しょんぼりアルちゃんかわいいですね。
今回のタイトル「■の■■■が■■■な件です」にしようと思ったんですが、サブタイは揺れないのでボツです。あとこれに砂嵐音ではなく、ピー音付くの想像したらギャグになりそうだったので。
『マズイッ! 全員そこから逃げたまえ!』
「スリュウ!」
初めて聞くガク先輩の焦る声と共に、ワタカラは自身を抱き締めていたリュウさんを突き飛ばします。
急に突き飛ばすなんてどうしたんですか。と、私はワタカラに怒りの言葉をぶつけようとしました。しかしその言葉が私の口から出ることは無かったです。何故なら、
「…………え?」
ワタカラの背中から胸に掛けて1本の槍が突き出ていたからです。
突き出ている、つまりは誰かが槍を投げてワタカラの身体を貫通させた事になります。誰が、どうして、何の為に……私の中には既に怒りの感情は消えており、ただひたすらに困惑が渦巻きます。
洩れ出た声の主は私自身なのか、勇子ちゃんか、咲黄ちゃんか、緑ちゃんか、ペンヨウか、ライヨウか、フクヨウか、クラヨウか、ワタカラか、リュウさんか、はたまた科学部の部室で待機している誰かの呟きが通信機に乗ってきたのか。
目の前の現実が受け入れられない私には、それすらも分かりませんでした。
「義姉さあああン!」
そんな中、リュウさんの悲鳴で私は意識を現実に引き戻されます。急いでワタカラに近付くリュウさんを見て、私は動揺しながらも周りを警戒します。
ワタカラを刺した犯人は何処かに隠れている筈です。ワルインダーとして世界を滅ぼすような行動をした以上、恨みを買ってしまうのは理解出来ます。
しかし私達以外の人達は元気パワーを吸い取られて動けない筈です。仮に動けたとしても、どうやってワタカラの居場所を突き止めたのでしょうか。それこそ、最初からこの場を知っていない限りそんなのは……
「お久しぶり、とでも言いましょうかね、魔法少女」
突如、私達の目の前に人が現れます。
それはもう存在しない、ここに居る筈の無い人物でした。私は心の中で必死に目の前の人物は偽物だと否定しますが、視界に映る姿が、耳に入る声が、それが本物であると現実を突きつけてきます。
「コマツール!」
かつて学校で私達と激しい戦いを繰り広げ、ガク先輩とニワヨウの手を借りながらも倒し、最終的に私達の手によって浄化されたコマツールが目の前に居るのだと。
「どうしてここに!? 私達に浄化された筈じゃ」
そう、勇子ちゃん━━━動揺が続いていて、呼び慣れてる本名の方で呼んでしまいます━━━の言葉通り、コマツールは私達の浄化技を受けて消滅しました。仮にあの場面で耐えられたのだとしても、浄化技を使った後に姿が跡形も無いのはおかしいです。
「簡単な話ですよ」
その指摘に対してコマツールはやれやれと言った様子で、突如光と共にその場から消え、身体1個分ほど右に一瞬で移動しました。
「まさかワープ!?」
「ご名答です」
私はコマツールを浄化した時の場面を思い出します。
あの時は「光輝くビームがコマツールの居る場所を通りすぎ、ビームが消える頃にはコマツールの姿は何処にも無かった」のであって、
浄化技が届くよりも前にワープを使い、ワープの光を浄化技の光と誤認させてその場から移動する。そうすれば浄化技が消えた後には何も残らず、まるで消滅したかのように見せかける。コマツールはそうやって私達を騙したのでしょう。
「コマツール様!」
「スリュウ、私に何か用ですか?」
コマツールの策略を見抜けなかった自分自身に怒りを抱いていると、槍で貫かれてグッタリとしているワタカラを抱えているリュウさんが、涙を流しながらも眼を尖らせ、コマツールの名前を呼びます。
「どうしてテ……どうして義姉さんを攻撃したんですカ! コマツール様は今まで義姉さんと一緒に世界征服を目標にしていたの二。なのにどうしテ!」
「用済みだからです」
「用済、ミ……?」
たった一言。
あまりにも短い言葉ですが、ワルインダーの総帥として慕っていたであろうワタカラに対して、何の感情も抱いておらず、それどころか使い古されたオモチャを捨てるような声色にリュウさんはおろか、私達ですら耳を疑います。
「総帥が世界征服を企み、最終的には魔法少女と戦い、そして破れる。私の計画通りです。突き刺したのは、中途半端ながらも実力はありますからね。万が一にでも動かれると面倒ですからです」
「何ヲ、言ってるんですカ?」
淡々とワタカラと私達の戦いを計画通りと語るコマツールに、リュウさんは信じられない様子をします。
それもそのはず、もしコマツールの言葉が本当ならば、ワタカラがワルインダーを結成してから、私達のこれまでの戦い全てがコマツールの手のひらで踊られていた事になります。
それは私達が味あった挫折、困難、悲しみ、悔しさ、そこからの立ち上がり全てが自分達で切り開いたモノではなく、敷かれたレールの上を走ってた結果となります。
そんな……そんなの信じません! 私達がここまで来れたのは、コマツールによって敷かれたレールの上を走ったのではなく、私達が自分で決めて選んだ道です!
『悪いが、コマツールの言葉は本当さ』
「ガク、先輩? 嘘、ですよね……?」
『…………』
通信機から聞きたくもない事実がガク先輩の言葉が告げられます。嘘だ、冗談だ、そう聞いても返ってくるのは無言であり、それは否定ではなく肯定の意味を持つ態度だと察するこ事が出来てしまいます。
じゃあ私が今までしてきた事は、何もかもコマツールによって踊られていたに過ぎないんですか。異世界に迷い込んだのも、魔法少女に変身出来たのも、ペンヨウと喧嘩して仲直りしたのも、何度も心が折れても立ち上がってきたのも……全て私が選んだ道じゃない?
私が今までは全て決められた道だった。私が今まで周りの力を借りて頑張ってきたのは予定調和だった。私が自分で選んだと思ってた道なんて無かった。私の……私のこれまでは……私っていったい、なんですか?
「うぇ、あ、あああ……!!!」
「マホ!」
「マホちゃん!?」
「マホちゃん大丈夫!? しっかりして!」
ショックのあまり私は膝から崩れ落ちます。
緑ちゃんが、咲黄ちゃんが、勇子ちゃんが私を支えてくれますが今の私の耳には何も入ってきません。あるのはただ、これまで積み重ねてきたモノが崩れ落ちる音だけです。
「ちょっとガク先輩、今の話はどういうことよ!」
『これまでの行動全てが操作されて居たってことさ。コマツール……いや、伝承として語り継がれている邪神と呼ぶべきかい?』
緑ちゃんがガク先輩の言葉に詰め寄る中、ガク先輩は焦りを抑えながら冷静に言葉を返します。私達の行動全てがコマツールによって操られていた事、そしてコマツールが伝承として語り継がれている邪神であると。
「フ、フハハハ! まさか私……いや、我の正体に気付いてたとはな、流石にこれは予想外だ」
コマツールはガク先輩の言葉に一瞬眼を見開くと、突如として大笑いをして、今までの丁寧な口調から相手を見下すような口調へと変わります。
『あくまで今さっき気付いたに過ぎないさ。それと、生憎だが私は褒められた所で君に渡すモノなんて一つも持ち合わせていないさ』
「なら我から一つ言葉を送ろう。余裕な態度から一変、裏を掛かれた気分はどうだ?」
『……君、随分と根に持つタイプのようだね』
コマツールがガク先輩に掛けた言葉は、以前学校でコマツールと戦った際にガク先輩が投げ掛けた言葉です。
それをそのまま返された事に対してか、若しくは自身を上回った事に対するものかは分かりませんが、ガク先輩は怒りを滲ませながらコマツールへ言葉を返します。
「さて、改めて名乗らせてもらおう」
その言葉と共に、コマツールは墜落したワルインダーのアジトを真上に急上昇させ、何処から現れたのか。黒くて禍々しい「何か」がアジトの天井を突き破るように入ってきて、コマツールの身体を包みます。
するとコマツールは全身真っ黒となり、大きな両腕が身体から生え、下半身が消えて代わりに影のように地面に延びた姿へと変貌しました。
「我は『邪神ゼメツ・ハメツール』。全ての世界を破滅へと誘う者だ」
コマツール……いや、ハメツールは自身を邪神と名乗り私達へ身体が潰れてしまいそうな
「邪神って……そいつなら封印された筈でしょ! どうして私達の前に居るのよ!」
「封印される直前に仮の肉体、貴様らの呼び名に合わせるならアヤイト・コマツールの肉体を作り出して、力の一部を移して封印から逃れていたのだ」
「そこから数億年、我は封印を解く方法を考えた。我一人で動いてはまた現れる魔法少女に邪魔される、その為には何も知らない駒が必要だと……そして我はある方法を思い付いた。無知な人間を使い、世界征服と言う名目で我の手駒にしようとな」
「それが私、と言うわけかハメツールッ!」
身体を貫かれながらも、闘志だけは尽きないワタカラは、自分達をただの
「あぁ。貴様はよく役に立ってくれたよ、我の力で貴様以外の村人を全員滅ぼし、あたかも善良な旅人を装えば簡単に信用してくれた。まさか我が元凶は知らずにな」
「貴様が、貴様が私の……そしてスリュウの全てを奪ったのか!」
先程よりも睨みを強くするワタカラですが、私達との戦いのダメージに加えハメツールの不意打ちによって、ボロボロな状態で、心は今にでも掴み掛かりたいと思っているようですが身体は動かず、ただただ睨み続けることしか出来ません。
「今まで僕達を騙していたのですカ!?」
「騙すなんて人聞きの悪い。我はこれまで一度も嘘を付いたことなど無い。我ただ誘導しただけだ、貴様らが我の目的を達成するための駒としてな」
「ふざけるんじゃないわよ! 人は誰だって自由に生きているわ。それを駒呼ばわりなんて……するんじゃないわよ!」
ワタカラ、そして自身の怒りを力に代えて緑ちゃんはハメツールへとハンマーを振るいました。ワタカラとの戦いで力が増したのに加え、怒りによる馬鹿力、そしてハメツールの弱点である元気パワーによる攻撃。さすがのハメツールと言えど大ダメージは避けられない。
「邪魔だ」
筈でした。
ハメツールは緑ちゃんの渾身の一撃を虫を払うかのように手のひらで弾き、吹き飛ばされた緑ちゃんは運悪くその先に居た咲黄ちゃんもろとも地面を転がります。
その挙動はまるで、かつて私が初めてコマツールとして会った時と同じであり、今の私達と邪神としての力を取り戻したハメツールとはそれほどの差があると表している事になります。
「手加減はしてやる、だから……命が尽きるまで、我に絶望の表情を見せ楽しませてみろ」
緑ちゃんの攻撃を払ったところでダメージどころか、何とも感じていないハメツールは手のひらを空へとかざして、天候を操作します。そして雲が渦を巻いて空に風が、雷が、火が、ある一点へと集中し、それが光の矢のようにして私達へ降り注ぎました。
それはまるでリュウさんやワタカラが語っていた厄災のよう……いえ、ハメツール自身が村を滅ぼしたと言っていたので、これが二人の語っていた厄災そのものなのでしょう。
「『スカイバリア』ァァァァァ!!!」
マトモに受けたら動けなくなる。そう直感したのか、勇子ちゃんは私達の目の前に出て、ワタカラの攻撃を防げる程強固なバリアが展開されると同時に、パリンと軽い音を立てて粉々に割れます。
「えっ」
一瞬にしてバリアが破られ、何が起こったのか分からない様子の勇子ちゃん。
それはあまりにも実力差が開きすぎており、ハメツールの攻撃が触れた瞬間にバリアが維持出来なくなり割れたのだと理解したのは、私達がハメツールの攻撃を喰らった直後の事でした。
はい。今回でコマツール=邪神、そして今作の黒幕と判明しました。
数話先の後書きでするキャラ説明時にも書く予定ですが、コマツールが黒幕なのは初登場時点(13話)で確定してました。あの頃は悪の組織関連の知識ひろプリ程度しかしなかったので、「はえ~、ニチアサの側近って裏切って黒幕になるし、全部の出来事に裏で手を引いてるんだなぁ」と思ってました。
マホが曇るの、これで4回目ですかね。河川敷でのコマツール戦、ペンヨウ家出回、コマツール戦(二回目)、そして今回。うーん……魔法少女全体が曇ってる回が2回含まれてますけどアレですね。曇らせすぎたかな!
前回の答え合わせ
ダウニア・ゲジム→下字 daunia・mu
コマツール→comatool*1→文字を一つ下げる(下字)→da ni u a a m→並び替え→daa u ni a →ダウニア
mu→無→無に代える←破滅←邪神の目的
(途中で「あ、やべ。mu作るためのuが一つ足りない。取り敢えず邪神について合わせて誤魔化すか」となったのは内緒)
五十音がa→i→u→e→o→a→i→u…となるのは、第57話*2にて描写済みです。
【第二回】好きなキャラアンケート
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超能 力男
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マホ・ツカエール/スカイブルー
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赤元 勇子/スカイレッド
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長神 咲黄/スカイイエロー
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恋路浜 緑/スカイグリーン
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ペンヨウ(マホの妖精)
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ライヨウ(勇子の妖精)
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フクヨウ(咲黄の妖精)
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クラヨウ(緑の妖精)
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アクロコ
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リュウ/スリュウ・コマツール
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アヤイト・コマツール
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ワルインダーの総帥
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草加 ラン
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力学 心(ガク先輩)
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陸上部の部長