いっぱい出たね♪ じょろじょろ出ちゃう黄金水 ~ これって、地層処分するしかないんでしょうか? ~ 作:八切武士
チック・ピー一家の首領との会談は何をもたらすのか?
まぁ、もたらすのは八誌緒なんですけど
ドアを押し開いて入って来たのは、デカいエプロンをつけて、これまたドデカい肉切り包丁というか、もう鉈みたいなものを持ったオバハンだった。
(殺人鬼?)
持っているのがチェーンソーでこれで人皮のマスクを被ってたら、もう完璧にレザー○ェイスである。
革製のエプロンは意外ときれいでカビが生えたりもしてないが、染み込んだ脂やどす黒い血液染みでまだら模様ができている。
肉切り鉈は元々の粗雑な仕上げと、銀の部分と落としきれない黒錆の点々とした汚れの使用感が相まって、異様な風格を醸し出していた。
顔は思ったより顔は普通。
外人さんだけど、何となく商店街のおばちゃんみがあるというか、そんな感じ。
若い頃は意外と美人だったかも知れない。
そしてその後に、更に頭一つ大きなおっさんがぬうっと入ってきた。
(部屋狭いんだけど……)
オバチャンはまだ普通の顔だったが、このおっさんは目が逝っている。
長くて脂っぽい、わかめの如きざんばら髪を振り乱し、黄色い乱ぐい歯を剥き出しにしたおっさん。
たまに白目を剥く所が、まるでアメリカンプロレスの埋葬人レスラーばりで非常に怖い。
着てるのは黒ずくめのコートにテンガロンじゃなくて、染みだらけのチュニックとズボンなんだけど。
『お前はあっち行ってな!』
オバチャンはまだ床に転がったままになっていた指シャブ野郎の首根っこを掴むとドアの外へ放り出してしまった。
なんか、結構いい音がしたから、彼はまだ暫く目を醒ます事は無くなっただろう。
ドアがバンと閉められると、おばちゃんは包丁を肩へ担ぎ、おっさんは腕を組んで顎を反らし、こちらの事を上から下までねめつける様に視線を送ってきた。
ついでに言うと、胸と太股でしっかり3秒以上、視線が止まっていた事を報告しておく。
いや、止まったというか、ガン見で舌なめずりしてた。
キモイ所か、明確な身の危険以外びんびんである。
『お前、“流され人”だろう』
(ええ……初手、正体看破されてるんですけど!)
黙っていると、おばちゃんの方がにやり、とこれまた気持ち悪い笑みを浮かべた。
『そんな上等な服着て、高価そうな魔道具まで持って、おまけに全身からそんだけ“力”を垂れ流してる奴なんて“流され人”か、お貴族様とか、“ハロリク”の“すぺしゃる”とかいう連中位のもんさ』
『それにな、“流され人”はなぁ、この“ミソ”ってやつを後生大事に持ってるって決まってるからな!』
(ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!)
目の前に突きつけられたソレを見て、絶叫を心の中だけで食い止めた八誌緒の精神力は讃えられるべきだろう。
袋の中身がイイ感じに潰されて原型が無くなっている“黄金.zip”は、言われてみれば“田舎味噌”に見えない事もない。
が、八誌緒はその中身を知っている。
だって、“生産者”だから。
『顔色が変わってるよ、うぶな“ニホンジン”は分かりやすいねぇ』
勝ち誇った様に、更にブツを持った腕を伸ばすおばちゃん。
まるで推理ショーの名探偵の様の様だが、まさに“こうかはばつぐんだ”。
八誌緒は自分の顔が目に見えてひきつってゆくのを止められずにいた。
勘弁して欲しい。
そりゃ、自分の“う○ち”入りのビニール袋という、これ以上無い“物証”を顔面の前、十センチ内に突きつけられれば顔色の一つ位変わろうというものだ。
『この世界は物騒だ、ここしばらくでおめえも身にしみて分かっただろうが、うぶな”ニホンジン”がうろうろして何日も生き残れるとこじゃねぇ」
ここがかなりヤバいとこだって事はもう十二分に堪能している。
正直自分の”特殊体質”がなければ、そろそろ死んだ数は両手で数えきゃいけなくなるだろう。
ただ同時に、ここにこれ以上滞在したら肉体欠損があっという間に両手両足の指で数えられなくなる事も間違いない。
『だからよ、おまえ次第で、おれらが”安全に”かくまっちゃる』
突然、何を言い出すんだ、このキ○ガイは。
八誌緒の顔は完全に宇宙猫ばりの無表情になっていた。
「こんなとこ、ずっと居るの嫌なんですけど」
特に、こんなおしっこが猛烈にしたくなってる時は。
兎に角、一刻も早く出るか、“出したい”。
つい、イラッとして思った事が口から出てしまったが、ぶち切れられるかも。
(なんか、足がもじもじ、してきちゃってるんですけど……あー、今殴られたりでもしたらまずいなぁ)
多分、衝撃で全部出る。
『いや、ずっと居る必要はねぇ』
「ほへ?」
宇宙猫チャプター2である。
宇宙猫になったJKを見た殺人鬼夫婦は、してやったりといった感じの笑顔で見つめ合い、ハイタッチを交わす。
(見た目最悪だけど、夫婦仲だけは良さそう……ちっとも嬉しくないけど)
『“流され人”ってのは、一カ所にゃいねぇのさ、そうやって閉じ込めといても、いつの間にか、煙みてぇにいなくなっちまってる、なぁ、あんた!』
『おう、そうだぜ、しっかり枷をつけておいたってのにもぬけのからよ、何でも、“つぎのせかい”に行っちまうらしいからな』
(“次の世界”?ここじゃないどこかってこと?異世界に来たと思ったら、もう次の世界の話が出てくるの、急展開がすぎるんだけど!)
しかし、この世界以外へと被害者が行ってしまうのであれば、この野盗(?)達の犯罪を告発する可能性はなくなる訳で確かに結果的に“開放”されてしまってもなんの問題も無い事になる。
誘拐事件で人質が始末される主要原因、それは犯人に繋がる情報を開放された人質が官憲に伝えてしまう危険性によるものだ。
被害者が別世界に自動で“投棄”されるのであれば、被害者自身が死体の始末までやってくれるのと変わらないだろう。
(……と言うか、どう考えても詳し過ぎ!絶対、前“やってる”よねぇ)
色々と滅茶苦茶怪しいが、正直、今は特に出来る事がない。
兎に角譲歩を引き出すしかないだろう。
何をさせる気か知らないが。
大体、いよいよ、下半身の“その時”が迫ってきている。
これ以上、交渉している余裕はない。
「何をすればいいの?」
『“ミソ”とこの“よく効く酒”だ』
おっさんの後ろから、こちらに来てから非常に見覚えのある透明なペットボトルが出てきた。
中身には黄金色の液体がなみなみと満たされており、そこにぶくぶくと浮かぶ泡と、瓶のちょっとした膨らみが、中身が孕んだ危険性を示している。
(なんか、発酵してんだけどー!)
おっさんが蓋を捻ると、ぷしゅーと炭酸飲料みたいな音を立てて、中に溜まった“ガス”が開放され、四畳半になんとも心地よい果実酒の匂いが充満した。
八誌緒は目を閉じ、“発酵三日目モノのおしっこを嬉しそうに呑むおっさん”の映像を視界から閉め出す。
今は流石に、脅威の(JK)尿療法(自分が出したヤツ)は刺激が強すぎる。
『あ゛ぁぁぁ、ぎくぜぇ~』
一口やったおっさんは、大事そうに“JKおし○こ酒”をベルトに下げた小袋に戻す。
『こんな美味くて強烈に効く酒なんて呑んだ事ねぇぜ、酒精がクソつぇえのに、味がまろやか過ぎるわ、倅共が全員潰れちまったのはあたりめぇだぜ』
『取りあえず、“ミソ”と“サケ”をあるだけ全部出しな、もっと貯め込んでるんだろ……持ってきな!』
おばちゃんが声をかけると、ドアが開いて見覚えのある鞄を持った娘が入ってきた。
『この鞄はアンタ以外には開けられないんだろ?“流され人”が持ってる“無限鞄”は大体そうだって話だからね』
「分かったわ、“あるだけ”ね……取りあえず、出すけど?」
『おう、みょうな真似すんじゃねぇぞ』
おっさんが頷くと、ぼさぼさの髪にボロ布をひっかけた娘が八誌緒の手が届く場所へ鞄を置いて引き下がる。
「はいはい」
妙な真似をしてる余裕なんて無いので、鞄を開けてすぽすぽと貯め込んでいた“中身のたっぷり詰まった”ガベッジバッグを出してゆく。
(ああ、結構溜まってたなぁ、どうせそろそろ持つのキツくなってきたから、在庫一掃できるのはいいけど……)
なお“使い道”については考えないものとする。
「で、次は何をすればいいの?」
(早く言え、そして、おし○こをさせて!)
心の声を圧し殺し、しゃがんだ姿勢のまま、靴の踵で股間を押さえるという、陸自さん御用達のおしがま、うんがまの構えで耐えしのぶ。
おばちゃんがガベッジバッグを開けて中身を確認するのを見て、おっさんは満足げに頷く。
『いっぱい出たじゃねぇか、次はもちろん、これを作ってくれりゃあ良い、こんなすげぇ、“調味料”と“サケ”なんて普通に出来るわけがねぇ、“能力”で作ってんだろ?』
(ああ、ああ、ソウダヨ!ソウダヨ!もう、アンタの目の前で、今の今、新しいのがじょろじょろ生産されそうだけどね!……ああ、もう、冷静に、冷静に!)
「ちゃんと面倒はみてくれるんでしょうね?」
『おお、ちゃんと“納品”してくれりゃあなぁ』
『“サンショクヒルネツキ”さなぁ、アンタ』
『流石にこの“鞄”はここには置いておけねぇがな』
(気持ち悪い、もう、出そう……止めろその笑い)
にやにや笑う殺人夫婦に、苛つきながら兎に角必要なものを考える。
「ええ、じゃあ、必要なものは……」
ポンチョ、エマージェンシーブランケット、ゴミ袋を数枚、トイレットペーパー一袋、ポケットティッシュ沢山、携帯バッテリーと充電ケーブル、ペットボトル3種とカ○リーメイト、エナジーバーを各半ダース……そして、ガベッジバッグ半ダース。
「あと、腰のホルダーに入れてた四角い板を返して欲しいんだけど?」
『武器じゃないだろうね?』
「武器じゃないわよ、暇つぶしの道具……?そんなもん、幾ら何でもヒマ過ぎるでしょ」
嘘は言ってない。
『チッ、仕方ねぇな』
おっさんが腰袋からスマホを取り出して投げてきた。
(あぶなっ、急な動作させるな!漏れるわ!)
スマホを受け取り、鞄を返す。
時計も返して欲しかったが、スマホがあれば用は足りるので欲張らない方が良さそうだ。
「じゃあ、契約成立ね、私はえーと、“味噌”と“酒の素”を毎日生産して渡す、そちらは私を“匿って”面倒を見る」
『良い取引が出来て嬉しいぜ』
『約束破ったら、すぐに“肉”にしてやるからね!、アンタの肉が食いたいって、倅共がうるさいんだから』
満足げなおっさんと、凄むおばちゃんにおざなりに頷いて、八誌緒はドアを指さす。
「じゃあ、早速“酒の素作成の儀”を行うので鞄持って出てって、外居てもいいけど、集中しないと出来に影響するから、やってるとこは見せられないから!」
色々な意味で。
見られたその時、多分、八誌緒肉が連中の食卓に並ぶに違いない。
(あー、もういい、おし○こさせろ!放○させろ!)
頑固杜氏ばりの態度で野盗を追い出した八誌緒が納品物を生産開始するまで、あと一分。
To Be Countinued...
そう言えば、このアカがとうとうリアル知人にバレた模様。
よりによって、この話の連載中にバレる辺りが……
あと、昔キャラクターの絵を描いて頂いていた方から、八誌緒の絵をこちらで個人保存してたらこちらで公開して良いと言って下さったんですが……確認したら、八誌緒の絵描いて貰った事無かったヨ!
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