MCUの世界にイレイナとして転生したけど、開き直って好きなように生きていきたいと思います   作:ちいさな魔女

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クラリスに対するイレイナの言葉は、某ゲームのとある会話をオマージュしてます。まあ、作者の独断予想と自己勝手な解釈、それからYouTubeで見たとある解説動画を見て参考にしました。それに対する抗議は甘んじて受けます。

しかし、一つ忠告を。イレイナはルパンじゃない。


エピソード・5

私達はクラリスさんの前に歩いて、指輪を取り出しました。

 

イレイナ「お届け物ですよ」

 

クラリス「まあ、私に?伯爵に見つかったら殺されるというのに」

 

イレイナ「命を狙われるのは慣れっこです」

 

私はクラリスさんに指輪を渡しました。

 

トッペマ「これで、私達は帰るわよ」

 

イレイナ「まだです」

 

トッペマ「えっ?なんでよ?」

 

イレイナ「………クラリスさんに聞きたい事があって来ました」

 

クラリス「私に?」

 

私はしゃがんで片膝を付き、椅子に座るクラリスさんに視線を合わせました。その時、クラリスさんのスカートのポケットに1枚の紙を忍ばせました。

 

イレイナ「クラリスさんはこの国を、どう思っていますか?」

 

クラリス「この国は……平和な国だと思っています。観光にも力を入れていて、民の皆さんも幸せに暮らしています」

 

イレイナ「……単刀直入に聞きましょう。この国は国家ぐるみで、偽札を作って世界中に流通させました。百年以上も昔から。貴女、それを知ってましたね?なにせ伯爵だけでやってるのではなく、貴女の一族ぐるみでゴート札を流通させていたのてすから」

 

クラリス「………それは……」

 

トッペマ「えっ!?それって………」

 

トッペマも驚いていました。しかし私は構わず話しを続けました。

 

イレイナ「良いんです。私はそれを怒りに来た訳では無いんです。そもそも小国が大国に対抗するには汚い手を使うのは悪い事では無いと思ってます。別になんとかしたいわけではありませんからね。それは今この城に潜入してるスパイの役目でしょう。貴女、というか貴女の両親の代は、それを許せなかったのではないのですか?」

 

トッペマ「………」

 

トッペマも口を出さなくなりました。

 

クラリス「………はい。伯爵の偽札製造は、元々私達の一族が中世ヨーロッパの時代から続けていた闇家業でした……しかし、一族は二つに分かれました。表仕事を私達の一族が、そして伯爵の一族が裏仕事を引き受ける形として。それから裏仕事を引き受けた伯爵の一族が、ゴート札の製造を続けて来ました。両親は私にその事を隠してきたのですが………7年前の大火事が起きる直前に、両親に黙って秘密の書庫に入り…………其処で全てを知りました。そして、書庫を出た後に………両親は大火事によって………修道院に入ってからも、忘れる事は出来ませんでした………」

 

イレイナ「この結婚式、まさかの近親結婚でしたか」

 

最も、表向きでしか無いでしょうし、クラリスさんの事も好きではないのですね。でなければ何年も修道院にクラリスさんを入れておく筈も無いでしょうから。

 

イレイナ「止めなかったんですか?」

 

クラリス「……どうすれば良かったんですか!?私にはそんな力は無い!出来た事なんて逃げ出す事だけ!でもやっぱり追い掛けられて捕まった!もう私は……出来る事なんて………逃げるしか出来ない恥知らずなんです………」

 

クラリスは泣き出しました。

 

イレイナ「ええっ。逃げるだけの泣き虫さんですね」

 

トッペマ「イレイナ!!」

 

トッペマが怒鳴りましたが、私は続けました。

 

イレイナ「今思えば、貴女の父親の大公殿下も考えが足りませんよ。何を考えてたのかは知りませんけど、贋札作りを止めたら国も混乱しますしね。でも貴女はそんな状況から逃げようとした………………気に入りましたよ、貴女の事」

 

クラリス「……えっ?」

 

クラリスは頭を上げました。驚いてもまだ泣いてますね、泣き虫さん。

 

イレイナ「クラリス。一つ質問をします。大人になる事とは、なんだと思います?」

 

クラリス「………お金持ちですか?」

 

イレイナ「間違いではありませんが、貧困層に居る大人は違うでしょうね」

 

クラリス「………家族や故郷を大事にする方ですか?」

 

イレイナ「それは子供でも出来ます」

 

クラリス「世間からの非難や厳しい環境に我慢して耐える事ですか?」

 

イレイナ「そんなどうでも良い事に耐えてどうするんですか?」

 

クラリス「………一体なんですか?」

 

あっ、顔を伏せましたね。

 

イレイナ「大人になるという事は………『自分で生き方を決める』事です」

 

クラリスが顔を上げて、私を見ました。

 

イレイナ「自分の好きなように生きる為には、親や家族、故郷を捨てなければならない時もあります。あの時、貴女が伯爵との結婚を嫌になり全てを捨てて逃げた時と同じように」

 

クラリス「生き方を………自分で……」

 

イレイナ「でも忘れてはならないのは思い出です。家族は好きですか?彼等と過ごした思い出は大切な物ですか?」

 

クラリス「……はい!」

 

両親が贋札作りをしていたのを知ったとしても、やはり家族は家族。共に過ごした日々は忘れられないのでしょう。修道院で過ごした日々も、無駄ではなかったようですね。

 

イレイナ「なら大切にしまっておきなさい。これまでの日々は無駄ではありません」

 

私はクラリスにもう一つの事を尋ねました。

 

イレイナ「クラリス。此処から出たいですか?」

 

クラリス「出たいです……!でも私は結局、捕まりました!」

 

イレイナ「ですが、貴女は自ら一歩を歩みました。結果は関係ありません。私と一緒に来ませんか?私や仲間と一緒に、世界を見て回りませんか?」

 

クラリス「世界を……?」

 

トッペマ「でも、良いの?この国の王女様よ?」

 

イレイナ「どうするかは貴女が決めてください」

 

クラリス「………私は――」

 

と、その時でした。

 

突然、部屋の明かりが全て付いて部屋が照明によって全て照らされました。

 

トッペマ「見つかった!?」

 

イレイナ「みたいですね!」

 

窓が上から降りてきた壁に閉ざされました。そして、静かな足音が響いた後、私達の前に昨晩襲撃して来た影達が姿を現しました。ガントレットの鋭い爪を立てて私達に向けています。

 

クラリス「きゃっ!!」

 

イレイナ「クラリス!」

 

叫び声をした方向を向くと、影達がクラリスを抱き締めながら私達から引き離しました。私は助けようとしましたが、私の喉元に無数の爪が向けられました。

 

トッペマ「イレイナ!」

 

トッペマも助けようとしましたが、周りを影達に囲まれて動けません。

 

クラリス「お姉様!」

 

イレイナ「女性の扱いがなってませんね」

 

すると、私達は影達が道を開けるのを見ました。開けた道の奥から、一人の茶色のスーツを来たおじさんと初老の執事が現れました。おじさんが伯爵の、ラザール・ド・カリオストロなのでしょう。

 

―――――――――――――――――――――――

 

伯爵「わざわざ指輪を届けてくれてありがとう。イレイナ君」

 

イレイナ「おや、私の事をご存知でしたか」

 

伯爵「君の事は調べたんだ。ヒドラが寄生していたS.H.I.E.L.D.を潰してアメリカを救った魔女の事はね。そして、その相棒トッペマ・マペット」

 

トッペマ「随分なお出迎えね」

 

伯爵「早速だが君達には消えてもらう」

 

イレイナ「やってみてください」

 

そう言うと、背中を爪で突かれるイレイナ。彼女は進むよう促され、素直に従って歩き出す。

 

クラリス「やめて!!その人達を傷付けてはいけません!!」

 

クラリスはカゲ達に阻まれながらも、抵抗してイレイナの元へ進もうとする。しかし、力の差で抜け出せなかった。

 

イレイナ「大丈夫ですよ。魔女の力を信じてください、泣き虫さん」

 

トッペマ「泣き虫は余計よ……」

 

カゲ達に促されるがまま、部屋の中央へ移動するイレイナ。

 

クラリス「お姉様……」

 

イレイナ「何を泣きそうになってるんですか泣き虫さん。この私を信じてください」

 

そして、部屋の中央に立つイレイナとトッペマ。

 

イレイナ「………殺さないんですか?」

 

伯爵「君を引き裂いてやりたいが、魔女の血で花嫁の部屋を汚す事もあるまいと思ってね。昨日侵入した男のように地獄へ落としてやる。暗闇と死の香りと共に朽ち果てるんだな」

 

イレイナ「良いんですか?後でその背中を刺してあげますよ?」

 

伯爵「減らず口もそれまでだ」

 

その瞬間、伯爵の横に居るジョドーがリモコンのスイッチを押した。すると、イレイナとトッペマが先程まで立っていた場所が両開きに開いて、底すら見えない穴となった。2人は穴の中へ落ちていき、その姿が徐々に見えなくなっていく。穴の底へ吸い込まれる空気の音が、2人を吸い込むかのようだ。

 

クラリス「ッ!!」

 

伯爵「フフッ。一人として這い出た者のない、地獄へ通ずる穴だ。あの男も石像に睨まれて落ちた場所だ。ゆっくり朽ち果てるがいい」

 

伯爵がそう言って握る写真を見る。其処に写るのは、かつて不思議な町でイレイナ達と戦った悪の天才科学者、ドン・ポールだとも知らずに。

 

カゲ達がその場から後退りして去っていく。クラリスを護るカゲ達は、クラリスに一礼しつつ後退りして柱の後ろへ去っていった。

 

クラリスは落とし穴に近づくが、穴は内側から閉じた。

 

クラリスは両手で顔を覆い、泣き出した。

 

伯爵は手下達を下がらせた後、クラリスに近づく。

 

そして、その両手の間に手をツッコミ、クラリスの顎を掴んで無理矢理自分の顔に向かせる。涙が周囲に飛び散るが、伯爵は余裕な態度を崩さない。

 

伯爵「可愛い顔をして誰を引き込んだかと思えば、魔女に助けを媚びるとはな。カリオストロの血は争えんらしい。それでこそ、我が妻に相応しい」

 

クラリス「……いいえ。貴男と結婚はしないわ」

 

伯爵「ほう。言うじゃないか。ならばこれも知っているだろう?我が一族は、代々大公家の影として、謀略と暗殺を司り国を支えてきた。そしてお前達大公家はゴート札を製造しつつ表仕事を熟してきた」

 

クラリス「………知ってるわ!お父様はゴート札がもう力を無くし始めているのを勘づいていた!時代が進めば紙の札束はいずれ力を失い、いずれデジタルのお金が主流になる!だからゴート札の製造を止めようとした!」

 

伯爵「成る程………益々私の妻として相応しい女だ。良い目をするようになったじゃないか。しかし仮に結婚しないとして、ゴート札の件が広まればお前もただでは済むまい」

 

クラリス「離して!!穢らわしい!!」

 

クラリスは伯爵を振り払って離れる。椅子を掴み、

 

クラリス「他の人達が何を言おうと構いません!私はこの国から出ていく!此処を出て、世界を知りたい!」

 

伯爵「無駄だ。お前に何が出来る。お前はこの国でしか生きられないのだ」

 

伯爵はクラリスに近付いていく。

 

伯爵「クラリス。400年にも及ぶ長い年月、二つに分かれたカリオストロ家は一つになろうとしているのだ。見ろ。私の家に伝わる金の山羊の指輪と………君の銀の山羊の指輪を!」

 

伯爵はクラリスの左手を無理矢理掴み、自らの元に引き寄せる。指輪を指に填めてないが、クラリスの掌に乗る銀の指輪を見て満足気に笑う伯爵。

 

伯爵「金の山羊と銀の山羊の指輪が揃う時こそ、失われた先祖の秘宝が蘇るのだ!」

 

と、伯爵がクラリスを引き寄せようとした、その時だった。

 

 

イレイナ『やっぱりそうだったんですねー!』

 

 

伯爵「何ッ!?」

 

クラリス「っ!?」

 

突然イレイナの声が響き渡る。

 

 

イレイナ『元々クラリスの事が好きでない事は察してましたが、まさかお宝目当てだったとは!』

 

その時、クラリスは気付く。その声は自分のスカートのポケットから発されている事に。クラリスは伯爵を振り切ると、ポケットに手を突っ込む。すると、中に紙の感触があり、取り出した。自分の指で摘んで現れた紙は、英単語を刻む掌サイズの紙だった。天辺には丸い穴が開いており、いつ引き千切ったのか穴は天辺に繋がる千切れた痕と繋がっている。

 

クラリス「お姉様!?お姉様!」

 

イレイナ『ええっ、お姉様ですよクラリス〜』

 

トッペマ『トゲが刺さるかと思ったわよー!全部破壊しながら落ちたけど、私達無事よー!』

 

イレイナ『約束しますよ。私達が迎えに行きますからね』

 

クラリス「はい!」

 

伯爵「それか!寄こせ!」

 

クラリス「きゃっ!!」

 

すると、苛立った伯爵がクラリスの手から紙を取り上げた。その際にクラリスは柱に叩き付けられて、指輪を落としてしまう。指輪は床を跳ねた後、伯爵の足元にまで転がっていく。

 

紙の向こう側でイレイナが声を上げる。

 

イレイナ『あっ。伯爵さん。もし指輪を持ってるなら、離した方が良いですよ。もう時期、消滅します』

 

伯爵「何ッ?」

 

その瞬間、指輪が爆発した。爆発は風船の破裂程度の物であったが、煙幕を撒き散らして伯爵が咳き込む。煙幕はすぐに消えたものの、伯爵のプライドを刺激する。

 

伯爵「ゲホッ!ゲホッ!偽物だ!」

 

伯爵は形を失った指輪と、イレイナの残した魔法の紙を踏みつける。

 

伯爵「待っておれぃ!お前の魔女を磔にして串刺しにしてやる!」

 

そう言うと、伯爵はジョドーと共に部屋から去っていく。起き上がっていたクラリスは胸元を両手で押さえ、イレイナの無事を心から安堵したのだった。




ゴート札って、ウィンター・ソルジャー後の時系列辺りで暴いたら世界情勢どうなるのだろう………政治に関してド素人な私にはヤバい事になるとしか分からないのですが………。

イレイナが使用した道具

・速記原典(ショートハンド)
原典:とある魔術の禁書目録
簡略版魔道書。魔道書の持つ魔法陣としての側面に特化したもの。
『『原典』の防衛機能面だけを抽出し兵器化させた、使い捨ての魔道書』である。
魔道書としてハンパな代物であり、知識を伝える機能を持たないため精神汚染はなく、安定性もないため短時間で勝手に崩壊してしまう。
五大元素(文字とそれを記す色)と、
様々な座相法則(0度から9度、171度から189度、81度から99度、
111度から129度、54度から66度、0度から1度、他)、
ページ数の数秘的分解の組み合わせで、無数の魔術パターンを構築・操作することが可能。
ただしその乱数的な組み上げ方のために本人以外の誰にも記述内容を理解できず、また、厳密な意味で同じ魔術は二度と使用できない。
原典の一冊一冊(1ページ)はせいぜい持って一時間、早ければ数秒で消滅してしまう。
安定せずに暴走と自滅を繰り返すが、常に新しい魔術を生み出せば、1回の戦闘中での弾切れはあるものの、新たに書き直すことで実質無限に使うことが出来る。但し、その一ページを用いて逆探知を行われる事もある。
所有者側からは全てのページに対して探知をかけることが可能。

イレイナはこれを使う事で、簡易的な通信や瞬間移動も可能とする。失われればまた書き足してしまえばいいのだから。
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