いっぱい出たね♪ じょろじょろ出ちゃう黄金水 ~ これって、地層処分するしかないんでしょうか? ~ 作:八切武士
「出来ちゃった」(はぁと)
になるのは生命の摂理。
それはそうと、最後に“いい思い(?)”をしたおっさん達に、最期の刻が迫っていた……
~ チック・ピー一家の洞窟 キッチン ニン・チックピー ~
「そこ、しっかり磨きな!塵一つ残すんじゃないよ!」
チックピー一家のゴッドマザー、ニン・チックピーには、肉の調理について一家言ある。
それは……
“きたねぇとこじゃ料理はできない”
である。
それに関しては、夫のマイクにも文句は言わせた事はない。
何しろ、実家の肉屋で彼女の串焼きにぞっこん惚れ込んだあげく、即日ふんじばって浚ってきたのはあちらの方なのだ。
昔とっつかまえた“流され者”から、あれこれ聞き出した“えーせーがく”とかいう話は実に役に立った。
「肉とそのほかのたべものは別のまな板をつかう、きれいな水を使う、ふきんはゆでて消毒する、強い酒でふくと消毒できる、手は指先、爪の間から手首の上まで、あれば石鹸でしっかり洗って強い酒で消毒する、食べ物は冷やしておくと長持ちする、肉はにおいのつく木の煙で燻すと美味いし長持ち、のーみそとせぼねはうまいけど、なんじゅうねんごにあうあうあーなびょーきになるかのうせいがある」
せっせとキッチンを掃除する“娘”と“倅”達の仕事ぶりをチェックしながら、手垢の付いた大学ノートをめくり、“えーせーがく”を復習する。
実家の為にせかせか働くのはイヤでたまらなかったが、自分たちで喰う為にあれこれするのは楽しいし、“びしょく”を追求するのは面白い。
「男は筋張っててかたいけど、煮込みとかソーセージでもすりゃいい、挽き肉にしちまえば一緒だしね、女は煮ても焼いても美味いけど、化粧してる奴は洗わないと最悪だねぇ……やっぱりころころ太ったガキが美味いけど、捕まえたばっかりのガキなんて大体骨と皮しかないよ」
ウサギや鳥、野豚や鹿にも美味いが、やはり人間には独特の“うまみ”がある。
口に入るならどの肉でもむさぼり食う違いの分からない“倅”どもでも、柔らかい人間の女を見れば肉の味を想像して涎を垂らす位には“ごちそう”なのだ。
「かーちゃん、おわったー!」
「よし、じゃあ、今日はこの間捕まえてきた連中をさばくよ、丁度“仕込んで”4、5日の奴が居たね」
周りを見回すと、“倅”の一人が跳びはねながら手をあげる。
「暴れるんじゃないよ、ほこりが立つだろ!」
ちょっと遠かったので、手近な“娘”から箒をひったくって頭をぶったたく。
「ぎぇあ!、うう……あいつら、うんこ、ちょっとだけしかでない、しょんべん臭わなくなった」
頭をおさえながら言う“倅”に、ニンは満足げに頷く。
捌く前の“肉”には食い物はやらず、水だけ飲ませて“クソ抜き”をする。
何日かすると、クソが殆ど出なくなって小便もあんまり臭わない綺麗なのが出る様になり、そうした方が、臭みのない“いいにく”になるのだ。
そして、今回の“肉”共には更に一工夫として、飲み水に、あの“流され者”の“酒”をほんの少量混ぜた水を与えている。
あの“酒”にご執心なマイクが知ったら不機嫌になりそうだが“びしょくのたんきゅう”には代えられない。
「さぁて、どんなうまい“肉”に仕上がってるだろうねぇ、楽しみだよ」
~ チック・ピー一家の洞窟 屠殺部屋 ~
ニンが“屠殺部屋”のドアを開けると、既に“肉”が二人運び込まれていた。
“屠殺部屋”はチック・ピー一家の所有する施設の中でもかなりの技術が投入された逸品だ。
床は滑らかで程よく傾斜が付けられ、地下水から引かれた水が高い位置に設けられたタンクに常に溜まっており、豊富な流水で簡単に床を綺麗な状態にしておけるし、部屋の低くなっている方の壁際にはフック付の滑車が備え付けられ、“肉”を吊り下げてさばく事が可能だ。
そして、部屋の中央には大型のテーブルがあり、“枝肉”や“モツ”に加工した後の下処理を行える様にしてある。
スカーフで髪をしっかり覆い、口と鼻もしっかりとマスクで覆ったニンは、テーブルに歩み寄り、指で表面を擦り、大きく頷く。
『ちゃんと掃除してあるね』
猿ぐつわをかけられて足首を縛られ、ついでに後ろ手に手首を拘束された全裸のおっさん達が床の上でびちびち跳ねてるのを少し眺め、適当に片方を指さす。
『こっちの“肉”からいくよ』
『ぶももも、がめ、あ゛めめめ!』
『にくー、にくー!』
『どばー、どばー!』
ニンに倣って、スカーフとマスクをした“倅”と“娘”達が、暴れる“肉”の足を拘束したロープにフックをかけ、滑車で引きずり上げる。
瞬く間に宙ぶらりんになったおっさんは、涙目で体を揺すぶって抵抗を試みるが、がっちりしまったロープに全体重がかかったフックがしっかりかかっている為、体を僅かに揺らす程度でしかない。
むしろ縛られていないちんこの方がぶらんぶらん揺れている程だ。
“倅”と“娘”達は逆さ吊りのおっさんに左右から首縄をかけ、左右からぐい、と引っ張って固定する。
『おさえときな、やるよ』
それでもまだ暴れるおっさんの悲しい抵抗を一顧だにせず、ニンは壁掛けにかけられた凶器……ウォーピックを手に取った。
所謂、片方が尖った嘴状になっているでかいトンカチである。
日常的な道具に例えるなら、釘抜きハンマーを思い浮かべるといいかも知れない、釘抜き側をもっと鋭利にした感じだ。
一層激しく暴れ、船揚げされた鮪みたいになるおっさんに、床の上で目を見開いたまましめやかに失禁するおっさん。
『そこぉ!』
地獄絵図の中、腰を落としてピックを構え、力を貯め続けるニンは、おっさんの揺れを見定めて一気に横薙ぎの一撃を加える。
うなりを立てて半円を描いたピックはものの見事におっさんの側頭部を捕らえ、二十センチ少々はある鋭利なピック部分を根元まで貫通させ、見事一撃で脳を破壊した。
両手持ちで力強くこじってピックを引き抜くと、びくん、びくんと痙攣するだけになったおっさんから“倅”と“娘”が首縄を外し、下にバケツを置くと、手際よく頸動脈を切断、放血作業を開始する。
ちゃんと、髪の毛を掴んで首をねじ曲げ、血が髪の毛についたりしない様に気を付けてバケツに貯めてゆく。
バケツが満タンになりそうになる所で手際よく“娘”がバケツを入替え、充分に血が抜けた所で次の工程へ移る。
今度は大きなタライを下へ置き、よく切れるナイフで“肉”の肛門周りから切っていき、引っこ抜いた肛門を紐でしっかり縛り中身が飛び出ない様にしてから、モツを傷つけない様に下腹部から上腹部へ切り込み、胸骨は肉厚のナイフで手際よく叩き割って肋骨を押し広げ、大動静脈を切り、こぶし大の心臓を取り出してざっくりと切り分けて、綺麗な水に浸す。
さっき縛っておいた肛門を引っ張り落として、やさしく腸や膀胱などを中身をぶちまけない様に、くっついた膜を切りながらタライの中へ納めてゆく。
ついでにその他の諸々の内臓もその後を追わせてやると、中身が空っぽになった“肉”のできあがりだ。
モツの洗浄と腑分けは“娘”と“倅”にまかせ、ニンは鼻歌を歌いながら鋭利な皮剥ナイフを手に取る。
“肉”から綺麗に皮を剥がすのは肉屋の腕の魅せどころ。
ニンが結構好きな作業である。
鼻歌の流れる中、次の“肉”はひっそりと最期の失禁をするのだった。
~ チック・ピー一家の洞窟 八誌緒の部屋 ~
「ちょっと、静かになったかな……」
どうやら“食用”のおっさん達は何人か連れて行かれたらしく、声は少し減っていた。
そんな風に感じるのは人としてどうかという所はあるが、正直、私刑にされる重犯罪者の末路を気遣えるほど楽観的な状況でも無い。
一応、今の所、おっさん達の在庫が切れても、すぐに“食用JK”にジョブチェンジさせられる事は無い筈だが、それも、いつまでもつものか。
(“モツ”だけに……はぁ、おっさんか!)
兎に角、次は自力脱出の手段を何か考え、手に入れる必要がある。
『ふぅ……』
『いや、あんたはちょっとおとなしくしといた方がいいんじゃないの?』
“黄金pet”と“黄金.zip”が一杯に入った籠を抱えた赤目の“娘”は冗談みたいにぽっこりふくれたお腹の上に籠を載せている。
幾ら何でも臨月ぽんぽこりんの上に籠載せは、絵面が怖すぎる。
『じっとしてるのおもしろくない』
『臨月なのに元気だなぁ、いや、“臨日”?』
何故かけらけら笑う“娘”といつも通りに適当な雑談をしてから、思い出した様に付け加える。
『そう言えば、なんか、“倅”で葉っぱとか木の色が混じった変わった服着てるのが何人か居たけど、アレってここで作ったの』
街道で襲撃された時、襲撃者の何人かが来ていた迷彩服、なんとなく見覚えがあると思ってスマホのライブラリで検索していたのだが、恐らくは自衛隊の迷彩服2型か3型っぽい。
カクカクガジガジで角張ったピクセルのデジタル迷彩とは違う、むらのあるぽつぽつで構成されたフレックターンが特徴的な迷彩。
(“アレ”があるなら“ソレ”も一緒に来てる筈)
『アレ、前に来た“流され者”着てたやつ、二人来た、ムキムキ、ふたりともちんこでかい、ぜんぶはいんなかった!はんぶんとちょっと、このへんまで』
(その手はヤメロ!……まぁ、当たりか、最後の情報は要らんかったけど!)
平静を装いながら、次の質問を準備する。
『へぇ、その人達もなんか珍しいものもってたの?』
『なんか、棒とかナイフ持ってた、すでなのにつよかった』
『へぇ』
“棒”、間違い無く自動小銃だろう。
しかし、それが武器だという話が出ない当たり、発砲はしなかったのか。
武装組織とは言え、自衛隊というのは世界的に非常に特殊な部類に入る。
米兵なら間違い無く、野盗なんぞ蜂の巣にしているだろう“状況”でも極力発砲は避けたのに違いない。
異世界に“流された”という認識が半信半疑のタイミングであれば尚更だ。
専守防衛を堅持する組織の悲しさ、個人的に近接戦を得意としていても、素手では数的不利は覆せない。
相手が中世レベルの貧弱な武装でもそれは困難だ。
『結局捕まっちゃったんだね』
『かこんでたたいてみぐるみはいだ、にくにしようかと思ったけど、とーちゃんが“流され者”だって言ったから、なんか“とくべつ”ないかしらべるのにしばらくしまってた、ついでにみんなで“乗った”!気持ちよかった』
『オゥ、シット……はいはい、でなんか“特別”ってあったの?』
相変わらず明後日に逸れる話を引きずり戻す。
『なんかいろいろ、どうぐもってたけど、こわれてたみたい、なおさせようとしたけど、だめだったからおたからおきばにおいてある、かーちゃんは、なんか、えーせーがく、とかいうのきいてすごくごきげん』
(多分、撃針辺り外したのかな……兎に角、“おたからべや”ね)
スマホに何故か入っていた64式、89式小銃の整備マニュアル見た感じだと、“やれそう”な気がする。
(部品があればだけど)
ちなみに、他にも米軍のM4とか、M14とかSCARとか色々入ってて、分解して戻したり射撃して内部構造見たりできる、ちょっとしたパズルシミュレーションみたいな機能があって面白かった。
思わず暇つぶしにやりこんでしまった程だ。
(なんとか、“おたからべや”に入る算段つけないとねぇ)
『あ、そろそろいかないと』
『あ、そっか、うん、またねぇ……って、お漏らし?』
すっかり座り込んで話していた娘が腰を持ち上げると、股間から床の上にぱしゃりと水が溢れた。
『あ、うまれそう』
『あ゛ー!マジか!』
軽い調子で言った割には“娘”は顔を歪ませて蹲ってしまっている。
『おーい、“倅”ぇ!“娘”でもいいけど、誰かー、はよこーい!』
絶叫すると、わらわらとやってきた“倅”が跳びはね、“娘”がそれを蹴っ飛ばす。
『騒ぐな!はよ、お湯!お湯と綺麗な布、敷くもの持ってこい!ヘイ!コンシェルジュ!お産ガイド!』
《はい、出産サポートガイドを開始致します、まず、確認の為、本体のカメラを患者へ向けてセットして下さい》
スマホを角度調整して置くと、本体から走査線の様なものが出て、“娘”を撫でて消える。
《警告、既に破水が始まっています、警告、母胎が未成熟です、胎児は充分育っています、警告、胎児が逆子……複殿位状態です、結論、速やかに産科医による対処が必要、残りの診断結果はスキップ》
『え、そこまでやれるの、スゴイ!じゃなくて、医者なんて居ないんだけど!』
《医療従事者が存在しない、緊急避難対処モードへシフト……指示に従い、落ち着いて対処を実行して下さい》
『あー、やるしかないよねぇ』
~ しばし後 ~
《いきんでください》
『そーれ、ひっひっふー!息してー!』
マジで、逆子は出てこない。
股の穴から、足先も出てこない。
これは、ヤヴァイ。
ていうか、“娘”の目が虚ろになって、呼吸も浅くなってきている。
出血がかなり多い。
《患者のバイタルが危険域です……通常の分娩は困難、直ちに輸血及び、帝王切開の実施を強く推奨します》
『マジかぁ……切るのは“得意”な気はするけど、何か、何か役に立つもの!』
“倅”に持ってこさせた自前の鞄の中をごそごそと探る。
“黄金PET”の中身を飲ませればなんとかなる気もするが、何か、“別の手段”があった気がするのだ。
『ん?』
何か冷たいものが指先に当たった。
掴んで出して見ると、ソレは長方形のスチールの箱だ。
開ければ、中にはガラスの注射器セットが入っている。
注射器と言えば使い捨ての世の中では、随分とアンティークな代物だ。
注射器のシリンジを取り出し、注射針をセット。
腕に雑にぶっさしてプランジャーを引くと、太い血管に刺した訳でも無いのにいとも簡単に血がどばどばとシリンジの内部へ溜まってゆく。
逆さまにしてプランジャーを軽く押し込んで空気を抜いてから、“娘”の首に針をぶっ刺して抜きたてほやほやの血を注入。
『あ、白目剥いた、やば、キツすぎた?』
蒼白くなってきていた顔に急に朱がさしたのはいいのだが、白目を剥いて痙攣を始めてしまった。
『まぁ、死にはしないと思う……多分、えーと、刃物!切れ味良くて小さいやつ!早く!』
~ 更にしばらく経過…… ~
『えーと、これが子宮?うわぁ、ぱんぱんだなぁ……ぷすっとな、どおおおおっ!なんか、なんかいっぱいでてきたぁ!』
『やば、なんか関係ないモツがドバーッと出て来てんだけど?あー、とりあえず詰め込んでもどしきゃいいかします……注射、注射っと、おお、すごい、ぐんぐん戻るわ、どっかの手術シミュレータか!』
~ 更に、更にしばらく経過…… ~
『はぁ……疲れた、精神的に……』
大の字になって顔を横に向けると、すやっすやな子供を抱いてごろ寝している“娘”がニイッと微笑みかけてきた。
多分手術するまえより肌が綺麗になってるだろう、たっぷり“お注射”したし。
しっかし、産まれた女の子、母親と同じ赤い目をしている。
多分、美人に育つのだろう。
『こども産むとき“娘”割と死ぬ……生き残れた、おまえのおかげ』
ぽつりと呟いた“娘”に手だけ挙げて答える。
『まぁ、そだね……て、とっとと帰れ、体に悪いわ!ここ』
言うだけ言って持ち上げた首をごとりと落として目を閉じる。
なんか、もう、ちょっと一寝入りしたい八誌緒だった。
チート使おうが、やっぱりお産は大変だ。
To Be Countinued...
※その昔、八誌緒ちゃんが異世界にくる前の姿を、神凪いくみ様に投稿頂きました。
→ありがとうございます<(_ _)>
https://x.com/knng193/status/1796551468285296758
実は八誌緒のキャラ自体はかなり昔から存在していたりします……この間確認したら、彼女が登場していた小説を公開していた自サイトが消滅していたので、今は読めませんが。