MCUの世界にイレイナとして転生したけど、開き直って好きなように生きていきたいと思います 作:ちいさな魔女
夕方。私はトッペマさんと共に車に乗りました。運転しているのは浜崎さんです。数人の隊服を身に着けた男女の皆さんと共に、私とトッペマさんは大型のバンの後ろの席に乗ってます。因みにTOYOTA製でした。
行き先は勿論、群馬ヘンダーランドです。ヘンダーランドで遊んでみたかっただけでしたけど、まさかこんな戦いに巻き込まれる事になるとは思いませんでした。
「しかし、フューリー長官は誰を呼ぶんだろうな?」
「知るわけねぇ。でもフューリー長官の事だから、頼りになる奴が来るかもしれないぜ」
「日本支部に来る所、私初めて見たわ!もう感激よ!」
「サイン貰いたかったなり!」
賑やかな隊員達。男女問わず、会話で盛り上がっているようです。
「なんか余裕ありそうな雰囲気ね」
「S.H.I.E.L.D.の皆さんはこうした自体に、常に備えているからこそですよ」
「でも頼りになるわ。チョキリーヌもス・ノーマンも負傷してるし、クレイ・Gも身体能力は高いけど他の二人より楽に倒せる筈よ」
「ええっ。もう油断はしません。初級魔法の恐ろしさ、思い知らせてあげましょう」
私の言葉を聞いた浜崎さんが、運転席から話しかけて来ました。
「頼りになるわねイレイナ。期待してるわ」
「はい、浜崎さん」
そんなこんなで、バンの中は賑やかでした。車を走らせてかなりの時間が経ちました。その間にトイレを休憩所で済ませたり、軽めの食事を済ませたりして、数時間が経過しました。
すると、タブレットを手にしていた兵士さんが浜崎さんに声をかけました。
「長官。間もなく群馬ヘンダーランドに到着します。現在臨時休業中との事です」
「待ち伏せね。私達が攻めに来る事も分かってたのね。フューリーは米国に戻ったけど、彼の援軍が来る前に私達が勝てる事を祈りましょう。総員、戦闘準備!」
浜崎さんの指示と共に、周りの大人達が武器のチェックを行い始めました。銃の点検にナイフの装着、手にしてる装備に不備が無いか、予備が足りてるか等、入念にチェックを入れているようです。
そして、私達は車を降りました。外は夕方になっており、間もなく夜が来るようです。
ヘンダーランドの出入り口の門に辿り着きましたが、やはり閉鎖されていました。門には『臨時休業』と大きく記されています。わざわざ私達の為にヘンダーランドを閉鎖してくださるとは、相手は何時でも私達に勝てる余裕があるのでしょう。
車を降りた後に、私とトッペマさんは正面から歩いて行きました。
浜崎さんはいつものスーツ姿のままですが、他は全員防弾チョッキを身に着けており、完全武装をしています。
「待ち伏せに気をつけなさい」
浜崎さんが銃を周囲に向けながら、ヘンダーランド内を進み始めました。中世ヨーロッパをモチーフとした街を歩いていきます。
兵隊さん達が建物の窓を開けて、ライトで照らしました。
「クリア!」
他の兵隊さん達も、建物の中を確認しています。
「クリア!」
「クリア!」
「こっちも!」
兵隊さん達が建物の中を確認していきます。
「レベリオ」
私は魔法を唱えました。すると、浜崎さんが進む先の地面に赤い円、そして天から伸びてくる赤い糸のような光線が、目の前に浮かび上がって来ました。魔力を感じる事から、魔法で創った罠である事が容易に想像出来ます。
私は浜崎さんの襟を掴んで引き止めました。
「待ってください!」
「きゃっ!?ちょっと何ッ!?」
兵隊さん達が一斉に此方を向きました。
「罠ね!オカマ魔女達はヘンダーランドを要塞に変えたのね!トッペマ・マペット!」
トッペマさんが呪文を唱えて、魔法の弾を放ちました。罠のある地面に魔弾が当たった瞬間、地面が噴火を起こしたように大爆発を起こしました。爆発が収まった後の地面は、大きな穴が空いていました。
大きな衝撃と共に地面が揺れて、私達は転びそうになりました。
「ヒャド!」
私は氷呪文を唱えて、赤い線を全て貫くように氷の刃を出現させました。すると、氷の刃が空から飛来した無数の弾に撃ち抜かれて、粉々に砕かれてしまいました。弾が撃ち終わったのか、赤い線が再び出現する事はありませんでした。
「あ、危なかったわね……魔法でなきゃ気付けないトラップとは油断したわ………」
「油断大敵です。それに、魔法でしか探知出来ない以上、私が必須になります」
「やっぱり魔法を習うべきだったわ………」
浜崎さんに今度魔法を教えるべきかもしれませんね。
「ぐあっ!!」
声のした方向を向くと、壁から出現した猫のマスコットキャラ達に取り押さえられた兵士さんが、建物の中へ連れ込まれてしまった光景が目に映りました。
「敵襲!!」
兵隊さん達が攻撃に入りました。マシンガンを連射して窓の奥に居るであろう敵を撃ちました。
しかし、敵が何処に居るのか分かりません。
「レベリオ!」
私はレベリオを唱え、再び罠と敵の位置を確認しました。通路は三流スパイ映画のように線が張り巡らされており、建物内には多数の人形が武器を手にして隠れていました。
「浜崎さん!囲まれてます!」
「先に行きなさい!此処は私達に任せて!」
「でも!」
「大丈夫よ!後で追い掛けるわ!」
浜崎さんは建物から飛び出してきた、剣を手にした緩そうな猫の頭の人形を、体を後ろに傾けて避けた後に上空へ蹴り飛ばしました。更に背後から迫る猫人形達を振り返って確認した後に避けて、脇で挟むように捕まえました。更に、屋根に乗る人形達の持ってる弓から放たれた矢を、捕まえた人形を使って自分の身を守りました。
浜崎さんはそれだけでなく、接近されても足技で蹴り飛ばした後、掴んだ敵を投げ飛ばした後に槍で突き刺して来た敵を、先程敵を捕まえていた手にナイフを持って、槍をナイフで弾きました。更に背後から迫る敵もナイフで頭部を突き刺し、弓矢による遠距離攻撃をナイフで刺した人形で防ぎ、銃で屋根の遠距離攻撃を行う敵の頭部を正確に撃ち抜きました。
「集まれ!防衛陣形だ!」
「敵は四方八方から襲って来る!飛び道具を持つ敵を最優先で狙え!接近されたらナイフで戦え!」
周りの兵隊さん達も円を描くような防衛陣形となって、周囲を見張れる体勢を取りました。
「おおっ!分かりました。トッペマさん、行きましょう」
「凄い……!絶対追い付きなさいよ!」
私達は罠を破壊しながら、浜崎さん達に敵達を任せて先へ進みました。
そうしながら暫く進むと、次のエリアへ移動する列車に乗る為の駅に辿り着きました。
列車で移動する線路には列車がありません。どうやら列車は撤去されたようです。
「レベリオ……罠はありませんね」
線路や橋に仕掛けはありません。どうやらここまで来た以上、罠を張る必要が無いと思われたのでしょう。
「って事は、敵幹部が居るわね」
「この先ですね」
私とトッペマさんは歩き始めました。線路の上を道なりに進んで行きました。
線路を歩くとかなり長いんですね。
そんな事を考えてる場合ではありませんが。
暫くすると、エリアを分けているであろう大きな門に辿り着きました。
門の前には、私が前に戦ったクレイ・G・マッドが居ました。
「久し振りだな。と言っても数日程度しか経ってないがな」
「1日しか経ってませんよ。其処を通して貰えますか?」
「そうはいかんな。俺は一度お前等から受けた屈辱を、何倍にも返してやらねぇと気が済まねぇんだ!!」
そして、クレイ・G・マッドは狼の姿に変身しました。
「やれやれ。じゃあ空から行きますね」
私は手元に箒を生み出すと、それに乗りました。イレイナと同じく横向きに乗りました。
「トッペマさんは援護をお願いします」
「任せなさい!ってか今思ったけど、初めから箒に乗って行きなさいよ!」
そして、私は箒を発進させて、そのままクレイ・G・マッドの横を通り過ぎて行きました。
「実は、初めてなんです!箒乗るの!」
「嘘ォ!?」
トッペマさんが驚いてます。まあ当然ですが。
「逃がすかぁ!!」
すると、クレイ・G・マッドは近くに停めてあった列車に飛び乗り、私達を追い掛けました。
「俺から逃げられると思うなよぉ!!」
「スピード対決ですか。良いですよ!スピード勝負、受けて立ちます!」
私は箒の速度を上げて、マッドの列車と鬼ごっこを始めました。
「ちょっ!?速い速い!?アンタ初めてなんでしょ!?」
「ええっ!ですが、どうすれば良いのか自然と分かるんです!例えるなら、産まれたばかりの赤ちゃんが、分からないまま手足を動かせるのと同じような感じです!」
「成る程……って納得出来るかぁ!!余計不安になったわよ!!」
「今の私じゃ低空飛行が精一杯なんです。全て終わったら訓練しますよ」
「もう!!この際何でも良いわ!!クレイ・G・マッドを倒すわよ!!」
トッペマさんが掌から光線を発射しますが、列車は焦げるどころかかすり傷一つ負いません。
「ぎゃはははははっ!!所詮役立たず人形の魔法だ!!俺様に叶うわけ無いんだ!!」
「効いてない!」
「列車が硬いのでしょうか!?メラ!」
私は杖をマッドに向けて、火球を放ちました。メラは列車に当たりましたが、爆発の煙をかき分けて無傷の列車が現れました。
「効かないなぁ!!俺様の魔法で強化されたこのクレイ・G・トレインは、この地球のどんな鋼鉄よりかてぇのさ!!お前等を捕まえたらトッペマはバラバラにして、女はじっくり犯した後に喰ってやるううう!!ギャハハハハ!!」
列車は加速し続けました。このままでは追いつかれてしまいます。
「クレイ・G・マッド……!どうするのイレイナ!」
「………このまま逃げ続けますよ。私に良い考えがあります。あの列車はかなりの速度で走っています。話を聞く限り、クレイ・G・マッドは強化魔法を主に扱うようですね。列車の速度もそれで強化しているのでしょう。なら、何処かで線路を破壊すれば列車は脱線。何処かの壁に激突させられる筈です」
「成る程!でもアンタ、今覚えてる攻撃魔法の中で、一番攻撃力があるのはメラかヒャドでしょ!?」
「そうですね。メラは効かない。ヒャドで壁を作っても破られる。この線路も見た目に反して頑丈。ですが、覚えてますか?私達があのサーカス会場を脱出した魔法を」
「えっ?ま、まさか!?」
トッペマさんは察したようですね。私の企みが何なのか。
「その通りです!『ベンルーラ』!!」
私はクレイ・G・マッドに向かって、嘗て唱えた『トイレに転移させる魔法』を唱えました。
「なに――」
その瞬間、私達を追って来たクレイ・G・マッドが列車と共に消えました。
そして、近くの建物から列車が飛び出して来ました。トイレを内側から粉々に破壊する形で。
「なにいいぃぃぃぃっ!?」
そのまま暴走した列車は地面を何度も跳ねて、軈て海へ飛び出してしまいました。
「ちくしょおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
列車から脱出出来なかったクレイ・G・マッドは、そのまま海へ落ちてしまい、大きな水飛沫が周囲に飛び散り、私達に海水が降り掛かりました。
「くそっ……まさか……こんなあぁがぼぼ………」
クレイ・G・マッドは泳げないのか、そのまま海の底へと沈んで行きました。藻掻いていたようですが、長くは続きませんでした。
すると、クレイ・G・マッドが沈んだ場所から光の柱が立ちました。光の柱はすぐに収まり、収まった箇所からある物が浮かび上がってきました。それは、四本脚の動物の人形でした。
私の後ろにトッペマさんが乗っています。トッペマさんも横向きで箒に乗っています。
「魔法が解けて人形に戻ったのね。後はチョキリーヌとス・ノーマンね」
「ええっ」
残った手下は後二人。どちらも手負いですが、油断しないようにしましょう。
私はヘンダー城に向かって飛んでいき、トッペマさんと一緒にチョキリーヌを探しに行きました。