MCUの世界にイレイナとして転生したけど、開き直って好きなように生きていきたいと思います   作:ちいさな魔女

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エピソード・6

イレイナです。私達は装甲車に乗って暫く移動しました。揺れる装甲車が止まり、横の扉が開きました。浜崎さんが開けました。

 

「降りるわよ。彼が待ってるわ」

 

「彼って、どちら様ですか?」

 

「会えば分かるわ。キャプテン達も既に来てるわよ」

 

装甲車から降りた私達が見たのは、大きなダムでした。別の装甲車両も発見しました。恐らく此れにスティーブさん達が乗っているのでしょう。

 

そして、ダムの出入り口から中へ入ると、複数の職員が出迎えてくれました。

 

そして私達は一つの部屋に辿り着きました。その部屋の中心にある医療用ベッドで眠る、一人の男性に見覚えがあります。その男性の周囲に、スティーブさんとナターシャさん、そしてサムさんの姿がありました。ご無事で何よりです。

 

「お久しぶりです。フューリーさん。死んだとお聞きしましたが?」

 

「………死を偽装する必要があったのでな。このような形で再会する事になって申し訳ない。だが、浜崎ならラムロウ相手でも難なく倒し、君達を救い出してくれると信じていた」

 

「でも、浜崎さんよく此処まで来れましたね。飛行機があると言っても、日本からかなりの距離があるはずですが?」

 

「和製クイーンジェットだ。日本の警視庁公安部が秘密裏に所有する世界最先端の試作型ジェット機だ。市民には知られていない核融合エンジンを搭載した試作機だが、地球上で使えば他国へ単独で赴ける代わりに機体は損傷してしまう。だから一方通行でしか使う事が出来ない」

 

「ホントよね。神永から移動用として貰った取って置きだったのに、イレイナとトッペマを救う為に使っちゃったわ。今はバラバラにしてダムに沈めているわ」

 

浜崎さん、顔が広すぎないですか?それに、アメリカへ無断で入れてお咎め無しなんて、よほどの権力者でないと無理だと思いますが………。

 

「でも、此処で呑気に話しても良いの?その、インサイト計画が実行に移されたら、世界中の人達が危険に晒されるのよ?」

 

トッペマがそう言いました。私の肩に乗っています。

 

「そうよフューリー。これからどうするつもり?」

 

浜崎さんも訪ねました。

 

「作戦は簡単だ。ヘリキャリアの下部に存在する捕捉システムを司るチップを、こちらのチップと組み替えるんだ。そうしてヘリキャリアを回収する」

 

キャリーケースを開けて見せたのは、3つのチップでした。此れをヘリキャリアの下部にあるチップと交換すれば良いんですね。

 

しかし、此処でスティーブさんが口を挟みました。

 

「ヘリキャリアは回収しない。全て破壊する。トリスケリオンの3機も、日本のヘリキャリアも全てだ」

 

「それではS.H.I.E.L.D.を復権させられない!」

 

「復権もさせない。ヒドラだけじゃない、S.H.I.E.L.D.も同時に潰す」

 

「S.H.I.E.L.D.は何の関係も無い!」

 

「これが任務だ!S.H.I.E.L.D.は乗っ取られていた事に気付けなかった!目の前でヒドラが育っていたのに!」

 

口論は続きます。スティーブさんはやはりリーダー気質ですね。こういう人が得する世の中であってほしいものです。ホントに。

 

「ねえイレイナ。知ってた?ウィンター・ソルジャーがスティーブの知り合いだって」

 

トッペマが尋ねてきました。

 

「いえ、全く。ただ、スティーブさんはあの時呆然と立ち尽くしてたので、あの男がスティーブさんと何かあったのかは分かりましたよ」

 

「そこまで?やっぱり色々見てるのね」

 

「ええっ。ですが、日本の方はどうしますか?私が浜崎さんと一緒に今から日本へ飛んで行きましょう。丁度その為の魔法も覚えてますし」

 

よく見たら、ヘリキャリアにセットする為のチップが3つしかありません。

 

「あの、チップが3つしかありませんが?」

 

その問いに、浜崎さんが答えます。

 

「日本のヘリキャリアね………人工知能が搭載されてるのよ。恐らく表向きは日本の治安を脅かす輩を、アルゴリズムで特定して撃ち抜くというイカれたシステムよ。虐めや軽犯罪、違法薬物の売買から強盗、それらが行われる前にAIが検知してターゲットを特定し、ヘリキャリアの長距離砲で対象人物を撃ち抜くの。でもヒドラに騙されて作られたのだから、恐らく日本に存在するヒドラの脅威となり得る人達を撃ち殺す殺戮兵器となっているわね」

 

「では、どうしてチップが無いんですか?」

 

「人間の手でアルゴリズムを読むよりも確実だと判断されたのよ。トリスケリオンにあるヘリキャリアと違って、チップをはめ込む場所が無いの。日本のヘリキャリアはもう、人工知能のみで動く自動粛清要塞と化してるわ」

 

つまり、日本製ヘリキャリアを止めるには、破壊する以外に手が無いという訳ですね。

 

「ああっ。日本の卓越した技術力が、逆にヒドラに利用されたんだ。それで魔改造されたヘリキャリアが誕生した」

 

「酷い話よ………でも大丈夫よイレイナ。日本だって何もしない訳ではないわ。神永を含めた公安の中でも信頼出来る皆に頼んで、招集を掛けてるのよ」

 

「………日本のヒーロー達ですね?」

 

「ええっ。この前話したヒロイン達を含めて、日本に存在するヒーロー達に出来る限り声を掛けに向かってるわ」

 

なら、日本はまだ安心出来そうですね。

 

「日本のヒーローか………あの国に祖国が何をしたのか聞いた………」

 

「スティーブさん。今はその事で悲しんでる暇はありません」

 

冷酷、非情な言い方かもしれませんが、今は一刻を争うんです。アメリカが日本へ原爆を落とした事は悲しいですが、今はその事で悲しんでもらっては困ります。これからやる事に支障も出ます。

 

「………すまない。それで、日本は大丈夫と言ったが、日本に居るヒーローはどれくらいだ?」

 

スティーブが浜崎さんに尋ねます。

 

「私と公安が確認出来ただけでも17名よ。6年前の友枝町で起きたカード事件も含めて、この12年間でどんどん増え始めてるわ」

 

「日本も大概魔境よね………」

 

「これが、その証拠よ。実際に拾えた映像だけでも、見る価値はあるわよ」

 

浜崎さんは、日本のヒーロー達の様子を見せてくれました。

 

一つは、三人の正義の魔法少女がとある三人の悪の魔法少女達と戦う光景でした。悪の魔法少女は、一人はアリスモチーフの格好で、二人目は下は際どいパンティーが目立つ軍服モチーフの格好で、三人目は頭にヤギの角を生やしたヤバそうな少女でした。

 

一つは、多数のカードを駆使して、敵対するカードの力と交戦する魔法少女でした。そのカードは見るからに独立した意志があり、その敵を倒してカードに戻し、また別の映像では倒したカードの力を行使していました。しかもカードの効果もかなり強力ですが、少女自身もゴリラ適正が異常な程高く見えます。

 

一つは赤い制服と黒い制服に身を包んだ二人の少女でした。一人は正確な射撃で犯罪者を撃ち抜いており、射撃の腕は天才的でした。もう一人の赤い制服の少女は、銃弾を避けて射撃していますが、どうやら殺してはいないようです。

 

一つはそれぞれ異なる刀を持ち、異形の化け物達を斬る女子中学生達でした。その中でも一際強く見えたのは、紫のサイドテールの小学生位の少女と、茶色の短髪の女子中学生、そして緑色の制服を着た女子中学生でしょうか。彼女達は間違いなく、今映っているサムライガール達の中で一二を争う実力者でしょうね。今は二本の刀を扱う女性が強いようですが、いずれあの三人に追い抜かれると私は見ました。

 

一つはクマのぬいぐるみのような格好をした少女でした。あまりにも可愛らしい見た目に反して、戦闘能力はとんでもないようです。殴る、蹴る、そしてどうやら私と同じく魔法が使えるようでした。

 

一つは見た時驚きました。顔を隠さず、桜のような色合いをしたスパイダーマンでした。いえ、スパイダーガールと呼ぶべきでしょうか。

 

そして最後の映像には、蛾のようなコスチュームを身に纏った少女の姿が映りました。新宿歌舞伎町を中心に夜の街を走り、スパイダーマンのように糸を使ってぶら下がるように移動したかと思えば、その背中の羽を広げて空を滑空していました。簡単に言えば、バットマンとスパイダーマンを足して2で割ったようなヒーローでした。

 

「………日本はヒーローガールが多いのか」

 

「………それも、全員がとびきりの実力者揃いね」

 

スティーブさんとナターシャさんも、納得されたようです。

 

「では浜崎さん、フューリーさん。私達は本部のヘリキャリアを止めれば宜しいのですね?」

 

「ええっ。フューリーはこんな状態ではあるけど、やるしかないわ。私もS.H.I.E.L.D.はクビでしょうし、公安に復職しようかしら?」

 

「ああっ、君はそうするべきだ」

 

こうして、作戦が始められました。日本の方は大丈夫そうらしいですね。期待していいでしょう。

 

私とトッペマは、作戦準備が整ったスティーブさん達と一緒に、S.H.I.E.L.D.本部のあるトリスケリオンへ向かうのでした。

 

―――――――――――――――――――――――

 

私は浜崎アキ。日本からアメリカまで来て、イレイナ達を救出したわ。

 

そして今、他の職員を他の部屋に向かわせた。

 

ある事を確かめる為に。

 

「フューリー。差し入れよ」

 

私はサンドイッチを差し出した。そう。()()()()()()()()()()()()()()()()()()を。

 

「ああっ、済まない」

 

フューリーはそのサンドイッチを受け取ると、()()()

 

私はフューリーの額に、懐から抜いた銃を向ける。

 

「何者よ?」

 

「待て待て。私は敵ではない」

 

そして、フューリーの姿が波打つように変わっていき、軈てこの地球上の人間ではない別の人物へと変わった。

 

いえ、戻ったと言うべきね。

 

「質問に質問で返す。なら敵とみなすわ」

 

「私はタロス。フューリーとは友人だ。彼が死にかけていたのを、我々スクラル人の船で治療して助けている。今は私が彼に成り代わる形で入れ替わっているんだ」

 

スクラル人。おそらく外星人の事ね。

 

「……まあ、貴男の目には敵意や殺意は無いわ。フューリーと入れ替わった以上、彼に合わなきゃ無理だもの。まさか衣服まで再現出来るなんてね。記憶までコピー出来たら、完璧にこの地球へ紛れ込める外星人になれたものね」

 

「ああっ。信用してくれてありがとう」

 

タロスと名乗る外星人、いえスクラル人は雰囲気を見る限り戦争経験者ね。その手を私と同じく血で染めている。

 

何かを護る為にその手を血に染めてきた。

 

私と同じね。

 

「それじゃ、準備するわよ。フューリーに戻ったら、本部へ向かうわ」

 

「ああっ、急ごう」

 

こうして、再びフューリーの姿になったタロスと共に、複数の職員とヘリに乗って移動した。

 

行き先はトリスケリオンのS.H.I.E.L.D.本部。

 

ピアーズ理事と最後に会ったのは、友枝町での事件以降ね。あの時は理事にカードを取られないようにするので必死だったわ。

 

でも今は、彼は敵。

 

フューリーと入れ替わって彼を助けてくれたタロスと共に、全てに決着を付けるわ。




日本の魔改造ヘリキャリアの話は、ウィンター・ソルジャー編が終わってからやりたいと思います。

この作品は基本百合です。そして日本で女性ヒーローが多いのも私の趣味です。完全に趣味です。好き放題やるだけです。強さだけで選んでいませんよ。
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