居候がおやつ感覚でトンデモ能力渡してくるヒーローアカデミア 作:鳩胸な鴨
不法投棄が問題になっている海岸にて。
押し切られるように三つの力を受け取ってしまった僕は、その惨状の結果とも呼べる光景を前にして愕然とした。
まず出た感想としては、真っ黒焦げなトーストを前に「HAHAHA!やっちまったなこれは!」と天を仰ぐ外国人らしく、ヤケクソじみたものだったと思う。
次に出たのは後悔。
片付けどうしようとか、どうやって言い訳しようとか、そんなもの。
最後に出たのは、呆れ。
ミオの力は凄まじい。そんなこと、とうの昔にわかりきっていたくせに。
30%程度だからとどこか甘く見てしまった。
「………掃除してたのにさらに掃除する羽目になるの、なーぜだ?」
「イズクがやらかした」
「……全くもってその通り」
炎に焦がされ、溶けた砂浜。
照らされ、煌めく氷柱の数々。
そして、乱切りにされて転がる粗大ゴミ。
どうしたもんかなぁ。
どこか他人事のように思うも、やっぱりそれは僕がやったとしか思えないもので。
非情な現実に、僕はがっくりと項垂れた。
♦︎♦︎♦︎♦︎
なんとか痕跡を誤魔化した僕はノートを床に広げ、ミオと向き合う。
もう二度と、使って試そうなんて思わない。
そう心に誓った僕は、首を傾げるミオに口を開いた。
「まず、手札を整理しよう」
「〈
「知性ある存在が扱っちゃダメな類だから、渡すなら最後にして」
「はーい」
なんてもんを渡そうとしてくるんだこの子。
そんな「この本使うー?」みたいな感覚で好き勝手に編集可能なアカシックレコード持ってこないでくれ。
いつかは受け取らなきゃいけないのかぁ、と呆れつつ、僕はノートのページを三分割していく。
「まずは第一に、〈
炎を操り、ほとんど蘇生じみた再生能力を施す…ってのはわかるんだけどさ。
それだけじゃないでしょ、これ?」
「本体を出したらもっと凄いことになるよ」
「ごめん待って」
本体って何?初耳。
どうせ碌でもない情報の塊なんだろうな、と思いつつ、僕はミオに説明を促す。
「一言で言えば、大砲にもなる斧?」
「…具体的にどのくらいの大きさか教えてもらっても?」
「イズク2人分?」
「少なくとも2m超えてるんだ…」
そんなもん持ち上げられないんだけど。
かっちゃんにコンマ6秒という、腕相撲大会でしか見ないような素晴らしい記録で大敗を喫したんだぞ。
鍛え始めた僕の自信を粉々に打ち砕いたこの細腕を見てくれ。持てるか、そんなの。
そんな僕の視線を悟ったのか、ミオは首を傾げた。
「誰でも持てるようにしてるよ?」
「あ、そうなんだぁ…」
持てるのね、うん。
炎による攻撃、斧による物理的攻撃、炎を圧縮して放つレーザー、炎による回復と。
羅列するだけで物騒だ。
今どきのプロヒーローも、ここまで殺意全開なのはそうそう見ない。
…いや、どうせかっちゃんは殺意マックスだろうけど。
他のも似たようなもんだろうなぁ、と思いつつ、僕は二つ目の能力に目を向ける。
「〈
シンプルな剣だったけど…、やっぱりなにかある?」
「これ一本で世界の壁も切り放題だよ」
「そんな力あんの!?!?」
「やってみる?」
「やりません!!!」
どうしよう。粗大ゴミ切った時、時空に歪みとか生じてないよな?
確認しようもない不安に戦慄くのも束の間、僕はその不安から目を逸らし、鏖殺公の情報をまとめていく。
特筆すべきは斬撃と機動力。
斬撃は言わずもがな、その鞘となる玉座はボード状の乗り物にもなるようで、これに乗って高速飛行することも可能。
更には剣と合体させることで『
もうこれだけでお腹いっぱいなんだが。勘弁してくれ。
そう言いたいけどあと八つあるんだよな。
僕が知ってるのを除けば、あと三つあるんだよな。
現実ってままならない。
「次は…、〈
こっちは氷だったけど、傀儡っていうからにはなんか出るの?」
「うさぎさん」
「うさぎさん」
「うん。本気出せばビルくらいの大きさになるうさぎさん」
「もう怪獣だよ」
それがあんな冷気撒き散らすの?怖っ。
フルサイズでは使わないなぁ、と思いつつ、僕は三つの力について考察を巡らせる。
「でも、これがデメリットなしで扱えてしまうのはどうなんだ…?エンデヴァーも炎を使いすぎると身体機能が低下するっていう弱点があるのに、僕の場合は力に体が最適化されている…。いや、待て?もしかすると逆?…そう考えると、そもそもミオが作る宝石ってなんなんだろう?力を閉じ込めたものだとしても、正直なんでもありなミオと比べたらかなり見劣りするというか、個性の範疇にギリギリ収まりそうなのも気になる…。これ、本当にミオの力の3割なのか…?」
「まんま渡そうとしたら、義母さんに『危ないからメッ』って言われた」
「…………ああ、うん。そうなんだ…」
そんな積み木を投げる子供に言い聞かせるみたいな経緯でデチューンされたのか。
いや、出来てないけど。
………ん?ちょっと今おかしくなかった?
「義母さん…?お、おかしいなー…?
あの、母さんのこと、今まで名前呼びだったよね…?」
「外堀から埋めてくといいよって」
「畏れ多すぎるけどその選択肢が世界にとってベストなの反則だと思う」
多分、他に興味移らないだろうしな、彼女。
ため息を吐いていると、ニュースアプリからの通知が響いた。
この時間帯に通知が来るのは珍しい。
おそらくは速報。新しいヒーローのデビューとかかな。
そんなことを思いつつ、僕はミオに断りを入れてスマホを開く。
『海岸に残る個性使用跡!!犯人は一体!?』
僕はスマホを閉じた。
半分くん…なんか身に覚えのない容疑がかけられてびっくりした。犯人に強い対抗意識を持つ。
緑谷出久…お腹痛い。これと同等の出鱈目がまだあるんだと辟易中。知らない間に後のクラスメイトから敵意を向けられることになる。まだ顔も知らないのに。