Blue Archive -Document GUYS feat.LXXX-   作:LN58

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EP04 キヴォトス人は親子団欒を夢見るか

 

人類同士の最後の戦争(第二次世界大戦)の後、半世紀に渡る怪獣や侵略者との戦いの歴史の中でウルトラマンに守護されて真の平和を勝ち取った、宇宙の片隅にある太陽系第3惑星:地球――――――。

 

失踪した“連邦生徒会長”と入れ替わりにキヴォトスに現れた“シャーレの先生”こと北条 アキラは地球人であり、地球の先進的な制度や技術によって【キヴォトス防衛軍】の軍事顧問に就任した“GUYSの先生”であった。

 

偉大な指導者である“連邦生徒会長”を失った【連邦生徒会】に代わってキヴォトス人が進むべき方向を示すべく遠くの星(地球)から来た大人の背中にキヴォトスの誰もが憧れを抱いた。

 

しかし、先進的な世界からやってきた異邦人であるが故に、キヴォトスに新しくもたらされた知識や概念が一度に正しく伝わることは稀であり、その理解と解釈を巡って諍いになることもあった。

 

地球での本業である小学校の先生の経験を活かした“シャーレの先生”、Xデーを迎えて怪獣災害に見舞われるようになったキヴォトスでもっとも求められる怪獣退治の専門家“GUYSの先生”の2つの顔を持っていることも、学園や部活動に縛られた価値観の生徒たちの誤解を助長していた。

 

なので、新しい知識や概念が正しく伝わるように生徒たちに一から教えるのには小学校の先生というのは適職だったのかもしれない。

 

そのため、“シャーレの先生”としても、“GUYSの先生”としても常に仕事に追われる多忙な日々の中であっても、どうすれば地球人が教わったウルトラマンの心をキヴォトスでも広められるかをずっと考えながら、北条 アキラは星空を眺めていた。

 

意外なことかもしれないが、北条 アキラは残業は決してしない。するとしても月40時間と地球の労働法に従って計画的に行うわけであり、どれだけ仕事が溜まろうが自分のペースを崩そうとしない。徹夜なんて以ての外。

 

というのも、日々のデスクワークよりも遥かに重要な赤と銀の巨人:ウルトラマンに変身して怪獣災害に真っ向から立ち向かえる唯一の存在として、常に不測の事態に備えて最高の状態を保つことを最優先しているため、

 

書類仕事のできない大人と思われようが、ウルトラマンに変身して戦えることに誇りを抱いているため、日常の些末なことで心身を擦り減らすことをしてはいけないと肝に銘じているのだ。

 

そう、歴代のウルトラマンたちは防衛チームの一員として率先して怪獣と戦う最前線に身を置いていたわけなのだが、巨大化して怪獣と殴り合いをしている間はいつもいつも()()()()()()()()()()()()()()()肝腎な時に存在感を消しているわけなので、そのことをいつも防衛チームの仲間たちに責められていたはずなのだ。

 

こればかりは正体を明かせない以上はどうしようもないことであるが、『肝腎な時にいなくなることがある』事実をもって有事に各々の判断で動けるようにする適度な隙の作り方でもあると、ウルトラマンになってみてそう思えたのだ。命令違反は御法度だが、ウルトラマンに完全に頼り切りになるのも不健全なので、あえて不完全であるさまを見せつけなくてはならないのはなかなか匙加減が難しいものだ。

 

しかし、人々を守る第一歩はまず自分自身を守ることから始まるのだ。そこから命を懸けるにしても、それもその場限りで安易に使い捨てるのではなく、積み重ねてきた一歩が後に続く者のための道になるまで続けられないものなど全て偽物なのだ。捧げた命とは死すべき時に使い切るものであり、ただ単に使い潰すものなんかではない。

 

そう思うのは間違いなく恩師:大山キャップが先代の防衛チーム【MAC(全滅)】が壊滅した後の次の怪獣頻出期までの5年間で【UGM】を再編したものの 実戦経験のない新人ばかりで弛みきってしまった地球防衛軍が月の輪怪獣:クレッセントによって大打撃を受けた苦労話を受けてだ。

 

いや、それどころか、北条 アキラが所属する次世代の【GUYS】ですら四半世紀ぶりに地球に出現した怪獣であるディノゾールによって初戦で若かりし頃の相原隊長を残して壊滅しているわけなので、見事に【UGM】の二の舞を踏んでいることが北条 アキラの心に深く刻まれていたのだ。そんな【UGM】の隊長と【GUYS】の隊長の両方から初戦でのまったく同じような苦い思い出を聞かされた以上は。

 

なので、現状では怪獣災害にウルトラマンに変身して立ち向かえるのが自分一人しかいない以上、後に続く者がいない状況で自分の命を粗末にすることは許されないわけであり、北条 アキラは強かに【連邦捜査部 S.C.H.A.L.E(シャーレ)】と【キヴォトス防衛軍】の仕事をのらりくらりと進めていた。そのために優秀な職員も雇っている。

 

そもそもとして、【連邦捜査部 S.C.H.A.L.E(シャーレ)】の顧問の先生や【キヴォトス防衛軍】の軍事顧問として北条 アキラに求められた仕事というのは決して事務作業などではないため、【連邦生徒会】に事務処理を丸投げしてキヴォトス中を自由に出歩いた中で得られたものを報告して擦り合わせをするのが業務となりつつあった。

 

もちろん、最初から“ウルトラマン先生”に憧れて自分から防衛チームの予備役と小学校の先生の二重生活を選んだ剛の者なのだ。本来の仕事場である【シャーレ・オフィス】と【キヴォトス防衛学園】で執務している時間よりも現地調査や現地交流、あるいは軍事教練をしている時間の方が圧倒的に多いのだが、その実務能力は天才揃いのキヴォトス三大学園(BIG3)の生徒会役員の平均以上はあり、作業効率を上げるアイデアを積極的に導入しているので、デスクワークをやらせても実はとてつもなく要領がいい方ではある。

 

なので、元から地球で二重生活を送っていた北条 アキラから見て自分の仕事に忙殺されることもなく、悠々とキヴォトスのためになることを考えながら、地球によく似たキヴォトスの夜空を見上げてウルトラの星を思いながら今日も夜を明かすのだった――――――。

 

 

 

北条先生「基本的に地球人の僕としては未成年者が銃を手放せない上にそれが抑止力になることなく暴力を助長させているだけのキヴォトスの在り方が大嫌いです」

 

北条先生「ですので、本当は【キヴォトス防衛軍】にも未成年者たち、つまりはキヴォトス中の生徒たちを参加させたくはなかったわけです。参加させるにしても後方勤務です。最前線なんて以ての外です」

 

北条先生「ですが、現実としてキヴォトスの各自治区の中枢を担っているのが各学園の生徒会であり、生徒たちである以上、軍事力の中心を担わせることになるのは避けられないことでした。怪獣災害にまともに立ち向かえるだけの軍事力を持つ公的機関がキヴォトスに存在しないことが極めて遺憾ではあります」

 

北条先生「しかし、それはそれとして、キヴォトス中の生徒たちを学園の垣根を超えて集めることによって、キヴォトスの歴史でも類を見ない空前絶後の巨大な軍事力が誕生することに僕自身も危機感を覚えていましたので、」

 

北条先生「僕が所属している防衛チーム【GUYS】に倣って、入隊資格を16歳以上にしてライセンスを発行する形式としました。ライセンスを根拠に命令違反や軍紀違反を取り締まれるようにしています」

 

北条先生「まあ、地球最後の怪獣頻出期が始まるまで このライセンスが就学や就職などに便利な資格扱いだったのはここだけの秘密です。もっとも、その前の怪獣頻出期から実に25年も怪獣が現れなかったわけなので、実際に入隊する者はわずかで何もかもが不足して、案の定、いざ初実戦のディノゾール戦で 当時20歳の若き日の相原隊長を除いて一度【GUYS】は壊滅してしまったんですけどね……」

 

北条先生「あ、そこからですよ。怪獣頻出期突入により再編されて軍備強化された新生【GUYS】による華々しい活躍とウルトラマンメビウスとの友情()の物語は」

 

北条先生「実は、だいたいスカウトなんですけど、そのスカウトされた【GUYS】の伝説のメンバーというのがキヴォトスでも有数の天才たちにも引けを取らない地球人代表と言えるような才能を持った若者ばかりでして、」

 

北条先生「20歳のプロサッカー選手や、19歳のロードレーサー、18歳の医大生、18歳の保育士見習いという、いったいどこに怪獣退治の素質があるのか疑問に思うメンバーばかりでした」

 

北条先生「しかし、驚かないでくださいよ」

 

 

北条先生「20歳のプロサッカー選手の方は怪獣の攻撃を完全に見切るほどの常人離れした動体視力と空間認識能力を持ち、射撃の名手でもありました。そして、ウルトラマンのように誰もが憧れる人間になるのが夢で、少年時代は僕と同じように『ウルトラマンになって人々の幸せを守るために怪獣と戦いたい』という夢を抱いて戦い抜いた素晴らしい方でした」

 

 

北条先生「19歳のロードレーサーの方は、微細な機体の変化や怪獣の鳴き声に混じる特殊な波長を聞き分ける聴力とそれで行動を予測できる分析能力の持ち主でした。その聴力と合わせて射撃の腕は高く、マシンの操縦も得意で、出撃の際は機体制御を担当していたといいます」

 

 

北条先生「18歳の医大生の方は、過去に出現した怪獣やウルトラマンなどに関して博識で、独学で学んだ宇宙語を話すことができたそうです。その豊富な知識からデータ分析や対怪獣・宇宙人の作戦を立案することが多く、基本的には基地内勤務であっても、個人的に興味深いことや自ら立案した作戦を指揮するために前線に赴くこともあった勇敢な方だったそうです」

 

 

北条先生「最後に18歳の保育士見習いの方ですが、怪獣やウルトラマンが何を考えているかを察知できる卓越した洞察力の持ち主であり、怪獣と心を通わせることで怪獣を指揮することができた稀代のオペレーターとして名を馳せました。また、普段は臆病で怖がりで泣き虫であっても、ここぞという時に勇気を出して戦闘機に乗ってエンペラ星人の配下である暗黒四天王の一人を撃破することに貢献しました」

 

 

北条先生「どうですか。こういった才能の持ち主が地球を救った偉大な英雄として【GUYS】に所属していたわけなので、今まさに怪獣災害に見舞われているキヴォトスを救う重要なピースとして、僕はそういった才能の持ち主を探しているわけなんですよね」

 

北条先生「ですから、本当のところは勉学を本業とする生徒たちを動員したくはないのですが、学園や自治区の中枢を担っているのが生徒である以上、キヴォトスにおいては生徒たちも社会人であることを認め、入隊資格を16歳以上にして幅広い分野から人材を求めて、【キヴォトス防衛軍】ではキヴォトスを救う未来の英雄を募集いたしております」

 

北条先生「ええ、この度、【キヴォトス防衛軍】の本拠地として【SRT特殊学園】を再編して【キヴォトス防衛学園】が新設されましたので、そのご案内をさせていただきます」

 

北条先生「まず、【キヴォトス防衛軍】の入隊資格と【キヴォトス防衛学園】の入学資格は別物であることを明確にしなければなりません」

 

北条先生「最初に【キヴォトス防衛軍】は幅広い分野から人材を求めるため、入学資格は16歳以上ということ以外は何もございません。あるとすれば、社会人として求められる常識・礼節・信義があることでしょうか。基本的に申請すれば、それだけで仮ライセンスが発行されます――――――」

 

 

 

現在、北条 アキラは【キヴォトス防衛軍】、および その本拠地となる【キヴォトス防衛学園】の案内の収録を行っていた。

 

細かな説明は省略するが、【キヴォトス防衛軍】の入隊資格を16歳以上であること以外に求めなかったのには、もちろん、生徒たちが中枢を担う学園都市:キヴォトス特有の事情も大きいのだが、一番は仮ライセンスの申請登録を通じて情報網を拡大することが狙いであり、人材発掘もそうだが、仮ライセンスの申請登録をして繋がるコミュニティサイトを通じて怪獣災害に関する情報収集や情報発信を行うことに主眼を置いていた。

 

つまり、16歳以上であれば誰でももらえる仮ライセンスにはそれ相応として大した権限や特典はないわけなのだが、キヴォトス中の生徒たちを枠組みに参加させることでキヴォトス中が一丸となって怪獣災害に立ち向かう機運に持っていこうとしているのだ。

 

とにかく、人類の常識が通用しない超常の存在を総称して“怪獣(KAIJU)”と呼ぶため、いつどのようにして現れるかもわからない超常の存在に対して少しでも有利を得るために情報収集は鉄則であり、得られた情報を素早く発信することで混乱を抑えて正しい対処法を広めるのも重要なことであった。

 

それが怪獣退治を行う際に一番の足枷となる民間人の被害(コラテラル・ダメージ)を気にせずに専念できるように戦いの舞台を整えるのに必要なことであり、守る側と守られる側の信頼と連携が必要不可欠なことを防衛チームに所属している北条 アキラは重々承知していた。

 

そう、キヴォトス中から集められた人材と予算と資材を集めて【キヴォトス防衛軍】が真っ先にしなければならない最優先事項とは新兵器開発よりも官民一体の安心と信頼の防衛体制の構築であり、軍備強化とは決して強力な新兵器のことだけを指すのではないことをキヴォトス中に理解させる必要が“GUYSの先生”にはあった。

 

なので、中学生でもわかるように話すのがビジネスコミュニケーションの鉄則だが、キヴォトスでは学園そのものが自治体となっているため、学園の専門分野に従って学園の自治区ごとの学力差や情報格差が激しく、

 

この場合は最低限の読み書きや計算ができることを前提に小学生でもわかるように地域性も意識したユニバーサルデザインで何とか説明しきらなければならなかった。

 

そのため、北条先生の説明内容というのは決まって最初に 治安最悪で学級崩壊を起こして もはや完全に教育機関の体をなしていない【ゲヘナ学園】を基準にして構成されるようになっていたのである。

 

というのも、厄介なことにキヴォトス三大学園(BIG3)として一二を争うマンモス校がライバル校【トリニティ総合学園】と大小様々の武力抗争を繰り広げてきた歴史があるわけで、失踪してしまった“連邦生徒会長”が本格的な武力衝突を危惧してエデン条約を結ばせようとしていたぐらいには巨大な火種であった。

 

もはや教育機関の体をなしていないし、生徒会を自称する【万魔殿】にすら従わない生徒ばかりなのに、決して【ゲヘナ学園】という枠組みを破壊することのない不思議な一体感を保っているため、怪獣災害そっちのけで徒党を組んで好き勝手に暴れられても困るので、最低限 怪獣退治の邪魔にならないように釘を差しておく必要があった。

 

その度に、自ら学ぶものもいない学び舎に集まって刹那的な快楽に身を委ねている生徒たちの青春を冷めた目で北条 アキラは見つめていた。

 

それでも、北条 アキラは失踪した“連邦生徒会長”が連れてきた“シャーレの先生”であり、【キヴォトス防衛軍】を率いた実績がある“GUYSの先生”であるため、その存在感は元より 意外なまでに【ゲヘナ学園】では慕われているのだった。

 

いや、学級崩壊した教室の教壇に立って見物客として集まった生徒たちを相手に授業をする姿がある意味どこでも学級崩壊しているキヴォトスである種の伝説となっている“学校の先生”と呼ばれるものの姿なのだから、いろんな意味でキヴォトスで伝説を現在進行形で築いている時の人の動向に噂好きの生徒たちが目を離せないのだ。

 

そして、授業なんてまともに受けたこともないようなおバカな生徒にもわかるように頑張って伝えようとしている姿が必死過ぎて笑えるものに感じられたわけなのだが、そこまで必死にやってくれる人なんて今までいなかったと思い返した時、また一人、北条先生の授業に足を運ぶ生徒が増えるのであった。

 

地球の小学校と同じように教壇に立ってチョークを握りしめて45分×6コマの授業を繰り返して――――――。

 

 

 

北条先生「おや、机の数が増えていますね」ガラッ

 

北条先生「それに、今日も来てくれたんですね、棗さん」

 

棗 イロハ「ええ、まあ。戦車室まで行かずに第一校舎の教室で落ち着ける場所は先生が授業をしているここだけですから」

 

棗 イロハ「それに、イブキも楽しみにしていましたから、先生の授業」フフッ

 

丹花 イブキ「イブキ、おとなしく待ってたよ! ほめてほめて!」ニパァ

 

北条先生「少し見ない間に、この教室も随分と綺麗になりましたね」

 

羽沼 マコト「やっと来たか、先生。あんまり【万魔殿】のリーダーを待たせるんじゃないぞ」

 

羽沼 マコト「見ての通り、イブキがここで先生の授業を受けるんだぞ。イブキの勉強の邪魔にならないように鉄壁の守りを固めることにしたから、安心して授業をするがいい。ミサイルの直撃を受けてもビクともせんぞ」キキキッ

 

羽沼 マコト「それと お望み通り、天井にはプロジェクターとカメラも設置したから、これで授業と収録がやりやすくなっただろう」

 

北条先生「ありがとう、羽沼さん」

 

羽沼 マコト「これぐらい造作もないことだ」

 

羽沼 マコト「そうだとも! “シャーレの先生”あらため“GUYSの先生”と手を組んだ【万魔殿】がいよいよ【風紀委員会】よりも優れていることが世に知れ渡るのだ!」

 

銀鏡 イオリ「自分から問題を起こして、その後始末を押し付けてくるから【風紀委員会】の名声が嫌でも上がるというのに何を言っているんだ……」

 

銀鏡 イオリ「しかし、まさか【万魔殿】の面々がこうしておとなしく席について授業を受けているとは今でも信じられん光景だな……」

 

火宮 チナツ「そ、そうですね。最初は【ゲヘナ】の代表者を集めた“GUYSの先生”との連絡会議の場だったのが、週一の授業風景の公開収録の場になりましたから……」

 

銀鏡 イオリ「いや、【万魔殿】もそうだが――――――」

 

 

陸八魔 アル「これはこれは錚々たる面々ね(ええ!? 【万魔殿】や【風紀委員会】の面々が一緒に授業を受けているってどういう状況なのぉ!?)」フッ

 

黒舘 ハルナ「先生! 今日のスペシャルメニューは何ですの!? 今から待ち切れないですわ!」ドキドキ

 

鬼怒川 カスミ「おお、これは気にしないでくれ! 新しい温泉開発の候補地を探しているところだ!」エッヘン!

 

 

銀鏡 イオリ「なあ、チナツ? ここ、第一校舎じゃなくて第二校舎だったか? ここだけ別世界に思えるんだが……?」

 

火宮 チナツ「私たち【風紀委員会】にマークされている【便利屋68】に【美食研究会】、【温泉開発部】と言った【ゲヘナ学園】でも有数の札付きたちも一緒に授業を受けていますね……」

 

銀鏡 イオリ「これが“先生”の人徳がなせる業ということなのか……」

 

火宮 チナツ「おかげで、先生が授業を行う日は【風紀委員会】が扱うトラブル件数が減るので、『できるなら毎日授業をして欲しい』とアコ行政官もおっしゃってましたからね」

 

北条先生「さて、自由と混沌を校風とした【ゲヘナ学園】の流儀に従って、今日も僕の好きなように“一所懸命”授業をさせてもらいましょう!」

 

 

北条先生の週一の【ゲヘナ学園】の授業風景は少しずつだが、こうして賑やかなものへとなっていた。

 

元々は最初の怪獣:クレッセントの地下活動による被害を一番に受けていた【ゲヘナ学園】で調査を行う際に“シャーレの先生”として赴いた時に空き教室で開かれた代表者を集めた会議が起源となっており、

 

【風紀委員会】を目の敵にする【万魔殿】のイチャモンを受けながら、まだこの時は信用も実績もなかった【連邦捜査部 S.C.H.A.L.E(シャーレ)】の人間として治安最悪の【ゲヘナ学園】で一から異変調査をやり抜くことになった。

 

もはや、教育機関の体をなしていない【ゲヘナ学園】であり、現職の小学生の先生として当然ながら破綻した教育現場の惨状を目にして、キヴォトスにおける学園や教職員の在り方について深く思い悩む日々を最初に送っていたのだが、

 

だからこそ、自由と混沌を校風として好き勝手し放題の生徒たちの在り方に従って、自由と混沌を受け容れて先生の方もやりたいようにやるようにした結果、一癖も二癖もある【ゲヘナ学園】の生徒たちと心を通わせることになり、そこから協力者を募って最終的に強行した地底探査で地底怪獣:クレッセントの姿を捉えることに成功したのである。

 

その調査報告は【連邦生徒会】に無視されたのは周知の事実だが、最初はまともに異変調査に協力してこなかったくせに“GUYSの先生”の怪獣出現の予測を手伝ったとして【万魔殿】は居丈高に【連邦生徒会】に批判することになり、そこからは打って変わって“GUYSの先生”を厚遇するようになったのだから、嫌でもキヴォトスの各勢力が怪獣退治の専門家である“GUYSの先生”を【ゲヘナ学園】に囲い込まれないように接触を図るようになっていったのだ。

 

そうした無名時代の下積みの日々を送ってきたからこそ、たとえ最低最悪のマンモス校【ゲヘナ学園】の生徒たちであっても決してわかりあえない異次元の怪物だとは思わずに、先生と生徒の関係を築くことができていたのだ。この結果を導き出すのにウルトラマンの力なんてものは必要ないのだ。

 

そのため、北条先生にとっての始まりの場所というのは、実はXデーに向けて裏で“GUYSの先生”として生徒会長:調月 リオと協力関係を結んだ【ミレニアムサイエンススクール】ではなく、“シャーレの先生”として一から生徒たちと信頼関係を築いて異変調査を行った【ゲヘナ学園】であったのだ。

 

だからこそ、北条先生は日常的に銃弾があちこちで飛び交う地獄のような【ゲヘナ学園】の生徒たちと最初に付き合ってきた“シャーレの先生”なので、あれ以上にひどい学園はないということでキヴォトス中のどこの学園の生徒たちともうまく付き合うことができるようになったのだ。

 

さて、授業内容そのものは【キヴォトス防衛学園】において一般教養などの教科で取り扱う普遍的かつ実践的なものや、ウルトラマンや怪獣について蓄えられてきた地球の歴史や文化の紹介、北条 アキラのフリートークなどであった。

 

それを動画共有サイトで公開収録し、アーカイブとして保存し、要点をおさえた切り抜き動画が流れるようにも専門の編集業者を雇っているぐらいには気合を入れて授業をしていた。

 

学級崩壊している上にそんなところで得られる単位に何の価値があるのかを真剣に悩んだ末に辿り着いた授業内容であり、これは有名な教授を喚んで講義を受けさせる特別授業をやっているのだと割り切り、各学園の学習カリキュラムに干渉しないフリースタイルを実施したわけなのだ。

 

しかし、そもそもが学級崩壊している【ゲヘナ学園】で生徒たちを席につかせること自体が至難の業なので、最初に北条 アキラが生徒たちと接点を持つのに注目したのが、千人単位の生徒を相手にするとどうしても味は落ちがちで評判を落としている【給食部】であった――――――。

 

 

ワイワイ、ガヤガヤ、ワーワー!

 

 

北条先生「押さないで、押さないで。整理券を持っている子にはちゃんとあるからね」

 

北条先生「ウルトラマンも大好きだった地球のカレーライスだよ!」

 

北条先生「そして、今日のスペシャルメニューは金沢カレーだ! こっちも美味しいよ!」

 

 

 

愛清 フウカ「今日も大盛況でしたね、先生! 美味しいカレーライス、ごちそうさまでした!」

 

北条先生「うん。お粗末さまでした」

 

愛清 フウカ「先生はいつもお仕事が大変なのに、来る時はいつもいつも素敵な給食を用意してくれますから、本当に助かってます」

 

北条先生「けど、この前まで眼の前で奪い合いをしていたのに、今日はちゃんと並んで整理券と引き換えてくれたけど、何かあったのかな?」

 

牛牧 ジュリ「本当ですね。今日は不思議なくらい平和でした」

 

羽沼 マコト「それも簡単なことだ! イブキが楽しみにしている先生のランチタイムを邪魔する者には【万魔殿】が鉄槌を下すことにしたのだ!」キキキッ!

 

黒舘 ハルナ「いいえ! 先生のランチタイムに不協和音をもたらす者には【美食研究会】の名において制裁を与えておきましたわ!」

 

銀鏡 イオリ「いや、わざわざ風紀委員長が食堂の前を警備していたからだぞ!」

 

北条先生「そうだったんですか。みなさん、本当にありがとうございます」

 

羽沼 マコト「なに、これも【ゲヘナ】とイブキのために尽くしてくれている“GUYSの先生”のためだ。ゆくゆくは怪獣の脅威がなくなったその時に【ゲヘナ】がキヴォトスの頂点に立つことを認めさせるためにもな」

 

黒舘 ハルナ「先生、今日も大変美味しいとびっきりスペシャルな金沢カレーをごちそうになりました。できれば、今度は食器にもこだわってもらうと、もっと美味しくいただけますわ」

 

銀鏡 イオリ「まあ、警備をしているだけでトラブルがなくなるなら風紀委員としてお安い御用さ。私も先生が用意してくれる地球の味ってやつが楽しみだから、それを味わう時間を邪魔されたくないのはみんな同じだってことだな」

 

 

北条 アキラは小学校の先生である。小学校の林間学校では定番のカレー作りをやるし、ウルトラマンは生命維持のために食べる必要がないため、かえって地球の食文化に惹かれて食い意地を張っているらしいことを教わり、これこそ地球が宇宙に誇る文化として料理人の心得を持っていた。

 

そのため、【ゲヘナ学園】の生徒たちに取り入るために【給食部】の手伝いをしたことにより、美味しい給食を提供してくれる風変わりな大人という認識が徐々に学内に広がっていくことになり、そこから【救急医学部】や【風紀委員会】と言った主要部署と接点を持ち、最終的に【万魔殿】さえも認める“シャーレの先生”へと上り詰めたのだ。

 

だからこそ、【ゲヘナ学園】と敵対していた【トリニティ総合学園】から“シャーレの先生”が警戒されることになったのだが、地球の食文化を紹介するために自由と混沌を是とする【ゲヘナ学園】の食堂で思う存分に料理の腕前を披露している様を今では羨ましく思っているのだとか。

 

基本となるのは【GUYS】に所属していた“ウルトラマンメビウス”日比野 ミライ隊員がこよなく愛してレシピを覚えて自分で作って頻繁に食べていたことを相原隊長が宣伝して有名となった地球防衛軍名物の直伝カレーライスであり、

 

宇宙に誇る地球の味の第一号として在りし日の日比野隊員と同じように記憶の中にあるレシピから再現したものを事前に整理券を配ることで作る量を管理し、それを【給食部】が買い入れる形で【ゲヘナ学園】に提供していた。

 

こうして丹精込めて再現した地球の味は 見事 定番として基本メニューになっており、そこに週替りメニューと当日のお楽しみのスペシャルメニューも選べるようにして大繁盛であった。

 

そこからシェフの気まぐれでフードイベントを開き、マグロの解体ショーやカルメ焼き、天麩羅パーティー、屋外バーベキュー、わんこそばの大食い大会などを開催し、そうした催しを開く度に盛り上げてくれる【美食研究会】の宣伝もあり、いつの間にか北条 アキラは【ゲヘナ学園】でVIP待遇で迎え入れられる存在となっていた。

 

意外なことに 自由と混沌を校風だからこそ 生徒たちが好き勝手しているが、実は先生の方も好き勝手に授業や料理ができるので、地球に居た頃から厳格な二重生活を送っていた北条 アキラからするとフリースタイルで仕事ができる分【ゲヘナ学園】で過ごす時間が段々と気楽なものになってさえいた。

 

もちろん、怪獣災害に備えた会議や授業はキッチリするが、先生の気分次第でギターの弾き語りもするし、生徒たちに自分たちの部活動を紹介させたり、【万魔殿】のマスコット:丹花 イブキが一日先生をしたりする日もあり、そんな先生らしくない先生とのふれあいの日々の中で生徒たちの笑顔が花開いていった。

 

ただし、どういうわけか手軽に簡単に作れるプリンをデザートに用意したところ、直前になって必死の形相で羽沼 マコトがそれだけは提供しないように懇願してきたので、しかたがないので作ったプリンは材料費を回収できなかったので自腹を切って【連邦生徒会】に渡すことになってしまった。

 

そんないつもの週一の【ゲヘナ学園】にて――――――。

 

 

 

――――――第4の怪獣災害 / ベビーザンドリアス争奪戦 勃発!

 

 

 

愛清 フウカ「さあ、週一の先生と一緒の給食を頑張りましょうね」

 

牛牧 ジュリ「はい。今日の分の食器の準備はできています。そして、今日のスペシャルメニューはなんと――――――」

 

黒舘 ハルナ「フウカさん、フウカさん!」バン!

 

愛清 フウカ「な、何ですか? 今からお昼の準備をするんですから、邪魔しないでください、ハルナ」ウワァ・・・

 

黒舘 ハルナ「実は、なんと! ついに! ついに手に入れることができたんですよ!」

 

愛清 フウカ「な、何をですか?」

 

 

黒舘 ハルナ「――――――正真正銘の怪獣の赤ちゃんを!」

 

 

愛清 フウカ「は、はあ?」

 

黒舘 ハルナ「この前のギコギラーはせっかく苦労して手に入れた肉片もどこの部位かよくわからないまま口にして飲み込めなくて吐いてしまいましたが、今度は美味しく怪獣をいただけますわ!」

 

黒舘 ハルナ「さあ、フウカさん! 若鶏のように活きのいい新鮮な怪獣を持ってきましたから、あなたの手で是非とも最高の一品、今日のスペシャルメニューに仕上げてください!」

 

愛清 フウカ「まったく、最近そういう“怪獣”を珍味と謳った詐欺が多いらしいですよ。どうせ、ワニとかトカゲじゃないんですか、それ」ハア・・・

 

黒舘 ハルナ「ちがいますわ! それが本当に トカゲに似ているようで そうでない生き物なんですのよ!」

 

愛清 フウカ「ジュリ、先生に連絡して。本当に怪獣の赤ちゃんだったら大事だし、今からお昼の準備をするから厨房から摘み出さないと」

 

牛牧 ジュリ「はい!」

 

黒舘 ハルナ「さあさあ、ご覧になってください、フウカさん! これが怪獣の赤ちゃんですよ!」

 

 

ある時、黒舘 ハルナたち【美食研究会】が大興奮で先生がやって来る日に食堂に持ち込んできたのは ペット用キャリーリュックに入れられた およそ60cmほどの人間の赤子ほどの怪獣の幼体であった。重さは5kg程度なので無装填状態の軽機関銃よりも軽く、キヴォトス人にとっては羽のように軽く感じられたことだろう。

 

怪獣退治の専門家:北条 アキラは一目見た瞬間に何らかの怪獣の幼体であることを判別できたが、これが【ドキュメントUGM】に記録された第4の怪獣:ザンドリアスの幼体であることまではわからなかった。怪獣の幼体とは極めてレアな存在であるため、これまで確認されてきた怪獣であっても幼体となると未確認であるケースがほとんど。

 

しかし、黒舘 ハルナたち【美食研究会】に喜々として怪獣の赤ちゃんをその場で調理するように迫られた時、怪獣退治の専門家:北条 アキラは断固として拒否。怪獣の中には強力な細胞組織で肉体を乗っ取る“遊星からの物体X”のようなバケモノも存在するので、怪獣を食べることの危険性をその場で授業することになったのだ。

 

すると、いつものように先生が作ってくれた給食を安心安全で楽しんで味わうために警備に来た【風紀委員会】と、怪獣の赤ちゃんの存在を聞きつけて【万魔殿】が現れることになり、更には怪獣の赤ちゃんを一目見ようと野次馬たちが集まり、騒ぎがとんでもなく大きくなっていった。

 

 

丹花 イブキ「わあ、かわいい!」

 

棗 イロハ「い、イブキ……、危ないから今すぐに放しなさい……」ハラハラ・・・

 

銀鏡 イオリ「そうだぞ! 小さくても怪獣であることには変わりないんだ! 怪我をする前にこちらに渡すんだ!」

 

丹花 イブキ「ううん。大丈夫だよ。そんなに怖がらなくても」

 

羽沼 マコト「どうやら、怪獣の赤ちゃんはイブキに懐いたようだな! なら、今から我らが【万魔殿】のもの、イブキのものになったということだ!」キキキッ!

 

黒舘 ハルナ「お待ちなってください! その子は私たち【美食研究会】のものですわよ! 私たちが手に入れました“怪獣”という極上の珍味ですわ!」

 

空崎 ヒナ「……まだ言うつもり? 先生からあれだけ怪獣を食べることの危険性を説明されたのに?」

 

北条先生「――――――黒舘さん、質問に答えるんだ! 怪獣の赤ちゃんをどこで手に入れた!?」

 

黒舘 ハルナ「許しませんわ! 許しませんわ! 許されませんわ! こんな横暴! これは美食に対する冒涜!」ギリギリ

 

 

【万魔殿】のマスコット:丹花 イブキが純真無垢の怪獣の赤ちゃんと戯れているのにハラハラしながら 使うことのなかった万魔殿制式拳銃の安全装置と装弾を確認する棗 イロハ――――――。

 

その間、その場で殺処分することを主張する【風紀委員会】と、殺すぐらいなら美味しく食べてしまうべきだと譲らない【美食研究会】、怪獣の幼体を飼い慣らして戦力に加えようと考えついた【万魔殿】で一触即発の事態に陥ってしまった。

 

こうなったのも怪獣の取り扱いについて主導権を握るべき怪獣退治の専門家である“GUYSの先生”の判断が曖昧だったのも大きい。いや、論理の展開ははっきりと示しているのだ。

 

まず、怪獣の赤ちゃんがいるということは怪獣の親がいるわけであり、それでいて哺乳類のように少産少死の知能が高い怪獣の場合、親子の愛情も山のように高く 海のように深いことが考えられ、どれだけ遠くに離れていようと絶対に我が子を取り戻そうと来襲してくる可能性が考えられた。渡り鳥が地磁気だけで正確な位置を把握して別天地へと巣立つことができるように、それが怪獣の規模ともなれば とんでもない距離間で親子の交信が行われている可能性があった。

 

なので、“GUYSの先生”は黒舘 ハルナたち【美食研究会】にどこで怪獣の赤ちゃんを捕まえてきたのかを問い詰めるのだが、食べ物の恨みは恐ろしく、無慈悲にも殺処分しようとする【風紀委員会】と無理やり没収しようとする【万魔殿】に対して怒り心頭で、【美食研究会】の面々には北条先生の発する声が耳に入らなかったのだ。

 

 

結果、流れ弾一発で致命傷を負うような脆弱な地球人:北条 アキラがその場にいることを忘れた【美食研究会】が爆破テロを敢行し、無邪気な怪獣の赤ちゃんを抱きかかえていた丹花 イブキを連れ去り、強奪していたピックアップトラックに乗せて逃走を図ったのだ。

 

 

そのため、【万魔殿】のマスコット:丹花 イブキを略取された【万魔殿】羽沼 マコトが怒髪天を衝き、イブキを溺愛している棗 イロハも戦車部隊を展開して【美食研究会】を猛追することになり、【風紀委員会】もまた その場にいながら【美食研究会】の悪逆を許したことで羽沼 マコトの不興を買い、厳罰を回避するためにも【美食研究会】の拿捕に全力疾走することになったのだ。

 

自分から絡んできて盛大に周りを巻き込んで大事にされた【給食部】もとばっちりを受けることになり、せっかく危険を予知して適切な対処をして遠ざけていたのに【美食研究会】の一員だと勘違いされていたばかりに、愛清 フウカの週一の楽しみであった先生との素敵な午後のお片付けの時間は台無しになってしまった。

 

一方、キヴォトス人の反射速度よりも早くに先生に押し倒されていたことに呆然となっていたが、すぐに状況を理解して半狂乱になった羽沼 マコトが【美食研究会】を捕まえたものに報酬を出すことを口走っていたせいで、結果として逃走する【美食研究会】に報酬目当てでゲヘナの生徒たちが群がることになり、攫われた丹花 イブキの無事が危うくなったことに気づいたが後の祭り――――――。

 

慌てて先生の許にどうすればいいのかを訊きに来るものの、先生はゲヘナ自治区を爆走中の【美食研究会】が怪獣の赤ちゃんをどこで入手したのかを訊き出すのに必死であり、運転席に乗っていたのが鰐渕 アカリなのを思い出して手が空いているだろう残り3人に片っ端から連絡を送り続けていたのだ。

 

それでようやくブラックマーケットで強奪してきたことを訊き出したはいいが、ブラックマーケットの闇取引で流通した個体となると生息地不明ということで怪獣の正体の手掛かりがない。確証がないので今回の騒動で適切な指示を出せずにいた。

 

 

北条先生「くそっ! 出処がブラックマーケットか! 治安最悪の【ゲヘナ学園】の居心地が良くなったと思ったら、まだまだキヴォトスの闇は深かった……!」

 

羽沼 マコト「うわああああ! 先生、どうしたら?! どうしたらいいんだ!? このままだとイブキがああああああああああああ!?」

 

北条先生「ともかく、今は流言飛語を統制することです。羽沼さんが口走ったことは正式なものではない。今すぐに『丹花さんを巻き込んだら死刑』でも何でも、【万魔殿】の公式声明を出して追撃の手を緩めてください。追撃は【万魔殿】と【風紀委員会】に限定するんです」

 

羽沼 マコト「わ、わかった!」タッタッタッタッタ!

 

北条先生「……おのれ、怪獣め! こうも人心を惑わせて騒動に発展させるとは!」

 

北条先生「なまじ知性があるせいで、ここでの対応が遠くない将来に大きな影響を与える可能性が考えると、殺処分は考えものだ」

 

北条先生「巨大な知的生命体にとって十年なんてものはあっという間だ! 忘れた頃に恨みを晴らすために舞い戻ってくるかもしれない!」

 

――――――

調月 リオ「先生! エリドゥの防空レーダーが宇宙怪獣の侵入を感知したわ!」

 

調月 リオ「隕石に擬態して接近していたから発見が遅れた!」クッ

 

調月 リオ「まだ怪獣の詳細な画像は得られなかったけど、降下予測地点は【山海経高級中学校】――――――!」

――――――

 

北条先生「――――――ナイスタイミング」ハア・・・

 

北条先生「たしか、【山海経】も中華マフィアっぽい連中が悪どい商売をやっているんだったか」

 

北条先生「そして、『四つ足で食べない物は机と椅子だけ』なのも本場中国と変わらず、“怪獣”を珍味と謳った詐欺が横行しているのも――――――」

 

北条先生「点と点が繋がってしまったな……」

 

――――――

調月 リオ「先生! 部隊の展開を急がせます!」

 

調月 リオ「前回と同じギコギラーだった場合、今度は【山海経】が蹂躙されることになります!」

――――――

 

北条先生「調月さん! ギコギラーとの画像照合を急いでください!」

 

北条先生「宇宙怪獣の中にはギコギラーと性格が正反対のお利口なザンドリアスという類似した怪獣もいます! 対処を誤ると無用の犠牲が発生します!」

 

北条先生「温厚なザンドリアスでさえ、地球防衛軍アメリカ支部から攻撃を受けて、反撃でアメリカ支部の戦力を全滅させるぐらいには圧倒的な戦闘力があるんです! 【山海経】がキヴォトスから消えるかもしれないんですよ!?」

 

――――――

調月 リオ「……厄介な話ね。判別できたところで怪獣を前に発砲せずにいられるかしら」

――――――

 

北条先生「……信じることにも勇気が要るな」

 

――――――

調月 リオ「先生! 【山海経】領空にマッハ10で宇宙怪獣が侵入! 減速して地表に降下するわ!」

 

調月 リオ「――――――今、【山海経】の監視網から降下した宇宙怪獣の画像データが得られたわ。今 転送するわね」

 

調月 リオ「……これはギコギラーではない? 遠目に見ればギコギラーに似た形状だけれど、よく見たら まるっきり別物ね」

――――――

 

北条先生「ありがとう、調月さん。これで【キヴォトス防衛軍】の軍事顧問として関係各位に指令を出せる」

 

北条先生「さて、この宇宙怪獣はやはりザンドリアス――――――」

 

北条先生「いや、あれ? ザンドリアスの成体ってもっと角や突起が発達していて、ギコギラーの仲間に思われるぐらいの強面だったような覚えがしたけど、これは――――――?」

 

北条先生「落ち着け。ギコギラーは顎髭がある方で、ザンドリアスは目元から髭のような突起が突き出ていたはずだから……」

 

北条先生「もしや、これはまだ成長期のザンドリアスなのか? だとするなら、あの幼体は生まれたばかりで、親になりたて(ヤングマザー)の個体なのか?」

 

 

北条先生「ダメだ! それでも宇宙怪獣だぞ!? 今すぐに攻撃を止めさせないと反撃で【山海経】が地図から消し飛ぶぞ!?」

 

 

北条先生「けど、“GUYSの先生”の僕が言ったからって、いざ目の前に迫った“災害の化身”を前に何もしないだなんて、銃を手放せないキヴォトス人にできるのか!?」

 

北条先生「急げ! 本格的な攻撃が始まる前にザンドリアスへの攻撃を中止させないと!」

 

北条先生「でも、あの怪獣の赤ちゃんが現れたザンドリアスの子であるかなんてわからない!」

 

北条先生「それに今、怪獣の赤ちゃんは【美食研究会】に連れて行かれて、それを追いかけて【ゲヘナ】中で壮絶な爆弾レースが繰り広げられている!?」

 

北条先生「ど、どうしたら!? 今すぐに何とかしないとマザーの怒りで【山海経】がヤバいし、現在進行形で【ゲヘナ】の平和もヤバい!?」

 

北条先生「――――――!」

 

北条先生「そうだ! 飛鳥馬さん! 近くにいるのでしょう!?」ピッ

 

――――――

飛鳥馬 トキ「はい、先生。私はいつでも先生のことが視える場所にいます」

――――――

 

北条先生「特命です! 現在、逃走中の【美食研究会】が確保している怪獣の赤ちゃんを、【山海経】に現れた宇宙怪獣:ザンドリアスと引き合わせてください! 地球に現れた過去の事例から怪獣の親子である可能性が高いです!」

 

北条先生「僕は【山海経】に攻撃を中止するように説得します!」

 

――――――

飛鳥馬 トキ「了解! 対象が今この瞬間にも離れていっていますので、すぐに追跡を開始します!」ビュン!

――――――

 

北条先生「頼みましたよ」ピッ

 

北条先生「さて、僕がこれからすることをキヴォトス人のみんなはどう受け止めるか――――――」

 

北条先生「いや、今こそウルトラマンの心を示す時だ!」

 

 

バッ        

 

        バッ

 

エイティ!

 

 

 

 

 

 

 

羽沼 マコト「――――――なにぃ、【山海経】に宇宙怪獣が現れただと!?」

 

羽沼 マコト「な、何をやっている!? 今すぐに【山海経】に戦力を回せ! 待ちに待った新兵器のお披露目だぞ! それに【山海経】のやつらに貸しを作るチャンスだ!」キキキッ!

 

羽沼 マコト「……あ、そうだった。動かせる駒は 全部 イブキを助けるのに出払ってしまっていた」

 

羽沼 マコト「く、くぅうううう! 対怪獣兵器を他に先駆けて完成させたというのに、これでは【キヴォトス防衛軍】での優位を取れないではないか!」

 

羽沼 マコト「それどころか、怪獣災害が発生したのに【ゲヘナ】から誰一人駆けつけることができないことになったら、それこそ【ミレニアム】や【トリニティ】に後れを取ることになる!?」

 

羽沼 マコト「わああああああ!? イブキぃいいいいいい! わ、私はいったいどうすればいいんだ!? 千載一遇の好機があああ!?」

 

羽沼 マコト「ん」

 

 

シュワ!

 

 

羽沼 マコト「――――――い、今のはウルトラマン!?」

 

羽沼 マコト「どういうことだ? なぜウルトラマンが【ゲヘナ】に――――――?」

 

羽沼 マコト「おい、今、ウルトラマンが飛んでいった方角は――――――」

 

羽沼 マコト「なら、【キヴォトス防衛軍】の軍事顧問である“GUYSの先生”からの出動命令は――――――」

 

羽沼 マコト「………………」

 

羽沼 マコト「…………先生

 

 

羽沼 マコト「――――――これは使えるぞ!」ニヤリ

 

 

羽沼 マコト「よし、今すぐに全員で出るぞ!」キキキッ!

 

羽沼 マコト「そうだ! 追いつかなくてもかまわん! 合流して操縦手を拾って行けばいい!」

 

羽沼 マコト「今この場で重要なのはキヴォトス三大学園(BIG3)で誰が頂点に相応しいかだ!」

 

 

――――――全員、ウルトラマンとイブキに続けぇ! イブキを先頭にして我が【ゲヘナ学園】の総力を上げた地獄の行進をキヴォトス中に見せつけるのだ!

 

 

【ドキュメントUGM】に記録されたギコギラーに続く宇宙怪獣:ザンドリアスは親子連れの怪獣として地球に飛来したわけなのだが、ギコギラーとちがって人類に対して敵意をもって姿を現したわけではなかった。

 

かつて【UGM】が対処した時は、離れ離れになっていた母親共々を攻撃してしまったものの、音波解析によって母親が子供を連れ戻しに来ただけであることが発覚し、双方とも無害な怪獣であることが判明したために攻撃が中止されたのだ。

 

その後、我が子をどうにかして連れて帰ろうとマザーザンドリアスが説得を試みたのだが、ザンドリアスは母親が話しかけてもそっぽを向くばかりで一向に言う事を聞いてくれないために、その様子を見守っていた【UGM】の面々も途方に暮れることになった。

 

そんな時、親子怪獣の目の前に突如としてウルトラマン80が現れ、マザーザンドリアスへと攻撃を加えたのである。

 

もちろん、遠くの星から愛と勇気を教えてくれるウルトラマン80はマザーザンドリアスを倒そうという気は毛頭なく、自分を共通の敵に仕立て上げることで親子を仲直りさせようと考えたのだ。

 

80の目論みは見事に的中し、ザンドリアスは母親を攻撃されたことに怒り狂って共に80へ応戦し、これがきっかけで無事に仲直りを果たし、最後は仲良く親子で宇宙へと帰って行ったのが【ドキュメントUGM】にあった記録である。

 

そのことを思い出しながらマッハ9でキヴォトスの空を駆け、【ゲヘナ】から【山海経】まで一飛びで駆けつけると、眼下には怪獣襲来で人々が避難シェルターへ駆け込む姿が見え、降り立ったヤングマザーザンドリアスは人々の混乱を他所に何かを探し回るかのように郊外にある荒れ地を掘り返していたのだ。

 

宇宙怪獣:ザンドリアスは休眠する時は地中に潜るため、おそらくは子供を産み落とす時も地中で行うのだろう。それも人間の感覚では途方もない昔に飛来して、いよいよ我が子を宇宙へと旅立たせようと、こうしてキヴォトスに再び舞い降りてきたのではないだろうか。

 

そのため、夢中になって我が子を探し回っていたところに怪獣への恐怖心から稼働させられた【山海経】の防衛システムが火を噴いた時、ウルトラマン80が降り立ち、その逞しい大胸筋(ボディ硬化)でもって怪獣の盾となったのである。キヴォトス三大学園(BIG3)でもなければ、単独での対怪獣兵器の開発は困難を極めていたため、ウルトラマンが胸を張っただけで対怪獣用の大型機関砲や榴弾砲は無害化されていったのだ。

 

それには怪獣もキヴォトス人も驚愕する他なく、防衛システムは急停止させられ、自分の身に何が起きたのかを理解する知能を持ったヤングマザーザンドリアスがウルトラマンの手を受け容れてナデナデされると、ウルトラマンに従って一緒に彼方へ飛んでいったのである。少なくともマッハ9の超スピードで。

 

長いようで短い時間に起きた まさに電光石火の出来事であり、【山海経】としてはいきなりの宇宙怪獣の襲来に対して被害ゼロということで非常にめでたかったのだが、攻撃を開始した瞬間にウルトラマンに割り込まれて怪獣を連れて行かれたのだから、決死の思いで攻撃を指示した【山海経高級中学校】の生徒会長の胸中はいかに――――――。

 

そして――――――!

 

 

羽沼 マコト「行け! 行けー! ウルトラマンとイブキに続けええええええ!」

 

丹花 イブキ「わーい!」

 

ゲヘナ生「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

 

銀鏡 イオリ「なあ? 何がどうなったら、誘拐犯を先頭にして【山海経】に向けて軍事パレードなんてやることになるんだ?」

 

飛鳥馬 トキ「さあ? 先生が何かをしたのではないでしょうか?」

 

銀鏡 イオリ「ともかく、協力に感謝する。おかげで誘拐犯を包囲しながら行進できているから、いつでも【美食研究会】の連中を捕まえることができる。連中も観念しておとなしくパレードの先頭になっているからな。これで【風紀委員会】への厳罰(とばっちり)も回避できる」

 

飛鳥馬 トキ「いえ。礼は先生に言ってください。私は先生のメイドとして任務を遂行したまで」

 

飛鳥馬 トキ「ですが、思う存分に褒めてもいいのですよ?」

 

銀鏡 イオリ「――――――あ、おい! あれは!?」

 

飛鳥馬 トキ「――――――ウルトラマン! それに怪獣も!?」

 

 

羽沼 マコト「う、うおおおおおおお!? ど、どういうことだ、これはあああああああ!? ウルトラマンが怪獣を連れてきたあああああああ!?」

 

羽沼 マコト「とっくに3分は過ぎているんだぞ!? 怪獣を倒してくれたんじゃなかったのか!?」

 

棗 イロハ「げ、迎撃を! は、早く! この時のための新兵器でしょう!?」

 

羽沼 マコト「れ、冷静になれ! こ、これはチャンスだ! ウルトラマンがわざわざ怪獣を連れて来てくれたんだぞ! 新兵器の威力を見せる時だ!」

 

羽沼 マコト「…………そうだろう、先生?」

 

 

ドォオオオオオオオオオオオオオオオオン!

 

 

銀鏡 イオリ「――――――これが50m級の巨人と怪獣の迫力!? 着地するだけで この震動!?」ビクッ

 

飛鳥馬 トキ「――――――先生! 応答してください! 先生! 緊急事態です! 先生! 先生!」

 

飛鳥馬 トキ「――――――!」

 

銀鏡 イオリ「な、何だ!? 何をする気だ、ウルトラマン!?」

 

飛鳥馬 トキ「――――――!」ビュン

 

銀鏡 イオリ「あ、トキ!?」

 

 

――――――片膝をついて怪獣の赤ちゃんが抱きかかえられた先頭車両へと手を伸ばす赤と銀の巨人。

 

 

丹花 イブキ「ん、イブキ?」

 

丹花 イブキ「イブキに乗って欲しいの?」

 

丹花 イブキ「うん、わかった!」

 

黒舘 ハルナ「ま、待ってください、ウルトラマンさん! それは私たちが手に入れた怪獣の赤ちゃんですわ! 極上の珍味なんですわ! それだけは! それだけは許してくださいまし!」アワワワ・・・

 

飛鳥馬 トキ「――――――」シュタ!

 

丹花 イブキ「あ、トキお姉ちゃん!」

 

飛鳥馬 トキ「はい、トキお姉ちゃんですよ~」ブイブイ!

 

飛鳥馬 トキ「さあ、ウルトラマン! 私がイブキちゃんを守りますので! お勤めを!」

 

黒舘 ハルナ「わわわわわ! 落ちる! 落ちる~!」

 

飛鳥馬 トキ「……お手をどうぞ」パシッ

 

黒舘 ハルナ「あ、ありがとうございます、トキさん」ヒョイ!

 

黒舘 ハルナ「わああああ! 見てください、トキさん! こんなにも大きくて美味しそうな怪獣が目の前に!」

 

 

――――――手のひらの上に3人の生徒と怪獣の赤ちゃんを乗せた赤と銀の巨人がゆっくりと立ち上がる。

 

 

銀鏡 イオリ「……た、立ち上がった」

 

羽沼 マコト「い、イブキぃいいいいいいいい!?」

 

棗 イロハ「……ウルトラマンはいったい何を!?」

 

 

シュワ!

 

 

棗 イロハ「あ、ああ……!?」

 

羽沼 マコト「うわああああ! イブキぃいいいいいいいい!?」

 

銀鏡 イオリ「……飛んでいってしまった」

 

棗 イロハ「か、返してください! イブキをどこに連れて行く気ですか、ウルトラマン!?」

 

羽沼 マコト「お、落ち着け、イロハ!」

 

棗 イロハ「と、止めないでください! イブキを連れ去ったのなら、たとえウルトラマンであろうとも――――――!」

 

羽沼 マコト「落ち着けッ!」

 

棗 イロハ「…………ッ!」

 

羽沼 マコト「いいか、ウルトラマンが活動できる時間はせいぜい3分。どれだけ人知を超えた巨人であろうと、“災害の化身”である怪獣と取っ組み合いともなれば、3分ぐらいで体力を消耗し切るのは人間と変わらないものらしい」

 

羽沼 マコト「わかるか。ウルトラマンは最初からザンドリアスとかいう宇宙怪獣を倒しに行ったわけじゃない。考えがあったのだろう」

 

羽沼 マコト「でなければ、【ゲヘナ】からマッハで飛び出して【山海経】からUターンして3分以上も余裕で活動していられるはずがない」

 

 

羽沼 マコト「だから、待て! いや、ウルトラマンを信じて待て! 少なくとも我々は【山海経】の救援の名目としてウルトラマンに続いて進軍しているのだからな!」

 

 

棗 イロハ「………………!」

 

棗 イロハ「……他にできることもない!」

 

棗 イロハ「…………イブキ」

 

銀鏡 イオリ「……まさか、【万魔殿】のリーダーがあんなにもまともなことを言うとはな」

 

銀鏡 イオリ「……それで、どう収拾をつけるつもりなんだ、この状況?」

 

 

――――――信じているからな、先生。先生が信じているウルトラマンのことを。

 

 

 

 

 

ビュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウン!

 

 

丹花 イブキ「スッゴーイ!」

 

黒舘 ハルナ「見てください、イブキさん、トキさん! 雲ですわよ、雲! こんなふうに綿菓子のように齧りついてみたかったですわ、ずっと! 夢みたいですわ!」

 

飛鳥馬 トキ「――――――これが音速を超えた空の世界! ウルトラマンや怪獣たちが見てきた超スピードの世界!」

 

 

宇宙怪獣に襲われた【山海経高級中学校】の救援に行く名目で新兵器のお披露目と丹花 イブキを攫った【美食研究会】の拿捕を成功させた一石二鳥の軍事パレードは、ウルトラマンが宇宙怪獣を連れてUターンしてきたことで行進停止に追い込まれてしまった。

 

というのも、ウルトラマンがその大きな手のひらの上に怪獣の赤ちゃんを抱えた丹花 イブキと他2名を乗せて大空の彼方へ飛び去ってしまったからなのだ。

 

それに並んで宇宙怪獣も飛び立ったのだから、怪獣は必ず倒すものだと思いこんでいたウルトラマンの予想外の行動の真意を理解できるものはほとんど誰もいなかった。

 

しかし、知名度がマスコットである丹花 イブキにも劣る【ゲヘナ学園】の影の薄い生徒会長:羽沼 マコトはいつにもない神妙な面持ちで周りを制したのだ。どうせウルトラマンが3分以内に怪獣を倒すのだから絶対に間に合わないとわかっていながら、【山海経】を救援するという名目で軍事パレードを思いつきで敢行させたアホのくせに。

 

そして、誰もが空を見上げて心配していたのを他所に、世界で初めてウルトラマンの手のひらに乗せられて音速を超えた先の雲の上を突っ切る未知の体験を3人ははしゃぎ声を出して楽しんでいた。

 

もちろん、いかに地球人よりも強靭なキヴォトス人とて生身で超音速飛行に耐えられるはずがないのだが、ウルトラマンの手のひらから流れるように過ぎ行く空の景色は心が踊るものがあった。

 

そこにはウルトラマンの手のひらの上にいるだけで身体中が芯から暖かくなる感覚があり、大きな力の流れと一体になっていることをその体験を言葉にすることもなく、心で感じることができていた。

 

そして、ウルトラマンと並んで空を超音速で飛ぶ宇宙怪獣:ザンドリアスも牙が剥き出しで瞳のない真っ赤な眼で非常におっかない強面なのだが、この時ばかりは強面なのを一瞬だけ忘れさせるような我が子を慈しむ母親の普遍的な愛情がそこにはあった。

 

 

丹花 イブキ「あ」フワッ ――――――ずっと抱きかかえていた怪獣の赤ちゃんが不思議な力で浮き上がる。

 

黒舘 ハルナ「あ、ダメですわ! それは私の――――――!」ガタッ

 

飛鳥馬 トキ「危ないですよ!」ガシッ

 

 

丹花 イブキ「行っちゃうの?」

 

丹花 イブキ「うん。元気でね」

 

丹花 イブキ「バイバーイ」

 

 

黒舘 ハルナ「わ、私の怪獣があああああああ!」

 

飛鳥馬 トキ「――――――ザンドリアス、ベビーを回収して、そのまま更に空高くへ!」

 

丹花 イブキ「……さようなら」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

羽沼 マコト「………………」

 

棗 イロハ「………………」

 

銀鏡 イオリ「…………ん? んん?」

 

銀鏡 イオリ「お、おい! あれ!」

 

羽沼 マコト「ようやくか。この私をいつまでも待たせるなよ、ウルトラマン」キキキッ!

 

羽沼 マコト「でないと、私がいつまでもイロハにボコボコにされるからな……」ボロ・・・

 

棗 イロハ「イブキ」

 

棗 イロハ「イブキッ!」

 

 

フワァ・・・・・・

 

 

丹花 イブキ「ただいま!」

 

棗 イロハ「……もうイブキったら! 本当に心配したんだから!」ギュウウ!

 

銀鏡 イオリ「戻ってきて早々に悪いが、人質が解放された以上、神妙にお縄につけ!」

 

黒舘 ハルナ「いいですわ、今日は気分がいいですから! ウルトラマンさんにお願いして、たっぷり雲をごちそうになりましたから!」プンプン

 

飛鳥馬 トキ「結果として、目立った被害はないまま終わった有り難くも騒々しい一日でしたね」

 

飛鳥馬 トキ「おつかれさまでした、ウルトラマン」チラッ

 

 

シュワ!

 

 

飛鳥馬 トキ「さて……」チラッ ――――――時計の針を見る。

 

飛鳥馬 トキ「――――――」

 

飛鳥馬 トキ「――――――」

 

飛鳥馬 トキ「――――――」

 

飛鳥馬 トキ「――――――」

 

 

北条先生「おーい!」タッタッタッタッタ!

 

 

飛鳥馬 トキ「先生」

 

銀鏡 イオリ「遅いぞ、先生! なんだかよくわからないうちにウルトラマンが宇宙怪獣をどうにかしてくれたみたいだぞ?」

 

北条先生「ああ。今、宇宙怪獣:ザンドリアスが子供を連れて宇宙へと旅立ったのを確認できた。今回の怪獣災害はこれで終わりです」ゼエゼエ

 

黒舘 ハルナ「先生、聴いてください! 今日は 他の誰も味わったことがない とても素晴らしい体験をすることができました!」

 

北条先生「結果として【ゲヘナ】中をメチャクチャにしておいて、なんて幸せそうな顔をしているんですか、黒舘さん?」ゼエゼエ

 

黒舘 ハルナ「なんとなんと! ウルトラマンさんのあの大きな手のひらの上に乗せてもらって、雲の上まで連れて行ってもらえたんです! それで綿菓子のように雲をたくさん食べることができて、それはもう 大感激でしたわ!」

 

北条先生「そうなんだ。それは本当に良かったですね」フゥ・・・

 

北条先生「とは言え、騒ぎを起こしてみんなに迷惑をかけたんだから、反省しなさい」ヤレヤレ

 

 

丹花 イブキ「先生! 今日ね、イブキね、ウルトラマンの手に乗ってお空の上に行ってきたの!」キラキラ!

 

 

北条先生「楽しかったですか?」

 

丹花 イブキ「うん!」

 

丹花 イブキ「でも、せっかく仲良くなった怪獣の子とお別れすることになった……」

 

北条先生「お母さんが探しに来ていたわけですから、無事にお母さんの許に行けてよかったですね」

 

丹花 イブキ「うん。悲しいけど、一緒になれてよかったって思ってるよ。ちゃんと『さようなら』って言えたよ、イブキ」

 

北条先生「偉いよ、丹花さん」ナデナデ

 

丹花 イブキ「……うん!」ヒッグ

 

北条先生「今日のこと、絶対に忘れない?」

 

丹花 イブキ「忘れない! 絶対!」ポタポタ・・・

 

棗 イロハ「……イブキ」フキフキ ――――――ハンカチで涙を拭う。

 

北条先生「怪獣の赤ちゃんだったけれど、可愛かったよね。お母さんの方は物凄くおっかない顔だったけど」

 

北条先生「でもね、周りのみんなも誰だって、赤ちゃんだった頃は本当にあれくらいの大きさと重さで愛らして大切にしたくなる宝物のような存在だったんだよ」

 

北条先生「みんな、誰だって赤ちゃんだった頃があるんだから、みんなが宝物なのに誰かと傷つけ合うことは悲しいことだよね、本当に」

 

北条先生「怪獣にだって赤ちゃんがいて、お母さんがいるんだから、みんなも同じだよね」

 

丹花 イブキ「うん!」

 

羽沼 マコト「…………先生」

 

北条先生「だから、今日のことを忘れないと誓ってくれるのなら、先生と約束して欲しいんだ」

 

 

 

優しさを失わないでくれ。

 

弱い者をいたわり、互いに助け合い、

 

どこの国の人たちとも友達になろうとする気持ちを失わないでくれ。

 

たとえ、その気持ちが何百回裏切られようと。

 

それが(ウルトラマン)の変わらぬ願いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロボット職員「…………まさか、そんな攻略法があったとは

 

北条先生「どうかしました、ガリバーさん?」

 

ロボット職員「いえ、今回のウルトラマン80の活躍は賛否両論でしたが、戦わずして勝利を得るというのは素晴らしいことだと私は感動しています」

 

ロボット職員「結果として、ウルトラマンがしたことによって【山海経高級中学校】は怪獣災害に見舞われながら被害ゼロで済んだのですから。防衛費もバカにならないことを考えれば、可能な限り戦わない方がいいに決まってます」

 

北条先生「……まあ、そうですね」

 

ロボット職員「……あまり浮かない顔ですね」

 

北条先生「僕は地球で生まれ育って、ウルトラマンが起こした奇跡を目の当たりした世代として、ウルトラマンの心を伝えるために小学校の先生になりましたが、これがなかなか上手くいきません」

 

 

北条先生「――――――盛大に笑われてしまいました! ナイスジョーク!」

 

 

北条先生「あれは【TAC】と共にヤプール人が送り込む超獣と戦ったウルトラマンエースの最高に心に響く名言だったんだけどなぁ……」ズーン・・・

 

ロボット職員「……それは相手が悪すぎたんですよ、【ゲヘナ学園】だったから」

 

ロボット職員「でも、私はいつかこれまでのわだかまりを忘れて キヴォトス中の生徒たちが手と手を取り合える日が来ると信じています」

 

ロボット職員「きっと、言葉では理解できなくても、心で理解できる日が来るはずです!」

 

ロボット職員「それはきっと、ウルトラマンの心を伝えられる先生でなくちゃ、そんなことは誰にもできないことなんですから!」

 

北条先生「ありがとうございます。そう言ってもらえて気が楽になりましたよ」

 

ロボット職員「いえいえ。僕は先生の背中を通して大きな夢を見させてもらっています」

 

 

ロボット職員「………………人間を超えられなかった僕なんかには絶対にできないことだから」ボソッ

 

 

北条先生「でもね、僕は悔しいんだ」

 

ロボット職員「え」

 

北条先生「地球人もキヴォトス人も変わらない。だから、僕たちはわかりあうことができた。それができると信じて生徒たちとふれあうことができたけれども、」

 

北条先生「地球人の嫌なところもキヴォトス人は同じなんだっていうのを、僕はまたこの眼で見ることになったのが悔しくてね……」

 

ロボット職員「……先生?」

 

 

北条先生「ウルトラマンは何のために戦っていると思う? 怪獣退治の専門家だから、怪獣を見つけ次第 光線技で爆散させるために存在しているのだと思われているのが悔しくてならないんだ……」

 

 

北条先生「僕は地球でもキヴォトスでもウルトラマンごっこをしている子供たちを見てきたんだ」

 

ロボット職員「――――――『ウルトラマンごっこ』」

 

ロボット職員「それはキヴォトスの子供たちの間でもウルトラマンがヒーローとして受け容れられてきた証じゃないですか」

 

北条先生「……そうなんだけどね。でも、ウルトラマンは正義の味方でもなければ、怪獣を倒すために造られた兵器でもないんだよ。ましてや、ウルトラマンと怪獣の戦いに善悪なんてないんだよ」

 

ロボット職員「……どういうことです?」

 

北条先生「じゃあ、言おうか」

 

 

――――――“怪獣”の役になった一人の子供を“ウルトラマン”の役になった他の子供たちが寄ってたかって袋叩きにするのは正しいことなのかい?

 

 

ロボット職員「!!!!」

 

北条先生「僕は地球でもキヴォトスでもそんな光景を見てしまった。見てしまったからには、力で勝つだけじゃ何かが足りないことを教えてあげないといけない」

 

北条先生「僕は勧善懲悪を否定しないけれど、善玉を自称して悪玉を裁いていい権利は誰にもない。正義があるのなら悪と見做された人たちに何をやってもいいのか」

 

北条先生「人は人のことを裁いてはいけない。その傲慢さはちゃんと法律にも載せられている立派な犯罪行為だ」

 

北条先生「人を裁いていいのは法だけだ。裁判制度は法の精神に基づくから刑を下すことが許される」

 

北条先生「本当にウルトラマンが正義の味方だったのなら、ウルトラマンの先進的な価値観やら宇宙正義に基づいて人類(地球人)を裁判にかけて未開惑星(地球)を次々と理想社会へと導いていったはずだよ」

 

ロボット職員「………………」

 

 

――――――本職が小学校の先生である“シャーレの先生”であり“GUYSの先生”である北条 アキラにとって受け容れられない現実がある。

 

 

小学校の先生だからこそ、初等教育の義務教育として社会に参加するために必要な人として当たり前のことを教え、社会の現実を知るよりも先に根本となる人としての理想を子供たちに目指すように諭すのが仕事であった。

 

だからこそ、イジメは許せないことであった。他人に迷惑をかけてはいけないという当たり前のことができていない醜い現実にウルトラマンの心を持つ者として抗い続けきた。

 

ましてや、ウルトラマンごっこで正義の側の軍団がたった一人の子を標的にして悦に浸る残酷さがマイナスエネルギーを発生させ、ウルトラマンが去った後の平和になったはずの地球に怪獣を呼び寄せる結果を招くことになってしまったら――――――。

 

ウルトラマンの心を伝える北条 アキラはその意味では()()()()()()()()たちに虐げられる人々の心を守り続けた()()()()()()であり、子供たちの残酷さを生み出した冷え込んだ家庭に暖かい光を送り込んできた。

 

その経験があったからこそ、教育機関としては完全に破綻して とりあえずエレベーター式で流れで通うだけの場所となった【ゲヘナ学園】で 将来に対する不安を刹那の快楽で誤魔化す無軌道な学生時代を送っている大半のゲヘナ生の心に寄り添うことができていた。

 

本当に頭がおかしい生徒なんてのは2割ぐらいしかいない。残り8割はそこまで明確な人生の目標ややりがいを持っているわけでもなく、自分の人生なんてこんなものなのかと思いながら仲間たちとつるんで面白可笑しく生きようとしている子ばかりである。それが地球でも当たり前の学生時代の青春なのだ。

 

けれども、間違っているからと言って無理やり変えようとすれば、それは相手の意志を踏み躙る侵略に他ならず、ウルトラマンが数々の侵略者から地球を守ってくれたのに、ウルトラマンに倒されてきた侵略者たちと何も変わらなくなってしまう。

 

だから、新任教師:北条 アキラは無力感に苛まれていた。これだけ頑張っているのに思ったよりも人というやつは自分から破滅の道を歩むのをあらためようとしない。本当は誰だって救われたがっているのに、差し出した救いの手を払われてしまえば、あとはそれを見ているだけなのが歯が擦り切れるほどに歯痒かった。

 

そんな辛い現実から逃げ出すかのように怪獣頻出期を終えて軍縮を迎えた時代で次代への技術継承のために許された防衛チームのライドメカに合間を縫って予備役のテストパイロットとして乗り続けて、ウルトラマンのように無限の光に照らされた大空を駆けた。

 

そして、ついにガンフェニックストライカーで大気圏を離脱して宇宙から地球を眺めた時、嗚咽と共にこみ上げてくる世界に対する絶望、だからこそ燦然と輝くウルトラマンという希望の光に心の中でめぐりあえたのだ。

 

本当はこのままだと自分自身がマイナスエネルギーの塊になりかねないので小学校の先生を辞めることを真剣に考えていた時期であり、ガンフェニックストライカーで宇宙旅行に行ってメテオール試験も行ったテストパイロットともなれば軍縮の時代においても引く手数多なので、その時は一度は入隊を辞した【GUYS】のみんなが暖かく迎えてくれるはずだった。

 

そう、自分自身が“怪獣”になってしまうことを恐れて教え子たちの前から姿を消すことに躊躇がなかったわけではない。そうすることが人類全体のためになると言い切るのは自意識過剰だったかもしれないが、それでなくとも精根尽き果てて心身共に擦り切れていたわけなので、防衛チームのユニフォームを着てコクピットに乗った途端に元気百倍になるのはどう考えても危ない状態であった。

 

けれども、もうこれ以上は頑張らなくていいと思うと、頑張ってきた過去を振り返ってみたくなるのが人間の性であり、本当に辛いことだらけの中で燦然と輝く教え子たちの喜びの表情が一際輝いていた。傷だらけになりながらも子供たちの笑顔を取り戻せた時の幸福感が蘇ってくる。

 

だから、もう涙、涙、涙、涙――――――。本当に価値あるものを後世に残せたことを誇りに思う。それが、それが、それが見たかったんだ。

 

ウルトラマンと同じ時代を生きた歴史の生き証人たちから聞き込みをして どんな人たちだったのか想像を膨らませてきた永遠のヒーロー:我らのウルトラマンにとって、それだけじゃなく自分にとって、みんなにとって、誰にとっても大切なものが何なのか、歴代のウルトラマンたちが守り続けた青く輝く地球から、悩み抜いた先に求めていた答えがついに返ってきた瞬間だった。

 

 

――――――ウルトラマンは神ではない。どんなに頑張ろうと、救えない命もあれば、届かない想いもある。

 

 

 

北条先生「でも、ウルトラマンたちはそんなことは絶対にしないんだ。自分たちがどれだけ優れた存在であるかを自覚していても、光の巨人から見ればちっぽけな地球人と息を合わせて一緒に怪獣と戦ってくれるんだ」

 

北条先生「――――――それがなぜだかわかるか!?」

 

ロボット職員「……なぜなんです?」

 

北条先生「彼らにあるのは『困っている人がいたら助ける』――――――、ただ それだけのことなんだよ! そこに善悪なんてものは要らないんだよ!」

 

北条先生「だから、僕はウルトラマンに憧れた地球人として 最低最悪の【ゲヘナ学園】の生徒たちであろうと、忍耐強く 辛抱強く 粘り強く 僕らしく接してきているんだ!」

 

北条先生「それは“怪獣(KAIJU)”と一括りにされている人類の想像を超えた“何か”に対しても同じことなんだよ」

 

ロボット職員「……だから、ウルトラマンは怪獣の親子を戦わずに宇宙に帰した」

 

北条先生「それは難しいことじゃないはずなんだよ、本当は」

 

 

北条先生「だって、自分本位で他人の迷惑なんて顧みない学級崩壊した【ゲヘナ学園】であっても、【給食部】や【救急医学部】、それに【風紀委員会】のように、たくさんの人たちのためになることを“一所懸命”頑張っている生徒たちがちゃんといるんだから」

 

 

北条先生「それがウルトラマンの心。ウルトラマンの力の源。人知を超えた力でもって目指すものは『困っている人がいたら助ける』――――――、たったひとつのシンプルな答え。守りたいもののために彼らはきっと今も広大な宇宙のどこかで戦い続けているんです」

 

ロボット職員「………………」

 

北条先生「まあ、今回のザンドリアスの親子を逃がしたことに対して非難轟々なのもしかたがないことではあるか……」

 

北条先生「僕はある意味で“怪獣(KAIJU)”とは長い付き合いの地球の生まれだから、怪獣にもいろんなのがいて、中には人類に友好的だったり、地域の守り神だったり、無関心だったりするのもいて、分類しきれない超常の全てを敢えて“怪獣(KAIJU)”と呼んでいるわけで、そういう怪獣もいることを最初から教わっているから……」

 

ロボット職員「そうですね。キヴォトス人にしてみたら、まだ怪獣災害の4つ目でしたからね……」

 

北条先生「だから、僕もまだまだだなぁ……」

 

ロボット職員「先生」

 

北条先生「答えはシンプルなんだ。1+1=2のように、立場や観念に左右されることなく、人として正しいことを貫き通すこと」

 

北条先生「基礎こそ到達点。それは勉強と何も変わらない。基礎を反復することが目標達成への到達点であり、そこから基本があり、応用があるのだから」

 

北条先生「こっちが善だの あっちが悪だの 意味のない主義主張してばかりして互いを傷つけ合う罪を重ね続ける前に、みんながよく知っている良いことを素直に実践していければいいのになぁ……」

 

ロボット職員「そうですね……」

 

北条先生「でもね、だからと言って、それで止まる僕じゃないよ。青く輝く地球が回り続けているように」

 

北条先生「ねえ、宇宙に旅立ったザンドリアスから見たキヴォトスはどんな風に見えているかな?」

 

北条先生「そう、僕はウルトラマンと同じように宇宙から地球を見たんだ」

 

 

――――――大切なのは最後まであきらめないこと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そいつは怪獣退治の専門家という胡散臭い肩書で、キヴォトス中で;特に我が【ゲヘナ学園】で大きな被害をもたらしている異常現象の原因解明に颯爽と駆けつけたキヴォトスの外から来た大人だった。

 

いや、最初は失踪した“連邦生徒会長”が置き土産に立ち上げた超法規的組織【連邦捜査部 S.C.H.A.L.E(シャーレ)】の顧問の先生として【連邦生徒会】が正式に発令した異常現象の調査という建前を得て 我が【ゲヘナ学園】を訪問したのが最初だったか。

 

まだ【キヴォトス防衛軍】も立ち上げていない頃の何の伝手もない状態で自由と混沌を校風とする【ゲヘナ学園】に単身で乗り込んできたわけで、この時はその度胸に免じて噂の“シャーレの先生”とやらに会うだけ会って丁重に追い返すつもりだった。

 

しかし、【シャーレ】の権限と【連邦生徒会】の正式な調査依頼の後ろ盾もあり、その上で【ゲヘナ学園】の自由と混沌の校風を受け容れて、先生自身も【ゲヘナ】に滞在して好き勝手にやり始めた結果、次第に先生の存在感が【ゲヘナ】で大きくなっていったのだ。

 

そう、先生という肩書から空き教室を利用して授業という体で生徒たちを集めて【ゲヘナ学園】で好き勝手し出したわけであり、最初こそは取るに足らない存在だったわけだが、いつまでもウロチョロされても目障りなので【風紀委員会】に追い出させるように考えていた。

 

ところが、【給食部】の手伝いをしていることがわかり、これによって先生が来ている間だけ学食の品質が向上しただけじゃなく、お裾分けと称してイブキをデザートでご機嫌をとってくれたことで一気に風向きが変わることになったのだ。

 

そこから【美食研究会】をも味方につけて食堂で大々的なフードイベントを開催して【ゲヘナ学園】を盛り上げた上で、普段から激務の【風紀委員会】に警備をさせる嫌がらせも行い、生徒会である我が【万魔殿】に欠かさず貢ぎ物を用意してくるのだから、見世物としても 見せしめとしても 心から楽しむことができてしまった。

 

 

――――――ああ、わかっている。あの日から【ゲヘナ学園】では【万魔殿】も【風紀委員会】もなく、先生を迎え入れた【給食部】と【美食研究会】が共催するフードイベントを通じて学園の誰もが心から楽しんで笑い声が響き合う学び舎となっていたのだったな。空崎 ヒナも笑っていた。みんな。

 

 

その間もキヴォトス中を襲った異常現象の調査を地道に進めていた“シャーレの先生”はすでに【ゲヘナ学園】で知らぬ者はいない大人となり、それから【温泉開発部】と手を組んで、ついに地底探査で怪獣:クレッセントが異常現象の元凶であることを突き止めることに成功したのだ。

 

だが、調査を依頼した【連邦生徒会】は先生の調査報告を受け容れることはなく、結果として何の対策を講じることのないまま 怪獣:クレッセントが首都:D.U.を直撃し、キヴォトスの中枢を司るサンクトゥムタワーの崩壊を招いたXデーが到来したのだ。

 

“連邦生徒会長”がいなければカカシも同然の【連邦生徒会】が滅びるのならまだしも、サンクトゥムタワーの崩壊によるキヴォトスの滅亡までは【万魔殿】としても許容できないため、我が【ゲヘナ学園】からも可能な限りの戦力を展開したが、山のように見上げるばかりの怪獣との戦力差は火を見るよりも明らかだった。

 

しかし、今まさにサンクトゥムタワーに怪獣が迫ろうとした時、流星のように現れたのが赤と銀の巨人:ウルトラマンであり、先生の生まれ故郷である地球を救ったという光の巨人がなぜキヴォトスにも現れたのか――――――。

 

 

そして、首都:D.U.とサンクトゥムタワーに甚大な被害をもたらしたXデーの後、学園都市:キヴォトスは“シャーレの先生”あらため“GUYSの先生”を中心に変わり始めることになった。

 

 

Xデーの際に無様を晒した【連邦生徒会】では災害復興と怪獣対策に向けた新体制移行のために徹底的な膿出しが行われ、“連邦生徒会長”不在で機能を停止した【SRT特殊学園】を“GUYSの先生”を軍事顧問に迎えることで新たに【キヴォトス防衛学園】として再編されることになった。

 

そこから登場することになるのが【キヴォトス防衛軍】であり、キヴォトス中の生徒たちを広く集め、キヴォトス中の資金や資材も集結させることで、キヴォトス三大学園(BIG3)である【ゲヘナ学園】と【トリニティ総合学園】による軍事同盟【エデン条約機構】を遥かに超える、キヴォトス中が一丸となって怪獣に対抗するためのキヴォトス史上最大の軍隊が誕生したのである。

 

キヴォトス史上最大の軍隊は決して張り子の虎などではなく、怪獣退治の専門家である“GUYSの先生”の指揮の下、初出撃で第2の怪獣:ギコギラーを有り合わせの無人兵器群とわずかな航空戦力と列車砲だけで追い詰める十分な戦果を叩き出したことで、その有用性を世に知らしめることになったのだ。

 

ああ、ギコギラーの撃破そのものはウルトラマンに持っていかれたが、怪獣に打撃を与えた列車砲の出処は我々【万魔殿】なので、これで【万魔殿】の恐ろしさがキヴォトス中に知れ渡ったと考えると、嬉しくて一睡もできなかった。

 

それから【キヴォトス防衛学園】を通じて長年に渡って怪獣と戦ってきた地球の優れた防災知識を広めたことでキヴォトス一斉避難訓練が行われ、包み隠されることなく総評とランキングが公表されたことにより、【ゲヘナ学園】が【トリニティ総合学園】よりも上であることがキヴォトス中に知れ渡り、【ゲヘナ学園】では祭り騒ぎになるほどだった。【トリニティ】のやつらが吠え面をかく姿が拝めて最高の気分になれた。

 

だから、我々【万魔殿】にとっても、【ゲヘナ学園】にとっても、“シャーレの先生”には良くしてもらっているわけで、“シャーレの先生”をキヴォトスに招いたことはエデン条約などというくだらん座興も放り出して全てから逃げ出した“連邦生徒会長”の最大の功績と言っても過言ではない。

 

 

――――――そう、誰もが自由と混沌を求めて暴れ回る無法地帯のキヴォトスに法の支配という幻想に縋り続けて滅びを待つだけの日々。

 

 

法だの秩序だの、そんなものはとっくの昔に死に絶えた。かつて平和と繁栄を謳歌した統一国家時代の栄光は失われ、権力闘争と汚職で腐敗しきった【連邦生徒会】にキヴォトスを統べるだけの実力はない。

 

キヴォトス一の規模を誇った【アビドス高等学校】も砂漠化に呑まれて見る影もなく、【トリニティ総合学園】も隣人愛を説きながら終わることのない派閥抗争に明け暮れ、新興の【ミレニアムサイエンススクール】には知恵があってもそれを現実のものにする時間が足りない空理空論に終止している。

 

だが、我が【ゲヘナ学園】だけがキヴォトスでも一二を争うマンモス校として今も昔も力を持ち続けていることができているのはなぜか――――――、それが世の真理だからに決まっている。ここまで刻み込まれた帰属意識は死んでも直らないだろう。それが狙いだ。

 

たとえ、キヴォトスが滅んで原初の時代に還ったとしても、その新世界で覇者になるのは法や権力に媚びを売ることなく自分のための闘争を貫ける我が【ゲヘナ学園】だ。

 

全てが滅ぶのが既定路線ならば最初から滅んだ後の予行演習をしていた方が最後には必ず勝つ。現実から目を背き続けた愚か者は淘汰される。実に単純な論理だ。【万魔殿】はそのためのものだ。

 

 

だからこそ、滅亡の未来に抗ってキヴォトス史上最大の軍隊【キヴォトス防衛軍】の軍事顧問としてキヴォトスの頂点に立った“シャーレの先生”であると同時に“GUYSの先生”である異邦人:北条 アキラのことをよく見ておこうという気になった。

 

 

そう、秩序が失われて解き放たれた無限大の自由と混沌で人々が漂流する中で未来を掴み取れる存在というのは自分の意志を貫き通す絶対の力がある者に他ならず、滅亡の運命を覆せるだけの力がなければ、超人と称えられた“連邦生徒会長”でさえも姿を眩ませたのだから、誰にもキヴォトスの滅亡を止めることなどできない。

 

そんな滅亡の淵に立たされたキヴォトスを真正面から変え始めた“先生”が持つ想像を絶する力の全てを知っておかなければならない。

 

これも滅びるのをただ待つことなく、自分の思うがままに生き、自分の思い通りにならないことも愉しみ抜く中で見つけた今までにない悦びであり、“連邦生徒会長”でも成し得なかった奇跡を起こした“大人”のやり方に目が離せなくなっていた。

 

 

――――――それが まさか キヴォトスの頂点に立った存在が願うことがあんなもの(優しさ)であったことに心底驚かされることになった。

 

 

もう笑う他なかった。純真無垢な子供でもなければ、学園同士で啀み合いを続けているキヴォトスで他校生と手を取り合うのはもはや打算以外の何物でもないことなど、誰もが知っていることだ。

 

だが、先生がそれを有言実行した結果が【キヴォトス防衛軍】なのだから、ウルトラマンを崇拝してキヴォトスに布教しようとしている信徒の熱心さとしては完全に【トリニティ】を上回っている熱量だ。“災害の化身”である怪獣の巨体を爆散させるウルトラマンの光線技の熱量と同じだ。

 

そう、そこまで貫けば先生の言う綺麗事も全て本物であり、先生がやってきたことで【ゲヘナ学園】の生徒たちが銃を突きつけ合わずに自然と集まって笑い合える日々が来たことにも納得だった。

 

 

――――――なぜなら“先生”は法の支配や善悪の概念を軽く超越した自由と混沌の体現者だったのだから。それが巷で言われている遠くの星から愛と勇気を教えてくれる先生の正体なのだ。

 

 

先生みたいな人は、初めてだ。そう、初めてだ。

 

私のことを万魔殿としても、ゲヘナ学園の生徒としても、銃を手放せないキヴォトス人としても見ながら、それ以上に“羽沼 マコト”として、非力な地球人を装って誰よりも身を挺して覆い被さった時に感じた力強さと温かさ――――――。

 

偉業は一夜にして成らず。運命を覆して先生がキヴォトスを変えてみせるのなら、この私も絶対にあきらめないことにしたからな。

 

さあ、先生。この私と遠大な夢を叶えようじゃないか。滅ぶか、滅ばないか、そこには善も悪もない。叶うべきではない野望の果ても、目指すべき理想の未来も、私と先生となら全てが意のままだ。

 

そして、いつか必ず先生を私のものにしてみせよう。その時に捧げられるのは祝福の花か、埋葬の花か、そのぐらいしか結果はちがわない。

 

これからの全てを共に愉しんでいこうじゃないか。今から覚悟しておくがいい。

 

キキキッ、キシシシシシシッ!

 

 





-Document GUYS feat.LXXX No.04-

だだっこ怪獣:ザンドリアス 登場作品『ウルトラマン80』第4話『大空より愛をこめて』登場
『ウルトラマン80』自体がマイナー作品扱いで、作品を彩る怪獣もまた押し並べてマイナー怪獣しかいない扱いだったが、
平成に入ってから『ウルトラ怪獣擬人化計画』により大きく知名度を上げることになり、結果『80』を代表する怪獣の一角にまで成長したという円谷プロダクションのシンデレラとして有名である。
近年のシリーズでは長らく日の目を見なかったセブンガーやガヴァドンAといった過去作の怪獣たちにスポットが当てられて知名度が上がる機会が増えてきているが、その先駆けになった存在と言っても過言ではないだろう。
クラウドファンディング企画で着ぐるみを新造した際は、ザンドリアスの登場エピソード放送から37年が経ったことに因んで目標金額は37万円だったが、最終的に集められた金額は1,439,640円;目標金額の389%もの額が集まり、大盛況のうちに幕を閉じた。

広大な宇宙を放浪しながら生活を送る、渡り鳥のような習性を持つ宇宙怪獣。
両腕は翼になっており、全体的なシルエットは翼竜やワイバーンに近く、ここまでなら先に登場した宇宙怪獣の羽根怪獣:ギコギラーと大差ない存在であった。
しかし、凶暴そうな面構えをしているが、意外にも性質は大人しく温厚で、こちらから攻撃を加えない限り攻撃はしないため、人間を目にしても積極的には襲おうとはせず、むしろ興味深そうに人間たちを観察しているかのような描写もあった。

能力は『80』に登場した個体は口から吐く炎のような熱線:ヨルゴビームを放つ。
また、頭部に生えた角で母親と電波で交信することができ、これによって親子連れで広大な宇宙を股にかけて放浪することが可能となっている。その交信距離は驚嘆に値する。
大気圏内では翼を広げてマッハ9のスピードで飛行する他、宇宙空間では隕石状の形態となり、マッハ20で宇宙を駆ける。
また、地中を掘削して移動することも可能であるため、立ち寄った星星の地中で休眠している模様。


親怪獣:マザーザンドリアス 登場作品『ウルトラマン80』第4話『大空より愛をこめて』登場
だだっ子怪獣:ザンドリアスの母親の個体。子どもの個体と区別するために便宜上「“マザー”ザンドリアス」と呼称されている。
容姿は子どもとほぼ同じだが、成体ということもあってか体格はやや大きくがっしりとしており、翼も子どものそれと比べて大きい。顔に生えた角や突起もより大きく発達しており、子ども以上の強面である。

子供とは異なり、光線は眼から放つようである。
また、目は赤外線レーダーとしての役割も持ち、子供と会話する時は鼻先の角から特殊な音波を出す他、側頭部の角は息子とテレパシーで交信する際に使用される。
大気圏内での飛行速度はマッハ10であり、ウルトラマン80のマッハ9よりも速く、翼で強風を起こすことも可能。
子どもと同様、基本的には温厚な性質だが、拗ねた子供を追いかけて地球へ飛来した際に地球防衛軍アメリカ支部から攻撃を受けたため、これを返り討ちにして全滅させるという圧倒的な戦闘能力を発揮しており、
これによって、その前に地球に飛来して防衛チームに弱点の背中を攻撃されて一度は撃退された羽根怪獣:ギコギラーが宇宙怪獣の中で弱っちい部類であることが浮き彫りとなってしまった。


親子で宇宙空間を旅していた最中、何らかの理由でケンカになったらしく、母親の元を離れて地球へと降り立ち、宇宙にいる母親へ向けて音波を発した後、地中へと身を隠した。
その後、マザーザンドリアスは我が子を連れ戻そうと地球に飛来し、迎撃に乗り出した地球防衛軍アメリカ支部と交戦してこれを全滅させた後、子どものいる日本にやって来る。
一方、ザンドリアスは母親からの音波を無視して地中に隠れていたものの、母親が自分のいる場所にどんどん近づいてきたために地上に姿を現した。
一度はやってきた母親共々UGMから攻撃を受けてしまったものの、音波の解析により母親が子供を連れ戻しに来ただけであることが発覚、双方とも無害な怪獣であることが判明したため攻撃は中止された。
その後、マザーザンドリアスは子どもをどうにか説得しようと試みたのだが、ザンドリアスは母親が話しかけてもそっぽを向くばかりで一向に言う事を聞いてくれないために途方に暮れる。

そんな彼女たちの目の前に突如ウルトラマン80が現れ、マザーザンドリアスへと攻撃を加えた。

もちろん80はマザーザンドリアスを倒そうという気は毛頭なく、自分を共通の敵に仕立て上げることで親子を仲直りさせようと考えたのだ。
80の目論みは見事に的中し、ザンドリアスは母親を攻撃されたことに怒り狂って共に80へ応戦。
これがきっかけで無事に仲直りを果たし、最後は仲良く宇宙へと帰って行った。
防衛チームの攻撃で一度は月まで逃げ出した凶暴な宇宙怪獣の羽根怪獣:ギコギラーとは何から何まで正反対の展開であり、
怪獣に感情移入して攻撃中止するUGMや自分を汚れ役にして親子喧嘩の仲裁をするウルトラマン先生の怪獣への理解の深さが光る回であった。




本作に登場したザンドリアス親子は幼体であるベビーザンドリアスと一回り若いヤングマザーザンドリアスであり、ドキュメントUGMで予習していたとしても、怪獣の幼体や成長期の個体というのがレアケースのため、ベビーザンドリアスの正体がわからず殺処分か保護かの選択に怪獣退治の専門家である北条 アキラが悩んでしまうところがポイントとなる。
結果としては、凶暴な宇宙怪獣(笑)の羽根怪獣:ギコギラーよりも遥かにヤバい被害をもたらしながらも本質的には温厚で無害な怪獣であったのが過去の事例であるため、1つの学園が反撃で消し飛ぶ前に力技で何とか年若い親子を再会させて宇宙に旅立たせたスピードクリアとなった。

しかし、怪獣への理解がないキヴォトス人からすると、ウルトラマンは怪獣だったら何でも倒すものだと思っていただけに、防衛システムから怪獣を守って宇宙へと逃がす行為が賛否両論となってしまった。
そのことがウルトラマンに依存しない防衛体制を構築する議論を盛り上げることになり、巨視的にはキヴォトス中が団結して怪獣災害に立ち向かう流れがまた一歩前進したため、ウルトラマンに頼り切りにならずに独立するために必要な過程となった。
逆に、怪獣は必ずしも倒さなくてもいい可能性があることを提示したことにもなり、怪獣と交戦状態にならなくてもかかってしまう莫大な防衛費を考えると、怪獣を倒さずに済んだ今回の具体例が怪獣災害に対する新たな突破口を開くことにも繋がった。
そして、その考えは戦うしかないと思われていた身近な相手に対しても適応されることになり――――――。
そういう意味では今回は非常に地味な回であったが、キヴォトス人が抱くウルトラマンと怪獣に対する1つの誤解が解かれた重要な回でもあるのだ。
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