なお、作者は100年クエストを見ていないため、内容によっては爆死の可能性ありけり
「……!…!……ス!」
懐かしい、声だった。
「…きろ!…クス!…が無いんだ!」
そう、それは俺のウェンディともう一人の家族。兄貴の声。突然姿を消した兄貴だったが、兄貴には兄貴なりの、のっぴきならない事情があったのだろうと思っている。
「くっ…!なぜ起きない!おい!ルクス!」
「……ん?………!?兄貴…?」
しかし、それはそれとしてウェンディを泣かせた罪は重い。なので心に決めていた事がある。それは…
「!目が覚めたか!一向に目を覚まさなかったが…どこか具合でも悪いのか?早急に話さなければならない事があってだな…おい、聞いt「歯ァ食いしばれェッ!」ぐおっ!?」
絶対に一発殴る事だ。
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俺に殴られた兄貴…ジェラール改め、フェアリーテイルのS級魔導士ミストガンは綺麗な放物線を描きながら飛んで行き…そして地に伏した。
「おいこら手前ェ!どの面下げて今更会いに来やがった!おぉん!?ウェンディがどれだけ泣いたと…あれ?おい、おーい兄貴?」
そういえば、あの時は寝起き+怒りで理性なぞ無く、無意識の内に魔力による身体強化全開だったような…?
「お、おーい?兄貴?冗談よせって、な?おいおいおい…やべぇ、殺ったか?殺っちまったか?」
安否確認のため兄貴の下へ行き、顔を覗き込む。すると…
「お返しだ愚弟ッ!」
「ぐぼぁ!?」
突然頭突きが飛んできた。
「てめっ…!失踪した挙げ句何年も放ったらかして、ようやく姿見せたと思ったら知らねぇ場所な上"話がある"だぁ?ふざけるのも「ここはマグノリアだ」…はぁ!?」
俺が長年の不満をたらたらと兄貴に言っている途中で、とんでもない情報が投下される。
「…この一面真っ白の場所がマグノリアだって?」
「ああ」
「証拠は?」
「今から世界中飛び回ってマグノリアを探しても見つからないだろうな。」
「…ウェンディは?」
「無事だ。それについても話すから、落ち着いて話を聞け。」
もう少し兄貴を殴りたかったが、どうやらそうもいかないらしい。事態が結構深刻である事を理解した俺は視線で兄貴に話しを促す。
「あぁ、先ずは…」
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兄貴から話を聞き終えた俺は…
「なるほど、そのエドラスって所を滅ぼせば良いんだな?」
「違う」
エドラスという世界に怒りを覚えていた。
なんでも魔力が有限な世界らしく、恐らくそろそろ魔力が枯渇するそうな。
だから他の世界から魔力貰おう。という事で向かった矛先がマグノリアだったらしい。
ふざけてんのか
「しかし兄貴。仮に皆を無事助け出せてもよ、また呼ばれたら意味無いぞ?やっぱ元から叩かねぇと」
「だとしてもだ。罪も無い人々まで被害に遭うのは許せない。」
「ならどうする?皆を助け出した後、2度目を起こさせない為にはどうすればいい?」
皆を助け出すのは…簡単では無いだろうが問題無く出来る。アッチは魔法無しでこっちは本来魔法無しの所兄貴の薬で使えるようになってるのだ。負けることはないはずだ。
しかし、その直後にまた攫われましたではお話にならない。
「それは…」
「いい考えは浮かばないだろ?やっぱり潰すのがいい。それが一番確実だ。」
「しかし王の居ない国は滅びの一途を辿る!そんな事容認「お前が王になればいいだろうが」…なに?」
さっきからずっと、兄貴は「俺に国を滅ぼさせない」事しか考えてない。…それが、心底気に食わない。
「だから、お前が王になって国を導けば良いって言ってんだよ。幸い、成れる立場にはあるんだろ?」
「無理だ…!俺にはもうその資格は…」
「なら滅ぼす。顔も見たことねぇ連中なんて信用出来ねぇ。そんなヤツが王になってまたウェンディに危害があってみろ。皆殺しだぞ?…でもよ兄貴、俺はアンタなら信用できるんだ。」
「ッ!」
「結論は急ぐぞ?だが、別に今じゃなくてもいい。先ずはマグノリアを元に戻さなきゃな。手伝ってくれるんだろ?」
「…あぁ、もちろんだ。」
兄貴は俺の、端的に言えば『王になれ』という言葉にひどく悩んでいるようだったが、それでも優先事項を履き違える事は無かった。
「…エドラスに行く為にはあの穴を通れば行ける。最優先はウェンディ達との合流。次点でマグノリアの魔水晶探しだ。いいな?」
「とりあえずはな。」
「…ありがとう。」
「…それじゃ、後でな」
兄貴からの礼に、さっきは言いすぎたかと少しバツが悪くなった俺は逃げるように穴へ入った。
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「ここが、エドラス…」
浮いてる島や魔水晶がたくさん見えるが…どれがどれだか分からんな。
「はぁ…。とりあえず合ッ!?」
瞬間、身体中から力が抜けていく感覚が広がる。重力も維持出来ず、そこらの浮島に不時着する。
ルクスの体は金色に明滅し、脂汗がにじみ始める。明滅と同時に動悸も激しくなっていき、ピークに達した時激しい光が辺りを包んだ。
「ハァハァハァ…」
気づけば力は元に…いや、なんだか以前より落ちた気がするものの、落ち着きはした。膝をつき、肩で息をしている俺に幼気な声がかけられる。
「突然申し訳ない、大丈夫でしたか?」
光の晴れた視界で声の主を見るとそこには…
「なん…っ!?」
ガキの頃の、俺が居た。
「驚き…ますよね、そりゃ。そこら辺の説明も含めて、少し歩きませんか?」
「お、おう。」
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「先ずは自己紹介を。僕はルクス。ルクス・バオウといいます。こっちでは『雷神』…という事になっています。」
「あ〜どうも?俺は…ルクス・セレスト。よろしく?」「ええ、よろしくお願いします。」
「にしても雷神か、すごいなって雷神ッ!?」
ガキの頃の俺…バオウは、俺とは似つかない礼儀正しさと温和らしい性格が見て取れる態度で俺と話す。なんならそのままの調子で、とんでもない発言もしてきた。…『雷神』って何?俺コッチでは神様なの?
「えぇ。といっても権能なんて無い、なんちゃって神様ですけど」
「なんちゃって神様…」
あはは。なんて笑ってはいるが、それは本当に笑い事なのだろうか?というか、その雷神様はなんで俺の前に姿を現したんだ?
「確かに、話が脱線して説明が遅れるところでしたね。すいません。」
「しれっと心読むのヤめろどういう原理だよそれ」
「それも、今から説明しますよ。」
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「先ずは僕の出自について。それはそれは昔のエドラスでは、有限ながらも無限に見紛う程の魔力に満ち満ちていました。何故なら魔力を発する生物が大量に居たからです。また、人間が殆ど魔力を使わなかったからです。」
「しかし、文明が進むにつれて魔道具が開発、量産され次第に消費される魔力が増えて行きました。それにより、生きるのに魔力を必要とする生物達は絶滅していきました。その中に、魔力を発する生物…『神』達が居たのです。」
「その、『神』ってのは『魔力を発する生物』の事を言ってるのか?」
「いいえ、あくまで『魔力を発する』のは『神』の副次効果でしかありません。
…『神』とは、『それぞれの元素に、祈りと概念が与えられ、強力な力と意思を獲得した個体』でしょうか。例えば、雷の神といえば竜じゃね?なんて理由で僕は竜の概念も所持しています。」
元素+概念&祈り=神ってことか?ていうか、神も絶滅したって言ったよな。なら…
「それなら、お前も死んだんじゃないのか?」
「いいえ、厳密には僕は『神』の中でも一番長生き出来たんですよ。というのも、人間が魔道具でよく使うのは火や水、風などの元素で雷なんて元素は使われませんから。」
「???じゃあ何で死にかけた?」
「雷が全く使われなくとも、大気中の魔力は減っていきますからね。徐々に力を失っていきました。しかし僕は一命を取り留めました。貴方のお陰でね。」
「俺?」
俺はお前と初対面だよな?
「ふふっ。ええ、会話するのは初めてですよ。」
「心読むな」
「アレは今から7年ほど前の話です。」
「無視かよ」
「7年前、貴方とウェンディさん、そしてジェラール…いえ、ミストガンさんの3人で旅をしていた時。ミストガンさんは『アニマ』を観測し、貴方達から離れました。」
「…おう」
「その『アニマ』により、死にかけの僕は吸い込まれるように貴方の中に入りました。」
「ちょっと待てや」
「原理は不明ですが…まあ、エドラスで死んだ人間をアースランドから連れて来る…なんて事例があるのてますから、無い話では無いのでしょう。」
「また無視かよ」
「その後、貴方の体内で冬眠のような状態にあった僕は、いつぞや貴方がお腹を貫かれた衝撃で目を覚ました…という事です。ちなみに、あの時途中から下半身を動かしていたのは僕ですよ。」
「…」
「さて、貴方の身体の中である程度回復はしましたが、それも僕に対しての概念や祈りの無い世界での話。完全とは程遠い…以上が僕の現状と説明ですね。何か質問は?」
「俺の力が以前より落ちた気がするんだが…」
コイツの事は…まぁ分からんが分かった。しかし、それにしても嫌な仮説が立ってしまったな…間違いであってほしいが、俺の予想が正しければ…
「やはり、随分鋭いですね。貴方の想像通り…」
―雷魔法、使えなくなってますよ
と、バオウは申し訳無さそうに頬を掻くのだった。
ルクス「てか、なんで『神』は人間を滅ぼさなかったんだ?そうすりゃ魔力は減らなかったろうに」
バオウ「『神』は人間の祈りと概念から生まれましたから、『神』からすれば人間は親みたいなものなんですよ…」
あれ?ウェンディが足りないッ!タリナイッタリナーイ