この前はマホとペンヨウに因縁集中しすぎ問題について考えてました。敵側の矢印、大体この一人と一匹にしか向いていなかったですからねぇ。ワタカラ→マホは主人公とボスって言う構図だからともかく、リュウの矢印は弟妹繋がりで咲黄に向けとけば良かったかな。
他にもパートナー妖精と魔法少女の関係深堀り。各キャラのスポットライト回&成長回。定番の喧嘩回。そういうのが無かったのも反省点ですね。
「久しぶりセイ!」
「久しぶりだな、ペンヨウ」
ペンヨウ達が妖精国に帰ってから2ヶ月ほどが経った頃。
毎日のように顔を合わせていた相手が居なくなると寂しいと言う勇子が呟いたのを切っ掛けに、俺達はペンヨウ達に会いに妖精国に遊びに来ていた。
本当ならもう少し早く会いたかったが、ガク先輩の作った世界を渡れる腕時計型のワープ装置を持っているのは、通学用に使っているマホと、リュウに会いに来ているワタカラの二人だけである。
もし妖精国に行きたい場合は二人のどちらかに頼む必要があるが、ワタカラは神出鬼没で何処に居るのか不明。マホに頼むとしても、行きと帰り。そして妖精国までの案内まで一々頼むのは申し訳ないとのことで、みんなの予定が揃うまで待っていたのである。
「ペンヨウ。ワニヨウとは仲良くやってるか?」
「ワニヨウはずっとお城に居るから全然会ってないセイ」
「あー……まぁワニヨウは王様だから忙しいか。じゃああれ以降変身もしてないのか」
「いや、変身はあれ以降一度も出来てないセイ」
「へぇ~」
もしかしてあれか? 力を使い果たして変身出来なくなりました~的なやつなのか? まぁ変身出来なくても特段困る事は特に無さそうだから別に良いか。強いて理由を作るなら、お一人様一点の商品を
「それで、えっと……」
ペンヨウとの再開の挨拶もそこそこに、俺はペンヨウと一緒に来ていた妖精に戸惑いながら声を掛ける。
「初めましてで良いのか? それとも久しぶりか? ちゃんと話したことは無いけど、俺はお前を知ってるし、お前も俺を知ってるだろ?」
「知ってるニワ。けど一応は初めましてニワ。ニワヨウの名前は『ニワヨウ』ニワ。よろしくニワ」
「おう。よろしくな」
その相手とはペンヨウの友達のニワヨウである。
俺とニワヨウは互いの事を知っており、一応は面識もある。しかしマトモに会話をしたのは今日が初めてであった。
理由としては単に、最初に出会ったのは学校の怪談を調査しに来た時であり、それ以降は一度も会っていなかったからである。つまり何が言いたいのか簡潔に話すと、出会った時期がニワヨウが喋れない頃で姿も今と違ったので、どう接したら良いか少し戸惑っているのだ。
そもそも最初に会った時は、ニワヨウが人体模型として動いてた頃だったからなぁ。あの時は中身があるとは知らず、ガク先輩が人体模型を動かす研究でもしてると思っていたからな。もしテレパシーを使っていれば気付いたかもしれないが、わざわざ無機物に対してテレパシー使わないし。
結局俺があの時の人体模型=ニワヨウだと知ったのは、学校でマホ達がコマツールを倒した後……言ってしまえば全てが終わった後であり、その時の俺は自宅から念聴で聴いただけで、その場に居なかった俺はニワヨウとは一度もマトモな会話をしてこなかった。
「元はこんな姿だったのね」
「そうニワ」
「私達が見たのは人体模型の時だったからね……」
「あの時は驚きましたね。色々な意味で」
俺が過去の出来事を思い出す一方、マホ達はニワヨウを囲うようにして話しかける。
そういやマホは魔法世界出身だからともかくとして、勇子達は俺と同じように妖精姿のニワヨウと会うのは初めてか。つーか声は変わってないとは言え、最初に見た姿とまるっきり変わるとなんか違和感が凄いな。
「話もそれぐらいにして、そろそろ妖精国を案内するセイ」
「よろしくなペンヨウ先生」
「先生だなんて……褒めても何も出ないセイ」
「なんだ、何も無いのか」
「露骨にガッカリしないでほしいセイ!」
「冗談だよ冗談」
あまりその場で話していても、妖精国を見て回る時間が無くなると思ったのか。ペンヨウがマホ達に囲われているニワヨウの腕を引っ張り、妖精国の中心へと歩みを進める。
「ねぇねぇペンヨウ! まずは何処に案内してくれるの!?」
「うーん。まずは何処にするセイか……」
「ペンヨウ。最初はクラヨウの所を勧めるニワ。王様達にも会わせたいニワが、距離があるから色んな所を寄りながら最後の方にするのが良いと思うニワ」
「でもクラヨウはお店があって忙しくないセイ?」
「この時間はまだ店は開いてないニワ。だから話すぐらいの時間はあると思うニワ」
「なるほどセイ。分かったセイ!」
俺としては久しぶりにワニヨウと話したかったが、わざわざ中央まで行ってから妖精国を回るのは手間か。それだったら、道中を観光した方が楽だろうし、時間も短縮出来るからな。今居る場所から速攻中央に行ってから、観光で此方に戻るのは面倒だし。
「クラヨウー! 遊びに来たセイ!」
少し大きめの繁盛してそうな店。CLOSEと書かれた看板があるからか、ペンヨウは扉をノックしてクラヨウの名前を呼ぶ。
お前、そんな常識あったんだな。俺の記憶だと、ノックも無しに顔面に突撃してきた覚えしか無いんだけど。まぁ緊急時だった時が大半だから、そこまで攻めたりはしないけどさ。
「用なら後にしてほしいクラ……って緑達クラか。此方に遊びに来たクラ?」
「ええ、そうよ」
元気いっぱいなペンヨウの呼び掛けを鬱陶しそうに、もっと言えば声が頭に響いて機嫌が悪くさせてしまったのか。若干眉間にシワを寄せたクラヨウは俺達の突然の訪問に特段驚く様子は見せず、やっと来たのかと言うようなリアクションを見せた。
約束も何もしてなかったのに驚かないんだな。
もしかして簡単に世界を行き来出来るなら、きっと近い内に遊びに来るだろとでも思ってたのか?
「あー……ごめんクラヨウ。もしかして今忙しかった?」
「いや、ワニヨウのご飯を作ってただけだから問題ないクラ」
「ワニヨウのご飯、ですか?」
「そうクラ」
眉間にシワを寄せている様子を見て忙しい時に来て悪かったと勇子は謝罪するが、クラヨウは気にしてないと言った様子で何をしていたかの説明をしてくれた。
へぇ、ワニヨウにカツ丼を。ワニヨウの事だからファ◯チキを再現してもらえるよう頼んだのかと思ったけど、まさかのカツ丼か。でもワニヨウってカツ丼好きだったか? いや、特に好き嫌いとかは無かったけどさ。クラヨウが作ったカツ丼が気に入ったのか?
「これでワニヨウが脱走するのを防いでるクラ」
「脱走!? ワニヨウが何かやらかしたのか?」
「実はこの前こんな事があったクラ」
クラヨウは一つ溜め息を付き、妖精国の現状を説明してくれた。
どうやらワニヨウはいつも王室を脱走して牢屋に自ら入ろうとしており、それを阻止しようとフクヨウが大量の仕事を渡して脱走する暇を与えていない事。それでも厳しいので、最近は食べ物で意識を逸らさせて脱走自体を忘れさせているようだ。
「何してんだよ色々と……」
元々の約束である「復興が落ち着いたら」を破っているのはフクヨウであり、同然ながら約束を破っているフクヨウが悪い部分はある。
だが記憶を消された状態で悪事に加担したワニヨウを牢に入れるのは違うと思っているだろう。実際にワニヨウが再び王様になった事に対して誰も文句言ってないようだし。
かと言って何も無く王様に戻ったとなれば、それはワニヨウ自身は納得しないだろう。ワニヨウ視点から今の状況を纏めると、元犯罪者を王様にします。そう言われてるのと同義だ。
…………うん。そう考えるとワニヨウが王様やりたくない理由も分かる。けどこのままだとワニヨウの心が救われないなぁ。せめて王を続けるにせよ辞めるにせよ、周りからどう思われているか知ってくれれば……っと、あれは。
「悪い、少し寄り道する。千里眼で場所は分かるから、先に観光続けててくれ」
「え? う、うん。気を付けてね」
「迷子になるんじゃないわよ」
「マホじゃねぇから大丈夫だよ」
「え!?」
何やらマホが心外と言うような反応をしているが、実際に
自分は迷子になった事は無い、方向音痴じゃないと必死に言い訳するマホを微笑ましく見ながら、俺は気になるもの━━━俺個人に対して視線を向けていた相手を誘うために、人目の付かない路地裏へと移動する。
「はぁ、全く。ワニヨウもフクヨウも何してるんだか」
ポツリと、俺は誰かに喋るように呟く。
しかし人気の無く、狭い場所だ。そんな所で俺の呟きに反応する相手なんて、誰かに見つかるのを避けたくて隠れている妖精ぐらいだろう。
「呆れたような声は止めてほしいワニ」
「なら王の座にちゃんと座りな」
「それは嫌ワニ」
「言うと思った」
「「アッハッハッハッ」」
そしてそんな妖精がここに一匹。
説明する必要も無いだろうが、俺の呟きに反応したのはこの妖精国で一応王様をやっているワニヨウである。逆にワニヨウじゃなかったら、語尾被ってるからキャラ変しろと言いたい。
「で、何してんのお前」
「脱走ワニ」
「よし。今からフクヨウの所に連れてってやる」
「待つワニ待つワニ! まずはワニャアの話を聞くワニ!」
既に予想は付いていたが、やはり脱走してきていたようだ。
俺はワニヨウの頭を掴んでサイコキネシスで宙に浮き、建物とか諸々を無視して城まで直行しようとするが、ワニヨウがあまりにも必死に止めてくるので、屋根よりやや低い辺りの高さでその場に留まった。
もし国を出たいだの、俺の家に行きたいだの言っていたら、妖精国に迷惑だから無理矢理にでも城に強制送還する予定だったが、話があるって言うならちゃんと聞かないとな。
「ワニャアは王様にふさわしくないワニ」
「へー、そうなんだ。じゃあ城行こうぜ」
「ちゃんと話を聞くワニ!」
いや、それはもう聞き飽きたって。
ワニヨウ自身がちゃんと自分の罪と向き合って出した答えなのは分かるけど、それじゃあ話は進まないんだよ。犯罪者として裁いてほしいワニヨウVS再び王様に戻ってほしい妖精国一同VSダー◯ライの構図が一生変わらないんだよ。
「だからワニャアよりも、他の誰かの方が王様にふさわしいワニ」
「じゃあ誰か王様やりたそうな奴に丸投げすれば良いじゃねぇか」
「みんなワニャアが王様にふさわしいと言ってくるワニ」
「…………自慢?」
「違うワニ!」
いや、明らかに無自覚の自慢だろ。
そんな性格じゃないのは分かってるが、相手によっては「はぁ~辛いわぁ。王様辞めたいけど、人望ありすぎて辞められないなぁ。はぁ、辛いわぁ~とっても辛いわぁ~」と言ってるように受けとれられるぞ。
「これはワニャアの心の問題ワニ」
「心の問題、ねぇ……。要は自信が無いって事か」
「そうワニ」
「…………」
視線を地面へと向け、俺から眼を逸らすワニヨウを見て思考を巡らす。
今のワニヨウは過去の罪を重荷としており、尚且つ周りの状況が見えていない。そんな状態で「お前は悪くない」と言葉で説得しても本人は納得しないだろうし、それで納得するならフクヨウか誰かが言っているだろう。
「なぁワニヨウ」
「なにワニ?」
「お前が王様にふさわしいか調べる方法を思い付いた」
「だからワニャアは……」
「まぁまぁ。あくまで調べるであって、王様を続けろって言ってるわけじゃないんだ。それの結果が出てから決めても遅くないだろ?」
「それなら、まぁ……分かったワニ」
未だに「自分は王様にふさわしくない」とウジウジするワニヨウを否定も肯定もせず、俺は第三の選択肢として王様にふさわしいか調査しようと提案した。
俺がここで否定したならば話は平行線だっただろうが、今からするのは調査だと全面的に押した事でワニヨウは妥協したのか、俺の提案を無下にせず、むしろ提案に渋々ながらも乗ってきてくれた。
俺が今からワニヨウに見せるのは妖精国みんなの意見だ。
もしこれでもワニヨウの意見が変わらなかったのなら……その時は、フクヨウや妖精国の妖精達には諦めてもらおう。本人が意見を変えない以上、無理矢理王様の席に座らせても、今みたいに長続きしないだろうからな。
「ところで調べるってどうするワニ?」
「ん? 鬼ごっこ」
「ワニ?」
「俺と一緒にみんなから逃げるぞ。超能力ありの全力でな」
これからワニヨウを説得するのに必要なのは、言葉でも時間でも無い。ワニヨウを思うみんなの行動である。
そんな考えの元、俺はワニヨウに鬼ごっこを提案するのであった。
次回はずっと書きたいとウズウズしてた自己満足回こと、鬼ごっこ回です。
これが、これが書きたかったんだ……! 本編後なら妖精達もマホ達も超能力について知ってる。だから隠す必要ないからね!
あ、それと明日は次回とは別枠で一本投稿します。
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