いっぱい出たね♪ じょろじょろ出ちゃう黄金水 ~ これって、地層処分するしかないんでしょうか? ~   作:八切武士

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ようやくねんがんの“おたからべや”へきたぞ!

 “家族”となった八誌緒におたからべやの出入りを解禁したマイク。
 以前滞在していた“流され人”の遺留品を扱わせようとするが“きびしいげんじつ”を突きつけられる。
 そして、意外な“娘”からの提案から、“居なくなってしまった人たち”の事実が判明するのであった。



【第1部 第21流 ~ 異界流浪 防人哀恋歌 ~】

 

~ チック・ピー一家のアジト 酒倉八誌緒~

 

 

『どうだ?使えそうか』

『ん~、どうかな……』

 

 八誌緒は、木箱の中に油紙に包んで安置されていた長物を手に取り、しげしげと観察する。

 

『ハチキュウちゃんかぁ……やっぱ、あの戦闘服“陸さん”のでしたかねぇ』

 

 89式5.56mm小銃。

 1989年に日本国自衛隊が正式採用し、長らく働いてくれたロクヨンちゃんに変わって主力小銃となった代物だ。

 まぁ、それも更に新型のニイマルちゃんに後を譲っているのだけれども。

 

 見たところ、金属部分に錆一つなく、樹脂部にも使用感はあるものの割れもなく、ついでに要所要所に黒いビニールテープがしっかりと巻き付けられている。

 

『ああ、これこれ……やっぱりビニテ巻きだよねぇ、アンゼン位置よし、薬室装填なし……』

 

 薬莢一つ、ネジ一つたりとも紛失が許容されぬ自衛隊では、部品脱落防止の為、ビニールテープを愛銃のあちこちにまきまきするのである。

 巻く箇所もちゃんとマニュアル化されているらしい。

 

『三丁……三人かぁ……STANAGの30連マガジン21個、全部弾抜いてある、バラ弾沢山、銃剣、ん?なんで、M9あんの?米軍?セーフティはかかってるか……』

 

 八誌緒は箱の底の方から出てきた特徴的なデザインの銃のマガジンキャッチを押し込み、マガジンを抜き出す。

 既に正式拳銃の座は譲っているものの、未だに人気高いイタリアベレッタ社製の傑作拳銃。

 日本人には、ベレッタM92fsモデルの名前が有名だろうか。

 

『こっちはフル装填されてる……あ、ちゃんバーにも装填されてる、怖っ!抜いとこ』

 

 9×19mm弾が15発ぎっしりと詰まったマガジンを置きながら、スライドを少し引いて薬室を覗き込んだ八誌緒は、中に弾薬が装填されてるのを見て眉をしかめ、そのままスライドを引ききって弾薬を排出する。

 

『ん、じゃまぁ……点検しますか』

 

 “おたからべや”の壁際に置かれた箱の上にどっかり腰を降ろして興味深げにじろじろ見てくるマイクと、そこまで注視してくる訳でもないが、相変わらず部屋以外に居るとよくついてくる紅い眼の“娘”を意識の外に追い出して、携帯電話を取り出す。

 

『へい、コンシェルジュ、ハチキュウちゃんのフィールドストリップマニュアル出して』

 

 雑な命令を聞き受けた携帯はスキャン光を出して89式小銃を走査すると、ホログラムを空中へ投影する。

 

『豊和工業株式会社 89式5.56mm小銃の分解手順のご案内を開始致します』

 

 何となく、“流れに身を任せれば”ガイドなしで簡易分解整備位は出来てしまいそうな感覚はあったのだが、これから命を預ける事になるかも知れない装備にそんな適当な事はヤらない方がいいだろう。

 

『こんなもんかな……“仕掛け”は無し、か……ま、撃てるんじゃないの?』

 

 取りあえず一丁分の点検整備を終わらせたが、特に異常はない。

 装備を剥がされてから、バラす機会が無かったのだろう。

 バラす機会があったら、多分、撃芯を抜く位の事はしていただろうから。

 

『そいつぁいい!』

『まぁ、この世界でこれを武器として頼りにするのはお勧めはしないけど』

『なんでだよ?』

 

 うれしそうな顔から、不機嫌な仏頂面へ一瞬で変わるマイクへ、八誌緒は5.56mm弾を一発摘まんで放り投げる。

 

『こりゃなんだ?』

 

 尖った円錐、と言うにはちょっと曲線が強めの弾頭に、その尻がはまり込んでいる首の部分がきゅっと絞られた“ボトルネック”とよばれる形の薬莢。

 ごく普通のライフル弾である。

 八誌緒にとっては。

 

『この“銃”っていう武器は、乱暴に言っちゃえば、ソレをここに入れて、この“引き金”を引けば人が殺せる武器』

『なんか、すげぇじゃねぇか』

 

 マイクは少し感心した様にニヤリと笑う。

 

『実際“ヤバい”んだけど……割と気難しいのよ、こいつら』

『は?機嫌をとらないとそいつがへそ曲げるってか?』

 

 “酒”をぐっと呷ってがははと笑うマイクに、八誌緒は肩を竦めて、次のハチキュウをばらし始める。

 

『単に筒先を相手に向けて引き金を引く、それだけなら子供でもできるけど、飛び出た弾を当てるのは普通に訓練がいるわよ、弓と一緒、弓が引けるのと矢が当てられるのとは天と地ほど差がある、でしょ、ついでに、訓練には弾を使うから、そこにあるの全部使ってもぜんぜん足りないわよ、ここじゃ作れないし』

『まぁ、確かに矢と違ってもっかい使えなさそうだな……こいつは』

 

 マイクは手のひらの上で、ころころと、その人を殺せる礫をもてあそぶ。

 

『あと、“味方を殺さない様にする”訓練も必要、なんせ、指を屈伸させるだけで弾が飛び出すし、ちゃんと“お手入れ”してあげないと、“へそを曲げた”銃から勝手に弾が飛び出る事もたまにあるしね……人には絶対に筒先を向けないとか、引き金には撃つ時以外は指を触れないとか、使った後は必ずこうやって分解して、隅々まで掃除してガンオイル塗っておくとかそう言う細々とした事を徹底的に叩き込まないと』

『なんか……めんどくせぇな、て言うか、なんでおまえんとこの世界じゃ、そんな面倒くさくて“気難しい”武器を使ってんだ?そいつ持ってた奴らも結局使わなかったし、使いづらいんじゃねぇの?』

 

 マイクの素朴な疑問に“娘”も頷いている。

 まぁ、確かに言われてみると結構面倒くさいっちゃ面倒くさい。

 まぁ、安全性さえ度外視すれば、それこそその辺から浚ってきた子供にだって人殺しの片棒を担がせる事も出来なくはないが。

 そう言う事を言い出す輩には速やかに脳天に鉛玉をプレゼントしてやるべきなので、考慮の外である。

 

『やっぱ、ちゃんと使えば強いから……だけど、まぁ、うちの世界じゃ、“銃”も“弾”も大量に作ってるし、それを使う兵隊さんにも使い方をきっちり叩き込んでるし……まぁ、それだけやんないとうまく使えないもんて事でもあるけど、どっか壊れたら専門の職人さんのとこに持ち込んで完全にバラバラにして修理して貰わないといけないし……こいつ、バラしたら、部品100個位になるんだけど』

『ひゃくう!多いな』

 

 まぁ、確かに部品30個位のアーカーちゃん辺りに比べりゃそりゃ多いが、部品が150位あったM16くんよりは少ないし、ハチキュウちゃんは前任のロクヨンちゃんに比べれば、一割くらい部品点数は減ってるのだ。

 

『まぁ、カンタンにまとめると……使うのは普通に訓練が必要、部品と弾が作れないから割とすぐに使えなくなる、以上!』

『ああ、クソッ!“げんじつ”ってヤツはいつも厳しいぜ』

 

 マイクはがっかりした様子で、黄金色の“酒”をペットボトルから一口やる。

 

(アレはおさけ、アレはおさけ……今日朝からペットボトルへ出したヤツとは何の関係もない、全く関係ない……)

 

 黄金色で泡立っているが“酒”といったら酒なのだ。

 ただ、いつかは分からないが、八誌緒の股間の黄金水サーバーからじょぼじょぼと瓶詰めされただけで。

 自分の出した黄金水をおっさんがおいしそうに飲尿してる絵面は現実だと認めるのはマジキツすぎる。

 それを認めた上で正気を保つのは、なんか、もう、新しい性癖の扉を開ける事になりそうで、それもやっぱりキツい。

 

(わかっているが……わかるわけにはいかないのだッ!……精神衛生上の問題で)

 

『だったら、ヤシオにつかわせればいい』

 

 不意打ちであった。

 

『はぁ?』

『あぁ?』

 

 思わずハモってしまった八誌緒とマイクは顔を見合わせてから、“娘”へ視線を戻す。

 

『流石にそれはまずいんじゃない……かな?』

『まぁ……あぶねぇもん、なぁ?』

 

 何故か、疑問系になる。

 

『ヤシオなら、“くんれん”なしでも使える、なら、“たま”のぶんだけはつかえる、もう、かぞくなら、ぶきもたせてももんだいない』

『いや、私か弱い女子高生だし、戦闘を担当するのまで契約に入ってないし~』

 

 武器なんておおっぴらに持ち歩く許可なんて貰ったら、野盗働きまでは兎も角として、防衛戦への参加は求められるに違いない。

 他の山賊なら兎も角、うっかり治安関係者に危害を加えた場合、こいつらと一緒に三尺高い木の上から吊される事間違いなしである。

 

『うちの“倅”共をヤッパとマサカリブン回して十人もぶち殺した女が“かよわい”訳ねぇだろ!“じょしこーせー”ってのは、おまえの世界のバケモンの名前か何かか?生き残りの“倅”なんざ、おまえの“めいどふく”姿見るだけで、出せるもん全部出しながら引きつけ起こすんだぜ』

『遺憾ながら記憶にございません』

 

 そう、露出狂だのなんだの言われながらも、未だにブレザーを着てるのは、何故か、“倅”達の間で“恐怖の殺人食用メイド”という存在都市伝説的キラーの存在がいつの間にか流布されてしまっていたからである。

 

(なんか、ここに浚われてきた時には、モツモツパーティーの“具”にされてたっていうのに、そんな怖がられてるの、納得行かないんだけどなぁ)

 

 どう考えても一時的狂気とその後遺症と言うヤツである。

 

『まぁ、私は“生産職”だけど、ここが熊だの狼だのに襲われた時に手を貸す位は……ま、いっか』

 

 とは言え、銃にアクセスできるなら可能性は残しておきたい。

 あると無いとでは全然違う。

 多分、銃以外にもヤバいブツを色々とのこしてくれてる様だし。

 説明から省いたけど、とりあえず、手榴弾もごろごろあるしね。

 もちろん、愛しのかばんちゃんの力を借りれば、実質上の無限弾薬箱が完成するので、非常に心強い。

 ここじゃ、絶対に、口外しないけど。

 

『そりゃ、戦わねぇのと一緒じゃねぇか、うちは出入りでいちいち入り口閉じちまうから、動物に襲われた事なんかねぇぞ』

『安全第一でいいんじゃない、でも、備えよ常に、って、なんか、うちの世界のレンジャー養成組織っぽいとこが言ってたけど』

 

 言いながらも、今度はベレッタ……コンシェルジュのスキャン結果では、“ベレッタM92 エリートⅠA”だった……を分解点検する。

 

『こっちも異常はなし……マガジンのバネも、まぁ、フル装填して放置してた割にはへたってないか……』

 

 その様子を又、“酒”をちびちびやりながら見ていたマイクは、意外な程綺麗にヒゲが剃られた顎を擦り、次に頭をぼりぼりと掻く。

 

『まぁ、いいだろ、どうせ放っておいたって錆びてゴミになるだけだ、八誌緒が持っとけ』

『マジで?』

 

 突然気前の良いと言うよりは、投げやりと言った方が正しい事を言い出すマイクに、八誌緒は思わず手を止めてしまった。

 

『“流され者”相手だと、餞別になっちまうかも知れねぇからなぁ』

『餞別ねぇ……って、これの持ち主、丸腰で次の世界行ったのかぁ、きっつ!』

 

 “おたからべや”の中には、よくよく見ると、中身の入った背嚢まで置いてある。

 

(て言うか、これ、いままで目を逸らしてたけど……殆ど身ぐるみまるまる置いてっちゃってるんだよね)

 

『あ~、あいつらなぁ』

『ん、ちんこにベタ惚れになって、めし、あ~ん、してやる位、いれこんだ子いた、いいかんじだった』

『ストックホルム症候群かな』

 

 ここの“娘”達なら、朝は下半身の息子さんに口頭で濃厚な“おはよう”から始まって、お休みは、気絶するまで“あおむけおうまさんごっこ”をキメかねない。

 

(若い(?)二人の間に情の一つや二つ湧いても不思議では無い……よね、多分)

 

 お肉確定のおっさん達と違って、“潰す”予定は無いのだから、その余地は充分にある……筈、きっと。

 

『ただなぁ』

『ソーセージの“ざいりょう”おしえたら、かべのすみっこでひざかかえてすわってた』

『ああ……』

『そうしたら、何日もしねぇうちに“いなくなっちまった”、いや、ホント、“娘”が荒れちまってよぉ、まじ、ヤバかったわ、“なんで、うちはにんげんのおにくたべるのよー”って』

 

(いや、それは当然の疑問では?)

 

 しかし、あの牢屋だかヤ○部屋だか分からん場所に監禁されていたって事は、なんか、嫌な予感がするのだけれども。

 

『まさか、フル○ン?』

『ぱんつははいてたとおもう』

 

 最悪である。

 

『やっぱり……お前ら、国防に身を捧げた防人さん達になんつう事を』

 

 パンイチで異世界転移とか、宇宙の戦士の雪山訓練より酷い。

 あっちも確かに雪山にパンイチで放り出されてたけど、流石にナイフ位は支給されて居た。

 

(レンジャー徽章持ちか、特殊作戦群の資格持ちならなんとか……がんばって)

 

 八誌緒はホントツイてない陸さん達三名の無事を祈りながら彼等の愛銃を整備するのであった。

 ちなみに、全部しっかり自分の鞄にしまい込みました。

 

 装備一式の中に折りたたみエンピがあったのが地味にうれしかったです。

 

 ごっつぁん!

 

To Be Countinued...

 




陸さん達の貞操と正気と慕情っぽいものを犠牲に八誌緒の装備が充実したゾ!
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