Blue Archive -Document GUYS feat.LXXX-   作:LN58

36 / 50
EP16 幻じゃない あの日の翼 -Ⅱ.クジラの谷 制圧作戦-

 

 

――――――正直に言って、あの時のことで、何が正解だったのか、今でもわからない。

 

 

神代キヴォトス人「小鳥遊 ホシノから生まれたマイナスエネルギーが怪獣:ゾンビソリチュラを生み出したというわけだが……」

 

宇宙格闘士の帝王「あの場でマイナスエネルギーがソリチュラの姿をとったのは、直前に目にした怪獣であったことに加えて、オレの解説を聞いて解像度が上がっていたからだな」

 

ロボット職員「たしかに、ホシノは ノノミやシロコが来るまで ずっとひとりで【アビドス】を守り続けていたわけだから、人には言えないような苦労やストレスを抱えて生きてきたことは僕にだってわかる」

 

ロボット職員「でも、マイナスエネルギーを生み出すほどの負の感情を爆発させたのは涸れ川を見てなんだよね? むしろ、在りし日の【アビドス】の一大名物“アビドス砂祭り”を思い出させるものだって感動していたよね? なんで?」

 

 

戦場カメラマン「――――――その()()()()()()()()()()()()()()()()()とするなら?」

 

 

ロボット職員「へ」

 

宇宙格闘士の帝王「何か知っているようだな。いや、そもそも、そういう間柄だったか」

 

北条先生「その答えはマイナスエネルギー怪獣となって現れたソリチュラが()()()()()()()()()ことで説明できます」

 

 

神代キヴォトス人「――――――『取り返しがつかない過ち』『大切な人との別れ』『死』だな」

 

 

ロボット職員「……それは、そうだとは思いますけど、感動している場面でマイナスエネルギーを生み出している矛盾は何なんですか!?」

 

戦場カメラマン「あの時 ホシノが何を思っていたのか、正確なところは本人にしかわからないことだが、ある程度は推測できる」

 

ロボット職員「?」

 

北条先生「1つは、目が醒めた時に【アビドス対策委員会】委員長である“おじさん”としての記憶が失われて、2年前の【アビドス生徒会】副会長としての言葉遣いは丁寧でも荒れた頃の人格に切り替わっていた点です」

 

北条先生「これは偶然ではないです。このアビドス砂漠の正体は 忘却の砂で覆われた 神代に築かれた 光の勢力の秘密保管庫――――――」

 

神代キヴォトス人「つまり、『この地は何かを隠そうとしている者の力となり、そこから何かを探し出そうとしている者の敵となる性質を持っている』わけだから、涸れ川を見たホシノは()()()()()()()()()()()()記憶を封じることになったというわけか」

 

ロボット職員「まさか、そのために? こういう形でマイナスエネルギー怪獣の出現を忘却の砂が手助けしたのか? 無茶苦茶じゃないか!?」

 

神代キヴォトス人「形あるものはいずれは滅ぶ。形を保ち続ける意思を保たなければ、正気を失った末路はこんなものよ」

 

宇宙格闘士の帝王「つまり、ホシノにとっては“死”と“アビドス砂祭り”が結びついた概念というわけだな」

 

北条先生「あの後、記憶喪失になった小鳥遊さんを家に送った時に目にすることになったのですが――――――」

 

 

戦場カメラマン「ホシノの部屋には破かれた跡をテープで補修したアビドス砂祭りのポスターが飾ってあったんだ」

 

 

ロボット職員「え」

 

神代キヴォトス人「なるほど」

 

宇宙格闘士の帝王「続けろ」

 

戦場カメラマン「ああ。テープには指紋がそのまま残っていた。それはホシノの指紋とは明らかにちがうものだった」

 

ロボット職員「つまり、それは【アビドス生徒会】生徒会長だったと言うユメ先輩が直したもの――――――?」

 

 

北条先生「そして、記憶喪失になった小鳥遊さんには()()()()()()()()()()()()()()()()んです。そこに確かにあるのに」

 

 

ロボット職員「はあ!?」

 

神代キヴォトス人「なるほど。そう来たか。そういうふうに忘却の砂が働いたわけか」

 

宇宙格闘士の帝王「……そうでもしないと今の現実を受け入れられなくなったというわけだな、ホシノは」

 

戦場カメラマン「そうだ。それほどまでにホシノの精神は追い込まれることになったんだ。涸れ川から“アビドス砂祭り”のことを結びつけた あの一瞬で」

 

ロボット職員「なんで? わけがわからない!」

 

北条先生「そういうものですよ、人間の心なんて。その心からマイナスエネルギーが生まれて怪獣を生み出すんですから」

 

ロボット職員「そ、それは……」

 

北条先生「でも、同時に“光”も宿すのが人間の心なんです」

 

ロボット職員「!」

 

北条先生「だから、本当はここまで急いでアビドス遠征を再開させるつもりはなかったんですよ。できることなら、もう少しゆっくり 余裕を持って調査を進めていきたかったのですが……」

 

北条先生「キヴォトスで誕生するはずがない地球怪獣が次々と出現することがわかった以上、思ったよりも事態は深刻で、こうしてアビドス遠征の再開を強行する他なくなったわけで……」

 

北条先生「それ自体は元々アビドス遠征の計画の内ということで合意の上だったんですが、小鳥遊さんにとって受け入れ難い現実を僕が創り出してしまったことが今回のマイナスエネルギーの発生に繋がったんだと思います」

 

 

涸れ川に出現したマイナスエネルギー怪獣:ゾンビソリチュラを撃退して小鳥遊 ホシノを家に送り届けた後、

 

失踪した“連邦生徒会長”の遺産である超法規的機関【連邦捜査部 S.C.H.A.L.E(シャーレ)】の実働部隊である特捜チーム【GUTS-SAFETY(ガッツ・セイフティ)】に所属する 正義の味方である大人たちが密室に集まって、アビドス砂漠にできた涸れ川を見てマイナスエネルギー怪獣を生み出してしまった【アビドス対策委員会】小鳥遊 ホシノという一人の人間について議論を交わしていた。

 

特定の個人の負の感情からマイナスエネルギー怪獣が生み出されたという事実については意図せず怪獣を生み出してしまったことへの追及を避けるために【ドキュメント・フォビドゥン】に属する機密事項となっており、現場に居合わせた生徒たちには宇宙植物怪獣:ゾンビソリチュラが出現したことに因果関係はないと言い含めていた。

 

今回は怪獣無法地帯と化したアビドス砂漠だったから何が起きても不思議ではないということもあって大半の生徒はその説明で納得してくれていた。

 

しかし、マイナスエネルギー怪獣が現れる直前の小鳥遊 ホシノの変貌とその後の記憶喪失については誤魔化しようがなく、“シャーレの先生”であり“GUYSの先生”である地球人:北条 アキラは宇宙植物怪獣:ソリチュラについて知っている“シャーレの指導員”グレゴール星人:グレゴリオと口裏合わせをして、マイナスエネルギー怪獣:ゾンビソリチュラが現れる前兆として精神干渉を受けてしまっていたと言い張ったのである。

 

この回答に対して【アビドス対策委員会】の可愛い後輩たちはひとまず納得することにして、自分たちとの2年間の思い出や絆さえも完全に忘れ去って 怯えたように警戒心を剥き出しにする 皆が大好きな先輩のことを先生に任せて経過を見守ることになったのである。

 

そうなったのも、今日までの2年間の記憶が抜け落ちた中で2年前からの知り合いである戦場カメラマン:姫矢 ジュンがいたことで安心を取り戻せたことが大きく、こればかりはその頃を知らない後輩たちではどうすることもできない話だったからである。

 

とにかく、平和な時代においてマイナスエネルギーによって怪獣が出現する事態を防ぐことを極秘任務として教職の道を歩んでいた地球人:北条 アキラにとっては決して看過できない事態であり、予測できていたのに防ぐことができなかったことに申し訳なさでいっぱいになっていた。

 

これまでもマイナスエネルギー怪獣として月の輪怪獣:クレッセントや硫酸怪獣:ホーがキヴォトスで出現していたわけなのだが、これらはあくまでも不特定多数の人間のマイナスエネルギーから生まれた災厄の化身であるため、誰か一人に責任を取らせることはできない。

 

しかし、特定の個人のマイナスエネルギーから怪獣が出現したことが世間一般に知られてしまえば、飽くなき追及が迫ることが予想されるため、怪獣を生み出してしまった特定の誰かについては機密事項【ドキュメント・フォビドゥン】として秘匿しなくてはならないのだ。

 

なにより、負の感情だけで怪獣を生み出すことができることが世間一般に知られてしまった場合に起こる社会の混乱のことを思えば、社会の秩序を維持するためにも絶対に知られてはいけないことでもあるのだ。

 

だからこそ、マイナスエネルギーの専門家としてウルトラマンの心を教育現場で実践する道を選んだ地球人:北条 アキラはマイナスエネルギーの発生源となってしまった一人の生徒:小鳥遊 ホシノの尊厳を守るためにその手を強く握りしめながら、少女が一人で寝泊まりしている場所へと連れて行った。

 

2年間の記憶が抜け落ちたことで まるでタイムスリップした感覚に襲われて 在りし日の鋭い眼差しで目に映る全てを睨みつけながらも周囲の変化に戸惑う、小学生にしか見えない小柄な体型の【アビドス高等学校】の代表生を必死に演じてきた小さな手は微かに戸惑いながらも強く握り返していた――――――。

 

 

――――――記憶喪失になって初対面の間柄に戻ったのに、太陽の光のような温もりと力強さを感じさせる大人の背中を少女の心はたしかに憶え続けていたのだ。

 

 

北条先生「ガリバーさん、今回のオーブン作戦:ゼットン式灌漑で涸れ川が一時的にもアビドス砂漠に生まれたことに何を感じました?」

 

ロボット職員「――――――え、そりゃあ、もう『さすがは先生!』としか?」

 

北条先生「いや、もっと単純に」

 

ロボット職員「――――――ただただ『スゴイ!』とか、『こんなの ありえない!』とか?」

 

宇宙格闘士の帝王「そういうことか。だから、ホシノにとって受け入れ難い現実に直面することになったのか」

 

ロボット職員「ええ!?」

 

神代キヴォトス人「なら、ヒントをやろう、コーイチよ」

 

神代キヴォトス人「ノノミやシロコと言った後輩が現れるまでユメ先輩とやらがいなくなった期間もホシノはずっとひとりでやってきた上に、セリカやアヤネが加わったところで自分たちを取り巻く問題の解決に行き詰まっていたのだ」

 

神代キヴォトス人「そして、昼行灯を装いながら夜回りを欠かさずに続けるぐらいには自分がやるべきだと思ったことには一途で生真面目な性格でもあった。それは2年前に戻った今の性格を見ていれば頷けることであろう」

 

ロボット職員「――――――先生がいなかったら本当にどうにもならない状況だったのを誰よりも理解していた?」

 

宇宙格闘士の帝王「それがわかっていてなお、後輩の頑張りを否定することなく、陰ながら【アビドス】の存続に尽力し続けていたのは、元から矛盾していたわけだな、ホシノは」

 

戦場カメラマン「そうだ。ホシノは足掻き続けることだけは止めなかったが、内心では全てをあきらめていたんだ」

 

 

――――――それこそ奇跡に縋ることさえもあきらめていたところに、先生が信じられないような奇跡を起こし続けて【アビドス】の窮状を救って未来への希望を見せてくれたんだ。

 

 

戦場カメラマン「ユメはどうしようもないぐらいに能天気で考え足らずで鈍臭くて、しょっちゅう失敗したり 悪い大人に騙されたり 砂漠に屯する不良に襲われては半べそを掻いて、毎回 ホシノに助けられていたような、本当に名ばかりの生徒会長だった」

 

戦場カメラマン「生徒会長の肩書きもユメ以外の生徒がいよいよ学園を見限って彼女に体よく押し付けて【アビドス】から去っていったから得たものに過ぎないんだ」

 

ロボット職員「そんな……、そんなのって……」

 

戦場カメラマン「だが、ユメはたったひとりの最後のアビドス生になっても決してあきらめることなく、【アビドス】復興の夢を追い求めて、ひとりで懸命に活動を続けてきたんだ」

 

戦場カメラマン「そうしていたら、遠くからユメの活動をずっと眺めていて、あまりにも危なっかしくて見ていられなくなって側で支えるために生徒会入りした生徒が一人現れたんだ」

 

戦場カメラマン「それが【アビドス生徒会】副会長:小鳥遊 ホシノだった」

 

ロボット職員「!」

 

 

ロボット職員「じゃあ、ホシノにとって【アビドス】復興の願いは 元々 ホシノのものじゃなかった?」

 

 

北条先生「生徒会長:梔子 ユメ先輩から受け継いだものですね」

 

北条先生「ただ、その願いはあまりにも夢想家のものであり過ぎて、現実が見えている人間には背負い切れるものではなかった……」

 

宇宙格闘士の帝王「つまり、それを背負うのに馬鹿になりきれなかったというわけだな、ホシノは」

 

ロボット職員「!!?!」

 

宇宙格闘士の帝王「悪い意味で言っているんじゃないぞ。良くも悪くも、現状では不可能に思えるような高い目標に向けて苦難の道を歩むためにはそういった前向きで楽天的で積極的な思考を持つのも勝負強さに直結するからな」

 

宇宙格闘士の帝王「コーイチ、お前もそういうところがあるだろう。修練の末に会得した境地でなければ、魂を込めた一撃は放つことはできん」

 

ロボット職員「それもそうですね。間違いなく、そうです」

 

ロボット職員「全然 知らなかった。本当はそんなにも辛い目に遭いながら、僕やみんなの前では“おじさん”を演じていただなんて……」

 

宇宙格闘士の帝王「ホシノも並大抵の精神力ではないのはオレも知っているが、そのユメにあってホシノになかった確信力、あるいは性格として現れた極限状態での資質の差が、結果として 先生がもたらした奇跡を否定して マイナスエネルギーを生み出すことになったというわけだな」

 

ロボット職員「こんなことが……」

 

宇宙格闘士の帝王「――――――大したものだ、そのユメという生徒は。称賛に値する」

 

北条先生「はい。生きていたら、人々を惹きつける精神的支柱になっていたことでしょう」

 

神代キヴォトス人「うむ。ホシノも“神秘”を受け継ぐ者としては熟れてきてはいるが、所詮は先代であるユメが敷いたレールの上を走っているだけに過ぎん」

 

宇宙格闘士の帝王「わかるか、コーイチ。全てを押し付けられて たったひとりの状況から 自分の意志を受け継ぐ者が駆けつけてくれたことの偉大さが」

 

神代キヴォトス人「ゼロから始まったのではない。確固たる1が最初にあって、そこから1+1=2となって、今では5になって、みんなで力を合わせてきたからこそ、救い主である先生が駆けつけられたわけなのだ」

 

北条先生「たとえ全てが失われても意志の力だけはいかなる状況でも失われることはないんだ」

 

北条先生「だからこそ、僕はウルトラマンの心を実践する先生として次の世代を担う子供たちに伝えなくちゃならない言葉がある」

 

北条先生「わかるよね、その言葉!」

 

戦場カメラマン「………………」

 

ロボット職員「はい!」

 

 

――――――ウルトラマンは神ではない。どんなに頑張ろうと、救えない命もあれば、届かない想いもある。

 

 

――――――大切なのは最後まであきらめないこと。

 

 

 

 

 

 

――――――それから、“枯れた森”から再開されたアビドス遠征は快進撃となった。

 

 

小鳥遊 ホシノ「ここが“クジラの谷”ですか」

 

北条先生「はい。“枯れた森”の地下に潜伏していた宇宙植物怪獣:ソリチュラの根を辿って行き着いた帯水層の調査をしている過程で四次元座標と照合して発見された渓谷です」

 

北条先生「この辺りも井戸を掘れば、帯水層からの地下水が湧くわけですよ」

 

北条先生「そして、見るべきは、ほら、あの辺りに露出しているもの全てがクジラの化石です」

 

小鳥遊 ホシノ「そうなんですか!?」

 

北条先生「地球に存在するエジプトの世界遺産:ワディ・アル・ヒタン(クジラの谷)に因んで、この地を“クジラの谷”と命名しました」

 

北条先生「クジラの化石が埋まっているということは、この辺りは海底だったわけです」

 

北条先生「同時に浅瀬に棲む生物の示相化石も見られることから、水深はそこまで深くはない温かい浅海だったこともわかります」

 

小鳥遊 ホシノ「へえ!」

 

北条先生「これらを発掘して博物館を作るのも悪くないかもしれませんね。新たな観光資源になりそうです」

 

小鳥遊 ホシノ「――――――『博物館』! それ、いいですね!」

 

 

ロボット職員「よかった。クジラが好きなのはずっと変わってないんだ」

 

 

ロボット職員「やっぱり、【アビドス】はエジプトなんだなぁ」

 

北条先生「はあ? どこが?」

 

ロボット職員「え、ええ!? だ、だって、“クジラの谷”の由来はエジプトの世界遺産だし、辺り一面が砂漠だし……?」ビクッ

 

北条先生「全然 似てないよ! エジプト文明はナイル川の氾濫でできた肥沃な土壌の世界最大の三角州(デルタ)と優れた灌漑農業によって栄えたんだから、エジプトのオアシスはナイル川流域であって、砂漠のド真ん中にポツンとある泉性オアシスで高度な文明が栄えるわけがない!」

 

北条先生「本当に【アビドス】がエジプトにそっくりなら、世界最大級のナイル川三角州(デルタ)とナイル川の水源となる標高1,000m超えのヴィクトリア湖に相当するものがないと」

 

ロボット職員「え、じゃあ、それなら帯水層の地下水はどうやって――――――?」

 

北条先生「たしかに、ナイル川流域から外れたアフリカ大陸北部に広がるサハラ砂漠の生活水に使われているのは地下資源としての地下水という意味の化石水だけど、それらは数万年単位の過去の時代の地中に残存した海水が閉じ込められたものがアフリカの帯水層の起源なんだ」

 

北条先生「だから、“クジラの谷”に見られる示相化石は温暖な浅海を示すわけですよ。まあ、クジラと言っても古鯨類のバシロサウルスのことなんですけどね。クジラに成りかけで遠泳能力がないから棲息域は温暖な浅海に限られます」

 

北条先生「でも、バシロサウルスは世界各地で化石が発見されていて、遠泳できないくせに棲息域が広範であったことから、クジラに成りかけで空前絶後の大繁栄をしていたというわけで示準化石にもなるんですよ。たしか、約4,000万~約3,400万年前ぐらいだったかな」

 

ロボット職員「そう考えると、サーベラス様が宇宙から降り立った3000万年以上前の超古代文明はバシロサウルスが化石になるぐらい昔だから、その痕跡を辿るのは……」

 

北条先生「裏返せば、数万年もあれば、サーベラス様が行っていたように大地の造成もできるわけですよ」

 

ロボット職員「じゃあ、アビドス砂漠の帯水層は少なくとも“クジラの谷”よりもずっと前の時代のものになるわけか……」

 

北条先生「ただ、化石水も化石燃料と同じなんです。水の循環に組み込まれていないので、使えば必ずなくなっていくものなんです。地下水はいずれは涸れる」

 

北条先生「サーベラス様が読み解いた【アビドス】の超古代史によれば、この惑星の文明の興りは必ずこの【アビドス】から始まっているわけですから、推定3000万年以上前の神代から続く光の超古代文明の時代から支えてきた化石水はその度に消費されてきたはずなんです」

 

北条先生「でも、ソリチュラが作った穴から辿り着いた帯水層の分布を計測すると、アビドス砂漠の半分以上はありそうな とんでもない面積を記録し続けているんですよね、今も」

 

北条先生「となると、この帯水層も超古代文明の超科学で化石水が今も供給され続けている可能性が――――――?」

 

ロボット職員「でも、アビドス砂漠そのものが経年劣化で暴走中なら、それも現在の学園都市:キヴォトスでこの惑星の文明は最後になる可能性が――――――?」

 

北条先生「そうなるかもしれないし、ならないかもしれません」

 

ロボット職員「ともかく、再開されたアビドス遠征は破竹の勢いで進められています」

 

北条先生「――――――ガゾートの襲来も何度かありましたけどね」

 

ロボット職員「でも、それに対抗するための戦力が整っているおかげで、こうして先生の陣頭指揮の下、未調査領域の調査をどんどん進めることができているんです」

 

北条先生「いやぁ、GUTSガルーダは輸送機としても戦闘機としても優秀で大助かりですよ」

 

 

地球人:北条 アキラが意を決してアビドス遠征を再開させてからは無人偵察機も倍増させてアビドス砂漠の未調査領域の調査は急ピッチで進められることになり、同時並行で“枯れた森”の地下に発見された巨大な帯水層の調査もしながら、アビドス砂漠の半分以上の調査が完了となった。

 

その間にもアビドス砂漠上空の電離層から闇怪獣:ガゾートが襲来するものの、闇怪獣の対抗手段となる銀色の巨人:ウルトラマンネクサスと光の眷属:サーベラスが手分けして迎撃することでウルトラマン80に頼らずともキヴォトスの平和は守られていた。

 

また、予想通りアビドス砂漠で繁殖していた宇宙大怪獣:アストロモンスの群れの殲滅作戦で猛威を振るったのが光怪獣となった宇宙恐竜:パワードゼットンであり、“枯れた森”に潜伏していた宇宙植物怪獣:ソリチュラを蹂躙した時のように怪獣を超える超獣よりも強い大怪獣が相手であろうと最強種の名は伊達ではなかったのだ。

 

しかし、それだけではない。“シャーレの指導員”グレゴール星人:グレゴリオの練兵によって【アビドス】の防衛力と練度が飛躍的に向上しており、ゼットン式灌漑などで怪獣の力の平和的利用の道が開かれると“シャーレの研究員”神代キヴォトス人:サーベラスの研究協力で新兵器や新発明が続々と世に送り出されることになったのである。

 

そのため、攻撃と守備に別々に使える戦力が整ったことで、四次元移動能力を持つライナー部隊だけでの調査もどんどん進められ、最近では未調査領域の調査の中で見つかった不思議な地形や怪しい場所の現地調査にだけ軍事顧問:北条 アキラが駆り出されるという余裕を感じさせる状況へと進展していったのである。

 

当然ながら、怪獣無法地帯を破竹の勢いで制覇していくさまは【キヴォトス防衛軍】の定例会見で進捗が必ず報告されており、キヴォトス全土で情報共有がされているため、怪獣無法地帯と化したアビドス砂漠に対する各方面への反応は前向きなものに変わりつつあった。

 

それは【キヴォトス防衛軍】の駐屯によって空前絶後の発展を遂げている新アビドス自治区への投資や出稼ぎが右肩上がりで増え続けていることからも明白であり、人々はすでに怪獣無法地帯の脅威が薄れたと感じていたのである。

 

もちろん、それは史上最大の軍事力【キヴォトス防衛軍】への信頼も意味するものであり、ひいてはキヴォトスの頂点に君臨する地球人:北条 アキラに対する評価でもあった。一時は中断となっていたアビドス遠征を再開させた後の躍進ぶりから、失踪した“連邦生徒会長”の実質的な後継者であることは認めざるを得ないのだ。

 

それどころか、これまで【キヴォトス防衛軍】で撃退した怪獣の能力や侵略者の技術を取り入れて【アビドス】で次々と不可能を可能にする奇跡を生み出してきているのだから、これまで学園都市:キヴォトスでの利権獲得のために悪どい商売に邁進して数多くの生徒たちを食い物にしてきた学園外勢力も睨まれないようにおとなしくなるほどであった。

 

しかし、緊張状態が解かれると徐々に堕落してくのが人間というものであり、まだアビドス遠征が終わったわけでもないのに戦勝ムードに包まれて、他のことに目を向ける余裕が生まれたせいで新たなトラブルが生まれつつあった。

 

人間というやつは 口では平和を尊びながら 常に敵を欲しているらしい。敵がいなくなれば 今度は自分たちの中から敵を見出そうとするのに恐ろしく真剣であるのだから 質が悪い。

 

この安心して緩みきった油断した状態が防犯の面では一番危険な状態というわけであり、余計なことに考えを巡らせて内輪揉めを引き起こした隙に、虎視眈々と隙を狙い続けていた敵に一気呵成に打ち崩されて逆転されることもありうる。

 

何度も言うが、怪獣無法地帯との戦争状態は終わっていないのだ。公式に戦争終結の宣言を出してもいないうちに勝手に平和が到来したと警戒を解いて羽根を伸ばして無防備を晒すのは止めて欲しいところである。

 

こうして考えてみると、百戦百勝で勝ち過ぎるのも良くない。それが慢心を生み出してしまったのだから。

 

一方で、広大なアビドス砂漠での怪獣退治は図らずも新兵器や新発明の実戦投入にうってつけの舞台となり、アビドス砂漠のどこかにあるウルトラゾーンを通じて怪獣墓場の怪獣が次々と現れても、【アーカイブドキュメント】に記録されている怪獣ならば、適切な対処を心掛けることで【キヴォトス防衛軍】の対怪獣兵器だけで撃退することも夢ではなくなり、それによるレベルアップがアビドス遠征の進行を加速させることとなった。

 

現在、実質的に管理義務を放棄した土地の所有者に代わって行われている広大なアビドス砂漠の調査は折り返し地点を通り過ぎ、そろそろ【アビドス高等学校】の今後についても協議を進めていくことになっていた――――――。

 

 

 

宮藤 セルマ「おい、カムロ。何か変だぞ」

 

山高 カムロ「どうした、宮藤?」

 

宮藤 セルマ「先生が言うには、帯水層は石油のように数万年も昔になる海水が埋められた化石水という話で、この“クジラの谷”はクジラの先祖になるバシロサウルスの化石から温暖な浅海だったと言うことまでわかっている」

 

宮藤 セルマ「見ろ、ボーリング調査の結果だ。複数の地点でここだけが塩分濃度が異常に高くて妙だ。塩化ナトリウム(NaCl)の結晶も大量に確認されている」

 

山高 カムロ「本当だ。塩分濃度:35%って、普通の海水が3.5%ぐらいだから、通常の10倍……」

 

山高 カムロ「――――――これは死海だ」

 

宮藤 セルマ「どう思う?」

 

山高 カムロ「塩水化の原因は一般的には地下水の汲み過ぎで地下水に海水が混入して地下水の塩素イオン濃度:塩分濃度が高くなることだ」

 

山高 カムロ「つまり、海水と淡水の境界となる塩淡境界が淡水域側で大きく後退することで海水域が前進して、結果として領域内の塩分濃度が高まって河川の塩水化に繋がる」

 

山高 カムロ「その原理から言うと、砂漠のド真ん中に埋まっている帯水層に河川とか海なんて区分があるわけないから、そこの部分だけ切り離された古代の海水域なのかもしれない」

 

山高 カムロ「要するに、海水域となっている帯水層を刺激して流入なんて起こったら、これから利用が検討されているアビドス砂漠全体の帯水層がまずいことになる……」

 

宮藤 セルマ「だろうな」

 

山高 カムロ「わかった。他にも死海になっている帯水層がないかの重点的な調査を進言してみるよ」

 

 

 

小鳥遊 ホシノ「――――――という報告が上がっています、先生」

 

ロボット職員「ですので、他にも死海になっている帯水層がないかの調査を進めさせています」

 

北条先生「地球に存在する中東の死海の塩分濃度は30%程度で、にがりの主成分である塩化マグネシウム(MgCl2)が塩分となっている」

 

北条先生「発生のメカニズムとしては、周囲の土壌に含まれていた塩分が雨によって溶け出し、下流の湖で濃縮される形となった結果です」

 

北条先生「地球の死海はヨルダン川を含む7つの河川が流れ込み、それが海に流れ込むことなく、高温乾燥地帯で水分のみが蒸発していくことで年代を重ねて塩分が堆積していったことで死海となったわけです。この高すぎる塩分濃度のため、生物が棲み着くこともなく、北極の氷が沈まないように人の体を沈ませることができないほどの浮力があるわけです」

 

北条先生「上手く利用できれば、ここを製塩所に利用できそうな気がしますが、それにしても この塩分濃度:35%は異常だ」

 

小鳥遊 ホシノ「地球の死海よりも塩分濃度が高いからですか?」

 

北条先生「それもあるけど、これは理科の問題です」

 

ロボット職員「え?」

 

北条先生「塩化ナトリウムの溶解度:飽和濃度は26%なのだから、この塩分濃度:35%という数字は絶対に出ないです。塩化マグネシウムだったら溶解度が35%程度なので納得がいく数値です」

 

北条先生「これは何か別の金属塩化物が混じっている可能性が高いです。絶対に味見しないでください」

 

小鳥遊 ホシノ「わ、わかりました、先生!」

 

ロボット職員「やっぱり、学校の勉強って大切だなぁ……」

 

 

 

薬子 サヤ「わかったのだ、先生。“クジラの谷”の死海の主成分になる塩分は塩化カルシウム(CaCl2)だったのだ」

 

小鳥遊 ホシノ「――――――『塩化カルシウム』?」

 

北条先生「主に除湿剤や除雪剤に使われていて、水に溶ける時に発熱する性質を利用しています。海水にも0.1%程度含まれていて天然由来成分として食品添加物にも使われてはいますが、」

 

北条先生「結局、繰り返し使うことで塩化カルシウムが一定の場所に蓄積されて都市部で塩害を引き起こす上、除雪剤として撒かれた塩化カルシウムが周辺の植生や土壌に悪影響を与えることになります。しかも、鉄筋コンクリートも錆びさせるのです」

 

北条先生「でも、やっぱり、おかしいぞ。天然の塩化カルシウムは水に溶ける時に発熱する性質のせいで低温の乾燥環境でしか結晶化ができないし、海水にも0.1%しか存在しない希少な成分だ……」

 

北条先生「大量の塩化カルシウムを得るには工業的に炭酸ナトリウムを生成するソルベー法の副産物として得る他ない」

 

北条先生「僕には理解できない何かがここの死海に沈んでいるぞ」

 

小鳥遊 ホシノ「な、なるほど……」

 

ロボット職員「どうしますか? アビドス砂漠に匹敵する規模の超巨大な帯水層を潜水艇で隈なく調査するのは無謀ですよ?」

 

北条先生「ともかく、発見できた死海の帯水層の分布と強度を調査だ。海水に通常では0.1%程度しかないものが決壊して他に流れ込んだら、人類文明や生態系に多大な悪影響を与えることになる」

 

薬子 サヤ「先生、ぼく様からの提案なんだけど、塩化カルシウム水和物の原料として吸い上げることはできないかな?」

 

ロボット職員「なるほど、それなら他にも除湿剤や除雪剤としての需要が確保できますよね。もちろん、使い過ぎによる塩害のことも考えないとですけど」

 

小鳥遊 ホシノ「先生」

 

北条先生「……やるだけやってみましょうか」

 

 

――――――問題は【キヴォトス防衛軍】に許されているのはアビドス砂漠の未調査領域の調査であって、【カイザーコーポレーション】の所有地であるアビドス砂漠で事業を興すことは許されていないことにある。

 

 

神代キヴォトス人「なるほどな、“クジラの谷”という金脈が見つかったそうだが、新アビドス自治区と切り離した旧アビドス自治区の土地の所有者が【カイザーコーポレーション】である以上、事業化することは困難という話だな」

 

黒見 セリカ「そもそも、“クジラの谷”は怪獣無法地帯の真っ只中じゃない。こんな危ないところで製塩所や博物館で一儲けだなんて無理よ、絶対」

 

奥空 アヤネ「ですが、そうも言ってられないみたいですよ」

 

砂狼 シロコ「どういうこと、アヤネ?」

 

奥空 アヤネ「見てください。私たち【アビドス高等学校】の借金、つまりは債権については先生が【カイザーコーポレーション】から大半を買い取ってくれたわけで、その返済は【キヴォトス防衛軍】への貢献で賄うことが取り決められていますが、【カイザーコーポレーション】への借金そのものはまだ残り続けています」

 

黒見 セリカ「これに関しては【キヴォトス三大学園(BIG3)】からの支援金で返済の目処が立ったじゃない」

 

十六夜 ノノミ「それとは別に、怪獣無法地帯となったアビドス砂漠の土地の所有権を放棄したがってましたよね。管理できないということで」

 

奥空 アヤネ「そうなんです。アビドス遠征が再開され、順調に調査が進められていることが定例会見で発表される毎に、世間では怪獣無法地帯となったアビドス砂漠への危機意識が薄れていっていることが世論調査で出ています」

 

奥空 アヤネ「すると、何が何でも手放したくなっていた呪われた土地:アビドス砂漠の価値が 今 急上昇しているんです」

 

砂狼 シロコ「それって『取引先が見つかった』ってこと?」

 

奥空 アヤネ「はい。取引に参加しているのは【セイント・ネフティス】をはじめとして、数多くの企業がアビドス砂漠の再開発に乗り出そうとしているんです」

 

十六夜 ノノミ「………………」

 

神代キヴォトス人「なんとも気が早いことだな。まだアビドス遠征は終わったわけでもあるまい」

 

黒見 セリカ「それじゃあ、せっかく見つけた“クジラの谷”を他の奴らに横取りされちゃうじゃない!」

 

砂狼 シロコ「じゃあ、【キヴォトス防衛軍】による調査と先生の知識によってアビドス砂漠の利用価値が高まる毎に、私たちは重要な収入源が掠め取られていくのを黙って見ているしかないわけなんだね」

 

奥空 アヤネ「そういうことになります……」

 

 

神代キヴォトス人「どうだ、お前たちから借金返済を取り上げたら本当に何もなくなるわけだな、将来的に」

 

 

神代キヴォトス人「さあ、どうする? この機を逃すとアビドス砂漠がどんどん切り売りされて権利関係が複雑になってお前たちの取り分はどこにもなくなってしまうぞ?」

 

黒見 セリカ「じゃあ、私たちの借金を肩代わりしてくれたのと同じように、“クジラの谷”を【キヴォトス防衛軍】が買い取ってくれれば――――――」

 

砂狼 シロコ「セリカ、先生がそこまで面倒を見ることは許されてないよ。商売は【キヴォトス防衛軍】の領分じゃないし、やっていることが軍事力を背景にした恐喝や略奪になって【カイザーコーポレーション】と何も変わらなくなる」

 

十六夜 ノノミ「先生が私たち【アビドス高等学校】の借金の肩代わりや土地の整理を最初に行ってくれたのは、それが【キヴォトス防衛軍】による怪獣退治に必要なことだと認められたからで、私たち【アビドス高等学校】の存続に手を貸すことで【キヴォトス防衛軍】の前線基地を合法的に建てられたからなんです」

 

奥空 アヤネ「ですので、それが強権を発動することなく、合法的かつ穏当な 最大限 私たちに寄り添った形での救済措置だったわけなんです」

 

黒見 セリカ「だから、それ以上のことは私たち自身で何とかしなくちゃ、か」

 

神代キヴォトス人「そうだ、独立支援は最大限するが、独立自尊は己が手で掴み取らねば存在する意味がない」

 

神代キヴォトス人「実際、我が栽培してきた3000万年分の地下資源でキヴォトス全土の土地を買うことなど造作もないことだが、それで命名権(ネーミングライツ)を握られて【アビドス高等学校】の名前を抹消されることになっても不満は出ないか?」

 

黒見 セリカ「そんなわけないじゃない!」

 

奥空 アヤネ「私たちは自分から【アビドス】のために何かしたくて、【アビドス高等学校】への入学を志望したんです」

 

黒見 セリカ「だから、本当に何とかしなくちゃ。ここが運命の分岐点ってことよね」

 

神代キヴォトス人「その通り。小鳥遊 ホシノが守り抜いた【アビドス高等学校】を完全復活させるためにはここが一番の踏ん張りどころだぞ、セリカよ」

 

黒見 セリカ「でも、まともな手段で今の状況を覆す方法はないのよね?」

 

神代キヴォトス人「そうだ。土地の売買も債権の譲渡も大人たちが築き上げた社会のルールに則ったものだ。当然、社会生活が長い大人たちに有利に働くものだ」

 

神代キヴォトス人「故に、不利とわかって自ら飛び込んで大人顔負けの活躍をしなければ、今の状況を手を汚さずに覆すことはできない。基本的には負け戦だが、手を汚した時点でお前たちに味方する者はいなくなる」

 

十六夜 ノノミ「いったいどうすることが最善なのでしょうか……」

 

 

砂狼 シロコ「なら、向こうの土俵で真っ当な手段で勝てるように対策を練ればいい」

 

 

十六夜 ノノミ「つまり、私たちも取引に参加するべきなんですね、シロコちゃん」

 

砂狼 シロコ「少なくとも、参加しておけば、周りの動向を知ることができるはず」

 

奥空 アヤネ「そうなると、あとは【アビドス】の事業として私たちの傘下に入ることを了承してくれる企業を募らないといけませんよね」

 

黒見 セリカ「なら、一番は【セイント・ネフティス】よね。アビドス遠征が始まったおかげで、【アビドス】を見捨てた償いのために復興に 一番 力を入れているところだし」

 

十六夜 ノノミ「……そうですね」

 

神代キヴォトス人「ふむ、悪くはないぞ。正解に 一歩 近づいたな」

 

神代キヴォトス人「だが、それだけで勝てるほど現実は甘くはない。お前たちが汗水垂らして銃火器で戦うように、大人たちもまた卓上で法と銭で戦い続けていたわけだからな。年季の違いを教えられるだけだ」

 

十六夜 ノノミ「じゃあ、どうすればいいのですか?」

 

神代キヴォトス人「先生は言っていたな」

 

 

――――――『【アビドス】ひいては【学園都市:キヴォトス】を守る“白騎士団(ホワイトナイト)”を結成せよ』とな。

 

 

小鳥遊 ホシノ「先生、これから【アビドス】はどうなっていくと思いますか?」

 

北条先生「それは僕が決めることじゃない」

 

北条先生「まず、決めること。全てはそこから始まる」

 

小鳥遊 ホシノ「やっぱり、先生は最初から先のことを見据えているわけですね」

 

小鳥遊 ホシノ「私、2年分の記憶がなくなったみたいですけど、良い先輩をやれていたでしょうか?」

 

北条先生「僕もその2年間の努力の過程を知らないわけなので客観的な評価にはなりますが、小鳥遊さんはまとめ役として後輩たちに慕われていて、みんな 小鳥遊さんのことが大好きみたいですよ」

 

小鳥遊 ホシノ「そうですか。記憶がなくなった直後に見舞いに来てくれたみんなには悪いことをしてしまいました……」

 

北条先生「気にすることはないですよ。命に別状はないわけですし、それだけで2年間の積み重ねが一気になくなるわけでもありません」

 

北条先生「小鳥遊さんも嫌っているわけではないんでしょう?」

 

小鳥遊 ホシノ「はい。物凄く嬉しいです」

 

北条先生「卒業した生徒会長:梔子 ユメさんの願いを受け継いで【アビドス】復興をあきらめずに貫き通した結果、一人だけの状況から4人も人が増えたじゃないですか。素晴らしいことですよ」

 

小鳥遊 ホシノ「そうですね。ユメ先輩は本当に何の能力もない肩書だけの人でしたけど、結果として見てられなくなってユメ先輩の道に引き摺り込まれることになりました」

 

小鳥遊 ホシノ「……ユメ先輩の凄さが 今になって ようやくわかりました」

 

北条先生「まあ、切羽詰まった状況だったからこそ省みる余裕や適材適所の割振りができなかったことが悔やまれますね」

 

 

小鳥遊 ホシノ「……ありがとうございます、先生」ポタポタ・・・

 

 

北条先生「小鳥遊さん」

 

小鳥遊 ホシノ「ユメ先輩のこと、褒めてくれたのは先生だけ……」ポタポタ・・・

 

小鳥遊 ホシノ「私もユメ先輩のことを周りと同じようにしか見ることができなかったから……」ポタポタ・・・

 

小鳥遊 ホシノ「最後に謝りたかった……」ポタポタ・・・

 

小鳥遊 ホシノ「ユメ先輩……」シクシク・・・

 

小鳥遊 ホシノ「先輩……」シクシク・・・

 

 

ロボット職員「……ホシノ」

 

戦場カメラマン「……邪魔するわけにいかないな」

 

ロボット職員「……姫矢さんはいいんですか?」

 

戦場カメラマン「そういうコーイチもいいのか?」

 

ロボット職員「いや、僕にはホシノの本当の苦しみをわかってやることができなかった……」

 

戦場カメラマン「俺も同じようものだ。突然【アビドス】に現れて 突然【アビドス】から姿を消した……」

 

ロボット職員「……ここは本職が小学校の先生である怪獣退治の専門家に任せるしかないか」

 

戦場カメラマン「……ああ」

 

 

――――――その翌日、“クジラの谷”と首都:D.U.に水棲怪獣が現れるのであった。

 

 

小鳥遊 ホシノ「首都:D.U.に現れたシーゴリアンとゲートスですが、機龍丸とGUTSファルコンが撃破に成功したようです」

 

ロボット職員「難しい局面でしたが、上手い具合に作戦を展開することができました」

 

ロボット職員「シーゴリアンは多数の魚が一体化した群体怪獣で、魚を餌としていたゲートスが追跡してきたようです」

 

ロボット職員「そのため、シーゴリアンを捕食しようとしているゲートスを援護してシーゴリアンを先に倒した後、シーゴリアンに食らいついたゲートスを地上へ引き摺り出して、弱点である排熱口への攻撃が決定打になったようです」

 

北条先生「そうですか。僕も見たことがない水棲怪獣を2体同時に相手にして対処できたのなら、免許皆伝ものですね」

 

北条先生「では、こちらも死海に眠っていたリヴィジラの対処に移りましょうか」

 

 

首都:D.U.の沖合に群体怪獣:シーゴリアンが現れ、それを追いかけて深海怪獣:ゲートスまで現れた。どちらも【アーカイブドキュメント】に存在しない未確認の水棲怪獣であり、その対処は慎重を要した。

 

しかし、第2のXデーとも言われるほどにサンクトゥムタワーに打撃を与えた水陸両用の宇宙怪獣:エレキングに苦戦を強いられた【キヴォトス防衛軍】は、波打ち際で迎撃しようとするから戦いづらいことを反省して、ならば『沖合に戦いやすい舞台を用意する』という超力押しの対抗策を用意していたのである。

 

その正体は海上に設置される超大型浮体(メガフロート):オーシャンベースであり、これまで海上戦力の拡充の許可が降りなかった【オデュッセイア海洋高等学校】が発想の転換で『ウルトラマンや機龍丸が戦いやすい特設リングを海上に浮かべる』という奇抜な発想で提案したものであったのだ。

 

ウルトラマンネクサスが展開する戦闘用不連続時空間:メタフィールドの概念に触れたことで『ウルトラマンや機龍丸が地形に左右されずに怪獣と戦いやすくする』戦略構想の研究が進められていたこともあり、グレゴール星人:グレゴリオが創り出す4つの大剣で囲った即席のリングが最後の決め手となった。

 

あとは、海上でウルトラマンや機龍丸が怪獣と格闘戦を繰り広げて沈没や転覆しないことが第一の課題となり、ついにそれを解決するアイデアが実装されたのである。

 

超大型浮体(メガフロート):オーシャンベースそのものは【オデュッセイア海洋高等学校】の版図である領海に位置するが、怪獣退治のために出動する際は四次元移動技術で 直接 空間トンネルを通って空間転移してくるのである。四次元宇宙人:バム星人の遺産はここでも歴史を変える活躍するのである。

 

これによって移動や管理の問題が超力押しで解決されており、首都:D.U.に海から現れた怪獣に対して海上に出現した安定した足場から迎撃することが可能になり、必要に応じて爆雷投射機や魚雷艇も展開して対潜戦の準備はできたというわけである。

 

また、超大型浮体(メガフロート):オーシャンベースの下を素通りするのを封じるために超巨大な船体の下には同じぐらいの超巨大な漁網が展開され、怪獣が接触した瞬間に電気ショックが流れるため、海からサンクトゥムタワーに迫る怪獣に対する盾の役割を果たした。

 

更に超大型浮体(メガフロート):オーシャンベースは包囲網を作るために複数機で運用されており、漁網の電気ショックに引っ掛かった付近を目掛けて対潜戦を仕掛けた後、空間転移で味方からの攻撃を回避するという連携攻撃が基本戦術になっているのである。

 

こうして群体怪獣:シーゴリアンが深海怪獣:ゲートスから逃げるためにオーシャンベースに命からがら上陸したところで、待ち構えていた機龍丸とGUTSファルコンがシーゴリアンを容赦なく蜂の巣にして、続いて上陸したゲートスも弱点である排熱口への攻撃が決定打となって、2体の水棲怪獣を 見事 オーシャンベースで俎板の鯉にして撃破することに成功したのであった。

 

仮想敵である第2のXデーを引き起こした宇宙怪獣:エレキングへの対策としては不十分ながらも、原始的な怪獣の対処には有効であることが証明され、懸念事項であった海からサンクトゥムタワーに迫る怪獣に対する防衛戦略がこれで確立されることになったのである。

 

 

一方、アビドス砂漠の“クジラの谷”で発見された死海の帯水層に眠っていたのが巨鯨水獣:リヴィジラであった。

 

発見に至ったのは、ボーリング調査してできた穴から四次元発信器を投下し、そこで得られた四次元座標へ水中調査のために潜水艇で空間転移する作戦が実施されていたためである。

 

その潜水艇の搭乗員には北条先生が意気揚々と立候補し、誰も見たことがない死海の帯水層の景色を眺めてこようと冗談めかしたことで周囲から猛反対を受けることになり、

 

そこからGUTSガルーダと同じようにロボット職員:マウンテンガリバーが電脳接続(リンクアップ)して遠隔操作する安全第一の方法で行くことが決定。

 

ついでに、【オデュッセイア海洋高等学校】と【ミレニアムサイエンススクール】が共同開発した小型潜水艇の名前は例によって“GUTSマリン”となり、何だかんだで機械の身体の利点を存分に活かして唯一無二の活躍の場を得ていた。

 

さて、空間転移して子機となる無人偵察機を発進させて塩分濃度:35%を超える死の世界で揺蕩っていると、そこで水温と塩分濃度が急上昇している箇所を無人偵察機が報告することとなったのである。

 

塩化カルシウムの溶解度は水温0℃で37.3、100℃で61.4になるため、自然界では希少なそれが満たされた場所と言うのは、明らかに自然科学の常識では説明がつかない“何か”がそこにいる証拠なのである。

 

そのため、無人偵察機からでは足りない情報を追い求めてGUTSマリンを移動させると、向こうから超巨大な超音波をソナーが受信することになり、直感的に“何か”の正体が“怪獣(KAIJU)”であると悟ったロボット職員:マウンテンガリバーが急速潜航して海底に息を潜めていると、GUTSマリンの上を勢いよく“怪獣”が通り過ぎていったのである。

 

それにより、GUTSマリンの船体が大きく揺さぶられ、このまま息を潜めていても怪獣の生体超音波探知器(アクティブソナー)に引っかかるのは時間の問題であり、無人偵察機からの情報も十分だと判断して、空間トンネルから緊急離脱を決断したのであった。

 

こうして無事に生還したGUTSマリンが持ち帰った情報により、死海の帯水層の解析が進むと同時に怪獣が棲息していることも判明し、ソナーの画像解析で怪獣の正体が鋭い牙が生えた古代クジラの怪獣であると推測され、

 

捕食用の歯としては生物史上最大とされている36cmの大きさを誇る歯の化石が産出されている 約1,300万年~約1,200万年前のマッコウクジラの仲間:リヴィアタン・メルビレイに因んで“リヴィジラ”と名付けられることとなった。

 

その対処を協議していたところに首都:D.U.の沖合での群体怪獣:シーゴリアンと深海怪獣:ゲートスが出現したとの報が届けられたのであった――――――。

 

 

小鳥遊 ホシノ「本当に倒すしかないんですか、やっぱり?」

 

北条先生「できることなら このまま人と関わることなく 生きた化石として生き続けて欲しいところではありますが、体内で生成した塩化カルシウムを噴出して死海を生み出す能力は看過できるものではありません」

 

戦場カメラマン「となると、ゼットンの時のように光怪獣化させて戦力に組み込むわけにもいかないか」

 

神代キヴォトス人「その通り。リヴィジラは現生生物の繁栄と生存のために絶滅させるべきであるな」

 

宇宙格闘士の帝王「ああ。こいつは滅ぶべき時に滅ぶことができなかった死に損ないだ。生きていたところで塩害の発生源にしかならん。一思いに楽にしてやるのが慈悲と言うものだ」

 

ロボット職員「おそらく、“クジラの谷”から産出されるクジラの化石を食いつないで生きてきたんだと思います。海底にクジラの骨らしきカルシウムの塊がたくさん解析結果に出てましたので」

 

神代キヴォトス人「なに? それは本当か?」

 

戦場カメラマン「何か気になることでも?」

 

神代キヴォトス人「わかった。そういうことか」

 

神代キヴォトス人「――――――リヴィアタン・メルビレイに因んで“リヴィジラ”か。ピンポイントでこの場所を見つけたセルマのことを褒めてやらねばな」

 

神代キヴォトス人「見つけることができたのは宿命だったわけか」

 

小鳥遊 ホシノ「?」

 

 

神代キヴォトス人「リヴィジラの正体は超古代文明の遺跡を守るために配置された改造怪獣だ」

 

 

北条先生「本当ですか?」

 

神代キヴォトス人「これが自然発生で生態系を破壊する能力を持っているのはどう考えても異常であろう」

 

戦場カメラマン「たしかに。通常の生物では絶対に生きられない塩分濃度に加えて、塩化ナトリウムでも塩化マグネシウムでもない 自然界で希少な塩化カルシウムで満たされた塩湖というのは自然発生するものではないな」

 

神代キヴォトス人「なるほど、そこにあったか。この惑星の文明の発祥の地となるアビドス砂漠の水源地というのは」

 

小鳥遊 ホシノ「どういう意味ですか、それって?」

 

神代キヴォトス人「つまり、アビドス砂漠の帯水層に貯められている膨大な地下水の水源となる生産施設がこの“クジラの谷”の地下深くに埋められているのだ」

 

 

神代キヴォトス人「ということは、ここは絶対に譲ってはならん不可侵の聖地であるぞ。ここが穢されたら、次の文明は二度と誕生しないことだろう。まあ、次の文明などというものがいつのことかは知らぬがな」

 

 

ロボット職員「えええ!?」

 

神代キヴォトス人「だが、それは我々が探し求めているものではない。砂漠化の原因となっている暴走した秘密保管庫の機能を司る場所はここではない。もっと別な場所だ」

 

神代キヴォトス人「ともかく、今から我が死海に沈む遺跡に行って状態を確認してくるから、リヴィジラの対処は無期限延期にしておけ」

 

神代キヴォトス人「わかるな?」

 

小鳥遊 ホシノ「!」

 

 

北条先生「わかりました。“クジラの谷”は安全が確保されるまで厳重に封鎖します」

 

 

宇宙格闘士の帝王「そういうことなら、それが正解なのだろうな、この場合」

 

ロボット職員「そうですね。塩化カルシウムで満たされた死海の帯水層で戦うとなったら、最悪の場合を想定しないといけませんから、隔離されているのなら戦わないに越したことはないですよ」

 

小鳥遊 ホシノ「よかった……」ホッ

 

ロボット職員「あんまり可愛げのある姿じゃなかったような気がしますけどね、リヴィジラ」

 

戦場カメラマン「ともかく、これでアビドス遠征の目的達成にまた大きく前進できたわけだ」

 

小鳥遊 ホシノ「そうですね。アビドス砂漠の調査も残り半分を切っているわけですし、砂漠化が止まる日はもうすぐのはずです」

 

北条先生「そのはずですよ」

 

小鳥遊 ホシノ「見ていてください、ユメ先輩……」

 

 

こうして“クジラの谷”は厳重に封鎖されることになり、死海の帯水層に潜んでいる巨鯨水獣:リヴィジラの対処は後回しにして、未調査領域の調査を進めて行くことが優先されるのであった。

 

その裏で“シャーレの研究員”神代キヴォトス人:サーベラスの推察通りに死海の帯水層の中に超古代文明の遺跡が眠っており、巨鯨水獣:リヴィジラはこの隔離された死海に沈んだ超古代文明の遺跡に近づくものを追い払う門番であったのだ。

 

光の勢力の同胞ならば“光”となって空間を超越して入ることができるため、そこでアビドス砂漠の地下に張り巡らされた広大な帯水層のデータベースにアクセスすることに成功したのである。

 

光の勢力が降臨する以前は一面が温暖な浅海であったクジラの先祖が数多く棲息していた“クジラの谷”に築かれた超古代文明の遺跡はやはり1000万年周期で想定されていた光と闇の戦争が繰り返されずに管理者であった光の眷属が永眠した末に放置されていたことで経年劣化で故障が発生していたのだ。

 

そのため、現代に蘇った超古代文明の唯一の生き残りである神代キヴォトス人:サーベラスが故障箇所の修理に取り掛かることになり、その過程で得られた帯水層の分布図や利用状況から文明の跡地や遺跡の所在地を割り出すことに成功したのであった。

 

 

――――――長かったアビドス遠征にようやく終わりが見えてきた。

 

 




-Document GUYS feat.LXXX No.16-

群体怪獣:シーゴリアン 登場作品『ウルトラマンネオス』第3話『海からのSOS』登場
長井港に生息する魚がダークマターの影響で合体して誕生した怪獣。
誕生して間もない時は10m〜15m前後しかなかったが、水族館や増沢湖など魚が多数生息する場所に出現して魚を取り込むことでどんどん巨大化し、最終的には約70mにまで成長した。

武器は頭から発射する赤い光弾と、口から吐く高圧水流。
近接戦では、鋭い歯での噛み付き攻撃や、長い尻尾による殴打で応戦する。
また、元の魚に分離することで海中を逃走したり、淡水にも瞬時に適応して水路を通ることが可能。


水産試験場に出現し、駆けつけたネオスと交戦。ネオスの猛攻で戦意を喪失し、ウルトラリリース光線を受けて元の魚に戻され、海へと還された。
カグラは今回の事件を「環境汚染を続ける人類への警告では無いか」と考えていたが、劇中では人間の方から刺激してこなければ鳴き声や水吐きで威嚇する程度に留めており、人間への敵意は全くと言っていいほど見受けられなかった。
水族館長によれば、イワシが群れを作って自分の身を守るのと同じ行為だったのでは無いかと言う見解を示しているので、いかつい外見に見えて実は臆病な性質だったのかもしれない。


深海怪獣:ゲートス 登場作品『ウルトラマンブレーザー』第2話『SKaRDを作った男』登場
魚のような鰭を持つ体に加えて赤色に縁取られた白目、首元の鰓など、“深海怪獣”の別名通りの深海魚を思わせる容姿が特徴の水棲怪獣。
また、チョウチンアンコウのように頭頂部から生えた触角は暗い海中で光って獲物を誘き寄せ、危険が迫ると発光する性質がある他、伸ばして敵へ巻き付けることもできる最大の武器である。
また、下顎には短い髭のような器官もあり、これはナマズやコイのものと同じ触覚器官で、海底に住む魚や甲殻類などの餌を探すために役立っている。
普段は深海におとなしく棲んでいるが、空腹になると浅瀬に上がって魚を喰い荒らし、さらには上陸して街の食糧を根こそぎ喰い尽くす程に食欲旺盛。
江戸時代中期にも出現したことが古い伝記に記録されており、地元の漁師にも“海の魔物”として言い伝えられてきた(船頭の老漁師曰く「人が海への敬いを忘れると現れる」とのこと)。
上陸時は体温を一定に保つため、背中の排熱口で熱を逃がしている。劇中では未遂に終わったものの、この排熱口を損傷させる事ができれば熱暴走による大きなダメージを与えることができる可能性が指摘されており、ある意味でゲードス唯一の弱点部位と言える。このことから一般的な魚類と同様、変温動物であると思われる。

主な武器は口から吐く高圧水流で、使用時には首の鰓状の器官が青く発光し、ウォーターカッターのようにビルを容易く両断するほどの威力がある。
また、頭部の触角を伸ばして相手に巻き付け、強力な電流を流し込むパルス電撃:ゲードスパルスウィップを放つことができる。
泳ぐ速度は時速80ノットと驚異的であり、これは1時間で約148km進むスピードで、潜水艦や駆逐艦を遥かに上回る速度である。


5月11日、近年の海洋汚染が原因で出現。存在が露呈した時点で既に浅瀬の魚を喰い尽くしており、自身も食糧難に陥っていたためか、タンカーや漁船などを襲撃し餌になりそうなもの(漁船の漁獲物やタンカーの積載物など)を喰い荒らしていた。
その後、地球防衛隊の潜水艦や海上艦による総攻撃を受けるも全て返り討ちでそれらを撃沈した上、逆に攻撃された事に怒り狂って(地上から遠距離攻撃が行われた事もあり)先美港に上陸。近くにあったかまぼこ工場を襲い、かまぼこを喰い荒らした。
それでもなお怒りが収まらず(食事中にも攻撃された事も一因だったらしい)街を蹂躙していたが、ヒルマ・ゲントが変身したウルトラマンブレーザーと交戦。
口から吐く高圧水流と頭の触角でブレーザーを手古摺らせたものの、SKaRDによる援護射撃とブレーザーの手刀で触角を切断され、戦意を喪失。一目散に海中へ逃げようとするも、釣竿状に変化したスパイラルバレードによって一本釣りで海上に釣り上げられ、最期はそのまま空中でスパイラルバレードに体を貫かれた上に串焼きにされて爆散した。
ただし、前回の宇宙甲殻怪獣:バザンガとの戦いから立て続けに現れたことで防衛隊側は事後処理に手を焼く事態となり、また更に新たに現れた世界中の新エネルギーの貯蔵プラントを狙う甲虫怪獣:タガヌラーの対応に手を回せない状況となった。


巨鯨水獣:リヴィジラ 登場作品『ウルトラマンアーク』第5話『峠の海』登場
クジラと深海魚が合わさったかのような二頭身の外見を持つ水棲怪獣。
シュモクザメのように左右に飛び出した突起の先に眼が付いており、頭部には凶悪な眼のような発光体が幾つも付いている。
また、腹部には夥しい数の傷や帯状のもの、体の各所にはフジツボらしきものが確認でき、前脚は退化して短い鰭状になっている。
太古の昔、かつて大光峠一帯が海だった頃に棲息していたと考えられており、名前の由来は1200万年前の中新世中期に生息していたマッコウクジラの仲間である“リヴィアタン・メルビレイ”というクジラから取られたもの。
なお、劇中では本種の化石も登場しているが、本編で実際に出現した生きた個体とは別の個体である。
この手の話では「化石と思われていた怪獣が実は生きていた」「化石が何らかの理由で怪獣として復活した」という展開が多い中、本編に登場した生きた個体と化石として発見された個体が全くの別個体というケースは珍しい。上記の通り化石が発見されていることから、『アーク』初の水棲怪獣にして一種の古代怪獣でもある。

頭頂部や背中にある計5つの噴出口から体内で生成した塩化ナトリウムを噴出し、淡水を海水に変えてしまう能力を持つ(潮吹きならぬ「塩」吹き)。
この塩分濃度はリヴィジラ本体に近付くにつれてどんどん濃くなっていき、リヴィジラの住処である巣穴に至ってはなんと35%というもはや死海同然のとんでもない数値であり、淡水の生物はおろか海の生物ですら生きられない、自分しか住めない環境に変えてしまう害獣でもある。
その濃度は超常的であり、リヴィジラの化石にも結晶化した塩化ナトリウムが付着していたほどであり、そのことから当初はかつてこの一帯が海だった名残と考えられていたほど。
本来、この能力は自身の生息環境を作り上げるだけでなく、外敵対策として巣穴周囲の塩分濃度を高めて安全地帯を作る習性だと推測されている。
住処に侵入したユーに気付いた途端に暴れ出したり、ウルトラマンアークに対しても執拗に攻撃を加えたりと、性格は極めて凶暴かつ、縄張り意識も非常に高い模様。

主な攻撃は、泳ぎながらの巨体を用いた体当たり。鋭い牙が並んだ巨大な口で噛み付き、相手を水中に引き摺り込む他、地中を掘って移動したり地下水脈を掘り起こすこともできる。
戦いにおいても噴出口から塩化ナトリウムを勢い良く放出し、煙幕のように使って相手の視界を失わせて撹乱することも可能。
また、現実のクジラのように超音波で相手の位置を探って一方的に攻撃するなど、見た目の割にかなり高い知能を持つが、視力そのものは長い水中生活からかあまり発達していないらしく、劇中では光輪とアークを判別できずに弱点を突かれることになった。


大光峠山中の工事現場から古代の怪獣の化石が発掘され、恐竜の権威である牧野博士に“リヴィジラ”と命名され、調査が進められていたが、休止時間の夜に突如として工事現場に水が吹き出し、なんと一晩で巨大な湖が出来上がり、工事現場もろとも大光峠は水没。しかも、その水の成分はほぼ海水であり、実際に出来たのは湖ではなく「海」であった。
この異常事態にSKIPは牧野博士の協力を得て調査を開始。1週間経っても怪獣の痕跡は見つからなかったが、伴所長はかつてK-DAYが起こる前に大光峠で怪獣の化石(同じく塩化ナトリウムの結晶が付着しており、リヴィジラのもの)を見つけていたのだが、予想される大きさがあまりにも巨大すぎて生物と認めてもらえず、怪獣の存在を明かせず怪獣達の被害拡大を許してしまった苦々しい過去から徹底的に調査を続行する。
所長と博士は当初「怪獣がどこからか海水を引き込んだ」と仮定していた。そんな時、湖が出来てからの住民避難が解除される日の朝食に、石堂シュウがゆで卵に塩をふりかけている様子を見て「怪獣自身が塩(塩化ナトリウム)を発生させ、海水を生み出していたのではないか?」という逆転の発想に辿り着き、「化石と同種の怪獣=リヴィジラの生き残りが、長い眠りから目醒めていたとしたら?」という可能性に気付く。
午前10時に最初の避難所で避難解除が開始されるため、それまでの猶予30分で再調査を開始。所長と博士が湖上にてボートで待機、ユーが水中調査を行うことに。塩分濃度が最も濃い 工事現場の埋もれてしまったトンネルの穴の中にユーが侵入すると、その暗闇の中に巨大な眼が現れる。
そして、轟音と共に姿を現したのは、やはり現代まで巣穴に籠ったまま冬眠状態で生き延びていたリヴィジラであった(劇中では語られていないが、大光峠の水没も、眠りから醒めたリヴィジラが自身の生息に適した環境を作るため、地下水脈を掘り起こしたことが原因だった)。
湖上の所長と博士の危機に、ユウマは自ら水中に飛び込み、ウルトラマンアークに変身し、戦闘開始。
アークは水中から飛び出すと同時にアッパーを食らわせ、両者は取っ組み合いになるも、リヴィジラはアークを水中に引きずり込み、そのまま水中戦となる。
リヴィジラはその巨体による圧し掛かりや体当たり、さらには頭部からの「塩」吹きで水中の視界を遮り、尚且つ自身の超音波探索能力で一方的にアークを攻撃して追い詰める。
しかし、アークは咄嗟のアークトリッキーテクニックによるひらめきにより、アークギガバリヤーをアークエクサスラッシュで3つに切り分け、これらを組み合わせて即席のスクリューを生成、これで視界を晴らす。しかも、投げたスクリューが超音波に対するデコイの役割も果たし、リヴィジラを誘導して背後を取ることができた。
更に引っこ抜いた木で頭部の穴を塞ぎ、「塩」吹きを封じることにも成功し、最終的にはアークファイナライズを口内に受け、風船のように膨らみながらリヴィジラは爆散した。
リヴィジラの死と共に塩分濃度も低下して環境への影響も収まり、いずれ湖の水も枯れると推測され、事件は収束するのであった。






アビドス砂漠の“枯れた森”の調査からしばらくして、新たに発見された“クジラの谷”での調査を進める中で死海にたとえられる塩分濃度が異常値を示した独立した帯水層の本格的な調査を開始した日に、
死海の帯水層に潜んでいたのが巨鯨水獣:リヴィジラ、首都:D.U.の沖合に出現したのが群体怪獣:シーゴリアンと深海怪獣:ゲートスであり、いずれも【アーカイブドキュメント】に記録されていない未知の水棲怪獣である。

第2のXデーと呼ばれるほどに爪痕を残した水陸両用の宇宙怪獣:エレキングへの対抗策の1つとして実戦投入が進められた【オデュッセイア海洋高等学校】保有の超大型浮体(メガフロート):オーシャンベースを駆使することで、出撃した機龍丸とGUTSファルコンが首都:D.U.の沖合に出現したシーゴリアンとゲートスの撃破に成功している。

一方で、それより先にGUTSマリンによる水中調査で発見されたリヴィジラの正体がアビドス砂漠の帯水層の管理施設となる超古代文明の遺跡の門番として生み出された改造怪獣であることが判明し、
リヴィジラの存在を理由に“クジラの谷”を厳重に封鎖して、未調査領域の調査をどんどん進めていくことになり、監視対象になったリヴィジラは 事実上 放置されることになった。
これによって、触らぬ神に祟りなしで 怪獣の存在から“クジラの谷”の土地利用が回避されることになり、快進撃によって怪獣の脅威が薄れて勝手に戦勝ムードになっていた世間一般の認識に対して一石を投じることになった。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。