「って訳でヒビキ、一緒に来てくれ。」
「どういう訳だい?」
「かくかくしかじか」
「まるまるうまうま、とはならないよ?」
モード『銀河竜』のトップスピードにより10分程度で『青い天馬』への道のりを走破(飛破?)した俺は、再開の挨拶もそこそこに事情を説明していた。
「他ならぬ君の頼みだからね、僕も手伝ってあげたいのはやまやまなんだけれど…家を作るんだよね?申し訳ないけれど、そんなに長期間ここを開けるわけにはいかないんだ。」
申し訳無さそうに語るヒビキは、「変わりと言ってはなんだけど…」と言葉を続けて通信用魔水晶を渡してきた。
「これを使えば、距離が離れていても指示が出せる。一つ君に渡しておくから、僕の手が空いている時ならいつでも手伝うし、偶になら顔も見せよう。」
「はぇ〜流石、イケメンはやる事が違うな。…いや、しかし本当に助かった。礼はいつか必ず。」
「気にしないでくれ、僕も友人の助けになれて嬉しいよ。…どうしてもと言うなら可愛い女の子を紹介してくれてもいいんだよ?」
「紹介出来そうな女の子が居たらしてやるよ」
その後、一言二言会話をしてからヒビキと別れ、俺は『妖精の尻尾』へと帰った。
――――――――――――――――――――――
「たーだまー」
「あ、ルクス!もう!急に出て行っちゃうから心配したんだよ?」
「心配も何もちょっと遠出しただけだろ?そんなに信用無いかね…」
「信用されたきゃその考え無しの行動やめなさいな」
「無理♪」
「ル〜ク〜ス〜?」
「ほら今はそんな事どうでもいいだろ?家の方が大事だからな…な?」
「そういえば、
「その事も込みで話すから、先ずはお座り?」
〜少年説明中〜
「あら、
「お前も大概辛辣だよな」
「…それで?まさか私達三人だけで作業するわけじゃないんでしょうね?」
「とーぜん、ギルドの皆々様に手伝って頂きますとも。」
「どうやって手伝ってもらうつもり?」
「まぁ見てロッテ」
自信満々にエルザに話しかけに行くルクス、微妙そうな表情のウェンディとシャルル。
「シャルル…」
「…私も嫌な予感がするわ、ウェンディ。」
「「はぁ…」」
二人にそんな事を思われているとはつゆ知らず、エルザに事情を説明したルクス。案の定というか、計画通りというか、エルザは二つ返事で快諾。更にエルザに頼み、ギルド全体へ呼びかける事で多数の労働力をゲットした。
別に、エルザが怖かったから手伝うんじゃない。ないったらない。とはギルドの約半数の声。
その日より始まった家づくり。場所はマグノリアの街とは少し離れた平地。
エルザとヒビキの指示の元、テキパキと予想以上に大人しく家を作っていく『妖精の尻尾』の仲間達。…特に予想外だったのがナツだ。こういう時こそ、張り切って壊しそうなのだが、自分が役に立たない事を理解しているのか材料運びに徹していた。
一番の懸念事項たる喧嘩も、エルザという抑止力のおかげで起こらず、終始安定感のある現場であった。
工期についても、力自慢や器用な魔法による作業の速さ、何より『古文書』によるバックアップ付き。説明書のついたプラモデルを組むようなモンだろう。
更に、ヒビキやギルドの皆の厚意により、"完成したら教える、それまで来なくていい。"という旨の言葉を頂いた。流石に悪いと断ったものの、"歓迎祝い"等と言われてしまっては引き下がるしかあるまい。
という事で、それまでは宿を借りて過ごす事になった。その時色々すんごい事があったが、それはまたいずれ「ウェンディと同じ部屋で一夜を明かす話」と「ウェンディと約束の特訓をする話」として、機会があれば語ろうと思う。
そうして一週間。ついに完成したらしい我が家へ向かうとそこには…!
「燃えてきたーーッ!」
「うるせぇクソ炎!」
「グレイ服」
「酒ェー!」
「漢ォー!」
宴会会場が出来ていた。
「なんでだーーーーーッ!?」
俺のツッコミという珍しい事態に、けれど驚かず何事も無かったかのようにナツ達が話かけてくる。
「よぉ!おかえり!」
「邪魔してるぜ」
「家主が帰ってきたぞ!」
「その家主に断りもなく宴会してる件について、そこんトコ詳しく話そうじゃないか…えぇ?」
俺の怒りが伝わっていったのか焦ったように弁明を始めるカス共。…つーかギルドのほぼ全員居るんじゃね?
「ほら!どうせならデッカイ家建ててやろうって思ってよ!な!?」
「そうそう、大は小を兼ねるッていうしな!」
「漢だ!」
「ヒビキィ!?どこだ!?何でこのバカ共止めんかった!?」
「ヒビキなら用事があるって言ってたぞ」
「コロスッ!」
「ルクス落ち着いて!?」
憤怒に満ちた俺を止めるウェンディ。そこでふと疑問に思う。
「なぁ、シャルルはともかく何でウェンディは動揺して無いんだ?」
「え!?ソンナコトナイヨ」
「見事なまでのカタコトですやん」
「ともかくってどういう意味かしら…」
いつも斜に構えてる斜ルルさん「殺すわよ」テレパシーヤメテモロテ
「おら!吐け!何を知ってるウェンディ!?」
「いひゃい〜!やめへほほひっぱらないれ!」
ウェンディの頬を捏ねくるルクスと痛がるウェンディ。…なお、ウェンディは全然痛くないが反射で痛いと言っている。この様子は外野からはただいちゃついてるようにしか見えない。
「ウェンディ!吐かないならアレだ!あの〜アレだ!三日くらい口聞かないからな!」
「!?わ、わはっははら!はなす!はなすからやめへぇ!」
もう一度言おう。外野目線はただのバカップルのイチャコラである。…よしんばカップルと見られなかったとしたら、小学生同士の言い合いというか…まぁそんなトコだろう。
"話す"と言ったため一度手を離し、ウェンディの頬の感触の余韻に浸るルクス(字面が酷い)。離されたものの、頬に違和感が残るため頬をぷにぷにしているウェンディ。かわいい
やがて落ち着いたのか、恥ずかしそうに申し訳なさそうに話し始めるウェンディ。
「先ず、ヒビキさんから提案されたの。"宴会会場併設してもいいかい?"って。…もちろん最初は断ったよ?でも、その、代わりに、内緒で…も…や…って…」
「?」
「子供部屋をっ!作ってっ!もらいましたっ!」
・・・
「「「えぇぇぇぇぇぇ!?」」」
「産むのかウェンディー!?」
「コドモベヤ…こどもべや…?子供部屋…!なるほどそういう事か!」
「ッ!」
謎は解けたと言わんばかりのドヤ顔ルクスと心配になるほど赤くなっているウェンディ。そんなウェンディに
「安心しろ、ウェンディ。」
「ルクス…?」
「子供体型だからって子供部屋に住まなきゃいけないわけじゃn((ビンタ」
「〜っ!ルクスのバカ!バカ!もう知らない!行こっシャルル!」
「…えぇ。…今回は自己責任だから、私は何もしないわよ」
激怒ウェンディと絶対零度の視線を向けてくるシャルルの背中を見送った後、宴会していた奴らに問う。
「何で叩かれたんだ…?」
「「「分かってねぇのかよ…」」」
このオチいつかやってみたかった。
最近寒くなってきたので気をつけましょう。
一話と今話の誤字報告誠に感謝