いっぱい出たね♪ じょろじょろ出ちゃう黄金水 ~ これって、地層処分するしかないんでしょうか? ~   作:八切武士

1 / 27
 ハーメルンと言えば二次創作なんですが、オリジナルです。

 一応、異世界物の皮を被ったお話しとなります。
 想像力豊かな方はお食事中に読むのは止めておいた方が無難です。

 基本、主人公の“自分探しの旅”で、旅先や滞在先で色々ある感じの構成になります。

 取りあえず、序章、始まります。


【序章・私は何処、ここは誰?】
【 第1序 ~ いっぱい出たね(はぁと) ~】


 

 頬に冷たい感触を感じて目を開けた。

 朝露(?)に濡れた草に頬を埋めていたらしい。

 慌てて体を起こして袖で拭うと、服も何だか湿っている。

 視界が妙に白い。

 眼鏡を外してティッシュで拭っても、それは変わらなかった。

 どうやら乳白色の霧で視界が余りない様だ。

 

(霧?……そんな予報だったっけ)

 

 額を抑えて体を探る。

 腰のホルダーからスマートフォンを取り出してロックを外し、ウェブの天気予報ページを見ようとするが、一向にダウンロードされる様子がない。

 画面上部のアンテナはゼロ、一本も立っていない状態だ。

 

(圏外……隠れ里かな)

 

 何故か自然に口をついて出た古風な名詞にため息をつきながら周囲を見回す。

 視界は狭いが、周りは背の低い草と岩、そして、うっすら何かの木が生い茂っているのが見える。

 どう見てもド田舎である事自体は間違いなさそうだ。

 どうしてこんな所で倒れてたんだか全く分からない。

 

(制服に鞄……教科書入ってる)

 

 馴染みのあるブレザーの制服に、教科書数冊と小物類が入った鞄。

 どう見ても通学中だ。

 

(ん……ペンライトに予備電池、腕時計、未開封のペットボトルのお茶、ジュース、ミネラルウォーター、カ○リーメイト3箱、エナジーバー3本、ポンチョ、エマージェンシーブランケット、ゴミ袋、P○v○ta、携帯バッテリーと折りたたみソーラーパネルにケーブル類、十徳ナイフにメタルマッチ、ポケットティッシュ、化粧品セット、生……各種衛生用品類、トイレットペッパー芯なし3倍巻き4ロール1袋、ん、なんか袋が入ってる)

 

 鞄から、ナイロンか何かっぽい化繊布袋をずるりと引っ張り出す。

 容量4L程度のバッグには、ストラップとはめ込み式のバックルが付いていて、肩から提げたり、鞄と合体させたりできそうだ。

 袋の口はがっちり密閉できて、防水性がありそう。

 

(“GARBAGE BAG”?)

 

 口を開けてみると、中には空の500mlペットボトルが3本、楕円形で高さが非対称のじょうごが一つ、ジッパー付きのビニール袋と、オリーブドラブ色のポリ袋が10枚ずつ。

 

(“脅威的防臭袋 Brotherhood Of Stench”……トイレセットだ、コレ!)

 

 どこかへ避難する途中かだったのかも知れない。

 体を起こした時、妙に重たいと思ったのだ。

 絶対に女子高生が普段使いする鞄の中身じゃない。

 避難民じゃなきゃ、ワンゲル部かキャンパーか。

 と言うか、さっき取り出したスマホも、やたらゴツい造りの頑丈そうな代物で、女の子が好んで買うアイテムとはかけ離れている。

 掴んだままこめかみ辺りを殴りつければ相手を昏倒させられそうだ。

 普通に指紋認証でロック解除したから自分の持ち物である事は確かだとは思うけども。

 そう言えば、腕時計もペンライトもやけに厳ついデザインをしてた気がする。

 とりあえず、何となく腕時計は巻いておく。

 手首の内側に文字盤が来る女の子巻きだ。

 滅茶苦茶ゴツい奴だけど。

 

(つけたまま水に潜っても大丈夫そう)

 

 アナログ文字盤とデジタル両方がついていて、アナログで小さい天気のアイコンと、気温と湿度、“TB”と書かれた横に“%”つきの数字が表示されている。

 時間は“15時27分”、気温“16℃”、湿度“86%”、天気は“曇り”マーク、TBの横は“30%”だ。

 

(午後、じきに夕方……私は“酒倉八誌緒”、“17歳”、東京在住の女子高生、瞳は黒で髪も同じ、そして肩より下にくるくらいはのばしてる、髪質は一寸硬いけどピンとストレート、そして、まぁ……胸だけはデカい、兎に角デカい……ふつうは自慢かよって話だろうけど、弄りのネタ(物理と言葉両方)になったのと靴ひもを結ぶ時等、多々邪魔になる以外の意味は無かったりする、真下が全然見えないし……ついでに心臓疾患で長期入院歴まであるせいで少々むくんでいたのもあって、デブなら乳もでかいだろって、いや、流石に病院食で太るのは無理……んん?心臓疾患???)

 

 頭がはっきりしない。

 記憶はあるけど、何だか“距離が遠い”妙な感じだ。

 

(はぁ……)

 

 取りあえずお尻の辺りまでしっとりしてきたので、立ち上がり、服を払う。

 濃い霧のせいで、ちょっとオゾン臭のする空気までしっとりしている。

 その内、髪の毛が結露しそうだ。

 取りあえず鞄を持ち上げる。

 

(そう言えば、このトイレセット、どうやってこの鞄に入ってたんだろ?)

 

 どう考えても、このトイレセットのバッグ……ガベッジバッグで鞄が一杯の筈だが。

 少し考えてから、左右についているカラビナで鞄のDリングにガベッジバッグを取り付ける。

 これで、鞄の後ろにガベッジバッグが覆い被さる様に合体した。

 まだ明るいので昼間っぽいが、兎に角移動した方がいいだろう。

 日が落ちた後に居たい場所では無い。

 地面に目を落とすと、一応、手近に道があるようだ。

 

(獣道じゃなさそう……)

 

 しっかり踏み固められて土が露出した道は、それなりに使われている様に見える。

 

「どっち行くかな……困った時は右手?」

 

 ダンジョンじゃないので有効とは思えない。

 棒を倒してどっち行くかとさして変わらない、が、指針にはなる。

 

 とぼとぼと歩き出して一時間と少々。

 行けども行けども、霧と森。

 代わり映えのしない景色が続く。

 

(呼吸におかしな所もないし、胸とお腹、背中、どこにも痛みと不快感はなし、手足に痺れもなし……すごく調子いいな)

 

 強いて言えば湿った息苦しい空気に閉口する程度だ。

 全く疲れを感じない事に違和感を感じながら歩いていると、少し霧が薄くなってきた。

 

(ここどこなんだろう?)

 

 周囲の見通しが利くようになっても、見えるのは木ばかりだ。

 

(なんか、日が傾いてきた気がする……)

 

 頭の芯が痺れて、どこか現実感がないまま、やらなければならない事を考える。

 

(まだ、明るいうちにどこか落ち着ける場所を探さないと……)

 

 何か、大型の動物に遭遇したら危険だ。

 野生化した捨て犬、猪、熊、日本にも危険な動物は幾らでも居る。

 

(水と食料はある、避難できる場所と……火を確保しないと)

 

 良く分からない森の中と言うだけでも危険な状況だが、日が落ちた後の森を移動するのは本当に自殺行為以外の何物でもない。

 先へ進むのを諦め、道を見失わない様に注意しながら周辺を捜索する。

 下生えや倒木で動きづらいのに閉口しながら小一時間探し回った結果、苔に覆われた小さな広場を見つける事ができた。

 広さは四畳半程度で、座るのに丁度良さそうな倒木がある。

 と言うか、大分古いが中央に火を焚いた痕跡が残っていた。

 広場の中に落ち葉や小枝等の燃え種(もえくさ)は殆ど見当たらない。

 

(炭は風化しないんだっけ……)

 

 大抵のキャンプ場で焚き火が禁止されている理由の一つだ。

 でも、今の状況だと有り難い。

 周囲からなるべく乾いた枝と運べる程度の倒木を出来る限り拾い集めた。

 そして、焚き火の跡に適量、小さなどんど焼きみたいに枝を積み重ね、枯れ葉と小枝は下方に添えた。

 

(なんかないかな……)

 

 倒木に座って鞄を改めて確認する。

 

(取りあえず、十徳ナイフは使えるかな……他には、ん?)

 

 さっき見逃していた鞄のサイドポケットに、木製グリップに金属棒、金属製のプレートがセットになったものが入っていた。

 

(あ、メタルマッチだ)

 

 広場を探し回って何とか苔の乾いた部分を見つけ出して剥がし取る。

 土をしっかり落として一部をほぐし、小さなマット状になったそれをどんど焼きに入れた。

 ついでに小枝を使って“フェザースティック”……周りを薄く削って、薄いくるくるカールを沢山つけたものを数本作り、それも加える。

 

(よし)

 

 メタルマッチの持ち手を握り、金属のプレートで棒をガリっと擦りまくると、火花が溢れてどばどばと燃種に降り注いでゆく。

 

(ここの苔はちょっと無理だったかな……)

 

 内心そう思いつつも、グラインダーばりに金属を擦り、どばどばと火花を振りかけ続けている内にフェザースティックの方からじわりと白煙が上がり始めた。

 

(来た!)

 

 煙っているフェザースティックを苔で左右から包むように持ち上げ、息を吹きかけていると、ふわりと小さな炎が立ち上がってくる。

 急いで小枝と落ち葉を添えた所へ配置すると小さな火は湿気を煙に変えながら、少しずつ炎へと成長していった。

 

(なんか、やけにうまくいったなぁ……)

 

 焚き火なんてYou○ubeのキャンプ動画で見た位で、自分でやった事は無いはずなのに、“何となく”やるべき事が分かる。

 倒木に腰を下ろすと、いつの間にかとっぷりと日が暮れていた。

 風は無いが、しっとりとした空気に身を置いていると肌寒さを感じる。

 背中の寒気は、小さな焚き火の温もりを殊更頼もしく感じさせた。

 さほど空腹を感じている訳では無かったが、とりあえずカロリー○イトを取り出してゆっくりと二本齧り、ミネラルウォーターを飲む。

 

(ベーシックなチーズ味も割とおいしい……これで、200kcalか、運動で消費した分には全然足りないけど……それにしても、ここはどこ?なんでここにいるの?)

 

 炎を眺めてじっとしていると、体を動かしていた時には追いやられていた疑問がまた頭をもたげてくる。

 学校に通い授業を受けている記憶、心臓の疾患で入院していた記憶、止められていたあまり趣味のよろしくないでろでろのショッキングホラー映画をこっそり鑑賞した記憶、そして、糸目の導士姿の男に胸を(物理的に)貫かれた記憶。

 記憶は切れ切れで、最後の記憶がどれなのかさえ定かにならない。

 普通に考えれば、刺された記憶が最後だろうと思うが、何となく、そうとは思えなかった。

 大体、普通の女子高生は霊○道士に木剣で胸を貫かれたりしないと思う。

 

(……私は誰?)

 

 鞄から取り出した手鏡には、薄暗い明かりの中でも分かる“自分の顔”がうつっていた。

 十数年の人生で見慣れたいつもの顔だ。

 

(……異世界転生ではなし、と)

 

 “死ぬかと思った”、“死んだと思った”覚えはあっても、“死んだまま”の記憶はないし、神様っぽいものに転生特典の話をされた記憶もない。

 ついでに言うと、ステータス画面も出てくる様子もない。

 

(……んん)

 

 考えながらうとうとしていると、先頃から感じていた“自然からの呼び声”の波動が、無視できないレベル感まで達してきている事に気がついた。

 眠い目を擦りながらトイレセットのバッグを鞄から外して少し離れた場所へ向かう。

 そして、手の中のものを見てしばし考える。

 

 歪な前後非対称の楕円形をした漏斗を装着した500mlペットボトル。

 使用箇所へのフィット感を追求した漏斗は、ペットボトルの蓋用のねじ切りにねじ込む事ができ、“使用中”にペットボトルの中身が増えても、取り落とす事も、こぼす事もなくしっかりとなま暖かい、白銀、或いは黄金の水を回収する事ができるだろう。

 

(野営中の痕跡はできる限り消去する……糞尿も消去すべき痕跡、トイレットペーパーは絶対に残さない事)

 

「いや、なんでそこまで痕跡を消そうとしてるのかな……潜入中のスナイパーか」

 

 ペットボトルをバッグへしまい、地面を見下ろす。

 枯れ葉をちょっとどけてみた地面は割と硬い土が露出しており、ローファーの爪先で引っ掻いた程度では傷が付くか怪しい。

 

(とは言え、何故か装備にエンピ(スコップ)が無いから穴を掘るのは……ちょっと無理そう)

 

 木の棒で用足しする程の穴を掘ってる間に、トイレが必要無くなってしまいそうな予感がひしひしと伝わってくる。

 

(緊急避難、緊急避難……)

 

 下着を下ろしてしゃがみ込み、いざ放出。

 うっかり、温泉に浸かった親父みたいな声が漏れそうになる程の解放感と共に、もわもわっ、と温かい湯気が股間に立ちのぼってくる。

 思ったより、気温が低いらしい。

 

(17℃、まぁ、寒いよね……落ち葉がちょっと流れてる、あ~、一杯出る出る)

 

 地面に吸い込まれないおしっこがちょっとばかり野営地側へ流れているのが気になるが、まぁ、苔が吸い取ってくれるから大丈夫だろう。

 

(……あれ、なんか、いい匂いがするんだけど)

 

 周りを見回して嗅いでみるが、風上からの匂いではない。

 

(………………え?)

 

 どう考えても、匂いは下の方からただよって来ている。

 非常にフルーティな、ジュースというかフレーバーティみたいな、やけに美味しそうな匂い。

 

(いやいやいやいや……糖尿病?電気屋ニ○ル?、いや、でも、おしっこにアリンコたかる位糖が出ても、いい匂いにはならないよね……え、なんで?、転生特典が“おしっこからいい匂いがする程度の能力”なの?いやいや、おかしくない!)

 

 そそくさと下着を上げて焚き火の所へ戻る。

 無心で薪の追加を漁りまわり、焚き火へ追加していく。

 

(……もう、考えるの止めよ)

 

 幾ら何でも、情報量が多すぎる。

 ため息をついて焚き火に細めの丸太をくべまくっておく。

 鞄からエマージェンシーブランケットを出して、かさかさ音を立てるそれにくるまり、兎に角、頭を空っぽにして火の番だけを続けた。

 だんだん体温と焚き火の輻射熱で心地よい温度まで暖まり、いつの間にか少し眠ってしまっていたらしい。

 肌寒さで目を醒ますと、辺りは少し明るくなっており、乳白色の濃い霧が辺りを包んでいた。

 焚き火はすっかり熾火になってしまっている。

 

(12℃、うわ、朝……寒っ)

 

 すっかり硬くなってしまった体を伸ばし、鞄の中に手を突っ込んで昨日のカロリー○イトの残りを探す。

 

(ん、ん???)

 

 鞄の中に、カロリー○イトが“4箱”あった。

 箱は一つ開いている。

 

(ポケットの中のビスケットは1つ、ポケットを殴るとビスケットが増殖、もっと殴ってみたらビスケットは粉微塵、世界は無限増殖するビスケットで埋まる……みたいな、世界崩壊シナリオあった気がする)

 

 鞄から満タンのお茶が入ったペットボトルを出す。

 

(減ってないんですけど……)

 

 今度はミネラルウォーターのペットボトルを出す。

 

(減らない……ね、どこまで増えるんだろ)

 

 ミネラルウォーターのペットボトルを出して並べていると、すぐに1ダース分のペットボトルの山が出来てしまった。

 

「これなら、持ってる物資については困らないかな」

 

 出したペットボトルを鞄に入れてみると、すいすい入ってしまう。

 凄い。

 

「重っ!……持てなくはないけど」

 

 500mmペット1ダース……6kg程度の重量が増えた鞄は普通に重かった。

 重いけど、なんとなく、持ち歩きはできない程ではなさそうな気がする。

 

(重さは変わんないのか……そこまでは便利じゃ無いのかな、最初はぜんぜん重くなかったから、増やしたものについては重さを軽減してくれない?……取りあえず、ペットボトルのゴミを大量に持ち運ぶ羽目になりそうだなぁ、容積無視できるだけで充分おかしいんだけど)

 

 取りあえず、沢山出した水で焚き火を完全に消火した。

 潤沢に水をかけると、問題なく熾火はずぶぬれの炭にジョブチェンジしてゆく。

 

「さて、出発するかなぁ……」

 

 野営地をなるべく綺麗に掃除する。

 ブレザーに生足だと一寸ばかり厳しい気温だけど、体を動かしている内に大分楽になってきた。

 

(体温上がってきた!)

 

 炭は、元から焚き火の跡があったのでそのまま放置。

 乾いてしまえば、次の旅人が有効活用してくれるだろう。

 霧が濃すぎて昨日歩いてきた道まで戻るのに少々手間取ったが、とりあえず道を見つけだし先へ進む。

 一部だけ、何故か不自然に、やけにふっさふさのワサワサに植物が繁茂した野営地を残して……

 

 




 読んで頂きありがとうございます。

 初っぱなから、JK(?)の放尿シーンで始まる小説って……
 まぁ、今後も所々こんな感じなので、本当に申し訳ない。

 ほんと、よろしければですが、評価やブックマーク宜しくお願い致します。
 感想とかあったら、何か反映されていく可能性もあるかとは思います。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。