Blue Archive -Document GUYS feat.LXXX-   作:LN58

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EP16 幻じゃない あの日の翼 -Ⅰ.枯れた森 制圧作戦-

 

タイガスパークを経由して天に放たれたウルトラサインによって輝く銀河の彼方から颯爽と駆けつけたウルトラマンネオスの加勢もあり、星々を滅ぼして回る宇宙の悪魔と化したバルタン星人の侵略を退けることに成功した後――――――。

 

地球人:北条 アキラ率いる【キヴォトス防衛軍】は、移動遊園地(funfair):リトルプラネットでの束の間の享楽と安寧を得て英気を養い、ついにアビドス遠征を再始動させることとなった。

 

本来は怪獣無法地帯と化していることが判明したために人海戦術でアビドス砂漠の未調査領域を一挙に調べ尽くす目論見が破綻したことで無人偵察機を使って安全重視で慎重に進められていたのだが、

 

アンバランス現象によって怪獣墓場に繋がるウルトラゾーンからキヴォトスに出現するはずがない地球怪獣が次々と現れるという更なる非常事態に直面したため、悠長に調査を進めているわけにもいかなくなったのである。

 

そこでアビドス砂漠で発見された怪獣未満の巨大生物の発生源にもなっていた“枯れた森”と呼称される地域から調査を再開することとなった。

 

一方、不毛の大地:アビドス砂漠の正体が3000万年以上前の神代に降臨した光の勢力が築き上げた超古代文明の秘密保管庫であることが以前の調査で判明し、数十年前から始まった【アビドス】の砂漠化の原因も経年劣化によって引き起こされた機能の暴走による無制限の領域の拡大化にあるという。

 

そのため、再開されたアビドス遠征には怪獣無法地帯の発生源となるウルトラゾーンの排除の他に、砂漠化の原因となっている暴走した秘密保管庫の機能を停止させる極秘任務も課せられており、3000万年前の生き証人である“シャーレの研究員”神代キヴォトス人:サーベラスの協力が必要不可欠であった。

 

しかし、それを阻むのが暴走した秘密保管庫の機能:忘却の砂であり、『この地は何かを隠そうとしている者の力となり、そこから何かを探し出そうとしている者の敵となる性質を持っている』ため、アビドス砂漠の謎に迫ろうとしている【キヴォトス防衛軍】の作戦行動が因果律を操作されて事ある毎に不思議なことが起こって何らかの妨害を受けることが予想された。それはまるでファラオの呪いのように。

 

それでも、放置し続けていれば暴走した秘密保管庫の機能でいずれはキヴォトスそのものが無尽蔵に拡大し続ける砂漠に呑まれることになり、それでなくても怪獣無法地帯と化しているアビドス砂漠の脅威がすぐそこにあるのだ。

 

進むも地獄、退くも地獄なら、怪獣退治の専門家として学園都市:キヴォトスに招かれた地球人:北条 アキラとしては、死力を尽くしてアビドス砂漠を踏破する以外に道はなかったのである。

 

そして、その大きな一歩を踏み出す勇気を与えてくれたものこそが、光の中心として人々を結集させる力を持つロボット職員:マウンテンガリバーの仁徳であり、肉体を失って機械の身体に封じ込められてなお強い輝きを放つコーイチ先生の意思であった――――――。

 

 

ゼットーン! ピポポポポ・・・!

 

 

ロボット職員「宇宙恐竜:パワードゼットン、配置に着きました」

 

山高 カムロ「よし! シミュレーションは完璧だ!」

 

服巻 クロモ「ガリバーさん、最後のシミュレーション結果も出ました。問題ありません」

 

北条先生「よし、現場には誰もいないな? ちゃんと四次元空間に避難できているか?」

 

――――――

仲正 イチカ「こちら、ミサイルライナー号、点呼確認 問題ないっすよ、先生」

――――――

――――――

銀鏡 イオリ「カノンライナー号も同じく、点呼確認は問題なし。全員いることを確認している」

――――――

――――――

鬼怒川 カスミ「ドリルライナー号もだよ。さあ、早く盛大に打ち上げておくれよ」

――――――

 

ロボット職員「作戦区域全域に生体反応はありません。いけます」

 

足坂 エル「いよいよですか……」

 

北条先生「よし、蝗害の発生源となった“枯れた森”を焼き払え、パワードゼットン!」

 

北条先生「では、お願いします、サーベラス様」

 

――――――

 

神代キヴォトス人(インナースペース)「さあ、光の眷属たる我の新たな肉体として光怪獣と化した最強種! 宇宙恐竜:パワードゼットンよ! 今こそ、その威を示せ!」

 

――――――

 

聖園 ミカ「わあ……」

 

宇宙格闘士の帝王「始まったか。まさか、伝説とまで言われた最強種の業火をこうして女子供を集めてテレビ中継することになるとはな。珍しいものを録ることになったな」 ←グレゴール星の小型の空飛ぶ円盤で全国中継!

 

小鳥遊 ホシノ「ゆっくりとおっきな火の玉が砂漠に落ちていくよ、姫矢さん……」

 

戦場カメラマン「ああ。ああやって少しずつ砂漠の表面を焼き焦がして“枯れた森”に産み落とされたサバクトビバッタの卵を全滅させるというわけだ」

 

黒見 セリカ「ねえ、どうして時間を掛けて焼いていっているわけ? 手っ取り早く“枯れた森”一帯を爆破すればいいじゃない」

 

宇宙格闘士の帝王「たしかにそれは手っ取り早いやり方ではあるが、それでは爆風によって舞い上がった砂塵が宙を漂い、俺の見立てだと地域レベルで寒冷化を招くことになるぞ」

 

砂狼 シロコ「――――――『寒冷化』?」

 

小鳥遊 ホシノ「うへ~? もしかして、それって何もしてなくても暑いのがなんとかなるって感じ~?」

 

十六夜 ノノミ「もしかしてアビドス砂漠にも雪が降るんですか?」

 

聖園 ミカ「それ、いいかもね。どこまで行っても砂しかないんだし、雪景色ぐらいあったってバチは当たらないじゃんね」

 

奥空 アヤネ「そんな穏やかなもののようには思えませんけどね……」

 

戦場カメラマン「ともかく、自然環境はもちろん、環境団体にも配慮したクリーンな害虫駆除の方法というわけだ、これが」

 

聖園 ミカ「でも、見て、あれ。あの真っ黒な身体」

 

 

――――――まるで空飛ぶ十字架みたい。

 

 

宇宙忍者:バルタン星人の侵略を退けたことで得られた新戦力。それこそが復讐に燃えるバルタン星人が対グレゴール星人用に調整を施した最強種と名高い宇宙恐竜:ゼットンであり、このパワードゼットンはバルタン星人が製造しただけに宇宙忍法を思わせる動きが可能となっていた。

 

そして、その基本的な戦闘能力はさすがは最強種と呼ばれるだけあり、ウルトラマンを軽く吹っ飛ばす圧倒的な腕力の他に数々の強力な特殊能力を持ち、バルタン星人が製造したからなのか、硬質な翼を展開することで飛行すら可能であった。

 

そんな最強種を刺客として送り込まれて抹殺されかけた“宇宙の帝王”グレゴール星人:グレゴリオ曰く、元々の創造主であるゼットン星人の精神性を反映させた理不尽さが失われて、バルタン星人の精神性が露骨に反映されているために逆に動きが読みやすくなっており、そうなると最強種と名高いだけに各方面で対策が検討されている ただの強豪怪獣の1体に成り下がっているのだとか。

 

それだけに鹵獲も簡単であり、こうして光の眷属:サーベラスが新たに獲得した光怪獣として使役されることになり、バルタン星人製のゼットンということで地球人:北条 アキラにとっては見慣れない姿のゼットンではあっても、かつて【GUYS】がマケット怪獣化して戦力に組み込もうとして果たせなかった あの宇宙恐竜:ゼットンが こうして【キヴォトス防衛軍】の指揮下で運用される光景には変な汗と高揚感があった。

 

一方、宇宙忍者:バルタン星人の手が加えられている改造怪獣のため、宇宙忍法を再現できる汎用性の高さや特殊能力の数々で 動きは硬いものの 使い勝手はなかなかのものであるらしく、現に背中の翼を使って空を飛んでやってきたわけなので、ウルトラマンと足並みを揃えて行動できるのは大きな利点となっていたのである。

 

さて、宇宙恐竜:ゼットンを最強種と言わしめた最大の特徴こそが“口から吐く1兆度の火球”であり、実際に鹵獲できたパワードゼットンでその能力を検証してみると、明らかにそんなのは嘘であるとわかってしまう。理科の勉強ができれば“1兆度の火球”だなんてセルシウス度で測っていないだけの叙述トリックに過ぎないのではないかと本職が小学校の先生である北条 アキラは当初は鼻で笑っていた。

 

なにしろ、太陽の表面温度が6000℃であり、太陽の中心部は核融合反応が間断なく続いて1500万℃なのだ。太陽の熱を遥かに上回るゼットンの1兆度の火球と言うのは、ブラックホールに吸い込まれた星間ガスが猛烈な重力で加速して互いにぶつかり合う時にだけ到達できる極めて限定的な超高温状態でしか観測できないものだとされているのだ。

 

ここで柳田 理科雄の空想科学読本によると、ゼットンの火球の大きさを計算しやすいように直径1mと仮定すると、ゼットンの1兆度の火球が持つエネルギーは燃え盛る太陽が放つエネルギーの470兆倍となってしまうのだ。

 

つまり、ゼットンの火球は1個放つだけでも地球上に太陽が470兆個出現したのと同じことになり、その想像を絶する凄まじい熱量は、地球が一瞬のうちに蒸発するどころか、太陽系そのものを蒸発させることになるのだ。当然、それを口から放つゼットンもただですむはずがない。

 

太陽が1個しかない地球でも地軸の傾きから季節が切り替わって10℃の寒暖差で死ぬほど暑いだの寒いだの人類が繰り返し騒いでいることを考えれば、比較することも馬鹿馬鹿しくなるほどの超絶エネルギーというわけである。

 

しかし、実際の被害はそれだけに留まらず、それで1つの星系が蒸発するどころか、400光年以内にある全ての天体をガンマ線バーストで死滅させたという恐怖の伝説からゼットンが宇宙中で最強種と謳われるようになった――――――。

 

という納得の経緯をグレゴール星人:グレゴリオから聞かされると、いかに製作者であるゼットン星人がバルタン星人以上に頭がおかしい存在であったかが理解できるようになって冷や汗が止まらなかった。同時に、よくもまあ、初代ウルトラマンと共にゼットン星人の船団と戦った【科学特捜隊(SSSP)】は勝てたものだと感心する他なかった。

 

そして、捕獲したゼットンを解析してわかったこととしては、マイクロブラックホール発生器を搭載した改造怪獣であるということであり、体内で生成して超重力で加速させた摩擦熱で燃えた星間ガスを吹きかけるものがゼットンが放つ火球の正体であったのだ。宇宙恐竜:ゼットンとは空想科学読本に書かれていた通りの超熱量の発生原理が本当に実現されていた生体兵器なのである。

 

おそらく、ゼットンが最強種とまで言われるようになった超銀河規模の災厄の原因は、マイクロブラックホール発生器の暴走によるものと推測され、ゼットンの火力強化を追究していった末に起きた 過ぎたる力による暴走という 必然の破滅であったのだろう。

 

そう、これは自分たちの母星を地球を遥かに超える科学力で滅ぼして宇宙難民と化したバルタン星人の過ちにも言えることであり、

 

宇宙でたった一度きりの伝説であっても、それだけの大惨事を可能にする絶大なエネルギーを単独で生成できること自体が驚異的であり、そんな“生きた宇宙破壊爆弾”を運用することになったのはいったいどんな因果なのだろうか――――――。

 

 

 

 

 

北条先生「さて、作戦開始から2時間か……」

 

ロボット職員「作戦区域全域が1,000℃に達しました」

 

北条先生「指定されたポイントに数時間は燃え続けるゼットンの火球を配置して“枯れた森”一帯を満遍なく焼き焦げにするオーブン作戦だったが……」

 

北条先生「砂の主成分である二酸化ケイ素(SiO2)の沸点は2,230℃。それと比べて たった100℃で蒸発する一酸化二水素(H2O)はこれで完全に干上がったはずだ」

 

北条先生「どうかな、固体→液体→気体へと状態変化する水の反応は追えたかな? 砂漠に存在する緑地(オアシス)なら、必ず水源が存在するはずですから」

 

山高 カムロ「予想通り! バッチリだよ、先生!」

 

服巻 クロモ「はい。これで地下水の分布と貯水量のおおよそがわかりました」

 

足坂 エル「この分布は、やはり、“枯れた森”には巨大な地下水があったわけですね。先生が言う帯水層というやつですか」

 

北条先生「よかった。正直に言って、ゼットンの火球を使ったオーブン作戦なんてものは地球でも 当然 例がないものだから、どういう反応になるのかがわからなかったんだ」

 

北条先生「そう、『蒸気がプラズマ化するのは1,000℃からでも』という話だったから、ちゃんと検証実験と運用訓練をして本番を迎えた甲斐があったよ。下手をしたら一帯がプラズマ化した(酸素)ラジカル、(水素)ラジカル、OH(水酸化物)ラジカルで充満するわけだから、何かの拍子で静電気で火花が散った瞬間に『チュドーンッ!』って成りかねないからね」

 

ロボット職員「元々は水プラズマ焼却炉から着想を得たものでしたよね」

 

山高 カムロ「本当に先生は物知りで一緒に実験するのが楽しくてしかたないよ。ワクワクが止まらない」

 

服巻 クロモ「水を2万℃まで加熱させてプラズマ化させ、そこから水素と酸素に分解して得たエネルギーでゴミを蒸発させる仕組みですね。実験室の規模でなら【ミレニアム】の設備でも実現可能なものでした」

 

足坂 エル「通常はゴミを焼却すると炭素(C)酸素(O2)と結びついて二酸化炭素(CO2)になりますが、水プラズマだと二酸化炭素の排出を抑止できる上に燃え残った灰の埋め立てなどの後始末を考えなくてすむわけです」

 

北条先生「まあ、既存の焼却処理施設に取って代わるためには『どうやって大量の水を確保して、2万℃まで加熱させて、プラズマ化したものを安全に運用するのか』とか課題は山積みだったんですけどね」

 

北条先生「ですが、ここに1兆度の火球を放てる宇宙恐竜をひとつまみ――――――」

 

ロボット職員「私たち【キヴォトス防衛軍】の戦力として運用していくためにも安全性の確保と能力の評価は必要不可欠というわけで、どういった基準を設けるかのヒントに水プラズマ焼却炉はなってくれましたね」

 

服巻 クロモ「本当に貴重な実験データの数々をありがとうございます! 【ミレニアム】の古巣の連中も大喜びでしたよ! 宇宙恐竜 すごい!」

 

足坂 エル「今回の『枯れた森 制圧作戦』も軍事目的の達成のみならず、科学の発展に大きく寄与することになった 大変 意義のあるものでしたね」

 

山高 カムロ「こんなすごいことに利用できるってのに、破壊のためにしか使われないだなんて、怪獣って言うのは本当に哀しい存在だよな……」

 

北条先生「よし、データは十分に取れた。鎮火を。地盤沈下を起こす前に」

 

ロボット職員「わかりました。これでもう蝗害に悩まされることはないってことですね」

 

ロボット職員「おまたせしました、ライナー部隊。作戦区域外縁から鎮火作戦を開始してください」

 

――――――

仲正 イチカ「こちら、ミサイルライナー号、了解っす。早速、新兵器の威力を試すっす」

――――――

――――――

銀鏡 イオリ「カノンライナー号も同じく、了解した。手筈通り消火弾を火球に撃ち込んで鎮火する」

――――――

――――――

鬼怒川 カスミ「さてさて、ドリルライナー号はデータ通りに地下水があるかを確認するとしよう」

――――――

 

足坂 エル「!」

 

服巻 クロモ「待ってください! 作戦区域の地下から巨大な何かが――――――!」

 

山高 カムロ「やっぱり、怪獣が緑地(オアシス)の奥深くに潜んでいたんだ! それがようやく炙り出された!」

 

北条先生「だろうな」

 

ロボット職員「サーベラス様!」

 

――――――

 

神代キヴォトス人(インナースペース)「皆まで言うな。我に任せるがいい」

 

――――――

 

黒見 セリカ「いやああああああ! 植物のオバケええええええ!?」

 

宇宙格闘士の帝王「ほう、あれはソリチュラだな」

 

砂狼 シロコ「――――――『ソリチュラ』?」

 

宇宙格闘士の帝王「ああ、宇宙植物怪獣:ソリチュラ。お前たちがこの怪獣無法地帯:アビドス砂漠で警戒している宇宙大怪獣:アストロモンスと同じく、宇宙起源の植物生命体だ」

 

宇宙格闘士の帝王「ただ、人喰い植物であるチグリスフラワーを幼体とするアストロモンスとちがうのは、ソリチュラの体に咲いたソリチュランフラワーが地面に落ちると人型に成長して宇宙植物怪人:ソリチュランとなり、そいつらが原生生物を狩って本体の餌にする点だな」

 

聖園 ミカ「な、何それ!? B級ホラー映画のオバケみたいじゃん!?」

 

戦場カメラマン「……ビーストヒューマンを思い出させる手合だな」

 

宇宙格闘士の帝王「しかも、食べきれなかった餌は最低限の栄養補給をして鮮度を維持させた仮死状態の非常食として保管するからな。捕まったら死ぬに死ねない状態が長く続くぞ」

 

砂狼 シロコ「……ゾッとする話だね」

 

宇宙格闘士の帝王「他にも、そうやって保管した非常食は人質として利用して攻撃を止めさせてくる悪知恵もあるわけだから、こいつはアストロモンスよりも進化した有害宇宙植物というわけだ」

 

小鳥遊 ホシノ「うへ~。こういうのを宇宙の神秘だとか生命の神秘だって感心するわけにはいかないよね~」

 

奥空 アヤネ「はい。こんな恐ろしいものが砂漠の緑地の地下に隠れていただなんて……」

 

宇宙格闘士の帝王「おまけに、ソリチュラという種は有害宇宙植物の中でも最高峰の害悪度を誇り、惑星に存在するあらゆる生物と同化して最終的には惑星そのものになることを目的している“惑星喰らい(プラネットイーター)”として、宇宙の最強種として畏怖されるゼットンとはちがって完全に忌み嫌われている存在であるな」

 

宇宙格闘士の帝王「惑星そのものにまで巨大化したソリチュラはそうして宇宙に向けてソリチュランフラワーを放ち、自らの支配領域を広げていくというわけなのだ」

 

宇宙格闘士の帝王「オレも暗黒宇宙を拳一つで流離っている中で、惑星そのものがソリチュラに侵食された死の世界を目の当たりにしている」

 

宇宙格闘士の帝王「だから、よかったな。手に負える範疇を超える前に見つけられて」

 

宇宙格闘士の帝王「見てみろ。1,000℃の外気ぐらいは平気なようだが、原生生物と同化したのが仇になって寿命を縮めているようだな。なまじ知性が発達しているだけに、このままジッとし続けていたら干上がってしまうのがわかって打って出たようだが、」

 

宇宙格闘士の帝王「眼の前に立ち塞がるのは宇宙中に名を轟かせた最強種の宇宙恐竜:ゼットンだ。宇宙植物ごときに宇宙恐竜:ゼットンの相手が務まるわけがない」

 

十六夜 ノノミ「本当ですね。地底から次々と蔦が伸びてきますけど、それを次から次へと引きちぎって手刀でバラバラにしていますね。力の差は歴然です」

 

黒見 セリカ「と言うか、空を飛んでいたのに一瞬で怪獣の真上から手刀を振り下ろしてきたのよ!? 普通に戦って勝てるわけないじゃない、あんなのに!?」

 

奥空 アヤネ「しかも、一帯の地下水が蒸発したことで現地は物凄い蒸気なので、頭から放つ花粉が蒸気で重たくなって上手く飛ばすことができていませんね……」

 

砂狼 シロコ「届いたところでゼットンシャッターだし、完全に詰みだね」

 

聖園 ミカ「あ、ソリチュラの胴体をゼットンが掴んだよ。これは投げ技をするみたい」

 

宇宙格闘士の帝王「終わったな」

 

戦場カメラマン「ああ。これで決まりだな」

 

黒見 セリカ「あ、ああああ! ゼットンにソリチュラの上半身が引き千切られて火の玉に投げ込まれたああああああ!」

 

小鳥遊 ホシノ「ねえ、これ? 全国中継されているんだよね? 大丈夫なの?」

 

戦場カメラマン「大丈夫じゃないか、たぶん。幸い、断面はあの通り維管束植物のようだしな」

 

戦場カメラマン「まあ、この全国中継はアビドス砂漠全域に妨害電波を出し続けている連中に対する威圧も兼ねているからな。これを見て連中がどう動くかだ」

 

小鳥遊 ホシノ「本当に先生が立てる作戦は一石何鳥にもなるようになっているんだね~」

 

戦場カメラマン「ああ。俺にはできないことを先生はやってのけているんだ」

 

 

――――――お前たちは救われる。明日を掴めるんだ。

 

 

こうして“枯れた森”と呼ばれた緑地(オアシス)の調査という名目の『枯れた森 制圧作戦』はゼットンが放つ超高温の火球の鎮火作業の完了をもって終了し、地表に姿を現した宇宙植物怪獣:ソリチュラの根を炭化させた遺骸を利用することで地下水への経路が確保されるのであった。

 

翌朝にはプラズマ化手前だった地下水の蒸気が冷やされて雨雲を生み出し、アビドス砂漠のごく一部に大雨をもたらすこととなった。それがプラズマ化手前の蒸気で燻されて炭化した“枯れた森”を洗い流す洪水となり、更なる時間経過を必要とさせていた。

 

土壌の劣化は土壌の保水能力を低下させ、雨水の表面流出量を激増させて洪水を引き起こす。土壌の劣化の最高峰である砂漠化はこうして容易く大雨から洪水を引き起こすというわけなのである。

 

そう、蝗害を根絶するために貴重な緑地の植生や土壌を犠牲にする選択をしたのが地球人:北条 アキラであり、最初にゼットンの火球で“枯れた森”全域を焼き焦がして地中のサバクトビバッタの卵を干上がらせた上で、地下水の蒸気で一帯を1,000℃で燻して炭化させ、更には大量の蒸気が冷えて大雨となって洪水を引き起こして“枯れた森”全域を洗い流してサバクトビバッタの卵を溺死させたのである。

 

当然ながら、作戦を実行するに当たって発生する熱波や洪水のシミュレーションも行って周辺地域への被害を予測して対策を打ってから実施しているため、人命第一主義の【キヴォトス防衛軍】の基本方針に一点の曇りはない。

 

それどころか、この洪水を利用して【アビドス】の名所であったオアシスを復活させる水源に利用しようと企んでもいたぐらいなのだ。

 

結果としては、精密なシミュレーションによって意図的に地盤沈下させて砂漠に傾斜を作ることで望んだ方向に洪水が流れる涸れ川という交通路を引き込むことに成功しており、ゼットンを利用した灌漑は一定の成果を収めることに成功したのである。

 

ただし、アビドス砂漠のド真ん中にある“枯れた森”の跡地に居住区や農地を設けるほどの余裕も安全も確保されていないため、今回の実戦データにどれだけ価値があったとしても、【カイザーコーポレーション】に買い取られたアビドス砂漠の地価を釣り上げるほどのものはなかった。

 

それでも、砂漠気候の直射日光で蒸発を止めることができない今回の涸れ川であったとしても、久方振りにアビドス砂漠に世間一般に想像されるオアシス(砂漠の泉)が姿を現したのだから、

 

灼熱と洪水で更地になった“枯れた森”跡地から流れる涸れ川の周辺地域の調査を進めながら、かつては郊外にあるオアシスで開催されていた一大名物“アビドス砂祭り”をまったく知らない世代になってしまった【アビドス高等学校】の生徒たちは太陽光を照り返す涸れ川の水面と同じように瞳を輝かせるのであった。

 

 

ワイワイ、ガヤガヤ、ワーワー!

 

 

黒見 セリカ「見て見て、ホシノ先輩! 水ですよ、水! アビドス砂漠でこんなにも水が溢れている!」バチャバチャ!

 

小鳥遊 ホシノ「うんうん。ホントだね~、セリカちゃん」

 

砂狼 シロコ「先生が心配していた 怪獣を生み出す化学物質:PG-500の反応はないみたいだね」

 

奥空 アヤネ「はい。“枯れた森”で焼き払ったものが混じっているにしても本当に綺麗な水です」

 

十六夜 ノノミ「みんな、今日まで一所懸命に頑張ってきた甲斐がありましたね」

 

北条先生「まあ、“枯れた森”という緑地から離れた上に恒常的に地下水が汲み上げられていないので、やがては砂漠気候の直射日光で全てが蒸発して消える涸れ川ではあるんですけどね。砂漠ではその涸れ川の跡を交通路に利用しているので、新たに鉄道を敷設する際のヒントになるといいですね」

 

小鳥遊 ホシノ「さすがにゼットン式灌漑法は先生の指揮でしかできないことだから真似できるものじゃないと思うな~」

 

小鳥遊 ホシノ「だとしても、これは()()()()()()としか言いようがない光景だよ、先生」

 

小鳥遊 ホシノ「先生は本当に何でもできちゃうんだね。先生にできないことなんて何もないんじゃないかな」

 

北条先生「いいえ、大量の蒸気を生み出すためにはまず最初にゼットンが必要でしたし、被害を予測して状況を制御するための精密なシミュレーションが必要でしたから、僕一人ではこんな光景を作り出すことなんてことは夢物語でしたよ」

 

北条先生「これはたくさんの人たちの協力があったからできたことです、小鳥遊さん」

 

北条先生「とは言え、アビドス砂漠全体の土地の所有権は【カイザーコーポレーション】のものですから、念願のオアシスを作って“アビドス砂祭り”を再興しようとしたところで【アビドス】のものにはならないですよ」

 

小鳥遊 ホシノ「うへ~。それは残念」

 

小鳥遊 ホシノ「でも、これで【アビドス】の未来はうんと明るいものになった気がするよ~」

 

小鳥遊 ホシノ「本当に最高の気分だよ、先生」

 

小鳥遊 ホシノ「この光景、見せてあげたかったな、先輩にも――――――」

 

小鳥遊 ホシノ「……『先輩』?」

 

小鳥遊 ホシノ「あ」

 

 

 

『じゃじゃーん! 見て、これぇ!』

 

『…………『砂祭り』?』’

 

『この時はまだオアシスが湖みたいに広がってたんだよねぇ』エヘッ

 

『これ、記念にあげる』アハッ

 

『………………』’

 

『すっごく素敵でしょう?』エヘヘ・・・

 

『もし()()()()()()()()()、また この頃みたいに人が集まって――――――』

 

 

『――――――奇跡なんて起きっこないですよ、先輩』’

 

 

『ええっ!?』

 

『そんなもの、あるわけないじゃないですか』’

 

『それよりも現実を見てください』’

 

『うぅ……』

 

『こんな砂漠のド真ん中に大勢の人が来るはずないでしょう』’

 

『夢物語もいいかげんにしてください』’

 

『だ、だって……』

 

『ご、ごめんね……』

 

『そうやって、ふわふわと奇跡だの何だのって――――――、』’

 

『あなたは【アビドス】の生徒会長なんですよ? もう少し、その肩に乗った責任を自覚したらどうなんですかッ!?』’

 

 

――――――そうして、手渡されたポスターを思い切り引き裂くのであった。それが二人の関係の手切れであるかのように。

 

 

 

小鳥遊 ホシノ「あ、ああ…………」ポタポタ・・・

 

小鳥遊 ホシノ「せ、先輩……、先輩…………」ポタポタ・・・

 

小鳥遊 ホシノ「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」ポタポタ・・・

 

北条先生「………………」

 

黒見 セリカ「ほ、ホシノ先輩!?」

 

奥空 アヤネ「大丈夫ですか、先輩!?」

 

十六夜 ノノミ「どうしたんですか、急に!?」

 

砂狼 シロコ「…………先輩」

 

 

黒舘 ハルナ「どうかなさいましたの、みなさん? 先生?」

 

槌永 ヒヨリ「わあ、何か大変そうですね~」 ←せっかく もらったことだし、アビドス高等学校の制服を着ている。

 

戦場カメラマン「…………ホシノ?」

 

 

黒見 セリカ「うっ、【美食研究会】の黒舘 ハルナ……」

 

十六夜 ノノミ「あ、ヒヨリちゃん。ちょうどよかった。ホシノ先輩が 突然 泣き出しちゃったから、気分を落ち着かせるために手伝って」

 

槌永 ヒヨリ「へ」

 

黒舘 ハルナ「まあ、それは大変ですわ! こういう時は美味しいものを食べるのが一番ですわよ!」

 

奥空 アヤネ「お気持ちはありがたいですが、さすがに今はそういう気分じゃ……」

 

 

小鳥遊 ホシノ「――――――ユメ先輩?」ジロッ

 

 

槌永 ヒヨリ「へ」

 

小鳥遊 ホシノ「……ユメ先輩だ」

 

小鳥遊 ホシノ「ユメ先輩だ、ユメ先輩だ、ユメ先輩だ、ユメ先輩だ、ユメ先輩だ、ユメ先輩だ、ユメ先輩だ――――――」

 

 

ユメ先輩だ、ユメ先輩だ、ユメ先輩だ、ユメ先輩だ、ユメ先輩だ、ユメ先輩だ、ユメ先輩だ、ユメ先輩だ、ユメ先輩だ、ユメ先輩だ、ユメ先輩だ、ユメ先輩だ、ユメ先輩だ、ユメ先輩だ、ユメ先輩だ、ユメ先輩だ、ユメ先輩だ――――――。

 

 

北条先生「……何だ、この感覚は!?」ドクン!

 

砂狼 シロコ「――――――ホシノ先輩の様子がおかしい!?」

 

戦場カメラマン「ホシノ?!」

 

槌永 ヒヨリ「ひえっ」ビクッ

 

黒舘 ハルナ「ほ、ホシノさん? たしか、ヒヨリさんに制服をプレゼントしたのはヒヨリさんが【アビドス】の生徒会長にそっくりだからとお聴きしていますが、こちらにいるのはヒヨリさんですよ?」

 

 

小鳥遊 ホシノ「 黙 れ ッ 」

 

 

黒舘 ハルナ「!?」ゾクッ

 

十六夜 ノノミ「ホシノ先輩! さあ、いつものように膝枕にしましょう!」ガシッ

 

十六夜 ノノミ「なっ」バシィ

 

十六夜 ノノミ「きゃああ!?」ドサッ

 

砂狼 シロコ「ノノミ!?」

 

砂狼 シロコ「……ホシノ先輩!?」

 

北条先生「――――――何かまずいッ!」バッ

 

奥空 アヤネ「先生!」

 

戦場カメラマン「――――――ホシノッ!」バッ

 

槌永 ヒヨリ「ひ、姫矢さん!」

 

 

――――――小鳥遊 ホシノの突然の変貌に周囲が戸惑う中、その場にいた大人2人が何かを感じ取って駆け寄る!

 

 

北条先生「うぅううううううううううう!?」

 

戦場カメラマン「くぅううううううううう!?」

 

小鳥遊 ホシノ「さっきから誰? 邪魔しないでよ!」

 

 

バチバチバチィイイイイイイ!

 

 

戦場カメラマン「――――――エボルトラスターが弾いた!?」

 

北条先生「わかったぞ、この感覚の正体!」

 

北条先生「……そうなるのも無理はないか。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

戦場カメラマン「……そういうことなのか、ホシノ? ()()()()()()()()()()()のか?」

 

北条先生「だからと言って、このままだと――――――」

 

戦場カメラマン「ホシノ!」スッ

 

北条先生「姫矢さん!」

 

小鳥遊 ホシノ「どいてよ!」

 

戦場カメラマン「うぅうううううううううう!」ギュッ

 

小鳥遊 ホシノ「えっ」

 

 

――――――その手に握らされたのはエボルトラスターであった!

 

 

小鳥遊 ホシノ「うううわああああああああああああああああああああああああああ!」

 

戦場カメラマン「ホシノ!」

 

北条先生「姫矢さん!?」

 

黒舘 ハルナ「い、いったい何が……?」

 

槌永 ヒヨリ「ええ……?」

 

砂狼 シロコ「先輩ッ!」バッ

 

黒見 セリカ「シロコ先輩!?」

 

砂狼 シロコ「先輩! 先輩! 先輩! 先輩!」ムギュウウウウウウウウウウウ!

 

十六夜 ノノミ「シロコちゃん!」

 

十六夜 ノノミ「なら、私だって!」バッ

 

十六夜 ノノミ「シロコ先輩……! 元に戻ってください!」ムギュウウウウウウウウウウウ!

 

黒見 セリカ「シロコ先輩にノノミ先輩も!」

 

黒見 セリカ「だったら――――――!」バッ

 

奥空 アヤネ「私たちも――――――!」バッ

 

――――――

錠前 サオリ「先生、大変だ! 今、周辺に強大なマイナスエネルギー反応があった! 闇怪獣の可能性もあるから、今すぐに退避してくれ!」

――――――

 

北条先生「きっと、こうなることは心の内ではわかってはいた」

 

北条先生「だからこそ、少しずつ胸の支えが取れるように持っていきたかったが、状況が許さなかったか」

 

北条先生「なら、先生として僕にできることは唯一つ――――――」

 

 

――――――さあ、今こそ姿を現せ! マイナスエネルギー! 僕が全てを受け止めてやるぞ!

 

 

バッ        

 

        バッ

 

エイティ!

 

 

自分のことを“おじさん”と呼んで飄々としている【アビドス生徒会】副会長:小鳥遊 ホシノが抱えている心労や心の闇がいずれはマイナスエネルギーを生み出し、それが怪獣となるのはわかりきっていた問題であった。それがいつなのかはわからないが、最初からマイナスエネルギーの発生源となる要注意人物として細心の注意を払って接してきたつもりだった。

 

しかし、問題はそう単純なものではなく、心労の原因となっている目の前の問題が()()()()()()()()()()解決したとしても、その結果が受けとる側にとって罪の意識からの解放をもたらすかどうかは別の問題なのだ。

 

そう、時には赦しの言葉よりも罰を与えられることこそが罪を忘れさせる禊ぎとなるわけであり、自分が信じていなかったものが現実のものになってしまったことの驚愕はやがては残酷な真実となって罪人の心を苛むのである――――――。

 

 

適能者(デュナミスト):姫矢 ジュンの機転によって魔を祓うエボルトラスターを握らされた小鳥遊 ホシノからマイナスエネルギーが切り離されて現実世界に質量を持ったその姿は、砂漠の緑地(オアシス)“枯れた森”に潜伏して惑星を取り込もうとしていた宇宙植物怪獣:ソリチュラのものとなっていた。

 

こうしてゼットン式灌漑によって炭化して灰燼に帰した“枯れた森”から流れる涸れ川でマイナスエネルギー怪獣:ゾンビソリチュラとの戦いが幕を開けるのである。

 

結果としては、子供の頃のヒーロー:ウルトラマンメビウスが戦ったことがある宇宙植物怪獣:ソリチュラであり、【GUYS】の戦闘記録もバッチリ復習していたので苦戦する要素はどこにもなかった。マイナスエネルギー怪獣として再生した結果、見た目がグロテスクなゾンビになったとしても大した脅威にはなりはしなかったのだ。

 

その一方で、閃光手榴弾の閃光の一瞬で姿を現したウルトラマン80とゾンビソリチュラが交戦する最中、砂漠の荒野に落ちた赤黒く染まったソリチュランフラワーから宇宙植物怪人:ソリチュランのゾンビが襲いかかってきたのには動揺が広がっていた。

 

マイナスエネルギーが放出されて意識を失った小鳥遊 ホシノを守りながら【アビドス対策委員会】をはじめとする生徒たちが奮戦するものの、ゾンビソリチュラが繰り出す巨大な蔦に巻き込まれそうになっている隙にゾンビソリチュランの大群に追い立てられ、気づけば背水の陣になってしまっていたのである。

 

怪人:ソリチュランに捕まって怪獣:ソリチュラに囚われたらどうなってしまうかを“シャーレの指導員”グレゴール星人:グレゴリオから具体的に聞かされていただけに、普通の銃火器では効果が薄いソリチュランの大群に迫られて、武器を捨ててでも涸れ川を泳いで渡ろうかという決断まで迫られることになったのだ。

 

それでも、弾幕を張って怯ませたところにマイナスエネルギーにも特効である拳銃:ブラストショットと小刀:エボルトラスターを使える適能者(デュナミスト):姫矢 ジュンの攻撃が突き刺さり、救援が来るまではなんとか持ちこたえてみせることになった。

 

そして、安全が確認された涸れ川の付近に突如として怪獣が現れたことで慌てて引き返してきた戦力が救援として駆けつけたのはすぐのことであり、錠前 サオリがアクセル全開でゾンビソリチュランの大群を兵員輸送車で強行突破すると、背水の陣に追い込まれた生徒たちの収容に成功するのであった。

 

それを確認次第、怪人:ゾンビソリチュランの大群に向けて【温泉開発部】鬼怒川 カスミが指揮するドリルライナー号が突入し、ドリルがついている正面以外の全方位に向けて火炎放射器でゾンビソリチュランを焼き払う。

 

そうしている間も、兵員輸送車に収容された小鳥遊 ホシノを後輩である十六夜 ノノミが膝枕をして介抱し、多くの生徒たちが心配して見守る中、お守りとしてそっとエボルトラスターを適能者(デュナミスト):姫矢 ジュンが再び手に握らせて静かに呼びかけ続けた――――――。

 

 

Come on!

 

Tiga-let!

 

Connect on!

 

 

ランバルト・レイランス!

 

 

Come on!

 

Neos-let!

 

Connect on!

 

 

ウルトラ・ライト・ソード(ウルトラメタモーフォーズ)

 

 

バックルビーム(やっぱり とどめは これ)

 

 

――――――戦いは終わった。無論、それは【キヴォトス防衛軍】の完全勝利である。

 

ランバルト・レイランスでゾンビソリチュラの本体に一撃を加えながら手足となる蔦を切断すると、体内のエネルギーを光の物体に変換する特殊能力:ウルトラメタモーフォーズによって右腕に発生させたエネルギーを身の丈の倍はある大型の光の剣に変えてゾンビソリチュラを唐竹割りで一刀両断にして頭から真っ二つにしたのである。

 

そうして真っ二つになったゾンビソリチュラの遺骸を構成しているマイナスエネルギーをバックルビームで浄化し、カラータイマーの点滅が止まらないウルトラマン80は勝利したのである。実はこの流れ、地球でソリチュラを倒したウルトラマンメビウスのリスペクトである。

 

やはり、元々が人質戦法を使ってくる卑劣な怪獣であり、人間の盾がない状態では単体としてはどうってことのない相手であった。これなら同じ宇宙植物でも宇宙大怪獣:アストロモンスの方が圧倒的に強かった。

 

しかし、戦いに勝利したのも束の間、平和な時代におけるマイナスエネルギーによる怪獣出現の阻止を極秘任務にして教職の道を歩んだ地球人:北条 アキラとしては予測できていた事態を避けられなかったことに慙愧の念に堪えなかったのだった――――――。

 

 

コンコンコン、ガチャ・・・

 

北条先生「やあ、僕が“シャーレの先生”にして“GUYSの先生”として有名な地球人:北条 アキラです、小鳥遊 ホシノさん」

 

小鳥遊 ホシノ「……あなたが北条先生ですか。アイスケーキ、ごちそうさまです。美味しかったですよ、本当に」

 

北条先生「……それはそれは、お粗末様でした」

 

戦場カメラマン「………………」

 

小鳥遊 ホシノ「……先生が【アビドス】を救ってくれたんですよね」

 

北条先生「ええ。2年前を最後に【アビドス生徒会】からの連絡が途絶えていたせいで、【アビドス高等学校】が消滅していた可能性も鑑みて、ハザードマップ完成のための今回のアビドス遠征に相当な準備をすることになりました」

 

北条先生「結果としましては、アビドス砂漠が怪獣無法地帯と化していることが判明し、ここが最前線となる以上は怪獣と戦えるだけの防衛設備が必要になるということで、僕が軍事顧問を務める【キヴォトス防衛軍】の防衛基地を建設することになりました」

 

北条先生「その間にも【アビドス高等学校】が抱えている諸問題の解決にも協力することになり、その最大の成果として【キヴォトス三大学園(BIG3)】からの公式な支援を取り付けることになりました」

 

小鳥遊 ホシノ「……本当にそんな奇跡が起こったんだ。ありえないようことが本当に」

 

北条先生「ただし、あくまでも【アビドス高等学校】の支援は 現在 在籍している在校生が卒業するまでが期限となっています。過疎化による廃校の危機は続いていることは忘れないでください」

 

小鳥遊 ホシノ「……ううん、いいんです。本当にありがとうございました、先生」

 

小鳥遊 ホシノ「……砂漠化を解決するためにいろんなことをやってくれていたわけですよ。私が忘れているだけで」

 

小鳥遊 ホシノ「……なら、もうそれで十分です、先生」

 

 

小鳥遊 ホシノ「――――――ユメ先輩にも見せてあげたかったな、今の【アビドス】を」

 

 

小鳥遊 ホシノ「せっかく、姫矢さんも【アビドス】にまた来てくれたんだし、ユメ先輩、すごく喜ぶだろうなぁ」

 

小鳥遊 ホシノ「でも、私が3年生になっているだなんてビックリです。けど、髪も伸びてるし、後輩も結構いるみたいですし、あちこちに楽しそうな写真も飾ってありますし、それが軽い記憶喪失になるだなんて……」

 

北条先生「……そうですね」

 

戦場カメラマン「……ホシノ」

 

 

 

ロボット職員「はあ!?」

 

ロボット職員「何だよ、それ!?」

 

ロボット職員「そんなの、知らない! ホシノがそんなふうになるだなんて知らない! 知らないぞ! こんなことがあってたまるか!」

 

神代キヴォトス人「まあ、落ち着くのだ、コーイチよ」

 

神代キヴォトス人「知らないことが多少あって当然であろう。人の何たるかを全て知り尽くしていると思い上がることがいかに傲慢なことか」

 

神代キヴォトス人「しかし、これが選択であり、運命であるならば、必ずや道が拓けよう」

 

宇宙格闘士の帝王「そうだ。我々に立ち止まることは許されないぞ、コーイチよ。アビドス遠征は再開されたのだからな」

 

宇宙格闘士の帝王「人間の負の感情からマイナスエネルギーというものが発生し、それが怪獣を生み出したのなら、これも一種のストレス発散になっているのではなかろうか」

 

宇宙格闘士の帝王「なら、怪獣と化した感情の波を逃げずに受け止めるのがあの場での先生の覚悟だったわけだ」

 

ロボット職員「――――――『覚悟』」

 

ロボット職員「……僕はそんな『覚悟』ができるだろうか」

 

ロボット職員「……先生、ホシノのことを頼みます」

 

 

少女が目を覚ました時、のんびりとした昼行灯な言動で場を和ませる穏やかな眼差しは鋭いものに変わっており、言葉遣いは丁寧でも余裕の無さからくる刺々しいものになっていたことで周囲を驚かせることになってしまった。

 

しかし、信頼できる大人である北条先生と姫矢さんの前だけは張り詰めた表情も綻ばせており、そこから放たれる言葉の数々が今まで人前で見せることができなかった少女の本心からのものであることを雄弁に物語っていた。

 

そのことを正しく理解できる者にしかこの少女の心を救うことはできやしない。いかに奇跡が起ころうと、人の心を変えることはこうも容易いことではないのだ。

 

 

――――――人は赦されるためならば何だってする。自分の記憶をなかったことにもできる。それを誰が責められようか。

 

 




-Document GUYS feat.LXXX No.16-

宇宙植物怪獣:ソリチュラ 登場作品『ウルトラマンメビウス』第40話『ひとりの楽園』登場
時空波に引き寄せられ地球のモリマ山に落下してきた隕石の中に潜んでいた宇宙起源の植物生命体。
当初は触手のような姿をしていたが、モリマ山の周囲の木々を次々と取り込みながら成長を続け、一晩で巨大な手と足が生えた樹木のような姿となった。
自らを地球上のあらゆる生物と同化させ、最終的には地球そのものと同化することを目的にしており、そのために自身の分身となる宇宙植物怪人:ソリチュランを体から咲かせた白い花:ソリチュランフラワーより生み出して暗躍させ、それが頭に咲いた花から黄色い花粉を噴射して人間を昏倒させて連れ去る植物怪人の都市伝説となった。
人間のストレスを感知する能力があることが示唆されており、孤独や疎外感を覚えている地球人を自身の元へ集めさせていた。そうした人間は同化が手っ取り早いから狙っている。

本体である植物怪獣の頭部からは神経を麻痺させる花粉を噴出し、全身だけでなく地底にも張り巡らせている蔦を伸ばして相手を攻撃する。
また、根の部分には分身である植物怪人:ソリチュランによって連れてこられた人々を人質として捕らえており、楽園と称して人々を同化しようとするなど悪知恵が非常に発達していることがわかる。
なお、花粉に含まれているソリチュラ化合銀はウルトラマン80が戦った植物もどき怪獣:ゾラの毒花粉にも含まれており、実はゾラの近縁種ではないかと考えられている。事実、鳴き声もゾラと同じである。


ウルトラマンメビウスやGUYSとの戦いでも足元に囚えた人々を人質に使って攻撃させなかったが、ガンフェニックスの攻撃で蔦を切り落とされ、メビュームブレードによって上半身を切り裂かれた後、核である頭部にメビュームシュートを受け青い炎に包まれ燃えつきた。
最期は本体である怪獣:ソリチュラが倒されたのと同時に分身である怪人:ソリチュランも消滅した。






アビドス砂漠で発見された蝗害の発生源である“枯れた森”の地下に潜伏しており、放置しておけば宇宙大怪獣:アストロモンス同様に地上に進出して、分身となる宇宙植物怪人:ソリチュランによる暗躍も始まるところであった。
しかし、本体は宇宙植物として星から星へと渡るだけの生命力を持ってはいたものの、地上の生物と同化する特性が仇となって同化した生物の弱点や脆弱性も引き継いでいるため、
そうとは知らずに蝗害対策として一帯を1,000℃にしてサバクトビバッタの卵を三段構えで全滅させながら涸れ川を発生させるオーブン作戦:ゼットン式灌漑によって炙り出されることとなった。
そして、宇宙にその名を轟かせる最強種をバルタン星人が更に改造した宇宙恐竜:パワードゼットンの圧倒的なパワーの前に成す術もなく蹂躙され、最期は“枯れた森”を焼き焦がす巨大な火球の中に投げ込まれて消滅した。

こうしてキヴォトスに出現した宇宙中で悪名高い害悪植物:ソリチュラはサバクトビバッタ共々駆除されたのだが、
それからゼットン式灌漑でできた涸れ川を見て、かつて奇跡を否定して梔子 ユメと喧嘩別れした時のことを思い出すことになり、奇跡を否定した自分が次々ともたらされる奇跡を享受すべきではないという葛藤から、
今度は小鳥遊 ホシノの心の闇から生まれたマイナスエネルギーがゾンビソリチュラとして怪獣化することとなり、分身となるゾンビソリチュランの大群も生まれることとなった。
ゾンビソリチュラの蔦が暴れ回る中でゾンビソリチュランの大群に追い詰められた生徒たちだったが、宇宙の神秘から託された拳銃:ブラストショットと小刀:エボルトラスターを駆使する適能者(デュナミスト):姫矢 ジュンの活躍もあり、救援の装甲車に回収されるまで粘ることに成功。
その後はドリルライナー号から展開された火炎放射器でゾンビソリチュランが焼き払われ、生徒たちは難を逃れることができた。
そして、地球上で宇宙植物怪獣:ソリチュラを倒したウルトラマンメビウスをリスペクトしてウルトラ・ライト・ソードで真っ二つにしたところでバックルビームでとどめを刺されることになり、宇宙植物怪獣の脅威は去ることになった――――――。
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