MCUの世界にイレイナとして転生したけど、開き直って好きなように生きていきたいと思います 作:ちいさな魔女
イレイナです。私はトッペマと共に、下の方へ箒に乗りながら降りていきました。穴の方はトゲだらけでしたが、なんとか脱出しました。箒から見下ろす光景は、寂れた地下道に床に転がる腐臭のする遺体だらけ。殺して殺し続けて400年分ですか。
トッペマ「うわぁ……最悪な所じゃない」
イレイナ「此処が真相を暴こうとした人達の墓場。ゴート札の謎を暴こうとした方々の末路ですね」
思っていた以上に闇が深い存在でしたか。
私達は床に降り立ち、箒から降りる。箒を異空間へ仕舞い込み、散策を始めた。
いくら歩いても死体だらけ。蛆虫も沢山。こんな所に閉じ込められた人達は此処で飢えたり、共食いもしたんでしょうね。
時々、日本語で壁に遺書を残した形跡もありました。日本人も居たんですね。
すると、私は廊下の奥から明かりが灯されるのが見えました。懐中電灯の明かりです。
トッペマ「誰か来るわ」
イレイナ「そう言えば、私達の前に誰か来てたみたいですね」
私達は相手が来るのを待ちました。追っ手なら倒せば良いだけの話ですから。
そして、懐中電灯が私達を照らした瞬間、相手の声がハッキリと聴き取れました。
ドン・ポール「此処は何処だくそ………ん?誰か其処に居るのか?」
それは、不思議な町で私達と敵対した悪人面の男、ドン・ポールでした。
ドン・ポール「ぬっ!?ぬぬぬっ!?貴様等は!!イレイナにトッペマ・マペット!!」
ドン・ポールは私の元まで走って来て、私の胸倉を掴みました。
ドン・ポール「貴様ァ!!此処で会ったが百年目!!」
未だに私を恨んでるんですか?知りませんよそんなの。いやそれよりも、何故此処に居るんです?
イレイナ「ドン・ポールさん、何故此処に居るんです?」
ドン・ポール「貴様より先に、カリオストロの宝を頂きに来たのだ!!だが、入り口の石像に睨まれた瞬間、こんな地下道に落とされたのだ!!教えろ!!出口は何処だ!!何処から入って来たのだ!!」
イレイナ「ああっ、成る程。伯爵が昨日落としたと言ってたのは貴男なんですね。私も出口は知りませんよ、さっき落ちてきたばかりですし」
ドン・ポール「なっ……くそぉ………」
ドン・ポールがやっと離しました。セクハラ、とも言えない状況ですね。彼は床に膝をついて、絶望した顔を浮かべています。
トッペマ「ねえ、もしかして、昨日からずっと歩き回ってたの?」
イレイナ「ご苦労様です。無駄な努力でしたね」
ドン・ポール「黙れぃ!貴様等の情け等いらん!」
イレイナ「ゆっくりしましょうよ。どうせ出口は無いんです」
リレミトを使うか考えましたが、止めておきましょう。伯爵の手下は指輪を探しに来ます。この地下通路に居ないと分かれば、きっと外にいるアロマ達を巻き込むかもしれない。
トッペマ「イレイナ、リレミトで出ましょう」
イレイナ「待ってください。それは早計です。伯爵は恐らく、私が此処から出る事も想定しています。もし居ないと分かれば、何処までも追いかけて行きますよ。もしかしたら、公共の施設にすら襲撃を仕掛けるかもしれません。でなければ、嘗て私の母が重傷を負うはずも無いでしょう」
ドン・ポール「何ッ!?ヴィクトリカが敗走しただと!?」
ドン・ポールも食いかかってきました。
ドン・ポール「あの女がそう簡単に負けるものか!私以外に倒されるなんぞ、許されるものか!」
イレイナ「私が知りもしない母の因縁を娘に押し付ける方の矜持なんか知りませんよ。文句なら母に言ってください」
トッペマ「私も思ったけど、今この状況で言う事かしら?」
イレイナ「いずれにせよ、伯爵は何処までも追ってきます。取り敢えず今は、ジタバタせずに休みましょう……」
私は異空間から寝袋を取り出すと、遺体を退けた後にその場に広げました。
トッペマ「えっ?此処で寝るの?まあ、仕方ないけど」
ドン・ポール「呑気過ぎないか?」
イレイナ「今は体を休めましょう。少なくとも、彼等も好きでこんな空間へ夜中に来ようとしませんよ」
2人分の寝袋を渡した後、私達は眠りに入りました。
腐臭も凄いですけど、人は案外簡単に眠れるんですね。
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その頃、大公の館では、アロマが寝袋から起きて目を覚ました。
ブルーノ「お嬢様、目を覚ましましたか」
アロマ「んっ……ふぁ……おはようブルーノさん」
アロマは寝袋を片付けながら、水場で顔を洗う。
アロマ「今、何時ですか?」
ブルーノ「朝の6時です」
アロマ「……イレイナさん、トッペマ。2人は大丈夫かしら?」
アロマはブルーノに手渡されたたまごサンドを食べる。グライダーは既に完成済み。後はイレイナからの脱出の合図を待つだけだ。
アロマ「待つしかないわね」
アロマは大公の館から、伯爵の城を見つめ続ける。今のアロマとブルーノに出来るのは、祈る事だけであった。
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その頃、城内を探索していた千束とたきなは、とある客室を物色していた。
千束「此処かな〜?おっ、当たり〜」
千束は壁の下部を弄った瞬間、小さなダクトの通り道を発見した。
たきな「此処が繋がりますか?」
千束「チャンスかもしれないじゃ〜ん。ほらほら」
こうして、2人はダクトを通って進んでいく。この選択が、後々ある人物との再会に繋がるとは、誰も思っていなかっただろう。
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その頃、城の地下通路兼墓所の川の水面下から、三つの影が浮かび上がる。ジョドーの特殊暗殺部隊である『カゲ』の一つ『水カゲ』だ。彼等は水中戦用の特殊部隊であり、こうして水の中を動き回る事に長けている。
そんな水カゲ達が地下通路に姿を現したのは、ジョドーの命令によってイレイナの抹殺と指輪の回収に来たのだ。
そして、三人の水カゲは三つの新しい寝袋を発見した。寝袋がある事に違和感を感じ、お互いの顔を見合わせる水カゲ。しかし、仕事は変わらない。寝袋の中にイレイナ達が居る。
寝袋を少し開けると、彼女達の服が見つかった。
彼等が鋭い爪を振り下ろそうとした、その時だった。
トッペマ&イレイナ「「『ラリホー』」」
突然両脇から2人の少女の声が響いた。その瞬間、水カゲ達はその場に倒れてしまい、眠り込んでしまった。
そして、水カゲ達の両隣の死体が盛り上がったかと思えば、其処からイレイナ達が下着姿で出現した。ドン・ポールも下着姿となりながら、遺体の山を掻き分けて現れた。
トッペマ「上手く行ったわ!」
イレイナ「『レビオス・カフス』」
イレイナは水カゲ達の両手両足に鉄の枷を掛けて、水カゲ達を拘束。これで動けないようにしたのだ。
イレイナ「彼等は水の中から来たという事は、間違いなく外に通じる道があります。でも、多分伯爵の手下が待ち構えてますね」
ドン・ポール「フッフッフッ。そういえ事だ。貴様等の装備は頂いていくぞ」
三人は水カゲのスーツを剥ぎ取り、水カゲ達をその場に寝かせる。
スーツを着込むイレイナとトッペマは、ドン・ポールの見えない位置で着替え終える。但し、トッペマは着替えようにも体格の問題で着れなかった。
ドン・ポールは既に着替え終えており、既に準備は万端であった。
イレイナ「さて、行きますか」
ドン・ポール「奴等に目にもの見せてくれるわ」
トッペマ「この前まで殺し合ってた関係かしら?」
そして、三人は水中に飛び込んだ。水中を潜っていくと、何処かに繋がる通路が存在しており、外に繋がっている事を指し示していた。
通路を泳いでいくと、上に繋がる道へと出て来た。水面には、此方を覗く二つの影がある。伯爵の手下だ。恐らくジョドーだろう。もう一人はジョドーの部下かもしれない。
イレイナとドン・ポールは顔だけを出す。但し、顔は水カゲのマスクを身に着けている為、ジョドーが2人に尋ねる。
ジョドー「見つけたか?」
イレイナは指に挟んだ指輪を、ジョドーに見せる。
ジョドー「おおっ、デカした!」ジョドーが指輪に手を伸ばした瞬間、三人は水上へ腕を伸ばし、ジョドーの腕とジョドーの部下の足を掴む。そのまま水の中へ引きずり込み、その後に三人は水上へ上がる。
イレイナ&ドン・ポール「「それ!」」
2人は鉄格子の蓋を閉めて、トッペマが鍵を掛けて出られないようにする。
トッペマ「やったわ!」
イレイナ「さあ、逃げますよ」
ドン・ポール「ギャハハッ!いい気味だわい!」
三人は近くの階段を駆け上がる。途中で通った鉄格子の扉を、ドン・ポールが閉めて鍵を掛ける。その時、ジョドーが「おのれイレイナァ!」と声を上げるが、三人は構わずに階段を駆け上がる。
駆け上がった後、三人は開いた穴から顔を出すと、棺桶に繋がっていた事を知る。
ドン・ポール「なんだ?こりゃ棺桶だぞ」
イレイナ「どうやらこの国の闇に近付いたみたいですね」
イレイナは手摺から見下ろした光景を指差し、トッペマとドン・ポールもその方向を確認する。
其処には、造幣局に置いてある最新式の造幣装置が並んでおり、近くの机には札束の山と顕微鏡が置かれていた。
三人は梯子で降りていくと、その札束の山を確認した。
ドン・ポール「こ、これは!?ドル札ではないか!?何故こんなに大量の………ん?いや、これは本物に見えるが、偽物だ!」
ドン・ポールは山のように積まれたドル札と、手にしたドル札の束を確認して、それが本物に近い偽物であると見抜いた。
トッペマ「コッチは日本の一万円札に千円札があるわ!」
ドン・ポール「これは……ウォン!それに、クラン、ペソ、それにポンドまで!世界中の札束があるぞ!これが全て偽札というのか!」
イレイナ「どうやら、此処がゴート札の震源地。ブラックホールの中心地にして、世界の闇深い悪の主軸。そして、嘗て本物をも超えるとされた偽札、ゴート札の発生源。ここまで大量生産をしてきた事で、ゴート札の質が落ちたんですね」
ドン・ポール「ゴート札!?そうか……ブルボン王朝の破滅、ナポレオンの資金源、そしてあの忌々しき世界恐慌の引き金を起こしたという…………噂に聞いていたが、まさか独立国家が営んでいたとは……」
流石のドン・ポールも顔が青褪めていた。自分が干渉した国の闇が、予想以上に深過ぎたのだ。
イレイナ「あーあっ。静かに旅がしたかったのに、なんでいっつもこうなるんですかねー」
トッペマ「貴女が変な事に首突っ込むからでしょ?でも、これどうするの?私達の手で世間に明かすの?」
イレイナ「無理でしょう。今此処でインターネットで公開した所で、世論は、特にインターポールはすぐに動こうとはしませんよ。それに、この国が私達を悪人に仕立て上げれば、私達がテロリストになって、ゴート札の件も有耶無耶に出来ます。世論の敵になれば、ここでの証言も意味はありません。何かの形で明かせれば良いんですけど」
すると、三人はある気配を感じ取る。
それは、天井の換気扇の蓋が外れて、ロープが降りてきた光景であった。2人の少女がロープと共に降りてきて、印刷機を見つめる。
千束「うわぁ!こんな所に繋がってた!」
たきな「此処が………ゴート札の……ん?」
2人は降りる途中で、イレイナ達と目が合う。
千束&たきな「「あっ」」
思わぬ形で再会した。
ドン・ポール「なんだこの……いや、ただ者ではないな?日本人か?だとしても何故此処へ?」
トッペマ「千束!たきな!まさか、貴女達も此処へ?」
イレイナ「またお客さんですか。まっ、味方が増えただけで良いですね」
千束「まさか此処が?」
たきな「ゴート札の生産場所……」
イレイナ「証拠集めはそちらにお任せします。トッペマ、ドン・ポールさん。始めますよ」
イレイナは杖を取り出し、先端から炎を出す。
トッペマ「ええっ!こんなの、壊してやるわよ!」
ドン・ポール「これだけの印刷機を壊すのは少し気が引けるが、奴等を悔しがらせてやるわい!」
三人は印刷機を破壊するつもりだ。
千束「あんまり派手に壊さないでよー。証拠集めるんだから」
たきな「追手も来るかもしれません。仕事を早めに終わらせましょう」
次回は、伯爵の使ってたクインジェットを奪う話です。