歩く地獄は透き通る世界で何をなす   作:悪の根源

12 / 28
黄金のレガシー楽しいですね。
遅れて申し訳ないです


砂漠を行くは嘗ての記憶か

アマゾンから普段の移動用に連邦生徒会に申請して、使用している六輪のトラックで度々数年は更新されていない地図を見てはまた走らせる。

 

「チッ…流石に数年前では意味もないか…」

 

地図に載ったアビドス自治区の公道を塞ぐように砂道が続いている。

周辺は砂漠化が進行し、公道に沿うように建っているビル群がここ暫く誰も利用した形跡もなく砂に飲み込まれている。

これでは学校どころか第一村人を発見することすら厳しいかもしれない。

 

(…ボナ・デア砂丘を思い出す)

 

 

ボナ・デア砂丘。

ルビコン解放戦線の超大型陸上艦ストライダーが練り歩くベリウス西部に存在する地域。

アビドス自治区と同じ砂丘の名の通り砂に覆われビルではなく大小さまざまな岩が露出し所々に解放戦線の補給地点なのか、燃料タンクなどが配置されている広域のエリアだ。

元々ベイラムもベリウス地域をメインにコーラルを探していた為、そこを練り歩くストライダーが俺達星外企業に対して移動要塞化を図ったコーラル採掘艦であることから目をつけてはいた。

と言ってもMT部隊でストライダーはなんとかなる相手でもなく、レッドガン部隊も支配領域拡大のためアーキバス、壁やガリア多重ダムの解放戦線両陣営に攻勢をかけていた為にACも割けずといった頃にG13によってアーキバスからの依頼であるもののストライダーが撃破されたことでボナ・デア砂丘の外縁でちまちまとストライダーの砲撃射角外で採掘しなぜか石油を掘り当てたり、防衛拠点整備に必要なコンクリートの原材料である砂を回収したり等を行っていた部隊が占領作戦を開始したりなどあった。

 

過去に思いを馳せながらなんともならん状況に、一旦の撤退も視野に入れ始めつつ水分補給用に持ってきた水を飲んでいるとトラックのミラーに眩しい反射光が入る。

先程まではなかった事から太陽光を反射できるくらいには手入れされた何かが移動してきたようだ。

 

それはロードバイクの反射光だった。

どうやら手入れされてピカピカに磨かれたフレームが反射光を放っていたようだ。

そしてもちろんロードバイク単体だけで道路を爆走するなんてわけがなく、いや、ミレニアム・サイエンス・スクールならあり得るかもしれんが。

制服を着た少女が乗っていた、ルビコンでは見ない獣耳をつけた娘だったが、今のレッドガンには獣耳どころか角やら羽やら尻尾やらのオンパレードだ。

今更獣耳付いてるだけなぞ気になるわけがなく

 

「そこの娘!アビドス高校に行きたいんだが道がわかるか!地図が役立たん!」

 

トラックの窓を開けて意外にも近場まで来ていた娘に窓から顔を出して聞く。

少女はそのまま近づいてきて横にピッタリとロードバイクを止めるとこちらを見つめてくる。両目の色が違う、オッドアイと言うやつか。獣耳、オッドアイは流石に初めてかもしれん。

後この娘こんな砂漠にマフラーをつけてやがる、茹でダコによくもならないものだ。

 

「ん、アビドスはこっち、このままだと砂漠に出る道だよ」

 

「なに?この地図はこっちだと言っているが…」

 

娘が真反対の方に親指を立てて方角を示す、地図を今一度見るとやはり真反対の方であり、このまま進んだ先にアビドス高校本校があるようだが…

 

「ん……本校の方は砂漠化が酷くて…、今は分校の方にいる。」

 

 

「なるほどな…、道理で真逆の訳だ」

 

どうやら本校に行く道としては間違いではなかったらしい、だがおそらく砂漠化ということは砂に埋もれたのだろう。だからこそ分校に移動しそっちが今は本校扱いなのだろう。

 

「そう。アビドスになにか用があるの?」

 

「あぁ、アビドスからシャーレへの支援要請を受け、まずは間に合せの物資の運び込みと本格的な物資支援の為の契約を取らんといかんからな。」

 

「ん!……受理されたんだ、意外…。」

 

娘は嬉しさ六割、驚き四割混じったような顔をする。

おそらくこれまでも連邦生徒会に支援要請自体は何度かしていたんだろう。だがこの廃れ具合だ、対した援助もされず、おそらく今回の援助申請も藁にも縋る思い…だっただろうか?

とある星で使われた言葉に微かに縋れるものにも縋るという意味だったはずだ。

 

「その反応、貴様アビドス生だな?すまんが先を急ぐ。ロードバイクは荷台に積んでいいから道案内を頼む」

 

「…わかった。お願いね」

 

トラックの荷台にはまだ少し空きがあるロードバイクを積み込ませて助手席にその娘を乗せてん、ん、んと度々言う娘の指示に従いバッテリーが熱で上がらないように速度に気をつけながら分校を目指す。

 

 

 

 

 

 

 

 

暫く走ると、立派なアビドスの校舎に辿り着く。

分校だという話だったが木星、いや太陽系にあった学び舎よりかは立派だろう。

俺が生きた木星では校舎とは学び舎という名前だった。

家を改造した程度の小さな建物の中で少人数で未来が約束された金持ち共の道楽程度が基本だった。地球では今でもまだ校舎というものがあるらしいが行ったことがないため俺が知ってる校舎と言えばミレニアム・サイエンス、トリニティ総合学園、ゲヘナ学園の三校程度だったのだがそれよりこじんまりしたものの立派だろう。

 

「アビドス高等学校へようこそ、ちょっと汚れてるけど歓迎するよ」

 

「いや、たった5人程度でここまで維持できているなら素晴らしいものだ。」

 

「そうかな、そうかも、うん。」

 

トラックで道案内されている間に名前を教えてもらった砂狼に言葉を返しつつ、トラックの荷台からカートを出して一部の弾薬、特に消費の激しいらしいアサルトライフル系の弾薬とガトリングガンの弾薬を優先して引っ張り出し『アビドス廃校対策委員会』と貼り紙された教室に辿り着く。

 

「ただいま」

 

「あ、おかえり、シロコ先ぱ…い?」

 

最初に砂狼を出迎えた黒髪獣耳の娘が、その砂狼の後ろでカートを引いている俺を見て石のように固まる。

 

「うわっ!?誰ッ!?その大人誰ッ!?」

 

「人に誰と聞くならまず自分からと学ばなかったのか貴様」

 

「わぁ…シロコちゃんのおじいちゃんでしょうか?」

 

「どう見ても俺は白髪で、砂狼のような灰色混じりの銀色ではないだろう。」

 

「も、もしかしてシロコ先輩…サイクリングにのめり込みすぎて専用講師呼んじゃったんですか!?専用講師にお支払いできるお金なんてないですよ!?」

 

「おい、眼鏡っ子。確かに俺は鍛えているが俺はサイクリング初心者だぞ。」

 

「えッ!?そうなんですか…?それは失礼しました…ではシロコ先輩のサイクリング仲間の募集を見て…?」

 

ギャーギャー思い思いの事を騒ぎ立てる娘たちを見てG4、G5の影が脳裏をちらつく、特に今は彼奴等も小娘になっているせいでより濃く騒がしい馬鹿どもの姿が。

 

「はぁ…そろそろ要件を言ってもいいか?」

 

ギャーギャーと未だにじゃあシロコ先輩のお父さん!?え!?ついにシロコちゃんのパパが迎えに来たんですか?よかったでちゅね、シロコちゃん!やらワイワイしている娘たちにため息を吐きつつ一応は緊急ということで来ているので支援物資の最初の受け渡しは急ぎがいいだろう。

というか先程髪色で親族関係は否定しただろう。親族関係から思考を離せ、思考を。

 

「うん、この人は砂漠で迷子になってたお客さん。おじいちゃんでもお父さんでもないから。」

 

「誰が迷子だ、ちゃんと地図は読んで地図通りに来ていたろうが。」

 

「わぁ…お客様が来るなんて、いつ以来でしょう。とっても久しぶりですね」

 

「そ、それもそうね。お父さんじゃないのね…」

 

「あれ?でも来客の予定なんて入ってましたっけ…」

 

「予定も何も手紙を出したのはお前たちだろうが」

 

えー?とぱらぱらと胸ポケットから取り出したおそらく予定の書き込まれているだろう、使い込まれた少し古くなっている手帳を見ている眼鏡娘を尻目に弾薬を乗せているカートを教室の真ん中にある机の横につけて

 

「連邦捜査部【シャーレ】の顧問、レッドガンG1ミシガン。お前たちの要請を受け一足先に支援物資を持ってきた!」

 

「え…えぇ!?連邦捜査部!?連邦生徒会からっていうことですか!?」

 

「シャーレの顧問…噂の先生!?」

 

「うん、色々他にもあるみたいだけど必需品だけでもすぐに持ってきてくれたみたい。」

 

「わぁ☆良かったですね!アヤネちゃん!」

 

「はい!これだけ弾があればまだ少し余裕が出ますし先にということはこれから補給品が幾らか送られるということですよね?」

 

「あぁ、急ぎですぐ用意できるやつだけ先にという形だからな、少しすればまだまだ来る予定だ。」

 

「あ、ホシノ先輩にも教えてあげないと…補給が受けれますよって…あれ?ホシノ先輩は?」

 

「委員長なら隣の部屋で寝てるよ、私起こしてくるわね。」

 

上から眼鏡娘、獣耳娘、砂狼、色々とでかい娘の順で喜んでいる。殆ど兵站が尽きかけていたのだろう。

おそらくこれまで数日の世話で見た程度だがレッドガン部隊の小娘になった奴ら二小隊が全力戦闘で撃ち合っても5試合程度できるだけの弾薬は持ってこれた。

ガトリングガン持ちなんて、ケネベックのバカがロケット砲使いたかったが、どうやらこっちの世界ではより反動などが強く扱えなかったということからかっこいいという理由で使ってる程度でレッドガンでも全体の一割以下なため弾薬の量が心配だったが十分なようでなりよりだ。

 

本格的な補給線を引くために補給路を確保する輸送ヘリのグラウンドへの着陸許可証をえようと声をかけようとしたとき、銃声が鳴り響いた。




輸送ヘリ

元々はMT輸送用のヘリ、つまりはみんな大好きレッドガン部隊迎撃やら捕虜救出やらでMT投下前に撃ち落とすベイラムとアーキバスで運用されている安心安全の雑魚ヘリ。
もちろんこちらの世界でも雑魚の部類ではあるものの多少の武装化は施されてただ撃ち落とされ待ちのボーナス敵ではなく普通に機銃乱射してくるしMTを輸送しない時はコンテナ運搬に使えるので大量の補給物資を運搬係に重宝されている。
もちろんアマゾンから物資を運搬しているためミレニアム・サイエンス・スクール上空を飛行するため新たに運搬ルートを作る場合は、ミレニアムの生徒会セミナーに申請する必要があり、本格的な支援物資が遅れているのはこのセミナーへの申請と承認までに時間がかかるために本格的な補給支援には時間がかかってしまう。


トラック

六輪の大型トラック。
アマゾン級の中に格納されていたトラックであり、ミシガンが乗っているのはガトリングガンくらいなら多少は受け切る車体のフレーム強度を持っている頑強なトラック。
主にルビコンでは補給路を食料や弾薬、MTの内部機器等を積んで行き来していたもので星外とBAWS製の二種がアマゾンの中にあり、BAWS製は強度は下がるがより多く運搬可能、星外から持ち込まれたのは大豊製でACにも出ている強度特化のものでありミシガンが乗っているのはこちら。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。