【完結】俺のクラスメイトが魔法少女な件   作:のろとり

128 / 166
 今回は部室待機組(力男、ガク先輩、アクロコ)のターンです。
 ちなみにですが、物語的に居たら困るのでランと部長は大会で遠出中のため合流出来ません。もし居たら魔法少女について説明する所からになるので。あと物語的に組織のボスと対決! なのに唐突に一般人乱入して活躍全部かっさらったら、これまでの因縁ぶっ壊す面白くない展開になるので。

 今回の感想:満面の笑みで書きました。


第百二十八話 私の考えが外れてほしいな件さ

『これが、私のこれまでだ』

 

 無事マホくん達の勝利で戦いは幕を閉じ、私達は科学部の部室にて通信機越しに総帥━━━ワルインダーは敗北した、事実上の解散なのだからここは名前として呼ぶべきだろう━━━ワタカラくんは過去に何があったのかを話した。

 

 リュウくんと同じ厄災の被害に遭い、リュウくんを守る為に世界征服を計画し、その計画を邪魔する魔法少女に先手を打とうと妖精国を襲撃。

 

 そこからは偶然にも魔の手から逃れたペンヨウくんと、ペンヨウくんと遊ぼうとしていたマホくんが此方の世界に迷い込み、今に至ると言う訳のようだね。

 

「総帥にそんな過去があったワニか」

 

「ふむ。アクロコくん、君はどうする。彼女を許すかね?」

 

 もしここでアクロコくんが怒り、勢いそのままに魔法世界へ行こうした場合、私はアクロコくんを止められない。境遇に同情するからなんて理由ではなく、物理的に抑えるのが不可能だからね。

 

 今は力が殆ど無くなったのが理由で何故か小さくなっているようだが、それでも普通の人間よりは強いようだからね。私程度の力ではアクロコくんを抑えるのは厳しく、元気パワーが元に戻っていない現状で魔法世界に行かせると面倒な事になりそうだ。

 

「許すも何も、記憶喪失のワニャアも総帥と同じように周りを犠牲にして生きてきたワニ。そんなワニャアがどういう言う事は出来ないワニ」

 

 だが、どうやら私の考えは杞憂だったらしい。

 同じ境遇だったとしても、目的の為に犠牲にされかけたのだ。結果としては生きているようだが、ここで怒りをぶつけるような行動を起こしても誰も文句は言えないだろう。

 

 まぁアクロコくんの性格的に怒るが1割、許すが9割と考えていたが、ちゃんと9割を引けたようだ。仮に1割を引いても力男くんならば超能力で抑えつけるのは可能だろうが、

 

……まさか、そんなのが有り得るのか? この世界と前世の世界は別物だ。そんな都合の良い話なんて……でも、本当にそうだとしたら厄災を起こしたのは━━━

 

 当の力男くんがこんな状態だからね。この状態で超能力を使うだの、アクロコくんを抑えるだのは出来ないだろうね。

 

「ふむ…………」

 

 何故か力男くんはワタカラくんの話を聞いている途中から、何処か思い詰めた様子をしてしまい、小声で何かを呟き始めた。耳を澄ましても聞き取れない程小さな声量だが、トラウマを刺激されたように真っ青な顔をしている時点でマトモな内容は喋っていないだろう。

 

 ワタカラくんの話で気になる部分でもあったのだろうか。家族について……は無いだろう。力男くんの家族はワタカラと違い健在であり、もし亡くなるような想像をしたのだとしても、トラウマを刺激されたような反応は違和感が残る。

 

 かと言って厄災について知っていて、それでトラウマを刺激された可能性も低いだろう。もし遭遇した、もしくは巻き込まれたような事態なら発生している以上、この現代社会ならば、突如として更地が出来たとニュースや噂で耳にした事があるだろう。

 

 もし私の調査網に引っ掛からない可能性としては、マホくん達の別世界の出来事での話だが……力男くんはこの世界の人間であり、超能力で別世界にアクセス出来ないのは把握している。それが正解がある可能性は無いと言っても過言ではない。

 

「力男くん」

 

「ッ! どうしたガク先輩」

 

「いやなに。君が思い詰めた顔をしているのが気になってね」

 

「なんでもない。うん、なんでもないんだ……」

 

「そうか。なら良いんだ」

 

 確実に秘密を隠している反応だが、指摘するのは止めておこう。今の力男くんはマホくんや勇子くん並に嘘を突き通せていない。今まで超能力やマホくん達の秘密を隠し通してきた力男くんを知っていれば、誰でも違和感を覚えるだろう。

 

 だがここで指摘するのは野暮と言った所だ。気になるのが正直な感想だが、今はそれよりもワタカラくんの方が大事である。

 

「厄災、か……」

 

 ワタカラくんが世界征服を望んだ根本的な原因を呟き、私は思考の海に浸かっていく。

 世界征服と言う野望を阻止出来たのは喜ぶべきなのだろう。だがそれで解決したのは表面上の問題だけに過ぎず、根本的な原因までは解決してないのが現状だ。

 

 何万年と生きたワタカラくんですら原因不明な厄災をどうにかする手立てを考えなければ、第二第三のワルインダーが今後誕生したり、また世界が滅ぶような事態が発生してしまうだろう。

 

「どうするべきか」

 

 例えばだが、地下に潜る選択肢を取ったとしても、世界が破滅するレベルの厄災が起きれば意味が無い。規模、発生原因、対処法。全てが不明な以上、対策の仕様が無い。

 

 元気パワーに「厄災を無くして欲しい」と願って解決するならばワタカラくんは既に行動に移しているだろう。それが出来ないから、それが出来ないから、今こうして……。

 

「いや、待て」

 

 そもそもの話、ワタカラくんは何処で元気パワーを知った?

 マホくん達は幹部時代のアクロコくんから、そのアクロコくんはワタカラくんから知った。ならば、その元々の情報を流したワタカラくんはいったい……?

 

 実におかしな話だ。アクロコくんは記憶喪失だから知らないのは頷ける。ペンヨウくんやクラヨウくんが知らないのは一部の妖精しか知らない、もしくは聞いた事が無いでまだ納得出来る。

 

 だが長寿のライヨウくんや、代行と言えど王様として国の歴史に深いであろうフクヨウくんですら、元気パワーの存在は知らずに精々「妖精には不思議な力がある。そう魔法少女の伝承に載ってる」程度の知識であった。願いを叶える力があるのは何処で知った?

 

「…………」

 

 ナニカガ、オカシイ

 

 そもそもワタカラくんの話自体、不可解な点がある。

 ワタカラくんの村が厄災の被害にあった。

 偶然(・・)にも厄災からワタカラくんだけ生き残れた。

 偶然(・・)にもコマツールが通りかかった。

 偶然(・・)にもリュウくんも生き延びて拾われた。

 数万年旅をするが厄災の情報が手に入らない。

 厄災を手中に収めて、リュウくんが平和に暮らせるよう世界征服を企む。

 偶然(・・)にも元気パワーの情報を知る。

 偶然(・・)にも妖精国の結界を突破出来るアクロコくんが手元に居た。

 偶然(・・)にもアクロコくんは記憶を失っており素直な手駒として活用した。

 偶然(・・)にもペンヨウくんに逃げられて魔法少女が誕生した。

 マホくん以外にも魔法少女が複数登場したが、5人目だけは現れない。

 

 これらの殆ど偶然だ。

 一つや二つならまだ納得は可能だ。だが、ここまで複数の偶然が重なっているのは些か疑問である。まるで誰かが操った運命を偶然と思い込まされているように。

 

【この世は全てが必然で起きています。偶然や奇跡なんて存在しませんよ】

 

 いや、まさか。だがここまで偶然が重なるのは……。

 私はある人物の言葉を思い出しながら、これまでの事を否定しようと頭を働かせる。しかし考えれば考えるほど有り得る。有り得てしまう。

 

「…………すまない。少し、良いだろうか」

 

 心臓の鼓動が早くなる。冷や汗が流れ身体中が気持ち悪い感覚に襲われる。気のせいだろう、私の考えすぎだろう。嫌な予感がジワジワと心の内を絞めてくるのを必死に抑え、私は通信機に向かって喋る。

 

『む、貴様は誰だ? ブルー達の知りあ』

 

「私の事は良い、それよりも聞かせてくれ」

 

 私はワタカラくんの言葉を遮る。

 私が普段見せない焦りに、通信機からマホくん達の心配する声が聞こえるが、今はそんなのに構っている暇は無い。もしかしたら私はとても大事な、それこそ今から世界が滅ぶ(・・・・・)レベルの事態を見落としている可能性があるのだ。

 

「元気パワーの事は、いったい……何処で知ったのかね?」

 

 私は声を震わせながらワタカラくんに質問をする。

 もし……もしもの話だが、私の考えが合っているのなら今の今まで、それこそワタカラくんの村が滅んでから、ワタカラくんがマホくん達に倒されるまでの全てがある人物の計算通りの行動となる。

 

 つまりは村を滅んだのも、リュウくんを守ろうと決意したのも、世界征服を掲げようとしたのも、妖精国が襲撃したのも、マホくん達が魔法少女になったのも、魔法少女が5人揃わないのも、どれもこれもが偶然ではなく必然となる。

 

『コマツールからだ。厄災を手中に収める方法も、コマツールからヒントを貰って……』

 

 そこから先のワタカラくんの言葉は、私の耳には入ってこなかった。

 それよりも先に思い出す必要があったからである。私はこの目で見た筈だ、マホくんの浄化の光によって、その姿が消え━━━

 

「ッ! そういうことか!」

 

 ━━━ていない。私はその光が浄化の光であると勘違いしてしまっていたようだ。全てを裏で操っている黒幕が、浄化とは別で光に包まれる姿を見ていたと言うのに。とすれば、あの人物は生きているだろう。

 

「だが、何が目的だ?」

 

 慎重な性格をしているのはこれまでの言動から知っている。マホくん達に一度とは言え敗北している以上、確実に勝てる確証が無い限りは姿を見せないだろう。

 

 かと言って何万年も地道に進めた計画を完全に無に返すとは思えない。なら何か逆転の一手があるのか? もしそれが有るのだとしたらどんなモノが考えられる……考えろ、思い出せ。これまでの行動から導き出すんだ。

 

 5人目の魔法少女が生まれるのを防ぐ? そもそも妖精が足りない。アクロコくんが生きているのを相手は知らず、5人目の誕生を異様に警戒している以上は、ニワヨウくんが消えたのも把握しているだろう。除外。

 ワタカラくんやリュウくんに恨みがある? それなら拾うような行動をする必要は無いし、恨むような理由も思い付かないから除外。

 ならば魔法少女自体に恨みがある? これは有り得る。マホくん達を名前ではなく、魔法少女と名称で呼び続けていたのにも加えて、魔法少女としての力を評価していた部分から考えるのに伝承上の魔法少女と因縁があると考えられる。

 

「だとすれば」

 

 私は魔法世界で読んだ伝承の内容を思い出す。

 嘗ての人々があのあの伝承に、相手に対抗するヒントを隠したかもしれない。あの伝承で気になる部分は、所々の口調と筆者の名前だ。確か名前は『ダウニア・ゲジム』と書かれていた。これに何かヒントがあるのだろうか。

 

 ゲジム、下字ム。文字を下げる? それともこの文字自体が既に下がった後? daunia・下字ムから下字の部分を抜けば、daunia・muになる。これを動かせば……。

 

「偶然と済ませたいものだね」

 

 1番出てほしくない名前が出てしまった。

 ヒントが出れば御の字程度に考えていたが、これはハズレもハズレ、大ハズレだ。これでは相手が伝承以前から存在していて、尚且つその伝承を自身で作った事になる。

 

 そしてそんな事をして得する人物と言えば1人しか居ないだろう。なら今の目的はいったいなんだろうか? 姿を眩ましてまで何をしたい。

 

 …………いや、待て。黒幕の行動の全てに意味があるなら、ワルインダーのアジトが浮いていたのにも意味がある筈だ。その意味はなんだ、そこに隠しておきたいものがあるから? だがそれなら、ワルインダーの誰かに見つかる可能性が考えられる。

 

 なら逆に注目を集めたいならどうだろうか。上に注目が向けば足元を見る人物は誰も居なくなる。そして私が見たアレが封印されたモノだとすれば、次にする行動は……。

 

「まさか」

 

 それならワタカラくんの行動を誘導して元気パワーを集めさせた理由に頷ける。伝承上では魔法少女に何処かに封印されたと伝えられていて、封印した魔法少女の力は元気パワーである。もし元気パワーが無くなり封印が解ければ……。

 

「マズイッ! 全員そこから逃げたまえ!」

 

 私は通信機に向かって、急いでその場から逃げるよう声を荒げた。しかし間に合わなかったようで、グサリと何かを突き刺すような音が通信機越しに部室へと響き渡った。




 ガク先輩と言うキャラを思い付いた頃(22話辺り)から、ずっとこの展開を書きたくてうずうずしてました。この作品の頭脳面を担当してもらってたのもそれが理由です。

 ガク先輩、いったい何に気付いたんですかねぇ……。あ、一応言うと次回でちゃんと判明しますので、内容が分かってもそれまではお口チャックです。

 ダウニア・ゲジムに関しては今後拾う余裕があるか分からないので、無理矢理今回にぶっ混みました。最初から気付いてた人居るかな?(今後の後書き辺りで答え書く予定です)。なお、これで謎解きの作り方が間違ったら凄い恥ずかしいヤツだったりする。
 ダウニア・ゲジム→ダウニア・下字ム→daunia・mu→……?

【第二回】好きなキャラアンケート

  • 超能 力男
  • マホ・ツカエール/スカイブルー
  • 赤元 勇子/スカイレッド
  • 長神 咲黄/スカイイエロー
  • 恋路浜 緑/スカイグリーン
  • ペンヨウ(マホの妖精)
  • ライヨウ(勇子の妖精)
  • フクヨウ(咲黄の妖精)
  • クラヨウ(緑の妖精)
  • アクロコ
  • リュウ/スリュウ・コマツール
  • アヤイト・コマツール
  • ワルインダーの総帥
  • 草加 ラン
  • 力学 心(ガク先輩)
  • 陸上部の部長
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。