【完結】俺のクラスメイトが魔法少女な件   作:のろとり

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 今回から最終章に入ります。
 大体残り20話前後で完結ですかね。まぁあくまでプロット的にはって話なので、延びる可能性は充分にあります。

 最初は主人公がコソコソと魔法少女の活躍眺めたり、コッソリ秘密を隠し通すのを手伝ったり、敵幹部と地味に交流してるような作品書きたいなぁ~と思って始めたんですがね。いつの間にか凄いシリアスになってた。何もかも後付け設定が悪い。


~第七章~俺達の最後の戦いが幕を開けるで章
第百十六話 俺の前世が夢として現れるな件~前半~


 その日の夜、俺は夢を見た。

 その夢は俺が俺になる前、つまりは『超能(ちょうのう) 力男(りきお)』としてこの世に産まれる前の、前世の記憶だった。

 

「あー学校めんどくせぇ。隕石降って休校にならねぇかなぁ」

 

 15歳、高校1年生の春。

 近所の高校に進学したは良いが、特にこれといった友達も居なく部活にも属していない俺は日々の暮らしに退屈していた。退屈するあまり、学校に隕石が降るように祈っていた。

 

 こうして夢で見ると、小学生みたいな事を考えていたんだな。子ども心を忘れてないと言えば長所になるが、実際は単に精神が小学生から成長してないだけだ。

 

「おーしお前ら。今日は転校生を紹介するぞ~」

 

 このつまらない日常に刺激が欲しい。

 そう願いながらも、この時の俺はマホ達のような魔法少女であったり、今の俺のような超能力者なんて存在しないと思っていた。

 

 しかし『超能 力男』としての俺は超常現象の存在を確信していたが、前世の俺はこれっぽっちも信じていなかった。だから俺が願ったのはそう、何か面白い出来事が起きて欲しい。ただそれだけだった。

 

「……『渡世(わたせ) 空界(くうかい)』だ。どうぞよろしく」

 

 そんな時だった、アイツが俺のクラスに転校してきたのは。

 最初見た時は無口でつまらなそうな奴だった。いつもの俺なら「へぇ転校生か」程度に済ませて、さほど興味が湧かなかっただろう。しかしこの時の俺は何か面白い出来事が起きて欲しいと願っていたため、勇気を出してアイツに話しかけようと思った。

 

「渡世の席はそこな」

 

 すると丁度よく俺の隣の席が空いており、アイツの席はそことなった。それを俺は運命なのだと━━━俺の隣は窓側の一番後ろだから、誰かが転校してきたら必然的にそこになるのだが━━━本気で感じた。

 

 うん、馬鹿だ。昔の自分だからこそハッキリ言えるが、本当に馬鹿だ。そら冷静に考えたら、転校生は順番的に1番後ろの席になるだろ。何が運命だよ、それ運命じゃなくて必然だろ。

 

「よろしくな渡世」

 

「……よろしくするつもりはない」

 

「お前はさっきよろしく言ってなかったか!?」

 

 俺は早速アイツと仲良くなろうと思って挨拶をしたが、何故かよろしくしないと返された。うん、まぁ……アイツちょっと天然混じってるからな。周りと関わるつもりは無かったようだが、転校時の挨拶を定型文そのまま喋ったせいで矛盾したやり取りしてたんだよな。

 

 挨拶で仲を深めようと思っていたが、出鼻を挫かれた俺は面白そうな出来事が待っているのに、ここで躓いたら駄目だと無駄に本気を出して、どうにか話題を見つけようと奮闘した。

 

 すると、アイツの鞄に古臭いお守りを見つけた。長く身に付けているからか所々汚れているが、大切にはしているようで、破けていたり紐が解れたりと言った経年劣化の様子は確認は無い。

 

「あ、あー。お前の鞄に付いてるお守り、侘び寂びがあって良いよな」

 

「……ワサビなんて塗ってない」

 

「俺ワサビなんて一言も言ってないけど!?」

 

 なんなんだコイツ。

 天然にも度が過ぎており、冷たい態度を取ってくる。こんな面倒な性格をしているアイツと関わろうとする人間なんて、変わり者か馬鹿かの2択だろう。なお、この時の俺は後者。

 

 この程度じゃ諦めない。せめて会話の切っ掛けを作ろう、そして友達になろう。俺は面白そうな出来事を探すと言う当初の目的を忘れ、アイツと友達になろうとまずは話題作りのためアイツを観察する事にした。

 

「……すいません、遅刻しました」

 

「転校してそうそう遅刻なんて大層なこった。で、理由は? 先生に話してみろ」

 

「……道に迷ったお婆さんを助けて、暴走した車からコンビニのお客さんを助けて、警察署で事情説明して、最終的に道に迷いました」

 

「人助けしてて偉いけど、最後ので台無しじゃねーか!」

 

 まずアイツは遅刻が多かった。

 3日に1回くらいのペースで遅刻してくるのだが、その理由はどれもこれも人助け。最終的には道に迷っているが、それは登校中に他にも人助けをしていて、その道中で普段通らない道を通っていたら自分の居場所が分からなくなったそう。

 

 冷たい態度を取って周りと関わろうとしない癖に、自分から首を突っ込んで人を助ける(関わりを持つ)なんて不思議な奴だと思った。

 

「……すいません、遅刻しました」

 

「またか。で、理由は?」

 

「……コンビニで強盗と万引きとバイトテロとたむろする不良倒して、警察署で事情説明して、最終的に道に迷いました」

 

「またコンビニ!? コンビニってそんな治安悪かったっけ!?」

 

 最初の頃、俺はアイツが嘘を付いていると思った。

 遅刻しそうだから言い訳していると。そんなにも治安が悪いコンビニなんて存在しないだろと。なお、翌日のニュースにアイツの顔と名前が出てきて俺は吹いた。

 

「……すいません、遅刻しました」

 

「あー、気にすんな気にすんな。警察からお前が色々活躍したって話聞いてるから」

 

「……はい」

 

 いつの日かアイツの遅刻は見過ごされるようになった。

 見過ごされると言っても、人助けした上での遅刻だから免除されてると表現した方が正しいのだろうか。アイツが色んな所で人助けしている話は観察している俺は兎も角として、学校中で噂になり、その人助けをする精神を頼られるようになっていった。

 

「悪い渡世、この荷物運んどいてくれ!」

 

「すまぬ渡世殿。部活の助太刀を所望したいでござる」

 

「渡世、掃除、頼む。オデ、用事、ある」

 

「……分かった」

 

 その精神が評価、いや正確には広まったからかアイツの周りには人が集まるようになった。ただしそれは集まっただけ。魔法少女だから怪人を倒してくれる、ヒーローだから悪から守ってくれる。そんな風に、困ったらアイツが助けてくれる雰囲気が当たり前になっていた。

 

「みんなに頼られて凄いな。まるでヒーローや主人公だな」

 

「……俺はそんな大層な人間じゃない」

 

 この時の俺は茶化してアイツに話しかけていたが、人助けする癖に周りに関わろうとしなかったのは、道具のように頼ってくる周りに嫌気が差していたからだろう。

 

「ん? アレは……」

 

 そんなある日、俺は学校から家に帰る道中の河川敷でアイツを見掛けた。また人助けしているのかと思ったが、なにやら様子がおかしい。

 

「……何処だ。何処行った」

 

「おーい渡世。何してるんだ?」

 

「……別に。何もしてない」

 

 俺はアイツに話しかけたが、いつものようにツンツンとした態度で冷たくあしらわれた。しかし俺はその態度に何処か違和感を覚えた。

 

「何もしてない奴が、そんな汚れてるとでも?」

 

「……これはアレだ。異世界に渡った時に沼に落ちたんだ」

 

「お前は何を言っているんだ」

 

 アイツの格好は草まみれだった。それこそ河川敷の草と言う草を掻き分けた結果、身体中に草が付いたかのように。そして言葉にキレが無いのも俺の違和感を大きくした。

 

 「お前には関係ない」の一言でバッサリ切り捨てそうなものだが、今日に限っては攻撃的な態度は一切無い。それどころか、遅刻の理由を正直に話すアイツが異世界なんて明らかに嘘を付いているのが分かるような言葉を引っ張ってきた事が引っ掛かる。

 

 河川敷に何かある? 多分だがそれは合ってる、実際に河川敷で何か物を探している様子だったから。

 何を落とした? 誰かの大切な物。いや、それならその誰かも一緒に探しているはずだ。ならアイツ自身の大切な物を落とした?

 

「もしかしてだけど、お守り落とした?」

 

「ッ……何で分かった。さてはエスパーだな」

 

「俺にそんな力はねぇよ。ただ、鞄に付いて無いからそうだと思っただけだ」

 

 俺はアイツ、そしてアイツの荷物を目をやって鞄に付けているお守りが無いのに気が付いた。侘び寂びのある、悪く言えば古臭いお守りだったが、草まみれになってまで探していると言う事は、アイツにとっては大切な物なんだろう。

 

「お前1人で探すの、大変じゃないのか? 誰か頼ったより、手を貸してくれる奴は」

 

「……居ない。俺も見る奴は居ても声を掛ける奴すら誰1人もな」

 

「なんだそりゃ。冷たいな」

 

 さっきのように何でもないと誤魔化してそのまま通りすぎたのならまだ分かる。だがアイツを散々頼ってきた癖に、いざとなれば手を差し伸べるどころか声すらも掛けないなんてな。

 

 俺は前にアイツをヒーローや主人公として例えた。けれどヒーローも主人公も全員1人で何もかも出来る訳じゃない。周りの助けがあってこそ、動けるのだ。

 

「……お前も手伝う必要は無い。これは俺の問題だ」

 

「ふぅん」

 

 アイツは俺を突き放そうとしたが、俺はそんな言葉を無視してズカズカと河川敷の草を掻き分けてアイツが落としたお守りを探していく。

 

「……おい、話を聞いてなかったのか?」

 

「聞いてたさ」

 

「……じゃあなんで」

 

「俺は別にお前を手伝ってる訳じゃない。たった今、偶然にもなんとなく思い付きで、草を掻き分けたくなっただけだ」

 

「……素直じゃないな、お前」

 

「うっせ。お前もだろ」

 

 正面切って「お前を助けたい」とは恥ずかしくて言えない俺は、下手な嘘を付いてアイツを手伝う事にした。今も直接「お前を助ける」なんて言えてないけど、昔の俺はかなり捻くれた性格してたんだな。

 

「あったぞ渡世! お前のお守り!」

 

「……本当か」

 

「おいおい、俺が今まで嘘付いた事あるかよ~」

 

「……俺のお守りにワサビが塗ってあると嘘付いた」

 

「それお前の勘違いだよな!?」

 

 探し始めること数時間。夕焼けを通り越して、少し辺りが暗くなり始めた頃にようやくお守りを見つけ出し、俺はアイツに手渡しをする。

 

「はい、今度は無くすなよ」

 

「……ありがとう」

 

「じゃあ俺は帰るわ」

 

「……おい」

 

「なんだ?」

 

「……名前、聞いても良いか?」

 

 汚れた制服を早く洗おうと、急いで帰ろうとしたがアイツの呼び掛ける声によっては俺は動きを止めてアイツの方へと振り返る。

 

「あー、学校で名乗ってなかったっけ?」

 

「……単純に忘れた」

 

「素直だな!? いや素直なのは良いことだけども!?」

 

 そうえばと、これまでアイツは誰かの名前を呼ぶ事は無かったと思い出す。周りに関わらないようにしてるから名前を呼ばないのかと思っていたが、どうやら単に忘れていたらしい。多分だけど、忘れていたと言うより聞いてなかったんだろうな。

 

「俺の名前は『知無可(ちむか) 聖夜(せいや)』だ。改めてよろしくな」

 

「……よろしく、聖夜」

 

「お、下の名前で呼ぶのか~」

 

「……駄目だったか?」

 

「全然駄目じゃないぜ。けどそうだなぁ。お前がそう呼ぶなら、俺は空界って呼ばせてもらうぜ!」

 

「……勝手にしろ。聖夜」

 

「勝手にさせてもらうぜ、空界!」

 

 そして俺はアイツと━━━空界と友達になった。




知無可(ちむか) 聖夜(せいや)
 今作の主人公である『超能(ちょうのう) 力男(りきお)』の前世。
 平凡な高校生であり、現在のように超能力が使えたり、規格外の身体能力があったり、現代科学を超越したような発明技術や発想は一切無い。本当にただの一般人。
 なお、本編内で行年が明言されている(第八十七話参照)し、転生してるので当たり前の話になるが、この後死ぬ。具体的に言うと高校生一年生の16歳で死ぬ。


 力男の前世の世界は普通の世界なので、濃い性格の人物は居ません。忍者っぽい口調や片言キャラが居ますが、誰がなんと言おうと濃くありません。ランやガク先輩に比べたら薄いです。
 執筆上のメタにはなりますが、そもそもとして前世と今世では世界が違うので今回は、ニチアサとか気にせず書いてみました。

【第二回】好きなキャラアンケート

  • 超能 力男
  • マホ・ツカエール/スカイブルー
  • 赤元 勇子/スカイレッド
  • 長神 咲黄/スカイイエロー
  • 恋路浜 緑/スカイグリーン
  • ペンヨウ(マホの妖精)
  • ライヨウ(勇子の妖精)
  • フクヨウ(咲黄の妖精)
  • クラヨウ(緑の妖精)
  • アクロコ
  • リュウ/スリュウ・コマツール
  • アヤイト・コマツール
  • ワルインダーの総帥
  • 草加 ラン
  • 力学 心(ガク先輩)
  • 陸上部の部長
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