MCUの世界にイレイナとして転生したけど、開き直って好きなように生きていきたいと思います   作:ちいさな魔女

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エピソード・10

イレイナです。私達は部屋の中心に集まり、3人で作戦会議を始めました。まあ塔が崩れるまで時間は無さそうなので、手短になりますが。

 

トッペマ「どうするのよ!?ドン・ポールは本気で私達を潰す気よ!」

 

イレイナ「私の箒、二人までが限界ですし、3人乗りでは上手く飛べなくなります。そう言えば、アロマさんは魔術が使えると聞きますが、具体的にはどんな事が出来ますか?」

 

アロマ「えっ?はい。占術、四大属性の魔術、修復と変換、魔法道具の作成までです。しかし、いずれも戦闘に使える物は少なく………申し訳ありません……」

 

イレイナ「………いえ、使えますよ。この部屋にある物を使えば、3人乗りのグライダーを作れる筈です。私とトッペマで部屋の物を集めます。アロマさん、私の指示通りに魔術で物を組み立ててください。出来ますね?」

 

アロマ「は、はい!材料と作ってほしい物をリクエストして頂ければ、可能です!」

 

トッペマ「分かったわ!さあ、やるわよ!」

 

イレイナ「では、部屋にある物を片っ端から集めましょう」

 

私は杖を取り出すと、揺れる床に構わず片っ端から部屋にある物を集めて回りました。地球儀、本、本棚、椅子、カーテン、水晶玉、絵画、家の壁や天井、扉、花瓶や花、家具等、部屋にある物をひたすら集めて行きました。

 

イレイナ「アロマさん。首根っこに巻いてる物も使えますか?」

 

アロマ「えっ?はい」

 

アロマさんは私の言う通りに、首周りに着けていた布も材料の中に出しました。再び塔が攻撃され、床が激しく揺れました。

 

イレイナ「では、今から集めた材料で作ってほしい物を言います。この家も含めて、巨大な飛行物体を形成してください。三人が乗れる大きなグライダーです。ペダルを漕ぐタイプは作れませんが、翼と魔力があれば自由自在に飛べる筈です」

 

トッペマ「成る程!それでドン・ポールを撃退するのね!」

 

アロマ「分かりました!やってみます!」

 

アロマさんは懐から杖を取り出し、先端から白いオーラを放ちました。更にもう片方の手から、白いオーラを放ちました。

 

トッペマ「貴女も杖と手で魔法を使うのね」

 

アロマ「どっちも使えるのよ。えっと、トッペマで良かったのよね?」

 

トッペマ「ええっ、トッペマ・マペットよ。私も魔法が使えるの。よろしく、アロマ」

 

アロマ「ふふっ。よろしくね」

 

アロマさんはトッペマと話した後、杖や右手から魔力の光を放ち、材料の山へ浴びせていきました。

 

すると、材料が独りでに空中へ浮かび上がり、元の原型すら留めない程に変化したり、伸び縮みしたりして、瞬く間にグライダーへと姿を変えていきました。

 

アロマ「完成しました!」

 

イレイナ「家は私が破壊します!『イオ』!」

 

私は目の前の壁に手を翳し、爆発呪文『イオ』を唱えました。すると、壁の方で爆発が発生し、壁が粉々に吹き飛ばされました。

 

イレイナ「さあ、行きますよ!」

 

トッペマ&アロマ「「ええっ/はい!」」

 

―――――――――――――――――――――――

 

イレイナ達は空を飛んだ。イレイナ達が乗る操縦席には、イレイナが操縦席に座り、トッペマとアロマで後方の後部座席に座っていた。

 

そして、ドン・ポールのヘリもイレイナ達のグライダーを追いかけ始める。

 

イレイナ「もうしつこいですね!」

 

イレイナは後方を覗く。ドン・ポールのしつこい追跡に呆れていた。

 

ドン・ポール「イレイナァ!!撃ち落としてくれるわ!!」

 

ドン・ポールがそう叫んだ瞬間、赤い鉄球が伸びてきた。一回転した後にイレイナ達の乗るグライダーへ向かって飛んできた。

 

イレイナ「っ!」

 

イレイナは操縦桿に魔力を流した後、操縦桿を左に回して機体を左へ傾ける。左へ傾いたグライダーの横を、鉄球が通り過ぎる。

 

ドン・ポール「逃がすかぁ!」

 

ドン・ポールは残りの鉄球も振り回す。イレイナはグライダーを操り、鉄球を避けて行く。

 

イレイナ「トッペマ。迎撃をお願い出来ますか?」

 

トッペマ「任せて頂戴!」

 

トッペマはグライダーの最後尾にしがみつきながら進み、水平安定板を掴みながら最後尾に立つ。

 

トッペマ「『エスソパルソ』!」

 

トッペマはドン・ポールのヘリに手を翳し、呪文を唱える。

 

ドン・ポールは鉄球を振り回した時であった為、鉄球に呪文が命中し、鉄球の一つが爆破した。

 

トッペマ「『グレイシアス』!」

 

トッペマは魔力を放ち、ドン・ポールのヘリ本機に命中させる。エンジンが凍り、ヘリのエンジン部位が不調を起こして煙を噴き始める。

 

ドン・ポール「なあっ!?機体が!」

 

トッペマ「『エクスペリアームス』!」

 

トッペマは指先から武装解除呪文を放ち、ドン・ポールのヘリの武装した部位に放つ。

 

本来なら敵の武装を解除するエクスペリアームスを、武装した機体に使うとどうなるか。

 

ドン・ポールの機体の下部が爆発し、鉄球が周囲へ吹き飛んだ。一つは森の方へ、もう一つはイレイナ達の元へ飛んでいき、右側の翼を全て破壊した。

 

更に、ドン・ポールの機体は凍った影響でエンジンが強制停止し、凍った箇所のエンジンが不調を発生し、爆発を起こした。

 

機体が揺れた事で、操縦席に座っていたドン・ポールの隣に置いてあった袋がバランスを崩し、町へ落下してしまった。

 

ドン・ポール「ああっ!サンプルが!」

 

持ち帰って研究する筈だった物を落としてしまった。

 

ドン・ポール「おのれぇ!覚えておれよイレイナ!お前達親子への恨み、いつか必ず晴らしてやる!!」

 

こうして、ドン・ポールは壊れたヘリと共に空中を漂い、町から離れていく。イレイナへの恨み言を残しながら、ヘリと共に森へと墜落していくのだった。

 

そして、イレイナ達は片翼を失ったグライダーを操作し、町の中心である時計塔の通りへ降りていく。

 

イレイナ「トッペマは先に!」

 

トッペマ「分かったわ!」

 

トッペマは飛び降りた後、スカートを回転させて空を飛び始めた。

 

イレイナ「アロマさん!跳んでください!」

 

アロマ「で、でも!」

 

イレイナ「其処に箒があります!私の箒にしがみついて!」

 

イレイナの言う通り、地面へ不時着しようとするグライダーの左隣に、箒が並んで飛んでいた。アロマはそれを見て、イレイナの言う通りにすべきだと理解する。

 

アロマ「でも、イレイナさんは!?」

 

イレイナ「何とかします。さあ、早く!」

 

アロマ「は、はい!」

 

アロマは後部座席から跳んだ。座席が飛び出すように跳んだ瞬間、箒が意志を持ったようにアロマの元へ近付いていく。

 

アロマは箒が目の前まで迫った瞬間、箒の持ち手を両手で掴んだ。その時、箒はゆっくりと速度を落としつつ、地面に近付くように降りていく。

 

イレイナ(もう少し……ギリギリで跳ばなければ……)

 

イレイナはグライダーが地面に落ちる直前を狙っていた。操縦席に最後まで座り、グライダーの滞空体勢を調整する。

 

そして、地面へ勢いよくぶつかりそうになった瞬間、イレイナは翼を掴み、乗り越えるように横へ跳んだ。

 

地面に堕ちたグライダーは爆散し、構成していたパーツは全て粉微塵に吹き飛んだ。

 

イレイナは地面に両足を着けるが、勢いを殺し切れずに転倒。しかしイレイナは敢えて横になり、横向きに転がる事で体への負担を軽減した。

 

イレイナ「はぁ……………何とかなりましたね」

 

イレイナは安堵の息を浮かべた後、突如として疲労が込み上げてきた。謎解き、ドン・ポールの撃退、塔からの脱出、色々あった1日。イレイナも身体も限界を迎えていた。

 

イレイナ(あっ………眠い………トッペマ…………アロマさん………ダメ……眠い……………)

 

イレイナは睡魔に勝てず、そのまま目を閉じて意識を失った。過労から来る睡魔に、イレイナは逆らう事は出来なかった。

 

―――――――――――――――――――――――

 

微睡みの中に眠り、塔が崩れる音と共に意識を回復させて目を開けていく素敵な魔女は誰でしょうか?

 

そう、私です。

 

私は何かが崩れる音を聞いて意識が戻りつつあります。崩壊の原因は、塔の崩壊でしょう。

 

私は目を覚ますと、町の皆さんに囲まれていました。

 

トッペマ「……イレイナ!」

 

アロマ「イレイナさん!」

 

二人が私の顔を覗き込みました。心配掛けてしまいましたね。

 

空は夜明けを迎えていました。そんなに長く寝ていたとは。

 

トッペマ「もう!心配したんだから!」

 

イレイナ「ごめんなさい……疲れが溜まってたようです」

 

アロマ「イレイナさん!」

 

アロマさんが私に抱き着いてきました。私も思わず抱き返しました。

 

イレイナ「アロマさん、貴女も手伝ってくれたお陰です」

 

アロマ「いいえ。貴女が提案してくださったお陰です」

 

なんだか悪くありませんね。

 

町の人達も、私達の無事が分かって安堵していました。

 

私はアロマさんの肩を持ったまま、アロマさんから離れて立ち上がりました。アロマさんはさっきまで寂しい顔を浮かべていたのに、今では幸せな笑顔を浮かべていました。

 

すると、アロマさんの首元、アロマさんから見て左側の鎖骨よりやや上の位置に、ある物が浮かび上がって来ました。

 

イレイナ(これは……リンゴ?)

 

それは、リンゴの形をした痣でした。

 

イレイナ(まさか……黄金の果実の正体がアロマさんだとするなら、アロマさんが微笑みを取り戻す事で現れるこの痣が示すのは…………)

 

全てが確信に変わりました。

 

トッペマ「……それにしても、ドン・ポールがあんな飛行機械を持ってたなんて、今後も私達を狙ってくるのかしら?」

 

イレイナ「間違いなく狙ってくるでしょう。しかし、今はラインフォード氏の最後の謎解きを行うチャンスですよ」

 

トッペマ「でも、アロマやこの町以外の全ての遺産なんて、もう無いんでしょ?」

 

イレイナ「いいえ。ラインフォード氏はちゃんとした遺産は残しています。さあ、屋敷に戻りますよ」

 

トッペマ「えっ?」

 

イレイナ「アロマさん。一緒に行きましょう」

 

アロマ「えっ?」

 

イレイナ「きっと、貴女にとっても大切な物がある筈です」

 

私はアロマさんに手を差し伸べました。

 

アロマ「……はい」

 

アロマさんは私の手を握りました。

 

トッペマ「屋敷なら調べた筈よ?」

 

イレイナ「ええっ。調べられる所は。しかし、アロマさんが微笑みを取り戻す事で、ずっと閉ざされていた扉が開かれます。詳しくは、屋敷に戻ってから分かりますよ」

 

こうして、私達は屋敷へ向かいました。あのアロマさんの肖像画は、恐らくラインフォード氏が最後に残した謎々。

 

さあ、お宝は目前ですよ。




《アロマの使える魔術紹介》

・『占術』
占いによって近い未来を視たり、特定の物を探し当てる占い魔術。近い未来は確定した運命そのものであり、決して変える事は出来ない。視るには視界に映したり、窓ガラスや水晶玉等の透明な道具を用いる方法等、多種多様である。

・『修復術』
壊れた物を元の状態に戻す魔術で、『レパロ』とよく似ているが、理屈はほぼ異なっている。正体は物体の時間を巻き戻す魔術。壊れた物の時間を巻き戻す事で元の状態に戻している。しかし、戻し過ぎると元の材料の姿に戻してしまう事がある。生物にも掛けられるが、アロマはそんな事はしない。今のところは……。

・『変換術』
物の性質、見た目を変化させる魔術。例えるなら、金属をゴム化させて元の硬さを保ったまま柔らかくする、皮膚を金属に変える等、多種多様。見た目は文字通りあらゆる見た目に変化させられる。弱点は自分以外の生き物には通じない事。

・『魔法道具作成』
材料に魔力を与え、魔力の籠もった道具へと作り替える。理屈は不明だが、材料が多く揃えば揃う程、大掛かりな物を作成する事が出来る。また、魔力を持っているので術者の意のままに操る事が可能である。また、『変換術』と組み合わせる事で更に作成の幅が大きく広がる。
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