MCUの世界にイレイナとして転生したけど、開き直って好きなように生きていきたいと思います   作:ちいさな魔女

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エピソード・最終話

浜崎アキよ。私はタロス………が化けたフューリーと共にヘリに乗り、S.H.I.E.L.D.本部トリスケリオンに到着した。私はフューリーと共にヘリから降りた後、委員会が集まる部屋に入る。

 

ロマノフは既に世界安全保障委員会の一人に化けて潜り込んでおり、床には彼女が倒したヒドラの工作員達が寝転がっている。

 

「生きていたとはな。相変わらず目的の為なら手段を選ばない奴だ」

 

アレクサンダー・ピアース。S.H.I.E.L.D.の理事、しかし本当の顔は犯罪結社ヒドラの幹部だ。今まで見抜けなかった私に腹が立つ。

 

「そうか?暗殺はアンタの指令かと思ったが」

 

「しかし、まさか君も来ていたとはな」

 

「お久しぶりですピアース理事」

 

私は頭を下げる。

 

「一つ聞きたい。私を何故長官に選んだ?私よりも浜崎の方がよほど冷徹で任務に忠実だ」

 

「私も浜崎君をS.H.I.E.L.D.の長官に任命しようとした。しかしこの日本愛に満ちた女は、日本を護る事を最優先にし、私の任命を断り続けたのだ。だから君を選んだ」

 

「その点において感謝しております。そのお陰で、私は日本を護る仕事を誇りを持って行えました」

 

「やはり日本人は侮れん。君はいつだって、日本を護る為に行動し続けてきた。善人も悪人も問わず、日本人を救い続ける君は、狂気的な程の愛国者だよ」

 

そして、フューリーはピアースをホログラム画面に誘導した。私は見逃さなかった。ピアースがスマホ型の端末を所持しているのを。

 

「暗号を解除するには、アルファレベルの職員二人の照合が必要だ」

 

「ああっ。確かに右目の網膜データは失われた。だが私を出し抜きたかったら……両方の目ん玉でしっかり見ろ」

 

フューリーは眼帯をずらして、嘗て傷付いた目を晒す。あの目は視力を失ったが、網膜データは記録されている。

 

ピアースも間抜けよね。ヒドラもだけど。よほどインサイト計画に夢中だったみたいね。

 

そして、二人の網膜データから暗号を解除され、ロマノフがデータをインターネットに流し始めた。

 

これでS.H.I.E.L.D.はおしまいね。私がS.H.I.E.L.D.としてのキャリアも終わり、顔も晒される。もう公安庁にも復職出来ないだろう。

 

しかし、それで良いのだ。

 

私は公安庁に復職出来ない以上、例え極道に落ちても構わない。権力者の所に居るよりも動きやすくなるだろう。

 

「完了。リツイートされまくって―」

 

私は銃を抜き、ピアースの右手を撃ち抜いた。

 

「ぐあああっ!」

 

ピアースの手元から落ちた端末に駆け寄り、私は端末を拾う。

 

「見抜いていたか……!」

 

ピアースを無視して、委員会とロマノフにバッジを外すよう促す。

 

「……委員会の皆様。今すぐバッジをお外しください。それはバッジに偽造した小型爆弾です」

 

委員会の皆さんは、即座にバッジを外し始めた。ナターシャもバッジを外し、床に捨てる。

 

そして、画面を操作した瞬間、4つのバッジが爆発はしなかった。しかし、白く輝いた後に煙を発した。身に付けてたらそのまま殺されてたわね。

 

「相変わらず、やり方がえげつないわね。そして判断も早い」

 

ロマノフに何か言われたが、無視してピアースの額に銃口を当てる。

 

「ピアース理事。何か仰る事はございませんか?」

 

私はピアースを蹴り飛ばして床に倒し、彼のお腹に馬乗りして銃口を額に向ける。

 

ピアースは怖がる様子は無かった。その口から出て来た言葉で、ピアースは死を恐れてない事を確信する。

 

「……ヒドラ万歳(ハイル・ヒドラ)

 

その瞬間、私は躊躇いなく引き金を引いた。ピアースの額を撃ち抜いた弾丸は床にめり込み、周囲に銃声を響かせる。

 

「やはり君は、日本を護る為に手段を選ばないな。ピアースを殺すのに迷いがないとは」

 

フューリーがそう言った。

 

「生かした所で、彼の存在が新たな厄災を呼ぶだけよ。日本を護る為ならば、私は何でもするわ」

 

例え、他国を一つや二つ、滅ぼす事をしたとしても。

 

私は日本を護る。それだけよ。

 

―――――――――――――――――――――――

 

イレイナです。

 

アレからどうなったのか、色々掻い摘んで説明します。

 

先ずお察しの通り、S.H.I.E.L.D.は崩壊しました。勿論日本支部も例外はありません。インターネットにS.H.I.E.L.D.の機密情報が流出し、ヒドラに乗っ取られていた事も、隠された汚職も知れ渡り、世間からの信用を失いました。日本支部も解体されて、ヒドラの工作員は大半が逮捕されました。他は散り散りになって、日本の闇の世界に入ったか、海外へ独自のルートを伝って逃げたか、いずれにせよ再起に至るには時間が掛かるでしょう。

 

それから、マリア・ヒルさんはスターク・インダストリーズに入社し、現在はアベンジャーズのサポートに就くそうです。

 

ニック・フューリーさんは、行方を晦ましました。表向きは死んだ事になっており、私もトッペマも、行方は知りません。

 

ナターシャさんは処遇を決める為の議会に参加したそうです。その時に言った言葉は、実に素晴らしいものでした。

 

「確かに世界は今無防備よ。そうしたのは私達。でも世界を救う事が出来るのは私達だけ。私を逮捕したいならすれば?でも貴方達には絶対出来ない。何故なら、必要だからよ」

 

私達が居なくなったらお前達が困ると、ハッキリと言ってくださったようです。

 

スティーブさんはあの後、行方を晦ましたバッキーさんを探してるそうです。バッキーさん、漸く親友と再会を果たしたのに、何故再び姿を晦ましたのでしょうか。

 

まあ、私には関係のない話ですが。

 

というより、私もトッペマも関わってしまったので、何もない訳ではありませんでした。私達はヒドラのテロ行為を阻止した上、市民に貢献した事でアメリカ中で話題になりました。折角のアメリカ旅行なのに、アメリカに居づらくなりました。

 

私はトッペマと共に、別の国へ逃げるように移る事にしました。

 

行き先はイギリスの首都、ロンドンです。

 

すると、ワシントンDCの空港に来た私達は、ある人と再会を果たす事になりました。

 

「まさかこんな事になるとは思いませんでした」

 

「ホント、私達って行く先々で色んな目に遭うわね」

 

私達はチケットを購入し、飛行機が出る時間まで待機していた、その時でした。

 

「イレイナ、トッペマ。久しぶりね」

 

私達は後ろを振り返ると、其処には浜崎さんが私服姿で立っていました。普段からスーツ姿なのですが、ラフな格好は初めて見た気がします。

 

「浜崎さん、どうしたんです?」

 

「もしかして、アキは私達の見送りに来たの?」

 

「それもあるわ。でもS.H.I.E.L.D.が無くなった以上、私も貴女達も後ろ盾を失った。私はこれから日本に戻り、極道の道に入るわ」

 

極道。つまり、ギャングやマフィア、暴力団の蔓延る闇の世界に入るという事ですね。

 

「それって、大丈夫なんですか?」

 

「平気よ。公安時代やS.H.I.E.L.D.に居た頃より動きやすくなるわ」

 

「アキ、それで良いの?」

 

トッペマが心配な声を上げました。

 

「心配しないで。自分の身は自分で守る。貴女達こそ、これから何処かへ旅に出るの?」

 

浜崎さんの問いに、私は答えました。

 

「英国紳士の都、ロンドンです。蓄えはまだ沢山ありますので、ロンドンまでは持つでしょう」

 

「アメリカじゃ、私達は有名人だもの。海外に暫く逃げたい気分にもなるわ」

 

「そう。気を付けてね。それから……」

 

浜崎さんは、私達二人を抱き締めました。

 

「行ってらっしゃい。何処に行っても、私は貴女達を応援するわ。イレイナ、悪さも程々にね。トッペマも、イレイナの事を守って」

 

「悪さって……私そこまでしてませんよ(身に覚えが無いだけで)」

 

「私が見張るわよ。アキも、気を付けてね」

 

「……ええっ、行ってらっしゃい」

 

こうして、私達はそれぞれ別れました。浜崎さんは日本行きの飛行機へ。

 

そして、私達はイギリス行きの飛行機に向かいました。

 

―――――――――――――――――――――――

 

そして、イギリス行きの飛行機の中で、私はトッペマと共に窓からの景色を見ていました。雲が下に広がる景色を見ていると、トッペマが私に話しかけて来ました。

 

「イレイナ。イギリスに行ったら、私達はまたトラブルに巻き込まれるのかしら?」

 

「………そうかもしれません。ですが、何もないままぶらぶらと旅するよりもマシです。アメリカでの出来事も、正直ハラハラドキドキしましたから」

 

「全くもう……ホントにイレイナは旅好きよね。それも、この世界の何処かにいるかも知れないお母さんを探すため?」

 

「そうですね。前は何の宛もなく世界を旅するだけでしたが、私と、私の母のルーツを探ろうと思います。勿論、世界を知るために旅をするのが最優先ですが」

 

「……そうね!イレイナらしいわ。それに、私も知ってみたいわ。イレイナのルーツ」

 

「ええっ」

 

こうして、私達はイギリス行きの飛行機に乗り、長い長い飛行機の旅を楽しみました。キャビンアテンダントから食事を購入し、映画を楽しみ、静かに眠りながら、イギリスへの到着を待ち続けました。

 

―――――――――――――――――――――――

 

イギリスのある田舎の町。其処は、継ぎ接ぎした家に増築を重ねたような不気味な塔が目立つ、小さな田舎町であった。

 

但し、田舎町には本来存在しない、とはいえ小規模の、遊園地も存在している。

 

その塔の最上階のベランダから、眼鏡を掛けて、頭巾を身に付けた少女が、ベランダから景色を眺めていた。

 

「お父様………この塔に辿り着く者は、本当に現れるのでしょうか」

 

少女はそんな不満を、寂し気な目と雰囲気と共に口から漏らしたのだった。




次回の章:不思議な町

その前に、次回の番外編で、日本の魔改造ヘリキャリアとジャパニーズヒロイン達の戦いを描きたいと思います。
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