MCUの世界にイレイナとして転生したけど、開き直って好きなように生きていきたいと思います   作:ちいさな魔女

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トッペマの出番は、今回は短いです。


エピソード・8

私はトッペマよ。

 

イレイナがS.H.I.E.L.D.本部で頑張ってる内に、私はS.H.I.E.L.D.本部の周りを飛んでいた。すると、パトロール中の二人の警官に向かって飛んでいき、彼等の前に降り立った。

 

「お巡りさん!街が危ないの!早く市民を避難させて!トリスケリオンから皆を殺すヘリキャリアが飛び立つわ!」

 

「何だ君は!子供は家に―――」

 

その瞬間、トリスケリオンから砲撃の音が響いた。目を凝らすと、機械の翼を生やして鳥のように空を飛ぶサムが、ヘリキャリアの砲台から砲撃を受けていた。しかし、巧みな飛行能力と動体視力を駆使して全て避けて行く。銃声も聴こえるから、きっとスティーブも戦っているのね。

 

「………あのヘリキャリアで戦ってる人は私の仲間よ!あのヘリキャリアはこの街に住む人達も、世界中の皆も皆殺しにしてしまう!お願い!街の人達を護って!!」

 

私は必死に訴えた。警官達は戸惑った顔を見せるが、二人の警官はお互いに頷き合うと、行動に移した。

 

「良いか街から市民を避難させろ。ヘリキャリアの位置から近い橋や建物、それから海沿い川沿いの全ての人々に声を掛けて回れ。それから病院や介護施設の患者に利用者、学校の生徒達を最優先で逃がせ。本部には俺が連絡を入れる」

 

「はい、先輩!」

 

一人の警官が走り出す。

 

「ありがとう。勇気を出してくれて」

 

「ええっ!」

 

「よし。本部へ通達!緊急事態発生!全ユニットへ通達し、ダメージコントロール局と協力して市民を逃がせ!」

 

『了解しました!』

 

警官達も動いてくれた。私も出来る限りの事をしなくては。

 

私はスカートを回転させて空を飛び、警官達と共に避難誘導を始めた。

 

「ヘリキャリアが落下したら、川や海の近くに居る人達が波に飲み込まれるわ!先ずは海岸沿いからね!」

 

私は海岸沿いに向かって飛んだ。もしヘリキャリアが落下した際に、一番初めに落ちるのは海だ。海に落ちたら大きな波が発生する。そうなればヘリキャリア落下で生じた大波によって市民が巻き込まれて、多くの犠牲者が出てしまう。

 

海岸沿い海沿いのフェンス、そして港には、ヘリキャリアが飛び立つ様子を見ている市民が沢山居た。

 

なんで逃げないのよ!

 

私は彼等の前に降り立ち、避難を促した。

 

「皆逃げて!!ヘリキャリアは貴方達をターゲットにしてるのよ!!早く逃げて!!」

 

すると、ヘリキャリアから何発かの弾が飛んできた。それは、サムを狙った戦闘機が放った砲弾の流れ弾だ。

 

「早く逃げて!!」

 

私は掌からバリアを展開して、市民への流れ弾を防いだ。

 

『『『ウワアアアアァァァァァッ!!!』』』

 

市民は状況を察したのか、そのまま海を背にして逃げ始めた。港に居た人達や川沿いの人達も、それを見て何かを察して、道具とかカメラとか、重そうな荷物を置いて逃げだし始めた。

 

「私は出来る限り市民を逃がすわ………サム、スティーブ、ナターシャ、ニック、アキ………それにイレイナ!本部は任せたわよ!」

 

私は避難誘導を始めた。警官達も集まり始めた。彼等曰く、非番の警官も集まって避難誘導を開始しているらしい。

 

私は警官達の頼もしさに嬉しくなりながらも、空を飛び回りながら避難誘導を続けるのだった。そして、取り残された人達が居ないか、レベリオを使って探す。赤ちゃん、幼児、学生、障害者、高齢者、そしてペットも。私は街全体を飛び回り、逃げ遅れが居ないか全力で探し続けた。

 

――――――――――――――――――――――――

 

「良いか!キャプテンを援護するぞ!キャプテンを空から助けられるのは我々だけだ!」

 

トリスケリオンの滑走路にて、S.H.I.E.L.D.の武装した職員が新型のクインジェットに乗り込んでいた。スティーブの演説とストライクチームの裏切りによって、S.H.I.E.L.D.がヒドラに乗っ取られていると知った。ヘリキャリアを打ち上げられてしまった。このままではヒドラによって罪なき人々が死ぬ。それを止める為、そしてヒドラに乗っ取られていた事に気付けなかった償いの為にキャプテン・アメリカを援護しに向かうのだ。

 

「準備完了しました!」

 

「よし、行くぞ!」

 

隊員達がクインジェットに乗り込もうとした、その時だった。突然隊員達は爆発によって吹き飛ばされた。更に飛び立とうとしたクインジェットが、突然爆発を起こして墜落した。

 

その犯人は、ウィンター・ソルジャーであった。彼はS.H.I.E.L.D.職員がキャプテン・アメリカの援護に向かうのを阻止しに来たのだ。

 

そして、キャプテン・アメリカを抹殺する事も彼の任務である。

 

再び飛び立つ準備を始めるクインジェットに向かって、ウィンター・ソルジャーは手にしているグレネードランチャーを向けた、その時だった。

 

「『アクシオ』」

 

ウィンター・ソルジャーは手元のグレネードランチャーを手放した。その原因は、杖を手にするイレイナが原因だ。イレイナはグレネードランチャーを手元に引き寄せると、そのまま空中へ放り投げた後にグレネードランチャーへ向けて『レダクト』と唱えた。すると、空中へ放り投げられたグレネードランチャーは粉々に砕かれ、大爆発を起こした。

 

上空で大爆発が起きたものの、被害の拡大を防いだイレイナ。

 

「さて、貴男はキャプテン・アメリカと親しい方とお聞きしています」

 

「………………」

 

「だんまりですか。まあ私は貴男の事は正直どうでも良いのですが、スティーブさん達の邪魔をさせるわけにはいきませんから。貴男には大人しくしていただきましょう」

 

イレイナは杖を構える。

 

イレイナは間髪入れずに杖から熱線を放つ。魔力を練って放たれた熱線は、ウィンター・ソルジャーに向かって真っ直ぐ飛んで行った。ウィンター・ソルジャーは熱線を避けた後に銃をイレイナに向けて発砲。しかしイレイナはプロテゴで全身を護り、銃弾を弾く。

 

「『ヒャド』」

 

イレイナは氷魔法を唱える。ウィンター・ソルジャーは横に跳んで、地面から現れた氷の柱を避けた。

 

「『バギ』」

 

ウィンター・ソルジャーに真空波が襲い掛かる。風の刃がウィンター・ソルジャーの体に襲い掛かり、ウィンター・ソルジャーの全身に切り傷が出来る。

 

しかし、ウィンター・ソルジャーも金属の手から、円形の手榴弾をイレイナに投げる。イレイナは『プロテゴ』で手榴弾の爆発を防ぐが、ウィンター・ソルジャーが爆煙から姿を現した。

 

イレイナはウィンター・ソルジャーの強襲に遭うが、その場で前転して避けた。ウィンター・ソルジャーは銃をイレイナに向けるが、イレイナは『エクスペリアームス』を放って銃を吹き飛ばす。ウィンター・ソルジャーはナイフを取り出すと、イレイナもナイフを取り出して応戦する。

 

しかし、イレイナのナイフ捌きはウィンター・ソルジャーに敵わない。ナイフの打ち合いはイレイナが押される。しかし、イレイナは自分に強化魔法を使用した。

 

「『スカラ』『ピオラ』『インテ』『チョイキルト』『ポリコズン』」

 

身体能力を強化して、ウィンター・ソルジャーとナイフを打ち合う。お互いにパリィを繰り返し、攻撃を読み合う。

 

『よし!二機ともチップの入れ替えに成功したわ!後一機よ!』

 

イレイナの持つ通信機から、ヒルの声が響く。

 

イレイナは作戦が順調に進んでると確信する。

 

とはいえ、ウィンター・ソルジャーを止めなければ話にならない。彼を取り逃せば、スティーブ達の計画に支障が出てしまう。

 

「『ダウン』『ルカニ』『ボミエ』」

 

イレイナはデバフ系の魔法を唱え、ウィンター・ソルジャーを弱体化させる。ウィンター・ソルジャーは自分の身体が弱くなり、倦怠感に一瞬襲われた。

 

「っ!?何をした……!」

 

「やっと話しましたか。良い声ではありませんか」

 

ウィンター・ソルジャーは、金属の左手に握り締めたナイフを振り下ろす。イレイナは右手のナイフを左手に持ち替えて、右腕で金属の左手首を止めた。成人男性な上に筋肉質な腕を、魔女と言えど細い女性の腕にアッサリと受け止められた事に驚くウィンター・ソルジャー。

 

「それに、驚いてる貴男の顔、素敵ですよ。感情豊かな貴男の方が、素敵ではありませんか」

 

「黙れぇ!」

 

ウィンター・ソルジャーは金属の手を握り締めて、再び振り下ろす。イレイナは金属の拳を素手で受け止めた後に、ウィンター・ソルジャーの顔に手を翳す。

 

「『トラウム』」

 

相手の悪い思い出を引き出す魔法であり、メレブのくだらない魔法で最もえげつない精神攻撃魔法である。相手に左右される部分が大きいものの、相手次第でシャレにならない精神的ダメージを与える事も可能である。

 

ウィンター・ソルジャーは頭を抱えて、脳裏に思い浮かぶ光景が蘇る。悪い思い出が引き起こされる。ヒドラによって消された筈の、ウィンター・ソルジャーの…………ジェームズ・ブキャナン・バーンズ、通称バッキー・バーンズとしての記憶が蘇る。

 

―――――――――――――――――――――――

 

『バッキー!!』

 

『うああああああああああっ!!』

 

ヒドラの科学者ゾラの捕獲の為に渓谷を通過する軍用列車に突入する任務の最中、敵の攻撃によって車両から転落。必死に手を伸ばす親友スティーブの目前で谷底に落下し、左腕を失いながら意識不明の重体となっていた。

 

ヒドラによって回収され、洗脳されて暗殺者として蘇る。左腕のチタン製サイバネティック・アームは、その時に取り付けられた物だった。その後は氷漬けにされた状態で眠りについていたが、ヒドラの残党に実権を握られたS.H.I.E.L.D.によって復活させられ、覚醒と冷凍睡眠を繰り返しながら半世紀以上に渡って数々の暗殺任務をこなし、暗殺・諜報の世界では伝説的な存在となっていた。

 

更に、他の記憶も蘇り始めた。

 

『お前さ、殴られるの好きなんだろ?』

 

『一人でも勝てた…!』

 

ボロボロのスティーブを助け出した時。

 

『僕だって国の為に戦いたいんだ!誤解してるようだけど、見栄じゃない!』

 

『だな。帰還するまで馬鹿するなよな』

 

『出来るかよ。馬鹿が居なくなるんだ』

 

『……間抜け野郎』

 

『クソ野郎』

 

スティーブの強い愛国心を耳にした。そして、お互いに抱き締め合う。深い友情の瞬間だった。

 

『死ぬ覚悟でこのキャプテン・アメリカに付いてきてくれるか?』

 

『断る。俺が付いていく男は一人。弱いくせに逃げない、もやし野郎だ』

 

更に記憶が蘇る。

 

『最後までとことん付き合うよ』

 

それは、バッキーが親友スティーブに言い放った、お互いの絆の深さを感じさせる言葉だった。

 

―――――――――――――――――――――――

 

「………スティーブは?」

 

「思い出しましたか?」

 

バッキーは頭を抱える。ヒドラに施された記憶消去は、トラウマを思い出された影響によってほぼ消えかけていた。

 

「このトラウムって魔法。本来なら悪い思い出しか引き出さない筈ですが、何が起きたんですかね?悪い思い出と一緒に他の記憶も掘り起こされたんでしょうか?」

 

イレイナにとっても予想していなかった事だった。

 

「………俺は、ヒドラに………」

 

「ええっ。貴男は操られていたとはいえ、多くの命を奪いました」

 

「………手厳しいな」

 

「事実ですから」

 

バッキーはもう交戦する気は無かった。イレイナはスマホに通知が届いた振動を感じて、懐からスマホを取り出してSNSを確認した。

 

「さて………あら、S.H.I.E.L.D.の機密情報がSNSに拡散されましたね。Twitterのリツイートも激しいですし、コメントも炎上してますねぇ」

 

イレイナはスマホを取り出す。因みにスマホを俯いて見ておらず、真っ直ぐにして見ている。

 

ネット上でのコメントは多々あるが、どれもS.H.I.E.L.D.への誹謗中傷が強い。中にはS.H.I.E.L.D.はテロ組織に操られていただけと擁護する声もあるが、殆どは炎上コメントばかりだ。

 

一部を抜粋すると、このような感じだ。

 

『S.H.I.E.L.D.がテロリスト達を育てていた件』

 

日本のコメントからだ。

 

『S.H.I.E.L.D.もう要らねぇ。とっとと潰れちまえ』

 

アメリカの国民からだ。

 

『S.H.I.E.L.D.はアホ』

 

ロシアの国民からだ。

 

『S.H.I.E.L.D.こそが悪の根源だ!』

 

イタリアからのコメント。

 

どれもS.H.I.E.L.D.への誹謗中傷が強かった。

 

「………ヘリキャリアも落ちますね。もうヒドラもS.H.I.E.L.D.も終わりでしょう」

 

「…………そうか」

 

「迎えに行きますか?スティーブさんを」

 

「………合わせる顔が無い」

 

「スティーブさんはそう思っていませんよ。乗ってください」

 

イレイナが箒に乗る。イレイナは箒をトントンと軽く叩き、乗るよう促した。

 

「………分かった」

 

バッキーは立ち上がり、箒に横乗りで乗った。イレイナはバッキーを箒に乗せると、ヘリキャリアに向かって飛んで行った。




次回は不思議の町でもやろうかな。

ウィンター・ソルジャー編、後2話で終わります。
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