いっぱい出たね♪ じょろじょろ出ちゃう黄金水 ~ これって、地層処分するしかないんでしょうか? ~   作:八切武士

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「さて、ここで情報を整理しよう」

復活のK(要介護)から事情聴取するおまわりさんズ。

「俺は悪くねぇ!」

と叫んでも、責任を取らされるのは下っ端なのは世の常なり。
可哀想なマッカラン卿。
名前はストレートでおいしくいただけそうなのにね。




【第1部 第15流 ~ 下っ端はつらいよ 騎士爵とおまわりさん~】

 

 

~ 時間はしばらく巻き戻り……ギルステイン村 女神アナンの神殿~

 

 

「俺の憶えてるとこはそんなもんです」

「そうか……」

 

 ライアン卿は髭を扱きながら、ちらりと隣でメモを取っていたトムへ目をやり、頷きが帰ってくるのを確認する。

 

「参考になった、“戻りたて”なのにつき合って貰って悪かったな、取りあえずゆっくり休んでくれ……おい、部屋まで手を貸してやれ」

「いや、一人で」

「いやいや、“戻りたて”は人によるが、魂がしっかり定着しなおすまで、体からふわふわした感覚が抜けないからな、いつも通りに歩こうとしてすっころび、テーブルの角に頭を打ち付けた奴を俺は知っているぞ、いや、あれはすぐにもう一度“戻す”羽目になって大変だった、分かったらおとなしく運ばれときんしゃい」

 

 介助の申し出を微妙な顔をして断ろうとしたカイルをトムはペンをふりふり止め、控えていた盾兵にカイルを神殿の宿坊へ運ばせた。

 復活したてのカイルは、心身が弱っている所を妙な存在につけ込まれないよう、神域でしばし保護されているのだ。

 当然、その分の負担は喜捨で賄われる。

 

「しかし、お嬢さんと彼の供述は一致しているな、不自然な所はない」

「そうだな、“見たままの感想”を話しているな、特に何か隠している様子はなかった、そんな理由はないというか、そんな理由ができる暇も無かったというべきか」

 

 目撃者二人から別々に聴取して、内容を照らし合わせる。

 ごくごく一般的な初期捜査手法で判明したのは、“サカクラヤシオ”と名乗った、“流され人”の短い足取りと、外見、一部の能力だった。

 ライアン卿は、トムが箇条書きにした“流され人”についての情報をのぞき込む。

 

~ トムの“霧林街道”インシデント聴取メモ ~

 

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聴取担当者;“主要街道取締方”ライアン卿、トーマス

聴取対象;“ギルステイン”の“漁師”カイル、“ハーブ屋”ミルドレッド

 

【名前を教えてくれるかな?】

・「ヤシオ」と名乗った、本名どうかは不明。

 ⇒「ヤシオ」、ファーストネームなのか、ファミリーネームなのか、“流され人”なら大体どっちも持ってる事が多いが、“ニホンジン”の名前は響きからじゃ分からんな。

 

【年齢は幾つくらいだったかな?】

・幾分幼いが、整った顔立ち……成人している様には見えない。

 ⇒“ニホンジン”の年齢は妖精族並に見極めが難しい為、断定は危険だな。

 

【どこからきたのかな?】

・そう言えばはっきりとは言ってなかったが、“流され人”と言われても否定はしていなかった。

 ⇒用心したのか素性を隠したかったのか、割と慎重な性格かもしれない。

・ミスティフォレストを数日彷徨った上、狼に襲われ、更に霧熊に追われて滝から落下、川を流された。

 ⇒いやいや、訓練された兵士でも何回死んでるか分からんぞ、本当なら間違い無く“流され人”だろ。

  発見場所からすると、確実に何マイルかは土左衛門状態で流されてるしな。

 

【顔とか体とかで気になったことはあったかな?】

・背は高くなかったが、とても……“女性的な”体つきをしていた。

 ⇒“ニホンジン”にしては珍しい、二人共口を揃えて言う辺り凄そうだ。

・髪の毛、瞳の色はまっ黒、肌は真っ白という程ではないがとにかく滑らかでしみ一つなかった。

 ⇒“流され人”じゃなければ、上級貴族の令嬢だな。

・手指は綺麗で、手荒れ、たこは一切無かった。

 ⇒これも、“か弱いお嬢さん”の特徴だが……

・全て清潔で健康そうであり、近くにいると芳香さえ漂っていた。

 ⇒野外を彷徨ったとは思えない、“流された”直後だったのか?

 

【どんな格好してたのかな?】

・“ぶれざー”と見られる衣服一式を着用。

 ⇒スカートの丈は膝丈らしい、短すぎだろ。

・顔に、輪が二つ繋がった、硝子の板がついた装飾品を着用。

 ⇒たぶん眼鏡だろう、文官がよくかけてるやつ。

・とても丁寧な作りの、不思議な布でできた背負い鞄。

 ⇒特殊な道具の可能性高し。

・左腕に四角い箱がついたブレスレット。

 ⇒これも多分何かの道具だろう。

・腰のベルトに、何か手のひらサイズの板が入ったホルダー、丈夫そうな紐が中身に繋がっていた。

 ⇒“流され人”がよく持ってる道具、多分“スマホ”とかいうやつだろう。

・持ち物がどれも“おろしたての様に”綺麗だった

 ⇒これも、しばらく彷徨っていたという証言からは不自然。

 

【他に何か気がついたことあるかな?】

・所持している背負い鞄から、異世界のものと思われる焼き菓子と棒状の菓子、複数種類の飲料を提供。

 それらを“大量に”所持していると示唆し、商取引しようと提案。

 ⇒女性が背負えるサイズの鞄で“大量”に所持という事は、みた目通りの容量でないか、どこかからの取り寄せ能力が付与されている可能性あり。

・野盗に立ち向かった際、急に姿と言動が変わった。

 ⇒背格好は変わっていなかったらしい(印象)。

 ⇒“ぶれざー”とは違う服、“メイド服”になったらしい。

  なんで“ニホンジン”は女中の服が格別に好きなんだ……まぁ、ここでも人気はあるが。

・野盗と戦った時、何本も矢で射貫かれ、刃物で突き刺され、斧を胸に深々と受けても意に介さず、その都度野盗へ反撃して屠っていた。

 ⇒別に傷を受けなかった訳では無く、血まみれになりながららしい。(何それコワイ……)

・最後は数に圧し負け、“肉と臓物をむさぼり食われていたが”網を掛けられて連れ去られた。

 →飛び散った血肉が落ちた所から草木が芽吹き、虫が湧いた。(だからコワイよ!)

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「……まぁ、現場を見た時からそうは思ってはいたが、間違いないだろうな」

「ああ、この無茶苦茶さは“流され人”か、“渡り人”か、どっちかだろうね」

 

 肩を竦めてペン先を拭っているトムを見ながら、ライアン卿は慎重に考え込む。

 

「外れたとしても、神の眷属か、魔物の類か……いずれにしても放置はできん」

「そりゃそうだ、“流され人”の件は抜きにしても“人喰い”の野盗なんて放っておけないよ、知性のある肉食獣なんてぞっとしないね」

 

 大げさに体を震えさせてみせる相棒に憮然とした表情を返し、ライアン卿は立ち上がる。

 

「色々気が重いな……そろそろ、お待たせしている代官殿も焦れておられる頃だろう」

「ああ、“調査本部”は代官殿の屋敷を間借りする事になるしな、仲良くしておいた方が居心地はいいよな」

 ギルステイン村の代官屋敷は平屋だがかなり広く、離れの別棟まであった。

 飾り気は無いが、造りはしっかりしていてこの規模の村にしては大分立派な建物だ。

 母屋もそうだが、別棟にライアン卿の部隊総員十三人全員が宿泊してもお釣りがくる程広い。

 これは、ギルステイン村がミスティ・ウッズに程近く、貴族がお供を引き連れて、狩猟をする為に逗留する事があるかららしい。

 

「庭で天幕を寄せ集めた野外陣地を作る必要は無さそうだな、結構、結構」

 

 トムの言葉を聞き流し、ライアン卿は母屋を強めにノックする。

 

「“主要街道取締方”ライアン、アルストラン騎士爵に目通り願いたい」

 

 世襲貴族でも無い代官で、騎士爵相手は普通そこまでしきたりに乗っ取って迂遠なやりとりは不要だ。

 そもそも、“主要街道取締方”であるライアン卿は、職務に必要と判断した場合、先触れ無しの訪問と目通りの要求、上位貴族への直答が許されている。

 とは言え、職権の濫用は後々痛い目を見るのが常であるし、普通は慣例を守った方が物事はスムーズに進むものだ。

 関係者への事情聴取後に、情報の連携と協力体制の相談の為立ち寄らせて貰う旨、隊員を使いに出して先触れを行っている。

 問題無く二人は召使いに応接間に通され、アルストラン騎士爵と面会する事ができた。

 

「人食い野盗……よもや、それがしがお預かりしておる領地に、そんな魔物じみた野盗が潜伏しておったとは、しかも、“流され人”が行方不明……なんと」

 

 詳細を伝えられたアルストラン騎士爵……マッコイ=マッカラン卿の顔が見る見る内に青くなってゆく。

 辛うじて頭を抱えるのを堪え、震える手で薬草茶を啜るのをトムはちょっと気の毒そうに見守る。

 

「かなり狡猾な連中の様です、“精気術”を用いて土中を移動している様なので、今まで見つからなかったのであれば、恐らく土中に隠れ家があるのでしょう、今回“流され人”の件が無ければ、他の野盗共に紛れて存在は発覚しなかったかと」

「そうだね、“土いじり”が得意な“精気術”の使い手が何人居るか分からないけど、充分な数が居れば、“地下要塞”だって作れる……そんなとこに好き好んで住みたかないけど」

 

 一瞬、本当に白目を剥いたマッカラン卿を見て、ライアンは相棒の脇腹へ肘鉄を食らわせた。

 自分の領地で“人食い野盗”に“生死不明の流され人”の案件が発生しただけでもう胃に穴が半ダースは開いているだろう寒村の代官に、“人食い野盗で一杯の地下要塞”なんて刺激が強すぎる。

 まだ初老と言うには早いが、もう中年に入っていると思われるマッカラン卿の頭髪には大分白いものが混じり、また、生え際は撤退戦を繰り広げている所だ。

 体も、それなりに鍛えられたものなのだが、年齢には逆らえない緩みが主に腹の辺りに出てきている。

 あまり激しい興奮は体に毒になるお年頃であった。

 

「あー、我々もおりますし、既に“放浪者協会”も事情を知る所です、“流され人”が関わっているとなれば、ハリソン子爵殿も、ケネディ伯爵殿も迅速にご助力頂けるでしょう」

 

 ハリソン子爵は“ギルステイン村”が所属する“ハリソン郡”の領主。

 ケネディ伯爵はハリソン郡が所属する、“ケネディ郡”の領主。

 まぁ単純に言えば、“アルストラン騎士爵<ハリソン子爵<ケネディ伯爵”の順に上司と部下の関係となる。

 

「そ、そうですな……早速、使者を立てて、ハリソン子爵殿へ報告をせねば」

 

 慌てて中腰になったマッカラン卿に合わせてライアン卿は立ち上がり、一礼する。

 

「それがよいです、私達は、離れをお借りして捜査本部を設置させていただこうと思います」

「ああ、必要なだけ使って下され、引き続き捜査を宜しくお頼み申す」

 

 薬草茶を飲み干してから立ち上がったトムを二人で再度一礼してから、ライアン卿は応接室をお暇した。

 

「いや、まともな御仁で助かるな」

「あれだけ煽っておいてよく言う、あれでは、我等の事等構っていられんだろう」

「まぁ、“流され人”を保護できなかったら、中央からの厳しい監査は免れんだろうからなぁ、戦々恐々だろうさ……まぁ、協力を渋られるよりマシだろう、大体俺は嘘は言っていないぞ」

 

 人の良さそうな微笑を浮かべたまま、他人事みたいな事を言い出すトムとは逆に、ライアン卿は苦虫を噛みつぶした様な渋面になる。

 

「おまえなぁ、他人事みたいに言ってるが、“流され人”についてはこちらも変わらんぞ、しかも“間に合ったかも知れない”というオマケ付だ」

 

 胃の辺りを押さえる相棒の背を、ポンと叩き、トムは肩を竦める。

 

「まぁ、そりゃなる様にしかならんさ、“彼女”の無事を祈ろう……取りあえずは、“げんばひゃっぺん”に出した、アイラとジョンが何か新しい手がかりを持って帰ってこれば良いんだが」

 

To Be Countinued...

 





見事におっさんしか出てこねぇ……

やっぱり、そろそろ皆さん、女の子の排泄物かとか見たいんですかね?

見捨てないで頂けると幸いです。

また、八誌緒さんが色々やらかすと思うので。

それはそうと、一応、地名、人名とか設定が載ったものどっかに置いた方がいいのかな?
要望があれば、どっかに載せますかね。
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