MCUの世界にイレイナとして転生したけど、開き直って好きなように生きていきたいと思います   作:ちいさな魔女

11 / 45
私の技量でどれだけ再現出来るか!伝説の鬼ごっこ、始まります!出来る限り頑張ります!

今回は三人称視点で作りました!でないと鬼ごっこが表現出来なかったので。


エピソード・11

イレイナ達がヘンダー城で黒幕と闘っていた頃、私達は人形達の襲撃を建物内で凌いでいた。

 

どうも、S.H.I.E.L.D.日本支部の長官、浜崎アキよ。

 

私は部下達と建物に入り、籠城戦で何とか人形達の襲撃を耐えていた。

 

しかし、もう弾は殆ど無い。部下達のアサルトライフルやサブマシンガンも、弾切れでマガジンが一つずつしかない。しかも私も弾を撃ち尽くして、残っているのは予備を含めたナイフ2本と手榴弾2本。

 

マトモな状況ではない。

 

加えて、体力の限界だった。私を含めて、部下も体中傷だらけだ。掠り傷程度ではあるが、それでも積み重なれば闘いにおいて重荷となってしまう。

 

「浜崎長官!弾薬も手榴弾も切れかけてます!」

 

「私のサブマシンガンもマガジンがもうありません!」

 

部下達がそれぞれアサルトライフルやマシンガンを構えているけど、全員余裕が無くなり始めているのは明白だ。

 

「早くイレイナの元に行かないと行けないのに………夜が明けちゃったじゃない……」

 

徹夜で戦ったせいでテンションは上がる。しかし、それ以上に疲労が溜まる。今興奮してしまうと体力を失ってしまうわ。

 

『『『ミギーッ!!』』』

 

人形達が建物の窓を突き破って来た。

 

「わあああっ!!わあああっ!!うわあああっ!!」

 

部下の一人が破られた窓に向かって、無我夢中で撃ち続けた。しかし、窓の縁や壁に当たる事が多く、入って来る敵に当たらない。徹夜で戦ってる上に、侵入されてしまって動揺したから無理はないけど………しょうがないわね!

 

「無駄弾を撃たないで!!」

 

私は部下の肩を掴むも、矢が迫って来るのを見て部下を突き飛ばした。そして、私はナイフでバリィをする暇も無く、左肩に矢が刺さってしまう。

 

「ぐっ!!」

 

私は刺された箇所を抑える。

 

「長官!」

 

「くそ!!衛生!長官が被弾!」

 

部下達が私を囲む。衛生兵がやって来て、私の傷の様子を見た。

 

「長官を護れ!」

 

部下達が円陣を組んで私を護る。しかし、四方八方の窓を破られ、敵が大勢押し寄せて来る。

 

このままでは押し切られてしまう。そう思っていた時だった。

 

『始めまして浜崎アキ長官。これより援護致します』

 

突然、私達のトランシーバーに通信が入る。

 

そして、空から謎の滑空音が響いたかと思えば、天井を突き破って何かが部屋に侵入。そして、そのまま両手を突き出しながら回ったかと思えば、掌から太い光線を放ち始めた。

 

それは一体だけではない。他にも何体もの人型ロボットが現れて、人形達と応戦を始めた。

 

その内の一体が私に話しかけて来た。

 

『浜崎長官、始めまして。私はトニー・スターク様専用の人工知能ジャーヴィスと申します』

 

「ジャーヴィス……そう。フューリーが言ってたスタークの人工知能って、貴方の事なのね。援軍に感謝してるわ」

 

『トニー様のご命令により、私が遠隔操作するアイアンレギオンで皆様を援護致します』

 

「お願いね」

 

こうして頼もしい援軍と共に、私達は再び交戦を開始した。敵は大軍だが、此方は弾切れ寸前の装備と近接武器、そして援軍のアイアンマン軍団。頼もしいわね。

 

イレイナ、ごめんなさい。追い付くのに時間が掛かるわ。

 

そっちは、任せたわよ。

 

――――――――――――――――――――――――

 

そして、ヘンダー城の城壁にある扉に場面が変わる。外階段に繋がるその扉が勢いよく開き、トッペマを抱きかかえたイレイナが全力を振り絞って走っていた。

 

「どうしたのよイレイナ!?」

 

「おいおいおい!」

 

ナターシャとクリントも、イレイナとトッペマを追い掛ける。

 

「このジョーカーをヘンダー城のステンドグラスに填めるんです!そうすれば、マカオとジョマを倒せますよー!!」

 

「そうなの!?イレイナ!!全力で走って!!」

 

「此れが精一杯です!トッペマさん!」

 

イレイナの言葉を信じたトッペマ。イレイナが自分を抱えて突然走り出した事に驚いたが、どうやったのか知らないがイレイナはマカオとジョマの弱点を見つけた。ならば、イレイナの選択を信じるだけだ。

 

「おい走れ!!追い付かれるぞ!!」

 

「クリント!!奴等が迫ってる!!」

 

ナターシャとクリントが、イレイナの両肩を掴んで走り出す。二人に合わせてイレイナも走る。足が重く痛いが、そんな事を気にする余裕は無い。

 

「「待ちなさーい!!」」

 

マカオとジョマの声が背後から響く。三人は全速力で駆け抜ける。

 

「うわぁぁっ!奴等が来るわよ!」

 

「彼奴等キャプテンより速えぞ!」

 

トッペマとクリントが背後を振り返る。マカオとジョマは階段を早い速度で駆け上がって来ている。階段を登り切る前に追い付かれてしまう。

 

「彼処にジョーカーを持って行くつもりよ!」

 

「そんなの許さないわ!」

 

マカオとジョマは本来階段を駆け上がるフォームとは言えない走り方にも関わらず、三人を遥かに凌ぐ速さで駆け上がる。

 

数秒もしない内に追いつかれそうになる。

 

「トッペマさん走って!」

 

イレイナはトッペマにジョーカーを託し、マカオとジョマにタックルをぶつける。しかし、力不足な上に魔法も使えない為に、二人は全く怯まない。

 

「走れ!!」

 

クリントがイレイナに続いて、マカオとジョマの脚を蹴って転ばせようとした。マカオはクリントの蹴りで足を躓き、階段から転げ落ちそうになる。

 

「この先に行かせないわよ!」

 

ジョマが走ってトッペマを追いかけようとしたが、ナターシャが片手に仕込んだ装置付きの拳でジョマの頬を殴る。その際に電撃がナターシャの手に走り、ジョマの胸元を殴る。ジョマは電撃を受けるが、怯む事なくナターシャに拳を振り下ろす。ナターシャは拳を避けて、ジョマを押さえ込む。

 

「んんんんんっ!!」

 

トッペマはその隙に階段を駆け上がる。駆け上がった後に通路を伝って走るが、マカオとジョマに追いつかれてしまう。

 

「「ジョーカーを渡しなさい!」」

 

「嫌よ!」

 

マカオとジョマに捕まりそうになるが、小さい体を駆使して二人の間を潜り抜ける。

 

「トッペマさーん!!」

 

イレイナは全身から汗を流し、息切れも激しくなって、今にも倒れそうな状態だ。しかし、マカオに体当たりしてマカオの動きを一時的に止めた。

 

しかし、ジョマに捕まるトッペマ。

 

「捕まえたわよ!」

 

「離して!!」

 

しかし、ジョマの肩に飛んできた矢が当たり、爆発が発生。

 

ジョマは爆発で怯み、トッペマは空中に投げ出されてしまう。

 

階段には、弓を構えるクリントの姿があった。

 

しかし、トッペマはジョーカーを手放してしまい、トッペマが床に転がった時には空中に飛んで行ってしまった。

 

「任せて!」

 

「「させないわよ/させません!!」」

 

マカオが跳ぼうとするが、ギリギリで間に合ったナターシャとイレイナがサスペンダーを掴んだ。

 

そして、マカオは普通の人間を遥かに超えた跳躍力で空中のジョーカーまで跳んでいくが、ギリギリの所で止まってしまう。サスペンダーが想像以上に伸びた為だ。

 

「ちょっまっ、あああーっ!!」

 

二人がサスペンダーを離すと、マカオは天井を破壊して建物の中へ落ちて行った。

 

「任せて!」

 

ナターシャが斜面を走り、時計塔に腕から伸ばしたロープをくっつけた。ロープの先端にあるアンカーが時計塔の天辺に突き刺さり、そのままナターシャはスイングして移動した。そして、ジョーカーを掴み取って時計塔に通じる屋根に受け身を取った後に前転を繰り返して降り立った。

 

「時計塔の方よ!」

 

クリントとイレイナは屋根を慎重に降りていく。斜面が険しい割には登り降りは出来ないわけではなかった。

 

しかし、ジョマは二人より先に早く降りていく。

 

その時、時計塔の側でカードを見つめるナターシャ。其処へ、別の建物に落ちたマカオが走って来る。

 

「ナターシャ!」

 

クリントが弓を構える。

 

「此れが欲しいんでしょ?くれてやるわよ!!」

 

ナターシャはカードを放り投げた。

 

マカオはカードを追いかけて、時計塔に通じる廊下の下にある建物の屋根に飛び乗った。

 

ジョマは隣を走り去るナターシャを無視して、マカオの様子を見守る。

 

「あっ、もうちょっと!………よいしょっと」

 

マカオは下へ落ちそうになるカードをギリギリで掴み取り、両手で持って確認した。

 

しかし、それはジョーカーではなかった。

 

それは、嘗てコールソンが手にしていたヒーローのカードを模して作られた、新しいヒーローカードだった。それもナターシャの姿が象られたカードだった。

 

「キエエエェェッ!!」

 

カードをバラバラに引き裂いたマカオ。

 

しかし、ナターシャは既に壁をよじ登り、イレイナにジョーカーを手渡している。

 

ジョマも何もしない訳ではなく、ジョマは二人を追い掛けようとするナターシャの足を引っ張って足止めする。その上を跨ぐように進むが、ナターシャは仕返しと言わんばかりにジョマの足を引っ張る。しかし、ジョマはナターシャを突き飛ばして時計塔の壁に叩き付けた。天井に落ちたナターシャは数回も床を転がり、激痛によって起き上がるのに時間が掛かってしまう。

 

ジョマは壁を登るイレイナを追い掛けるが、クリントが掴み掛かって足止めした。クリントとジョマはそのまま取っ組み合いを始めるが、二人はバランスを崩してそのまま壁を転がり落ちてしまった。ゴロゴロと重なってボールのように転がり落ちる二人は、時計塔に通じる屋根の上に転がり落ちた。

 

しかし、その隣をマカオが走り抜けて、駆け上がってイレイナに追いつき、その足を引っ張って壁に張り付けにした。しかし、イレイナは既にトッペマへジョーカーを手渡していた。

 

しかし、トッペマは一度屋根の端に到達するが、飛び降りれないと分かると回り道を始めた。

 

マカオが追いかけようとするが、イレイナは切り札として取っておいたスゲーナスゴイデスのトランプの一枚を使用した。

 

「スゲーナスゴイデス!」

 

「なっ!?まさか騙したわねええええぇぇぇっ!?」

 

「まあ、取って置きいいぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!」

 

マカオが驚いた時には、時既に遅し。マカオとイレイナのしがみつく壁の摩擦が無くなり、マカオは滑って壁を滑り落ちて行く。しかし、イレイナも壁を滑り落ちて行く。

 

後から登ってきたジョマは二人の滑りに巻き込まれ、そのまま元の屋根の上まで滑り落ちて行った。

 

「「「ああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!」」」

 

イレイナとマカオは時計塔の壁に激突した。ナターシャとクリントは二人の様子に思わず笑ってしまう。

 

その時にジョマが屋根から落ちそうになるが、しがみついて難を逃れた。

 

その時には既に、トッペマは人間の鼻のを彷彿とさせる建物の穴を潜り抜け、橋を渡っていた。目標の建物に到達しようとしていた。

 

しかし、起き上がったマカオとジョマが壁を再び伝って走る。

 

三人はマカオとジョマを追い掛けるが、二人はすでに屋根を登り切ってトッペマと同じルートを走って、トッペマを追い掛ける。

 

「このままじゃ間に合いません!」

 

「迂回ルートがあるだろ!」

 

クリントがそう言った後、ナターシャが登る途中で階段を見つけた。飛び降りても問題ない位置にある。

 

「此処から行くわよ!」

 

「嘘でしょう!?階段に飛び乗れませんよ!?」

 

「だが行かなきゃあの子は殺られるぞ!」

 

「もう!行きますよ!行けば良いんでしょう!」

 

三人は覚悟を決めて、壁から階段へ飛び降りる。ナターシャとクリントは見事な着地で階段に飛び降りる。

 

イレイナも飛び降りた。しかし、足を踏み外して階段から落ちそうになる。しかし、両手でしがみついてそのまま上がり、ナターシャとクリントを追い掛けて階段を登って追い掛ける。

 

もう頭も真っ白だ。疲労も溜まり、体の節々が痛む。もう何をしてるのかすら分からないだろう。

 

しかし、トッペマを護るという思いだけは残っていた。

 

そして、クリントはマカオとジョマより先に建物へ入ると、其処には階段に到達して登り始めたトッペマの姿があった。トッペマの背後には、クリント達より大きいタンスがあった。

 

しかし、横からマカオが迫る。手の届きそうな距離まで迫った時、クリントが体当たりしてマカオを止めた。しかし、マカオはクリントを吹き飛ばした。

 

しかし、クリントは見ていたのだ。ナターシャとイレイナがサスペンダーを引っ張り、マカオを足止めする様子を。

 

マカオのサスペンダーをタンスのドアノブに引っ掛けて、階段を登ろうとするマカオを止めた。またしても有り得ない程に伸びるサスペンダーに足を引っ張られて、マカオは立ち往生してしまう。そして、サスペンダーに引っ張られたタンスに押し潰され、壁とタンスに挟まれてしまう。壁がめり込む程の威力だ。ただでは済まないだろう。

 

そして、後から入ってきたジョマにナターシャは蹴りを入れる。ジョマはナターシャの蹴りを腕で受け止めた後、ナターシャと格闘戦に入る。ナターシャは技を繰り出すが、ジョマの身体能力が上回り、劣勢に立たされる。

 

しかし、イレイナがジョマに体当りしてバランスを崩させる。ナターシャは関節技を決めて、ジョマの足に足搦みという技を仕掛けた。柔道において完全なる反則技だが、ジョマにも効いたようだ。イレイナも自分なりに組み付いて、ジョマの首を両手で絞め始めた。

 

クリントは階段に飛び乗ろうとするが、突然飛んできたタンスに当たって吹き飛ばされ、今度はクリントがタンスの下敷きにされてしまう。

 

「嘘……だろ……!?」

 

クリントはマカオの耐久力に驚いた。

 

マカオがタンスに潰された状態でタンスを蹴り飛ばし、クリントをタンスで下敷きにしたのだ。

 

マカオが階段を登り始めた。

 

「トッペマさん!逃げてください!」

 

「邪魔よ!」

 

「ぐあっ!」

 

ジョマは組み付かれてるにも関わらず、力技で歩いていた。大した首絞めも出来てないイレイナを床へ投げ飛ばし、ナターシャの顔を蹴り飛ばした。

 

イレイナは肩から床に叩き付けられ、骨が折れる音と共に肩を押さえた。ナターシャも蹴られたダメージが大きく、立ち上がれない。

 

「ちょっ、待ちなさーい!!」

 

「逃げられないわよ!トッペマァ!」

 

マカオとジョマの声が聴こえる。

 

しかし、トッペマは託されたジョーカーを片手に持って階段を登る。

 

その間にトッペマは、葛藤していた。

 

このまま上手く行けば、スゲーナスゴイデスのジョーカーは消滅してマカオとジョマは倒され、ヘンダー城は崩れ落ちるだろう。

 

しかしそれは、自分がトッペマ・マペットとしての生を終えて、元のメモリ・ミモリ姫に戻る事を意味していた。

 

イレイナと約束は、恐らく無かった事になるだろう。

 

短い間だが、冒険と共闘が出来て良かった。ババ抜きはこんな世界の運命を懸けた場所でなきゃ、またイレイナとやりたい。

 

イレイナにご飯を食べられるようにしてもらった時、人形の体で始めて味わった料理を、もう一度食べたい。

 

イレイナの冒険に、自分も付き合いたい。

 

イレイナと一緒に旅をしたい。

 

イレイナと約束した。必ず自分を仲間にすると。

 

しかしそれは、絶対に叶わない約束だ。

 

約束を破ってごめんなさい。心の中で謝るトッペマは、突然片目の視界が潤み始めた。頬に液体が垂れる感触が伝わる。

 

ああっ、イレイナと旅をしたい。でも、それは叶わない。

 

これから私は、イレイナとの約束を破る。

 

だってイレイナにはこれからも、未来を生きてほしい。私の分まで、世界を旅してほしいから。

 

だから、マカオとジョマをこの手で倒す。

 

軈て寝室らしき部屋に辿り着いた。周囲を見渡したトッペマは、小さな戸口を発見する。其処を四つん這いで潜り抜けると、外の屋根に通じていた。トッペマは戸口を潜り抜け、Uターンして屋根を四つん這いで登り始める。

 

それと同時に、マカオが戸口から飛び出してきた。頭と左腕が飛び出す形で。後少し遅れていたら、トッペマは捕まって全てがご破算となっていたであろう。

 

マカオは振り返る。トッペマがよじ登る先には、マカオとジョマの二人が螺旋を描くような形で描かれた、円形のステンドグラスが存在していた。

 

ヘンダー城の魔力の中心となっている場所だ。其処にジョーカーを填められたら、自分達は死ぬ。

 

「ヤバい!!ぐぬおおおおぉぉぉっ!!」

 

マカオは無理矢理体を捻り、本来ならマカオの体格では絶対に出られない小さな戸口から無理矢理出始める。

 

「止めなさーい!!」

 

しかし、トッペマは既にステンドグラスの前に座っており、スゲーナスゴイデスのジョーカーはステンドグラスの前に翳していた。

 

「駄目えぇぇーっ!!」

 

何とか這い出たマカオは、四肢を回すように壁をよじ登る。そして、ステンドグラス前のジョーカーまで残り数cmまで手が届いた。

 

しかし、マカオはあと一歩で手遅れになってしまう。

 

トッペマは両目から涙を流しながら、ステンドグラスにジョーカーを填め込んでいた。

 

填め込んだ瞬間、ステンドグラスとジョーカーが同時に消えた。

 

「ああっ…!」

 

マカオは絶望の声を上げる。

 

その時、ジョマも戸口から素早く出て来た。しかし、マカオとトッペマの様子を見て、もう手遅れなのだと理解する。

 

「ジョマアアァァァァーッ!!」

 

哀しげな顔でジョマを呼ぶマカオ。

 

「マカオオオォォォォーッ!!」

 

哀しげな顔でマカオを呼ぶジョマ。

 

二人はトッペマを今にも殺せるタイミングにも関わらず、トッペマへトドメを刺さなかった。

 

そればかりか、お互いにぶつかり合って抱きしめ合った。そのまま二人は数回抱きしめ合いながら回転し、社交ダンス顔負けのポーズを取った。そして、二人は足元から花火のように爆発し、華々しく散った。

 

許されざる悪党にも関わらず、その最期は言葉で言い表せない程に美しい散り方であった。

 

「終わった…………終わった………のね………さよ……なら………イレ………イ……ナ……………姫として………会い………ま……ま……ま……ま………ま……」

 

トッペマはそのまま壊れた人形のように、体を前後に揺らす。マカオとジョマが倒され、ヘンダー城が魔力の中心でなくなった為に、動かなくなり始めていた。

 

「ぐあっ………トッペマさああああああんっ!!」

 

イレイナは帽子を外し、戸口から上半身を出して、屋根の上に居るトッペマに呼び掛ける。

 

すると、トッペマがバランスを崩して屋根を転がって来た。トッペマが最後の力を振り絞って動いたのか、風に揺られてその方向へ転がって行ったのか、どちらにせよトッペマはイレイナの元へ転がり落ちて来た。

 

そして、イレイナは転がり落ちて来たトッペマを抱き締めて、落下しないように受け止めた。

 

トッペマは動かなかった。

 

「……トッペマさん。私との約束を忘れたなんて、言わせませんよ!絶対に、約束は守ってもらいますから!」

 

トッペマがただの人形に戻っている。それはイレイナも理解していた。

 

しかし、イレイナは諦めていない。

 

だって、約束したのだから。

 

イレイナはトッペマを抱えて、階段を降り始める。

 

「急ぎましょう!城が崩れ始めてるわ!」

 

「下に降りる階段も崩れちまった。上に上がるしかねぇな」

 

ナターシャとクリントと合流したイレイナは、トッペマを抱きかかえたまま走り出した。一刻も早く、城からの脱出の術を見つけなくてはならない。

 

―――――――――――――――――――――――

 

私達は人形達に囲まれていた。既に息も切れており、人形達の数が一向に減らない。

 

万事休すか。そう思っていた時だった。

 

突然人形達が倒れて、そのまま動かなくなった。

 

まるでリモコンを壊されて動かなくなったラジコンのように。いえ、ドローンの方が分かりやすいかしら?

 

私達が呆然とする中、ヘンダー城が音を立てて崩れていくのを見た。

 

イレイナが彼処に居る。

 

「ジャーヴィスだったわよね!イレイナ達を助けて!」

 

『了解しました。救出を開始致します』

 

そして、アイアン軍団は空へ飛び立ち、崩れていくヘンダー城へ飛び立った。

 

イレイナ、無事でいて頂戴!




次回、ヘンダーランドの大冒険編、最終回。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。