【完結】俺のクラスメイトが魔法少女な件   作:のろとり

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 今回は7000文字オーバーです。

小話その1:力男は最近、ある事情によりランを背中に背負うことを避けている。
小話その2:緑はその光景を見て、内心「あらあら」と思っている。
小話その3:ランは力男が自身を背負った時にパロスペシャル(プロレス技)を掛けようと企んでいる。
小話その4:と、言う思考に力男はテレパシーで気付いている。
裏話その2:困ったらリュウをアホの子にしてオチ要因、もしくは弄られ担当などの不憫属性を付ければ話が丸く収まると思っている。ただし、理不尽過ぎる内容は無駄にヘイトを買うので注意している。


その5 友達のプレゼントが中々思い付かないな件

「うーん。どうするべきか」

 

 勢い任せにラブリーロードを出た俺だが、そもそもとしてプレゼントの内容を悩んでいた事を思い出し、脚を止める。

 あぁ、店出る前に優正や緑にアドバイス貰えば良かったなぁ……今から戻って相談するか? いやでも、ワタカラとリュウの件が一件落着して、わざわざ用事があるからってラブリーロード出てきたのに、また戻るのは恥ずかしいな。

 

「…………!」

 

「ッ!?」

 

 そう考え事をしていたからだろうか。

 俺は背後から近付いてくる人物に気付かなかった。俺はその人物に背後から目を隠されて……なんてボケてる場合じゃねぇ!

 

 俺の超能力は基本的に視界内の範囲でしか機能しない。

 例えばだが、今俺の目を隠している相手の心を読む為には、その人物を視界に捉える必要があるが、目を隠されている現状ではそんな事は出来ない。

 つーかなんで手のひらで目を隠してくるんだよ。もしかしてアイマスクとか目を隠す系の道具買うの渋った? 100均行けば売ってるだろ、誘拐するならそこで金渋るなよ!?

 

 うーん。手のひらを透視して視界を確保するのは可能だけど、肝心の俺に目隠しして来てる奴は後ろに居るから確認出来ないんだよな。近くにガラスや鏡があれば反射して見れるだろうが、都合よくそんな物は無い。

 

 最終手段としてテレポートするか? でも周りの目があるから、それで騒ぎになるのは面倒だ。それに後ろに居る相手がどんな奴かも分からない。もしかしたら、俺が超能力者と知った上でこういった行動をしているかもしれない。

 

 …………ここは話が通じる相手なのかを確認しよう。テレポートするのはそれが分かってからでも遅くないはずだ。取り敢えず話が通じない相手だったら、テレポートでガク先輩の家に逃げて、咲黄達に助けを乞うか。

 

「お前はいったい……誰だ?」

 

「ふっふっふっ。誰でしょーか!」

 

「なんだ勇子か」

 

「あれ、反応薄い!」

 

 さっきまでのシリアスした空気を返せ。

 俺は目隠ししてした相手、勇子の手のひらを目元から退けて後ろを振り返る。下校中に寄り道でもしていたのか、制服姿━━━かくいう俺も寄り道中だったので、制服姿のままではあるが━━━の勇子は俺の反応が薄い事に驚いているが、内心ではものすごい焦ったんだぞ。

 

 まぁただのふざけだったから良いか。

 実際、俺も俺で神経質だったし。邪神は完全に居なくなったけど、もし(前世)の時みたいに自分の知らない所で事件が起こってたら考えたら、どうにも警戒しちまうな。癖みたいになってるなぁ。少しずつ意識して直さないと。

 

「それで、何してんだ?」

 

「マホちゃんが魔法世界に帰ってて、暇だなぁ〜と思ったら力男くんを見つけたから少し脅かそうと思って」

 

「あぁ、うん。驚いた驚いた、勇子は凄いな〜。で、それよりもさ」

 

「それよりも!?」

 

「マホが魔法世界に帰るなんて唐突だな。何かあったのか?」

 

「なんかマジュくん成分が足りないとか何とかで」

 

「なるほど納得」

 

 ただのブラコンか。

 そういやマホの弟にはまだ一度も会ってなかったな。前にマホを迎えに、ガク先輩とマホの両親が運営する喫茶店には行った事あるけど、あの時は会えなかったかなぁ。

 時間が合えば会えたかもしれないが、マホに事情を説明し終わったからすぐに喫茶店を出て、ワタカラとリュウと合流しようと、魔法世界の各地を移動しまくっててそんな余裕無かったからなぁ。今度マジュへ会いに魔法世界に行ってみるか。

 

「そうだ勇子。暇なら少し手伝ってほしい事があるんだが」

 

「ふっふっふっ。この私が簡単に動くと思ってるのかな?」

 

「あ、なら良いや。ゆっくり暇潰せよ」

 

「冗談だから! 冗談だからちょっと待って〜!」

 

 内心では「手伝う」と思っていながらも、ちょっとした意地悪な言葉を吐いてくる勇子をその場に置いてスタスタと歩く俺を、勇子は慌てながら追いかけてくるのであった。

 

 

 

 

 

「ランちゃんの部長記念プレゼントかぁ」

 

「そうなんだよ。前に約束したけど、中々良いのが思い付かなくてな」

 

「あ〜、そういえば前に話してたね。ってあれ、その話からどの位経ったっけ?」

 

「1週間」

 

「結構悩んでるんだね」

 

 俺を追いかけてきた勇子に事情を説明し、ランへのプレゼントを一緒に考えるのを手伝ってくれるようだ。

 

「うーん……あっ! 食べ物はどうかな!」

 

「え、何。腹減ったの?」

 

「違うよ!?」

 

 良かった。もしボケたのなら、爺ちゃん婆ちゃんのように「勇子、昼ごはんならさっき食べただろう?」って聞く必要があったからな。

 

「ほら、ランちゃんって沢山食べるからさ。食べ物あげたら喜ぶかなぁ〜って」

 

「うーん。でも追試頑張って褒美にポッ〇ーあげたからなぁ。流石に食べ物で被るのは」

 

「そっかぁ……」

 

 わざわざ案を出してくれて悪いが、短期間に同じ系統のモノをプレゼントしたら喜びが半減してしまうだろう。

 

「あ、そうだ! こういう時はランちゃんに詳しい人に聞いてみたら?」

 

「自問自答しろと?」

 

「そういう意味じゃないよ!」

 

 どうやら違ったらしい。

 てっきり俺の事を指してると思ったんだかなぁ。ほら、俺とランは言葉に出せずとも視線だけで会話出来るし。以心伝心と言えないまでも、ランに詳しい自信あるし。

 

「幼馴染の咲黄ちゃんなら色々知ってるんじゃないかな?」

 

「あっ確かに。今日は頭が回るな勇子」

 

「えへへ〜……ってあれ。今日は? ねぇ力男くん。今日って何? それだとまるで私がいつもは馬鹿みたいじゃん!」

 

 両肩を掴んでユッサユッサと揺らしてくる勇子をそのままに、俺は咲黄のスマホへと電話を掛ける。

 それなりに時間経ったとは言えど、今日は学校あったからなぁ。寄り道しててまだ帰ってないなら通じないが、どうだろ。もし通じなかったら、家に居ないだろうから家の方に掛けても意味ないだろうが……あぁ良かった、繋がった。

 

「もしもし咲黄?」

 

『此方咲黄くん。此方咲黄くん。何か用かね? 力男く』

 

「ごめんなさい間違えました」

 

 俺は電話を切った。

 落ち着け、落ち着くんだ。某Dの名を持つ革命家も言ってたじゃないか。まずは事実確認だと。そうだ、これはきっと勇子に揺さぶられてたから電話を掛ける相手を間違えたんだろう。なんかガク先輩が自分自身を咲黄だと名乗ってた気がするが、きっと気のせいだろう。

 

 登録してある名前は咲黄。

 履歴に載ってる名前は咲黄。

 俺が聞いた声はガク先輩。

 

 …………よし、気のせいじゃないな。

 俺は電話の主が咲黄のスマホを使っているガク先輩だと確信を持つと、無言で再度掛ける。すると俺がすぐに掛け直すと思っていたのか、コール音が鳴る暇も無くスマホから声が聞こえてきた。

 

『全く。そっちから電話を掛けといて、勝手に切るのは礼儀が悪いとは思わないのかい?』

 

「ぐぅの音も出ない」

 

 人の電話に出るのも礼儀が悪くはあるが、最初に礼を欠いたのは俺の方だ。お互い様だと言うのは簡単だが、元は俺が原因だから何も言い返せない。

 

「なぁガク先輩。そこに咲黄居るか?」

 

「ふむ。咲黄くんに何か話かね?」

 

「それ以外無いだろ。あとなんで咲黄宛の電話に出てるし」

 

『いやなに。面白そうな予感がしたので、咲黄くんから借りたのさ』

 

『えっと、そろそろ良いかな……?』

 

『あぁ、すまないね。今返すさ』

 

 電話越しにガク先輩ともう一人、つまりは咲黄の声が聞こえる。

 今更ながらだが、スマホが通じている事から咲黄は一度家に帰ったのだろう。そして今は何処に居るのかは知らないが、ガク先輩と一緒に居るようだ。あの人が誰かと一緒に居るのは珍しいな。

 

「もしもし咲黄?」

 

『もしもし力男くん? どうしたの?』

 

「少し咲黄の力が借りたくてな。今大丈夫か?」

 

『うーん……ガク先輩、良いかな?』

 

『一区切り付いたから問題無いさ』

 

「ん? もしかして今って急がしかったか?」

 

 咲黄からアドバイスが貰えたら嬉しいが、ガク先輩に対して何か用件があるならそっちを優先してほしい。話から察するに、先客はガク先輩の方だろうからな。俺の方は話し合いだけだから、別に明日でも問題は無い。あまりランを待たせるような事はしたくないけどな。

 

『いやなに。部長くん……もとい、優正くんが高校に進学しても勉強を教えられるようにと、高校の範囲を教えてほしいと頼まれてね』

 

「ガク先輩が優正に直接教えた方が早いだろ」

 

『私が教えたいの!』

 

「お、おう」

 

 引っ込み思案気質━━━最近は本当にそうなのか若干怪しく思っているが━━━の咲黄がここまで強く出るのは珍しい。恐らく内心では「お兄ちゃんと二人っきりで居られる時間が減っちゃう!」とでも考えているのだろう。

 

 いつもならブラコンが出たのだと呆れるが、理由が理由だけに咲黄が強く出るのに納得がいってしまう。

 来年から俺達は中学2年生、そして優正とガク先輩は進級して高校生となる。そうなれば当然の事ではあるが、別々の学校へ通う事となり、今まで以上に互いに接する時間が減ってしまうだろう。

 

 高校の範囲も教えられるようにと言うのは、建前半分本音半分。より詳しく説明するのであれば、今の内に勉強と言う理由を付けて、少しでも優正と一緒に居られる時間を増やしたいと思っているのだろう。

 

 そもそも、肝心の優正が高校に合格するのは少し心配だが……きっとスポーツ推薦でなんとかなるだろう。もし咲黄との時間を大切にする為に推薦蹴って近場の高校に一般で入学するとなったら知らないが、咲黄とガク先輩が勉強を教えればきっと何とかなるだろう。

 

「ねぇ力男くん。咲黄ちゃんにアドバイス貰わなくて良いの?」

 

「おっとそうだった。なぁ咲黄、ランが部長になったのを祝ってプレゼントを渡そうと思うんだが、何か良い案は無いか?」

 

『うーん。ランちゃんならなんでも喜びそうだけどね』

 

 あー、なんか想像つく。

 本人としては冗談だったかもしれないが、前にその辺の石と草がプレゼントで良いか聞いたら感謝してたし。何か変なもの渡しても凄い喜びそう。プレゼントとして渡す以上、受けを狙ったりせず真面目に考えるけどな。

 

『ふむ。咲黄くん、少し電話を貸してもらっても良いかね』

 

『え? う、うん。良いよ』

 

『助かるよ』

 

 咲黄はガク先輩へとスマホを渡した。

 電話を変わったって事は俺に何か話があるんだろうが、なんだろうか。もしかしてガク先輩もアドバイスをくれるのだろうか。

 

『力男くん。ランくんの部長記念と言うのであれば、それに似合った物は渡すのはどうかね?』

 

「似合う物かぁ。例えば?」

 

『王冠』

 

「部長どころか王様にランクアップ!?」

 

 役職変わってるじゃねーか!

 気に入りそうだけど、気に入る通り越して何処かからマントと杖を用意して「これからオレは部長兼王様だ!」ってノリノリで身につけてくれそうだけど、部長記念何処行った!?

 

『冗談さ。ただ、そこまで深く考える必要は無いさ。咲黄くんも言っていただろう? ランくんならばなんでも喜ぶとね』

 

「それはまぁ、なんとなく分かってるけどさ……」

 

 俺はバツが悪そうにガク先輩の言葉に頷く。

 頭では理解していても、それを実行に移せるかは別の話である。特にこういった記念のプレゼントは渡した事無いから、どうしようか分からないのだ。前世でも空界の誕生日が来る前に、世界が滅んで何も渡せなかったからなぁ。

 

「力男くん。ちょっと良い?」

 

「なんだ勇子」

 

「ペシッ」

 

「…………え、なに?」

 

 俺は一度スマホを耳から離す。

 すると勇子は俺の頭にチョップをしてきた。チョップと言っても、頭を撫でるかのように優しい威力であり、何をしたいのかイマイチ分からず首を傾げる。

 

 そんな俺の反応に勇子は不満があるのか、頬を膨らましてプンスカしてきたので、指で頬を突いて空気を抜いて……うん、ごめん。ふざけたのは謝るから、そんなに両肩掴んで揺らさないでくれ。そんなに揺らしたら、

 

「あいたっ!」

 

「いてっ!」

 

 前後に揺らされていた俺と、俺を揺らしていた反動で自身も前後に揺れていた勇子の反動が丁度重なり、俺達2人は互いに額をぶつける。

 

 電話越しに「2人とも大丈夫?」と心配してくれる咲黄に、問題ないと額を抑えながら答えて、涙目の勇子に呆れ顔をする。何がしたいんだよ……。

 

「いてて……もう。さっきからずっーと悩みすぎだよ! そんなに頭ばっか使ってたら石頭になるよ!」

 

「頭ぶつけたイヤミ?」

 

「違うよ!?」

 

 俺の頭が物理的に硬い話かと思ったが、どうやら別の意味━━━俺自身の思考の話のようだ。そこまで頭固くないと思うけどなぁ。精神年齢としてはギリギリ三十代に入るぐらいなのもあってか、思考が固いと言われたら心当たりこそは無いが、年齢的な意味では言われても文句は言えない。だが、頑固では無いはずだ。何が言いたいのだろうか。

 

「力男くん! 力男くんはランちゃんにプレゼントを渡してどう思ってほしいの!」

 

「どうって……そりゃあ喜んでほしいに決まってるだろ」

 

「じゃあ大丈夫だよ!」

 

「…………何がだよ」

 

 俺はバツが悪そうな顔をし、ぶっきらぼうに勇子に問う。

 本当は自分でも分かってる。分かってるが、今回のプレゼントは今までの軽い感じとは違う。陸上部が好きなランが部長になったのだ。それに相応しい、いや記念になるようなモノを渡そうと考えれば考えるほど、何が正しいのか分からなくなってしまっているのだ。

 

「力男くんの頑張って考えたモノなら、ランちゃんは喜んでくれるよ!」

 

「俺が頑張って考えたモノなら、か」

 

 俺はボソリと呟いて空を見る。

 結局プレゼントする機会が無かったが、空界も俺の頑張って考えたモノならなんでも喜んで……いや、これ以上は止めとこう。居ない人間をどうこう考えても答えは出ないからな。ただまぁ、気持ちぐらいは送っても良いかもしれないな。

 

「よし決めた。勇子、俺はランに草と石を渡す」

 

「いや、あの……えっ〜と。もう少し考えてみたら?」

 

(気持ちの籠もったモノならとは言ったけど、それはランちゃんも困ると思うよ!?)

 

「え〜。俺が頑張って考えたモノなら喜ぶって言ったじゃねーかよ〜」

 

「うっ。それは、そうだけど」

 

 自分で自分の首を絞めてしまったかのように、勇子は気まずそうに顔を歪めて言葉に詰まる。実際にそう思っているようだ。まぁ、なんでもと言った手前、変なモノをプレゼントしようとしてるのを止めるのは躊躇するよな。

 

「あー……えっとね力男くん。その、流石にそれは」

 

「なんてな。冗談だよ冗談」

 

「へ?」

 

 どう軌道修正しようか考えていた勇子だが、俺が冗談だと言うとポカンとした顔をし……おい待て揺らすな。これさっきやったから、もうこの後の展開察したから。それ以上揺らすのを止め……あぶね!

 

 デジャヴと言うべきか。また勇子と頭をぶつけそうになったが、サイコキネシスで勇子の頭を固定して衝突を避けた。やっぱ日常のちょっとした事程度なら便利だな超能力。逆に言えばこんな事ぐらいでしか役に立たないが。

 

「っとと。ありがとうな勇子、励ましてくれて。それに咲黄とガク先輩も」

 

「えっへん!」

 

『どういたしまして』

 

『礼など要らないさ。ここ件は貸しとして━━━』

 

「あー、なんか電波が悪いなー。何言ってるか聞こえないが、電話を切るぞー。いやぁ、電波が悪いんだから仕方ないよなー」

 

 眼の前に居る勇子と、電話越しの咲黄とガク先輩に礼を言い、ガク先輩が変な事を言わない内に電話を切って聞こえないフリをする。

 

 うーん。ランが喜ぶモノ、ランが喜ぶモノかぁ……ランと言えば陸上部だよな。なら部活で使う靴をプレゼントするか? 靴のサイズは知ってるからそれを……いや、そもそもとして履き慣れた靴の方が走りやすいか。それに値段的に中学生が手を出すのは厳しい問題もあるし。

 

 なら汗を拭く用のタオルか? でもランの事だから、少し捻ったモノの方が喜ぶよなぁ。部活関連ので捻ったプレゼントと言えば……あっ!

 

「よし決めた! じゃあな勇子。俺、ランのプレゼント用意してくる!」

 

「じゃーねー!」

 

 思い立ったがなんちゃらと言うように、ランに渡すプレゼントを閃いた俺は勇子に別れを告げて急いでその場を去るのであった。

 

「…………ハッ! 私今暇なんだった! ちょっと待って、私も手伝うから〜! って、さっき力男くんの方から手伝ってって言ってたよね!?」

 

 

 

 

 

「グラララララ!」

 

「ランちゃん、今日は一段と元気ですね」

 

「それより先に笑い声に突っ込もう?」

 

 それから数日後、俺は痛む指を擦りながら放課後の教室で高笑いするランに突っ込んでいた。

 その笑い声するのは白いヒゲが生えてる不思議な実を食った人間だけなんだよ。え、なに。もしかして炎の能力者やダイヤモンドの身体を持つ相手を息子って呼んでる?

 

「何かありましたカ?」

 

「ふっふっふっ……これを見よ!」

 

 ランは学校指定のブレザーを一瞬にして脱ぐと、その下に着けていたモノを胸を張りながらドヤ顔でマホ達に見せつけた。

 

「襷、ですか?」

 

「部長記念に力男から貰った! これで何処から見ても一目でオレが部長だと分かるぜ!」

 

「自己主張激しくないかしら」

 

「事実だからな!」

 

 そう、襷である。

 ランは俺がプレゼントした、デカデカと「部長」と描かれている襷を肩から斜め掛けしていた。少し捻ったモノと思って、ランが何度も自慢している「部長」ってのを主張すれば喜んでくれると思ったが、どうやら大正解だったようだ。

 

「ランちゃん喜んでくれてるね」

 

「咲黄達のお陰だ。ありがとうな」

 

「どういたしまして。それにしても、よく売ってたね。あの襷」

 

「まぁ…………な。勇子と一緒に探したかいがあったぜ」

 

 俺はソッと指に巻いている絆創膏に目をやる。

 実はと言うべきか、当然と言うべきか。ランにプレゼントした「部長」と描かれた襷は店には売っていない代物である。てか逆に売ってたらその店のセンスを疑う。

 

 あの襷は俺が用意、正確に言えば俺が作ったモノである。

 ランならば部長って遠くからでも分かるようなプレゼントを渡せば喜ぶだろうと思い、襷を作る用の布を用意して一からデザインしたのである。それにしても指が痛いなぁ、針で何回も指を刺しちまった。慣れない事はするものじゃないな。

 

「ふふっ。頑張ったんだね」

 

 咲黄は怪我をしている指を見て、俺の嘘を見破りながらも何も指摘せずにただただ微笑むのであった。




ーオマケー
「ところで力男くん。最近ランちゃんが『I'm 部長』って文字がプリントされてる服を着ているんだけど、それも勇子ちゃんと一緒に探したの?」

「え、何それ知らん……怖」


 本編内で描写する余裕が無い小ネタや、裏設定を前書きに書き始めました。投稿ペースが落ちた分、ちょっとしたオマケ程度の感覚と思ってください。

 次回の話は未定です。正確に言えば、ネタはあるけどどれを次回にしようか悩んでる、が正しいですがね。一応時系列はちゃんとしないとなぁとは思ってますので。極端な話、ポッキーの日(11月11日)、クリスマス、ハロウィンの順番で話が展開されたらおかしいですし。

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