MCUの世界にイレイナとして転生したけど、開き直って好きなように生きていきたいと思います   作:ちいさな魔女

18 / 45
エピソード・5

トッペマ・マペットよ。私はスティーブ達と階段を降りていた。イレイナは後から追い付くと言って、壁にルーンを刻んだカードを貼り付けながら移動していた。

 

「彼女はなにをするつもりだ!?」

 

「ルーンカードを沢山貼って、ビル全体を巨大な儀式場に変えるつもりよ!」

 

サムの問いに答える私。

 

私達は階段を降りたが、その先で待ち伏せに遭う。

 

「隠れろ!」

 

スティーブが叫ぶ。私とナターシャ、サムは物陰に隠れた。

 

ビルの内部に突入してきた武装集団が、私達に銃を撃ち始めた。アサルトライフルだったかしら?それを連射してきたわ。

 

スティーブが手にした盾を構えて、弾を防ぐ。それも私達より前に出て。弾が盾に弾かれる金属音が響く。銃声と金属音が入り乱れる中で、私は先に飛び出し、降り掛かる弾の雨を掻い潜り、片手から魔法を放つ。

 

「トッペマ・マペット!」

 

掌から放つ魔弾は、銃を持つ男の一人に命中し吹き飛ばした。そのまま男達の懐に入り込み、頬を蹴り飛ばした。その瞬間に跳躍し、私に襲い掛かる弾の雨をくぐり抜ける。

 

私は二人目の男を踏み付けた。男は床に顔を埋める勢いで叩き付けられた。

 

すると、ビルの出入り口からミニガンを抱えた男が入って来て、ミニガンの銃口を回転させた。

 

しかし、私もイレイナから魔法を教わっている。イレイナが使える魔法の大半は使えるのだ。くだらない魔法ばかりだけど、意外な事に成長性も改良の余地もあるから、応用がかなり効くわ。

 

「『プリキルト』!」

 

「がっ!?ギャアアアアッ!!」

 

私はミニガンの男に魔法を使った。ミニガンの男は蹲ってしまった。私はミニガンの男に向かって跳んだ後、後頭部に向けて踵落としを落とした。

 

今のは『チョイキルト』と『プリマズン』という魔法を掛け合わせた魔法だ。覚えた魔法が無くなる訳では無いので、非常に便利だ。

 

私は残った男達に両手を突き出し、魔法を唱える。

 

「『サーペンベイン』」

 

「「ギャアアアアッ!!腹があああっ!!」」

 

男達は腹を押さえるが、腹から蛇が食い破って出て来た。うわぁ………えげつない事しちゃったわね……。

 

「大丈夫か!?」

 

スティーブが私に駆け寄ってきた。 

 

「本格的に攻めて来たわね」

 

「ッ!危ない!」

 

スティーブが私の手を引っ張り、私を後ろに隠した後に盾を構えた。その瞬間、盾に何かが飛んできて、爆発と共に私は吹き飛ばされた。

 

床を何度も転がった後に私は両手を床に付けて勢いを殺し、すぐに立ち上がる。

 

先程の爆発の理由は、目の前に現れた男が持つアサルトライフルに付いた大きな筒から放たれた砲弾?が原因だった。イレイナはああいうのをグレネードランチャーって言ってたけど、あれがそうなのかしら?

 

その男はマスクとゴーグルをして素顔を隠しており、私達に正体がバレないようにしていた。更に左腕が金属で出来ており、赤い星が肩に記されていた。

 

「アレがウィンター・ソルジャーか……」

 

「ウィンター・ソルジャー……それって前にマリア・ヒルが言ってた殺し屋!?」

 

「ヒルと知り合いか」

 

「まあね!」

 

ウィンター・ソルジャーが弾を装填したグレネードランチャーを私達に向けたが、私はウィンター・ソルジャーの動きを止めた。

 

「『アレスト・モメンタス』!」

 

掌から放つ魔法の光線にウィンター・ソルジャーは当たり、身動きが取れなくなる。

 

「スカラ!ピオラ!さあ、行くわよ!」

 

私はスティーブに守備力と素早さを上げる呪文を掛けて、彼の身体能力を上げた。

 

私はウィンター・ソルジャーに向けて、掌から光線を放つ。すると、ウィンター・ソルジャーは左腕を360度回転させた瞬間、身動きが取れない筈なのに動き始めた。

 

どんな怪力よ!?

 

スティーブはウィンター・ソルジャーと一騎打ちを始めた。強化魔法を掛けられた事で肉体を殴られても、仰け反るだけで大して効いた様子はない。その上ウィンター・ソルジャーの素早い動きにも対応している。

 

その間に周りに集まる男達を、私は攻撃しようとした。すると、背後から銃声が響いた。銃声が響いたと同時に、目の前の男達が吹っ飛ぶように背中から倒れた。背後を振り返ると、両手に一丁ずつ拳銃を握るナターシャが連射していた。

 

更にサムは近くで拾った銃火器を拾い、出入り口に入って来る男達を狙い撃つ。物陰に隠れて、刺客達を足止めしてくれているのだ。

 

「行け!此処は俺達に任せろ!」

 

サムがそう叫んだ。

 

私はスティーブの援護に回る。

 

スティーブはウィンター・ソルジャーに蹴り飛ばされたが、私は躊躇う事なく跳び膝蹴りをウィンター・ソルジャーに喰らわせた。跳び膝蹴りを胸に受けたウィンター・ソルジャーは後方へ吹き飛ばされるが、すぐに起き上がって私を見つめる。ゴーグルで顔は見えないが、私を睨んでいるだろう。

 

ウィンター・ソルジャーは腰に備えた小銃を私に向けるが、私はエクスペリアームスを放って彼の握る銃を吹き飛ばした。

 

ウィンター・ソルジャーは私に向かって走り出した後、私に殴り掛かる。私はウィンター・ソルジャーの拳を受け流すが、奴は片手にナイフを握り締めて振り下ろしてきた。ナイフの持つ手を叩いて受け流し、振り下ろしてきた拳を受け流し、私もキックやパンチで応戦。それを繰り返していくが、流石に読まれて私はウィンター・ソルジャーに足蹴りで足を蹴られて仰向けに転ばされた。しかし、私も何もしない訳では無い。

 

「ヒャド!」

 

私はヒャドを唱えて氷の柱を出現させ、ウィンター・ソルジャーを吹き飛ばす。スティーブもその隙にウィンター・ソルジャーへ近付き、顔を手で掴んで投げ飛ばした。

 

その時にマスクとゴーグルが取れて床に落ちて、ウィンター・ソルジャーは床で受け身を取った後に立ち上がり、再び私達を見た。

 

その顔はヒゲこそ生やしていたが、精悍な顔立ちである。

 

しかし、問題はそこではなかった。

 

その顔を見たスティーブが、呆然とした様子で立ち尽くしていた。

 

「………バッキー!?」

 

「……バッキーとは誰だ?」

 

ウィンター・ソルジャーが口を開く。

 

「えっ?知り合い?」

 

私が訊くが、スティーブは立ち尽くして何も答えない。その瞬間、銃を拾ったウィンター・ソルジャーがスティーブに銃を向ける。

 

その瞬間、地面から炎が上がってウィンター・ソルジャーを襲う。ウィンター・ソルジャーは火柱を横に跳んで避けたが、火柱は上半身のみの巨人へと姿を変えた。炎の巨人に近付くだけでも熱い。私の身体が少し溶け始めている。それだけでなく、周りの金属も溶け始めていた。

 

どんな熱量よ!?

 

「『魔女狩りの王(イノケンティウス)』。お待たせしてすみません」

 

私がその方向を振り返ると、イレイナが杖を手にして立っていた。

 

全く、遅いんだから!

 

「助かったわ!」

 

「あれが今回の敵ですね?」

 

イレイナが杖を持たない手から放つ炎を剣のように振り回し、呪文を唱えた。

 

「炎よ。巨人に苦痛の贈り物を!」

 

イレイナがウィンター・ソルジャーに向けた炎の剣は、大波のように奴に向かって振り下ろされた。

 

ウィンター・ソルジャーは横に身体を回転させて避けるが、炎の巨人がウィンター・ソルジャーに向けて炎で出来た十字架を振り下ろす。ウィンター・ソルジャーは巨人に銃を撃つが、巨人には何一つ通用しない。寧ろ弾丸が一瞬で溶けて蒸発した。

 

「トドメを刺しましょう」

 

イレイナが杖を向けた、その時だった。

 

「待て!!」

 

スティーブが手をイレイナに向ける。イレイナはスティーブを見た時、彼が呆然としているのを見て驚き始めた。

 

「………知り合いですか?」

 

「………ああっ」

 

すると、ウィンター・ソルジャーは不利を察したのか、その場から走り出した。

 

「………撤退する」

 

走り出したと同時にウィンター・ソルジャーはそう呟き、軈てビルの外に居る野次馬の中へ溶け込んで行った。

 

そして、入れ替わるように多数の武装集団がサイレン音と共に私達の元へ駆け寄って来た。但し、全員が武器を構えた状態で。

 

「全員武器を降ろせ!!」

 

「盾を捨てて両手を上げろ!!」

 

スティーブは呆然としたまま従う。

 

「………下がりなさい。魔女狩りの王(イノケンティウス)

 

「イレイナ!?」

 

「………今は大人しく従いましょう」

 

「………わ、分かったわ」

 

イレイナは杖を地面に置いて床に膝を付き、炎の巨人に命令を出す。炎の巨人は空中へ霧散するように姿を消した。

 

「杖を降ろせ!両手を上げて膝を付け!!」

 

私達は両手を上げて、膝を床に付けた。その後、私達は両腕を後ろに回され、そのまま護送車へと連れて行かれた。あの場で始末出来た筈なのにそれをしなかったのは、一人の強そうな男が上空を飛ぶヘリコプターを見てまだ早いと言ったからだ。

 

「イレイナ………」

 

「……まだ待ちましょう」

 

その時イレイナは、一人の隊員を見つめていた。体格は他の隊員と比べて細く見えた。重武装で大きく見えても、それでも細く感じた。女性かしら?

 

私達は護送車に放り込まれた。スティーブ達とは別の車両に。

 

イレイナ。何か策があるのね?信じるわよ。

 

―――――――――――――――――――――――

 

私とイレイナは護送車の後ろの座席に座ったまま、ずっと無言のままだった。何処へ運ばれるのだろうか。S.H.I.E.L.D.の本部にしては、周囲が暗い気がする。

 

『彼奴等の墓を掘っとけ』

 

男の声が響く。隣の護送車の扉が開く音がする。

 

しかし、すぐに男の苛ついた声が響いた。

 

『逃げられた!クソが!!こうなったら魔女狩りの時間だ!!』

 

そして、私達の護送車の扉が開く。

 

「私達の出番みたいですね」

 

「ちょっとイレイナ!これからどうする気よ!?」

 

「私が何かしてもいいのですが、折角ですしあの人に任せましょう」

 

あの人って?

 

そう疑問を抱く内に、私達は護送車から降ろされた。

 

そして、周りを男達に囲まれて、もう駄目だと目を閉じようとした、その時だった。

 

「っ!!」

 

突然一人の隊員が、さっきイレイナが見つめていた隊員が、突然アサルトライフルで周囲の男達を殴り始めた。更に顔を出した男も膝で腹を蹴り飛ばし、銃を向ける間もなく周囲を制圧していく。その上、手にしていた物を地面に落とすと、突然煙が周囲に発生して視界が遮られた。

 

その煙の中で見えたのは、一人の隊員が男達を薙ぎ倒す一瞬の光景だった。それも一回ではなく、様々な形で倒されて行く。

 

「何者だアンタ!?」

 

「この子達の親代わり」

 

その声に聞き覚えがあった。私がその声が聴こえた方向を向いた瞬間、その隊員は残った男が差し向けた棒のような物を横に避けた瞬間に取り上げて、男の首に当てた。そして電気を流して男を痺れさせた後、そのまま床へ倒した。

 

煙が晴れると、其処には私とイレイナ、唯一立っている隊員を除いて、全員が地面に倒れていた。これだけの武装集団を一人で制圧するなんて、強すぎる。私が嘗て居た王国の衛士隊長より遥かに強い。

 

周りの男達は全滅。殺してはいないけど、十数人をあっという間に制圧した。

 

「全く、神永の報告を聞いてまさかと思ってたけど」

 

そう。この声だ。声の主である隊員の正体は、もう分かっていた。

 

ヘルメットを脱いで現れたその顔は、S.H.I.E.L.D.日本支部の長官にして、私達の義理の母になった女性、浜崎アキだった。

 

「お久しぶりです。浜崎さん」

 

「アキ!!」

 

私は思わずアキに抱き着いた。首の後ろに手を回し、頬を彼女の頬に押し付ける。

 

イレイナは浜崎さんと呼んでるが、私はアキと呼んでいる。

 

「神永から聞いたわよ。アメリカで恐ろしい事が起きようとして、そして日本も巻き込まれてるって。それで貴女達を保護しに来たのよ」

 

アキは私達の手錠を外してくれた。テキパキと手際が良いわね。

 

「じゃあ、日本に戻るんですか?なら、急いで戻らなくては!」

 

「待って。その前に行かなきゃならない所があるの。今は何も言わずに付いて来て。丁度ヒルもキャプテン・アメリカやブラック・ウィドウを連れて到着してる頃よ」

 

アキは護送車の運転席に乗り込むと、手慣れた手つきでエンジンを始動させた。

 

「後ろに乗って。暫く移動するわ」

 

こうして、再び護送車の後部座席に座る私とイレイナ。

 

一体何処へ行くのかしら?




トッペマの改造魔法
・プリキルト
力を1.2倍にする『チョイキルト』と、体内のプリン体を増やして痛風を誘発して大ダメージを与える『プリマズン』を合わせた魔法。プリマズンの時間経過を克服しており、更にプリン体の数も増える。連発可能。
・サーペンベイン
相手の便意を誘発させる魔法『ダイベイン』と、蛇を出現させる『サーペンソーティア』を掛け合わせた魔法。相手の大腸内に蛇を出現させる魔法で、体の中から蛇に食い破られる。連発可能。

浜崎アキの見た目はこんな感じです。

【挿絵表示】
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。