居候がおやつ感覚でトンデモ能力渡してくるヒーローアカデミア   作:鳩胸な鴨

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もってくれよ体!本日4本目だぁ!!


システムケルブ

オールマイトとの邂逅から1ヶ月。

例の海岸にて、体を冷蔵庫に括り付け、出久は全力で踏ん張る。

その体には赤い光の筋が走り、個性が発動しているのが見てとれた。

 

「ふぎぎぎぃ…っ!?」

「頑張れ!熱いのをぎゅわって感じにやって、ぶわーってするんだよ、少年!」

「お、オールマイトぉ…!

も、もうちょっときちんとしたアドバイスをぉ…!」

「……教え方下手クソ過ぎない?」

「ぐふぅっ!?」

「オールマイトぉ!?」

 

ミオの一撃に吐血するオールマイト。

ソレによって集中が乱れたが、出久の足が音を立てて破裂した。

 

「あだぁっ!?」

 

何を隠そう、ワン・フォー・オールにはあるデメリットがあったのだ。

これまでに溜め込んだ力が大き過ぎて、出久の体では全力で使えないという、無視できない大きなデメリットが。

もしも〈灼爛殲鬼〉を受け取っていなければ、今頃は入院生活まっしぐらか、最悪、両手両足が吹き飛んでいたかもしれない。

そんなことを思いつつ、炎で傷口を再生させ、出久は再び体に個性を走らせる。

 

「……ラタトスクに手伝ってもらった方が早いんじゃ?」

「同じ個性の私の方が、的確なアドバイスができると思ってね!」

「出来てる自信あるの?今ので???」

「………ないですハイッすみません…」

 

半目で睨め付けるミオの視線に負け、しおれるオールマイト。

どうやら自覚はあったらしい。

ミオはため息を吐くと、出久に声を張り上げた。

 

「〈贋造魔女〉の感覚で使っちゃダメ。

心臓から、じんわりと、熱を薄く広げていく感覚で使ってみて」

「わ、わかったぁ…!

……あ、これ痛くないかもぉ…っ!」

「あなたのアドバイスをわかりやすくするとこんな感じ。

もうちょっと教え方勉強しよう?」

「……隠喩はわからないのに、要約はできるんだな」

「シバくよ」

「シバいてから言っても!!」

 

トップヒーローの脳天を殴れる女子中学生が果たしてどれだけいるだろうか。

ぎゃあぎゃあと冷蔵庫の上で騒ぐ2人の声をかき消すように、出久の踏ん張る声が海岸に響いた。

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

目指せ合格、アメリカンドリームプラン。

 

オールマイトが打ち立てたそのプランははっきり言って、地獄そのものだった。

出久の体を仕上げるためとはいえ、受験勉強をこなす傍らでやる運動量ではない。

加えて、出久には決定的なまでに個性を使うという経験値が足りなかった。

個性の制御訓練に加え、基礎を固めるための筋トレ、そして肝心の受験勉強。

 

「イズク、次はあそこ」

「わ、わかった…」

 

地獄である。しかもそこに、世界を救うためのデートが挟まれる。

もう一度言おう。地獄である。

 

ぶっちぶちに筋繊維が破壊され、それが炎で修復される感覚に、出久はため息を吐く。

再生のサイクルが早いのは助かるのだが、これが地獄に拍車をかけている。

そんなことを思いつつ、出久は隣を歩くミオへ目を向けた。

 

「ミオは高校どうするの?」

「雄英の普通科に行くつもり。

イズクといつでも会えるもんね」

 

合格する前提か。

これは頑張らないとな、と思いつつ、出久は空を見上げる。

 

そこには、昨日までは存在しなかった「モヤのような球体」が鎮座していた。

 

「……僕まだ、5つ目貰ってないよね?」

「ないね」

「…………あれ何?」

「システムケルブ」

「………………なんで!?!?」

 

システムケルブ。

精霊の力が五つ以上一点に集まった時に発動するはずのそれを前に、出久が素っ頓狂な声を上げる。

ラタトスクも感知しているのだろうか。

出久は慌てて携帯を取り出すと、ある番号に電話をかけ始めた。

 

「……あ、もしもし神無月さん!?

なんか空中に変なのがあって……」

『あっ、そこしゅごいっ!!』

「……あんた何してんです?」

『おや、緑谷くんの声…?

ああ、はずみで出てしまったんですか。

すみません、だらしない乳の新入りに折檻をしてたところでして』

『誰がだらしない乳だ誰がァ!!』

『あはんっ!?』

「……………っすぅー…」

 

ナガンの怒号と共に響く男の嬌声に、出久は眉間の皺をほぐす。

ラタトスクは何を思ってこいつにそれなりの地位と権力を与えたのだろうか。

これ以上喋りたくない。猛烈に。

盛った猿のように下品な声を漏らす男…神無月恭平に、出久は淡々と状況を吐き捨てた。

 

「空に妙な球体が見えます。解析してください。以上」

『了解!!』

 

びっ、と電話を切る出久。

なんというか、この数秒でどっと疲れた。

出久はため息を吐くと、周囲の様子を確認する。

 

「…誰も混乱してない。

僕たちにしか見えてな…」

「緑谷少年がァ、居たーーーッ!!」

 

ずどどどっ、とオールマイトが凄まじいスピードで駆け寄り、出久の前に止まる。

オールマイトは彼の肩を掴むと、宙に浮かぶ球体を指差した。

 

「緑谷少年、アレ、何…?

なんか知ってる…?」

「え?オールマイトにも見えて…?」

「いや、周りが見えてないっぽいから見間違いかと思ったんだけど、なんか明らかに…」

「……もしかして…、僕とオールマイトの個性になんらかの繋がりが…?」

 

そうとしか思えない。

ワン・フォー・オールはオールマイトから授けられた個性。

オールマイトの体にはその残火が燻っている。

そこになんらかの経路(パス)があって、出久の体にある個性と繋がっているとしたら。

だとしたら、認識できないはずのシステムケルブがオールマイトに見えても不思議はない。

 

「システムケルブ。

私の力を五つ以上取り込んだ存在が現れた時、その器が力を持つに相応しいかテストするシステムだよ」

「じゃ、アレは緑谷少年が…?」

「いや、違う。私の力はまだ四つしか渡してない。

考えられる原因は…、『ワン・フォー・オールが私の力に匹敵する個性だった』んじゃないかな?

事前に〈囁告篇帙〉でワン・フォー・オールについて確認しとくべきだった。ごめん」

 

8代にわたり、受け継がれてきた個性だ。

精霊のような力を有していてもなんら不思議ではない。

謝るミオに、オールマイトは続けて問うた。

 

「テストって、何するの?」

「端的に言えば、その力の源である私とデートすればいい。

…でも、一つ懸念事項がある」

「君が言うとすごーく不穏だけど、トップヒーローとして聞いとくね」

「システムの方も希薄ではあるけど、心があるんだ。

私の力で構築されたものだからね。私の心とほぼ同じものがシステム内に生まれる。

私は他の女とデートしてるイズクを見て嫉妬しないような女じゃないよ」

「………つまるところ?」

「現れた時点で大暴れ確定。期限は3日後だね。頑張れヒーロー」

「「嘘ォ!?!?!?」」

 

アレが大暴れ。すなわち、街一つが更地。

ダラダラと冷や汗を流す師弟を前に、ミオは言葉を続けた。

 

「私ならあのシステムを消すことはできるけど…、加減がわかんなくて街ごと消える。

それくらい強い。ごめんね」

「………私、ちょっと他のヒーローに協力仰いでくるね」

「多分無理。見えてないもの」

「ホーリーシット!!!」

 

八方塞がりとはこのことか。

受験前に襲った更なる困難を前に、出久はがっくりと肩を落とした。

 

「……一緒に頑張りましょう…」

「無くなった胃が痛い…。

これってもしかして、幻肢痛…?」




神無月恭平…みんな大好きすごい変態子安。変態だから強いのか、強いから変態なのか。ナガンのことを「だらしない乳のオバハン」となじり折檻を受けてる最中だった。

レディ・ナガン…変態セクハラ上司に苦戦中。がんばれ。


ヒロアカ作品だと赤になったと思った途端に橙になる。がんばる
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