MCUの世界にイレイナとして転生したけど、開き直って好きなように生きていきたいと思います 作:ちいさな魔女
今回でイレイナ視点復活です。
城が崩れ落ちて行きます。私はトッペマさんを抱えて走りました。
バートンさんやナターシャさんと合流して、城の中を駆け下りていきます。しかし、外へ繋がる橋が崩れ落ちてしまいました。
更に、寝室のあった家の先にある建物も崩れ落ちてしまいました。
もう退路がありません。
「どうすれば………ん?」
私は突如として、全身から魔力が溢れ出てくるのを感じました。ヘンダー城が壊れていく事で魔力の中心ではなくなり、魔法が使えるようになりました。
私は手元に箒を召喚しました。箒も呼び出せるようになったのは、良い移動手段の確保になりました。
ルーラは使いたいですが、浜崎さんに黙って帰る訳には行きませんし、早く合流しなくては。
「乗ってください!」
私はクリントさんとナターシャさんを箒に乗せました。ナターシャさんとクリントさんが箒の後ろに乗って、私は片腕にトッペマさんを抱きかかえながら、箒を操って降りていきます。
しかし、4人も乗せるのは流石に無理がありました。箒のバランスが取れません。
私はフラフラと揺れながら箒を飛ばしますが、落ちてくる瓦礫に全身が当たるせいで全身に痛みが走り、箒にも当たってバランスが崩れそうになります。
「おいバランスが崩れるぞ!」
「文句言わないでください!ただでさえ定員オーバーなんです!」
「喧嘩しないで早く動いて!」
バートンさんと喧嘩しましたが、ナターシャさんに止められました。
私はフラフラになりながらも移動しましたが、瓦礫が箒の先端に落ちてきてしまい、私達は投げ出されてしまいました。トッペマさんが腕から離れてしまいますが、私は引き寄せる呪文でトッペマさんを引き寄せようとしました。しかし、私はトッペマさんよりも早く落ちていくナターシャさんとバートンさんを見つけました。
「『アクシオ』!」
私は杖を手元に生み出して、手にした後に呪文を唱えました。アクシオでナターシャさんを引き寄せて、抱き締めて受け止めます。
「『アクシオ』!」
続いてバートンさん。引き寄られたバートンさんは、ナターシャさんが抱き締めて受け止めました。
私は手元に箒を引き寄せて、手に取りました。
しかし、トッペマさんは落下したままです。
私は片腕でナターシャさんを掴んでいますが、もう片方は箒を手にしています。しかもその箒を持つ腕は、肩が骨折してるせいで力があまり入りません。
「アク――」
しかし、トッペマさんは既に地面まで数メートルまで落下していました。もう間に合いません。
トッペマさんを助けられない。そう考えてしまいました。
『トッペマ・マペット様を救出致します』
その声と共に、突然トッペマさんが人型の空飛ぶロボットに抱きかかえられて、そのまま私達の元まで運ばれて来ました。
「トッペマさん!」
『トッペマ様はご無事です。皆様を地上まで護衛しましょう』
「スタークか!ハハッ、遅いんだよ」
此れが援軍ですか。確かに頼れる援軍でしたね。もっと早く来て頂けたら、ジョーカー運びもずっと楽でしたが。
『皆様をサポート致します。地上へご案内しましょう』
そのまま私達は下から沢山のロボット軍団に運ばれて、地上へゆっくり降りて行きました。
―――――――――――――――――――――――
「イレイナ!良かったわ!ごめんなさい、貴女達の援護に迎えなくて!」
私は浜崎さんに正面から抱き締められました。
「貴女が日本支部の長官ね」
「若いな。それに、腕っぷしも良いな」
ナターシャとバートンさんは、浜崎さんが強い事を見抜きました。
「おっと、ごめんなさい。こうして会うのは初めましてね。日本支部長官の浜崎アキです。宜しくね」
ナターシャさんとバートンさんにお辞儀をする浜崎さん。
『『『宜しくお願いします!!』』』
浜崎さんの部下達も、同じくお辞儀をしました。
「日本人は礼儀が良いのね」
「ありがとう。それよりイレイナ、トッペマはどうしたのかしら?」
「………マカオとジョマは倒しました。しかし、そのせいで動かなくなりました………」
私は抱き締めているトッペマさんを、浜崎さんに見せました。
「……もうただの人形に戻ったのね」
「………約束したんです。トッペマを連れて、世界中を旅すると!」
「イレイナ、諦めて。もう彼女は人形に戻ってるのよ」
「嫌です!!」
私はトッペマの手を握り締めました。体温なんて感じません。人形の冷たい感触が伝わってきます。
「いや〜良かった良かったぁ。皆さんご無事で何より〜」
聞き覚えのある声が響き渡りました。私達がその方向を向くと、其処にはス・ノーマンが居ました。
「なっ!?どうして?マカオとジョマは倒された筈ですが?」
私は右手に杖を持ち、ス・ノーマンに向けました。
「んなのどうだって良いっしょ〜。という訳で……死んでもらおうか」
ス・ノーマンが私達を睨みます。
「エクス……」
私が呪文を唱えようとし、周りの皆さんも武器を構え始めました。
「お待ちください!」
その声がした時、ス・ノーマンを含めた私達は、ス・ノーマンの背後を見つめました。
其処には、頭に大きな花を頭に被る?生やす?女性が姿を現しました。肌は透き通るような白さで髪の毛や眉、チューリップのような帽子に着ているドレス等々、全体的に可憐で繊細な花をイメージさせる風貌です。
いえ、私は目の前に起きた出来事よりも、あのお姫様の声に心の底から何かが湧き上がってきました。
あのお姫様が魔法をス・ノーマンに掛けて、肉体が溶けていき、軈て一人の青年の姿へと変わっていく様子を、その時もただただ見つめるだけでした。
「………あっ?此処は………何処だ?」
「……漸くお会い出来ました。ゴーマン王子」
「ッ!!メモリ・ミモリ姫!?」
ゴーマン王子と言うその青年は、好青年で勇者の名に相応しそうな風貌です。それに、魔力も今の私より遥かに強そうです。
「王子様とお姫様の再会か」
「そのようね………あの雪だるまの正体が、洗脳された王子様なんてね」
バートンさんもナターシャさんも、その様子を温かく見守っていました。しかし、私はお姫様の方を見ていました。
「皆様。ゴーマン王子を呪いから解放してくださり、ありがとうございました。私はメモリ・ミモリ姫と申します。皆様と共にオカマ魔女達を倒す事が出来て、嬉しい限りです」
すると、浜崎さんが質問を投げかけました。
「共に?私達と居たのかしら?まさか、このトッペマが貴女だったの?」
「はい。私はオカマ魔女達に攫われて心と体を分けられてしまい、からくり人形としてガラスケースに封じ込められていました。しかし、その心はその人形に宿り、トッペマとして皆様をサポートしておりました」
「じゃあ………貴女がトッペマだったんですね……死んだのかと思ってました………ホントはもう会えないかと……」
私はその場で膝を着きました。
本当は怖かったんです。トッペマはもう死んでしまっていて、もう二度と会えないと。
しかし、トッペマはメモリ・ミモリ姫に戻りました。こうして私達に会いに来てくれました。
「皆さんには、ご迷惑をお掛けして、申し訳御座いません!洗脳されて存在も変えられたとはいえ…………皆さんの仲間も、僕は………」
ゴーマン王子が頭を下げました。拳を強く握り締めており、悔し涙を流しています。
浜崎さんは部下の皆さんに武器を下げさせました。
「もう大丈夫よ。と言いたいけど、貴男に殺された部下も居るのは確かよ。貴男にはそうね…………私のコネで自衛隊で働いてもらおうかしら?もう元の世界も、滅びてるんでしょ?」
「……元の世界に戻るまでの間に、少しでも償いをさせて頂きます。皆さん、宜しくお願いします!」
「私も、元の世界に戻るまでの間に、この世界でゴーマン王子と共に皆様の元で働かせて頂きます。宜しくお願いします」
お二人はこの世界に暫く残るそうですね。
「………トッペマとの約束は、守れそうにありませんね」
私はトッペマだった人形を抱きしめながらそう呟いた、その時でした。
「……ああっ、その事でしたら、私に考えがあります」
メモリ姫が私の抱き締めるトッペマの頭を撫でながら、私に話し掛けました。
「貴女はこのお人形を大事にしてくださったようですね。それに、私の正体が明かされた後も、このお人形をトッペマと呼んでくださるとは…………本当に嬉しいです」
「………考えとは?」
「まだ持っておられますか?スゲーナスゴイデスのトランプを」
「………あっ」
そうでした。ショックと歓喜が心の中で入り乱れたせいで忘れていましたが、予備として抜き取っていたスゲーナスゴイデスのトランプは、一枚残っていました。
「私はこのお人形に魔力を与えます。私の持つ魔力を沢山注ぎ込み、トランプの魔法でトッペマを目覚めさせましょう。私の魔力とスゲーナスゴイデスのトランプの力が合わされば、トッペマをトッペマ・マペットとして蘇らせる事が出来る筈です」
「やりましょう!」
私は希望が出て来ました。私は懐のトランプを一枚取り出し、太ももにトッペマの頭を寝かせました。
「私は貴女の説得に、心が揺らいでいました。トッペマとして居る間に、貴女と旅をしたいと思っていました。ですが、私はゴーマン王子と人生を歩みたい。ですから、私は魔法で魔力と揺らいだ心をトッペマに注ぎ込みます。それで私は貴女への未練を絶ち、その心を手にしたトッペマは、再びトッペマ・マペットとして生きられるようになるでしょう」
メモリ姫が手を翳し、花びらのように美しい光をトッペマに注ぎ込みました。トッペマの体が光と共に修復されていきます。
「………お別れね。トッペマ・マペット」
「スゲーナスゴイデス!」
私はトッペマの頭に、トランプを翳して呪文を唱えました。トランプが光り輝いた後に、トランプから放たれた魔法の光がトッペマの頭に染み込んでいき、トッペマの全身に魔力が満ちていきました。
スゲーナスゴイデスのトランプの魔力、そしてメモリ姫の魔法と私への未練の心が流し込まれて行きます。
「メモリ・ミモリ姫を救ってくださった恩人だ。僕も力を貸そう」
ゴーマン王子がトッペマの手に自らの手を添えて、全身から溢れる魔力を注ぎ始めました。
「君がメモリ・ミモリ姫をサポートしてくれたんだね。僕はゴーマン。メモリ・ミモリ姫の婚約者です」
「イレイナです。私は旅の魔女です」
「そうか。君達のお陰で、僕等は再会を果たせた。お礼に君のお友達を僕等が生き返らせます」
「お二人の共同作業ですね」
「ふふっ。本当ですね」
「ああっ」
こうして、3つの魔力を同時に受けたトッペマの体は、少し壊れてる箇所も徐々に直って行きました。
そして、魔力を注ぎ終えて、スゲーナスゴイデスのトランプも消えました。
「トッペマ……」
私はトッペマの頬に手を添えました。
すると、頬に体の動いた感触がありました。
「ん………あ………れ?」
トッペマの口が動き、目が開き始めました。
「私は………ジョーカーを………えっ?」
トッペマは周りを見渡して、メモリ姫を見た途端に動きが止まりました。
「えっ?ええええええええええええええっ!?どど、どういう事!?なんで私の体が其処に!?」
「おはようトッペマ・マペット。このような形で自分自身と会うのは不思議な体験ね。私はメモリ・ミモリ姫。貴女と私は、それぞれ分かれたのよ」
「私と貴女が?きゃっ!」
私は思わずトッペマさんに抱き着きました。その後は上手く言い表せませんでしたが、私は声にならない程に大泣きしていたそうです。
トッペマさんは終始困惑していましたが、私の事を抱き締めて頭を撫でてくれました。
―――――――――――――――――――――――
その日の帰り道。私達は車内で話をしていました。大きなジープに乗って、私とトッペマさんは最後の3列目、ゴーマン王子とメモリ・ミモリ姫は2番目、そして浜崎さんは部下の女性と共に運転席のある1列目の席に座っていました。
あの後、私達は崩壊したヘンダー城からスゲーナスゴイデスのトランプを回収する為に奔走しました。城が崩れたせいで探すのに苦労しましたが、皆さん優秀なので夕方頃には残った44枚全てが集まりました。
そして、バートンさんとナターシャさんは別の任務があるそうなので、別の車に乗ってその場を後にしました。エージェントやスパイは多忙なんですね。
そして、私はトッペマにヘンダー城崩壊後の事を全て話しました。
「………そうだったのね。メモリ姫のイレイナに対する未練の心と魔力を私に注いで、ゴーマン王子も魔力を足して、そしてスゲーナスゴイデスのトランプで私を生き返らせたのね。全く……折角覚悟を決めたのに」
「駄目です。約束を一度は破ろうとした罰です。貴女には暫く私の元で暮らしてもらいます」
「………でも、貴女と旅をしたかったのは本当よ。約束を破ろうとしてごめんなさい。これからは、私も一緒よ。ちょっと複雑だけど……………」
トッペマは、目の前で頬を赤く染めながらお互いを見つめ合うゴーマン王子とメモリ姫を見ていました。二人のイチャイチャぶりに、トッペマの顔が哀しんでるようでした。そりゃ目の前には本人が居るとはいえ、自分の好きだった相手が別の女と恋をしてるのですから。ですが、私の手を強く握ってくれました。これからはずっと一緒です。
「イレイナさん。トッペマを宜しく頼む」
「トッペマはまるで、私達の娘みたいです。いえ、この際私達の娘という事で宜しいでしょうか?」
「それも良いな!トッペマもそれで良いか?」
ゴーマン王子とメモリ姫のやりとりは、見ていてホッコリします。ゴーマン王子とメモリ姫は、後ろを覗いてトッペマに質問をしました。
「………良いの?」
「ああっ。僕等はまだ結婚はしてないけど、早くも娘が出来たみたいだよ」
「今はまだ、形だけの親かもしれないけど、私達はいつか本当の親としてトッペマを支えてみせるわ」
「………ありがとう。まだ親と呼ぶには恥ずかしいから………でも、いつかはそう呼んでいい?パパ、ママ……あっ///////」
トッペマは口を閉ざし、両手で顔を覆いました。顔も赤くなっています。
「確かに、もう親子と言っても過言ではありませんね」
「い、イレイナァー!!//////」
トッペマは顔を真っ赤にして怒りますが、小さいせいで可愛いです。
「……イレイナさん。僕達の娘を、お願いします」
「私達もこの世界で頑張ります。それと、これも差し上げます」
メモリ姫が私に手を翳すと、その手に44枚のトランプの束が出現しました。それは、城の崩壊に巻き込まれたので探すのに苦労した、スゲーナスゴイデスのトランプでした。メモリ姫に全て託されましたが、何故私に?
「このスゲーナスゴイデスのトランプを扱うのに、そして託すのに相応しい方とお見受けしました。私達はスゲーナスゴイデスのトランプに頼らず、これからは私達の力で幸せを掴みたいと思います」
「………分かりました。ありがとうございます。大切に使わせて頂きますね」
私がメモリ姫からトランプを受け取った後、トッペマさんがププッと笑った後にこんな告げ口をしたんです。
「そういえばイレイナ、初めて使った時に金銀財宝や大量のお金で金儲けしようとして、結局全て失ったのよね〜」
「なっ!?だって、普通願いが叶うのならそうしたいと思うではないですか!!//////」
「私利私欲過ぎて笑いそうだったわ!アッハハハハッ!!」
「トッペマぁぁー!!//////」
あれは黒歴史なのでやめてください………。
ゴーマン王子やメモリ姫を見たら、お腹を抱えて笑っていました。
車内はかなりの賑わいを見せていました。談笑する間、私達は他愛のない話を続けて、S.H.I.E.L.D.の日本支部へと帰って行きました。
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此処に後日談を軽く乗せましょう。
ゴーマン王子とメモリ・ミモリ姫はあの後、浜崎さんの紹介によって自衛隊へ入隊しました。この世界の暮らしには初めこそ慣れなかったのでようですが、今は自衛隊でも飛び入りの期待の新人として活躍しているようです。
「この世界のジエイタイでしたか?ジエイタイは毎日過酷な訓練を積んでいて、王国での訓練より遥かに厳しいです。しかし、それは全て、この国を護りたいという想いから来ているのだと考えれば、僕も頑張れる理由になります。この国を、そしてメモリ姫を護る為に、僕は強くなります!」
「今まで姫として訓練を積んできましたが、今回は1兵士として過酷な訓練を積んで、兵士達の苦労が分かった気がします。もう姫の身分ではないのかもしれませんが、この世界に居る限り、頑張って行こうと思います。ゴーマン様と共に!」
自衛隊の中でも随一のバカップル誕生です。
浜崎さんはあれからも、S.H.I.E.L.D.日本支部の長官として戻り、今も日本を陰で護り続けています。マカオとジョマのような敵が日本にも現れた事で、日本にも存在するかもしれないヒーローやヒロインを探し回っているようです。
「現在確認出来た限りだと、確認出来ただけでもヒロインの数が増えてるのよね。蛾のコスチュームを身に纏うヒロイン、多数の魔法のカードを使う魔法少女、熊のぬいぐるみみたいな格好の女の子ね。日本の女性超人達は増え始めてるわ」
私のような転生者か、はたまたこの世界の出身なのか、どちらにせよ、この世界は面白い事が沢山ありそうです。
「ねえイレイナ。次は何処に行くの?」
「次はアメリカに渡ろうと思います。浜崎さんのお陰でパスポートも用意出来ましたから」
次はアメリカに渡りましょう。
さて、問題です。
小さな相棒の人形を連れて、これからアメリカへ渡ろうとする美しい方は誰でしょうか?
そう。私です。
次回は、他の作品に繋がる伏線みたいな感じの描写にしようかな。ウィンター・ソルジャーか、別のしんちゃん作品か、どちらにしようかな。