コーイチはどう思う?」

 

ロボット職員「――――――っ!」

 

宇宙格闘士の帝王「やはりな。キヴォトスの勢力図を光か闇かで分類したら闇の側に属する【トリニティ総合学園】なんかに居ては、光の側に属する人間にとってはさぞ居心地が悪いだろうな」

 

聖園 ミカ「うぅうううううううう……!」ヒッグ・・・

 

角楯 カリン「ミカ様。大丈夫です。ここには私たちしかいません」

 

ロボット職員「あ、本当だ。人払いをしてくれていたのか。シャッターが降りている……」

 

ロボット職員「グレゴリオ様」

 

宇宙格闘士の帝王「皆まで言うな。自らの功を口に出して浅ましくも認めさせることほど興醒めなことはない」

 

戦場カメラマン「さすがは“帝王グレイ”だな」

 

角楯 カリン「ですので、ミカ様の本当のお気持ちを“教父(せんせい)”に伝えてみてはどうですか?」

 

角楯 カリン「どうしてミカ様は泣いているのですか?」

 

聖園 ミカ「だって、だって、だってぇ……」ヒッグ・・・

 

 

――――――だって、“教父(せんせい)”に嫌われたくないから。もっと“教父(せんせい)”と一緒にいたかったから。もう“教父(せんせい)”と離れ離れになるのはもう嫌だったから。

 

 

ああ、ようやく理解できた。それが立場や環境によって歪められていた聖園 ミカの本来の姿なのだと。それとも、僕は()()()()のために気づかないフリをし続けていたのか――――――。

 

どちらにしろ、僕はまた聖園 ミカを泣かせることしかできなかった。過去改変という破滅の未来を回避するための最大の武器を手にしても、僕が無能なばかりに“トリニティの裏切り者”となる運命にある【ティーパーティー】聖園 ミカを変えることができないままXデーを迎えてしまったのだ。

 

たしかに、どうして聖園 ミカが【ティーパーティー】のトップ3なのか、明らかに性質としては【ゲヘナ】の羽沼 マコトのように思いつきからの考えなしの行動で周りを振り回してばかりのトラブルメーカーで、およそミッション系のお嬢様学校【トリニティ総合学園】の代表にふさわしいと見なされる品性や貞淑さからは掛け離れていたのだ。

 

そして、組織の代表としては あまりにも不適格な 他者のことには無関心な性格であり、そこは代表の一人として一人一人のことを気にかけている様子を上辺だけでも見せかけるだけでもいいのに、誰に対しても興味のない様子をあけっぴろげにしていることから、

 

見た目がいいだけのワガママ娘が学園のホストである百合園 セイアや深窓の令嬢である桐藤 ナギサと同等の立場であることに不満を持つ生徒たちの声をまったく聞かなかったわけではない――――――。

 

実際、『前回』エデン条約をめぐる騒乱において、混乱に乗じて【ゲヘナ学園】との全面戦争に乗り出そうとした【パテル分派】の生徒たちが担ぎ出した反乱の神輿に乗ることなかったことに逆上されて、【パテル分派】代表だったミカは一転して派閥の生徒たちによる陰湿なイジメを受けるようにもなったわけだが、そこも違和感があった。

 

 

――――――いや、だって、曲がりなりにも国家と同義である学園の代表の一人だよ? どうして誰も庇おうとしないんだ? 自分たちが選んだ代表じゃないのか? どうしてそこまで責任転嫁することができる?

 

 

たしかに“トリニティの裏切り者”として相応の扱いや刑罰は当然であったにしても、ゲヘナ嫌いの生徒たちが寄り集まった【パテル分派】の代表に選出されていたのにも関わらず、本人のやる気のなさや適性の無さはみなわかっていたはずだろうに――――――。

 

振り返ってみると、熱烈な支持によって【パテル分派】の代表に選出されたわけではないことは、自身の派閥である【パテル分派】ではなく、【アリウス分校】と手を組んでクーデターを起こそうとしていたことも相まって、本当はずっと孤独だったのではないかということに今更になって気がついた。

 

思えば、そうだった。【トリニティ総合学園】の職員である“教父(ファザー)”として相談室を構えていた最後の1年――――――、もっとも僕のところに足を運んでいた高等部1年生は他ならぬ聖園 ミカだったのだ。

 

他にも、Xデーの時に“シャーレの先生”の力になれる高等部3年生:剣先 ツルギや古関 ウイたちを相談室に招いていたが、僕の推薦や助言で自分たちの居場所や立場を順調に築いていったのに対して、聖園 ミカだけはいつまで経っても僕が先生だった時と最初から何も変わらなかった――――――。

 

 

――――――そうだ。聖園 ミカにとっては幼馴染の桐藤 ナギサしか親友と呼べる存在がいなかったんだ。

 

 

そして、同時にもう1つの隠された事実に今更ながら気付いた。

 

自分を代表に仕立て上げた【パテル分派】にすら居場所がなかった聖園 ミカの唯一の親友にして【フィリウス分派】代表の桐藤 ナギサのことである。

 

『前回』は初対面でかつ状況が錯綜して何が真実なのかを僕と同じように全てを疑う立場になって半狂乱に陥っていた桐藤 ナギサだったが、

 

どうして後輩の一人である阿慈谷 ヒフミに対して異様なまでに執着して、あそこまで精神的ダメージを受ける(脳が破壊される)ことになったのか――――――。

 

立場や礼儀は弁えてはいるものの 非常に近い距離感で接してきてくれる 可愛い後輩:阿慈谷 ヒフミのことを“トリニティの裏切り者”の嫌疑が掛けられていたとは言え、冷徹かつ卑劣な罠に嵌めてでも退学させようとしていたではないか――――――。

 

それは桐藤 ナギサにとっても聖園 ミカが唯一の親友であり、ホストや派閥の代表の立場など何もかもをかなぐり捨ててでも幼馴染の親友だけは絶対に守り抜こうとしていたことからも裏付けられる。

 

 

――――――わかった。桐藤 ナギサにとって派閥や立場のしがらみによって関係を引き裂かれることになった唯一の親友:聖園 ミカの代替品としての価値を見出されていたのが阿慈谷 ヒフミであったということか。

 

 

だから、周囲からは【フィリウス分派】代表の桐藤 ナギサの懐刀の凄腕エージェントとして誤解されている阿慈谷 ヒフミであり、本来は代表として公平に接するべき ごく普通の生徒のことを痛く気に入っている時点で、実は桐藤 ナギサの方も精神的にもういっぱいいっぱいの状態になっていた――――――。

 

ヤバい。ヤバいことに気づいていしまった、僕は。これは本当にえらいことに気づいてしまっていた――――――。

 

一見すると深窓の令嬢として欠点が見当たらないように見える優等生:桐藤 ナギサが副ホストとして、覚悟は決まっているが病弱で寝込みがちな正ホスト:百合園 セイアを支えている状況は麗しいが、

 

Xデーから始まった天変地異の時代:怪獣頻出期を乗り切るにはあまりにも心身共に惰弱な人材しかトップにいないのが【トリニティ総合学園】ということになってしまった――――――。

 

しかも、歴史と伝統を重んじて派閥政治が横行したことで【ゲヘナ学園】や【ミレニアムサイエンススクール】のように純粋な実力や才能で在野の人間が一気に生徒会長に成り上がるといったことは これまでの歴史で政治的決定権を【パテル】【フィリウス】【サンクトゥス】の三派閥がずっと握り続けた【トリニティ総合学園】では不可能なことであった。

 

つまり、現在の【ティーパーティー】で一番まともに生徒会長として勤めを果たせる人物というのが、持ち回り制でホストの座が順番に回ってくることから準備や覚悟が十分にできていた元々の正ホスト:百合園 セイアであり、病弱である欠点は他2人が名代となって上手く業務を分担していけば問題ないはずだったのだ。

 

それが怪獣災害というキヴォトス全体の未曾有の危機によって状況が一変し、持ち回り制で正ホストを支える立場としての準備や覚悟しかしていなかった副ホスト:桐藤 ナギサと副々ホスト:聖園 ミカにまでホストの座が転がり込んでくるかもしれない深刻な事態にまで発展したことが幼馴染の2人にとっての最大の不幸であった。

 

 

それでようやくわかった。持ち回り制でホストを入れ替えている派閥政治だからこそ、他の派閥を牽制するためだけに明らかに生徒会長の器ではない聖園 ミカが【ティーパーティー】のトップ3に押し上げられているのだ。一見すると優等生である桐藤 ナギサにしても生徒会長になる準備も覚悟もなかったというわけなのだ。

 

 

そんな風に学園の内だけを見て政治をしているから、常に学園の外に目を向けてキヴォトス征服の野心を剥き出しにしている【万魔殿】羽沼 マコトに出し抜かれることにもなるのだ。派閥政治の悪いところが最悪のタイミングで露出した結果、【ティーパーティー】の権威の失墜に『前回』繋がったわけなのだ。

 

となると、北条先生がそうしているように正ホスト:百合園 セイアという正統な生徒会長を中心にして結束がとれるようにしなければ、こうも容易く【トリニティ総合学園】は機能不全に陥るのだ。百合園 セイアが倒れる状況になった時が【トリニティ総合学園】の終焉というわけである。

 

しかし、その気付きは今更もう遅いのだろうか。【ティーパーティー】のトップ3の人間から直接【トリニティ総合学園】の意思統一が困難になっている現実を聞かされた後となっては――――――。

 

 

戦場カメラマン「大丈夫だ。だから、ここに俺たちがいる」

 

ロボット職員「あ」

 

戦場カメラマン「俺たちは北条先生のことを信じて、俺たちでできることをすればいい」

 

宇宙格闘士の帝王「そうだ。この“帝王グレイ”にはできない方法でキヴォトスを1つにまとめあげたのだ。素直にお前が惚れ込んだ男に多くのことをまかせておけばいいのだ」

 

角楯 カリン「人には得意・不得意があるから、北条先生がこれまでの歴史で不可能と思われていたことを次々と現実のものに変えていくお手伝いをしていけばいいと思う」

 

宇宙格闘士の帝王「それよりも、今はそこの令嬢(レディ)のことだ。しっかりと慰めてやれ、コーイチ」

 

ロボット職員「え」

 

聖園 ミカ「へ」

 

宇宙格闘士の帝王「わかっただろう、自分が本当は何者で、何ができて、何ができないのかを」

 

聖園 ミカ「う、うん……」

 

宇宙格闘士の帝王「いいか。男というものは誰かのために強くあらねばならない。それが叶わないから、コーイチは心の中で涙を流しているのだ、今も」

 

宇宙格闘士の帝王「だが、それは女もそうだ。見ているだけじゃ始まらない。添い遂げたいのなら、女もまた愛した男の背中に追いつくために強くなれ」

 

 

――――――もしもその気があるのなら、【Ⅳ.アーセナル(軍事施設)】で待っているぞ。このオレが直々に稽古をつけてやる。

 

 




-Document GUYS feat.LXXX No.15-

凶暴怪獣:アーストロン 登場作品『帰ってきたウルトラマン』第1話『怪獣総進撃』登場作品『ウルトラマンメビウス』第20話『総監の伝言』登場
“帰ってきたウルトラマン”ことウルトラマンジャックが初めて"人間の前に姿を現して"戦った怪獣。
直立した恐竜のような体格に三日月のような一本角と、子どもたちが“怪獣”と聞いて連想する姿をそのまま具現化したかのような王道的なシルエットが特徴。第1話には打ってつけの正統派怪獣である。
企画段階では『鳴門海峡から現れてジャックを倒し、アーストロンの再襲来の脅威を抱きながら、日々特訓しながら怪獣と戦う』というストーリーになる予定だったが、実際には非常に印象が薄い。
何故なら第1話『怪獣総進撃』とあるように、怪獣がアーストロンを含めて3体登場するのである。しかも、その先に登場した2体に見た目のインパクト抜群のオイル怪獣:タッコングがいるため、正統派造形なアーストロンは印象負けする場合も多かった。
一方、そこまで手強い怪獣ではなかったのだが、その秀逸なデザインから『帰ってきたウルトラマン』に登場した怪獣の中でも人気・知名度共に高く、以降のシリーズでも度々客演している。

頑丈な皮膚と骨格を持ち、空母エンタープライズですら真っ二つにするという頭の鋭利な角:スラッシュホーンと地底のマグマを吸って口からスプレーのように吐き出すマグマ光線が主戦力。
片手で1000tの岩を一瞬で握り潰すほどの握力、片腕で戦車7000台を引きずる腕力を有し、尻尾は鋼鉄の1000倍も強く、持ち前の怪力も強力な武器で尻尾の一振りは強力。
角に関しては、武器であると同時に最大の急所でもあり、折られると急激に弱体化してしまう。
鉄を常食しており、皮膚の頑丈さと黒い体色は摂取した鉄分に由来すると思われる。
体内には冷却効果のある特殊なリンパ液が流れており、100万度の熱にも耐えるとされる。


朝霧山に出現し、マグマ光線を用いて山麓の村を破壊する。
現れたジャックと戦闘になったが、弱点であるスラッシュホーンをへし折られて弱ったところへスペシウム光線を受けてそのまま火口へと転落し、噴火に巻き込まれ爆死した。


後の『ウルトラマンメビウス』の時代には【ドキュメントMAT】に“帰ってきたウルトラマン”ことウルトラマンジャックと交戦した初代の出現記録が残されており、怪獣研究所のハーメルンプロジェクトの実験中に地中から出現し、メビウスと交戦する。
その最中、突如乱入してきたケルビムに従うような仕草を見せるが、これは研究所の音響放射装置の誘導音波を共鳴支配したケルビムに操られていた為であり、そのまま二対一でメビウスを痛めつける。
しかし、サコミズ隊長が搭乗するガンブースターに音響放射装置を破壊されたことで洗脳が解けてしまう。
正気に戻り、戦闘を放棄して住処の地底へ帰ろうとしたところをケルビムに咎められ、尻尾を思いっきり踏んづけられてしまい逆上。
ケルビムに猛反撃を仕掛けるも、最期はメビウスブレイブによりケルビム共々爆殺されてしまった。






怪獣そのものではなく、開園初日の移動遊園地:リトルプラネットのライブショーの舞台ギミックとして背景に隠されていた実寸大のバストアップ(胸から上)のアニマトロニクスとして登場。
ライブショーに登場させる悪役として木端微塵に吹き飛ばされることが決定されているモデルに選ばれた理由がキヴォトスで未確認の怪獣でかつ見るからに怪獣だとわかる外見と口から火を吐く特徴からステージ映えするから。
とにかく、アニマトロニクスとして製作する上でも造形がシンプルなのはありがたく、ギマイラのようにビームを出すわけでもない角がワンポイントになっているおかげで没個性でなくなっているのだ。

実は、この怪獣を模したアニマトロニクスは【キヴォトス防衛軍】で鹵獲して戦力化したバム星人の侵略兵器:メカギラスのメカトロニクスを技術検証するために【ミレニアムサイエンススクール】で製作されたバストアップの試作品であり、
上半身だけの再現に留めたのは怪獣災害が頻発したことで需要が高まっている重機としての利用が考えられていたからである。重機としての機能を果たせるのなら下半身はキャタピラでもいいわけである。
データ取りが終わったのは最近であり、重機として最適化した新型の設計も完了した今となると全てが中途半端なデカブツのため、保管するにも場所を取ってしまうので処分に困っていたところを“GUYSの先生”北条 アキラが引き取ってアーストロンの皮を被せてライブショーで盛大に爆破することになった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。