あとがきで簡単な設定を考えて暫定としておいてますので
辺りの地面や壁に弾痕が刻まれているのを遮蔽物の裏から確認しつつ弾丸をぶっ放した特有の硝煙の臭いが鼻腔をくすぐる。
「なんで私達が不良たちと戦わなきゃならないの!」
「サンクトゥム・タワーの制御権を取り戻す一手にはあの部室の奪還が必要ですから…」
「それは聞いたけど…!私これでも、うちの学校では生徒会に所属してて、それなりの扱いなんだけど!?なんで私が…っ!」
宥める火宮の言葉でもヒートアップしたままの早瀬は冷静には程遠い。
まるで五花海のやつが占いによる冗談でレッドの奴に今日は戦死しかねないと言われた日にガタガタと震えて収まりのつかんのを見ている気持ちにさせられる。
そんな赤リンゴ早瀬にチンピラどもが持っているアサルトライフルの銃口を向ける。
「いっ!痛っ!!痛いってば!あいつら違法JHP弾使ってるじゃない!」
「それだけ騒げれば十分だな!早く伏せんか馬鹿者ォッ!」
近場の遮蔽物から身を乗り出しながら射撃していた早瀬に無数の弾丸が叩き込まれる。
遮蔽物を削りながら早瀬にも何発か着弾するがその生命が散る気配はない。
痛がって声を上げる早瀬の腕を下から引いてやり無理やり遮蔽物に隠れさせながら同じ遮蔽物に隠れさせていた火宮に具合を確認させる。
「軽傷ですね。このまま戦闘は可能かと…それにユウカ、ホローポイント弾はキヴォトスでは違法指定されてはいません。」
「うちの学校ではこれから違法になるの!傷跡が残るでしょ!」
この世界では銃弾を撃ち込まれても軽傷で済むらしい。
なんとも軍人としては羨む体だろうが恐らく天使の輪、ヘイローと言っただろうかそれが関わっているだろう。
故に俺にはない特徴であり強化人間であり身体能力の強化と服の中に着込んでいる防弾ベスト、普通のコートのように見える防弾、防刃戦闘用のコートの三重の守りでやっと弾丸を受けて骨にヒビが入るか入らないか程度まで抑え込めるというのにこの世界の小娘どもはそこまでいらないのが羨ましい限りだ。
そしてこの現場に辿り着く前に手持ちが少ないから補充したいと聞いてコンビニによって水分や長期戦における食料かと思っていたが弾薬が普通に購入できるとは思わなかった。
ルビコン3に少年兵や少女兵がいなかったと言えば嘘になるがそれでもここまで論理がゆるゆるな世界がなかった。
左遷先のリゾート地といえどここまで緩いと頭が痛くなるというものである。
「ユウカさん、今は先生の安全が最優先です。あの建物の奪還はその次です」
「ハスミさんの言うとおりです。先生はキヴォトス外から来た方ですので…私達とは違って、弾丸1つでも生命の危機にさらされる可能性があります。その点ご注意を!」
そこまで雑魚ではないと反論したいが今は頭部を守るものを身に着けていない。胴体などならば数発は食らっても問題ないが頭部に弾が迷い込めば致命傷もいいところだろう。
「分かっているわ。先生、先生は戦場に出ないでください!私達が戦っている間は遮蔽物の裏に隠れていてくださいね!」
ユウカたちの本気でこちらを心配する声と目にG13とのやり取りを思い出す。
AC一機ごときMTをそろえていれば数で叩けば普通なら勝てる。
だがあいつはその普通ではない。少しでも生き延びればとライガーテイルで前を貼りいつでもパルスプロテクションを展開できるようにオールバニー達の前に立ち続けたがそんな俺をアイツラは心配する目で援護をしようとして脱出レバーから手を離したから死んでいった。
奴らもACのほうが堅牢なのは知っているのだからいらんお節介を出さず壁で亀になっていれば死ぬことがなかったろう。
「小娘どもがいっちょ前に口を利く…いいだろう!ならば俺は貴様らにレッドガンの流儀と指揮を教えてやる!」
「え、ええっ!?戦術指揮をされるんですか?まぁ…先生ですしとれるでしょうけど…」
「分かりました。これより先生の指揮に従います。」
「生徒が先生の言葉に従うのは自然なこと、ですね。よろしくお願いします」
先程からこの四名の戦闘を見ていてわかったことだがやはり別の学校からのメンバーだからか連携がぎこちなく少し無駄がある。守月と羽川は同じ学園だということから他の二名とは違い少しは連携の取れているものの早瀬がタンク、火宮がサポーターと考えて普段の役割をしているのが別人では連携が悪くなっているのだろう。
「指揮は取るが連携を重視しろ。連携がまともに取れんなら俺が流儀を前線に出て目に刻み込んで教え込んでやるからな!」
「そんな脅迫はいくらゲヘナでも聞いたことが無いです…先生」
戦闘開始から約一分と三十七秒ほど。
先程までやり合っていたチンピラをぶちのめすのに必要とした時間がその程度の時間だったがその後に二、三度鎮圧したチンピラどもの数の差こそあったが進軍を続けた俺達の前に聳え立つビルが視界に入る。
七神のやつから聞いていた目標物が運び込まれたシャーレの部室が存在するビルであり目標地点まで推定二百mほど。
「奪還目標まであと少しだ!いいか!帰るまでが遠足だ。最後の最後まで油断するな!」
そう激を飛ばしながら通信端末に連絡が入りすぐに出ると相手は七神のようだ。
『ミシガン先生。今この騒ぎを起こした生徒の正体が判明しました。
【狐坂ワカモ】。百鬼夜行連合学園で停学になり各地で暴れまわり捕縛されたあと矯正局を脱獄した生徒です。ヘルメット団の誘引、爆破テロなどの前科がある危険人物です。気をつけてください。』
「…こちらでも確認した。あれか七神」
シャーレの部室が存在するビル。
その入口を封鎖するように銃剣をつけた狙撃銃を持っている和服を着て白の狐の面をつけた小娘だ。
それだけなら羽川のように少し特徴が増えただけの小娘だが周囲のチンピラどもとは纏う雰囲気が違う。
その身から滲み出るなにかはG13のように特記戦力とされる存在が持つ固有のなにかだろう。
『確認しました。はい、あれが【ワカモ】で間違いなりません。』
「あの気配、これまでのチンピラどもとはステージが違うぞ。
気を引き締め直せ、小娘ども!最後に特大デザートがいるのも遠足の醍醐味だ!」
ワカモの前に存在する道路を左右のビルの影からぞろぞろと追加のチンピラ共が湧いてくる。
湧いてきたチンピラ共が雑に看板などを地面に横倒しにし即席の防衛陣地を敷いたのを確認しながらワカモに動きがあまり無いことから今回はワカモは飾り、ただワカモが暴れていたところを雑魚どもが一緒になって暴れ始めたというところだろうと当たりをつけて再度の戦闘指示をしようとしたが……
「前方に巡航戦車を確認しました、クルセイダーⅠ型!数【2】ッ!」
「クルセイダーⅠ型……ッ!トリニティの正式戦車と同じ型です」
「恐らく不法に流通されたものに違いないわね!ブラックマーケットで購入したかPMCから買ったかはわからないけど2台は…っ!」
本当にどうなっている、この学園都市は。
普通一台でも数億近い値段はどんな型落ち機でも飛ぶだろう戦車が2台。
しかもちゃんとした組織が運用しているのではなくそこらのチンピラ共が購入しあまつさえ操縦できている。
弾薬がコンビニで購入出来るこのキヴォトスならではだろうが脳が理解を拒む。こんな金もなさそうなチンピラ共が戦車を運用など資金面を工面していたナイルや五花海が見れば血涙もやむ無しだろう。
「まずは群がる雑魚どもからだ。メインディッシュは最後まで取っておけ!戦車の射線には気を配れよ!」
早瀬にシールドを張らせ早瀬がタンクの役割を果たしながら前線を押し上げその早瀬を狙ってチンピラ共が射撃を開始すれば羽川が眉間を狙って一発かまし、当たらないと焦って前に出てきたやつは守月の閃光弾とおまけの鉛玉に倒れ、火宮の支援が入れば装填を終えたであろう戦車の砲がこちら側を向き砲弾が飛んでは地面がえぐれる。
チンピラ共は順調に数を減らしているが戦車二台が厄介だ。
さっきまで装填が済み次第適当に撃っていたのだろう砲が時間差をつけて砲撃を始め射線からの退避に時間を割かれ装甲をぶち抜くだけの策が取れる時間が少ない。
ジリ貧かと思い自身も前線に出ようとしたとき唐突に2台存在していた戦車のうち右側が爆煙を上げて爆発を起こす。
羽川の狙撃で弾薬庫の引火したかと思ったが羽川は今射線からのがれるための移動中。
いくら優れたスナイパーであってもその状態での装甲貫徹は難しいにもほどがある。
両陣営とも多少の混乱から場が更に硬直をしたと同時に戦車の横にあるビルの一階の壁が粉砕されその粉煙からクルセイダーⅠ型と同型の黒く塗装された戦車が飛び出し撃破されていない戦車にそのまま体当たりを敢行する。
「な、なに!?」
急な乱入者に早瀬も閃光弾で動きを拘束しようとした守月も驚いて固まる。
体当たりを敢行したクルセイダーⅠ型は同型のクルセイダーⅠ型めがけほぼ零距離からの砲撃をかまし2台目も撃破する。
その戦車にはよく見たエンブレムが刻まれているのが微かに見えた。
赤い銃が二丁、上と下を向いた特徴的なエンブレム。
なにか動物が刻まれているわけではないその模様は一般のコールサインが与えられていないレッドガンのMT乗りに渡されるエンブレムであり…
「…総長ッ!」
戦車の上にあるハッチが開いて面を出した小娘に身に覚えがない。だがその鼻水垂れて涙を流してる不細工な面は確実に身に覚えのある面だ。
「貴様ッ!数学が得意なオオサワか!近接訓練を二割増やせば小娘になるとは分からんこともあるようだ!」
「せ、先生、あの子は一体…?面識があるようですが…」
オオサワのやつが残ったチンピラ共に戦車の主砲を不細工な面しながら撃ち込み黙らせたのを見ながら火宮のやつが突如乱入したオオサワのやつについて質問をしてくる。
このタイミングでの増援だ。連邦生徒会からの増援だと思いつつも連邦生徒会の白い制服を着ていないからこそ判断がつかないのだろう。早瀬も守月、羽川も困惑した顔で黒いクルセイダーⅠ型を見つつこちらにも視線を寄越す。
ならばこう答えてやるのがレッドガンらしいだろう。
「奴は数学が得意なオオサワだ、なぜここにいるかはわからんが重要な戦力として役立たずは役立たずなりに役立つ事だろう!」
今は
どうなったかもわからない部下の帰還を少しは喜んでやるべきだろう。
キャラ解説
名前:大沢カレン
学園:元ミレニアムサイエンススクール
詳細
ミシガンがくる前1年ほど前に休学扱いになったメカニック系の生徒。
実際は1年ほど前まで数学が得意なオオサワとしての記憶がなく通常のそこら辺にいる生徒Aだったがふとした時に数学が得意なオオサワとしての記憶が蘇り急にルビコンはレッドガンはなどと言い出したために精神をやったかと思われて精神のケアを理由に休学していた。
その後ネットでここがキヴォトスという地でありルビコン3のことやレッドガン、ベイラムを検索しても出てこないこと。
容姿の変化から自分が転生したのかと当たりをつけ他にレッドガンのメンバーが来ていないか家を抜け出しブラックマーケットで探っていたところ数名と合流でき細々と新生レッドガンとして活動していた。
ブラックマーケットで情報屋から得た特ダネになんとか買って運用していた虎の子の黒いクルセイダーⅠ型に飛び乗りメンバーと同時に突撃してきた。