いっぱい出たね♪ じょろじょろ出ちゃう黄金水 ~ これって、地層処分するしかないんでしょうか? ~ 作:八切武士
おしっこって、一回に出る時には500ml位はでるらしいです。
特に他意はありませんが。
はい。
足ガクガクで、這々の体になりながら川を渡りきって、対岸でへたり込みそうになったが、心に鞭を打って移動する。
流石に視界に入ったら、川をジャンプして追いかけてきそうな気がしたので。
(はぁ……死ぬかと思った)
あれから数時間経ったが、追われている気配はない為、八誌緒は運良く見つけた大木のウロに体をねじ込んで座り込んでいた。
ウロは女の子座りする程度のスペースはあるが何か作業をする程の余裕はない、入り口の外も結構枯れ葉が積もっており、うっかり焚き火をしたら大火災間違いなしである。
(寝よ……)
八誌緒はできるだけ綺麗な落ち葉を集めてからエマージェンシーブランケットを取り出して、下半身が念入りにカバーされているのを確認してつつくるまる。
(なんか、つかれたなぁ……精神的に)
翌日、若干明るくなった霧の中、八誌緒は今度こそ、ペットボトルとジップ○ック袋へ放出された体内生産物を念入りに封印し出発するのであった。
あれから三日ほど経過したが……
(ここ、どこ?)
元々、訳の分からない道を歩いていた訳だが、最早道ですらない場所を藪こぎし続けている状態だ。
正直まっすぐ進んでいるかすら分からない。
順調なのは、背中の鞄にジョイントしたガベッジバッグの中身の増え方位のものだ。
(一日で、ペット5本かぁ……う○ちは……ノーコメントで……重い)
正直、どっかに密閉したまま棄てればいいのでは、とも思うが、流石に“黄金ペット”に“黄金.zip”の不法投棄は心情的にアレだし、僅かに付着した匂いを嗅ぎつけられないとも限らない恐怖がある。
せめて、エンピを持ってて、1m位の深さで穴を掘る余裕があれば一寸考えたかも知れない。
(下手に河口付近で流したら、赤潮の原因になったりして)
ここ数日、“ボトリング作業”、“圧縮ファイル作成”中にこぼした地面で、草は萌え、種は芽吹き、齧歯類が群がり、虫が生き生きと超高速で蠢く地獄絵図を見てきた経験上、全く笑えない想像だった。
(地下300メートル以深の安定した地層中に埋没して、地層処分する必要がありそうな気がしてきた……)
そこまでいかなくとも、話だけでしか知らない、ウジ虫が標準装備されていたという、ぼっとん便所へとき放ったりしたら、ラクー○シティ並のバイオハザードが起きそうで怖い。
(いや、水洗便所でも、下水が大変な事になるのでは……巨大ワニとか、01100101匹ハハッ!大行進とか)
この“体質”が周囲に発覚してしまったら、なんか、ヤバい組織か何かに狙われてしまいそうな気がする。
冗談抜きに。
(お○っこサーバーとか、研究所の被検体エンドしか見えないんだけど)
脱出できても、絶対に秘密にしなくては。
(16時46分……あ、もう少しすると暗くなるなぁ)
今日もこのやたらと広い森から出られなかった様だ。
しかし、今日は抜かりなく、ちょっと戻った所に良さそうな洞窟を見つけてある。
勿論、中に何かが居たりしない事は確認済みである。
草が貯めてあったり、糞も無かったし、ぱっと見た目、コウモリとかも居なかった。
たぶん、蛇も居なかった……筈。
(入り口で火を焚こう)
中まで入らずに入り口で凌げばマシな気はする。
取りあえず完全に日が落ちる前に藪漕ぎの跡を戻って、野営地候補の洞窟を再確認。
(変わりなし……かな)
洞窟の前からそれなりの範囲から可燃物を徹底的に排除し、薪を集めて火を点ける。
もう結構慣れてきた。
携帯ゲームはあるけど、正直、今の所そういう能動的な暇つぶしをやる気になれない。
スマホも電波は繋がらないのだけど、何故か、オフラインで利用可能なコンテンツが大量に格納されていた。
小説や漫画から、百科事典、動画コンテンツ。
幅広いデータが目白押しである。
(内部メモリどんだけ搭載してるのよ、これ……)
どう見ても素人には必要無いというか、業界人向けの専門書まで網羅されているから、時代背景にもよるが、所謂“知識チート”の一助になるのは間違い無い。
(今の所、漫画と小説が有り難いんだけど)
画面の明るさを最低にして、漫画をパラパラめくったり、軽い読み物を目で追ったりする程度だ。
画面が大きいので読みやすい。
動画コンテンツとかはバッテリを食いそうな気もするので見てない。
とは言っても、電源についてはソーラーパネルは役に立たないものの、フル充電バッテリーが無限に出せるから問題は無さそう。
(でもなぁ、なんか、これ、バッテリ保ちいいなぁ……)
ここに来てからこの端末を充電してないが、電源マークのゲージは全然減る様子が無い。
いや、それよりも今は……
(そろそろあったかいご飯……甘くない食べ物が食べたい)
湯気が出そうな料理レシピ本のサンプル画像を眺めながら、カロ○ーメイトのチョコレート味をひと齧り。
ため息をつく。
このような状況で、毎回その気になれば食料を腹一杯飲み食いしても何も問題ないという有り得ない位恵まれた食糧事情だというのに、非常に贅沢な悩みだという事は分かっている。
でもやはり、人は甘味のみに生くるに非ず。
豊かな食には、五味……すなわち、甘味、塩味、酸味、苦味、うま味が必要不可欠なのだ。
(正直、うま味に関してはどうにでもなる気がしてしょうがないんだけど……はまぐり“尿”房って昔話が……いやいや、人の尊厳を捨てるにはまだ早い、まだ、あわてるような時間じゃない……)
つらつら考えながら火の番をしていると、いつの間にかうとうとと浅い眠りに誘われていくのが、ここの所のナイトルーティンになってきている。
なんかノーパンにも慣れつつある気もするが、そっちには熟練度をふりたくない。
(新しいパンツ鞄の中に沸いて出たりしないかなぁ……)
無限に装備を更新してくれる頼れる相棒に期待してみたが、女性用下着は専門外なのか、どんなに念じてみても、いつの間にか入っている様なご都合展開は発生しなかった。
悲しい。
というか、パンツがないと、折角装備に入ってる生理用品が役に立たないのだが。
(無くして分かるパンツのありがたみよ……スカートの下から入る風で股間が涼しいなぁ、
腰ミノ装備生活はこんなに股間が涼しいんだろうか……まぁ、寒い所で腰ミノいっちょの文化は憶えがないから、涼しさも要求性能の一部なんだろうね)
何度かうとうとして、目を開けた時、不意に目線が合った。
「ぱ、パンツ狼!」
焚き火を挟んで10m、そこに、パンツに敗れた筈の狼が佇んでいた。
(奴は死んだ筈……じゃなくて、別の奴?一杯いそうだったし)
目を離さない様にしながら、集めておいた薪をくべて火を大きくする。
ちょろちょろぱちぱちと燃えていた火は、ゆらりゆらりとした炎へと進化した。
野生動物は火を怖れる筈。
背後の洞窟は袋小路、彼我を遮るのはこの焚き火だけ、命綱だ。
正に狼というウィルスから八誌緒を守るファイアウォール。
しかし、そんな盛大に燃やし続けるほどの薪は集めてない、夜が明けるまでこれだけの火勢を維持するのは無理だろう。
(二時十二分か、朝まで遠いなぁ……鞄から何か出して燃やす?)
鞄の中身は……
・ペンライト&予備電池
・腕時計
・未開封のペットボトルのお茶、ジュース、ミネラルウォーター
・カ○リーメイト3箱
・エナジーバー3本
・ポンチョ
・エマージェンシーブランケット
・ゴミ袋
・P○v○ta
・携帯バッテリーと折りたたみソーラーパネルにケーブル類
・十徳ナイフ
・メタルマッチ
・ポケットティッシュ
・化粧品セット
・各種衛生用品類
・トイレットペッパー芯なし3倍巻き4ロール1袋
・今まで貯めたゴミ各種
→お茶とジュースと峰等ウォーターのペットボトル
→カロリーメイトの箱と袋
→エナジーバーの袋
・GARBAGE BAG(例のトイレセット)
→空の500mlペットボトル3本
→楕円形で高さが非対称のじょうご
→ジッパー付きのビニール袋
→“脅威的防臭袋 Brotherhood Of Stench”(オリーブドラブ色のポリ袋)10枚
(ゴミは燃やせるけど、そこまで量がない、ペットはまぁまぁ量あるけど凄い臭いがしそうで、火持ちはたぶん悪い……トイレットペッパーかな)
紙がみっしり巻かれて持ち重りする三倍巻きは結構火持ちが良いかも知れない。
早速、使い差しの袋を出してロールを焚き火にくべると、いい感じに火が上がる。
(燃えろ燃えろ!火の粉よ逆巻け!隣も焦がせ!)
トイレットペーバーをがんがん投入した焚き火はもう、完全にキャンプがファイヤーしていた。
これなら幾らでも燃やし続けられる。
(これなら入ってこれまい、って、増えてるぅ!?)
顔を上げると、狼の後ろに光る眼が幾つも浮かんでいた。
(あーそうでしたね、群でしたねっ!あー、ヤバいヤバいヤバいよ)
古のリアクション芸人の如く心中叫び散らかしながら八誌緒は目線を動かす。
見える範囲で7、8頭は居るだろうか、何か聞こえると思ったら、ぐるるるるるると、低く唸る音が多重奏で聞こえている。
これは本当にヤバい。
(執念深すぎる、そんなにう○ちが食べたいのか……とんでもないスカ○ロ狼だよ!)
たぶん食べたいのはうん○だけでは無いとは思うが、実に執念深い追跡者だった。
何時間睨み合っているのか、時間の流れがひどく遅く感じる。
時計をチラ見してみると、二時三十六分、二十分少々しか経っていない。
体はぜんぜん疲れていないが、精神的にかなりくるものがある。
時折、トイレットペッパーを焚き火に放り込むだけの時間がじりじりと過ぎていく。
『ギャインッ!』
狼が飛んできた。
“跳んで”ではなく“飛んで”来て、洞窟の入り口横に“着弾”した。
何ともいえない、肉と骨が固い物に激突する衝突音。
どちゃりと地面に落ちたソレには深い爪痕が走り、引き裂かれた腹部からはピンクがかったグレーの帯みたいな臓物が、びょるっ、と溢れていた。
『GRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRR!』
臓物がぶるぶる震えるのを感じる程の咆哮。
(デカい、でかいよ!)
炎にあおり気味に照らされたその巨体は、どう見ても2m以上あった。
直立した灰色熊。
そうとしか見えない化け物は、画面越しに見たら愛嬌がありそうなまんまる頭を巡らし、再度吠えた。
長さ3cmはカタい牙が剥き出しになり、狼達が一瞬、びくり、と足を止めた。
しかし、焚き火の向こうでくるり、と向き直ったパンツ狼が一声吠えると、狼達は一斉に熊の周りを歩き回り始める。
(……あ、これって、今の内?)
動くなら、均衡が取れている今しかない。
八誌緒は鞄をそっと背負うと、焚き火は仕方なくそのままにして、こそこそと洞窟から這い出る。
(これだけ湿った場所なら間違い無く森林火災にはならないだろうし……多分)
少しでも狼と熊から離れる為、とりあえず右側へ。
(うぇ……ぎもぢわ゛るい゛……吐きそう、ていうか、吐ぐぅ!)
野良ポ○モンバトルはどちらかと言えば、左側寄りだったので右に来たのだが、足下には首が九十度以上曲がり、内臓がReadyしちゃってる狼が転がっており、もう異臭が漂い始めている。
「う゛ぉええ!、ぐえっ!」
突然、背中にぶち当たった重量物に胃の中身と、肺の空気を全部押し出されながら吹っ飛んだ八誌緒は、何か柔らかい物に体を打ち付けながら転倒した。
「うぎゃぁ!」
狼の死体の腹の中に手を突っ込んでしまった。
なま暖かくて、ぐちゃっ、ぬちゅちゅちゅっとしてる。
(ひぃぃ)
半泣きになりながら手を引っこ抜いた八誌緒が立ち上がると、足下に狼の死体が一つ増えていた。
ちらりと背後に目をやると、パンツ狼群対デカい熊の本格バトルが始まっていた。
リアル銀○、流○星 銀である。
流石に犬の側が高速回転しながら咬みついたりはしてないが。
(どっちかというと、○兜側の再現度が高い……一撃死だし、って言ってる場合じゃない!)
ボケてる間にすぅっと背中の痛みは引いている。
八誌緒は改めてその場を逃げ出した。
少し離れてから、スニーク状態を解除し、全力疾走に移る。
足を止めたのは十二分後。
まだまだ走れるのだが……
(あ、これ無理だわ)
足下にはものの見事な断崖が広がっていた。
霧が深くて下が見えないのでどれ位高いのか分からない。
足下を見ると、結構大きな石があったので、崖下にフリーフォールさせてみる。
微かな音が返ってくるまで、たっぷり三秒程かかった。
(うん、無理に降りるのは絶対に止めよう)
天気が良かったら結構見晴らしが良い位の高さがあるのは間違いない。
<-------->
※ちなみに、山の上で崖下に石を落としたり、斜面で石を転がしたりするのは絶対に止めましょう。
万が一、下に人が居た場合、大怪我じゃ済まなくなるので。
<-------->
(左でいっか……)
森の中に戻るのも何となく怖くて、仕方なく崖にそって歩き出す。
とぼとぼと歩いていると、何か水の音が聞こえてきた。
(又、川があるのかな)
十分程で、川幅が以前の倍ほど……二十メートルはある立派な川にぶち当たった。
水量がかなり多い。
(いや、これは絶対に歩いて渡るの無理、絶対無理……ていうか、ここではやりたくない)
たっぷりの水は、崖からざばぁと、見事な弧を描いて霧の中へ消えて行っている。
たぶん、下には滝壺ができているに違いない。
(戻るか、さかのぼって渡れる場所を探すか、どうしよっかな)
『GRRRRRRRRRRR』
重低音に振り向くと、そこには満身創痍で
スタンディングモードになった熊が居た。
(ええ!嘘、なんで?……死ぬときはスタンディングモードでお願いしますって、死ぬのこっちだよ!)
パニックになる思考の下で、落ち着きなさい、とでも言いたげに冷たい何かが脳裏を撫でる。
少し遅くなった世界のなか、頭に向かって振り下ろされる右前足の軌道に左腕を上げると、あっさりと叩き落とされた腕から激痛が脳を灼く。
必死に反らす上体の前を左前足が通り過ぎ、左胸が急に熱くなった。
強い芳香で鼻がむせかえりそうだ。
もう一度、今度は左上から何かが激しく衝突してきた。
視界が赤くなり、勝手に膝が落ちる。
(うっそ、左が……左のπが、山○ダブルソフト6枚切りになってる、パイスラッシュだよ!)
下がった視界の中、服が丸ごと消し飛んだ左胸が冗談の様に6枚おろしにされていた。
鋭利な刃物に切り裂かれた様な切り口からは、赤と白と黄色っぽいグラデーションが覗いて、凄い量の血が滲み出して、流れを作る。
首を動かして周りを確認しなきゃいけないのに、首が動かない。
息が苦しい。
もう一度、今度は右から何かが激突し、ぺたりと座り込んでいた体が、左後ろへ流れる。
つこうとした左腕がぜんぜん動かない。
朦朧としてきた意識の中、地面を滑る感覚のあと、浮遊感とオゾンの香り。
そして、幾度も繰り返される激突で、でたらめさが増す回転する世界。
最後、水に包まれて、八誌緒の世界から意識が消え失せた。
To Be Continued...
ざんねん!!やしおの ぼうけんは これで おわってしまった??