第一話 俺のクラスメイトが魔法少女な件
この世界はつまらない。
元いた世界で死に、気が付いたら赤ん坊になっていた。月日が経つにつれて段々と周りの状況が分かっていき、俺はあることに気が付いた。
聞いたことの無い地名、曲、作品、有名人。これらから俺は元の世界とは別の、異世界に転生したのだと。生まれ変わったのだから超常現象や摩訶不思議な冒険が待っているかとワクワクした。
しかし待っていたのは平凡な日々。世界征服を企む悪役や、超絶した科学力で宇宙人と戦っているような人物など居なかった。このままつまらない日々を過ごすのか……そう、思っていた。
「こ、こんにちは。転校生の『マホ・ツカエール』です」
今日、俺の通っている中学校に転校生が来るまでは。緊張したような様子で自己紹介をする女の子の名前は、マホ・ツカエール。その転校生の登場は、俺にとってこの世界が女児アニメと紹介するようなものであった。
「マホちゃんは何処から来たの~?」
「か、海外からです。なので日本の常識には疎くて……」
「お前も陸上部に入らないか? やはり陸上部に入れマホちゃん、オレと永遠を走り続けよう!」
「え、えっと」
マホが質問攻めにあっている中、俺はその様子をただ眺めていた。別に輪の中に入りにくいだの、友だちが居ないと言った理由ではない。マホ・ツカエールについて自分の席で考えているからだ。
マホ・ツカエール、恐らく名前の由来は「魔法が使える」だろう。それだけだと、まぁただのキラキラネームの可能性も有り得はする。有り得はするが、俺がこの世界が女児アニメと思う理由はちゃんとある。
一つ目は毛量どうなってんだと言いたくなるような、身体より横幅の大きい髪の毛と、青色と言う染めてんのかと思うほど海外出身でも有り得ないような色。
二つ目は今が中学一年の5月である点だ。今はまだGWが終わったばかりであり、転校するにはあまりにも微妙な時期である。
ただまぁ、親がキラキラネームを名付けて、凄い毛量が多くなる遺伝子を受け継いでいて、髪の毛染めて転校の準備が間に合わなくてこんな微妙な時期に転校してきた時期も無くもないだろう。
だが俺は確信を持って「ここは女児アニメの世界で、転校生は魔法を使える」と言える理由がある。
(ここが地球の学校なんですね。私の正体が魔法少女で、悪の組織『ワルインダー』と戦っている異世界人だとバレないようにしなければ……!)
三つ目、マホが心の中で自身の正体を全て言っているからである。え、なんでそんなのが分かるのかって? おっと、そういえば俺の紹介がまだだったな。俺の名前は『
「みんなー! お昼ご飯の時間だー! ドリャァー!」
授業の終わりを告げるチャイムが鳴ると共に、先ほど転校生相手に猗〇座風の部活勧誘をした陸上部が大きな声を出す。
各自弁当を出したり、購買に行ったりする中、転校生もそれに倣うようにしてカバンから弁当か何かだろうか、それを取り出そうとチャックを開けた。
「プッハァ! く、来るしかったセイ」
一瞬で閉じた。カバンの中から人形が出てきて喋ったように見えたが、あれは気のせいではないだろうか。否、気のせいではないだろう。その証拠として、
(な、なんで学校に居るんですかー!? 妖精が学校に来たら、騒ぎになると勇子ちゃんに注意されたから、置いてきたはずですが)
本人が全て説明してくれている。しか本人も妖精が学校に来ているのは予想外だったようで、周りを見渡して誰にも見られてないか確認していた。
俺は何も見てないと言わんばかりに窓の外へと視線を移す。窓から若干ながらも反射して見えるマホの表情はホッとしており、俺が妖精を見たのはバレていないようだ。
「あれ、マホちゃんどうしたの?」
「ゆ、勇子ちゃん。実はね……」
そんなマホの様子が気がかりだったようで、帰宅部で元気ハツラツな女の子『
「つ、着いてきちゃったの!?」
赤元が大声を出すと共に、教室の人間が全員振り返る。しまった、と言う表情と共に赤元はなんでもないと誤魔化すと、クラスメイトは興味を失ったかのように、赤元達に視線を向けるのを止めた。
俺はあまりにも展開がベタすぎて若干呆れている。よくある展開ではあるが、本当にそれで誤魔化せるのかよ。
「兎に角カバンを持って屋上に移動するよ。そこなら誰も居ないと思うから……!」
赤元とマホは屋上に移動するようだ。よくある展開として、主人公達を怪しんでいるキャラは後を追うかもしれないが、俺はマホの思考を読んで多少の事情は既に把握済みだ。
あくまでマホ自身が考えていた事からの推測にはなるが、この世界は今危機なのだろう。どうして危機なのかは不明だが、その危機を転校生は防いでいる。そして相棒(?)の妖精が学校に着いてきてしまった、そういう展開なのだろう。
「ベタだなぁ。てか、アニメで例えると序盤も序盤か?」
主人公、もしくはそのパートナーが転校してくるのはアニメならば2話か3話だろう。そしてそんな展開が続くのなら、次に来るのは……
「ワーニャッニャッ! 今日も人間達から『元気パワー』を吸い取るワニ!」
そう、悪役である。突如として校庭に現れたワニ男に、教室に居る生徒は驚き窓からワニ男に視線を向ける。俺自身は来るだろうと言う確信があったが、もし無かったら同じような行動を取っていただろう。
「行くワニ、怪人ウサギール!」
「な、なんか身体が」
「重いッ……!」
ワニ男が指を鳴らすと共に、校舎の半分くらいの大きさを持つ巨大な二足歩行のウサギが現れた。その登場と共に、教室に居る生徒達は身体の力が抜けて言っているようで、ダルいや面倒と言った言葉を発している。
「俺は問題無さそうだな」
少し身体がかったるく感じ始めたため、急いで超能力を使って全身にバリアを貼ったのが功を奏したのか、俺は元気パワーとやらが吸い取られる事は無くなった。
本来ならこのバリアは、ゴーグル無しでもハッキリと水の中が見えるようにだったり、熱いものや手が汚れるような物を持つために使っているが、意外な所で役に立つようだ。
「これ以上の悪事はさせないです!」
「またワニャアの邪魔をするワニか、スカイブルー!」
名前がそのまんまでダサいのは兎も角として、ワニ男の目の前に現れたのは転校生ではなく、スカイブルーと呼ばれる存在であった。
「いや誰だてめぇ!?」
マホはどこ行ったよ、てっきり転校生が魔法少女と思ってたけど違うのか? いや待て、魔法少女系の女児アニメと言えば変身だ。もしかして変身した姿なのだろうか、ちょっと心読んでみるか。
(思わず学校で変身してしまいましたが、生徒の皆さんは元気パワーを吸い取られて此方を見ていない。これなら、私の正体がマホ・ツカエールとはバレずにすみそうですね)
俺が心を読んでいることを知っているかのような説明、諸々の事情とかを一瞬で把握出来るから本当に助かる。
俺は最初にこの世界はつまらないと言っていたが、前言撤回しよう。魔法少女や妖精と言った存在が居ると知ったこの世界でのこれから面白くなるだろう。
スカイブルーとワニ男が戦っている中、俺は今後の生活を考えて笑顔を浮かべていた。
【
この作品の主人公。平凡な日々をつまらなく感じていたが、魔法少女や妖精の存在を知ってから生き生きし始めた。超能力の汎用性はそれなりになるが、戦力としてはあまりと言ったところ。
元ネタは斉木楠雄。ただ斉木とは違って面白そうなら簡単に首を突っ込む。魔法少女と敵との戦いも眺めてそう。
好きな登場人物は誰?
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超能 力男
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マホ・ツカエール/スカイブルー
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赤元 勇子/スカイレッド
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草加 ラン
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長神 咲黄
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ペンヨウ
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ライヨウ
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アクロコ
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陸上部の部長