Blue Archive -Document GUYS feat.LXXX-   作:LN58

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EP15 繁殖する侵略者を撃て -Ⅲ.明日を掴む運命の分岐点-

 

最初の怪獣:クレッセントがサンクトゥムタワーを直撃したXデーから早数ヶ月、天変地異の時代:怪獣頻出期に突入したキヴォトスは数々の怪獣や侵略者の脅威に晒されながらも空前絶後の発展を遂げていた。

 

そこにはいくつもの奇跡のような要因が積み重なっての空前絶後の発展ではあったが、その基盤となっているのがキヴォトス史上最大の軍事力【キヴォトス防衛軍 CREW GUYS KIVOTOS(クルー・ガイズ・キヴォトス)】を率いる怪獣退治の専門家:北条 アキラからもたらされた秩序と平和であり、

 

Xデーに現れた最初の怪獣:クレッセントが最終防衛線を突破してサンクトゥムタワーを破壊し尽くしてキヴォトスを原初の混沌へと叩き落とすかもしれない恐怖と絶望がネットを通じて世界中に拡散されたことで、

 

突如として現れて怪獣:クレッセントを倒してキヴォトスを破滅から救った赤と銀の巨人:ウルトラマン80と、サンクトゥムタワーに取り残されていた連邦生徒会長代行:七神 リンをおんぶ紐で背負って輸送ヘリの縄梯子に掴まる異邦人:北条 アキラの勇姿が人々の心に深く刻まれることになったことが最初の一歩であった。

 

以降は“シャーレの先生”であり“GUYSの先生”である地球人:北条 アキラが失踪した“連邦生徒会長”の実質的な後継者と信じるに足る才覚と手腕を発揮し続けたことで、学園都市:キヴォトスはかつて【キヴォトス連邦】が樹立した当初の旧き良き時代に立ち返ったかのように、あまりにも強大すぎる怪獣の脅威を前にキヴォトス中の人々が協調と団結の道を辿っていくこととなったのである。

 

そして、赤と銀の巨人:ウルトラマン80に守られながら少しずつ着実に防衛戦力を充実させていき、ついにキヴォトス人が怪獣や侵略者たちと対等に戦える戦力を確保するに至る重大な事件が起きたのである。

 

 

――――――みな憶えていることであろう、四次元宇宙人:バム星人の侵略である幽霊電車事件のことを。

 

 

バム星人の侵略を跳ね除け、繰り出された侵略兵器:メカギラスを退けた時、キヴォトスにメテオール:Much Extreme Technology of Extraterrestial ORigin(地球外生物起源の超絶技術)がもたされることになり、

 

鹵獲されたメカギラスは【ゲヘナ学園】が改修して対怪獣特殊空挺機甲(特空機):機龍丸として生まれ変わり、以降は【キヴォトス防衛軍】の象徴としてウルトラマンに並び立つ人類の守護神として最前線で現在も戦い続けているのである。

 

しかし、四次元空間から侵略してきたバム星人を撃退して得られた戦利品はそれだけではなく、幽霊電車の正体である四次元移動列車の技術や、幽霊電車に乗った人たちを騙すためにキヴォトスの街並みそっくりに造られた幻の街を獲得することになったのである。

 

これにより、バム星人の前線基地が築かれた幻の街は【キヴォトス連邦】の領土に組み込まれ、四次元都市:フォーサイトと名付けられて開発特区になったのである。

 

その四次元都市:フォーサイトへの唯一の交通手段である四次元移動列車はキヴォトス内における鉄道の管理と運営を担う【ハイランダー鉄道学園】が中心となって研究と調査が徹底的に行われ、

 

そこで得られた成果が四次元都市:フォーサイトを経由する空間トンネルによる四次元移動能力を付与された新たな対怪獣兵器の開発に繋がった他、文明を大きく発展させる交通革命が、流通革命が、産業革命が連鎖することになったのである。

 

その最たるものが、現在の【キヴォトス防衛軍】がもっとも力を入れて取り組んでいるアビドス遠征における【アビドス高等学校】への多大なる支援の数々であり、

 

砂漠に呑まれて人の整備が途絶えて輸送経路が確保できないような状況であろうが、指定の座標に空間トンネルを通って 直接 四次元移動して人員や物資を届けられるようになったのだから、

 

現在 唯一の公認部活動【アビドス対策委員会】が使う会議室だけを残して【アビドス高等学校】の校舎を丸々一つ貸し出したことで【キヴォトス防衛軍】のベースキャンプが一夜にして完成した展開力はまさに神の奇跡と錯覚するほどの恩恵であり、

 

そこから四次元都市:フォーサイトで造営された特設アリーナや移動遊園地(funfair):リトルプラネットといった大規模な建築物が蜃気楼のように現れ、かつてキヴォトス中からアビドス砂漠のオアシスに人々が訪れていたという一大名物“アビドス砂祭り”の再来とでも言うべき好景気を砂漠の街にもたらしていた。

 

しかし、それ以前からアビドス遠征の目的であるハザードマップの完成のために3000万年分の地下資源を財源にしてキヴォトス中の生徒に出稼ぎを呼びかけたことで始まったゴールドラッシュを支えていたのは出稼ぎに行くための足であり、つまりはゴールドラッシュに大挙して押し寄せる一般人が利用できる鉄道の再開であり、

 

ゴールドラッシュを誘引する仕掛けとして【キヴォトス防衛軍】と【アビドス高等学校】の連名で【ハイランダー鉄道学園】による砂漠横断鉄道の再建工事を着手させていたのが、現在の【アビドス】の空前の好景気に繋がっていたのである――――――。

 

 

山高 カムロ「凄いなー! これが砂漠横断鉄道に使われる“波動鉄道(バイブレール)”の実物か!」

 

山高 カムロ「これまでキヴォトスに襲来したUFOの残骸を解析して“超小型陽電子浮遊システム(リパルサーリフト)”の完成の目処がようやく立ったから、それと比べたら原理としては大したことはないけど、人呼んで“究極のジェットコースター”か! これはワクワクするな!」

 

足坂 エル「ええ。これまで【アビドス】から【メトロポリス(首都:D.U.)】に繋がる路線は辛うじて死守されてきたわけですけど、かつて【セイント・ネフティス】が十数年以上前に起死回生を図った大規模な鉄道開発事業の夢がこうして時を超えて形を変えて再開されるわけですね」 

 

服巻 クロモ「究極のジェットコースター――――――、見た目は平坦な軌道の上を走る普通の旅客列車ですけど、電車なのに架線がないのが最大の特徴ですね。車輪が回ることでタービンの役割であるコイルを回すことで電気を得る自転車発電の原理をグレードアップさせた電車ダイナモだけで列車の電気系統を賄う大胆な設計です」

 

山高 カムロ「そう、こいつはジェットコースターなんだ。乗客が乗る列車自体に動力はないんだけど、位置エネルギーを運動エネルギーに転換して速度をつけて走り出して、ある程度下ったら再び傾斜を駆け上がらせて運動エネルギーを位置エネルギーへと転換するようにして走る仕組みになっているんだ」

 

服巻 クロモ「つまり、特別なのは列車の方じゃないんです。一見すると平坦に見える軌道こそがジェットコースター並みの位置エネルギーを発生させて、そこから運動エネルギーに転換して高速鉄道を実現させるという、原理自体は極めてシンプルな代物なんですよね、これは」

 

山高 カムロ「要は、平坦に見える軌道が 山あり谷あり 絶えずグネグネ振動していて、人の目には見えないようにジェットコースター並みの高低差を作っているんだ」

 

山高 カムロ「その運動エネルギーを形成する位置エネルギーの大元として、振動エネルギーを1箇所にまとめて波にすることで、まったく平坦な軌道でジェットコースターの原理で何の動力もなしに旅客列車が走るってわけ」

 

服巻 クロモ「わかりやすく言うと、振動エネルギーの波に乗って列車が動いているわけですね」

 

 

山高 カムロ「だから、“波動鉄道(vibrail)”って名前なんだ」*1

 

 

足坂 エル「つまり、列車内の機能はダイナモ発電で賄って 動力を必要としないことで 非常にクリーンな乗り物ということなんですね」

 

服巻 クロモ「クリーンなだけじゃないですよ。架線が必要ないことでその分のコストも掛からないですし、理論上、どんな坂道も登ることができますから、今までになかった路線作りにも利用できるはずですよ」

 

山高 カムロ「まあ、もちろん、地面に沿って線路を敷く以上は軌道の設置にも限界があるわけだけど。今はこれが新機軸(ニュースタンダード)になるみたいだけど、いずれは超小型陽電子浮遊システム(リパルサーリフト)に取って代わるから。そう遠くないうちに」

 

足坂 エル「素晴らしいです。これは私たちメトロポリス系環境保護NGO【イエローピーナッツ】から合格認定証を発行しないといけませんね」

 

山高 カムロ「それだけじゃないよ。“シャーレの先生”が怪獣無法地帯と化したアビドス砂漠を攻略する足掛かりとして【アビドス高等学校】でゴールドラッシュを引き起こしたわけだけど、大勢の人たちが気軽にやってこれるように鉄道の回転率を上げないといけないから、その運行システムも叡智が詰まっているんだよね」

 

足坂 エル「それはどのような点でしょうか?」

 

服巻 クロモ「幽霊電車の怪としてキヴォトス中を震撼させた侵略宇宙人:バム星人の四次元移動列車をね、そのまま使うってアイデアはすでに実現されていて、四次元都市:フォーサイトを経由してキヴォトス各地の主要都市にいけるターミナルが整備されているんですけどね」

 

足坂 エル「それは素晴らしいことじゃないですか」

 

山高 カムロ「いやいや、いくら四次元都市:フォーサイトと四次元移動技術を獲得したからって、この現実世界を支配しているのは有限なんだから、無尽蔵にターミナルの接続先を設置できるわけじゃないぞ」

 

山高 カムロ「主要都市にだけターミナルを接続している理由も四次元移動列車の運行管理システムの上限を踏まえてのものだから」

 

足坂 エル「なるほどですね。無限の可能性があっても、有限の実現性によって、制限されているわけですか」

 

 

山高 カムロ「そこで考案された革新された運行システムというのが、無限軌道(endless rail)システムなんだ」

 

 

足坂 エル「えと、『無限軌道』と言いますと、戦車の履帯(キャタピラ)のことですか?」

 

服巻 クロモ「イメージとしてはそれで合っていますよ」

 

服巻 クロモ「見てください。この波動鉄道(バイブレール)は この先 途中で線路が途切れているじゃないですか」

 

足坂 エル「あ、本当ですね! これってどういうことなんですか? 大丈夫なんですか?」

 

山高 カムロ「心配御無用。無限軌道(endless rail)システムというのは戦車の履帯(キャタピラ)のように、線路そのものが実は環の構造になっていて、一定距離ごとに通り過ぎた軌道を回収して線路を逐次延長していくようにして、文字通りの無限軌道(endless rail)を作り上げているんだ」

 

足坂 エル「つまり、波動鉄道(バイブレール)の軌道が一見すると平坦に見えてグネグネ波打つことでジェットコースターに必要な位置エネルギーと斜面を形成しているのに合わせて、」

 

足坂 エル「軌道そのものが環の構造になっていて、四次元移動技術で通り過ぎた軌道を回収しながら線路を文字通り無限に延長しているわけなんですね」

 

服巻 クロモ「そうです。こうすることで限られた資材だけで鉄道をどこまでも走らせることが可能になるわけです」

 

服巻 クロモ「だから、波動鉄道(バイブレール)無限軌道(endless rail)システムのセットがあれば、大勢の人たちをどこへでも運べるようになって数を送り出せるようになっているわけですよ」

 

山高 カムロ「まあ、原理は単純でも、どう考えても超小型陽電子浮遊システム(リパルサーリフト)で浮かせた方が手間がかからないんだけどね」

 

山高 カムロ「普通にさ、そんなにたくさん人をどこにでも送り込みたいのなら兵員輸送車や旅客機でいいじゃん」

 

足坂 エル「と言うより、全ての駅と文字通り直通で四次元移動列車が繋がるようになったらいいですよね」

 

服巻 クロモ「それが実現されたら、運送業界の破滅ですから。距離の壁によって需要が発生していたのに、ストロー効果で途中の中継地に移動に伴う経済効果がなくなってしまいますから」

 

服巻 クロモ「そうなると大量の失業者による経済的混乱によってキヴォトスの秩序と平和が維持できないという理由で、何でもかんでも四次元移動列車に置き換えることができないというわけです」

 

山高 カムロ「まあ、慣性の法則のように急な変化は反発を生むってわけだから、“シャーレの先生”としては技術の紹介はするけれど、治安維持の面で問題になるものには制限をかけざるを得ないわけだね。その辺りのこともしっかりと毎週【ゲヘナ】からの公開授業で取り上げてくれているから、大衆の理解が早くて助かっているけどね」

 

 

――――――あなたたちには幸せになる義務がある! そのためにあなたたちは生まれてきた!

 

 

――――――そして、あなたたちには人々の幸せを願い、みんなが幸せになれる社会を作り上げる義務がある!

 

 

――――――だからこそ、人々の幸せを奪う権利は誰にもない! 過ちを認めて再び幸せになることを許される権利ならある!

 

 

メトロポリス系環境保護NGO【イエローピーナッツ】の3人は本日開園となる移動遊園地(funfair):リトルプラネットの入場整理券を握りしめてワクワクしながら【アビドス】でのゴールドラッシュのために大量に配備された波動鉄道(バイブレール)に乗り込む。

 

彼女たちはメトロポリス系環境保護NGO【イエローピーナッツ】は失踪した“連邦生徒会長”が残していった超法規的機関【連邦捜査部 S.C.H.A.L.E(シャーレ)】の設立以前から、キヴォトスの秩序と平和を願った人々が寄り集まった民間組織であり、学園の垣根を越えて人々が結束するための人類共通の目的として環境問題の解決に尽力していた。

 

そこでの中心人物となるのがキヴォトスでも屈指の天才たちに数えられる在野の有志たちであり、山高 カムロは角付のゲヘナ系、服巻 クロモはエルフ耳のミレニアム系、足坂 エルは羽付きのトリニティ系ということで、

 

この日、【キヴォトス防衛軍】が仲介役となって【アビドス高等学校】に対して【新キヴォトス三大学園(BIG3)】の全てが実質的に支援を約束したことで、キヴォトスの秩序と平和への期待がかつてないほどに高まったことでお祝いムードに包まれていた。

 

そもそも、メトロポリス系環境保護NGO【イエローピーナッツ】の名の由来は完全なスラングであり、“イエロー”とは『臆病』『腰抜け』『小心者』『役立たず』『裏切り者』といった良いところがまったくないネガティブな意味合い*2であり、“ピーナッツ”に至ってはもっと直接的に『わずかなお金』『つまらないもの』『おちびちゃん』などの悪口や侮辱の表現でしかない。

 

つまり、学園が国家に相当する学園都市:キヴォトスにおいて出身校の自治区外で他の学園の生徒たちと活動している国際的な民間組織の生徒たちは『役立たず』や『裏切り者』という扱いであり、それを踏まえて敢えて自分たちの組織の名前にした理想というのがキヴォトスで失われた秩序や平和などと言った『金にもならない』『つまらないもの』という意味合いとなっているのだ。

 

そのため、そこで自分たちの学園の自治区を抜け出して かつての【キヴォトス連邦】建国時の旧き良き時代の再現を目指す 若くして情熱に燃える理想主義者たちが売り物にしているのが“イエローピーナッツ(キヴォトスで価値がないもの)”というわけで、その精神性はある意味においては犯罪天国(ゴッサムシティ):キヴォトスの規範に反抗したものと言えた。

 

それが“シャーレの先生”であり“GUYSの先生”である地球人:北条 アキラの登場によって自分たちの悲願が一歩前進となった記念すべき日を迎えたとあったら、これに勝る喜びはない。

 

一方で、メトロポリス系環境保護NGO【イエローピーナッツ】からは数多くの賛同者が集まって一時期はキヴォトス中で黄色い落花生が流行した過去と機運があったものの、2年前にキヴォトス中を恐怖に陥れた【ゲヘナ学園】の“雷帝”の策略と暴威によって多くの離反者を生み出すことになり、

 

最盛期を過ぎた今となっては【イエローピーナッツ】が築き上げた資産やノウハウを奪い去っていった離反者たちが、トリニティ系環境保護団体【マウンテンコリー】の過激派と合流して、ブラックマーケット系環境テロ組織【マウンテンピーナッツ】を結成することになり、“雷帝”の策略と暴威によって 道を踏み外してしまった かつての同胞たちの後始末をつけるために環境保護団体同士の抗争が 日夜 繰り広げられていたのだった。

 

この【マウンテンピーナッツ】の名は言うまでもなく源流となった【マウンテンコリー】と【イエローピーナッツ】に由来しているのだが、どうしてこの2つを掛け合わせた命名になったのか――――――、

 

それは これまた名付け親がトリニティ系だったことで聖書に由来しており、『現世で自分を高くする者は低くされ 自分を低くする者は高くされる』天国のたとえ話から、【マウンテンコリー(救世主)】に導かれて【イエローピーナッツ(キヴォトスで価値がないもの)】は【マウンテンピーナッツ(キヴォトスでもっとも尊ばれるもの)】という底辺から至高へと逆転したい熱烈な願望が込められているからなのだ。

 

そのため、どちらかと言えばトリニティ系環境保護団体【マウンテンコリー】の過激派が自分たちの勢力拡大のためにメトロポリス系環境保護NGO【イエローピーナッツ】の離反者が持ち出した資産やノウハウを取り込んだ形となり、当時の人間の記憶に深く刻まれた“雷帝”への反感や対抗心から反ゲヘナであるトリニティ系の特色を色濃く反映した組織となったのである。

 

とにもかくも、2年前にキヴォトス中を恐怖に陥れた【ゲヘナ学園】の“雷帝”が残した爪痕が今も尾を引いており、ブラックマーケット系環境テロ組織【マウンテンピーナッツ】やトリニティ系環境保護団体【マウンテンコリー】内のシンパたちはキヴォトスを混乱に陥れた悪の帝国【ゲヘナ学園】の抹殺を環境保護を大義名分にして行おうとしていたのである。

 

実際、キヴォトスで一二を争うマンモス校でありながら犯罪発生率が断トツで 自治区のみならず キヴォトス各地で犯罪行為を行う【ゲヘナ学園】に対する各方面からの憎悪(ヘイト)は当然のものであり、その報復となる憎悪犯罪(ヘイト・クライム)が連鎖するのは当然のことであった。

 

そんな状況を打破した存在こそが“シャーレの先生”であり“GUYSの先生”である地球人:北条 アキラであり、キヴォトス人の犯罪性や暴力性の最たるものである【ゲヘナ学園】の生徒たちの心を掴んで学園の内外で大幅に犯罪を抑止するという偉業を達成してしまったのである。

 

これを素直に喜べたのがメトロポリス系環境保護NGO【イエローピーナッツ】であり、建前上はエデン条約締結のためにその状況を歓迎するトリニティ系環境保護団体【マウンテンコリー】は内心ではどう思っているかがわからず、ブラックマーケット系環境テロ組織【マウンテンピーナッツ】は『坊主憎けりゃ袈裟まで憎し』で悪の帝国【ゲヘナ学園】に肩入れする地球人:北条 アキラを激しく敵視するようになったのである。

 

 

――――――しかし、ここ最近ではその状況が大きく変わることになったのである。

 

 

それが“シャーレの研究員”神代キヴォトス人:サーベラスと“シャーレの指導員”グレゴール星人:グレゴリオの登場であり、先日のエキシビションマッチでの暴れっぷりに恐れをなして【連邦捜査部 S.C.H.A.L.E(シャーレ)】に対して攻撃を加えようという意志が反対勢力から失われていったのである。

 

更に言えば、“シャーレの先生”が自らの半身と称えた“シャーレの職員”ロボット職員:マウンテンガリバーの存在もまた【連邦捜査部 S.C.H.A.L.E(シャーレ)】の初期の功績として挙げられる 首都:D.U.各地で閉校反対の抗議運動のために不法占拠をしていた【SRT特殊学園】の生徒たちの鎮圧で活躍していたこともあり、キヴォトスの頂点に立つ存在へと昇りつめた地球人:北条 アキラに手を出すこと自体が至難の業であったのだ。

 

いや、より詳細に“シャーレの先生”のことを調べた人間ほど、地球人:北条 アキラの戦闘技術と光線銃:トライガーショットの威力が並みのキヴォトス人を凌駕している事実に行き着き、身体能力で勝っているはずのキヴォトス人を一瞬で無力化した衝撃映像が出回ったことで得体の知れない異邦人の強さに恐れ慄く他なくなったのである。

 

そう、地球人:北条 アキラの身体能力は並みのキヴォトス人に劣ってはいるが、その身のこなしや戦闘技術に関しては教師の道を選んだ後も防衛チーム【GUYS】への入隊をいつでも歓迎されているほどに維持と洗練が続けられており、【C&C】のトップエージェントの一人である飛鳥馬 トキですら取っ組み合いで制圧できないことを知れば、その力量を疑う余地はない。

 

なにより、キヴォトスに巣食うブラックマーケットを牛耳る闇組織ですら、金塊の山を台車に載せて次々と部屋に運んでくる財力の前には平伏すしかなく、闇組織の使い捨ての駒として支援を受けているブラックマーケット系環境テロ組織【マウンテンピーナッツ】は今まさに分裂の危機に陥っていたのである。

 

なにしろ、ブラックマーケット系の組織はキヴォトスの支配を目論む企業の手駒として支援を受けているわけだが、そのことを隠して多額の金銭を懐に収めながら企業にとって不都合な存在を排除するために社会の不満を煽って綺麗事を謳って人々を集めて自分の手を汚さずに過激な行動に向かわせるトップが居るわけである。

 

そこでは自分たちの活動理念が認められて活動資金を提供してもらっているのではなく、企業の目的のために活動資金を提供してもらっている関係上、企業が標的と敵対することをやめたら活動理念や目的達成など関係なしに資金提供も止まるわけである。

 

そのため、裏では多額の金銭を受け取って自分の懐に収めながら 人前では綺麗事を謳って社会の正義の実現を先導してきたブラックマーケット系の組織のトップたちは末端の構成員の裏事情を知らない無垢な正義に燃える情熱を抑えることができず、

 

企業からの裏金支援が一方的に打ち切られて これまで通りの贅沢と活動ができなくなって トップがこれからのことで頭を悩ませているところに 何も知らない純粋な構成員からの突き上げを喰らって、次々と組織が瓦解していくことになったのだ。所詮は正義を騙った嘘で塗り固められた人間関係だ。自浄作用で組織ごと浄められる運命である。

 

しかし、問題はブラックマーケット系の組織が地球人:北条 アキラと敵対することを辞めたことで資金源を絶たれて崩壊していく中で、ブラックマーケット系環境テロ組織【マウンテンピーナッツ】の源流の1つとなるトリニティ系環境保護団体【マウンテンコリー】は依然として健在であり、【マウンテンコリー】が【マウンテンピーナッツ】を支援しているという黒い噂が立ち始めているのだ。

 

これが本当なら、メトロポリス系環境保護NGO【イエローピーナッツ】としては【マウンテンピーナッツ】へと合流した裏切り者たちが持ち去った資産やノウハウを回収するために逸早く行動に移す他ないのだが、同時にトリニティ系環境保護団体【マウンテンコリー】の動きを牽制しなければならなかった。

 

腐ってもトリニティ系環境保護団体【マウンテンコリー】は【トリニティ総合学園】が公認している市民団体であるため、【マウンテンコリー】の活動の裏には【トリニティ総合学園】の意思が絡んでいると思われ、

 

もしも【マウンテンコリー】と抗争状態に陥った時、【キヴォトス防衛軍】や【キヴォトス三大学園(BIG3)】を担う一角と真正面から戦うことになるため、メトロポリス系という名の非常に頼りない看板しか持たない烏合の衆では太刀打ちができないのである。

 

そこでメトロポリス系環境保護NGO【イエローピーナッツ】から代表3人が本日開園となる移動遊園地(funfair):リトルプラネットを訪れ、【アビドス高等学校】と正式な支援の約束を結ぶために派遣された【トリニティ総合学園】の代表使節と接触を図ることになっていたのだった。

 

 

山高 カムロ「お、凄いな。乗り心地は最高じゃないか。座席も僕が研究室で使っているリラックスチェアに近いものだから、長旅でも疲れない配慮がされているんだね」

 

足坂 エル「こうして乗っていると観光列車のように思えますね」

 

山高 カムロ「まあ、【アビドス】行きの通常路線はまだ生きているわけだし、ゴールドラッシュを後押しするためにちょっと料金を上乗せするだけで観光列車に乗れるのなら断然コッチの方がいいな」

 

服巻 クロモ「実際には軌道が波打って列車をジェットコースターにする位置エネルギーを発生させているわけで、列車が波乗りしているようなものですから、その振動を完璧に抑えて通常運行していることで必然とガタンゴトン揺れることがないわけですよ。普通のようでいて凄い技術なんです」

 

山高 カムロ「でも、不思議な構造だな。車両の真ん中を仕切って通路にして 窓側を向いた座席にするって言うのは」

 

服巻 クロモ「それもキヴォトスの生活事情を汲んだものなんですって」

 

足坂 エル「と言うと?」

 

服巻 クロモ「ほら、私たちキヴォトス人って何をするにしてもどこへ行くにしても身を守るために銃が手放せないじゃないですか」

 

服巻 クロモ「ですので、全ての客席にガンロッカーを用意するために、真ん中をガンロッカーで挟んだ通路になっているんですって」

 

山高 カムロ「あ、これ、ガンロッカーなんだ。じゃあ、使わせてもらおう。あ、中に何か入っているよ」ガチャ

 

服巻 クロモ「説明によると、それは旅客機にも搭載されている酸素マスクですって」

 

足坂 エル「これから様々な状況で使われる波動鉄道(バイブレール)の乗客のことを考えた配慮というわけですね」

 

山高 カムロ「たぶん、波動鉄道(バイブレール)は列車という括りじゃなくて飛行機便に近い認識なんだと思う、それ」

 

 

山高 カムロ「さてさて、【セイント・ネフティス】に見捨てられて消滅まで秒読みに入っていた【アビドス】もアビドス遠征が始まって随分と様変わりしたもんだね。いや、それ以前の【アビドス】のことなんて 全然 知らないんだけどさ」

 

足坂 エル「それはそうですよ。“シャーレの先生”が砂漠化の解決策として砂漠の砂をコンクリートに変える技術を公開したおかげで、砂漠に呑まれる寸前だった【アビドス】復興に希望が見えてきたわけですから」

 

服巻 クロモ「そして、美化活動と称して割のいい砂集めを奨励したことで、【カイザーコーポレーション】から土地を取り戻して再出発した新アビドス自治区で二度目のゴールドラッシュが起きましたからね」

 

服巻 クロモ「その上で、旧アビドス自治区が怪獣無法地帯と化していることで、怪獣退治のために【キヴォトス防衛軍】が常駐する防衛基地の建設や相応の防衛体制の構築で安定した需要が生まれましたので、企業も安心して再開発に取り組めるわけです」

 

服巻 クロモ「私たちメトロポリス系環境保護NGO【イエローピーナッツ】の資産運用も凄いことになってますよ、ここ最近では」

 

服巻 クロモ「だからこそ、裏切り者たちが盗んでいった資産とノウハウを【マウンテンピーナッツ】から取り戻すのを邪魔されたくないんですよ、【マウンテンコリー】と【トリニティ総合学園】に」

 

足坂 エル「我が母校ながら、お恥ずかしい限りです。教えはどうしたのでしょうか、教えは」

 

山高 カムロ「そうだね。【トリニティ】で教えられている教義なんかよりも、愛と勇気が何たるかをわかりやすく実践しているのが“シャーレの先生”なわけだよね」

 

 

服巻 クロモ「まさに遠くの星から愛と勇気を教えてくれるのが“シャーレの先生”と言うわけです」

 

 

服巻 クロモ「ああ、先生は本当にかっこいいです!」

 

服巻 クロモ「昼のライブショーは見た!? ラッシュガードの上からでもわかる胸板と腹筋! それにファイヤーダンスの時に投影された腰布一枚の姿! たまらないです、先生!」ハアハア・・・

 

服巻 クロモ「ああ、【セミナー】のみんなが羨ましい! 【キヴォトス防衛軍】でも重要な役職を用意されているって話だから、ユウカやノアは先生と 会い放題 触り放題ってことなんでしょう!? ずぅるーい!」ギラッ

 

山高 カムロ「また始まった」

 

足坂 エル「まあ、北条先生はあの“連邦生徒会長”が実質的な後継者として招いた方なわけですから、私たちのようなNGOとは縁遠い方ですよね。会うとしたら各学園の代表ですから」

 

山高 カムロ「それはそうなんだろうけどさ、【連邦生徒会】への信頼が失われて政治不信に陥った状況を何とかしようと【キヴォトス連邦】が建国された時のようにキヴォトス中から志ある生徒たちが集まったNGOなのに、今だと本当に“ピーナッツ(つまらないもの)”みたいな安っぽい組織になっちゃったよね……」

 

服巻 クロモ「それもこれも“雷帝”のせいなんです!」

 

足坂 エル「…………本当に不幸な時代でしたね」

 

服巻 クロモ「そもそも、私たちメトロポリス系環境保護NGO【イエローピーナッツ】が一大勢力になれたのは、十数年前から始まったIT革命によってキヴォトスが情報社会へと移り変わっていくことで【キヴォトス連邦】建国当時の旧き良き時代への原点回帰が期待されたからで、」

 

服巻 クロモ「その原点回帰運動で中心的な役割を担ったのが【トリニティ総合学園】だったんですから、邪魔してこないで欲しいですね」

 

足坂 エル「正確に言うと、トリニティ生が原点回帰運動に参加する前に【トリニティ総合学園】では学制改革運動があって、学制改革運動が認められなかった初期の頃に自治区を出て【メトロポリス(首都:D.U.)】での原点回帰運動にトリニティ生が参加していたという流れがあるのです」

 

山高 カムロ「つまり、【トリニティ総合学園】で起きた学制改革運動によって、現在の【トリニティ総合学園】が形作られて、【メトロポリス(首都:D.U.)】では原点回帰運動に参加したトリニティ生が学制改革運動の代わりに情熱を持ってメトロポリス系環境保護NGO【イエローピーナッツ】を結成したわけだ」

 

山高 カムロ「まったく皮肉なもんだよね。自由と混沌を校風とする【ゲヘナ学園】がキヴォトス中で犯罪を撒き散らす一方で、【トリニティ総合学園】も長年の怨敵である【ゲヘナ学園】に対抗していく中で正義が暴走していっているんだから」

 

山高 カムロ「とてもじゃないけどさ、“雷帝”のせいで全面戦争に成りかけたのを失踪した“連邦生徒会長”がエデン条約を結ばせて和平を成立させようとしていたのに、【正義実現委員会】や【救護騎士団】のリーダーの評判は最悪じゃん。あと、【シスターフッド】も何かアレだし、僕からすれば【ゲヘナ】も【トリニティ】もキヴォトスの平和を脅かす同じ穴の狢だよ」

 

足坂 エル「カムロさんも【イエローピーナッツ】に参加する前は【ゲヘナ】に居場所がなく、トリニティ生からも理不尽な目に遭わされていたと聞いています。本当に申し訳ないです」

 

山高 カムロ「いいよ、そんな昔のことは。角付きというだけで問答無用でトリニティ生から重機関銃をぶっ放されるのも、弱肉強食の【ゲヘナ学園】だと理由もなくぶっ放されることが珍しくもないから慣れっこだし。むしろ、襲ってくる理由を言ってくれるだけ律儀に感じられたよ」

 

 

山高 カムロ「でも、僕としてはこうして 自治区を抜けて【メトロポリス(首都:D.U.)】で会うことになった 様々な学園や自治区から来た人たちに才能を認められたことが本当に嬉しかったんだ」

 

 

山高 カムロ「互いに初対面で出身も特徴も掴めていないからこそ落ち着いて話をし合って『わかり合うことがこんなにも嬉しいことなんだ』って言うのが原点回帰運動に参加した時に得られた最初の感動だったからさ」

 

山高 カムロ「だから、学園や出身に関係なく誰とでも別け隔てなく接してキヴォトスを正しい方向へと導いてくれる人が現れてくれたことが本当に嬉しい。これから北条先生に会うのが本当に楽しみでならないんだ」

 

山高 カムロ「もう今が天国みたいなものだよ。“雷帝”が【ゲヘナ学園】に君臨していた2年前と比べたらさ。少しは好きになれるかもしれない」

 

足坂 エル「そうですね。私も高等部に進学して様々な派閥からのお誘いがありましたが、伝統と歴史を誇りとする【トリニティ総合学園】だからこそ、現在に至るまでの学園の歴史をあらためて学んだ時に【メトロポリス(首都:D.U.)】での原点回帰運動のことを知ることになりました」

 

足坂 エル「そして、【トリニティ総合学園】における学制改革運動は目的を果たした一方で、【メトロポリス(首都:D.U.)】の原点回帰運動はまだ続けられていると知り、まだ成すべきことがそこにあると思い、それから私はそれに参加した先人たちが続けてきたものを未来に繋げることが使命だと思ったのです」

 

足坂 エル「できないはずはないんです。【トリニティ総合学園】での学制改革運動が成功して現在があるのですから」

 

服巻 クロモ「私もね、ユウカやノアのように【セミナー】入りを目指していたんですけど、何と言うのか、【ミレニアム】よりも【メトロポリス(首都:D.U.)】の空気が合っていたみたいで『私の才能を活かす場所は原点回帰運動にある』って思えたんですよね」

 

服巻 クロモ「ほら、私って学園だとユウカとノアと比べて常に一歩劣る評価を受けていたわけですけど、ここだとユウカやノアに及ばない能力であっても歓迎されるわけで、求められるのは契約締結のために内容に目を光らせることだけで、本当に気楽で居心地が良いんですよね」

 

服巻 クロモ「むしろ、ユウカやノアの能力はここだと無用の長物かもしれないから、私ぐらいがちょうどいいんだって思える塩梅でしてね」

 

服巻 クロモ「そんなわけで 今日も ()()通り、完璧なんです~♪」

 

足坂 エル「そうでしたか。先人たちに本当に感謝しなければなりませんね。みなさんとお会いできた素敵な場所を【メトロポリス(首都:D.U.)】に作っていてくださったのですから」

 

 

そして、メトロポリス系環境保護NGO【イエローピーナッツ】の3人組を乗せた波動鉄道(バイブレール)はゴールドラッシュに合わせて大幅な改修が施された電気鉄道と並走してアビドス砂漠へ入り、【キヴォトス防衛軍】の防衛基地が建設されたことで発生したゴールドラッシュのおこぼれで自治区の運営が再開された【アビドス高等学校】は目覚ましい発展を遂げていた。

 

いや、数十年前から始まった異常現象である砂漠化に呑まれていただけでキヴォトス最大の学園を育んだ豊穣の大地はたかが数十年の異常現象ぐらいでは死んではおらず、人がいなくなっても豊富な水資源は生き続けており、それ故に砂漠化をどうにかさえできれば再生の芽はいくらでもあった。

 

一方で、メトロポリス系環境保護NGO【イエローピーナッツ】をはじめとする原点回帰運動に参加している連邦主義者(Federalist)たちにとっては【アビドス高等学校】の再生はそれ以上に重要な意味があったのである。

 

というのも、現在のキヴォトスは行政府である【連邦生徒会】による統制が失われ、ブラックマーケットが堂々と存在しているように、企業をはじめとする学園外勢力による【連邦生徒会】や各自治区における非認可の非合法活動が公然と行われ、キヴォトスの秩序と平和が乱される主要因の一つに数えられていた。

 

連邦主義者(Federalist)たちはキヴォトスの秩序と平和を取り戻すための理想として【キヴォトス連邦】が建国された当時の旧き良き時代への原点回帰を掲げて原点回帰運動を展開しているわけだが、その旧き良き時代に企業のような学園外勢力の反乱分子は存在しなかったとして、ブラックマーケット系の組織の排除はもちろん、企業の介入を許すことも良しとしていなかった。

 

当然、それは【アビドス高等学校】の自治区のほとんどを借金漬けにして買い叩いた【カイザーコーポレーション】による乗っ取りの事実を連邦主義者(Federalist)たちが許すはずもなく、“シャーレの先生”が新アビドス自治区と旧アビドス自治区の区分けを発表したことで企業による学園への侵略が起きていたことを理解すると、一斉に連邦主義者(Federalist)が抗議活動を起こしたのである。

 

旧き良き時代への原点回帰をキヴォトスの秩序と平和をもたらすものと信じている連邦主義者(Federalist)たちは学園外勢力の侵略を決して許しはしないため、あと一歩で【アビドス高等学校】を併呑しようとしていた【カイザーコーポレーション】を完全に敵視して、【キヴォトス三大学園(BIG3)】とは別に有志が集まって自発的に【アビドス高等学校】の支援を始めていた。

 

と言うより、かつてキヴォトス最大の学園として歴史に名を刻んだ【アビドス高等学校】が学園外勢力に併呑されたという実例を許せば、そこから他の弱小校が次々と標的にされて喰い物にされていき、最終的に【キヴォトス連邦】が学園外勢力に征服されるという未来が現実のものとなるため、

 

連邦主義者(Federalist)が中心のメトロポリス系の生徒たちは期待の星であった当代随一の超人“連邦生徒会長”の失踪の報を受けて意気消沈した後に 失踪前にキヴォトスに喚んでいたという 連邦主義者(Federalist)たちの理想を体現したような大人:北条 アキラを支持するようになったことが歴史の流れに大きな変化を生むことになったのである。

 

こうして連邦主義者(Federalist)たちが学園外勢力による学園への干渉や介入に目を光らせるようになり、今まで見向きもされてこなかった弱小学園にも連絡を取るように動き出したことで、かつてないほどにキヴォトス中が団結と協調を意識するようになり、数千もの学園が存在するらしい学園都市:キヴォトスでそこまで網羅しきれていない北条先生たち【連邦捜査部 S.C.H.A.L.E(シャーレ)】にとっては追い風となったのである。

 

しかし、そのメトロポリス系の連邦主義者(Federalist)たちの原点回帰運動が十数年前に大きく進展したのには、ほぼ同時期に【トリニティ総合学園】の学制改革運動が起き、そこから原点回帰運動に合流したトリニティ系の一派の影響が非常に大きかったのである。

 

そう、ここまで言えば、天変地異の時代:怪獣頻出期を迎えた現在の学園都市:キヴォトスで“シャーレの先生”であり“GUYSの先生”である地球人:北条 アキラが【キヴォトス三大学園(BIG3)】のみならず、【メトロポリス(首都:D.U.)】でも支持を受けられる文化的土壌を作り上げた大本がどこから始まっていたのかがわかることだろう。

 

16年前の過去に機械の身体に意識を移して孤独に使命を背負って、超人と謳われた“連邦生徒会長”が失踪して“シャーレの先生”が現れるまでの状況再現しかできなかったと嘆く“教父(ファザー)"の献身は目には見えない心の奥底でキヴォトスの変革を促していたのである。

 

 

――――――キヴォトスの変革は元よりすでに“嘆きの壁”から始まっていたのだ。

 

 

北条先生「申し訳ないです、聖園さん。移動遊園地(funfair):リトルプラネットに招待したということで、おもてなしをしなければならないのに、こんな時にまた怪獣出現ですよ」

 

聖園 ミカ「ううん。気にしないで、先生。いつどこで怪獣が現れるかなんてのは【トリニティ】に硫酸怪獣:ホーが最初に現れた時の経験でわかっているつもりだから。セイアちゃんもそのつもりでナギちゃんじゃなくて私を名代として送りつけたんだと思う」

 

北条先生「ですので、こういった事態を想定して避難所と指揮所を兼ねた【ランドマークタワー】へ避難してください。開園初日で避難所として使うことになるとは思いもしませんでしたが、怪獣無法地帯の隣ならこうもなりますか……」

 

聖園 ミカ「……先生、私にできることって何かないかな?」

 

北条先生「安心してください。開園を迎える前にこうした事態を想定した演習は重ねて来ていますので、人手は足りています。むしろ、こちらの指示に従わずに手前勝手に銃を乱射されることの方が迷惑ですので、避難誘導の指示に従って周囲の不安を煽るようなことをしなければ、四次元都市:フォーサイトへの避難が速やかに行われてみなさんの安全を確保できますから」

 

聖園 ミカ「そうじゃなくてッ!」

 

北条先生「!」

 

聖園 ミカ「先生、この前【アビドス】を支援しに来た【ゲヘナ】の角付のやつら、しっかりと怪獣退治に参加してたんだよね!」

 

聖園 ミカ「このまま何もせずに避難しちゃったら、私たち【トリニティ】は一生【ゲヘナ】から臆病者扱いをされて【エデン条約機構】での主導権も握られちゃう! そうなったら本当に【ゲヘナ学園】の天下じゃん! それだけは何とか回避しないとセイアちゃんやナギちゃんの迷惑になっちゃう!」

 

聖園 ミカ「ねえ! 先生は誰の味方なの? 怪獣退治の専門家なら、世の中が戦争状態になるなんて良いわけないじゃんね!」

 

北条先生「……エデン条約なんてなければ、話は本当に簡単だったのにねぇ」

 

 

北条先生「――――――“雷帝”め」

 

 

北条先生「では、聖園 ミカさん。【キヴォトス防衛軍】軍事顧問として【トリニティ総合学園】へ協力を要請します」

 

北条先生「基本的に【アビドス高等学校】の最前線はサーベラス様が操縦する惑星守護神:ギガデロスが担当し、そこから旧市街地に幾重もの防衛戦力を展開し、新アビドス自治区を囲んでいる防砂壁を最終防衛ラインとしています」

 

北条先生「今回の怪獣はどうやら 前回 出現した大羽蟻怪獣:アリンドウの影響か、アビドス砂漠に生息していたサバクトビバッタが突然変異したものと推測されます」

 

北条先生「ハザードマップ完成のために多数の無人機を調査に出して定点観測していたことで巨大生物と化したサバクトビバッタの大量発生を察知することができました」

 

北条先生「見てください。このアビドス砂漠を流れる黒い川に見えるものが何万匹ものサバクトビバッタが群生相に相変異して翅が伸びて長距離を飛行したものなのです。この群生行動を飛蝗現象と言います」

 

聖園 ミカ「う、うえぇぇぇぇえ……」

 

北条先生「この状態になると、驚くべきほどの長距離移動を行って 行く先々の草木を食い荒らしながら 農産物に甚大な被害をもたらす生物災害:蝗害が発生することになります。食糧不足や飢饉はもちろん、紙や綿などの植物由来の製品にまで被害が及びます」

 

北条先生「これは由々しき事態となりました。大羽蟻怪獣:アリンドウへの突然変異を招いた化学物質:PG-500の成分がアビドス砂漠に撒き散らされた結果、二次感染でサバクトビバッタが怪獣化したとするなら、早急にPG-500の除去とサバクトビバッタの卵の駆除を行わなければなりません」

 

北条先生「放っておけば、【アビドス】のみならず、キヴォトス中の豊かな自然が数年に渡って蝗害の餌食になります。それは【ゲヘナ】も【トリニティ】も関係ないです。ここで食い止めなければなりません」

 

聖園 ミカ「な、なにそれ!? たしか、黙示録の奈落の悪魔が解き放つ眷属たちが世界を覆って、神に許されぬ“額に神の印を持たぬ人々”を蠍の尾で刺して、『死ぬ事も許されぬままに死よりも優る苦しみを 五か月間 与える』とか何とかのアレってこと!?」

 

北条先生「――――――蝗害。黙示録か。破滅への序曲だと言いたいのか、これは」ギリッ

 

北条先生「ですので、最終防衛ラインとなる壁で害虫駆除をお願いします。また、化学物質:PG-500による汚染や異常も考えられるので防護対策も忘れずにお願いします」

 

聖園 ミカ「う、うん! 【トリニティ】の総力を上げて害虫駆除をこなしてみせるよ、先生!」

 

 

――――――避難命令が発令されました。避難命令が発令されました。避難プログラムに従い、直ちに避難を開始してください。

 

 

山高 カムロ「え!? 来て早々に避難!?」

 

服巻 クロモ「うそぉ!? ううん、怪獣無法地帯の最前線だから、これも【アビドス】での日常ってことね!」

 

足坂 エル「みなさん、私は【キヴォトス防衛学園】に短期留学してLv3ライセンス(イエロー・ライセンス)があるので指揮所に入室できます。そこで詳しい状況を聞くことができるはずです」

 

山高 カムロ「――――――Lv3ライセンス(イエロー・ライセンス)なのは、僕たちが【イエローピーナッツ】だから?」

 

足坂 エル「はい。少なくともLv3ライセンス(イエロー・ライセンス)があれば、かなりの行動の自由が得られます。具体的には課長クラスに相当しますから、みなさんを連れて行動することができます」

 

山高 カムロ「よし。これはチャンスだ。メトロポリス系環境保護NGO【イエローピーナッツ】の代表として【トリニティ総合学園】の代表として来ている聖園 ミカと会える可能性が高まった」

 

服巻 クロモ「ユウカやノアが来ているかはわからないけど、私だって短期留学でライセンスは持っているから手伝えることがあるはず!」

 

足坂 エル「そうなんですよ! こういうふうに学園の垣根を越えてみんながキヴォトスのために力を尽くすことができることが私たちが目指す旧き良き時代への原点回帰なのです!」

 

 

――――――お願いします、先生方! 思いっきりやっちゃってください!

 

 

神代キヴォトス人(インナースペース)「アリの次はバッタか! まったく度し難い! しかも、アリが体内に含んでいた化学物質の二次感染で怪獣化した可能性があると来たか! 闇怪獣にはなかった厄介な特徴だな!」

 

宇宙格闘士の帝王(巨大化)「虫けらごときがいくら集まったところで この“帝王グレイ”に敵うと思うな!」フン!

 

ロボット職員(インナースペース)「最前線はおまかせします、グレゴリオ様、サーベラス様!」

 

宇宙格闘士の帝王(巨大化)「まかせておけ、コーイチ! お前は大本を叩いてこい!」

 

神代キヴォトス人(インナースペース)「気をつけよ! 偶発的な突然変異と大量発生の可能性はあるが、我に黙ってヒノム火山を噴火させようと怪獣を送りつけてきた不届き者の意志を感じている!」

 

 

 

北条先生「よし、戦力の展開は完了した。最前線をサーベラス様とグレゴリオ様にまかせて、発生源をGUTSガルーダで発見して焼き払ってもらう」

 

北条先生「やはり、サーベラス様とグレゴリオ様の加入は大きいな。GUTSガルーダも異星人の宇宙船さながら電脳接続(リンクアップ)でとんでもない機動と火力で、戦力としては申し分ない」

 

北条先生「サーベラス様が見つけてきた300万年前のアンバランス期の文明を守りきったという惑星守護神:ギガデロスは分身能力(デロスイリュージョン)で単体で集団火力を発揮できるし、」

 

北条先生「グレゴリオ様に至っては生身でウルトラマン並みの戦闘力があって、グレゴール人が決闘場を仕立てるコーナーポスト代わりの4本の剣からのエネルギーロープは殺虫灯になっているし、もうこれだけで何とかなりそう」

 

北条先生「とは言え、このアビドス砂漠はどこかの誰か(薄汚い大人共)が全域で強力な妨害電波を垂れ流すのをやめないから、他の方面に巨大生物の群れが向かっているかどうかを確認できない……」

 

飛鳥馬 トキ「ですので、【アビドス】に隣接している自治区全てに警戒態勢を発令したわけですね」

 

北条先生「これが終わったら、嫌味の一つや二つ言っておかないと気がすまないぞ」

 

飛鳥馬 トキ「しかし、これはもうウカウカしてられないかもしれませんね」

 

北条先生「……宇宙大怪獣:アストロモンスの幼体であるチグリスフラワーが咲き誇っているかもしれないアビドス砂漠で、大羽蟻怪獣:アリンドウを生み出した化学物質:PG-500が撒き散らされて、蝗害で有名なサバクトビバッタが大量発生して巨大化したとなると、絶対に他の自治区に行かせてはならない!」

 

北条先生「化学物質:PG-500が生物を怪獣化させる効力を持つようになっていたとしたら、怪獣災害に限りなく近い生物災害がキヴォトス中で蔓延することになる!」

 

北条先生「だが、これはどういうことだ?」

 

飛鳥馬 トキ「と言いますと?」

 

北条先生「蝗害を引き起こす群生行動:飛蝗現象の発生条件は必ず群生相のバッタの集団を維持することができるだけの緑地が必要なんだ」

 

北条先生「つまりは水と植物;蝗害を起こすのは草食系の相変異するバッタに限ったことなんだ」

 

飛鳥馬 トキ「サバクトビバッタの大量発生が自然発生したものだとするなら、不毛の大地:アビドス砂漠に水と植物が生い茂る緑地があったということですか?」

 

北条先生「中国蝗災史と言うものがある。中国の歴史では大規模な大雨や旱魃が起こると必ずといっていいほどトノサマバッタの群生相が発生し、繰り返し蝗害が引き起こされてきた。蝗害は蝗災として天災の一つに立派に数えられていて、天災は時の為政者の不徳によるものとされてきたため、各時代の王朝はこの対策に取り組み、発生した天災の記録を残したぐらいには蝗害は深刻な生物災害だった……」

 

飛鳥馬 トキ「なぜ大雨の時と旱魃の時に群生相が発生するのですか?」

 

北条先生「あ、正確には相変異の条件は高密度の集団中でバッタが世代交代を繰り返すと群生相の個体が生まれてくるようになっていて、それは基本的に群生相の個体は互いに近づこうとし、孤独相の個体は互いに離れようとする習性に現れている」

 

北条先生「けど、大雨や旱魃によって棲息地となる緑地が狭まると自然とバッタが密集するようになるから、孤独相から群生相への相変異が起きやすくなるんだ。それが蝗害の銃爪なんだ」

 

飛鳥馬 トキ「それなら、ますます変ではありませんか。アビドス遠征で大雨も旱魃も観測されていないじゃないですか」

 

北条先生「そう。少なくとも、今現在こうしてバッタが巨大化した原因で思い当たるのはアリンドウを生み出したPG-500しかないけど、前回の巨大アリが出現した付近に緑地が見当たらないから、本当にどこでバッタが巨大化したのかが皆目見当がつかない」

 

北条先生「だから、アビドス遠征は長丁場になると覚悟しなければならない。怪獣退治よりも害虫駆除が主目的にこれからなるだろう」

 

北条先生「蝗害対策の基本は小規模な発生が起こった時に次の世代の発生を防ぐこと。バッタが卵の時期には殺虫剤を撒いてもサバクトビバッタは地中に卵を産み付けるから効果が薄い――――――」

 

北条先生「そして、成虫となって飛翔できるようになってからだと黒い川に見える飛蝗現象に殺虫剤を撒いても外側の個体にしか効果が及ばないので駆除は困難――――――」

 

北条先生「よって、地中から出てきて地を這う幼虫の内の駆除が必要不可欠で、そのためにはまずは産卵地を特定することが大前提となります」

 

北条先生「だから、GUTSガルーダを行かせているんです。産卵地を見つけ出して完全に駆除しなければ、怪獣災害だけじゃなく蝗害にも見舞われることになるのですから、これから向こう数年」

 

飛鳥馬 トキ「つまり、今回の怪獣災害は廃ビルを食い尽くす巨大アリも遥かに厄介な事態というわけですね……」

 

 

現在、【カイザーコーポレーション】に買い叩かれて私有地になっている旧市街地を抜けた砂に埋れた旧アビドス自治区の最果てとなるアビドス砂漠との境界線で、巨大バッタによる蝗害の防衛線の先頭に立っているのが【連邦捜査部 S.C.H.A.L.E(シャーレ)】の実働戦力:特捜チーム【GUTS-SAFETY(ガッツ・セイフティ)】の面々であり、

 

空からは黒い川のように見える巨大バッタの群れを“シャーレの研究員”神代キヴォトス人:サーベラスが一体化した惑星守護神:ギガデロスが迎え撃ち、分身能力(デロスイリュージョン)で4体以上に分身して一人で集団火力を発揮していた。

 

一方、そこから少し後ろに退いた旧市街地への入り口で“シャーレの指導員”グレゴール星人:グレゴリオが決闘(デュエル)でコーナーポストにする4本の剣から発するエネルギーロープで殺虫灯にして篩にかけていた。

 

しかし、巨大バッタは50m級の巨人や怪獣からすると足元の存在でしかない1~10m級の巨大生物であり、密集した巨大バッタの大群が黒い川になるほどの総数であるため、キヴォトスにとって天の配剤と言える最強の助っ人2人をもってしても全てを迎撃することは困難であり、最強の防衛網を築いたとて網の目を摺り抜けてしまうのを防ぐことは不可能――――――。

 

最強の助っ人2人が総力を上げた防衛線を突破されたところから【キヴォトス防衛軍】本軍の出番であり、廃ビル群に仕組んだ迎撃装備を順次起動させて無理なく戦力を削って後退していき、【アビドス高等学校】の境界線となる防砂壁:最終防衛ラインの各方位に各学園や部活動から参加した【キヴォトス防衛軍】義勇軍が迎撃に当たることになった。

 

もちろん、【キヴォトス防衛軍】の防衛基地も建造されているため、すでに要求水準に到達した防衛体制は整えられており、住民も避難訓練を十分に積んでいるため、避難命令への反応が敏速であった。

 

そのため、一般市民の避難はすでに済んで今現在【アビドス】に存在するのは迎撃のために残った【キヴォトス防衛軍】の指揮下にある勇敢な生徒たちということになり、天変地異の時代を象徴する砂漠の黒い川の激流と化す蝗害に敢然と立ち向かっていくのだ。

 

 

小鳥遊 ホシノ「うへ~、おっきなアリの次はおっきなバッタか。こんなのは人生で初めてだよ、おじさん」

 

黒見 セリカ「ホント、冗談じゃないわよ! 【Ⅰ.ショッピングモール(商業施設)】で昆虫食なんて売っていたけど、あんなのを食べたいなんて誰も思わないわよ、もう!」

 

十六夜 ノノミ「いったい【アビドス】で何が起きているのでしょうか。蝗害なんて起きたことなんてなかったのに……」

 

奥空 アヤネ「先生の情報によれば、蝗害を起こす草食性のバッタは昼行性とのことで、夜行性のジーっと鳴くバッタはキリギリスだそうです。日が落ち切るまでが勝負ということです」

 

砂狼 シロコ「行こう。みんなで【アビドス】を守るんだ」

 

 

阿慈谷 ヒフミ「私たち【トリニティ】も【アビドス】を守るために支援します!」

 

 

朝霧 スオウ「わかっているな。我々は何としてでも鉄道を死守しろ。四次元移動列車や波動鉄道(バイブレール)が運行になっても、我々【ハイランダー鉄道学園】の自治区は依然として電鉄にしかないのだからな」

 

 

御陵 ナグサ「ユカリ、もう一人で無理はしないで。今は【百花繚乱】の一員として力を合わせて」

 

 

蒼森 ミネ「――――――害虫駆除ッ!」

 

 

剣先 ツルギ「さあ! 暴れる時間だ!」

 

 

美甘 ネル「おらおらおらおらぁ! ゴミは掃除しねぇとなぁ!」

 

 

鬼怒川 カスミ「さすがに温泉開発どころじゃないからねぇ。さあ、汚物は消毒だよ」

 

 

黒舘 ハルナ「…………このまま蝗害で豊かな食環境が破壊されるのを見過ごすのは食への冒涜ですわ! 許すまじ、蝗害!」

 

 

陸八魔 アル「さあ、我が職員たち! 仕事の時間よ!(やったー! これで臨時ボーナス、ゲットよ~! これでしばらくの家賃も安泰ね! って、うげええええええ!? き、気持ち悪い……!)」

 

 

尾刃 カンナ「お前たち、銃後にいるからと油断するな! 最終防衛ラインを抜けて侵入してくる個体がいるかもしれないのだからな! それを始末して管内の安全を常に確保するのが我々【ヴァルキューレ】の役割だ! 許可は降りている! 撃って撃って撃ちまくれ! 日頃の鬱憤を晴らすチャンスだぞ!」

 

 

間宵 シグレ「この前はおっきなアリが出たんだってね? じゃあ、発酵はまだだけど、味は保証するよ? 甘いものは好きだよね?」

 

 

鹿山 レイジョ「いいですか! 決して巨大バッタの侵入を許してはなりません! これは【玄武商会】の食品衛生を揺るがす難敵です! 昆虫食への信頼を絶対に守り通すのです!」

 

 

聖園 ミカ「うげええ! 最悪ぅ! で、でも、セイアちゃんやナギちゃんのためにも【ゲヘナ】のやつらなんかに負けてられないんだから!」

 

 

バキュンバキューン! ズババババババ! ズドドドド! ドッゴーン!

 

 

槌永 ヒヨリ「え、ええええ?! あれってバッタじゃないですよね!? 縦に大きいですよ!?」

 

戒野 ミサキ「目の錯覚とかじゃないよね? なんでバッタの群れからカマキリなんて出てくるのさ?!」

 

秤 アツコ「しかも、あの大きさでとんでもなく速いよ!」

 

錠前 サオリ「アリンドウの時にムカデンダーが別方向から現れたのと同じか!」

 

錠前 サオリ「まずい! あんなのが別方向から飛来したとなるとムカデンダーの時と同じように防衛線を突破される以前に最終防衛ラインを抜けられる!?」

 

錠前 サオリ「GUTSガルーダは発生源を叩きに行って、本丸がガラ空き――――――」

 

 

戦場カメラマン「無事か、お前たち!」ダダッ ――――――ブラストショット<真空波動弾>!

 

 

秤 アツコ「姫矢さん!」

 

戒野 ミサキ「怯んだ! 今だよ、ヒヨリ!」

 

槌永 ヒヨリ「は、はいっ!」バーン!

 

錠前 サオリ「よし! よくやった、ヒヨリ!」

 

戦場カメラマン「気をつけろ! 巨大化したサバクトビバッタの変異種:マジャバは肉食性らしい! 人喰い怪獣だ! 接近を許すな!」

 

錠前 サオリ「――――――『マジャバ』?」

 

戒野 ミサキ「…………“カマキリ”じゃなくて?」

 

戦場カメラマン「いや、みんな“マジャバ”“マジャバ”と言っていたぞ?」

 

錠前 サオリ「そうか、あの変異種を“マジャバ”と呼ぶことにしたのか。それにしては司令部からの通達がなかったように思うが……」

 

戒野 ミサキ「それって、『マジ ヤバ!』『マジ ヤバ!』って誰かが叫んでいただけなんじゃ……」

 

戦場カメラマン「ともかく、まだ通常兵器で対抗できる程度の脅威だ。個体数も少ないが、優先的に人を狙いに来る。気をつけるんだぞ」

 

秤 アツコ「うん。姫矢さんも気をつけて」

 

錠前 サオリ「この戦いは 蝗害の発生源を特定しない限り 今日 勝ったとしても終わることはないと先生は言っていた」

 

戦場カメラマン「ああ、スペースビーストの撲滅も大変だが、蝗害の抑止も非常に困難な戦いだ」

 

秤 アツコ「……コーイチ、頼んだよ」

 

 

 

ロボット職員「ウイさん、ヒナタさん、他に蝗害の記録はありませんでしたか?」 ――――――電脳接続(リンクアップ)で遠隔操作中!

 

古関 ウイ「ま、待ってください、“教父(せんせい)”。アビドス砂漠における蝗害の記録はたしか他にも――――――」

 

若葉 ヒナタ「ええっと……! この書物に蝗害に関する記述があったはずです!」

 

ロボット職員「ここで、北条先生からの情報と偵察機からの観測データと照らし合わせると、どうなる!?」

 

ロボット職員「頼む! みんな、耐えてくれ!」

 

 

現在、“シャーレの職員”ロボット職員:マウンテンガリバーが電脳接続(リンクアップ)したGUTSガルーダが縦に大きい巨大カマキリが混じったアビドス砂漠の黒い川となって緑地に迫る巨大バッタの群れを遡って夕暮れの空を征く。

 

本体は【キヴォトス防衛軍】の防衛基地にあり、電脳接続(リンクアップ)してライドメカと一体化した自身の意識と同時に蝗害対策の解説書に目を通しており、蝗害の発生源であるアビドス砂漠に存在するはずの緑地を必死に探していた。

 

アビドス砂漠を覆う通信妨害さえなければ通信衛星ですぐに発生源を特定できるのだが、今は怪獣無法地帯の調査を安全かつ慎重に進めるために放った偵察機からの観測データで怪獣災害を併発させた蝗害を事前に察知することができただけでも儲け物である。

 

こうなると急展開で夕暮れ時に蝗害の発生源を探し当てるための装備を持っているのは対怪獣兵器としてありとあらゆる探知器を搭載して飛行可能なGUTSガルーダだけであり、見つけ出すことさえできれば、あとは四次元発信機で座標を指定すれば掃討作戦に移行することができる。それだけに責任重大である。

 

ただ、パスツールの実験を知っていれば生命自然発生説なんてものは否定されるべきものであるのは科学の時代においては常識ではあったのだが、

 

アビドス遠征が始まってからずっと【アビドス高等学校】のために駐留し続けていたロボット職員:マウンテンガリバーからすると、本当に蝗害の発生源となるバッタの密集地帯となる緑地が存在するのかが疑問で、先生から教えられた中国蝗災史で問題視されていたような大雨や旱魃はここしばらく観測されていないのだ。

 

それでも、突然変異で巨大化したバッタの大群が作り出す黒い川を遡っていくと、やがて黒い川も枯れていくことになり、砂漠の凹凸を赤外線カメラで浮き上がらせながら、沈む夕日に追い立てられるように焦りから機体をわずかに加速させていく。

 

そして、夕闇に沈むアビドス砂漠を飛び続けて、ついにアビドス砂漠の彼方で悪夢のような現実世界へと辿り着いたのだった――――――。

 

 

ロボット職員(インナースペース)「――――――何だ、この光景は!?」

 

ロボット職員(インナースペース)「――――――確認できましたか、四次元発信機の座標は!?」

 

ロボット職員(インナースペース)「――――――見えますか、この有り様が!?」

 

 

ロボット職員(インナースペース)「……不毛の大地:アビドス砂漠に“枯れた森”が現れています! そうとしか言えない! 何だ、これは!?」

 

 

ロボット職員(インナースペース)「先生が言っていた通りだ。緑地がたしかにあった。枯れた泉のような窪地も見える」

 

ロボット職員(インナースペース)「け、けど、こ、これはいったい――――――?」

 

ロボット職員(インナースペース)「!」ピィピィピィ・・・! ――――――怪獣接近:2体!

 

ロボット職員(インナースペース)「くっ!?」

 

 

ロボット職員(インナースペース)「――――――このカマキリが!」

 

 

ロボット職員(インナースペース)「……何だ、こいつ!? デカい上に速いぞ!?」

 

ロボット職員(インナースペース)「――――――推定70mでマッハ6だと!? カマキリのくせにGUTSガルーダのマッハ4よりも速いだなんて反則だ!」

 

ロボット職員(インナースペース)「司令部! 2体の超巨大カマキリに追い掛け回されています! 【SRT】による突入は危険です! 何とかしてカマキリを引き離してみます!」

 

ロボット職員(インナースペース)「けど、蝗害を起こすバッタは草食性で、カマキリは肉食性って話だろう!? GUTSガルーダが鳥にでも見えているのか、こいつらには!?」

 

 

ロボット職員(インナースペース)「――――――あれは卵か!? そうか、巣に近づいたから追い払おうとしているのか!?」 ――――――近くにヘビの卵のようなものがいくつも見える!

 

 

ロボット職員(インナースペース)「司令部! おそらくカマキリの卵を見つけました! 焼き払います!」

 

ロボット職員(インナースペース)「ぐっ! けど、残念だったな!!」ガキン! ――――――GUTSガルーダにマジャバの鎌が振り下ろされる!

 

ロボット職員(インナースペース)「行けっ! クラスター爆弾だ!」 ――――――ミサイル発射!

 

 

――――――これで終わりだ! 蝗害ッ!

 

 

夕闇のアビドス砂漠に姿を現した 毒々しい不吉な雰囲気漂う 第一発見者が“枯れた森”と評した魔境にクラスター爆弾が降り注ぐ。

 

怪獣に成り立ての巨大バッタが更に変異した巨大カマキリ:マジャバ(どこからどう見てもカマキリ)はこれまでアビドス砂漠に出現した怪獣たちと同じく、流線形でも何でもない図体でGUTSガルーダのマッハ4を超える速度で高速接近して蟷螂之斧を振り下ろすのだが、

 

あくまでもカマキリの前肢の鎌は 多数の棘があることが見て取れるように 獲物を捕食するためのものであって切断する目的のものではないので、鋼鉄の鳥であるGUTSガルーダに鎌を振り下ろしても鎌が突き刺さることはなかった。

 

掠っただけでも地表に叩き落されるんじゃないかというぐらいの衝撃がGUTSガルーダを襲うが、無人機でありながら電脳接続(リンクアップ)で有人機の思考能力を獲得しているGUTSガルーダは姿勢制御と回避運動をAIに任せて、この状況での判断基準を示してマジャバの卵と思われる砂の上に露出している丸い物体に対して辺り一帯を焼き払うクラスター爆弾を発射させたのである。

 

更に、鎌を振り下ろしてきた1体と、巣に向けて放たれた攻撃を追った1体とに、マジャバの雌雄が別れていったため、それを勝機と見たGUTSガルーダは砲門が上下に可動する点や異星人のUFOの挙動を取り入れた推進機に依存しない空中機動を発揮した。

 

なんと、GUTSガルーダは急ブレーキを掛けながら機体を回転させながらハイパワーメーサービームキャノンも可動させることで、一瞬で砲門が真後ろを向いて追手となる雄のマジャバに至近距離で攻撃を浴びせることになり、怪獣に成り立ての未熟な細胞組織を完全に撃ち貫き、マッハ6で飛んでくる70mの巨大カマキリを一瞬の攻防で絶命させたのであった。

 

慣性の法則で巨大カマキリの遺骸が超音速飛行で失速しながら墜落する一方、クラスター爆弾で辺り一帯を焼き払われた“枯れた森”は砂漠の乾燥地域でよく燃え広がり、緑地跡と推察される巨大な枯れた樹木をも炎で包み込み、それは新アビドス自治区からでも観測できる火の柱になったと言う。

 

そんな火の海となった“枯れた森”の中で地表に露出した卵を守るべく、雌のマジャバが身を挺して卵を火から守って灼かれている姿を見て思うところはあったものの、今現在【アビドス】を襲っている蝗害:飛蝗現象の中に小さな巨大カマキリが何体も現れている報告を受けて、せめてもの慈悲としてマジャバの頭部を正確に撃ち抜くのであった――――――。

 

 

――――――オンライン会議

 

調月 リオ「なんとか蝗害を退けたようですね、先生」

 

北条先生「GUTSガルーダの性能のおかげです。巣を防衛していた巨大カマキリ:マジャバの雌雄を返り討ちにできたのは攻撃・防御・機動の三拍子揃った性能に加えて異星人のUFOの挙動も再現していたことに尽きます」

 

北条先生「そして、GUTSファルコンとはちがった方向性の格闘能力が電脳接続(リンクアップ)と相性が良かったのでしょう」

 

明星 ヒマリ「く、悔しいです! GUTSホークが完成さえしていれば、アビドス砂漠でGUTSガルーダ以上の活躍をしてみせたというのに……!」

 

羽沼 マコト「しかし、緊急事態だったとは言え、これまでは宇宙大怪獣:アストロモンスの幼体であるチグリスフラワーの繁殖を危惧して無人機での偵察に切り替えて少しずつ調査を進めていく方針を破って、アビドス砂漠の奥地まで歩を進めてしまったな、先生よ?」

 

桐藤 ナギサ「現地に四次元発信機を設置して監視をするようになったわけですが、この“枯れた森”と呼ばれる緑地跡の調査はどうする予定でしょうか?」

 

北条先生「当然、調査は進めますが、ここは言わば飛び地です。周辺地域の調査が完了していない敵地:怪獣無法地帯のド真ん中ということで四方八方から怪獣が現れる危険がある以上、迅速な調査は期待できないです」

 

羽沼 マコト「そんな調子だと、アビドス遠征が完了するのにいったい何年かかるのだ? 先生よ、そんな悠長でいいのか? 他にも未調査領域はキヴォトスにはたくさんあるのだぞ?」

 

桐藤 ナギサ「しかし、事を急いては仕損じます。エデン条約締結前でもあります。無用な犠牲と混乱を出さぬように配慮してくださっているのですよ、先生は」

 

羽沼 マコト「今更、エデン条約にそこまでの価値があるのかはさておき、アビドス遠征に現を抜かして企業共に出し抜かれることがないようにな、先生」キキキッ

 

 

七神 リン「先生、予定外の調査に乗り出すのはやめていただけないでしょうか? 他にも予定が詰まっているのですから、【アビドス】だけに注力するのは控えて、代わりの者にそれを任せられないでしょうか?」

 

 

北条先生「七神さん」

 

羽沼 マコト「言うだけ無駄だと思うがな。目の前の怪獣を退治しただけで全てが丸く収まったわけではあるまい。前回のアリンドウ(巨大アリ)の出現が今回のマジャバ(巨大カマキリ)の出現に繋がったと言うではないか」

 

調月 リオ「その通りです。特に、今回は怪獣災害よりも ある意味 厄介な蝗害の対処となります。蝗害対策をここで確実にしておかなければ、何年後かそう遠くない未来にアビドス砂漠からサバクトビバッタが大量発生してキヴォトス中が食い荒らされるだけじゃなく、怪獣を生み出した化学物質が撒き散らされる事態になり得ます」

 

桐藤 ナギサ「首席行政官、あなたの進言はごもっともですが、残念ながら私たちには怪獣災害ひいては今回の蝗害に対する専門知識が欠けています。先生の代わりが誰にも務まらない以上、先生の代わりができる分野で先生を支えるべきだと思います」

 

七神 リン「しかし、それではこの事態に唯一対処できる怪獣退治の専門家である先生の負担が大き過ぎます」

 

北条先生「アビドス砂漠に出てくる怪獣が尽く人喰い怪獣だらけだもんな……」

 

桐藤 ナギサ「先生、【トリニティ】は今回【アビドス】の支援のためにアビドス遠征に参加していますので、名目は慰安旅行や新技術の監査ですが、今回の調査のために動員を掛けてもかまいません。副ホストの私が許可します」

 

羽沼 マコト「焼け石に水だと思うがな。【キヴォトス防衛軍】に必要な人材は最初に先生の方で選別されているのだからな」キキキッ

 

桐藤 ナギサ「ですが、蝗害という新たな脅威を前に移動遊園地(funfair):リトルプラネットでただ遊んでいただけとなったら、【トリニティ】はいよいよキヴォトス中の笑い者です」

 

羽沼 マコト「先生、出てくる怪獣が人喰い怪獣だらけだと言うのなら、ロボット共を動員することはできないか? そうすれば人的損失を気にする必要はなくなるんじゃないのか?」

 

北条先生「僕としては児童労働には反対なので、それについては【キヴォトス防衛軍】の人員構成においてロボット兵団を主力する計画を真っ先に考えていたのですが、結果については現状の通りです。不採用です」

 

 

北条先生「残念ながら、人を救えるのは他ならぬ人であるように、種族のちがいがあまりにも大き過ぎました」

 

 

北条先生「正直に言って、使えないです、彼らは」

 

北条先生「何が問題かと言えば、人知を超えた超常現象の総称である“怪獣(KAIJU)”に対する認識能力が致命的に欠けているのです。共感能力が欠けているのです」

 

北条先生「はっきり言って、ロボット族はアイザック・アシモフのロボット工学三原則に忠実であるせいか、命令にないことや想定されていない事態に対する判断能力が著しく低いので、人喰い怪獣に対する危機感を共有してくれないですよ、自分が襲われない限りは」

 

北条先生「ですので、僕がやるしかないですね。行くしかないですね。人の心を持たない存在に人類の命運を預けたくはないです。それで後悔しても遅いのですから」

 

羽沼 マコト「たしかにな。先生の言う通りだよ、それは」

 

桐藤 ナギサ「そうですね。自分たちが求めるものを理解できない相手に自分たちの大切なものを委ねるわけにはいきませんね」

 

調月 リオ「つまり、先生、それは捕食の危険性がなくなれば、『生徒たちを敵地に送り出すことも辞さない』ということですか?」

 

北条先生「……あまり『敵』という表現は良くないかな。怪獣はあくまでも災害の化身であって、逮捕したとしても賠償請求できる社会的存在ではないので、犯罪者や敵対者と同列に語る概念ではないです」

 

北条先生「ただ、安全第一をモットーにしている僕のやり方の最大の障害なので、人喰い怪獣の脅威度を減らすことができれば、アビドス遠征を本格的に再開することができますね」

 

 

調月 リオ「わかりました、先生。何日か時間をください。それで新発見の飛び地“枯れた森”の調査を迅速に行いましょう」

 

 

七神 リン「リオ会長!?」

 

北条先生「……なるほど、そう来たか。まあ、そのために投資していたのだし、実戦投入が早まったのはめでたいことなのかな」

 

北条先生「では、桐藤さん。あらためて【トリニティ総合学園】の支援を当てにさせてもらいますよ。蝗害の根絶にご協力ください」

 

桐藤 ナギサ「何か策がおありのようですね、先生。その要請をお受けいたします」

 

羽沼 マコト「最初から機龍丸で砂漠を横断すればいいだけの話だろうに、随分と回りくどいことをするものだな、先生?」

 

北条先生「それはそうなんですけどね……」

 

北条先生「そもそも、アビドス遠征が始まった原因というのが――――――」

 

羽沼 マコト「わかっている。言ってみただけだ、先生」

 

羽沼 マコト「おい、いいかげんアビドス砂漠全域を覆う通信障害をどうにかする方法は考えついたのか?」

 

明星 ヒマリ「もちろんですよ。部分的に通信衛星が機能できるように妨害電波の網に穴を開ける装置が最終調整に入っています」

 

羽沼 マコト「じゃあ、決まりだな」

 

桐藤 ナギサ「そうですね。それで周囲の安全を確認しながら調査を進めることができます」

 

北条先生「その最初の第一歩が飛び地“枯れた森”ということになりますね」

 

北条先生「では、そのようにアビドス遠征を再開させますので、準備をお願いします」

 

七神 リン「……先生」

 

 

――――――こうしてアビドス遠征は数々の進展によって新たなる局面を迎えることとなった。

 

 

*1
vibration(振動) + rail(軌道)vibrail(波動鉄道)

*2
キリスト教において、イエス・キリストを裏切ったイスカリオテのユダが着ていた服の色が黄色だったという聖書の話が由来。

その影響で花言葉においても色が黄色になっただけでマイナスの意味に代わってしまう他、異端者の色とされて聖職者が黄色を着用することを禁じる法が作られた。

ただし、金色の代用としてなら使用が許されている。




-Document GUYS feat.LXXX No.15-

昆虫怪獣:マジャバ 登場作品『ウルトラマングレート』第8話『姿なき復讐 -昆虫の叫び-』登場
使用が禁じられた農薬:オルガノPCBの影響で突然変異を起こして巨大化したイナゴの中でも特に巨大な個体の怪獣。
蝗害を象徴した怪獣なのだが、なぜか外見はカマキリに近いものになっており、両腕に鎌を備え、三角形の頭部には丸い3つの複眼がある。どう見てもカマキリである。
雄と雌が存在し、雄はマッハ6で飛行し、雌はレーザーにも耐える強固な外殻を持つとされているが、劇中では雌には翅がない設定にも関わらず雄と同じくらいの速度で飛行しており、結果として能力は雌の方が上となっている。

武器は両腕の鎌と口から吐く毒ガス。また、産んだ卵も内部に毒ガスを含んでいる。
食性も変化しており、農作物よりオルガノPCBをエネルギー源とする他、動物の肉も喰らうことが示唆されている。
が、一番の武器は鈍重な動きに反してウルトラマングレートを軽く触れただけで吹っ飛ばす怪力である。


ジョンソン農場では秘密裏に禁止農薬:オルガノPCBを開発して使用していた結果、イナゴがオルガノPCBへの耐性を獲得し、その影響で巨大化を始める。
その中でも特に巨大な1組の夫婦が怪獣:マジャバとなり、セスナを襲うまでに狂暴化し、UMAは農場の調査を始めてハマーで調査中に遭遇。空中戦の末に雄は撃破するが、雌には逃げられてしまう。
その後、元凶である牧場主:ジョンソンには逃げられるが、改心した農夫:サンドマンの協力を取り付け、マジャバの巣を発見し、攻撃を開始する。

卵はいくつか破壊したが、雌のマジャバは怒り狂って暴れ出し、ここでジャックはウルトラマングレートに変身。
マジャバは鎌と毒ガスより驚異的な怪力でグレートを苦戦させるものの、光の剣:グレートスライサーで鎌を斬られ、フィンガービームを卵に向かって撃たれる鬼畜戦法に慌てて卵を守りに入ったが、そこへUMAが開発したオルガノPCBの中和剤を浴びせられて絶命することに。
その遺骸はグレートのディスクビームを浴びたことで卵ごと消滅し、後始末はウルトラマンがしたものの、マジャバを産み出したのも滅ぼすのも人間の作った薬品であるという皮肉の効いた顛末であったため、『あんまりいい気分じゃないなぁ……』とUMAの隊員が愚痴をこぼさずにはいられなかったのだった……。






本作では前回登場した地球でハネアリを大羽蟻怪獣:アリンドウへと怪獣化させた化学物質:PG-500がアビドス砂漠に拡散したことで現地に棲息していたサバクトビバッタも影響を受けて怪獣化した巨大バッタが更に突然変異した巨大カマキリとして登場。
サイズは様々であり、飛蝗現象:横に1~10mぐらいの巨大バッタとに紛れて飛来した個体は縦に10mぐらいであり、その姿を見て『マジヤバ!』『マジヤバ!』と叫んだ生徒たちによって巨大カマキリの方は“マジャバ”と呼ばれるようになった。
そして、蝗害の発生源である 突如としてアビドス砂漠に現れた緑地跡“枯れた森”に確認された雌雄は 最大級となる70mであり、多産多死で子の世話などしないカマキリの生態とは異なる巣の防衛本能を働かせる知性や感情が確認されている。

その70mの図体でマッハ6で飛んできて巣を防衛する姿は圧巻ではあったものの、怪獣に成り立てということで防御力が並程度では地底怪獣:クレッセントを常に基準にした対怪獣兵器:GUTSガルーダの火力の前ではデカい的に過ぎず、更に卵を狙った攻撃で雌が巣の防衛に回ってしまったことで数的優位が崩されている。
また、巣への攻撃にクラスター爆弾を放った場所が砂漠の乾燥地域の“枯れた森”ということで火の海にされて一掃されることになった。

一方、飛蝗現象と共に【アビドス】に来襲した小さいマジャバもまた現地の生徒たちの奮闘で巨大バッタごと殲滅させられることになる。
草食性の横にデカい巨大バッタよりも肉食性の縦にデカい巨大カマキリの方が捕食のために人間目掛けて少数で突っ込んでくるため、飛んで火に入る夏の虫ということで各個撃破されやすかったのが要因であった。
こうして怪獣災害に匹敵する生物災害:蝗害を防ぐことに成功したものの、キヴォトスにおける昆虫食の需要が大幅に減少することとなった。


――――――しかし、キヴォトスで蝗害が発生したことがとある界隈で大きな波乱を生み出していたことが明るみになるのは後からであった。

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