MCUの世界にイレイナとして転生したけど、開き直って好きなように生きていきたいと思います 作:ちいさな魔女
私は目を覚ましました。気が付いた時には、誰かに背負われて居ました。朝になったのか、外は既に明るくなっています。
「……ん……あっ」
私は声を上げました。
「イレイナ!起きたのね!」
トッペマが横から話しかけて来ました。トッペマも体が汚れていました。
トッペマは誰かの肩に乗り上がって、私に話しかけていたのです。
「目を覚ましたか。起きなかったから、君を背負って移動するしかなかった」
私を背負っていたのは、スティーブさんでした。彼が私を運んでくれていました。
「車はさっきのミサイルで消し飛んだわ。だから、徒歩で逃げてるのよ」
「………そうでしたか。すみません、手助けして頂いて。それより、何処へ行くんですか?」
「………匿ってくれる知り合いを知ってる」
そう言って、私達はしばらく移動しました。目を覚ました私は、しばらく背負ってもらった後にスティーブさんに降ろしてもらい、ホイミを皆さんに掛けて怪我や傷を回復させました。
しばらく移動した後にワシントンDCへ戻り、スティーブさんの知り合いの家にやって来ました。周りを見渡し、人が居ない事を確認して、スティーブさんは裏口をノックしました。正面玄関では目立ってしまうからです。
そして、家主の男性が出て来ましたが、私は驚きました。
この前私とぶつかった黒人の青年、サム・ウィルソンさんだったのです。
「どうしたんだ?って君は、この前俺とぶつかった観光客か」
「お久しぶりです、サム・ウィルソンさん。えっと……」
「サムで良い。それで、どうしたんだ?皆ボロボロのようだが?」
サムさんの問いに、スティーブさんが答えます。
「サム。急に来て悪いが、僕等を匿ってくれないか?」
「知り合いが皆殺しに来るの」
「私もイレイナも巻き込まれたわ。ヤバい事を知ったから、もう無関係じゃないわよ」
「………いきなりで申し訳ありません。でもこのままじゃ、私とトッペマの旅にも支障が出ます。それに、世界の危機かもしれません。お願いします」
「………良いぞ。入れ。風呂も沸かす」
こうして、サムさんの家に私達はお邪魔しました。裏口の扉を閉める前に、サムさんは外を見回して誰も居ない事を確認し、扉を閉めてくれました。優しい方でホントに良かったです。
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私達はお風呂で体を綺麗にしました。最初に女性3人で体を綺麗にして、温かいお風呂に浸かり、その後に私の荷物から取り出した着替えに着替えました。常に荷物は異空間に収納してるので、便利ですね。
因みにトッペマの体は人形ですが、洗っても大丈夫だそうです。
その後、スティーブさんがお風呂に入りに行きました。因みに私とトッペマは、別室の部屋の布団に座っています。ナターシャさんとスティーブさんは同じ部屋で何か話してます。あのお二人はホントに付き合って無いんですかね?
「……イレイナ、とんでもない事に巻き込まれちゃったわね」
トッペマが椅子に座り、弱った声でそう言いました。
「ええっ。まさかS.H.I.E.L.D.がヒドラに乗っ取られていたとは思いませんでしたね。スティーブさんが昔戦った悪の組織らしいですが、正義の組織に寄生するとは考えたものです」
正義の組織の庇護下に入った筈が、実は悪の組織に加担してました。なんて、笑えない冗談です。
「ホントに私って、つくづく運の無い女ですね。親代わりの人達は怪物に喰い殺されて、旅先で騒動に巻き込まれて、アメリカに来たら悪の組織に追われる身。でも、私は今、すごく楽しいんですよ。だって思い通りにならないからこそ楽しめるんですから。お陰でトッペマに会えましたし、こうして色んな所へ旅に出られるのですから」
「ポジティブね。いや、開き直ってるのかしら?」
「私はどちらかと言えば陰キャな方です」
「どうかしら?」
すると、部屋の扉が3回ノックされ、サムさんが声を上げました。
『入って良いか?』
「「どうぞ」」
私達の了承を得て、サムさんが扉を開けて入って来ました。
「朝飯作ったんだ。お腹空いてるだろ?」
「ありがとうございます」
「その……ニッポンの和食って奴じゃないかもしれないけど、大丈夫か?」
「ええっ、大丈夫です。お片付けも手伝いますよ」
「私も」
サムさんに案内されて、私達は広間へやって来ました。トーストにベーコンエッグ、ウインナー、そして野菜の盛り合わせ。最高の朝食です。日本だと味噌汁も付いてたので、やっぱり味噌汁のある和食が恋しいです。
先に食べ終えてたスティーブさんとナターシャさんは、どうやってS.H.I.E.L.D.の職員を誘拐するか話し合ってました。
「あまり関係ないかもしれませんけど、私ってああいう名字だったんですね」
「ゾラって奴が言ってた?」
「ええっ。確か、衛宮・アインツベルン・イレイナと呼ばれました。私には親代わりの方々に引き取られるまでの記憶が無いんです。衛宮とかアインツベルンとか、2つの名字が私に有ったのは驚きましたよ………だとすれば、この世界に居る私の両親は……………」
イレイナは元より、元魔女にして冒険家の母の子です。ならばこの世界における『ニケ』が、私の母になると思われます。ではこの世界のイレイナは、どうして私と入れ替わったのでしょうか?
謎が深まるばかりです。
「………まあ、深く考えても仕方ありませんね。私は私の旅を、続けるだけですから」
私はフォークで目玉焼きの黄身を掬い、口に運びました。唇に残る黄身を舐め取ります。美味しい。
「ホントにポジティブね」
トッペマはテーブルに用意された子供用の椅子に座り、トーストを食べ始めました。焼いたトーストのパリパリする音が響きます。
私達は朝食を食べ終えて、空のお皿を回収して洗い始めました。
しばらく皿洗いを続けると、皿を片付けている途中でスティーブさんが私に話しかけて来ました。
「ナターシャによれば、君は魔法が使えるそうだな」
「ええっ。沢山使えますよ」
「どんな魔法が使える?」
「勿論あります。アクシオ!」
私は遠くにある空のお皿1枚を、私の手元へ引き寄せました。
「私の視界にあるのなら、重量限界はありますけど、人間3人を一気に引き寄せられますよ。まあ、大きな建物はまだ出来ません。これでも修行中なので」
次に私は、「エイビス」と唱えて杖先から鳥を出現させました。
「私も使えるわよ。トッペマ・マペット!」
トッペマも魔法で空のお皿をコントロールして、棚へと戻して行きます。
「凄いな。オズの魔法使いみたいだ」
「ありがとうございます」
「なら頼みたい事がある。S.H.I.E.L.D.の職員を一人誘拐して、ゾラのアルゴリズムやインサイト計画に付いて喋らせる。協力してほしい」
「勿論です。乗りかかった船ですから、最後までお付き合いしますよ」
「よし。それじゃあ僕とナターシャはこれからやる事がある。君はサムと協力して、S.H.I.E.L.D.の職員、特にストライクチームを率いるある男を誘拐してほしい。成功したら、僕等の指定したビルまで連れて来て欲しいんだ。其処で全てを喋らせよう」
こうして私達は、S.H.I.E.L.D.職員の誘拐作戦を開始しました。反撃開始と行きましょうか。
イレイナの母については、作中でいくつか出す予定です。