MCUの世界にイレイナとして転生したけど、開き直って好きなように生きていきたいと思います   作:ちいさな魔女

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エピソード・6

イレイナがフューリーと共に、チョキリーヌと戦いを続けていた頃。トッペマはス・ノーマン・パーと交戦を続けていた。部屋から廊下へ、廊下から部屋に入ったりを繰り返して、敵を誘導する。

 

「『トッペマ・マペット』!」

 

トッペマは掌から魔法の光線を発射するが、ス・ノーマン・パーの体は溶けもしない。

 

ス・ノーマン・パーは笑いながら歩いてくる。

 

「ギャハハハッ!!そんな弱っちい魔法が効くか!!」

 

ス・ノーマン・パーは口から氷の矢を放つ。氷の矢はトッペマに向かって放たれるが、トッペマは走って氷の矢を避けていく。

 

すると、銃声と共にス・ノーマン・パーの頭に銃弾が命中。

 

「流石に硬いわね。雪だるまに見えて、氷で出来てるのかしら?」

 

「浜崎長官。狭い部屋に誘導をお願いします。私は準備をしてまいります」

 

「頼むわよ。トッペマと私でなんとか時間を稼ぐわ」

 

浜崎は手にした閃光手榴弾をス・ノーマン・パーに投げ付ける。ス・ノーマン・パーの目の前で閃光手榴弾が爆発し、強烈な光が周囲を照らす。

 

「ぐわあぁっ!?め、目がぁ!!」

 

ス・ノーマン・パーは両手で目を覆う。

 

「スゲーナスゴイデス!」

 

トッペマはトランプを一枚取り出すと、ス・ノーマン・パーに向かって呪文を唱える。すると、ス・ノーマン・パーに向かって炎が放たれた。しかし、炎はすぐに消えてしまった。冷気を放って炎を打ち消したのだ。

 

「アチチ……だが弱いなぁ!まだ弱え!」

 

その隙に、コールソンは部屋を出て廊下を走って行く。

 

「おい何処へ行く気だ!?」

 

ス・ノーマン・パーは追いかけようとするが、トッペマが魔弾を掌から放ってス・ノーマン・パーの頭に当てる。

 

「アンタの相手はこっちよ!」

 

「絶対にこの部屋から出させないわよ」

 

トッペマの隣に浜崎が立つ。

 

3人が今居るのは会議室だ。日本支部の会議室にも種類があり、3人が居るのはその中で少人数での作戦会議に使われる8人まで入れる程の部屋だ。

 

「そうか。なら、死んでもらおうか!」

 

ス・ノーマン・パーは体から冷気を放ち、部屋全体を冷気で満たしていく。

 

「っ!!吸わないで!この部屋を冷気で満たす気よ!」

 

「肺を凍らせるつもりね……」

 

トッペマは人形なので吸っても問題無いが、浜崎は人間だ。肺が凍りつきそうな冷気で満たされた空間で戦えば、肺が凍りついて息が出来なくなる可能性がある。

 

浜崎は服の下から取り出したガスマスクを顔につけた。毒で満たされた空間対策に、ガスマスクは常に常備している。

 

「俺の体は体温を自在に操り、熱を吸収する。それたけでなく、体と同じ温度の冷気を体から放てるのさ。因みに今、マイナス100℃はあるぜ」

 

ス・ノーマン・パーが近づいて来る。

 

「それはまずいわね……人間が長く触れたら凍傷じゃあ済まないわ」

 

浜崎が冷気の中で銃をス・ノーマン・パーに向けるが、引き金が引けない。セーフティーロックは外しているのに、引き金が引けない。よく見ると、銃が凍っていた。

 

そして、銃を握る手も凍りついて銃から離れない。

 

「もうこんなに!?」

 

「オカマ魔女の幹部を甘く見ないで!でも、ここまで強い冷気が使えるなんて」

 

トッペマも予想外だった。自分の体をよく見れば、凍りついている箇所が沢山見られた。

 

「ぐっ……もう此処まで!?」

 

トッペマは距離を取り始める。

 

「コールソン……まだなの!?」

 

浜崎は銃を撃ち、ス・ノーマン・パーの目に弾を当てる。

 

「ぎゃあああっ!!目が!!」

 

すると、扉が開いた後にコールソンが巨大な火炎放射器を持って来た。

 

「離れてください!」

 

浜崎はトッペマを抱きかかえて、窓に突撃して粉々に砕いた。

 

そして、コールソンは火炎放射器から炎を噴射して、ス・ノーマン・パーを攻撃する。

 

「ぎゃあああっ!!炎は不味い!不味いんだよぉぉ……な、なんだ……何か、思い出してきたような………」

 

ス・ノーマン・パーは炎で体が溶け始めたが、溶ける内に動きが止まり始めた。

 

「お、俺は………ヘンダーランドの………なんだ?何かを思い出させる………」

 

「……何だ?」

 

コールソンは火炎放射を一度止めた。ス・ノーマン・パーの様子がおかしい事に気付いたからだ。

 

「………お、俺は…………うがあああぁぁぁっ!!」

 

ス・ノーマン・パーは燃え盛る部屋から出る為に、先程トッペマと浜崎が飛び出した窓から飛び出して行った。

 

「くっ!待て!」

 

コールソンは敵を取り逃がしてしまった。様子を伺う為に警戒し、攻撃を止めた事が裏目に出てしまった。

 

そして、外に飛び出たトッペマと浜崎は、逃げ出し始めたス・ノーマン・パーに狙いを定めようとする。浜崎は銃を構えて、トッペマは掌に魔力の弾を生み出した。

 

「クソ!暑いぜ!こうなりゃ退散だ退散!」

 

ス・ノーマン・パーは足のローラースケートで道路を駆けていき、遥か遠くまで逃げ去って行った。

 

「……駄目ね。射程範囲外だわ」

 

「逃げられた………でも、行き先はヘンダーランドね」

 

「あの雪だるま、かなり強かったわね。銃弾が通らない体に素早い動き、外から見てたけど、火炎放射にある程度耐えてたわね」

 

「それに………ス・ノーマンのあの声……………何処かで聞いたような……」

 

トッペマは戦う間にス・ノーマン・パーの声から感じた既知感に、頭を悩ませた。彼の声は、何処かで聞いたことがある気がする。

 

すると、日本支部の出入り口から大きな大爆発が発生した。

 

―――――――――――――――――――――――

 

その頃、私はフューリーさんと共にチョキリーヌと戦い続けていました。

 

「とっととくたばんな!」

 

チョキリーヌが接近して蹴りを放ちます。フューリーさんは両手で受け止めた後に下へ叩いて受け流し、裏拳でチョキリーヌに攻撃します。チョキリーヌはフューリーさんの裏拳を受け止めた後、拳でフューリーさんの背中を殴り飛ばしました。

 

「接近戦も可能か!」

 

「クレイ・Gみたいに得意じゃないけどねぇ!」

 

フューリーさんと拳を交わし合うチョキリーヌ。しかしチョキリーヌの身体能力は予想以上に高く、力も速さもフューリーさんより上でした。

 

その頃私は何をしてるかと言うと、メレブの魔法の一つを唱え続けていました。

 

「『メラチン』『メラチン』メラチンメラチンメラチンメラチンメラチンメラチンメラチ……………………」

 

私の唱えている魔法は、本来なら『食べ物を温める魔法』です。本来なら弁当を含めた食材にしか効果はありませんが、私はこの魔法を少し改良して攻撃にも使えるようにした。

 

因みに、これを使ってたメレブはメラチンを攻撃魔法へ進化させていました。チョヒャドは放つ前に攻撃されて失敗しましたが、今回はフューリーさんが時間を稼いでくれる。なのでメレブより長く唱えられます。

 

メラチンは食べ物を温めますが、その温度でも55〜70℃です。仮にメラチン一発が60℃とするならば、百回唱えれば、60×100で6000℃の熱量の火球となります。太陽の表面温度と同じ熱量です。それを受けて平気だった魔王が異常なだけだと思います。

 

私は杖先に火球を生み出していますが、イレイナの周りの床や壁が熱によって溶け始めました。

 

私が唱えた数は、メレブより多く唱えているため、100回を大きく超えています。

 

「なっ!?くそっ!」

 

チョキリーヌはフューリーさんを蹴り飛ばし、「『チョキリーヌ・ベスタ』!」と唱えてバリアを展開しました。

 

初級魔法しか使えないにも関わらず、唱え続けた事で大魔法クラスの威力へ格上げした私に、チョキリーヌは驚愕しているようです。

 

「喰らいなさい!!メラチン300連発!!」

 

杖先の火球をチョキリーヌに向かって放ちました。巨大な火球がチョキリーヌに迫り、周囲の壁も瞬時に溶け始めました。

 

フューリーさんは窓を突き破って外へ避難し、私も続いて窓から外へ飛び出しました。

 

そして、チョキリーヌのバリアに巨大な火球が直撃しました。その瞬間、大爆発が発生して先程まで私達の居た部屋が業火に包みこまれた。

 

チョキリーヌはバリアを展開して耐えていましたが、バリアが耐えられなくなってガラスの壊れる音が響いてきました。

 

「ガア………グギャ………ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!??」

 

チョキリーヌの苦しむ声が聞こえてきます。

 

「このまま焼き尽くされれば良いんですけどね!」

 

「中々の火力だな。此れが魔法か」

 

私は外から業火に包まれる部屋を見ました。フューリーさんは魔法の力に感心したようです。その火力でS.H.I.E.L.D.の施設をも溶かし、その上焼き尽くしているのですから。

 

私、アベンジャーズに勧誘されますかね。

 

「うがあぁぁぁああああっ!!」

 

炎を掻き分けて、チョキリーヌが姿を現しました。服が燃え盛り、体も火傷が沢山出来ています。

 

「クソが!!舐めやがって!!アンタを侮ってたようだが、もう油断はしない!!って、ス・ノーマンの奴逃げやがったし!!退散するとするかねぇ!!」

 

チョキリーヌはその場から飛びました。空へ一直線に飛んで行き、あっという間に空の彼方へ消え去りました。

 

「………ふぅ。あれがオカマ魔女の手下の力ですか」

 

「ここまでやらなくては倒せないのは厄介だな」

 

そして、背後からトッペマさんと浜崎さんが声を掛けてきました。

 

「全く、とんでもない敵が攻めて来たわね」

 

「凄いわ!オカマ魔女達の幹部二人を追い払えるなんて!ス・ノーマンは知らない奴だけど、それでも結構強かったわ!でも、追い払えただけでも凄いわよ!」

 

トッペマさんは彼等の実力を知っていましたから、尚更驚いているんですね。ス・ノーマン・パーもかなりの氷魔法の使い手でしたが、それでもオカマ魔女の手下として充分な実力を持っていましたね。

 

「フューリーどうするの?奴等は放置してたら、また狙いに来るわよ」

 

「待つ必要等無い。こちらから攻めるだけだ」

 

「そうね。世界安全保障委員会には私から報告するわ。イレイナ、トッペマ。私も一緒にヘンダーランドへ向かうわ。今度はこちらから攻める番よ」

 

「勿論です。トッペマさん、行けますか?」

 

「ええっ、もちろんよ」

 

とはいえ、損害はかなり激しいです。S.H.I.E.L.D.日本支部は先程の戦闘で壊滅状態になりました。

 

ですが、そんな時の為のトランプはありがたい存在です。

 

「トッペマさん、使わせてもらいます。『スゲーナスゴイデス』!」

 

私は一枚を使って、日本支部の施設を全て修復しました。炎が収まり、破壊の痕が最初から無かったかのように一瞬にして修復されました。

 

「ホントに規格外のトランプね………」

 

「嘗てキャップが戦ったヒドラが欲しがりそうな代物だな………」

 

「私利私欲には使えませんけどね」

 

残りは48枚。便利な力ですが、多いようで少ない数です。考えて使わないといけませんね。

 

「トッペマさん。休んだら準備しましょう。向こうも迎え撃つつもりかもしれませんから」

 

「……そうね」

 

「トッペマさん?」

 

「何でもないわ。休んだら、私達も準備するわよ」

 

「………そうですね」

 

そして、浜崎さんは私達の肩に手を置いた。

 

「二人共、ゆっくり休んで頂戴。私は残った職員と準備を進めるわ。フューリーは?」

 

「私は……今から本国で仕事だ。その代わり、知り合いに連絡して頼んでみよう。到着は遅れるが、力になってくれる筈だ」

 

浜崎さんとフューリーさんは、ホントに頼りになりますね。

 

そして、私とトッペマさんは建物の中に入り、自分達の使用している部屋でお昼寝に入りました。休んだらヘンダーランドに乗り込まなくてはいけませんから、ゆっくり体を休めて準備しないといけません。

 

それにしても、トッペマさんの先程の表情。何かを言いたそうにしてましたね。でも言い淀んだのは、言えない事があるからでしょうか。

 

昨日私とした約束が果たせないから、ですかね。

 

でも、私は諦めません。トッペマさんを絶対仲間にしますからね。

 

―――――――――――――――――――――――

 

トッペマは隣でお昼寝をしているイレイナを見た。共に添い寝をしているが、人形なので眠る事が無いトッペマ。

 

寝息を立てぐっすり眠るイレイナを見ながら、トッペマは考える。

 

(イレイナ………やっぱり私は貴女と居られない。オカマ魔女達にメモリ・ミモリ姫の心を人形に入れられた私は、オカマ魔女達を倒せば私はただの人形に戻る。そして、私はメモリ・ミモリ姫になる……でも……………)

 

トッペマは視界がぼやけ始めた。そして、頬を伝う液体の感触に驚いてしまう。

 

「……嘘……?私が?人形の私が…………泣いてるの?」

 

人形となってしまった自分は、涙を流せない筈だ。にも関わらず、自分は涙を流している。

 

「一緒に居たい………でもゴーマン王子と結婚したい……私は、どうしたら良いのよ…………」

 

イレイナかゴーマン王子か。どちらも自分にとって掛け替えのない存在だ。イレイナは短い間しか過ごしてないが、それでも自分の事を信じて行動を共にした仲だ。ゴーマン王子は自分と共に長く過ごした婚約者だ。

 

両立する事は出来ない。どちらかしか選べない。

 

自分はどうすれば良いのだろう。

 

「イレイナ………」

 

トッペマは複雑な心境を浮かべながら、イレイナに抱き着いた。一緒に居たい。でも、自分はオカマ魔女達を倒せばメモリ・ミモリ姫に戻り、元の世界に帰らなくてはいけない。でもそうしたら、イレイナとは離れ離れになる。

 

キツい。ツラい。

 

もし約束を果たせないのならば、例え短くとも尊いこの時間を、せめてもの間に堪能しよう。

 

イレイナの温もりを感じ取れないこの体だが、それでも胸の奥から熱い温もりがこみ上げてくる。その温かさを、イレイナが起きるまで堪能したトッペマであった。

 

 

そしてお昼寝の時間が終わる。

 

 

ヘンダーランドへ進行する時間が、やって来た。

 

 

全てを終わらせる為に。

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