【完結】俺のクラスメイトが魔法少女な件   作:のろとり

135 / 166
 今回の作業BGM:バイバイYESTERDAY

 140話辺りで終わるかなぁ~とこの前まで思ってました。想定してたより描写が膨らみまくって、完結までの道のりがより長くなってます。誰だよ大体20話前後で最終章終わる言った奴、全然終わらねぇよ!

 うーん。魔法少女側の展開が必要な都合上仕方無いとは言えど、バトルとシリアス続くなぁ。あらすじに注意事項出してるけど、ジャンル変えるべきかな?
 いやでも、作品の序盤から後半まで日常描写多めだからなぁ。むむむ……


第百三十五話 私達の心が紡ぐ絆な件です

「ここ……は?」

 

「地獄ワニ」

 

「今回は冗談で済まないんだから止めとけ」

 

「じ、ごく……?」

 

「おい待て信じるな」

 

 魔法世界に居ない筈の力男さんの言葉が聞こえ、私はうっすらと開いている眼から見える景色が、先ほどとガラリと変わっているのに気が付きます。

 

 目の前に居た邪神は居なくなっており、遠くに吹き飛ばされたはずのリュウさんとワタカラ、そして科学部の部室で私達の帰りを待っているアクロコと力男さんの姿がありました。

 

 アクロコの冗談を一瞬、ほんの一瞬だけ信じますが、よく周りを確認すると私の居る場所はワルインダーのアジトでした。

 

 どうしてアクロコと力男さんがこの場に居るのか。

 どうやって空高くに浮かぶここまで来れたのか。

 どんな方法で一瞬にして移動出来たのか。

 

 様々な思考が交差し、終わりの見えない答えを探し続けますが、この場で唯一確実に言える事は私達はまだ生きている事だけでしょう。

 

「悪いリュウ。みんなを見といてくれ」

 

「力男さん待ってくだサ……また消えてしまいたしタ」

 

 何がどうなっているのか。

 力男さんは私がこの場に移動してきたように、一瞬にしてその場から消えてしまいました。首だけを動かして辺りを確認しますが、少なくとも近くには見当たりませんね。何処に行ったのでしょうか……?

 

「勇子さン、咲黄さン、緑さン。意識はありますカ……?」

 

「う、うぅ」

 

「うあ……」

 

「ぐ、う」

 

 私が力男さんを探している中、リュウさんは冷静に━━━力男さんが「また」消えたと言っていたので、少なくとも一度は同じ光景を見ていた事になるので、動揺はあまり無かったのでしょう━━━勇子ちゃん達の様子を確認します。

 

 今までの肉体的なダメージに加え、ライヨウ達が消えた事や変身が解けた精神的なダメージも大きいのでしょう。唸り声を上げるのみで、意識もあまりハッキリしているような状態ではありませんでした。

 

「アクロコ、力男は何処に行ったセイ?」

 

「…………」

 

「アクロコ?」

 

 そんな中、ボロボロながらも意識はしっかりしているペンヨウは、アクロコに力男さんが何処に行ったのかを問います。

 しかしアクロコは無言をその問いに貫き、ペンヨウは首を傾げてもう一度アクロコの名前を呼びます。

 

「……に……ワニ」

 

「え、なんて言ったセイ?」

 

「邪神の元に戦いに行ったワニ。ワニャア達を置いて、たった1人でワニ」

 

 アクロコは拳を強く握り、顔を歪ませます。

 その表情からは、1人で戦おうとする力男さんへの怒り、一緒に戦わせてくれないのかと言う悔しさ、自身の力不足に対する嘆き。

 様々な感情を感じませますが、それでも決して私達の側を離れようとしないのは、きっと力男さんに私達の近くに居るよう頼まれたからでしょう。

 

「マホ、急いで力男を追い掛けるセイ!」

 

「…………無理ですよ」

 

「マホ?」

 

 力男さんを助けようと、ハメツールの元へ向かおうと私に手を差し伸べてくるペンヨウですが、私はその手を取らず静かに首を横に振ります。

 

「勇子ちゃんも、咲黄ちゃんも、緑ちゃんも既に戦えません。残りは私1人(独り)だけ。勝てっこ無いです」

 

「そんな事は無いセイ! 例え今は勝てなくても、何回も挑めば」

 

「挑んだ結果が、これなんですよペンヨウ」

 

 私達はこれまで怪人、アクロコ、リュウさん、ワタカラ、そしてハメツールと様々な相手と戦ってきました。魔法少女の力に目覚めたとは言えど、ほんの半年前(4月)までは何の力も持たない普通の人でした。

 

 決して順風満帆な戦いとは言えず、何度もピンチを迎え、何度も心が折れ、何度も負けて、力不足を痛感してきました。それでも周りの支えもあり、私達は戦い続ける事が出来ました。ですが……

 

「もう、疲れてしまいました」

 

 私達の今までをハメツールが裏で操っていたり、絶望を見たいからなんて理由で妖精国の王様だったアクロコと私達を戦わせたり。私はいつまでハメツールの思惑通りに動き、こんなにも辛い思いをすれば良いのでしょうか。

 私達の明日を、日常を守る為には戦うしか理由が無いのも理解はしています。それでも、それでも……

 

「動かないんですよ。身体も心も何もかも」

 

 身体に力が入らない。

 心が動こうとしない。

 頭が働かない。

 

 あるのは世界が最後を迎える事実を、自然と受け入れてしまう本能のみ。まるでそれが常識のように。あるべき未来であるかのように。

 

「それが貴様の答えか、ブルー」

 

「義姉さン」

 

 目から光を失い、呆然と空を眺める私にワタカラは魔法少女としての名前で私を呼んできます。

 戦う事を放棄した私はもう魔法少女なんかではありません。それでも先ほど教えた本名ではなく、そちらの名前で呼んでくれるのは、私がまだ戦えると思っているからでしょうか。

 

「私と貴様は似ている。戦う力がある所も、弟がいる所も、絶望から立ち上がってきた所も、目的の為には諦めようとしない所もな」

 

 魔法少女の力と、世界征服の為に付けた力。

 マジュくんと、リュウさん。

 戦いによる絶望から立ち上がった私と、故郷が無くなると言う絶望から立ち上がったワタカラ。

 日常を守る為に諦めなかった私と、リュウさんを守る為に諦めなかったワタカラ。

 

 もしハメツールがワタカラではなく、私に目を付けていたら。生きてきた時代が違う以上、確実とは言えませんが私とワタカラの立場は逆になっていたかもしれません。

 

「だが」

 

 しかしワタカラは私のその考えを否定するように、言葉を続けます。

 

「決定的に違う所が一つある。それは、差し伸ばされた手を取ったかの違いだ」

 

「私はスリュウが差し伸べた手を振り払った(無視した)。一方で貴様はどうだ、先ほどそこの妖精が差し伸べた手を振り払った(無視した)か?」

 

「そ、れは……」

 

 差し伸べられた手を無視して独りになった(・・・)ワタカラと、差し伸べられた手を拒否して独りになろうとする(・・・・・・)私。

 過去と今、その違いはまだ間に合うかどうか。過去を変える事は誰にも出来ません。それが魔法少女だろうとも、世界征服を狙う悪の組織だろうとも、世界を滅ぼせる力のある邪神だろうとも。ですが今を変える事は誰にも出来ます。

 

「マホ! ペンヨウが付いてるセイ。だからきっと、大丈夫セイ!」

 

「僕も居るのを忘れられたら困りますヨ」

 

「…………ごめんなさい」

 

 ワタカラが、ペンヨウ、リュウさんが手を差し伸べてきてくれますが、私は少し迷いつつもその手を受け取らない選択をします。

 

 私達がいくら頑張った所でハメツールを倒す事は出来ないでしょう、そう確信してしまう程の強さがハメツールにはあります。

 これ以上、人が無駄に傷付いていくのを見ていられません。諦めたくない気持ちが芽生えつつも、私はみんなに傷付いてほしくなくてその手を拒否して独りになろうと━━━

 

「スカイブルーは、ワニャアを助けようと手を伸ばしてきた事を覚えているワニ?」

 

 しようとして、アクロコの突然の言葉に動きが止まります。

 アクロコを助けようとした時、それはきっと河川敷での話でしょう。私達を倒す事に失敗したアクロコは用済みと言われてハメツールに川に投げ捨てられようとした時、私は敵対していた事も忘れアクロコを助けようと動きました。

 

「ですが、あの時は間に合わなくて」

 

「なら今はどうワニ」

 

「え?」

 

「総帥が、スリュウが、ペンヨウが、ワニャアが友達を助けたいと思って、手を伸ばしているワニ。あの時のように、もう間に合わないワニ?」

 

 それはこの世界に来た頃、勉強に付いていけずにテストに頭を抱えた私を助けようとしてくれた力男さんのように。

 それは陸上部を体験入部した時、部活動について右も左も分からなかった私に優しく教えてくれた部長さんのように。

 それは河川敷での戦いの後、塞ぎ込んでいた私を励ましてくれた勇子ちゃんのように。

 それはホームシックになっていた頃、深く事情を知らずとも悩んでいた私を何も言わず助けてくれた咲黄ちゃんのように。

 それは下心がありつつも、涼しい場所を探していた私達に部室を貸し出してくれたガク先輩のように。

 それは自分の恐怖を打ち明けつつ、後悔が無いようにしようと話してくれた緑ちゃんのように。

 それは私達の事情を一切知らずとも、困った事があればすぐに助けてくれたランちゃんのように。

 

 同情や自己満足ではない。敵だった事も関係ない。

 相手を困ってるから、相手が悩んでいるからと言った純粋な理由で、アクロコは手を差し伸べてきました。

 

『私は後悔したく無いの。やった後の後悔よりも、何もしなかった後悔、そして何も出来なかった時の後悔の方がきっと大きいわ』

 

 私はかつて緑ちゃんが掛けてくれた言葉を思い出します。もし私がここで手を取らなかったら? 心は揺らぎつつも、人が傷付くのが怖いからと動こうとしなかった(手を取らなかった)のを後悔するでしょう。

 その後悔を残したまま私は消えたいのか。

 

「まだ……まだ間に合います!」

 

 その答えはノー。私はそんな大きな後悔を一生背負いたくありません。

 私はアクロコの手を強く握り立ち上がります。

 ありがとうございます。お陰で目が覚めました。敵わないかもしれない、傷一つ付けられないかもしれない。だとしてもせめて、全てをやりきって後悔の無い最後にしましょう!

 

「良かったワニ! それじゃあこれからハメツールを━━━」

 

「我を呼んだか、アクロコ」

 

 立ち上がった私を見て笑顔を溢したアクロコの言葉を嘲笑うかのように、私達の目の前に先ほど戦った時よりも、身体が大きくなっているハメツールが現れました。




 今回のタイトル「私達の心が紡ぐ絆な件です」は、これまで和解してきた敵達をイメージしてますね。

私達の心=敵対した相手すらも許す優しさ
紡ぐ絆=友達と、そして敵と結んできた絆の力によってマホ復活

【第二回】好きなキャラアンケート

  • 超能 力男
  • マホ・ツカエール/スカイブルー
  • 赤元 勇子/スカイレッド
  • 長神 咲黄/スカイイエロー
  • 恋路浜 緑/スカイグリーン
  • ペンヨウ(マホの妖精)
  • ライヨウ(勇子の妖精)
  • フクヨウ(咲黄の妖精)
  • クラヨウ(緑の妖精)
  • アクロコ
  • リュウ/スリュウ・コマツール
  • アヤイト・コマツール
  • ワルインダーの総帥
  • 草加 ラン
  • 力学 心(ガク先輩)
  • 陸上部の部長
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。