元ヒトのインクリング   作:ノリと勢い

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いっけな〜い、時系列を把握していなかった〜(致命的)

 

 

 

 

 ボチョウォン……(マンホール通過音)

 

 

 独特な効果音がするマンボールを抜けると……

 そこは、雪国でした。

 又の名をタコツボバレーと呼ぶ。

 

 えー、なぁにが悪かったんでしょうかねぇ…

 誰もぉ………居ませんでしたぁ…

 

 

 ……………なんでぇ?(思考放棄)

 

 

 

 

 

 さて。一応知らない人に説明しとくと、スプラには初代、2のどちらにも【マンホール】という、イカ状態になるとタコ(オクタリアン)のアジトへ行くことの出来る通路があるのだ。

 そしてマンホールへ入るとイカ(インクリング)の前線基地がある。ある筈なの。ある筈なんです!!信じてください!!

 

 

 本来ならばそこには小さな小屋(基地)と、過去に起きた大戦争で軍を勝利へと導いた伝説の部隊、【カラストンビ部隊】を率いていた偉人である【アタリメ司令】が居る。ちなみに本名はアタリメヨシオ。

 

 

 ………………いる…筈……なんだけど。

 

 

 

 

 

 

 いや、どないしろと?

 

 

 そもそもアタリメ司令が居ない事は想定していなかったからこんな時どうすればいいか分からないの!

 笑えば良いと思うよ。

 うるせえ!笑えるかこんなもん!!

 

 仕方無い……レギュラーマッチに潜るか?

 あっそうだ(唐突)この現実と化したスプラトゥーンの世界では、どんなプレイヤーでもランク1から始まるのは原作通りだけど、ブキ、ギアは自由に使って良い。ショップでは買えないけど。

 

 だから俺も持ってきたブキはわかばじゃないし別のギアを付けてたんすね。はえー。

 

 で……どうするか。ガチマに潜る?

 ガチマはランク10から開放だから出来ない。故に論外。選択肢に入れんなバカ。

 

 それもこれも全て大誤算のせ「ヌ、誰じゃ?」

 

 …っ。

 

 そう声が聞こえた方向へ視点を向ければ、長い白ヒゲを顎に蓄えたシワシワのご老人。見るからに細い足で悠々と向かってくるは、120年前の英雄である。

 …………俺の記憶の中と変わらないアタリメ司令が、縁側へと歩いてきていた。

 

 

 

    ………この人"強い"

 

 

 

 

 立ち姿を見ただけで理解できるほどに隙が無い。一応俺も都会に出るにあたって相当仕上げてきた筈なんだけど。

 …………こんなにシワッシワの老人を目の前にしているのに、勝てる気がしない。俺の祖父の姿が重なる程までに。

 

 これが年の功。………………これが、『英雄』か。

 

 

 ……………自信無くしちゃうんだけど。

 

 

 

 

 

 …いや、気を取り直せイサキ。大切なのはここからだ。

 返答の仕方によって、最悪の場合タコの味方だと思われて駆除されるかもしれん。万に一つとはいえ、万に一つ起こり得るならば警戒したいのだ。

 

 この世界のイカがバトル以外でデスしたときにどうなるか。それは紛い物の死ではない、本物の死だ。

 流石に二度目はご遠慮したい。

 

 

「………突然の訪問、失礼しました。」

 

「よいよい、気にせんでくれィ。」

 

 

 そうひらひらと手を振り、にっこりと微笑む司令。もっとも、目の中が笑っていないせいで俺にとっては悪魔の笑みにしか見えないが。

 ……中途半端に強くなったの、失敗だったかな。

 

 

「早速じゃが……………」

 

 

 …っ………!?

 これに続く言葉で、今後が決まる。何だ?頭を回せ。どんな言葉が出る。出直してこい?っ…駄目だ、纏まらない。

 

 

「おハギ、食べるか?」

 

 

 

 

 はい。

 

 

 

 

 

 

 

 …………………………はい?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほっほっほ、そうか、そうか。それは大変じゃったのゥ。」

 

「ええ……まぁ。」

 

 

 縁側で横並びになり、英雄であるアタリメ司令と共におハギを食らう俺の姿はさぞ滑稽な事だろう。自分が今ちゃんと笑えているのかさえも分からない。

 そう、分からない。今司令が何を考えているのかが分からないのだ。殺すのならば恐らく既に殺しているだろう。少なくとも敵対はされていない…筈だ。目も笑っている……様に見える。

 

 この目が偽物なのだとするなら、俺はもう何もかも信じられなくなりそうだ。

 

 

 

「……………………」

 

 

 

 

 っ…くそ、頭が回らなくなってきた。極度の緊張からか?いや、脱水?いずれにしても回復を……どうする?ここから一度離れるのか?いや…………

 

 

 

 

「………おヌシ、シオカラ節は好きかの?」

 

「っ!?………は、い、とても好きです。」

 

 

 ……肝が冷える。心の臓を掴まれる様に鋭く…しかしぬるりと、違和感が無い程に滑らかに頭へ流れ込んでくる言の葉に、自然と本音が漏れる。

 

 あぁ、大好きだ。転生する以前から、今世での小さな頃から幾度となく脳内で反芻してきたとも。

 生きる理由……とまでは言えないが、それに近しいものではある。と、思う。なぜ、と問われれば………

 

 

 …………………それは。

 

 

 

 

 

 

 

 それは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうかのウ……なら、悪い奴ではないかの」

 

 

 ………おかしい、あまりにもあっさりすぎる。

 

 

 

「え………あ、え………ありが」

「どうしてこんな簡単に信用するのか、それが分からなくて怖いのかのゥ?」

 

 

 そ、う……ですが。………なんでしょう。

 

 

「おヌシはシオカラ節が好きなんじゃろゥ?」

 

「……っ…?…………………!……………はい。」

 

 

 そうだ、そうだった、原作での

 

 

『シオカラ節が好きなヤツに───────』

 

 

 

 

 ……………あの言葉。

 

 

 

 

 

 

 

「『───────悪いヤツはおらん。』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺、やっぱSplatoonの世界に来たんだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






「ヌシの名は?」

「ジンドウイサキでございます、これからよろしくお願いします」

「堅苦しい、もう一回」

「イサキです、どうぞよろしく願います」











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