MCUの世界にイレイナとして転生したけど、開き直って好きなように生きていきたいと思います   作:ちいさな魔女

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例の夜の襲撃です。


エピソード・3

その頃、城下町は夜の闇に包まれていた。観光客はホテルに泊まって休み、店も深夜営業の店を除いて、全て閉店していた。喧騒に包まれた城下町は静寂に包まれていた。

 

そんな夜の闇の中を、中腰で進む夜の闇を彷彿とさせる黒装束を身に纏った集団が移動していた。足音も殆ど立てず、時に屋根の上も軽々と走る彼等は、一つのホテルに泊まる一行に狙いを定めていた。

 

その狙いは言うまでもなく、イレイナ達であった。

 

―――――――――――――――――――――――

 

イレイナ達は部屋で寝泊まりしていた。そんな中で、イレイナは一人で黙々と作業をしており、何かを作っているようだ。

 

トッペマとアロマはベッドに入り、スヤスヤと寝息を立てながら眠っていた。ブルーノもベッドで眠っている。

 

イレイナ(伯爵の手下が彼処に来ていたのは偶然ではありませんね。この指輪には何かがある)

 

イレイナは懐から指輪を取り出す。山羊が掘られた銀の指輪。これには何か秘密が隠されてる。

 

イレイナは異空間から本を取り出そうとした、その時だった。

 

イレイナ「ッ!レベリオ!」

 

イレイナは気配を感じ取り、レベリオを唱える。すると、自分達の泊まる部屋の周りを、複数の人影が彷徨いている。全員が中腰となり、天井窓や扉の向こうに待ち構えている。

 

イレイナ「トッペマ!アロマ!ブルーノさん!起きてください!」

 

イレイナは全員の身体を揺さぶる。

 

トッペマ「ん……何よイレイナ……」

 

トッペマは眠そうに目を擦るが、イレイナの様子を見て何かあったと悟る。

 

イレイナ「襲撃です」

 

トッペマ「えっ!?」

 

トッペマも布団から飛び起きる。

 

イレイナはナイフを取り出し、左手に杖を持つ。

 

トッペマ「アロマ!アロマ!起きて!」

 

アロマ「………トッペマ?」

 

トッペマ「寝てる暇は無いわ!敵よ!」

 

アロマ「え……えぇっ!?」

 

アロマはトッペマに叩き起こされて不機嫌になるが、トッペマからの忠告とイレイナの様子を見て、危険な状況だと理解した。

 

ブルーノ「ん……なんじゃ?まさか、敵の襲撃か!?」

 

イレイナ「取り敢えず、アロマとブルーノさんは塵歌壺に避難してください。私とトッペマで何とかしてみせます」

 

イレイナは異空間から塵歌壺を取り出した。

 

ブルーノ「わかった!気を付けるんじゃぞ!お嬢様、コチラへ!」

 

アロマ「ええっ!イレイナさんとトッペマも気を付けて!」

 

二人は塵歌壺に手を伸ばした途端、二人は壺の中へ吸い込まれるように入り込んで行った。

 

そして、イレイナは異空間に塵歌壺を仕舞うと、武器を手にしていたトッペマと共に入り口で構えていた。

 

ドアノブが捻り、入ろうとする様子が見て取れる。

 

出迎えようとした、その時だった。

 

トッペマ「ッ!イレイナ!」

 

イレイナ「キャッ!」

 

天井の窓が割れて、一人の黒装束の影が降りてきた。鋭い爪をした鉄のガントレットでイレイナに向かって突き出した。イレイナはナイフで爪を弾き飛ばす。

 

しかし、影はガントレットに仕込んだ仕込み刃を出した後、腕を振るってイレイナを斬ろうとする。

 

イレイナ「『プロテゴ』!」

 

イレイナは自分の周りにバリアを張り、刃による攻撃を防ぐ。

 

トッペマ「このっ!」

 

トッペマは斧を振り下ろすが、影は片手で止めた。

 

イレイナ「ハッ!」

 

イレイナはナイフを振り上げるが、再び片手で止められる。

 

トッペマ「トッペマ・マペット!」

 

トッペマは呪文を唱えるが、光線がトッペマの手から出る前に影が真上に跳躍した。影は天井の窓から外へ逃げ出した後、先程まで影の居た場所に光線が当たる。

 

トッペマ「逃げられた!」

 

イレイナ「囮ですね」

 

そして、扉が開いた後に先程の影と同じ姿をした影達が集団で部屋に乗り込んできた。

 

イレイナ「団体様のお越しですね!」

 

トッペマ「出てってもらうわよ!」

 

影達は二人に迫って来る。

 

トッペマ「この!」

 

トッペマは斧を振りかざすが、片手で掴んで止められる。トッペマに向かって鋭い爪が突き出されるが、トッペマはしゃがんで避ける。小さなトッペマに狙いを定める程に正確な突きに、トッペマも心底恐怖を感じた。

 

イレイナも影達の仕込み刃や爪の攻撃をナイフで受け流しながら、攻撃の隙を伺う。

 

トッペマ「もうしつこい!大人しくしなさい!」

 

トッペマは変身術を唱え、目の前に立ち塞がる影に魔法を掛ける。そして、魔法を掛けられた影は赤い樽の姿へ変わった後、イレイナが樽に杖を向けた。

 

イレイナ「『メラ』!」

 

イレイナの杖から火球が放たれて、樽に命中した。すると、樽が爆発を起こして周囲の影を吹き飛ばした。

 

しかし、吹き飛ばされた影達は吹き飛ばされた後に身体をすぐに起こし、すぐにイレイナ達の元へ向かう。

 

トッペマ「『インセンディオ』!」

 

トッペマは掌から炎を発し、影達を攻撃する。影達の全身が炎に包まれると、流石の影達も慌てふためく。

 

しかし、新たな影達が扉から現れ始める。

 

トッペマ「切りが無いわ!」

 

イレイナ「トッペマ!目を塞いで!」

 

イレイナは杖を翳すと、杖の先端から光が放たれる。

 

イレイナ「『ジゴフラッシュ』!!」

 

イレイナが呪文を唱えた瞬間、部屋全体が眩い光に包まれる。

 

影達『『おお………』』

 

影達が目を塞ぐ。

 

イレイナとトッペマも眩い光に目を瞑るが、窓の位置に移動していた為、すぐに窓から部屋を飛び出した。

 

二人は屋根の上を走り、車を駐めた場所に向かう。後ろを振り返ると、4人の影が追ってきた。

 

イレイナ「『スリップ』!」

 

イレイナは追ってくる彼等に杖を向けて魔法を唱える。『異世界はスマートフォンとともに』に登場する『無属性魔法』の一つ、『スリップ』だ。

 

影達『『ぐあっ!?』』

 

影達が屋根を走る間に、突然屋根で滑って転んでしまう。

 

イレイナ「中々便利ですね!」

 

トッペマ「ナイスよイレイナ!」

 

しかし、影達は爪や両足の針を屋根に突き刺し、転げ落ちるのを防ぐ。相手は手練れだ。地面の摩擦が減って滑ってしまっても、すぐさま対処してみせた。

 

しかし、二人は車に乗り込んでいる。屋根から飛び乗った瞬間に、イレイナが車のエンジンを起動した。

 

トッペマも助手席に飛び乗っている。

 

しかし、影達も屋根から飛び掛かってきた。

 

車を発進させた瞬間、一人の影が車に爪を立てて引っ付いた。残った三人は飛び降りに失敗して地面に激突してしまう。

 

車のドアにしがみつく影は、運転席まで這い寄ってイレイナに迫る。

 

トッペマ「このっ!このっ!離れなさい!」

 

トッペマは影を蹴り続けるが、影を振り落とせない。影は全く効いてる様子も無く、イレイナへ爪を振り下ろそうとしていた。

 

イレイナ「『ベンルーラ』」

 

イレイナは杖を影に向けた瞬間、影の姿が一瞬で消えた。何処かのトイレに転移させられたからだ。

 

嘗てクレイ・G・マッドを倒した際に使用した、何処かのトイレに転移させる魔法だ。

 

そして、二人を乗せた車は、車体に襲撃痕を残しながら走り続ける。影がしがみついて出来た爪痕が、車体に多く出来ていた。

 

トッペマ「ホントに攻撃してくるなんて……」

 

イレイナ「これは、指輪を取られただけではありませんね。今回の結婚式は相当闇が深い物でしたか」

 

トッペマ「毎度の事だけど、なんで私達の旅にはいつもトラブルがついて回るのよ!」

 

イレイナ「何も無くぶらぶらするのも、こうしてトラブルに巻き込まれるのも、旅の醍醐味ですよ!」

 

トッペマ「こんな醍醐味なんているかー!」

 

二人の言い争いと共に、車は夜闇の中へ消えていった。

 

――――――――――――――――――――――

 

その夜、カリオストロ公国の港町に、複数の少女達が荷物を持って豪華客船から降りてきた。

 

千束「いや〜此処がカリオストロ公国!良い国じゃん!」

 

たきな「人口3200の世界最小の国連加盟国。港町も日本にある田舎の港町みたいに小さいようですね」

 

???「おい、千束、たきな。鈴木夫妻をホテルまで護衛するぞ」

 

千束とたきなと同じリコリスである春川フキが、二人に話しかける。

 

千束「はーい。今行くよー」

 

千束が返事を返す。

 

たきな「城まで夫妻を護衛したら、仕事に掛かりますよ」

 

千束「勿論。フキ達には、一応話しておこうか」

 

たきな「ええっ。降谷さんも、他のリコリスには話せる時に話して良いと言ってましたから」

 

千束「さあて、鈴木夫妻を案内しますか」

 

こうして、日本のヒーローにして秘密裏に活動するDAの実動部隊リコリスも、カリオストロ公国に入り、潜入任務を開始した。

 

―――――――――――――――――――――――

 

その頃、カリオストロ伯爵の城内で、シーナと呼ばれた女性が図書館に移動して来ていた。

 

シーナの見た目は短髪の東洋系の女性である。

 

しかし、シーナが髪を掴んだ後に引っ張り始めた。すると、髪と顔が一気に剥がれ、その中からプラチナブロンドのロングヘアをしたミステリアスな美女が姿を現した。

 

そして、図書館の棚を退かした後に扉を開ける。そして、その中に入った後に美女は懐から小さな棒のような装置を取り出した。そして、棒の装置にあるスイッチを押すと、棒は美女の腕と同じくらいの長さと大画面をしたタブレットへ姿を変えた。

 

そして、画面に数人の男達の姿が映る。

 

一人は銀色の長髪をした男で、もう一人は特徴的な顎を持つサングラスの男、そして褐色肌の美青年の3人だった。

 

???『ゴート札の秘密はどうだ?ベルモット』

 

銀髪の男が、ベルモットと呼んだ美女に尋ねる。

 

ベルモット「悪いわね。まだよ。でも、面白い情報は入手したわ」

 

???『面白い情報?』

 

ベルモット『結婚式に出席するクラリス王女の指輪を、一人の魔女が盗み出したそうよ。名はイレイナ。そう、S.H.I.E.L.D.とヒドラを壊滅させてアメリカを救ったメンバーの一人よ』

 

???『兄貴、そいつは如何いたしやしょう?』

 

???『放っておけ。どの道俺達がやる事は変わらん。ボスやラムの命令で、ゴート札の秘密を暴いて組織の力に加える。だが、組織にとって有害ならば消すだけだ』

 

ベルモット「そう言うと思ったわ。ジン。貴男は組織を護る為ならば、例え味方だろうと容赦なく始末する。それも、貴男の()()故に?」

 

ジン『……さあな。だがベルモット。ゴート札の製造方法が分かれば、俺達に有益か否か分かるはずだ。失敗すれば、分かっているな?』

 

ベルモット「信じて頂戴。ジン、ウォッカ。バーボンも」

 

そう言って、ベルモットは通話を切る。

 

ベルモット「さて、貴女達はどう動くのかしら?」

 

ベルモットはそう言いながら、図書館を後にする。再びシーナの姿へ変装しながら。




黒の組織に、リコリス、それからイレイナ達と、カリオストロ伯爵を囲む三つの勢力。これ、完全に描けるか不安になってきた……。
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