【完結】俺のクラスメイトが魔法少女な件   作:のろとり

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 今日の一言:おい、シリアスしろよ

 何故だ、予定ではシリアス描写しか無い章の予定だったのにどうしてこんなにもギャグが入るんだ。てかギャグしかしてない話もあるってどうなってんだ。


第百二十二話 最後の戦いが幕を開けるな件です

「魔法世界来たー! ってあれ!?」

 

「これは……」

 

 空間を潜り、魔法世界へやってきた━━━私の場合は帰ってきたが正しいのでしょうが━━━私達は目の前の光景に絶句します。

 

 以前と同じ妖精国の外れの森へやってきた筈が、自然豊かだった森はカラカラになった草と、葉っぱ一枚すら残っていない枯れ木の場所へと変わっておりました。恐らくですが触れば枝が折れるどころか、触った場所が砂のように塵となってしまうでしょう。

 

「ねぇフクヨウ。こういう現象見たことある?」

 

「知らないフク。ライヨウはあるフク?」

 

「長く生きてきたけど知らないライ」

 

「年寄りのライヨウでも知らないクラ?」

 

「ほぉ?」

 

 代理とは言え王様であるフクヨウならば、何か知っているかと思った咲黄ちゃんですがフクヨウは何も知らないようです。

 ならばと長生きしているライヨウと思いましたが、ライヨウですら知らないようです。

 

 私はライヨウの怒りを買って追いかけ回されているクラヨウを眺めながら、やはりこれは元気パワーが吸い取られて、植物から元気が無くなっているからではと、あたりを付けました。

 

「はいはい、ふざけてる場合じゃないわよ」

 

「待つフクー!」

 

「待てと言われて待つ性格してないクラ!」

 

「人の話を聞きなさいよ!?」

 

 緑ちゃんがパンパンと手を叩いてライヨウとクラヨウを止めようとします。しかしそれでも止まらずに、緑ちゃんは2匹と乱闘を始めます。

 

「リュウくん。私達は何処に向かえば良いの?」

 

「えっとですネ。まずはアジトはコマツール様が浮かしていテ」

 

「もう倒しちゃった」

 

「そういうのはもっと早く教えてくれませんかネ!?」

 

「ご、ごめんね。伝えると気を悪くしちゃうと思って……」

 

「ア、気を遣っていたんですネ。それは失礼しましタ」

 

 乱闘する緑ちゃん達を背景に咲黄ちゃんはリュウさんにアジトの場所を聞きます……が、そうえばリュウさんにコマツールを倒した事を伝えていなかったですね。

 

 思い返せばワルインダーのアジトは浮いてると言ってましたね。そしてそれはコマツールが浮かしているとも。よく考えるとコマツールを倒したのですから、アジトを浮かす人物が居なくなって墜落していますよね。

 

「ではアジトが落ちた地点を推測するト……」

 

 リュウさんはアジトのあった場所を思い出しながら、落下地点を推測します。頷きながらゆっくりと振り向きながら、リュウさんはある方向を指差します。

 

「すぐ後ろですネ」

 

『近ッ!?』

 

「これってあれだよね。灯台日暮ってやつだよね」

 

「灯台もと暗しだよ勇子ちゃん」

 

 墜落寸前に持ちこたえたのか、周りに被害が無いように着地したのか、下敷きになった部分以外は森に影響は無いですが、完全には落下の衝撃は押さえきれなかったのかアジトはボロボロで、ちょうどその辺りにあった遺跡後が押し潰されていますね。

 

 あの遺跡後がいつからあったのか、何の為にあったのかは分かりませんが、ここはボロボロになったアジト含めて手を合わせて供養をしておきましょうか。南無南無……

 

「お待たせセイ。力男と話してたら遅れたセイ」

 

「遅いですよペンヨウ」

 

「ごめんセイ。それでペンヨウ達は何処に向かえば良いセイ?」

 

「すぐそこにあるアジトですネ。コマツール様の力が無くなったので墜落してますガ」

 

「つまりリュウの家はボロボロになったセイか」

 

「現実を突きつけないでくださイ」

 

 ポロリと涙を一粒こぼすリュウさんを見て私達はソッと目を逸らします。もし私の家がこんなにもボロボロになったら、今のリュウさんのように私は涙を流すでしょうね。

 

「早くアジトの最奥部へ行きますヨ。義姉さんはきっとそこで待ち構えてますのデ」

 

「お邪魔しまーす!」

 

 悲しみを消すように早歩きでアジトの中へと入っていくリュウさんへ私達、そして乱闘が終わり少し身体が傷付いている緑ちゃん、ライヨウ、クラヨウも後へ続きます。

 

 ワルインダーのアジトは墜落した影響で殆どが地面に埋まっており、地表に出ているのはアジトの約半分を占める人工的な地表と、ボロボロになった後ろのような建物だけです。

 

 建物の中へ入るとまずは大きなエントランスでした。カーペットやシャンデリアがあるその場所は本来ならば綺麗なのでしょうが、墜落の影響で何もかもがボロボロになっていました。

 

「ちょっと薄暗く無いかしら?」

 

「墜落したので灯りが全部駄目になったんでしょうネ」

 

「瓦礫とかが落ちてるね」

 

「墜落したので壁や天井が崩れたのでしょウ」

 

「リュウさん、ちゃんと道分かりますか?」

 

「崩れて道が塞がれてるので完全に案内出来るかは言い切れないですね」

 

「なんか、その…………ごめんね?」

 

「謝らないでくださイ。余計辛くなりまス」

 

 哀愁漂わせるリュウさんですが、その足は止まらずに前へと進み続けます。そして歩いて10分程でしょうか、道が塞がれている部分があり多少の時間は掛かりましたが、ようやく最奥部へと出ました。

 

 そこは他の場所と違い瓦礫も無く、全体的に綺麗な印象を受けました。ここは墜落の衝撃でボロボロになったりはしなかったのでしょうか。

 

「ここは綺麗なんだね!」

 

「よく見たら急いで掃除した後があるわね」

 

「緑ちゃん。ここはお口チャック、何も言わないでおこう?」

 

「口に出している時点でもう遅いのでは……」

 

「それ以上喋ると泣きますヨ?」

 

 すみませんリュウさん、もう既に滝のような涙出てます。

 気まずさから私達は周りへ視線を向けると奥の方に女の子が1人居ました。見た目は私達と同じ、それよりも少し幼いように見えますが、実際はリュウさんと同じス数万年もしくはそれ以上生きているでしょう。

 

 何故そう思うのか。それはこんな所に普通の女の子は居ないからです。もしここに私達以外の人間が居るのであれば……そう、

 

「よく来たな魔法少女。私こそがこの組織、つまりはワルインダーの総帥だ」

 

 ワルインダーの総帥以外有り得ません。

 総帥は長い階段の上に設置されている椅子から立ち上がり、一段また一段と階段を降りて私達へと近付いてきます。

 

「ワルインダーの総帥をしてる総帥ちゃん?」

 

「それは役職だ。私の名前は『ワタカラ・コマツール』だ。よく覚えておけ」

 

「わざわざ名乗ってくれるなんて、意外にも親切なのね」

 

「親切では無い。名前は大事、ただそれだけの話だ」

 

 私達の話すら聞かずに問答無用で攻撃してくると思いましたが、見境無い訳では無いんですね。ここは話し合いで解決出来れば一番なのでしょうが、実際には不可能に近いでしょうね。もし話し合いで何もかもが解決するのなら、私達は今まで戦ってきませんし。

 

「義姉さン……」

 

「スリュウか」

 

 私達の学校に潜入する時に使った『唯野 リュウ』ではなく、スリュウと本名で呼ぶワタカラ。声色は厳しく、針を刺したかのように鋭いものですが、その目にはリュウさんに対する敵意は一切無く、むしろ優しいや愛情と言ったものを感じます。

 

「どうしテ、こんな事をしたんですか義姉さン」

 

「…………」

 

「世界を征服どころか滅亡させようだなんテ、いったい何を考えているんですカ!」

 

「答える必要は無い」

 

「必要が無いっテ」

 

「スリュウ、貴様は何も知らなくて良い。黙って今から起こる光景を眺めているだけで良いんだ」

 

 そういう目をしているなら話だけで解決するかも。そう思いましたが、決意そのものは固いようでリュウさんの言葉をバッサリと切ります。

 

 家族であるリュウさんの言葉ですら届かないとなると、本当に話し合いで解決するのは不可能のようですね。リュウさんが居る手前心苦しいですが、ワタカラを倒して解決するしかなさそうです。

 

「さて、魔法少女よ。この後ろにあるのは何か分かるか?」

 

 ワタカラは階段を降り、私達と同じ視点まで来ると先ほど座っていた椅子を指差しました。そしてその奥には、網目模様の綺麗な光の球がありました。あれはいったい……ハッ、分かりました!

 

「バランスボールですね!」

 

「違う」

 

「メロン!」

 

「違う」

 

「装飾品、かな?」

 

「違う」

 

「ライトね」

 

「違う」

 

 勇子ちゃんは網目模様からメロンだと、咲黄ちゃんは部屋に飾る装飾品だと、緑ちゃんは部屋を照らすライトだと、そして私はバランスボールを飾る変わった趣味の人かと思いましたが、全員外れてしまいました。

 

 うーん……自信はあったのですが。でしたらアレはなんでしょうか。気のせいなのか、光が強くなっているような、さっきよりも光の量が大きくなっているような気がします。

 

「あれは元気パワーを纏めたモノだ。私を倒せば解放される」

 

 どうやらバランスボールではなく、元気パワーだったようです。あれが勇子ちゃん達の世界、そして魔法世界からも奪っている元気パワーの塊ですか。つまりワタカラを倒せば、私達の日常は元に戻るって訳ですね。

 

「だが……貴様らに私が倒せるか?」

 

「「「「ッ!」」」」

 

 私が気持ちを切り替えようとした瞬間、ワタカラから先ほどリュウさんへ向けていた目は無くなり、私達へと鋭い目で敵意を向けてきます。

 

 思わずその敵意に飲み込まれそうになりますが、私は拳を強く握り気持ちを奮い立たせます。ここで立ち止まっていては私達は何のために頑張ってきたのですが! これまで何度も辛い思いや苦しい思いをしてきました。こんな敵意ぐらい、それに比べたら軽いものです!

 

「ワタカラ、貴方にも何か事情があるのかもしれません……ですが! 私達にも引けない事情があります!」

 

「「「「変身!」」」」

 

 リュウさんに向けた優しい目にはどんな思いが込められているのか。私はその疑問を心の奥底に仕舞い込み、ワタカラとの……ワルインダーとの最後の戦いに挑むのでした。




【ワタカラ・コマツール】
 ワルインダーの総帥。
 ずっと総帥呼びするのもなぁ~と思って名前を付けることにした。前から名前は考えていたが、登場させる場面が無かったのでこんな終盤で判明となった。
 メタ的な事情を込めると、総帥呼びが定着している関係上、ちょっと名前出して数十話空くと「ワタカラ? 誰だっけ」と思われそうだったから。


 アジトがボロボロな理由は色々考えた結果です。
 コマツールがアジト浮いてる→コマツールの力が消えたから墜落する→変な場所に墜落させるとマホ達がアジトに迎えない(場所不明になる)→なら近場に落とそう→あとついでに落ちたんだからボロボロになってるよね

 なので結果的にリュウの家(アジト)はボロボロになりました。不憫な役回りが多いってスねリュウさん……。原因私だけど。
 次回から戦闘スタート&シリアスです。

【第二回】好きなキャラアンケート

  • 超能 力男
  • マホ・ツカエール/スカイブルー
  • 赤元 勇子/スカイレッド
  • 長神 咲黄/スカイイエロー
  • 恋路浜 緑/スカイグリーン
  • ペンヨウ(マホの妖精)
  • ライヨウ(勇子の妖精)
  • フクヨウ(咲黄の妖精)
  • クラヨウ(緑の妖精)
  • アクロコ
  • リュウ/スリュウ・コマツール
  • アヤイト・コマツール
  • ワルインダーの総帥
  • 草加 ラン
  • 力学 心(ガク先輩)
  • 陸上部の部長
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