【完結】俺のクラスメイトが魔法少女な件   作:のろとり

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【三行で分かる前回のあらすじ】
 メンタル復活!
 メンタル崩壊!
 以上!

 この作品、わりと「これは秘密にしておくかぁ」って相手を気遣った結果、大惨事になる事が多い気がする。


 ちょっとした余談。私は一時間で千五百文字程度のスピードで小説を書いてますが、最近は五千文字前後なので一話作るのに3時間半、全体修正に30分ぐらいかかってます。時間足りねぇ……!


第百三十一話 私の心が疲れてしまったな件です

「嘘、だよね?」

 

「嘘だと? 貴様らは疑問に思った事は無いか? そこの妖精以外生き残れなかった理由、妖精国の結界が破られた理由、アクロコが妖精と似た容姿をしている理由……あまりにも都合が良すぎるとな」

 

 声を震わせながらも、ハメツールの言葉を必死に否定しようとする勇子ちゃん。

 しかしハメツールは、私達が今まで無意識の内に考えないようにしていた事をズバズバと指摘してきます。

 

 ペンヨウだけ生き残ったのは、私が偶然にもペンヨウと出会い逃げてる途中で別世界に移動する現象が起きたからだと。

 いつ頃か、ガク先輩に教えてもらった妖精国を覆う結界は、妖精や清い心を持つ人物しか中に入れないようになっています。ですがそれが破られたのは結界が古くなって、機能しなかったのだと。

 アクロコが妖精と容姿━━━動物のような見た目━━━が似ているのは、ただの偶然で妖精とは無関係だと。

 

「理由は簡単だ。我が国の外に出たアクロコを襲い、記憶を失わせ、身体を改造したからだ」

 

 けれどそれらは違いました。

 結界に覆われている筈の妖精国が襲われたのは、妖精だったアクロコが結界を突破してきたから。容姿が似ていたのは、似ているのではなく正真正銘妖精だったから。

 

 辻褄が合う、合ってしまう事実に私は耳を塞ぎたい気持ちに駆られますが、心が粉々になってしまい、気力だけで動いてた身体が膝から崩れ倒れてしまったが故に、それすらも出来なくなります。

 

 きっとペンヨウだけが生き残り、私と一緒に別世界に迷い込んだのも、わざわざその世界の住民が魔法少女に覚醒するのを見込んでおり、ここまで来るのを見込んだ上で絶望を与えようとしていたからでしょう。

 

「本来なら役割が終わった後、意識が無い状態で回収。そしてこの場で、貴様らの目の前で命を摘み絶望を与えようとした思ったのだがな……まさか何処にも姿が見えないとは。だが、我の計画に支障は無い」

 

 ハメツールがアクロコを見付けられなかったのは、アクロコが川に流された後に怒りに任せて私達がハメツールに戦いを挑んでいる間、何も知らないランちゃんがアクロコを拾っていたからでしょう。

 

 そしてランちゃんが力男さんの家に運んで、力男さんがアクロコを匿う事にしました。だからハメツールはアクロコを見付けられなかった。これまでの事を纏めるとそうなのでしょうが、今の私はそこまで頭が回りませんでした。

 

 あるのはひたすらに、どうして気付かなかったのかの後悔です。少し考えれば分かった事なのに、そうじゃないと意識を逸らしていた。力男さんとあんなにも仲の良いアクロコが記憶を失っているなんて、そんな素振り一切見せなかった……いえ、見せないようにしてたの方が正しいのでしょう。

 

 この場に本人が居ない以上、憶測でしか語れませんが、唯一言える事は私はそれに気付けなかった。ただそれだけです。

 

「つまり全部、あんたが悪いって事じゃない!」

 

「そうだよ! 人の記憶を弄るなんて、しちゃいけないことだよ!」

 

「緑ちゃん、咲黄ちゃん。私……私!」

 

 口をパクパクとさせて声すら出せない私と、涙を流して自分自身を責める勇子ちゃんを守るように、咲黄ちゃんと緑ちゃん私達の前に立ちます。

 

 ハンマー(武器)が無くなろうとも、リボン(武器)が効かなくとも、ハメツールに何度も立ち向かえる姿は先ほどまでそちら側であった私に希望であり、眩しい存在でした。ですが……

 

「邪魔だ」

 

 ハメツールと言う強大すぎる存在の前では、その光はあまりにも小さすぎました。

 たった一言呟くと共に私達4人に軽く払い吹き飛ばします。緑ちゃんと咲黄ちゃんはボロボロな身体をどうにか気力だけで動かそうとしますが、動く気配は一切無く、私と勇子ちゃんにはその気力すらありませんでした。

 

「とうとうおとなしくなったか。だが念には念を入れておこう」

 

 ハメツールはペンヨウを除いた妖精達に手を伸ばします。すると突如として、ライヨウ達の身体から光の球が浮かび上がると同時に身体が透け始めました。

 

「何ライ!? 急に身体が透けてきたライ!」

 

「ライヨウ、大丈夫クラ……ってクラヨウも透けてるクラ!?」

 

「……フクヨウ達の元気パワーを奪ったフクか」

 

「ご名答」

 

 ライヨウとクラヨウが慌てる中、フクヨウは冷静に状況を分析します。ペンヨウと違い、身体を持たないライヨウ達は自身の元気パワーを受かって仮の肉体を作ってこの場に居ます。

 

 もしその元気パワーが無くなったら? 答えは簡単、ニワヨウと同じように消えてしまいます。正確には消える、ではなく認識出来なくなるの方が正しいとガク先輩が話していましたが、意味合いとしては殆ど同じでしょう。

 

「待つセイ。みんな……みんな消えるなんて、そんなの駄目セイ! どうにかする方法があるかもしれないセイ。だから!」

 

 喋る力すら残っていない私達の言葉を代弁するかのように、唯一身体を持つため影響を受けていないペンヨウは必死にライヨウ達に呼び掛けます。

 

 消えてほしくない、消えずに済む方法があるかもしれないと。しかしそう言っている間にもライヨウ達の身体は消えていき、既に身体の殆ど透けてきていました。残された時間はもう無いでしょう。

 ライヨウ達はそう悟ったのか、優しくペンヨウに最後の言葉を語りかけます。

 

「今度会った時はクラヨウの料理楽しみしてるクラ。まぁあっちの世界に行って一度も料理すること無かったクラけど」

 

「次会った時に年齢弄ったら許さないライ」

 

「掛ける言葉思いつかないから、明日までに考えておくフク」

 

「みんなもっとちゃんとした言葉は無いセイ!? これが最後セイよ!?」

 

 最後の言葉だからと、一言一句聞き逃さないようにと、辛い思いを表に出さずにしようしていたペンヨウの心を無視するかのように、唐突にふざけだすライヨウ達。

 

「最後じゃないライ」

 

「え?」

 

 しかし、ライヨウ達と言葉を交わせるのはこれが最後と思っていたのはペンヨウだけでした。

 

「フクヨウは、また今度が来ると信じてるクラ」

 

「ライヨウは、また次が来ると信じてるライ」

 

「クラヨウは、また明日が来ると信じてるフク」

 

「「「だから……」」」

 

 諦めたら駄目。

 その言葉と共にライヨウ達は完全に認識出来なくなり、妖精の力を借りて変身している勇子ちゃん達は、ライヨウ達が居なくなった事で力を失い、魔法少女の姿から元の姿へと戻ってしまいます。

 

 唯一魔法少女の姿を保てている(戦う力が残っている)のは私だけですが、その私も身体を動かす事が出来ず、相手に立ち向かう心を失ってしまっています。

 

「これで魔法少女の力は封じた。妖精1匹残っているのは厄介だが……魔法少女もろとも消滅させれば何も問題は無い」

 

 決着は付いたようなもの。

 ですがハメツールは私達を……いえ、魔法少女の力を最後まで警戒しているようで、決して手を緩めることはしません。

 

「最後に一つ教えよう。実は元気パワーを取られた人間達は、我が少し細工をして夢と言う形でこの戦いを見れるようにしている」

 

「スリュウに城下町を襲わせて、魔法少女の存在を周知させるのはやはり正解だった。頑張れ、負けるなと微かな希望に縋る人間、そして魔法少女が絶望に陥るのを見れたのだからな」

 

 私達にはもうハメツールの言葉に噛み付く力もありません。あるのはただ早く終わってほしいと言う諦めの気持ち。何度も挑んだ。挑んで、挑んで、挑んで……幾ら絶望を叩き付けられても立ち上がってきましたが……私はもう、疲れてしまいました。

 

「まだセイ!」

 

 そんな中、ペンヨウだけはハメツールの前に立ちはだかります。恐怖で身体を震えさせながらも、戦う力は無くとも、無力感に何度も苛まれながらも立ち上がってきた強い心で、私達を守ろうと強く決意している後ろ姿は大きく見えます。

 

「ペンヨウは力男とまた明日遊ぶって約束したセイ。その約束を守る為にも、明日を迎える為にも諦める訳にはいかないセイ!」

 

「邪魔だ」

 

「セイッ!」

 

 しかしハメツールからすれば、その決意は無駄なモノだと思ったのでしょう。軽くペンヨウを払うと、ペンヨウは何度も地面を跳ねて私の背中へと着地します。

 

「貴様がしているのはただの時間稼ぎだ。世界が消滅すると言う恐怖を1秒でも長く味合うためのな」

 

「セ、イ……」

 

「さらばだ魔法少女」

 

 倒れている私の背中を這い、傷付いた身体に鞭を打ってもう一度立ち向かおうとするペンヨウの決意を嘲笑うかのように、ハメツールは上空に厄災を出現させます。

 

 動けない私達に攻撃するにはあまりにもオーバーキルと言いたくなるようなモノですが、それはきっと運良く当たりどころが良くて、何処かに遠くに吹き飛ばされて生き残る。なんて小さな可能性を潰すためでしょう。アレに当たれば今度こそ私達はお仕舞いです。

 

 本当なら今すぐ逃げるべきなのでしょう。ですが身体と心がそれに追い付きません。ここで私達の戦いはバッドエンドと言う形で幕を閉じてしまうでしょう。

 

 ならせめて最後は怖くないようにと、私はなんとか身体を動かして近くに居るみんなの手を握ります。そんな私の意思を汲み取ったのか、それとも同じ事を考えていたのか。全員が全員、一緒に手を握ります。

 

「ごめ……さ……」

 

 その謝罪は世界を救えなかった事に対する負い目か、この光景を見ている人々に対してか、一緒に魔法少女をした結果こんなにも辛い思いをさせてしまった勇子ちゃん達に対してか、自分自身に対するものか。口にした私にすら分かりませんが、あるのはただひたすらに悲しい気持ちのみでした。

 

 私はひっそりと目を瞑ります。

 目の前の光景(現実)から逃げるように。全てを諦めて。

 

(マホが謝る必要なんてねぇよ)

 

 …………? 幻聴、でしょうか。

 動くことの出来ない私の頭に声が響きます。その口調は何処かぶっきらぼうで、だけど私を気遣ってくれているようなモノです。聞き覚えがありつつも、今の私にはそれが何処で聞いた覚えがあるのか検討も付けません。

 

 ですがその言葉を聞いて心が軽くなったような感覚を覚えます。幻聴だとしても、最期にそんな言葉を掛けてくれて本当に、ありがとう……ございま……

 

「『テレポート』」

 

「え?」

 

 この場に居ない筈の人の声。

 どうして貴方がここに。その疑問を浮かべると共に、私の視界の景色は一瞬にして変わるのでした。




【ハメツールの行動】
・アクロコの記憶改竄。幹部兼捨て駒として戦えるよう、身体を改造
・妖精国をアクロコに襲わせる。アクロコに襲わせた理由は結界を突破する為と、かつて苦汁飲まされた存在である妖精が自身の国を壊すと言う光景を楽しむ為
・幹部としての最後*1の働きが終わったので、川に流してあたかも死んだように見せかけた
・その後アクロコを回収しようとしたが、マホ達と多少戯れている間にランがアクロコを拾いカバンに閉まった為、何処に居るのか検討も付かず、計画的には居ても居なくても問題無いので海に流されたのだと諦める*2
・自称魔法使いの部長の存在を知って、何処かで5人目の魔法少女が誕生したと警戒。行動を控えてリュウに調べさせる
・身体が消えない程度の力を残してる妖精を4匹のみ残し、5人目の魔法少女の存在を流して希望だけ与える。なお、ニワヨウの存在は完全に予想外
・リュウに城下町を襲わせて、一般人に魔法少女の存在を周知。魔法世界全体に魔法少女と言う希望を与える
・魔法少女の伝承を自ら書く(封印場所を記載しなかったり、後世に自身が不利になる情報を残さないため)
・ワルインダーの幹部時代に魔法少女と戦い、現在の実力を確認。ワタカラに勝てる可能性があり、尚且つ邪神の力を解放した自分に敵わない事を確認する
・色々と希望を見させた上で、絶望を与えて人々の表情を楽しむ

 結論:性格悪いなこの邪神。
 本編で明確に描写出来てない部分(ランの件とか)を含めて色々書いてみました。部長が本人の知らない所で戦況を引っ掻き回してる……。

*1
アクロコは命が奪われると思って、最期と勘違いしていた

*2
ランと力男に話しかける紳士風の男性の正体はコマツール

【第二回】好きなキャラアンケート

  • 超能 力男
  • マホ・ツカエール/スカイブルー
  • 赤元 勇子/スカイレッド
  • 長神 咲黄/スカイイエロー
  • 恋路浜 緑/スカイグリーン
  • ペンヨウ(マホの妖精)
  • ライヨウ(勇子の妖精)
  • フクヨウ(咲黄の妖精)
  • クラヨウ(緑の妖精)
  • アクロコ
  • リュウ/スリュウ・コマツール
  • アヤイト・コマツール
  • ワルインダーの総帥
  • 草加 ラン
  • 力学 心(ガク先輩)
  • 陸上部の部長
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