【完結】俺のクラスメイトが魔法少女な件   作:のろとり

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第百三十七話 俺達の反撃準備が整いつつあるな件

「なっ、あ……」

 

 俺達にとっては希望、邪神にとっては絶望の存在である、5人目の魔法少女が誕生した。

 邪神は目の前の光景を信じられず、ひたすらに呆然としている一方で俺はペンヨウが魔法少女に変身した光景を見て安堵する。

 

「作戦成功だな」

 

 予兆自体はあった。

 アクロコは元々妖精だから、何か切っ掛けがあれば元に戻れると踏んでいた。もっと言えば、元気パワーのなんかこう、願う力で元に戻るかなぁ~と思ってた。

 

 けど問題は肝心の魔法少女だ。

 女の子。

 魔法少女に関する事情を知っている。

 誰かを守りたいや、助けたいと言った強い思いを抱いている。

 

 この3つをクリアしている人物が俺の中では魔法少女候補だった。

 一応変身する時だけ性転換するって可能性もあったのだが、ニチアサで性転換なんて小さい子に分かりにくい内容を入れるか? って疑問があったからな。後性転換の場合、候補が俺、リュウ、部長になるが……魔法少女の条件には微妙に合致しないだろう。

 

 俺はマホたちの事情を知っており、今回に関しては明日(マホ達)との日常を守りたいって思いはあった。だがなまじ傍観者のような立ち位置で居るし、そんな純粋な気持ちを抱ける程俺は穢れていない訳じゃない。

 リュウも条件はクリアしているが、あくまで義姉を知りたい。困っているなら手を貸したいと言った、マホ達とは少し違うベクトルの気持ちなので除外だ。

 最後は部長だが……あの人はよく分からない。てか事情よく知らないだろうし、あの人に関しては陸上と咲黄に対して情熱を抱いてるので、これまたベクトルが違うだろう。

 

「有り得ない。たかが妖精が、記憶も力の使い方も何もかも忘れた駒が、あの忌々しい魔法少女などと、そんな偶然」

 

「この世は全て必然起きている、偶然や奇跡なんて存在しない。お前の言葉だったよな、邪神野郎」

 

 邪神が妖精が魔法少女に変身するのが有り得ないと動揺しているように、俺自身もペンヨウが変身するとは確信はしていなかった。

 

 そもそもとして、ペンヨウはガク先輩の人間になる薬を飲んだにも関わらず何も変化が無かったのだ。だから人間、つまりは魔法少女候補から外れていた。

 

 けどよく考えればおかしいのだ。人間(マホと勇子)は妖精になれた。なら何故その逆は成立しないのか。俺は最初、気体から液体、液体から気体に戻るような状態ではなく、卵から卵焼き、卵焼きから卵に戻れないような状態なのかと思った。

 

 だが俺は考え、その時足りなかったものを見つけた。それは元気パワー、そして強い思いの2つである。

 まぁガク先輩は俺よりも早く気付いてたのか、夏祭りの時点で元気パワーを凝縮させたアイテム(おみくじ)をジョーカーと称してマホに持たせてたが。

 

 推測立ててから行動するのはえーよあの人。マホと勇子を妖精にしたのも、夏祭り行ったのも両方夏休みの出来事だろ。しかも俺が元気パワー取られないよう、超能力で全身にバリア張って防いでるのに目を付けて、おみくじにも同じ細工してたし。

 

 ペンヨウを魔法少女候補だと目を付けてたのか色々実験してたようだし、パートナーの妖精に関してはニワヨウにしようと考えてたのか? 結果としては違ったが、あの人なりに色々動いてたんだな。感謝だな……まぁ早く言ってくれよとは思うけど。

 

「アクロコ……いや、ワニヨウ。それが元々の姿か?」

 

「そうワニ。力男、ワニャアはカッコいいワニ?」

 

「点数を付けるなら王冠40点、マント60点の100点満点だ。良かったなワニヨウ」

 

「ワニャア自身の点数は何処ワニ!?」

 

 どうやらワニヨウはこの点数に不満があるらしい。

 ちゃんと100点満点にしたんだけどな。まるで身に付けてる服装だけ評価されて、自分自身が0点評価された事に不満な反応しやがって……いやまぁ、実際にそうなんだろうけどさ。

 

「力男、その傷大丈夫セイ?」

 

「これが大丈夫に見えるなら眼科にでも行っとけコノヤロー」

 

「ペンヨウは野郎じゃなくて女の子セイよ」

 

「うん知ってる」

 

 懐かしいなこのやり取り。

 ペンヨウは俺のボロボロな身体を見て心配してきてくれるが、俺はそれに対していつ頃かの……1匹で出掛けるペンヨウを心配してマホ達が尾行した結果、色々あって魔法少女に関する秘密を共有した日と同じやり取りを繰り返す。

 

「今治すセイ」

 

「治す? いや、お前にそんな回復能力無いだろ」

 

「はい、治ったセイ」

 

「お前何処でそんな特殊能力手に入れた!?」

 

 ペンヨウは俺━━━いや、俺やマホ、倒れている勇子達に手を翳すとそこから綺麗な光が出現し、その光が俺達の傷をドンドンと癒し始めた。

 

 唐突に手に入れた新能力使いこなして傷を治すなよ。いや助かるけど、身体中痛かったから本当に助かるけどそんな即落ち2コマみたいな感覚で治されても困惑が先に来るからな!?

 

「ん、あれ。私……!」

 

「ここは……って誰!? なんか変身した私達みたいな格好している人が居る!?」

 

「ペンヨウはペンヨウセイ。まぁ、どうしても他の名前が良いって言うなら、スカイフェアリーと呼ぶセイ」

 

「これは夢ね。勇子、寝ましょうか」

 

「うんそうだね」

 

「寝るなセイ!」

 

 なんなんだコイツら。

 さっきまで戦っていて、たった今目が覚めただけなのにいつものテンションを貫く勇子達に俺は呆れる。

 別に世界の危機なんだから緊張感を持てとは言わないけど、もう少し「ここは何処!?」って慌てても良いじゃねぇかよ。なんだよ夢だから寝るって。寝ようとするな。

 

「5人目がなんだ、魔法少女がなんだ……我が、我が世界の支配者だ!」

 

「ちょっ、やべ!」

 

 俺達が喋っていると、呆然としていた邪神が正気に戻り俺達に攻撃を仕掛けてきた。

 勇子達は傷こそは治ったけど変身出来ない。なら俺がテレポートで移動させる? けど俺のテレポートは半径〇メートルの人間を~みたいな範囲内に居る人物を移動させる訳ではなくて、俺が触れた人物とその人物に触れている━━━さっきのマホ達のように、手を繋いでいる状態などが条件━━━しか運べない。全員離れてるから、テレポートするにしても間に合わない。

 

 ならサイコキネシスか? いやでも、アレは対象に触れないと効果は無いし、邪神の動きを止められるほど強力ならとっくに使ってる。じゃあテレパシーで全員に逃げるよう伝え……ああでも、逃げるよりも邪神の攻撃に当たる方が先だ!

 

 じゃあ他に出来る事はなんだ。千里眼と念聴はこの場だと確実に意味は無い。邪神相手にテレパシーを使ったとしても、さっき気を逸らさせる為に「テレポート」って送ったから、同じ手を使ってもすぐに読まれるか反応すらしないだろう。どうすれば……!

 

「『スカイアタック』ッ!」

 

「おい待てマホ! それ効かな━━━」

 

 俺がそう思考を巡らせていると、マホが俺達の前に飛び出して邪神目掛けて攻撃をした。

 助けてくれるのは嬉しい。だが邪神に攻撃をした所で効かないのは目に見えている。攻撃を食い止めている間に逃げろとでも言いたいのかもしれないが、それだとマホは……!

 

「なっ! がぁぁ!!」

 

「…………い?」

 

 しかし俺の想像とは裏腹に、マホと邪神の攻撃は互いに拮抗しあう。純粋な力で言えば普通の攻撃である邪神と、技を使っているマホを比べるならば、当然邪神の方が強いのだろう。

 

 それでも拮抗するとは俺も邪神も想定しておらず、一瞬だけ動揺した邪神は力が緩んだのかマホの技に押され、遠くへと殴り飛ばされた。

 

「なぁマホ。お前、いつからそんな強くなったんだ?」

 

「実はペンヨウに傷を治してもらった辺りから、力が身体中から沸いてくるような感覚でして」

 

「ペンヨウじゃなくてスカイフェアリーセイ」

 

「分かりましたペンヨウ」

 

「ちゃんと話を聞くセイ!」

 

 ペンヨウに回復してもらったから?

 そうえばと、俺は右手を握ったり開いたりして自身の身体を確かめる。俺もペンヨウに回復してもらってから身体の調子が良いな。てっきり傷が治ったからだと思ってたが。

 

 こんな事、前にもあったような……あぁそうだ、ガク先輩に気絶させられた時だ。いやまぁこの説明だと語弊が生まれそうだから補足を加えると、元気になる薬を飲んだ時だな。

 

 そう考えると、元気パワーの影響で身体の調子が良いのか。でもその元気パワーって何処から持っていてるんだ? そんな大量に元気パワーを持て余してるヤツなんて……

 

「あ、居たわ」

 

 話の前提として妖精は元気パワー司る存在であり、魔法少女は元気パワーを使いこなす存在だ。

 そして元気パワーは無限じゃない。限りが有るからこそ、奪われて今のように世界が終わりかけているのだ。

 

 だからペンヨウが俺達の傷を治すために元気パワーを使っているのには、必ずしも限界はある。けどその限界が来ない様子が見えない、もっと言えば複数人の傷を治すなんて大きな願いを叶えられたのはワニヨウの影響が大きいだろう。

 

 ワニヨウは何度もガク先輩に騙されて、元気になる薬を摂取して元気パワーが有り余っている。更には生活している上で俺やランに何度も触れた結果、そこで元気パワーを手に入れてたりもするだろう。

 

「うん、まぁ……その。あれだ」

 

 チートじゃねぇか!

 あの邪神倒すにはそれぐらいの力が必要なのかもしれないけど、常時願いが叶えられる特殊能力ってなんだよ。マホ達を見てみろよ、パンチ、バリア、リボン、ハンマーだぞ。それに対してペンヨウだけおかしいって。確実に強さのインフレ起こしてるって!

 

 ま、まぁもしかしたら出来ない事あるかもしれないからな。ここは実験ついでに一つ試してみるか。個人的にもアイツらにもう一度会いたいし。

 

「おいペンヨウ、ライヨウ達にもう一度会いたいか?」

 

「会いたいセイ。会ってまた一緒に遊びたいセイ」

 

「なら祈れ。俺達の傷を治した時と同じ感覚でな」

 

 俺の言葉通りペンヨウは祈り始める。

 もう一度ライヨウに、フクヨウに、クラヨウに会えるようにと。すると何も無い空間が突如として3つの光が現れ、それらは俺らの知っている人物を形作り始めた。

 

「まだ明日になってないから帰って良いクラ?」

 

「久しぶりって言う程の時間は経ってないライね。ペンヨウ」

 

「まだ言葉思い付いてないからもう少し待ってほしいフク」

 

「…………なぁペンヨウ。今の無しにしてもう一度感動の再会やり直そうぜ」

 

 なんか色々と台無しな再会なんだけど。

 存在が認知出来なくなっただけで、勇子達の近くに居た━━━さっき千里眼で調べた━━━ライヨウ達は全ての事情を把握していたようで、ペンヨウが魔法少女になった事にも、復活した事にも驚かずに、挨拶をするかのように軽く、日常的な会話をするのであった。

【第二回】好きなキャラアンケート

  • 超能 力男
  • マホ・ツカエール/スカイブルー
  • 赤元 勇子/スカイレッド
  • 長神 咲黄/スカイイエロー
  • 恋路浜 緑/スカイグリーン
  • ペンヨウ(マホの妖精)
  • ライヨウ(勇子の妖精)
  • フクヨウ(咲黄の妖精)
  • クラヨウ(緑の妖精)
  • アクロコ
  • リュウ/スリュウ・コマツール
  • アヤイト・コマツール
  • ワルインダーの総帥
  • 草加 ラン
  • 力学 心(ガク先輩)
  • 陸上部の部長
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